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タイトル:公開特許公報(A)_カイラル剤、重合性液晶組成物、光学素子および光記録再生装置
出願番号:2007061943
年次:2008
IPC分類:C09K 19/54,C09K 19/38,G02F 1/13,G02B 5/18,G02B 5/30,C07D 493/04


特許情報キャッシュ

塩野 和彦 山本 祐治 JP 2008222829 公開特許公報(A) 20080925 2007061943 20070312 カイラル剤、重合性液晶組成物、光学素子および光記録再生装置 旭硝子株式会社 000000044 塩野 和彦 山本 祐治 C09K 19/54 20060101AFI20080829BHJP C09K 19/38 20060101ALI20080829BHJP G02F 1/13 20060101ALI20080829BHJP G02B 5/18 20060101ALI20080829BHJP G02B 5/30 20060101ALI20080829BHJP C07D 493/04 20060101ALN20080829BHJP JPC09K19/54 BC09K19/38G02F1/13 500G02B5/18G02B5/30C07D493/04 101DC07D493/04 9 OL 23 2H049 2H249 4C071 4H027 2H049AA03 2H049AA13 2H049AA43 2H049AA57 2H049AA64 2H049BA05 2H049BA42 2H049BB42 2H049BC08 2H049BC21 2H249AA03 2H249AA13 2H249AA43 2H249AA57 2H249AA64 4C071AA01 4C071BB01 4C071CC12 4C071DD04 4C071EE05 4C071FF15 4C071HH05 4C071JJ01 4C071LL05 4H027BA02 4H027BA11 本発明はカイラル剤、それを含む重合性液晶組成物、それを用いた光学素子および光記録再生装置に関する。 コレステリック液晶における液晶分子は、螺旋状にねじれた配向を有しており、その螺旋のピッチに対応する、左右円偏光成分の一方を選択反射する性質がある。このため、コレステリック液晶は、様々な光学素子に利用されている。このようなコレステリック液晶は、ネマチック液晶材料のような液晶材料に、不斉中心を有するカイラル剤を添加することによって得られる。 コレステリック液晶としては、温度特性が良好なこと、信頼性が高いことから、高分子タイプのコレステリック液晶が有用である。高分子コレステリック液晶は、重合性官能基を有する液晶性化合物と、重合性官能基を有するカイラル剤とを含む重合性液晶組成物を重合することによって得ることができる。 従来、コレステリック液晶を得るために液晶材料に添加される様々なカイラル剤が、開発されており、例えば、イソソルビドの骨格構造を有するカイラル剤が、開示されている。 イソソルビドの骨格構造を有するカイラル剤としては、例えば、特許文献1には、イソソルビドの骨格構造を中心とした対称構造及び2個〜6個の重合可能な基を備えた化合物が開示されている。また、特許文献2には、イソソルビドの骨格構造を有するが重合性官能基を有さないカイラルドーパントが、開示されている。さらに、特許文献3には、イソソルビドの骨格構造を有し、イソソルビド骨格構造の両側に存在する環の数が異なるカイラル化合物が開示されている。 しかしながら、特許文献1に開示された化合物を、重合性液晶性化合物と混ぜて重合性液晶組成物として重合させて、高分子のコレステリック液晶を得る際には、以下の問題があった。特許文献1に開示されるような2個〜6個の重合可能な基を備えた化合物の重合速度は、単官能の重合性液晶性化合物の重合速度より速い。このため、重合反応の初期には、特許文献1に開示されるような2個〜6個の重合可能な基を備えた化合物の重合反応に寄与する割合が多く、一方、重合反応の後期には、単官能の重合性液晶性化合物の重合反応に寄与する割合が多い。よって、重合反応によって得られる重合体の組成が、重合の初期と重合の後期との間で変動することがある。その結果、得られる高分子のコレステリック液晶の選択反射帯が、重合前の液晶組成物における選択反射帯よりも広くなったり、選択反射帯の矩形の形状が崩れてしまったりすることがある。なお、高分子のコレステリック液晶の選択反射帯は、高分子のコレステリック液晶が左右円偏光成分の一方を選択反射する光の波長領域を意味する。 また、特許文献2に開示されるような、イソソルビドの骨格構造を有するが重合性官能基を有さないカイラルドーパントは、重合性液晶性化合物との相溶性が低いことがある。このため、重合性液晶性化合物を重合するとき、得られる重合体とカイラルドーパントとの間で相分離が起こることがある。また、重合性液晶性化合物の重合後に、カイラルドーパントが析出することがある。さらに、特許文献2に開示されるようなカイラルドーパントは、重合性官能基を有さないため、高分子のコレステリック液晶を製造することができない。 近年、光ディスクの大容量化を図るため、情報の書き込み、読み取りに使用されるレーザー光を短波長化し、光ディスク上の凹凸ピットサイズをより小さくすることが進められている。CDでは波長780nm、DVDでは波長660nmのレーザー光が使用されているが、次世代光ディスクでは、波長300〜450nmのレーザー光の使用が検討されている。これに伴い、波長300〜450nmのレーザー光(以下、青色レーザー光とも記す。)を変調するための光学素子が求められている。 しかし、特許文献1、3等に記載された従来から知られたカイラル剤は青色レーザー光に対する耐光性が不充分であり、次世代光ディスク用光学素子に用いるには問題があった。特表平9−506088号公報特表2000−515496号公報特開2003−137887号公報 本発明の目的は青色レーザー光に対して高い耐光性を有する光硬化型カイラル剤であって、重合性液晶性化合物との相溶性に優れ、重合性液晶性化合物と混ぜて重合性液晶組成物として重合した際にも均一な重合が可能なカイラル剤を提供することである。 本発明者らは、ソルビトール骨格を持つ化合物であって、その置換基に特定の基を有する化合物が青色レーザー光に対して高い耐光性を発揮し、重合性液晶性化合物との相溶性に優れ、重合性液晶性化合物と混ぜて重合性液晶組成物として重合した際にも均一な重合が可能であり、優れた特性の光学素子を得ることができることを見出した。 すなわち、本発明は下記の発明を提供する。[1]下記一般式(1)で表されるカイラル剤であって、 P1及びP2は、それぞれ独立に1,4−シクロヘキシレン基を1個含む炭素数が10〜20の炭化水素基であり、基中にエーテル結合性の酸素原子もしくはエステル結合を有していてもよく、また基中の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよく、P1及びP2の一方は、さらに重合性官能基を含むことを特徴とするカイラル剤。[2]下記一般式(1A)または下記一般式(1B)で表されるカイラル剤であって、 Q1及びQ4は、それぞれ独立に、 CH2=CR1−COO−(L)m−E1−で表される基であり、 Q2及びQ3は、それぞれ独立に、 −E2−R2で表される基であり、 R1は、水素原子またはメチル基であり、 R2は、水素原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上8以下のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上8以下のアルコキシ基、フッ素原子からなる群より選択される基であり、 mは、0または1であり、 Lは、フッ素原子で置換されていてもよい(CH2)pO−、−(CH2)q−もしくは−(CH2)rOCO−、またはそれらの同じ基もしくは異なる基の組み合わせであり、 p,q及びrは、単独の場合には2以上8以下の整数であり、同じ基もしくは異なる基の組み合わせの場合にはメチレン基の総数が2以上8以下となる数であり、 E1及びE2は、1,4−シクロへキシレン基である前記[1]に記載のカイラル剤。[3]R2は、炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数1以上8以下のアルコキシ基、フッ素原子からなる群より選択される基である前記[2]に記載のカイラル剤。[4]250nmでの波長でモル吸光係数が20000以下である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のカイラル剤。[5]重合性液晶化合物と前記[1]〜[4]のいずれかに記載のカイラル剤とを含むことを特徴とする重合性液晶組成物。[6]表面に配向処理を施した一対の基板間に前記[5]に記載の重合性液晶組成物を挟持して、重合させて得られた高分子液晶を有することを特徴とする光学素子。[7]屈折率が等方性の第1の光学材料及び前記[5]に記載の重合性液晶組成物を重合させて得られた高分子液晶からなる屈折率が異方性の第2の光学材料が格子状に配置されていることを特徴とする回折光学素子。[8]第1の円偏光に対する前記第1の光学材料の屈折率は、第1の円偏光に対する前記第2の光学材料の屈折率と実質的に等しく、第1の円偏光と逆向きに回転する第2の円偏光に対する前記第1の光学材料の屈折率は、第2の円偏光に対する前記第2の光学材料の屈折率と異なる前記[7]に記載の回折光学素子。[9]光記録媒体に情報を記録する及び/又光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置であって、前記[7]または[8]に記載の回折光学素子を含むことを特徴とする光記録再生装置。 本発明のカイラル剤は構造中に300〜450nmの波長領域で吸光係数の小さいシクロへキシレン基を有するため、青色レーザー光による光劣化が抑制され、その結果、青色レーザー光に対する耐光性の優れたカイラル剤を提供することができる。また、P1及びP2は、夫々シクロヘキシレン基を1個のみ有するので、他の重合性液晶化合物との相溶性も良くしやすい。また、材料P1及びP2の一方に重合性官能基を設けることにより、カイラル剤のみが早期に重合してしまうことによる重合初期と終期での特性変化が少なくなり、均一な重合物が得られやすくなる。 次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。 本発明のカイラル剤は、下記一般式(1)で表されるカイラル剤であって、 P1及びP2は、それぞれ独立に1,4−シクロヘキシレン基を1個含む炭素数が10〜20の炭化水素基であり、基中にエーテル結合性の酸素原子もしくはエステル結合を有していてもよく、また基中の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよく、P1及びP2の一方は、さらに重合性官能基を含むものである。 すなわち、一般式(1)で表される化合物は、不斉炭素原子を有するカイラル剤である。 ここで、P1及びP2は、いずれも1,4−シクロへキシレン基を1個含む炭素数が10〜20の炭化水素基である。この炭化水素基は、基中にエーテル結合性の酸素原子もしくはエステル結合を有していてもよく、また基中の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。すなわち、P1及びP2の各々に含まれる環は、夫々1,4−シクロヘキシレン基1個のみである。これにより、青色レーザー光に対する耐光性を向上させ、他の重合性液晶化合物との相溶性も向上させることができる。また、紫外領域でも吸収が小さいので、透明性が高い。 これは、環構造としてフェニル基ではなく、シクロへキシレン基を用いることで、より吸収を短波長化し青色レーザーに対する耐光性がよくなるためである。また、環をソルビトールの両側に各々、1つにすることで多環に比べて結晶化点が小さくなるためである。カイラル剤及び重合性液晶性化合物を含む組成物を調製する際、これらの材料の融点が高いと、両者を充分に混合するために加熱が必要となる。この加熱により不均一な熱重合反応が進行しやすくなり、均一な高分子コレステリック液晶を得ることが困難となるおそれがある。また、結晶化点が高いと、組成物においてカイラル剤が析出しやすく、高分子コレステリック液晶が不均一になるおそれもある。 また、P1及びP2の一方は、重合性官能基を含む。言い換えれば、P1及びP2の一方が、重合性官能基を含み、他方は、重合性官能基を含まない。重合性官能基は、炭素−炭素二重結合(−C=C−)を含む官能基である。重合性官能基としては、例えば、アクリロイル基(CH2=CHCOO−)及びメタクリロイル基(CH2=C(CH3)COO−)などが挙げられる。 P1、P2は、それぞれ独立に4−置換−シクロヘキサンカルボン酸のカルボキシル基の水素原子を除いた基が好ましい。このP1、P2の一方の4位には重合性不飽和基を有する置換基を有し、他方の4位には重合性不飽和基を有しない置換基を有する。重合性不飽和基を有しない置換基としては、後述のR2が好ましく、特に炭素数8以下のアルキル基が好ましい。重合性不飽和基を有する置換基としてはCH2=CR1−COO−(L)m− (R1、L、mは後述のものと同じ)が好ましく、特に、CH2=CR1−COO−(CH2)r−OCO− (R1、rは後述のものと同じ)が好ましい。 本発明では青色レーザー光に対して高い耐光性を有するカイラル剤を提供することができる。ここでいう耐光性はKrレーザー(波長407nm、413nmのマルチモード)を温度80℃において、積算曝露エネルギー15W・hour/mm2照射する加速試験において、405nmでの光線透過率の変動値から求められる。この変動値が小さい場合に高耐光性であるとする。 また、本発明のカイラル剤は、高いHTP(Helical Twisting Power:らせん誘起力)を有し得る。カイラル剤のHTPは、 HTP=(PC)−1で定義され、Pは、カイラル剤によるコレステリック液晶のピッチ(μm)を表し、Cは、カイラル剤を含む組成物におけるカイラル剤の濃度(質量%)を表す。 さらに、本発明のカイラル剤の温度変化に対するカイラル剤のHTPの変化は、比較的小さい。 本発明のカイラル剤は、下記一般式(1A)または下記一般式(1B)で表されるカイラル剤であることが好ましい。これは下記一般式(1A)または一般式(1B)で表される化合物は、不斉炭素原子を有するカイラル剤である。 イソソルビドの骨格にエステル結合−シクロへキシレン基を繋げることでより大きなHTPを出すことができる。また、液晶化合物に構造が類似していることになり、液晶化合物と組成物にした際に相溶性が良く、重合時に相分離を起こしにくい。特に、400nm〜500nmまで選択反射領域を移動させるためのカイラル剤の添加量が少なくて済み、かつホストとなる液晶組成物との相溶性が良く、カイラル剤と混ぜることにより結晶化点が比較的低い液晶組成物が提供できる。 ここで、Q1及びQ4は、それぞれ独立に、CH2=CR1−COO−(L)m−E1−で表される基である。また、Q2及びQ3は、それぞれ独立に、−E2−R2で表される基である。 R1は、水素原子またはメチル基であり、水素原子が好ましい。R2は、水素原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上8以下のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上8以下のアルコキシ基、フッ素原子からなる群より選択される基である。 炭素数1以上8以下のアルキル基は、直鎖または分岐鎖の炭素数1以上8以下のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基などが挙げられる。炭素数1以上8以下のアルコキシ基は、直鎖または分岐鎖の炭素数1以上8以下のアルコキシ基であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基などが挙げられる。 本発明のカイラル剤において、好ましくは、HTPを大きくする観点からは、R2は炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数1以上8以下のアルコキシ基からなる群より選択される基であることが好ましい。具体的には、n−プロピル基、ペンチル基、n−へプチル基が好ましい。 mは、0または1であり、1が好ましい。Lは、−(CH2)pO−、−(CH2)q−及び−(CH2)rOCO−、またはそれらの同じ基もしくは異なる基の組み合わせである。すなわち、−(CH2)p1O−(CH2)p2O−のように同じ基を組み合わせてもよいし、−(CH2)p3O−(CH2)r1OCO−のように異なる基を組み合わせてもよい。中でも、−(CH2)rOCO−を含むことが好ましい。 p、q及びrは、単独の場合には2以上8以下の整数である。同じ基もしくは異なる基の組み合わせの場合にはメチレン基の総数が2以上8以下となる数である。すなわち、上記の例のように、−(CH2)p1O−(CH2)p2O−の場合には、p1+p2を2以上8以下の整数とし、−(CH2)p3O−(CH2)r1OCO−の場合には、p3+r1を2以上8以下の整数とする。特には、単独でかつ2以上4以下の整数とすることが温度特性が良くなるので好ましい。 E1及びE2は、1,4−シクロへキシレン基であり、Q1及びQ2またはQ3及びQ4に環構造として夫々1個含まれる。この1,4−シクロへキシレン基は、青色レーザー光に対する耐光性を向上させる。この1,4−シクロへキシレン基は、通常の液晶とは異なり、シスでもトランスでも使用できるが、重合性液晶化合物との相溶性の点からはトランス−1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。 本発明のカイラル剤としては、下記化合物が好ましい。なお、Q1〜Q4の好ましい態様は、下記化合物中に例示される。 このように、本発明のカイラル剤は、イソソルビド誘導型の中心骨格の両側のそれぞれに1,4−シクロへキシレン基を1個有し、イソソルビド誘導型の中心骨格の片側にのみ重合性官能基、好ましくはCH2=CR1−COO−を有する。 本発明のカイラル剤は、青色レーザー光に対して高い耐光性を有し、HTPが大きいことが特徴である。さらに、他の重合性液晶化合物との相溶性に優れ、均一な重合物が得やすい。 本発明のカイラル剤の一般式(1A)の化合物及び一般式(1B)の化合物は、例えば以下のような方法で合成できる。なお、式中のEDCは、1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を表し、DMAPは4−ジメチルアミノピリジンを表す。[合成方法1] 本発明のカイラル剤のうち、一般式(1A)で表される化合物は、イソソルビド(2)と所定の第1のカルボン酸(Q2COOH)との縮合反応によって化合物(3A)を得て、つぎに化合物(3A)と、第2のカルボン酸(Q1COOH)とを反応させることによって化合物(1A)を得ることができる。[合成方法2] また、一般式(1B)で表される化合物は、イソソルビド(2)と所定のカルボン酸(Q4COOH)との縮合反応によって化合物(3B)を得て、つぎに化合物(3B)と酸塩化物(Q3COCl)との反応によって化合物(1B)を得ることができる。 なお、Q1COOH、Q2COOH、Q3COCl、Q4COOHは市販されている化合物をそのまま使用するか、市販されている化合物から誘導して使用できる。 本発明のカイラル剤は、重合性液晶化合物と混合して重合性液晶組成物として用いられる。本発明のカイラル剤は、重合性液晶組成物100重量部の中に1〜20重量部含まれる。カイラル剤以外の成分としては、重合性液晶化合物50〜98重量部、重合性非液晶化合物0〜30重量部、光硬化開始剤0.1〜5重量部、その他添加剤0〜10重量部があり、最終的な組成物として液晶性を示せばよい。特に、光重合で硬化可能な組成物が液晶性を保ったまま硬化させ易いので好ましい。 この重合性液晶組成物は、表面に配向処理を施した一対の基板間に挟持して、重合させて用いられる。具体的には、ガラス、プラスチック等の基板の表面にポリイミド膜等を形成してラビングしたり、斜め蒸着をすることにより、配向膜を形成する。この基板を配向処理面が対向するようにして配置して、重合性液晶組成物を挟持するようにする。 このためには、基板の周辺にシール材を配置して2枚の基板を一定の間隙をもった状態で接着して空セルを形成して、注入口から重合性液晶組成物を注入して硬化させればよい。また、一方の基板の周辺にシール材を配置して、重合性液晶組成物を注ぎ、他方の基板をその上に圧着しながらシール部を接着する方法を用いて製造することもできる。 上記の説明では、説明を簡単にするために配向膜しか触れなかったが、光学特性制御のために電極を設けたり、反射型素子として使用するために反射膜を設けたり、基板の表面にフレネルレンズ構成、回折格子用の格子、色調調整用の着色層、迷光抑制用の低反射層等を設けてもよい。 回折光学素子として用いる場合には、基板の内面に格子を形成する必要がある。通常は、あらかじめ屈折率が等方性の第1の光学材料による格子を形成しておき、残りの部分に本発明のカイラル剤を含んだ重合性液晶組成物を充填して重合させて得られた高分子液晶からなる屈折率が異方性の第2の光学材料を配置する。これにより偏光回折光学素子を形成することができる。なお、工程的には複雑となるが、逆にあらかじめ重合性液晶組成物による屈折率が異方性の第2の光学材料の格子を形成し、その後、残りの部分に屈折率が等方性の第1の光学材料を充填して硬化させることも可能である。 この場合、第1の円偏光に対する前記第1の光学材料の屈折率は、第1の円偏光に対する前記第2の光学材料の屈折率と実質的に等しく、第1の円偏光と逆向きに回転する第2の円偏光に対する前記第1の光学材料の屈折率は、第2の円偏光に対する前記第2の光学材料の屈折率と異なるようにすることができる。これにより、第一の円偏光を透過させることができ、また、格子の厚さにより第二の円偏光の回折量を調整できるようになる。 本発明の光学素子は、偏光回折光学素子、位相差板、波面補正素子等に利用できる。このような光学素子を、光記録媒体に情報を記録する及び/又光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置のレーザー光の光路中に配置して用いるのに適している。 特に、最近実用化が始まったBDやHDDVDのような青色レーザー光を用いた光情報記録再生装置用の光ヘッドに好適である。[例1]カイラル剤(B1)の合成 上記した合成方法2に従って、化合物(B1)を合成した。(1)化合物Q4COOH(B1−1)の合成 攪拌装置、滴下ロート、還流管を装備した500mLの三口フラスコに、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(4)を17.2g(0.1mol)、塩化チオニル23.6g(0.2mol)、DMF2滴、トルエン500mLを加え110℃で3時間加熱還流した。反応終了後、溶液を70℃で濃縮した。溶媒を完全に留去して得られた酸塩化物であるトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸クロリド(5)を1Lのジクロロメタンに溶解させた。 この酸塩化物のジクロロメタン溶液に、4−ヒドロキシブチルアクリレート(6)14.4g(0.1mol)とピリジン7.9g(0.1mol)とを1Lのジクロロメタンに溶解させた溶液を3時間かけてゆっくり滴下した。1時間、室温で攪拌させた後、水100mLを添加し反応を停止させた。反応終了後、水およびジクロロメタンで洗浄し、有機層を回収した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濾過により無水硫酸マグネシウムを除去し、濾液を濃縮した。この濾液をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒として、酢酸エチル:ヘキサン=1:1)で精製し、化合物(B1−1)を得た。収量13.4g、収率45%、GC純度97%であった。1HNMR(400MHz、溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)δ(ppm)1.41−2.11(m,12H)、2.30−2.35(m,2H)、4.28−4.38(m,4H)、5.86−6.46(m,3H)(2)化合物(B1−2)の合成 500mLの三口フラスコに化合物(B1−1)を15.8g(0.042mol)、イソソルビド(2)6.1g(0.042mol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩16g(0.083mol)、4−ジメチルアミノピリジン0.7gおよびジクロロメタン200mLを加え、室温で一晩撹拌した後、1mol/Lの塩化アンモニウム水溶液100mLを加え、反応を停止した。ついで、反応溶液に水及びジクロロメタンを加えて洗浄し、回収した有機層を5%塩酸水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濾過により無水硫酸マグネシウムを除去した後、溶媒を濃縮した。得られた濾液をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒として、ヘキサン:酢酸エチル=5:5)により精製し、化合物(B1−2)を得た。収量は12.3g、収率68.7%であった。1HNMR(400MHz、溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)δ(ppm)1.26−3.57(m,15H)、3.58−3.76(m,1H)、3.76−4.62(m,10H)、5.23(s,1H)、5.82−7.30(m,3H)(3)化合物(B1−3)の合成 窒素雰囲気下にて500mLの三口フラスコにトランス−4−n―ペンチルシクロヘキサンカルボン酸(7)6.55g(0.033mol)、塩化チオニル7.8g(0.066mol)、DMF2滴及びトルエン200mLを加え100℃で3時間還流した。その後、反応溶液を濃縮しトランス−4−n−ペンチルシクロヘキサンカルボニルクロライド(B1−3)を得た。(4)化合物(B1)の合成 攪拌装置、還流管を装備した500mLの三口フラスコに上記で合成した化合物(B1−2)を6.56g(0.022mol)、トリエチルアミンを3.34g(0.033mol)及びジクロロメタンを150mL加え、それらの混合物を室温で攪拌した。ついで上記で合成したトランス−4−n−ペンチルシクロヘキサンカルボニルクロライド(B1−3)5.7g(0.026mol)を50mLジクロロメタンに溶解させ、5分かけてゆっくり混合物に滴下した。室温で一晩攪拌した後、水50mLで反応を停止させた。ジクロロメタンおよび水で分液し、有機層を回収した。さらに有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で十分に分液し、未反応のカルボン酸を水層に移動させた。 回収した有機層を5%塩酸水溶液で洗浄した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し、溶媒を濃縮した。得られた濾液をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒として、ヘキサン:酢酸エチル=3:2)で精製し、メタノールで再結晶し化合物(B1)を得た。収量7.9g、収率60%であり、化合物(B1)についてのNMRの分析結果は、次の通りであった。1HNMR(400MHz、溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)δ(ppm)0.86−2.29(m,35H)、3.92−4.21(m,8H)、4.44−4.84(m,2H)、5.12−5.19(m,2H)、5.82−6.43(m,3H)[例2]カイラル剤(B2)の合成 上記した合成方法2に従って、化合物(B2)を合成した。 例1と同様の方法で、化合物(B1−2)とトランス−4−n−プロピルシクロヘキサンカルボン酸から得られる酸塩化物であるトランス−4−n−プロピルシクロヘキサンカルボニルクロライドとの反応により、化合物(B2)を得た。化合物(B2)の収率は、60.0%であり、化合物(B2)についてのNMRの分析結果は、次の通りであった。1HNMR(400MHz、溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)δ(ppm)0.86−2.29(m,31H)、3.91−4.46(m,8H)、4.44−4.83(m,2H)、5.12−5.18(m,2H)、5.82−6.43(m,3H)[例3]カイラル剤(B3)の合成 上記した合成方法2に従って、化合物(B3)を合成した。(1)化合物Q4COOH(B3−1)の合成 例1と同様な反応で、4−ヒドロキシブチルアクリレートの代わりに2−ヒドロキシエチルアクリレート(8)を用いて、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から得られる酸塩化物との反応により化合物(B3−1)を合成した。収率は42%だった。1HNMR(400MHz、溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)δ(ppm)1.41−2.11(m,8H)、2.3−2.35(m,2H)、4.28−6.46(m,4H)、5.88−6.46(m,3H)(2)化合物(B3−2)の合成 例1の化合物と同様な反応により化合物(B1−1)の代わりに化合物(B3−1)を用いて、イソソルビド(2)との反応により化合物(B3−2)を合成した。収率70%であった。1HNMR(400MHz、溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)δ(ppm)1.26−3.57(m,11H)、3.58−3.76(m,1H)、3.76−4.65(m,10H)、5.23(s,1H)、5.8−6.43(m,3H)(3)化合物(B3)の合成 例1の化合物と同様な反応により化合物(B3−2)と、トランス−4−n―ペンチルシクロヘキサンカルボン酸から得られる酸塩化物(トランス−4−n−ペンチルシクロヘキサンカルボニルクロライド)との反応により化合物(B3)を合成した。収率は、65.0%であり、化合物(B3)についてのNMRの分析結果は、次の通りであった。1HNMR(400MHz、溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)δ(ppm)0.88−2.29(m,31H)、3.91−3.96(m,4H)、4.35-4.36(m,5H)、4.82−5.18(m,3H)、5.82−6.43(m,3H)[例4]カイラル剤の物性評価(1) 例1〜3で合成されたカイラル剤の融点、HTP(ヘリカルツイスティングパワー)、及び旋光性を、以下のように測定した。(1)カイラル剤の融点の測定方法 合成したカイラル剤の結晶を2枚のプレパラートにはさむことによってセルを形成し、セルを5℃/分の速度にて昇温した。セルの昇温中、顕微鏡でセルを観察し、カイラル剤の結晶の融解が観察され始めた温度をカイラル剤の融点とした。(2)重合性液晶組成物の調整 下記重合性液晶化合物(R1)、下記重合性液晶化合物(R2)を11:9(モル比)で混合したもの90重量部に、カイラル剤である化合物(B1)を10重量部添加し、重合性液晶組成物1を調製した。次に、重合性液晶組成物1に光重合開始剤を液晶組成物1の100重量部に対して0.5重量部添加し、重合性液晶組成物1Aを得た。同様に化合物(B2)を10重量部添加した重合性液晶組成物2A、化合物(B3)を10重量部添加した重合性液晶組成物3Aも調合した。なお、光重合開始剤は、チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガキュアー754」を用いた。 比較例として、本発明におけるE1,E2が1,4−シクロヘキシレン基ではなく、1,4−フェニレン基であるカイラル剤(9)を用意した。また、E1が1,4−フェニレン基であり、E2が1,4−シクロヘキシレン基のカイラル剤(10)を用意した。下記重合性液晶化合物(R1)、下記重合性液晶化合物(R2)を11:9(モル比)で混合したもの90重量部に、カイラル剤(9)を10重量部添加し、さらに上記と同じ光重合開始剤を0.5重量部添加して、液晶組成物4Aを調整した。(3)カイラル剤のHTPの測定 調合した重合性液晶組成物1A〜4Aを各々、あらかじめtanθの値を測定したくさび型セルにそれらの重合性液晶組成物を等方相の状態で注入した。セルを室温まで冷却し、顕微鏡を用いて、Grandjean−Canoくさび法により、カイラル剤のHTPを算出した。その結果を表1に示す。(4)カイラル剤の旋光性の測定 旋光性が左旋性と右旋性である2種類のカイラル剤1重量部を、それぞれ、シアノビフェニル系ネマチック液晶(Aldrich社製「5CB」)99重量部に混合して、旋光性試験用の液晶組成物9、10を調製した。同様に5CBに化合物(B1)〜(B3)及び比較例の化合物(9)を各々1重量部混合して液晶組成部5〜8を調整した。二つ孔のEHC社製のセル(セルギャップ:10μm)を準備し、セルの左の孔から液晶組成物5〜8を注入し、右の孔から前記した旋光性が左または右の旋光性試験用の液晶組成物9、10を注入し、セルの中央付近における液の接触部分を観察する手法(コンタクトメソッド)により旋光性を判断した。その結果を表1に示す。[例5]カイラル剤の物性評価(2) 本発明のカイラル剤(B1)、比較例として上記した化合物(9)および化合物(10)をそれぞれTHFに濃度が10−5mol/Lとなるように溶解させ、吸収極大波長(λmax)、吸収端波長および250nmでのモル吸光係数εを測定した結果を表2に示す。 本発明のカイラル剤(B1)と比較例のカイラル剤(9)、(10)のモル吸光係数と波長の関係を示すグラフを図1に示す。上記の表では250nmにおけるモル吸光係数を示したが、グラフでは波長によるモル吸光係数をより詳しく見ることができる。 本発明のシクロへキサン環を有するカイラル剤は、比較例のベンゼン環を含むカイラル剤より短波長側まで低いモル吸光係数を示す。比較例のカイラル剤は、290nm付近から急速にモル吸光係数が増加するのに対し、本発明のカイラル剤はモル吸光係数の増加が緩やかであり、250nmの波長領域でもほぼ20000以下のモル吸光係数を示す。[例6]光学素子の作成(1)重合性液晶組成物の調製 下記重合性液晶化合物(R3)、下記重合性液晶化合物(R4)を1:1(モル比)で混合したもの90重量部に、本発明のカイラル剤である化合物(B1)を10重量部添加し、重合性液晶組成物11を調製した。次に、重合性液晶組成物11に光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガキュアー754」)を重合性液晶組成物11の100重量部に対して0.5重量部添加し、重合性液晶組成物11Aを得た。 比較例として、同様に下記重合性液晶化合物(R3)、下記重合性液晶化合物(R4)を1:1(モル比)で混合したもの90重量部に、前記したカイラル剤である化合物(4)を10重量部添加し、重合性液晶組成物12を調整した。また、同様に重合性液晶組成物12に上記と同じ光重合開始剤を重合性液晶組成物12の100重量部に対して0.5重量部添加し、重合性液晶組成物12Aを得た。(2)光学素子の作製 縦5cm、横5cm、厚さ0.5mmのガラス板にポリイミド溶液をスピンコータで塗布して乾燥した後、ナイロンクロスで一定方向にラビング処理してガラス基板を作製した。 配向処理を施した面が向かい合うように、2枚のガラス基板を接着剤を用いて貼り合わせてセルを作製した。接着剤には、直径4μmのガラスビーズを添加し、ガラス基板の間隔が4μmになるように調整した。 次に、セル内に重合性液晶組成物11Aを105℃で注入した。50℃において、強度135mW/cm2の紫外線を積算光量が72900mJ/cm2となるよう照射して光重合を行って光学素子11を得た。 同様に、セル内に重合性液晶組成物12Aを105℃で注入した。50℃において、強度135mW/cm2の紫外線を積算光量が72900mJ/cm2となるよう照射して光重合を行って光学素子12を得た。(3)光学素子の評価 上記で作成した光学素子11に、Krレーザー(波長407nm、413nmのマルチモード)を照射し、青色レーザー光曝露加速試験を行った。照射条件は、温度80℃、積算曝露エネルギー15W・hour/mm2とした。加速試験前の405nmの透過率に対する試験後の透過率の変動幅は1%未満であった。同様に、光学素子12に対しても青色レーザー光曝露加速試験を行った。光学素子12では、加速試験前の405nmの透過率に対する試験後の透過率の変動幅は3.2%だった。 本発明のイソソルビド構造の両側に環構造としてシクロへキサン環を各1個のみ有するカイラル剤は、短波長側まで低いモル吸光係数を示し、250nmの波長領域でも20000以下のモル吸光係数を示すため、このカイラル剤を用いて作製される光学素子は青色レーザー光に対する耐光性に優れることを確認した。 本発明によれば、青色レーザー光による光劣化が少ない耐光性に優れたカイラル剤が得られるので、それを用いて青色レーザーを用いた光学素子、特に、高密度光記録媒体の読み書きに使用される光ヘッド用の光学素子及びその光学素子を用いた光ヘッドに好適である。図1は、本発明のカイラル剤と比較例のカイラル剤のモル吸光係数と波長の関係を示すグラフである。 下記一般式(1)で表されるカイラル剤であって、 P1及びP2は、それぞれ独立に1,4−シクロヘキシレン基を1個含む炭素数が10〜20の炭化水素基であり、基中にエーテル結合性の酸素原子もしくはエステル結合を有していてもよく、また基中の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよく、P1及びP2の一方は、さらに重合性官能基を含むことを特徴とするカイラル剤。 下記一般式(1A)または下記一般式(1B)で表されるカイラル剤であって、 Q1及びQ4は、それぞれ独立に、 CH2=CR1−COO−(L)m−E1−で表される基であり、 Q2及びQ3は、それぞれ独立に、 −E2−R2で表される基であり、 R1は、水素原子またはメチル基であり、 R2は、水素原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上8以下のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上8以下のアルコキシ基、フッ素原子からなる群より選択される基であり、 mは、0または1であり、 Lは、フッ素原子で置換されていてもよい(CH2)pO−、−(CH2)q−もしくは−(CH2)rOCO−、またはそれらの同じ基もしくは異なる基の組み合わせであり、 p,q及びrは、単独の場合には2以上8以下の整数であり、同じ基もしくは異なる基の組み合わせの場合にはメチレン基の総数が2以上8以下となる数であり、 E1及びE2は、1,4−シクロへキシレン基である請求項1に記載のカイラル剤。 R2は、炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数1以上8以下のアルコキシ基、フッ素原子からなる群より選択される基である請求項2に記載のカイラル剤。 250nmでの波長でモル吸光係数が20000以下である請求項1〜3のいずれかに記載のカイラル剤。 重合性液晶化合物と請求項1〜4のいずれかに記載のカイラル剤とを含むことを特徴とする重合性液晶組成物。 表面に配向処理を施した一対の基板間に請求項5に記載の重合性液晶組成物を挟持して、重合させて得られた高分子液晶を有することを特徴とする光学素子。 屈折率が等方性の第1の光学材料及び請求項5に記載の重合性液晶組成物を重合させて得られた高分子液晶からなる屈折率が異方性の第2の光学材料が格子状に配置されていることを特徴とする回折光学素子。 第1の円偏光に対する前記第1の光学材料の屈折率は、第1の円偏光に対する前記第2の光学材料の屈折率と実質的に等しく、第1の円偏光と逆向きに回転する第2の円偏光に対する前記第1の光学材料の屈折率は、第2の円偏光に対する前記第2の光学材料の屈折率と異なる請求項7に記載の回折光学素子。 光記録媒体に情報を記録する及び/又光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置であって、請求項7または8に記載の回折光学素子を含むことを特徴とする光記録再生装置。 【課題】青色レーザー光に対して高い耐光性を有するカイラル剤等およびそれを用いた光学素子を提供する。【解決手段】一般式(1)【化1】で表され、P1及びP2は、それぞれ独立に、1,4−シクロヘキシレン基を1個含む炭素数が10〜20の炭化水素基であり、基中にエーテル結合性の酸素原子もしくはエステル結合を有していてもよく、また基中の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよく、P1及びP2の一方は、さらに重合性官能基を含むことを特徴とするカイラル剤。【選択図】なし


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再公表特許(A1)_非アルコール性脂肪性肝炎モデル動物及び脂肪肝モデル動物

生命科学関連特許情報

タイトル:再公表特許(A1)_非アルコール性脂肪性肝炎モデル動物及び脂肪肝モデル動物
出願番号:2007061943
年次:2009
IPC分類:A01K 67/027,G01N 33/15,G01N 33/50,C12N 5/06


特許情報キャッシュ

向谷 知世 吉里 勝利 片岡 美穂 JP WO2008001614 20080103 JP2007061943 20070613 非アルコール性脂肪性肝炎モデル動物及び脂肪肝モデル動物 財団法人ひろしま産業振興機構 803000104 株式会社フェニックスバイオ 503449018 国立大学法人広島大学 504136568 岩谷 龍 100077012 向谷 知世 吉里 勝利 片岡 美穂 JP 2006179275 20060629 A01K 67/027 20060101AFI20091030BHJP G01N 33/15 20060101ALI20091030BHJP G01N 33/50 20060101ALI20091030BHJP C12N 5/06 20060101ALN20091030BHJP JPA01K67/027G01N33/15 ZG01N33/50 ZC12N5/00 E AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20091126 2008522410 30 2G045 4B065 2G045AA29 2G045AA40 2G045BA14 2G045BB20 2G045BB24 2G045CB01 2G045CB17 2G045DA38 2G045FA16 2G045FB03 4B065AA93X 4B065BA30 4B065BB40 4B065BC50 4B065CA46 本発明は、ヒト非アルコール性脂肪性肝炎の症状を示す非ヒト動物、この動物からなるヒト非アルコール性脂肪性肝炎モデル動物、この動物をヒト非アルコール性脂肪性肝炎モデル動物として使用する方法、この動物を用いたヒト非アルコール性脂肪性肝炎の治療剤のスクリーニング方法、及びこの動物の作製方法に関する。 また本発明は、ヒト脂肪肝の症状を示す非ヒト動物、この動物からなるヒト脂肪肝モデル動物、この動物をヒト脂肪肝モデル動物として使用する方法、この動物を用いたヒト脂肪肝の治療剤のスクリーニング方法、及びこの動物の作製方法に関する。 脂肪肝は、肝細胞内に中性脂肪を中心とした脂質が蓄積した病態であり、肝小葉の1/3以上に肝細胞の脂肪化がみられる。脂肪肝の原因のうち重要と考えられるものは、栄養の摂り過ぎ、肥満、アルコールの過剰摂取、糖尿病、高カロリー輸液、一部の薬物、栄養障害、妊娠などである。原因を取り除けば可逆的で予後は良好であるが、中には炎症、繊維化を伴い肝硬変に進展する例もある。 また、非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis: NASH)はアルコール非摂取者に見られる肝障害に対する疾患概念であって、肥満、糖尿病、高トリグリセリド血症、長期経静脈栄養などによる過剰栄養摂取、内分泌障害、低βリポ蛋白血症、飢餓・再補充症候群などが原因と考えられる疾患である。近年、NASH患者が増加しているため、注目を集めている。NASHは一般診療においても比較的頻繁に遭遇すると考えられる疾患で、アルコール性肝障害、ウイルス性肝炎、薬物性肝障害を否定できる肝炎の多くがこの病態であろうと推定される。アルコール性脂肪性肝炎とNASHとの間に組織学的類似性があるということにより両者に肝障害の発生機序における類似機構が存在することが示唆されるが、詳細は研究が進んでいる段階である。 NASHの発症メカニズム及び予防・治療の研究には、NASH症状を示すモデル動物が必要である。従来、脂肪肝のモデル動物として、レプチン遺伝子欠損により肥満・脂肪肝・および高インスリン血症を呈するob/obマウス、NASHのモデル動物としてコリン・メチオニン欠損食ラットなどが使用されているが、これらのモデル動物の肝臓は非ヒト動物の肝臓であるため、ヒトNASHを完全に再現したモデル動物ではない。 ここで、特許文献1は、肝臓で合成されるアルブミンのエンハンサー、及びプロモーターに連結したウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター (uPA) 遺伝子が全細胞に導入された遺伝的肝障害マウスであるuPAトランスジェニックマウス (uPA-Tgマウス) と、免疫不全マウスであるSCIDマウスとを交配させて免疫不全肝障害マウスであるuPA/SCIDマウスを作製し、このマウスにヒト肝細胞を移植することにより、マウス肝臓の一部がヒト肝細胞で置換されたヒト肝細胞キメラマウスが得られることを開示している。 また、特許文献2は、上記のuPA/SCIDマウスにヒト肝細胞を移植するとともに、補体抑制剤を投与することにより、マウス肝臓におけるヒト肝細胞の置換率が向上することを開示している。特開2002-45087号公報国際公開WO 03/080821号公報 本発明は、ヒト肝細胞で置換された肝臓を有しヒトNASH症状を示す非ヒト動物、このような動物の作製方法、このような動物をヒトNASHモデル動物として使用する方法、ヒト肝細胞で置換された肝臓を有するヒトNASHモデル動物、及びこのような非ヒト動物を用いてヒトNASH治療剤をスクリーニングする方法を提供することを課題とする。 また本発明は、ヒト肝細胞で置換された肝臓を有しヒト脂肪肝の症状を示す非ヒト動物、このような動物の作製方法、このような動物をヒト脂肪肝モデル動物として使用する方法、ヒト肝細胞で置換された肝臓を有するヒト脂肪肝モデル動物、及びこのような非ヒト動物を用いてヒト脂肪肝治療剤をスクリーニングする方法を提供することを課題とする。 本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ね、以下の知見を得た。(i) 肝障害免疫不全マウスであるuPA/SCIDマウスにヒト肝細胞を移植して初代キメラマウスを作製し、この初代キメラマウスの肝臓からヒト肝細胞をコラゲナーゼ灌流法により分離し、新たなuPA/SCIDマウスに移植して得たキメラマウスでは、ヒト肝細胞に大滴性の脂肪沈着およびヒト肝細胞の膨潤が観察され、ヒト肝細胞の周囲に好中球を中心とした炎症性細胞が集積し、繊維化像も観察された。この病態はNASHの病態の特徴であることから、このマウスはNASHモデルとして使用できると考えられる。(ii) 上記初代キメラマウスでは、肝臓に大型の脂肪滴が観察され、肝臓の脂肪化がほとんどの肝細胞に認められるまで進行した。この症状はヒト脂肪肝と酷似していることから、このマウスは脂肪肝モデルとして使用できると考えられる。 本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下の非ヒト動物などを提供する。 項1. 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する第1工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を上記の免疫不全肝障害非ヒト動物と同種の免疫不全肝障害非ヒト動物に移植する第2工程とを含み、第2工程を1回又は複数回行う方法により得られ、ヒト非アルコール性脂肪性肝炎の症状を示す非ヒト動物。 項2. 非ヒト動物が哺乳動物である項1に記載の非ヒト動物。 項3. 哺乳動物がげっ歯類である項2に記載の非ヒト動物。 項4. 第2工程を1回行う方法により得られる項1に記載の非ヒト動物。 項5. 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する第1工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を上記の免疫不全肝障害非ヒト動物と同種の免疫不全肝障害非ヒト動物に移植する第2工程とを含み、第2工程を1回又は複数回行う方法により得られる、ヒト非アルコール性脂肪性肝炎モデル動物。 項6. 非ヒト動物が哺乳動物である項5に記載のモデル動物。 項7. 哺乳動物がげっ歯類である項6に記載のモデル動物。 項8. 第2工程を1回行う方法により得られる項5に記載のモデル動物。 項9. 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する第1工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を上記の免疫不全肝障害非ヒト動物と同種の免疫不全肝障害非ヒト動物に移植する第2工程とを含み、第2工程を1回又は複数回行う方法により得られる非ヒト動物を、ヒト非アルコール性脂肪性肝炎モデル動物として使用する方法。 項10. 非ヒト動物が哺乳動物である項9に記載の方法。 項11. 哺乳動物がげっ歯類である項10に記載の方法。 項12. 第2工程を1回行う方法により得られる非ヒト動物を使用する項9に記載の方法。 項13. 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する第1工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を上記の免疫不全肝障害非ヒト動物と同種の免疫不全肝障害非ヒト動物に移植する第2工程とを含み、第2工程を1回又は複数回行う方法により得られる非ヒト動物に被験物質を投与する工程と、投与前後の非アルコール性脂肪性肝炎の症状の程度を比較する工程とを含む、ヒト非アルコール性肝炎治療剤のスクリーニング方法。 項14. 非ヒト動物が哺乳動物である項13に記載の方法。 項15. 哺乳動物がげっ歯類である項14に記載の方法。 項16. 第2工程を1回行う方法により得られる非ヒト動物を使用する項13に記載の方法。 項17. ヒト非アルコール性脂肪性肝炎の症状を示す非ヒト動物の作製方法であり、免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する第1工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を上記の免疫不全肝障害非ヒト動物と同種の免疫不全肝障害非ヒト動物に移植する第2工程とを含み、第2工程を1回又は複数回行う方法。 項18. 非ヒト動物が哺乳動物である項17に記載の方法。 項19. 哺乳動物がげっ歯類である項18に記載の方法。 項20. 第2工程を1回行う項17に記載の方法。 項21. 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する方法により得られ、ヒト脂肪肝の症状を示す非ヒト動物。 項22. 非ヒト動物が哺乳動物である項21に記載の非ヒト動物。 項23. 哺乳動物がげっ歯類である項22に記載の非ヒト動物。 項24. 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植して得られるキメラ非ヒト動物からなる、ヒト脂肪肝モデル動物。 項25. 非ヒト動物が哺乳動物である項24に記載のモデル動物。 項26. 哺乳動物がげっ歯類である項25に記載のモデル動物。 項27. 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植して得たキメラ非ヒト動物をヒト脂肪肝モデル動物として使用する方法。 項28. 非ヒト動物が哺乳動物である項27に記載の方法。 項29. 哺乳動物がげっ歯類である項28に記載の方法。 項30. 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植して得られるキメラ非ヒト動物に被験物質を投与する工程と、投与前後の脂肪肝の症状の程度を比較する工程とを含む、ヒト脂肪肝治療剤のスクリーニング方法。 項31. ヒト脂肪肝の症状を示す非ヒト動物の作製方法であり、 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してヒト脂肪肝の症状を示すキメラ非ヒト動物を作製する方法。 項32. 非ヒト動物が哺乳動物である項31に記載の方法。 項33. 哺乳動物がげっ歯類である項32に記載の方法。 本発明によれば、免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ動物を作製し、キメラ動物からヒト肝細胞を分離して、同種の新たな免疫不全肝障害非ヒト動物に移植して得た継代移植キメラ動物では、肝臓の組織像がNASHの特徴を示すことが見出された。NASH症状の程度は、初代キメラ動物の肝臓組織に比べて、格段に顕著である。 継代移植キメラ動物は、肝臓の全部又は一部がヒト肝細胞で置換されているため、ヒトNASHを正確に再現したものとなる。 これらのことから、この継代移植キメラ動物は、ヒトNASHの病態を正確に反映した病態モデル動物として、NASHの発症メカニズムの研究やその予防・治療剤のスクリーニング等に好適に使用できる。 また、本発明によれば、上記初代キメラ動物では、肝臓の組織像が脂肪肝の特徴を示すことが見出された。この初代キメラ動物は、ヒト脂肪肝の病態を正確に反映した病態モデル動物として、脂肪肝の発症メカニズムの研究やその予防・治療剤のスクリーニング等に好適に使用できる。初代キメラマウス、及び継代移植キメラマウスについて、血中ヒトアルブミン濃度を経時的に測定した結果を示す図である。図Aは、血中ヒトアルブミン濃度が4.0 mg/mlの継代移植キメラマウスの肝臓の外観を示す写真であり、図Bは肝臓の外側右葉の領域から採取した切片よりHE染色により置換率を測定した結果を示す図である。初代キメラマウス肝臓(移植後86日)と継代移植キメラマウス肝臓(移植後84日)のHE染色像、及びシリウスレッド染色像を示す図である。移植後61日の継代移植キメラマウス肝臓の連続切片を用いたHE染色、Oil Red O染色、サイトケラチン8/18による免疫染色、ヘキスト染色の結果を示す図である。移植後89日の継代移植キメラマウス肝臓の連続切片を用いたHE染色、Oil Red O染色、サイトケラチン8/18による免疫染色、ヘキスト染色の結果を示す図である。移植後124日の継代移植キメラマウス肝臓の連続切片を用いたHE染色、Oil Red O染色、サイトケラチン8/18による免疫染色、ヘキスト染色の結果を示す図である。移植後82日の初代キメラマウス肝臓と移植後61日と84日の継代移植キメラマウス肝臓のCYP2E1及び4-HNEの各免疫染色の結果を示す図である。移植後84日の継代移植キメラマウス肝臓の鉄染色及びTUNEL染色の結果を示す図である。図Aは初代キメラマウスの肝臓のOil Red O染色像を示す図であり、図Bは初代キメラマウスの移植後日数と脂肪化グレードとの関係を示す図である。肝臓組織全7葉から求めた肝臓全体の置換率と外側右葉の置換率との相関を示す図である。 以下、本発明を詳細に説明する。まず、ヒトNASHの症状を示す非ヒト動物の作製方法について説明し、次いで、この非ヒト動物とその利用について説明する。さらに、ヒト脂肪肝の症状を示す非ヒト動物の作製方法について説明し、次いで、この非ヒト動物とその利用について説明する。(I)NASHの症状を示す非ヒト動物の作製方法 本発明のヒトNASHの症状を示す非ヒト動物の作製方法は、免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する第1工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を上記の免疫不全肝障害非ヒト動物と同種の免疫不全肝障害非ヒト動物に移植してNASHの症状を示す継代移植キメラ非ヒト動物を作製する第2工程とを含む方法である。また、第2工程を2回以上行う方法も本発明方法に含まれる。 ヒトNASHは、ヒトのアルコール性肝疾患以外の脂肪蓄積性の肝疾患の総称であり、肝臓において、少なくとも脂肪滴の沈着、炎症性細胞浸潤、および繊維化の症状を示す疾患をいう。通常、ウィルス性肝疾患は含まれないが、薬物性肝障害による肝疾患はNASHに含まれる。 本発明において、非ヒト動物(以下、「動物」と略称することもある)は、哺乳動物であることが好ましく、げっ歯類であることがより好ましい。げっ歯類動物としては、マウス、ラットのようなネズミ、モルモット、リス、ハムスターなどが挙げられるが、実験動物として汎用されているマウス、ラットのようなネズミが使用し易い。免疫不全肝障害非ヒト動物 免疫不全肝障害非ヒト動物は、異種動物由来の細胞に対して拒絶反応を示さない免疫不全であるとともに、その非ヒト動物本来の肝臓の細胞が障害を受けている動物である。その動物本来の細胞が障害を受けていることにより、ヒト肝細胞を移植すれば、その肝機能は移植されたヒト肝細胞によって保たれ、ヒト肝細胞の個体内機能を正確に反映した動物となる。また、移植するヒト肝細胞が増殖し易くなる。 免疫不全肝障害動物は、同一個体に、肝障害誘発処理を施すとともに、免疫不全誘発処理を施すことにより作製することができる。肝障害誘発処理としては、四塩化炭素、黄リン、D-ガラクトサミン、2-アセチルアミノフルオレン、ピロロジンアルカロイドのような肝障害誘発物質の投与や、外科的な肝臓の部分切除などが挙げられる。免疫不全誘発処理としては、免疫抑制剤の投与や胸腺摘出などが挙げられる。 また、免疫不全肝障害動物は、遺伝的免疫不全症の動物に、肝障害誘発処理を施すことによっても作製できる。遺伝的免疫不全症動物としては、T細胞系不全を示す重症複合免疫不全症(SCID:severe combined immunodeficiency)の動物、遺伝的な胸腺の欠損によりT細胞機能を失った動物、RAG2遺伝子を公知のジーンターゲッティング法(Science,244:1288-1292,1989)によりノックアウトした動物などが挙げられる。具体的には、SCIDマウス、NUDEマウス、RAG2ノックアウトマウスなどが挙げられる。 また、免疫不全肝障害動物は、遺伝的肝障害動物に免疫不全誘発処理を施すことによっても作製できる。遺伝的肝障害動物としては、肝細胞特異的に発現するタンパク質のエンハンサー、及び/又はプロモーターの支配下に連結された肝障害誘発タンパク質遺伝子を用い、公知のトランスジェニック法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77;7380-7384,1980)により作製したトランスジェニック動物が挙げられる。このような動物では、肝障害誘発タンパク質が肝臓特異的に発現するため、肝障害を有するものとなる。肝臓特異的に発現するタンパク質としては、血清アルブミン、コリンエステラーゼ、ハーゲマン因子などが挙げられる。肝障害誘発タンパク質としては、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター(uPA)、ティッシュープラスミノーゲンアクチベーター(tPA)などが挙げられる。また、例えばフマリルアセト酢酸ヒドラーゼ遺伝子のような肝機能を担う遺伝子をノックアウトすることによっても遺伝的肝障害を有する動物を得ることができる。 さらに、免疫不全肝障害動物は、遺伝的免疫不全動物と、それと同種の遺伝的肝障害動物とを交配させることによっても作製することができる。 遺伝的免疫不全肝障害動物としては、肝障害遺伝子がホモ接合体である動物を用いることが好ましい。このようなホモ接合体動物は正常な肝細胞がほとんど増殖しないため、その動物の肝細胞がヒト肝細胞の増殖を妨げることがない。ただし、このようなホモ接合体動物は、ヘミ接合体同士を掛け合わせた場合、確率的に1/4の割合でしか得ることができない。 一方、肝障害遺伝子がヘミ接合体である遺伝的免疫不全肝障害動物(「ヘミ接合体免疫不全肝障害動物」)は、ヘミ接合体同士を掛け合わせた場合、またはヘミ接合体と遺伝的免疫不全動物とを掛け合わせた場合1/2の確立で得ることができるため、低コストで作製できる。しかし、ヘミ接合体免疫不全肝障害動物は、2倍体染色体の一方の遺伝子が正常であるため、肝障害遺伝子の欠失により正常肝細胞がコロニーを形成しながら増殖し、生後肝臓中の正常な肝細胞の比率が高くなってくる。このため、好ましくは、ヘミ接合体免疫不全肝障害動物にヒト肝細胞を移植する前に、肝細胞特異的に増殖を阻害する物質を投与し、正常化した肝細胞が増殖してコロニーを形成することを予防すればよい。肝細胞増殖阻害物質としては、たとえばピロロジンアルカロイドの一種であるレトロシン、ラシオカルピン、セネシフィリン、モノクロタリントリコデスミン等を例示することができる。ヒト肝細胞 移植に用いるヒト肝細胞は、正常なヒト肝組織から、コラゲナーゼ灌流法のような常法によって単離したものを用いることができる。また、分離した肝細胞を一旦冷凍保存した後解凍して用いることもできる。 肝細胞を分離するヒトの年齢は特に制限されないが、例えば14歳以下の小児のヒトの肝細胞を使用することにより、ヒト肝細胞による高置換率が達成される。 また、in vivoで活発な増殖能を有する増殖性肝細胞を使用することが好ましい。本発明において、「増殖性ヒト肝細胞」とは、培養条件下(in vitro)において、単一細胞種の集団としてのコロニーを形成し、そのコロニーを増大させるように増殖するヒト肝細胞を意味する。また、その増殖は、コロニー構成細胞が単一種であるという点において「クローン性増殖」という場合もある。さらに、このような細胞は、継代培養によって細胞数をさらに増加することができる細胞である。 このような増殖性ヒト肝細胞は、一例として、本発明者らが発明したヒト小型肝細胞(特開平08−112092号公報;日本特許第3266766号;米国特許第6,004,810号、特開平10−179148号公報:日本特許第3211941号、特開平7−274951公報;日本特許第3157984号、特開平9−313172号公報;日本特許第3014322号)を用いることができる。このヒト小型肝細胞は、その優れた増殖能によって、レシピエントの体内で急速に増殖し、正常な肝機能を発揮しうるヒト肝細胞集団を短時間で形成することができる。 このような小型肝細胞の採取は、前記公報に記載されているような遠心分離を用いた方法の他、エルトリエーターやFACS等の細胞分画装置によっても採取することができる。さらには、コロニーを形成しながら増殖する肝細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体によって採取することもできる。in vitroで増殖させたヒト肝細胞、凍結保存肝細胞、テロメラーゼ遺伝子等の導入により不死化させた肝細胞、これらの肝細胞と非実質細胞を混合させたものも使用できる。初代キメラ動物の作製 このようなヒト肝細胞は、免疫不全肝障害動物の脾臓を経由して肝臓へ移植することができる。また、直接門脈から移植することもできる。移植するヒト肝細胞の数は、1〜200万個程度、好ましくは50万〜100万個程度とすることができる。 免疫不全肝障害動物の性別は特に限定されない。また、移植時の免疫不全肝障害動物の日齢は、特に限定されないが、マウスが低週齢のときにヒト肝細胞を移植すると、マウスの成長とともにヒト肝細胞がより活発に増殖することができる点で、生後0〜40日程度、中でも生後8〜40日程度の動物を使用するのが好ましい。 移植後の動物を、常法により、飼育すればよい。例えば移植後40〜200日間程度飼育することにより、肝細胞の一部又は全部がヒト肝細胞で置換された初代キメラ動物が得られる。キメラ動物の血中ヒトアルブミン濃度が6 mg/ml以上になるまで飼育することが好ましい。この濃度であれば、キメラ動物の肝臓が十分にヒト肝細胞により置換されており、後工程で、このキメラ動物から分離した肝細胞中にヒト肝細胞が高率で含まれ、ヒト肝細胞の継代移植を効率的に行うことができる。マウスの場合は、ヒト肝細胞を7.5×105個程度移植した場合、40〜120日間程度飼育することにより、上記の血中ヒトアルブミン濃度(これは、ヒト肝細胞置換率を示す。)が得られる。継代移植キメラ動物の作製 キメラ動物体内で増殖したヒト肝細胞は、例えば、キメラ動物の肝臓組織をコラゲナーゼ処理することにより回収することができる。コラゲナーゼの細胞毒性は、非ヒト動物肝細胞に対する方が、ヒト肝細胞に対するより高いため、コラゲナーゼ処理時間を調節することにより、キメラ動物の肝細胞に障害を与え、実質的にヒト肝細胞だけを分離することができる。コラゲナーゼ処理時間は、ヒト肝細胞と非ヒト肝細胞との存在割合によって異なるが、例えば、血中アルブミン濃度が1〜14mg/ml程度の場合は、濃度0.01〜0.1重量%程度のコラゲナーゼ溶液で10〜30分間程度処理を行えばよい。回収された肝細胞の中には、キメラ動物体内で増殖したヒト肝細胞の他、肝非実質細胞が少量含まれる。さらに、動物自身の肝細胞も少量含まれる。 回収した肝細胞をそのまま移植に使用してもよいが、ヒト肝細胞あるいはマウス肝細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体を用いてヒト肝細胞の純度を上げることもできる。分離した肝細胞をヒト肝細胞特異抗体と反応させる場合は、反応した細胞をフローサイトメーター(FACS)や磁気細胞分離装置(MACS)で回収すればよい。また、分離した肝細胞をマウス肝細胞特異的抗体と反応させる場合は、反応しなかった細胞をFACSやMACSを用いて回収すればよい。 ヒト肝細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体としては、本発明者らが作製したハイブリドーマK8216株(2002年3月6日に、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1-1-1 つくばセンター 中央第6)にFERM P-18751として寄託済み。また、2003年3月20日に、同センターにFERM BP-8333として国際寄託済み。)細胞を培養することによって得たもの、又はこのハイブリドーマ細胞をマウス腹腔内に注射し、腹水から採取したものが挙げられる。特に、ヒト増殖性肝細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体としては、本発明者らが作製したハイブリドーマK8223株(2002年3月6日に、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにFERM P-18752として寄託済み。また、2003年3月20日に、FERM BP-8334として国際寄託済み。)細胞を培養することによって得たもの、又はこのハイブリドーマ細胞をマウス腹腔内に注射し、腹水から採取したものが挙げられる。 第2工程では、初代キメラ動物の体内で増殖したヒト肝細胞を、第1工程で使用した非ヒト動物と同種の免疫不全肝障害動物に移植して、継代移植したキメラ動物を作製する。同種の動物とは、第1工程で使用した動物がマウスであればマウスを指し、第1工程で使用した動物がラットであればラットを指す。 第2工程(継代移植)は1回行ってもよく、2回以上行っても良い。例えば、3回行う場合は、初代キメラ動物体内で増殖したヒト肝細胞を、新たな免疫不全肝障害動物に移植して継代移植キメラ動物を作製し、この継代移植キメラ動物の体内で増殖したヒト肝細胞を、新たな免疫不全肝障害動物に移植して継代移植キメラ動物を作製すればよい。 初代キメラ動物から分離したヒト肝細胞の非ヒト動物の肝臓への移植経路、細胞数は、第1工程と同様である。また、移植を受ける非ヒト動物の日齢、性別についても、第1工程と同様である。 移植後の動物を、常法により、例えば移植後40〜120日間程度飼育すればよい。これにより、肝細胞の一部又は全部がヒト肝細胞で置換された継代移植キメラ動物が得られる。血中アルブミン濃度が0.1 mg/ml以上、好ましくは1.0 mg/ml以上になるまで飼育することにより、病態モデル動物として使用できるだけの十分なヒト肝細胞置換率が得られ、また十分にヒトNASH症状が現われる。例えば、マウスでは、7.5x105個程度の肝細胞を移植した場合、移植後、70日程度、好ましくは80日程度で十分にNASH症状が現われる。移植後の飼育期間の上限は特にないが、通常400日程度とすればよい。 このようにして得られた継代移植キメラ動物は、十分にヒトNASH症状を示すが、この継代移植キメラ動物の体内で増殖したヒト肝細胞を、さらに同種の免疫不全肝障害動物に移植して継代移植キメラ動物を得ることもできる。このように複数回継代移植したキメラ動物も、ヒトNASH症状を示す。このように複数回継代移植したキメラ動物も、ヒトNASH症状を示す。(II)ヒトNASHの症状を示す非ヒト動物 このようにして得られた1回又は2回以上の継代移植キメラ動物は、ヒトNASHの症状を示す。具体的には、肝臓組織において、少なくとも脂肪滴の沈着、炎症性細胞浸潤、および繊維化が観察される。継代移植キメラ動物の肝臓組織では、初代キメラ動物の肝臓組織に比べて、ヒトNASH様症状が格段に顕著に現われる。従って、この非ヒト動物は、ヒトNASHモデル動物として使用するのに適している。即ち、本発明は、上記説明したヒトNASH症状を示す非ヒト動物をヒトNASHモデル動物として使用する方法も提供する。(III)ヒトNASHの治療剤のスクリーニング方法 本発明のヒトNASHの治療剤のスクリーニング方法は、上記説明した本発明のヒトNASH症状を示す非ヒト動物に被験物質を投与する工程と、投与前後のNASH症状の程度を比較する工程とを含む方法である。 投与前後のNASH症状の程度の比較は、肝臓組織における脂肪滴の沈着、炎症性細胞浸潤、および繊維化の各項目について行えばよい。これらの症状が緩和されていれば、その被験物質はヒトNASHの治療又は改善に有効であると判定することができる。これらは、通常、組織染色により判定することができる。その他、アポトーシス、酸化ストレスマーカー、肝臓組織における鉄の沈着についても比較するのが好ましい。これらの項目についても比較することにより、一層正確なスクリーニングが行える。被験物質の投与によりこれらの項目の改善が観察されれば、その被験物質にNASHの治療又は改善効果があることが一層確実になる。(IV)脂肪肝の症状を示す非ヒト動物の作製方法 本発明のヒト脂肪肝の症状を示す非ヒト動物の作製方法は、免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する方法である。 ヒト脂肪肝は、肝細胞内に中性脂肪が過剰に沈着した状態をいう。免疫不全肝障害非ヒト動物 免疫不全肝障害非ヒト動物については、前述した通りである。ヒト肝細胞 移植に用いるヒト肝細胞については、前述した通りである。初代キメラ動物の作製 免疫不全肝障害動物へのヒト肝細胞の移植は前述した通りである。 移植後の動物を、常法により、飼育すればよい。例えば40〜200日間程度飼育することにより、移植したヒト肝細胞が増殖し、脂肪肝の症状を示す初代キメラ動物が得られる。マウスの場合は、ヒト肝細胞を7.5×105個程度移植した場合、70〜120日間程度飼育することにより、脂肪肝の症状を示す初代キメラマウスが得られる。 また、キメラ動物の血中ヒトアルブミン濃度が6mg/ml以上になるまで飼育することが好ましい。この程度飼育することにより、肝細胞におけるヒト肝細胞置換率が十分に高くなり、ヒト脂肪肝のモデル動物として実用できるようになる。マウスの場合は、ヒト肝細胞を7.5×105個程度移植した場合、60〜120日間程度飼育することにより、上記の血中ヒトアルブミン濃度(ヒト肝細胞置換率)が得られる。飼育期間の上限は特に限定されないが、通常400日間程度とすればよい。(V)ヒト脂肪肝の症状を示す非ヒト動物 このようにして得られた初代キメラ動物は、ヒト脂肪肝の症状を示す。具体的には、少なくとも肝臓組織に中性脂肪が沈着している。肝小葉の約1/3以上にわたって肝細胞の脂肪化が認められる場合もある。従って、この非ヒト動物は、ヒト脂肪肝モデル動物として使用するのに適している。即ち、本発明は、上記説明したヒト脂肪肝の症状を示す非ヒト動物をヒト脂肪肝モデル動物として使用する方法も提供する。(VI)ヒト脂肪肝の治療剤のスクリーニング方法 本発明のヒト脂肪肝の治療剤のスクリーニング方法は、上記説明した本発明のヒト脂肪肝症状を示す非ヒト動物に被験物質を投与する工程と、投与前後の脂肪肝症状の程度を比較する工程とを含む方法である。 投与前後の脂肪肝症状の程度の比較は、例えば、肝臓の組織切片について脂肪化の程度が小さくなるかを確認することにより行えばよい。肝臓の組織切片について脂肪化の程度が小さくなっていれば、その被験物質はヒト脂肪肝の治療又は改善に有効であると判定することができる。実施例 以下、本発明を実施例を挙げて、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。(1)NASHモデルマウスの作製(1-1)免疫不全肝障害マウス レシピエント動物として使用したuPA-Tg(+/+)/SCID(+/+)マウスは、広島県産業科学技術研究所あるいは株式会社フェニックスバイオにて繁殖させたものを用いた。 このマウスは、次のようにして作製したものである。uPA-Tgマウス(hemizygote, +/-)とSCIDc.b.-17マウス(homozygote, +/+)とを掛け合せ、両方の形質を持つマウスuPA-Tg(+/-)/SCID (+/-)を35.2%の確率で得た。uPA-Tg(+/-)とuPA-Tg(-/-)の識別は、uPA遺伝子に特異的な配列をプライマーに用い、ゲノムPCR法により行った。また、SCID (+/-)とSCID(-/-)の識別は、PCR-RFLP法により行った。 次に、得られたuPA-Tg(+/-)/SCID (+/-)をSCID (+/+)と戻し交配させ、uPA-Tg(+/-)/SCID (+/+)を得た。その結果、uPA-Tg(+/-)は37.9%出現し、SCID (+/+)は52.8%出現した。uPA-Tg(+/-)/SCID (+/+)同士を交配させ、uPA-Tg(+/-)/SCID (+/+)、及び目的のuPA-Tg(+/+)/SCID (+/+)を得た。 なお、uPA遺伝子の(-/-), (+/-), (+/+)の識別は以下の方法で行った。生後8〜10日目のマウスの尾を約5 mm切断し、30 μlのDNA lysis buffer {50 mM Tris (pH 8), 50 mM EDTA (pH 8), 1% SDS, 2 mg/ml Proteinase K}を添加後55℃で2〜3時間インキュベートした。インキュベート後、15秒間激しく懸濁し、蒸留水170 μlを添加し、95℃で10分間インキュベートすることによってProteniase Kを不活性化させた。これをPCRのテンプレートとして用いた。テンプレート 1μl、10 x Buffer (Mg+) 2μl、dNTP Mix (2.5 mM) 1.6μl、蒸留水 11.4 μl、uPA-del-Fプライマー (10 pmol/μl) 0.4μl、uPA-del-Rプライマー (10 pmol/μl) 0.4 μl、Tg-Fプライマー (10 pmol/μl) 0.4μl、uPA-high-R1 (10 pmol/μl) 0.4 μl、MgCl2 (25mM) 2 μl、Tween20 (50%) 0.2 μl、rTaq 0.2 μlを混合し、94℃・5分、次いで(94℃・30秒、62℃・30秒、72℃・30秒)x 35〜40サイクルの条件でPCRを行った。2%アガロースゲルを用いて電気泳動を行い、300 bp付近にバンドが検出された場合uPA (-/-)、150 bpに検出された場合はuPA (+/+)、300 bpと150 bp両方に検出された場合uPA (+/-)として判定した。用いたプライマーの配列は以下の通りである。uPA-del-F5’-TTCTCTTCTCTTGCCCTCTCACA-3’(配列番号1)uPA-del-R5’-TTGAGACCCTCAAGACAGCCA-3’ (配列番号2)Tg-F5’-ATCCCTGTGACCCCTCCC-3’ (配列番号3)uPA-high-R15’-CTCCATACCACCCCCCTC-3’ (配列番号4)(1-2)ヒト肝細胞移植 ヒト肝細胞としては、BD Gentest社より購入した肝細胞(Lot No.BD51、女児、4才)を使用した。この凍結肝細胞はChise Tateno, Yasumi Yoshizane, Naomi Saito, Miho Kataoka, Rie Utoh, Chihiro Yamasaki, Asato Tachibana, Yoshinori Soeno, Kinji Asahina, Hiroshi Hino, Toshimasa Asahara, Tsuyoshi Yokoi, Toshinori Furukawa, Katsutoshi Yoshizato: Near-completely humanized liver in mice shows human-type metabolic responses to drugs. Am J Pathol 165:901-912, 2004に記載の方法に従って融解して用いた。 生後3〜5週齢のuPA-Tg(+/+) /SCID(+/+)マウスをエーテルで麻酔し、わき腹を約5 mm切開し、脾頭より7.5x105個のヒト肝細胞を注入した後、腹腔に止血剤ε-aminocaproic acid (SIGMA)を0.02 g/mlの濃度で40 μlづつ投与し、脾臓を腹腔に戻し縫合した。 ε-aminocaproic acidを投与したのは以下の理由による。トランスジェニックマウスの肝細胞で作られたuPAは細胞外へ分泌されるため、血中のuPA濃度が高い。uPAは、蛋白質分解やプラスミノーゲンからプラスミンへの活性化を触媒したり、フィブリンクロットを分解する働きがある。手術時の出血による死亡を避けるため、プラスミノーゲンアクチベーターおよびプラスミンの作用を阻止し止血作用の効果を有するε-aminocaproic acidを投与した。 掛け合わせに用いたSCID/c.b-17マウスは、T細胞、B細胞は持たないが、NK細胞を持つことが知られている。そこで、移植したヒト肝細胞がマウスのNK細胞に攻撃されないように、NK活性を阻害するasialo GM1抗体を移植前日と移植翌週に腹腔内に投与した。(1-3)初代キメラマウスからのヒト肝細胞の分離 移植後、ビタミンC 0.3%含有CRF-1(オリエンタル酵母株式会社)、次亜塩素酸ナトリウム溶液0.0125%添加水道水の自由摂取により飼育した。 週に1回マウス尾静脈より採血し、マウス血中のヒトアルブミン濃度を栄研化学株式会社のラテックス試薬‘栄研’ALB-IIを用い、免疫比濁法により測定した。測定条件は同試薬の添付マニュアルに従った。 初代キメラマウスの血中アルブミン濃度が10 mg/mlを超えた高置換マウス(生後63〜77日)6匹を用い、二段階コラゲナーゼ灌流法により肝細胞を分離した。コラゲナーゼ濃度は0.05%、処理時間は18〜25分間とした。肝細胞にはヒト肝細胞とマウス肝細胞が混在しているが、コラゲナーゼによる毒性はヒト肝細胞に対するよりマウス肝細胞に対する方が高いため、ヒト肝細胞の比率の高い肝細胞が得られる。(1-4)継代移植キメラマウスの作製 生後3〜5週齢のuPA/SCIDマウス39匹に、初代キメラマウスから分離した肝細胞7.5×105個を脾臓から移植した。移植方法は初代キメラマウスへのヒト肝細胞移植と同様である。肝細胞は6匹の初代キメラマウスから分離したものを用いた。6匹の初代キメラマウスから分離した細胞を、それぞれ6、8、10、5、5、5匹のuPA-Tg(+/+) /SCID(+/+)マウスに移植した。 移植後ビタミンC 0.3%含有CRF-1(オリエンタル酵母株式会社)、次亜塩素酸ナトリウム溶液0.0125%添加水道水の自由摂取により飼育した。 週に1回マウス尾静脈より採血し、マウス血中のヒトアルブミン濃度を栄研化学株式会社のラテックス試薬‘栄研’ALB-IIを用い、免疫比濁法により測定した。 移植後死亡した継代移植マウスは10匹であり、血中ヒトアルブミン濃度が1 mg/mlを超えたマウスは16匹であった。(1-5)組織染色 初代キメラマウス(移植後86日)の肝臓切片について、ヘマトキシリン・エオジン染色、シリウスレッド染色を行った。また、継代移植キメラマウス(移植後61, 89, 124日)の肝臓切片を用いて、キメラマウス肝細胞への脂肪沈着をOil Red O染色で確認し、繊維化をシリウスレッド染色で確認した。また、継代移植キメラマウス肝臓におけるヒト肝細胞領域を特定するためにヒト肝細胞特異的なサイトケラチン8/18抗体(ICN Pharmaceuticals, Inc.)を用いて免疫染色を行った。 酸化ストレスは脂肪肝障害 (NAFLD) からNASHへ症状が進行する原因の一つであるとされている。酸化ストレスをもたらすタンパク質として、CYP2E1及び4-hydroxy-2-nonenal (4-HNE)が知られている。CYP2E1はフリーラジカルを発生させる酵素の一つであり、4-HNEは脂質過酸化酵素である。ここでは、初代キメラマウス及び継代移植キメラマウスの肝臓切片について、ヒトCYP2E1抗体(AFFINITY)とヒト4-HNE抗体(OXIS)を用いて免疫染色を行った。初代キメラマウスの肝臓切片はコントロールとして用いた。 また、NASH肝臓組織には、鉄沈着やアポトーシスが観察されることが知られているため、継代移植キメラマウスの肝臓切片について鉄染色(武藤化学)および TUNEL染色 (Serological Corporation)を行った。(2)試験結果(2-1)血中ヒトアルブミン濃度 初代キメラマウス、及び継代移植キメラマウスの血中ヒトアルブミン濃度の推移を図1に示す。継代移植キメラマウス39匹のうち10匹が移植後死亡した。生存していた29匹のうち、血中ヒトアルブミン濃度が1 mg/mlを超えたのは16匹であった。これらのマウスでは、移植後40〜60日程度で血中ヒトアルブミン濃度が1 mg/mlを超えた。(2-2)ヒト肝細胞による置換率 移植後84日の継代移植キメラマウスの肝臓の外観を図2Aに写真で示す。このときのマウス血中ヒトアルブミン濃度は4.0 mg/mlである。肝臓の白い部分は主に移植・増殖したヒト肝細胞で、初代キメラマウスに比べて脂肪変化により白っぽく観察される。濃い部分にはuPA欠損により増殖したマウス肝細胞が存在する。 図2Bは、図2Aに示す継代移植キメラマウス肝臓の外側右葉の部分から切片を採取し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色した結果を模式的に示す図である。枠で囲った領域がマウス肝細胞領域である。面積比から求めたヒト肝細胞置換率は70%であった。外側右葉は全体肝臓重量の約40%を占める。全ての7つの葉から求めた置換率と外側右葉で求めた置換率を比較すると、高い相関がみられる。従って、外側右葉で調べた置換率はほぼ全体の置換率を反映している。<参考例> キメラマウス肝臓の全ての7つの葉から求めた置換率と外側右葉で求めた置換率を比較すると、高い相関がみられることは以下の実験から明らかである。In Vitro Technology社より購入した凍結ヒト肝細胞Lot. NLR(12才、男児)を移植したキメラマウス14匹(移植後46-102日)について、肝臓組織全7葉から組織切片を作製し、抗ヒトサイトケラチン8/18抗体陽性面積比から置換率を求めた。 肝臓組織全7葉から求めた肝臓全体の置換率と外側右葉の置換率との相関を調べたところ、相関係数R2=0.9357の相関を示した。図10に相関図を示す。(2-3)肝臓の組織像 初代キメラマウス(移植後86日)と継代移植キメラマウス(移植後84日)の双方について、肝臓の内側左葉または外側右葉の部分から切片を採取し、HE染色、及びシリウスレッド染色を行った。 染色像を図3に示す。HE染色像から明らかなように、継代移植キメラマウスでは好中球の浸潤が認められたが、初代キメラマウスでは認められなかった。また、シリウスレッド染色像から明らかなように、軽度の繊維化が観察されたが、初代キメラマウスでは認められなかった。 継代移植キメラマウス(移植後61日,89日,124日)の肝臓の内側左葉または外側右葉の部分から切片を採取し、HE染色、及びOil Red O染色を行った。また、ヒト肝細胞特異的なサイトケラチン8/18を用いて免疫染色を行うとともに、ヘキスト染色を行った。これらの染色像を、それぞれ図4、図5、及び図6に示す。図4〜6において、サイトケラチン8/18免疫染色及びヘキスト染色で濃染された領域はヒト肝細胞領域である。 図4〜6から明らかなように、移植後61日目の継代移植キメラマウスでは、HE染色の結果、正常な肝細胞形態であることが分かり、Oil Red O染色の結果、脂肪沈着の程度が低いことが分かる。また、移植後89日目、124日目の継代移植キメラマウスでは、HE染色の結果、膨潤しているヒト肝細胞が多く観察された。また、Oil Red O染色の結果、脂肪滴が沈着しているのが観察された。 初代キメラマウス(移植後82日)と継代移植キメラマウス(移植後61日、84日)の双方について、肝臓のヒト肝細胞に置換されている部分から切片を採取し、CYP2E1の免疫染色および4-HNEの免疫染色を行った。結果を図7に示す。継代移植キメラマウス肝臓において、CYP2E1及び4-HNEの強い発現が観察された。初代キメラマウス肝臓においては、CYP2E1は弱く染色され、4-HNEはほとんど染まらなかった。 また、継代移植キメラマウス (移植後84日) について、肝臓のヒト肝細胞に置換されている部分から切片を採取し、鉄染色、及びTUNEL染色を行った。結果を図8に示す。初代キメラマウス肝臓では、肝細胞に鉄沈着やアポトーシス(apoptosis)は認められないが、継代移植キメラマウス肝臓においては、軽度な鉄沈着やTUNEL陽性の肝細胞が観察され、この変化はNASH組織にみられる変化と一致した。 以上より、継代移植キメラマウスは、移植後60日を経過した後に、好中球の浸潤、繊維化、脂肪滴の沈着、細胞の膨潤、酸化ストレス、鉄沈着、及びアポトーシスが生じることが分かる。この組織像は、NASHのヒトの肝臓組織像に酷似していることから、継代移植キメラマウスは、ヒトNASHのモデル動物として好適に使用できることが分かる。(1)脂肪肝モデルマウスの作製(1-1)免疫不全肝障害マウス 実施例1と同様の免疫不全肝障害マウスを使用した。(1-2)ヒト肝細胞移植 ドナー肝細胞として、6才女児(BD Gentest社製)、または、9ヶ月男児(In Vitro Technology社)の凍結保存肝細胞を、Chise Tateno, Yasumi Yoshizane, Naomi Saito, Miho Kataoka, Rie Utoh, Chihiro Yamasaki, Asato Tachibana, Yoshinori Soeno, Kinji Asahina, Hiroshi Hino, Toshimasa Asahara, Tsuyoshi Yokoi, Toshinori Furukawa, Katsutoshi Yoshizato: Near-completely humanized liver in mice shows human-type metabolic responses to drugs. Am J Pathol 165:901-912, 2004に記載の方法に従って融解し用いた。 生後3〜5週齢のuPA-Tg(+/+) /SCID(+/+)マウスをエーテルで麻酔し、わき腹を約5 mm切開し、脾頭より7.5×105個のヒト肝細胞を注入した後、腹腔に止血剤ε-aminocaproic acid (SIGMA)を0.02 g/mlの濃度で40μlづつ投与し、脾臓を腹腔に戻し縫合した。マウス41匹には 6才女児のドナー肝細胞を移植し、6匹には9ヶ月男児のドナー肝細胞を移植した。 移植したヒト肝細胞がマウスのNK細胞に攻撃されないように、NK活性を阻害するasialo GM1抗体を移植前日と移植翌日に腹腔内に投与した。 移植後、ビタミンC 0.3%含有CRF-1(オリエンタル酵母株式会社製)、次亜塩素酸ナトリウム溶液0.0125%添加水道水の自由摂取により飼育した。(1-3)組織染色・脂肪化グレード 6才女児移植キメラマウスを、移植後48日から111日の間に屠殺し、肝臓を採取した。肝臓の凍結切片を作製し、Oil Red O脂肪染色を行った。染色標本の写真を撮影し、Oil Red O陽性脂肪滴の程度によって、脂肪化のグレードを0-3まで4段階に設定し、各マウスの肝臓を評価した。肝細胞にほとんど脂肪沈着が認められないものをグレード0、33%以下の肝細胞に脂肪沈着が見られるものをグレード1(軽微)、33〜66%以上の肝細胞に脂肪沈着が認められるものをグレード2(中等度)、66%以上の肝細胞に脂肪沈着が認められるのをグレード3(高度)とした(Matteoni, C.A. et al.:Nonalcohlic fatty liver disease: a spectrum of clinical and pathological severity. Gastroenterology, 116:1413-1419, 1999)。(2)試験結果 結果を図9に示す。図9Bは、移植後経過日数と脂肪化グレードとの関係を示すグラフであり、図9Aは、グレード0、1,2,3と判定した凍結切片のOil Red O染色像である。 移植後60日までは、脂肪化グレードは0または1と低く脂肪滴は少なかった。移植後70日以降脂肪化グレードは増加し、大型の脂肪滴が観察され、肝細胞領域全体にみられるものもあった。キメラマウスの肝臓においては、移植後60日頃までは脂肪変化はあまりみられないが、移植後70日以降脂肪変化が見られるマウスが増加し、移植後日数の経過に伴い脂肪変化の程度が強くなると考えられた。 移植後70日以降の肝臓組織像は、ヒト脂肪肝の組織像に酷似していた。このことから、ヒト肝細胞を移植した初代キメラマウスは、ヒト脂肪肝のモデル動物として好適に使用できることが分かる。 本発明の非ヒト動物は、ヒト非アルコール性脂肪性肝炎のモデル動物、又はヒト脂肪肝のモデル動物として、これらの疾患の治療剤のスクリーニング等に好適に使用できる。 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する第1工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を上記の免疫不全肝障害非ヒト動物と同種の免疫不全肝障害非ヒト動物に移植する第2工程とを含み、第2工程を1回又は複数回行う方法により得られ、ヒト非アルコール性脂肪性肝炎の症状を示す非ヒト動物。 非ヒト動物が哺乳動物である請求の範囲1に記載の非ヒト動物。 哺乳動物がげっ歯類である請求の範囲2に記載の非ヒト動物。 第2工程を1回行う方法により得られる請求の範囲1に記載の非ヒト動物。 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する第1工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を上記の免疫不全肝障害非ヒト動物と同種の免疫不全肝障害非ヒト動物に移植する第2工程とを含み、第2工程を1回又は複数回行う方法により得られる、ヒト非アルコール性脂肪性肝炎モデル動物。 非ヒト動物が哺乳動物である請求の範囲5に記載のモデル動物。 哺乳動物がげっ歯類である請求の範囲6に記載のモデル動物。 第2工程を1回行う方法により得られる請求の範囲5に記載のモデル動物。 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する第1工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を上記の免疫不全肝障害非ヒト動物と同種の免疫不全肝障害非ヒト動物に移植する第2工程とを含み、第2工程を1回又は複数回行う方法により得られる非ヒト動物を、ヒト非アルコール性脂肪性肝炎モデル動物として使用する方法。 非ヒト動物が哺乳動物である請求の範囲9に記載の方法。 哺乳動物がげっ歯類である請求の範囲10に記載の方法。 第2工程を1回行う方法により得られる非ヒト動物を使用する請求の範囲9に記載の方法。 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する第1工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を上記の免疫不全肝障害非ヒト動物と同種の免疫不全肝障害非ヒト動物に移植する第2工程とを含み、第2工程を1回又は複数回行う方法により得られる非ヒト動物に被験物質を投与する工程と、投与前後の非アルコール性脂肪性肝炎の症状の程度を比較する工程とを含む、ヒト非アルコール性肝炎治療剤のスクリーニング方法。 非ヒト動物が哺乳動物である請求の範囲13に記載の方法。 哺乳動物がげっ歯類である請求の範囲14に記載の方法。 第2工程を1回行う方法により得られる非ヒト動物を使用する請求の範囲13に記載の方法。 ヒト非アルコール性脂肪性肝炎の症状を示す非ヒト動物の作製方法であり、免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する第1工程と、キメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を上記の免疫不全肝障害非ヒト動物と同種の免疫不全肝障害非ヒト動物に移植する第2工程とを含み、第2工程を1回又は複数回行う方法。 非ヒト動物が哺乳動物である請求の範囲17に記載の方法。 哺乳動物がげっ歯類である請求の範囲18に記載の方法。 第2工程を1回行う請求の範囲17に記載の方法。 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製する方法により得られ、ヒト脂肪肝の症状を示す非ヒト動物。 非ヒト動物が哺乳動物である請求の範囲21に記載の非ヒト動物。 哺乳動物がげっ歯類である請求の範囲22に記載の非ヒト動物。 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植して得られるキメラ非ヒト動物からなる、ヒト脂肪肝モデル動物。 非ヒト動物が哺乳動物である請求の範囲24に記載のモデル動物。 哺乳動物がげっ歯類である請求の範囲25に記載のモデル動物。 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植して得たキメラ非ヒト動物をヒト脂肪肝モデル動物として使用する方法。 非ヒト動物が哺乳動物である請求の範囲27に記載の方法。 哺乳動物がげっ歯類である請求の範囲28に記載の方法。 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植して得られるキメラ非ヒト動物に被験物質を投与する工程と、投与前後の脂肪肝の症状の程度を比較する工程とを含む、ヒト脂肪肝治療剤のスクリーニング方法。 ヒト脂肪肝の症状を示す非ヒト動物の作製方法であり、免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してヒト脂肪肝の症状を示すキメラ非ヒト動物を作製する方法。 非ヒト動物が哺乳動物である請求の範囲31に記載の方法。 哺乳動物がげっ歯類である請求の範囲32に記載の方法。 免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製し、このキメラ非ヒト動物体内で増殖したヒト肝細胞を上記の免疫不全肝障害非ヒト動物と同種の免疫不全肝障害非ヒト動物に移植することにより得られ、ヒト非アルコール性脂肪性肝炎の症状を示す非ヒト動物。免疫不全肝障害非ヒト動物にヒト肝細胞を移植してキメラ非ヒト動物を作製することにより得られ、ヒト脂肪肝の症状を示す非ヒト動物。配列表


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特許公報(B2)_カイラル剤、重合性液晶組成物、光学素子および光記録再生装置

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_カイラル剤、重合性液晶組成物、光学素子および光記録再生装置
出願番号:2007061943
年次:2012
IPC分類:C09K 19/54,C09K 19/38,G02F 1/13,G02B 5/18,G02B 5/30,C07D 493/04


特許情報キャッシュ

塩野 和彦 山本 祐治 JP 5029077 特許公報(B2) 20120706 2007061943 20070312 カイラル剤、重合性液晶組成物、光学素子および光記録再生装置 旭硝子株式会社 000000044 特許業務法人サクラ国際特許事務所 110001092 塩野 和彦 山本 祐治 20120919 C09K 19/54 20060101AFI20120830BHJP C09K 19/38 20060101ALI20120830BHJP G02F 1/13 20060101ALI20120830BHJP G02B 5/18 20060101ALI20120830BHJP G02B 5/30 20060101ALI20120830BHJP C07D 493/04 20060101ALN20120830BHJP JPC09K19/54 BC09K19/38G02F1/13 500G02B5/18G02B5/30C07D493/04 101D C09K 19/54 C09K 19/38 G02B 5/18 G02B 5/30 G02F 1/13 C07D 493/04 特開2007−169178(JP,A) 特開2006−348227(JP,A) 特開2002−080851(JP,A) 特表平9−506088(JP,A) 特表2000−515496(JP,A) 特開2003−137887(JP,A) 9 2008222829 20080925 23 20090904 吉田 邦久 本発明はカイラル剤、それを含む重合性液晶組成物、それを用いた光学素子および光記録再生装置に関する。 コレステリック液晶における液晶分子は、螺旋状にねじれた配向を有しており、その螺旋のピッチに対応する、左右円偏光成分の一方を選択反射する性質がある。このため、コレステリック液晶は、様々な光学素子に利用されている。このようなコレステリック液晶は、ネマチック液晶材料のような液晶材料に、不斉中心を有するカイラル剤を添加することによって得られる。 コレステリック液晶としては、温度特性が良好なこと、信頼性が高いことから、高分子タイプのコレステリック液晶が有用である。高分子コレステリック液晶は、重合性官能基を有する液晶性化合物と、重合性官能基を有するカイラル剤とを含む重合性液晶組成物を重合することによって得ることができる。 従来、コレステリック液晶を得るために液晶材料に添加される様々なカイラル剤が、開発されており、例えば、イソソルビドの骨格構造を有するカイラル剤が、開示されている。 イソソルビドの骨格構造を有するカイラル剤としては、例えば、特許文献1には、イソソルビドの骨格構造を中心とした対称構造及び2個〜6個の重合可能な基を備えた化合物が開示されている。また、特許文献2には、イソソルビドの骨格構造を有するが重合性官能基を有さないカイラルドーパントが、開示されている。さらに、特許文献3には、イソソルビドの骨格構造を有し、イソソルビド骨格構造の両側に存在する環の数が異なるカイラル化合物が開示されている。 しかしながら、特許文献1に開示された化合物を、重合性液晶性化合物と混ぜて重合性液晶組成物として重合させて、高分子のコレステリック液晶を得る際には、以下の問題があった。特許文献1に開示されるような2個〜6個の重合可能な基を備えた化合物の重合速度は、単官能の重合性液晶性化合物の重合速度より速い。このため、重合反応の初期には、特許文献1に開示されるような2個〜6個の重合可能な基を備えた化合物の重合反応に寄与する割合が多く、一方、重合反応の後期には、単官能の重合性液晶性化合物の重合反応に寄与する割合が多い。よって、重合反応によって得られる重合体の組成が、重合の初期と重合の後期との間で変動することがある。その結果、得られる高分子のコレステリック液晶の選択反射帯が、重合前の液晶組成物における選択反射帯よりも広くなったり、選択反射帯の矩形の形状が崩れてしまったりすることがある。なお、高分子のコレステリック液晶の選択反射帯は、高分子のコレステリック液晶が左右円偏光成分の一方を選択反射する光の波長領域を意味する。 また、特許文献2に開示されるような、イソソルビドの骨格構造を有するが重合性官能基を有さないカイラルドーパントは、重合性液晶性化合物との相溶性が低いことがある。このため、重合性液晶性化合物を重合するとき、得られる重合体とカイラルドーパントとの間で相分離が起こることがある。また、重合性液晶性化合物の重合後に、カイラルドーパントが析出することがある。さらに、特許文献2に開示されるようなカイラルドーパントは、重合性官能基を有さないため、高分子のコレステリック液晶を製造することができない。 近年、光ディスクの大容量化を図るため、情報の書き込み、読み取りに使用されるレーザー光を短波長化し、光ディスク上の凹凸ピットサイズをより小さくすることが進められている。CDでは波長780nm、DVDでは波長660nmのレーザー光が使用されているが、次世代光ディスクでは、波長300〜450nmのレーザー光の使用が検討されている。これに伴い、波長300〜450nmのレーザー光(以下、青色レーザー光とも記す。)を変調するための光学素子が求められている。 しかし、特許文献1、3等に記載された従来から知られたカイラル剤は青色レーザー光に対する耐光性が不充分であり、次世代光ディスク用光学素子に用いるには問題があった。特表平9−506088号公報特表2000−515496号公報特開2003−137887号公報 本発明の目的は青色レーザー光に対して高い耐光性を有する光硬化型カイラル剤であって、重合性液晶性化合物との相溶性に優れ、重合性液晶性化合物と混ぜて重合性液晶組成物として重合した際にも均一な重合が可能なカイラル剤を提供することである。 本発明者らは、ソルビトール骨格を持つ化合物であって、その置換基に特定の基を有する化合物が青色レーザー光に対して高い耐光性を発揮し、重合性液晶性化合物との相溶性に優れ、重合性液晶性化合物と混ぜて重合性液晶組成物として重合した際にも均一な重合が可能であり、優れた特性の光学素子を得ることができることを見出した。 すなわち、本発明は下記の発明を提供する。[1]下記一般式(1)で表されるカイラル剤であって、 P1及びP2は、それぞれ独立に1,4−シクロヘキシレン基を1個含む炭素数が10〜20の炭化水素基であり、基中にエーテル結合性の酸素原子もしくはエステル結合を有していてもよく、また基中の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよく、P1及びP2の一方は、さらに重合性官能基を含むことを特徴とするカイラル剤。[2]下記一般式(1A)または下記一般式(1B)で表されるカイラル剤であって、 Q1及びQ4は、それぞれ独立に、 CH2=CR1−COO−(L)m−E1−で表される基であり、 Q2及びQ3は、それぞれ独立に、 −E2−R2で表される基であり、 R1は、水素原子またはメチル基であり、 R2は、水素原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上8以下のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上8以下のアルコキシ基、フッ素原子からなる群より選択される基であり、 mは、0または1であり、 Lは、フッ素原子で置換されていてもよい(CH2)pO−、−(CH2)q−もしくは−(CH2)rOCO−、またはそれらの同じ基もしくは異なる基の組み合わせであり、 p,q及びrは、単独の場合には2以上8以下の整数であり、同じ基もしくは異なる基の組み合わせの場合にはメチレン基の総数が2以上8以下となる数であり、 E1及びE2は、1,4−シクロへキシレン基である前記[1]に記載のカイラル剤。[3]R2は、炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数1以上8以下のアルコキシ基、フッ素原子からなる群より選択される基である前記[2]に記載のカイラル剤。[4]250nmでの波長でモル吸光係数が20000以下である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のカイラル剤。[5]重合性液晶化合物と前記[1]〜[4]のいずれかに記載のカイラル剤とを含むことを特徴とする重合性液晶組成物。[6]表面に配向処理を施した一対の基板間に前記[5]に記載の重合性液晶組成物を挟持して、重合させて得られた高分子液晶を有することを特徴とする光学素子。[7]屈折率が等方性の第1の光学材料及び前記[5]に記載の重合性液晶組成物を重合させて得られた高分子液晶からなる屈折率が異方性の第2の光学材料が格子状に配置されていることを特徴とする回折光学素子。[8]第1の円偏光に対する前記第1の光学材料の屈折率は、第1の円偏光に対する前記第2の光学材料の屈折率と実質的に等しく、第1の円偏光と逆向きに回転する第2の円偏光に対する前記第1の光学材料の屈折率は、第2の円偏光に対する前記第2の光学材料の屈折率と異なる前記[7]に記載の回折光学素子。[9]光記録媒体に情報を記録する及び/又光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置であって、前記[7]または[8]に記載の回折光学素子を含むことを特徴とする光記録再生装置。 本発明のカイラル剤は構造中に300〜450nmの波長領域で吸光係数の小さいシクロへキシレン基を有するため、青色レーザー光による光劣化が抑制され、その結果、青色レーザー光に対する耐光性の優れたカイラル剤を提供することができる。また、P1及びP2は、夫々シクロヘキシレン基を1個のみ有するので、他の重合性液晶化合物との相溶性も良くしやすい。また、材料P1及びP2の一方に重合性官能基を設けることにより、カイラル剤のみが早期に重合してしまうことによる重合初期と終期での特性変化が少なくなり、均一な重合物が得られやすくなる。 次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。 本発明のカイラル剤は、下記一般式(1)で表されるカイラル剤であって、 P1及びP2は、それぞれ独立に1,4−シクロヘキシレン基を1個含む炭素数が10〜20の炭化水素基であり、基中にエーテル結合性の酸素原子もしくはエステル結合を有していてもよく、また基中の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよく、P1及びP2の一方は、さらに重合性官能基を含むものである。 すなわち、一般式(1)で表される化合物は、不斉炭素原子を有するカイラル剤である。 ここで、P1及びP2は、いずれも1,4−シクロへキシレン基を1個含む炭素数が10〜20の炭化水素基である。この炭化水素基は、基中にエーテル結合性の酸素原子もしくはエステル結合を有していてもよく、また基中の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。すなわち、P1及びP2の各々に含まれる環は、夫々1,4−シクロヘキシレン基1個のみである。これにより、青色レーザー光に対する耐光性を向上させ、他の重合性液晶化合物との相溶性も向上させることができる。また、紫外領域でも吸収が小さいので、透明性が高い。 これは、環構造としてフェニル基ではなく、シクロへキシレン基を用いることで、より吸収を短波長化し青色レーザーに対する耐光性がよくなるためである。また、環をソルビトールの両側に各々、1つにすることで多環に比べて結晶化点が小さくなるためである。カイラル剤及び重合性液晶性化合物を含む組成物を調製する際、これらの材料の融点が高いと、両者を充分に混合するために加熱が必要となる。この加熱により不均一な熱重合反応が進行しやすくなり、均一な高分子コレステリック液晶を得ることが困難となるおそれがある。また、結晶化点が高いと、組成物においてカイラル剤が析出しやすく、高分子コレステリック液晶が不均一になるおそれもある。 また、P1及びP2の一方は、重合性官能基を含む。言い換えれば、P1及びP2の一方が、重合性官能基を含み、他方は、重合性官能基を含まない。重合性官能基は、炭素−炭素二重結合(−C=C−)を含む官能基である。重合性官能基としては、例えば、アクリロイル基(CH2=CHCOO−)及びメタクリロイル基(CH2=C(CH3)COO−)などが挙げられる。 P1、P2は、それぞれ独立に4−置換−シクロヘキサンカルボン酸のカルボキシル基の水素原子を除いた基が好ましい。このP1、P2の一方の4位には重合性不飽和基を有する置換基を有し、他方の4位には重合性不飽和基を有しない置換基を有する。重合性不飽和基を有しない置換基としては、後述のR2が好ましく、特に炭素数8以下のアルキル基が好ましい。重合性不飽和基を有する置換基としてはCH2=CR1−COO−(L)m− (R1、L、mは後述のものと同じ)が好ましく、特に、CH2=CR1−COO−(CH2)r−OCO− (R1、rは後述のものと同じ)が好ましい。 本発明では青色レーザー光に対して高い耐光性を有するカイラル剤を提供することができる。ここでいう耐光性はKrレーザー(波長407nm、413nmのマルチモード)を温度80℃において、積算曝露エネルギー15W・hour/mm2照射する加速試験において、405nmでの光線透過率の変動値から求められる。この変動値が小さい場合に高耐光性であるとする。 また、本発明のカイラル剤は、高いHTP(Helical Twisting Power:らせん誘起力)を有し得る。カイラル剤のHTPは、 HTP=(PC)−1で定義され、Pは、カイラル剤によるコレステリック液晶のピッチ(μm)を表し、Cは、カイラル剤を含む組成物におけるカイラル剤の濃度(質量%)を表す。 さらに、本発明のカイラル剤の温度変化に対するカイラル剤のHTPの変化は、比較的小さい。 本発明のカイラル剤は、下記一般式(1A)または下記一般式(1B)で表されるカイラル剤であることが好ましい。これは下記一般式(1A)または一般式(1B)で表される化合物は、不斉炭素原子を有するカイラル剤である。 イソソルビドの骨格にエステル結合−シクロへキシレン基を繋げることでより大きなHTPを出すことができる。また、液晶化合物に構造が類似していることになり、液晶化合物と組成物にした際に相溶性が良く、重合時に相分離を起こしにくい。特に、400nm〜500nmまで選択反射領域を移動させるためのカイラル剤の添加量が少なくて済み、かつホストとなる液晶組成物との相溶性が良く、カイラル剤と混ぜることにより結晶化点が比較的低い液晶組成物が提供できる。 ここで、Q1及びQ4は、それぞれ独立に、CH2=CR1−COO−(L)m−E1−で表される基である。また、Q2及びQ3は、それぞれ独立に、−E2−R2で表される基である。 R1は、水素原子またはメチル基であり、水素原子が好ましい。R2は、水素原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上8以下のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上8以下のアルコキシ基、フッ素原子からなる群より選択される基である。 炭素数1以上8以下のアルキル基は、直鎖または分岐鎖の炭素数1以上8以下のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基などが挙げられる。炭素数1以上8以下のアルコキシ基は、直鎖または分岐鎖の炭素数1以上8以下のアルコキシ基であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基などが挙げられる。 本発明のカイラル剤において、好ましくは、HTPを大きくする観点からは、R2は炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数1以上8以下のアルコキシ基からなる群より選択される基であることが好ましい。具体的には、n−プロピル基、ペンチル基、n−へプチル基が好ましい。 mは、0または1であり、1が好ましい。Lは、−(CH2)pO−、−(CH2)q−及び−(CH2)rOCO−、またはそれらの同じ基もしくは異なる基の組み合わせである。すなわち、−(CH2)p1O−(CH2)p2O−のように同じ基を組み合わせてもよいし、−(CH2)p3O−(CH2)r1OCO−のように異なる基を組み合わせてもよい。中でも、−(CH2)rOCO−を含むことが好ましい。 p、q及びrは、単独の場合には2以上8以下の整数である。同じ基もしくは異なる基の組み合わせの場合にはメチレン基の総数が2以上8以下となる数である。すなわち、上記の例のように、−(CH2)p1O−(CH2)p2O−の場合には、p1+p2を2以上8以下の整数とし、−(CH2)p3O−(CH2)r1OCO−の場合には、p3+r1を2以上8以下の整数とする。特には、単独でかつ2以上4以下の整数とすることが温度特性が良くなるので好ましい。 E1及びE2は、1,4−シクロへキシレン基であり、Q1及びQ2またはQ3及びQ4に環構造として夫々1個含まれる。この1,4−シクロへキシレン基は、青色レーザー光に対する耐光性を向上させる。この1,4−シクロへキシレン基は、通常の液晶とは異なり、シスでもトランスでも使用できるが、重合性液晶化合物との相溶性の点からはトランス−1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。 本発明のカイラル剤としては、下記化合物が好ましい。なお、Q1〜Q4の好ましい態様は、下記化合物中に例示される。 このように、本発明のカイラル剤は、イソソルビド誘導型の中心骨格の両側のそれぞれに1,4−シクロへキシレン基を1個有し、イソソルビド誘導型の中心骨格の片側にのみ重合性官能基、好ましくはCH2=CR1−COO−を有する。 本発明のカイラル剤は、青色レーザー光に対して高い耐光性を有し、HTPが大きいことが特徴である。さらに、他の重合性液晶化合物との相溶性に優れ、均一な重合物が得やすい。 本発明のカイラル剤の一般式(1A)の化合物及び一般式(1B)の化合物は、例えば以下のような方法で合成できる。なお、式中のEDCは、1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を表し、DMAPは4−ジメチルアミノピリジンを表す。[合成方法1] 本発明のカイラル剤のうち、一般式(1A)で表される化合物は、イソソルビド(2)と所定の第1のカルボン酸(Q2COOH)との縮合反応によって化合物(3A)を得て、つぎに化合物(3A)と、第2のカルボン酸(Q1COOH)とを反応させることによって化合物(1A)を得ることができる。[合成方法2] また、一般式(1B)で表される化合物は、イソソルビド(2)と所定のカルボン酸(Q4COOH)との縮合反応によって化合物(3B)を得て、つぎに化合物(3B)と酸塩化物(Q3COCl)との反応によって化合物(1B)を得ることができる。 なお、Q1COOH、Q2COOH、Q3COCl、Q4COOHは市販されている化合物をそのまま使用するか、市販されている化合物から誘導して使用できる。 本発明のカイラル剤は、重合性液晶化合物と混合して重合性液晶組成物として用いられる。本発明のカイラル剤は、重合性液晶組成物100重量部の中に1〜20重量部含まれる。カイラル剤以外の成分としては、重合性液晶化合物50〜98重量部、重合性非液晶化合物0〜30重量部、光硬化開始剤0.1〜5重量部、その他添加剤0〜10重量部があり、最終的な組成物として液晶性を示せばよい。特に、光重合で硬化可能な組成物が液晶性を保ったまま硬化させ易いので好ましい。 この重合性液晶組成物は、表面に配向処理を施した一対の基板間に挟持して、重合させて用いられる。具体的には、ガラス、プラスチック等の基板の表面にポリイミド膜等を形成してラビングしたり、斜め蒸着をすることにより、配向膜を形成する。この基板を配向処理面が対向するようにして配置して、重合性液晶組成物を挟持するようにする。 このためには、基板の周辺にシール材を配置して2枚の基板を一定の間隙をもった状態で接着して空セルを形成して、注入口から重合性液晶組成物を注入して硬化させればよい。また、一方の基板の周辺にシール材を配置して、重合性液晶組成物を注ぎ、他方の基板をその上に圧着しながらシール部を接着する方法を用いて製造することもできる。 上記の説明では、説明を簡単にするために配向膜しか触れなかったが、光学特性制御のために電極を設けたり、反射型素子として使用するために反射膜を設けたり、基板の表面にフレネルレンズ構成、回折格子用の格子、色調調整用の着色層、迷光抑制用の低反射層等を設けてもよい。 回折光学素子として用いる場合には、基板の内面に格子を形成する必要がある。通常は、あらかじめ屈折率が等方性の第1の光学材料による格子を形成しておき、残りの部分に本発明のカイラル剤を含んだ重合性液晶組成物を充填して重合させて得られた高分子液晶からなる屈折率が異方性の第2の光学材料を配置する。これにより偏光回折光学素子を形成することができる。なお、工程的には複雑となるが、逆にあらかじめ重合性液晶組成物による屈折率が異方性の第2の光学材料の格子を形成し、その後、残りの部分に屈折率が等方性の第1の光学材料を充填して硬化させることも可能である。 この場合、第1の円偏光に対する前記第1の光学材料の屈折率は、第1の円偏光に対する前記第2の光学材料の屈折率と実質的に等しく、第1の円偏光と逆向きに回転する第2の円偏光に対する前記第1の光学材料の屈折率は、第2の円偏光に対する前記第2の光学材料の屈折率と異なるようにすることができる。これにより、第一の円偏光を透過させることができ、また、格子の厚さにより第二の円偏光の回折量を調整できるようになる。 本発明の光学素子は、偏光回折光学素子、位相差板、波面補正素子等に利用できる。このような光学素子を、光記録媒体に情報を記録する及び/又光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置のレーザー光の光路中に配置して用いるのに適している。 特に、最近実用化が始まったBDやHDDVDのような青色レーザー光を用いた光情報記録再生装置用の光ヘッドに好適である。[例1]カイラル剤(B1)の合成 上記した合成方法2に従って、化合物(B1)を合成した。(1)化合物Q4COOH(B1−1)の合成 攪拌装置、滴下ロート、還流管を装備した500mLの三口フラスコに、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(4)を17.2g(0.1mol)、塩化チオニル23.6g(0.2mol)、DMF2滴、トルエン500mLを加え110℃で3時間加熱還流した。反応終了後、溶液を70℃で濃縮した。溶媒を完全に留去して得られた酸塩化物であるトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸クロリド(5)を1Lのジクロロメタンに溶解させた。 この酸塩化物のジクロロメタン溶液に、4−ヒドロキシブチルアクリレート(6)14.4g(0.1mol)とピリジン7.9g(0.1mol)とを1Lのジクロロメタンに溶解させた溶液を3時間かけてゆっくり滴下した。1時間、室温で攪拌させた後、水100mLを添加し反応を停止させた。反応終了後、水およびジクロロメタンで洗浄し、有機層を回収した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濾過により無水硫酸マグネシウムを除去し、濾液を濃縮した。この濾液をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒として、酢酸エチル:ヘキサン=1:1)で精製し、化合物(B1−1)を得た。収量13.4g、収率45%、GC純度97%であった。1HNMR(400MHz、溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)δ(ppm)1.41−2.11(m,12H)、2.30−2.35(m,2H)、4.28−4.38(m,4H)、5.86−6.46(m,3H)(2)化合物(B1−2)の合成 500mLの三口フラスコに化合物(B1−1)を15.8g(0.042mol)、イソソルビド(2)6.1g(0.042mol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩16g(0.083mol)、4−ジメチルアミノピリジン0.7gおよびジクロロメタン200mLを加え、室温で一晩撹拌した後、1mol/Lの塩化アンモニウム水溶液100mLを加え、反応を停止した。ついで、反応溶液に水及びジクロロメタンを加えて洗浄し、回収した有機層を5%塩酸水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濾過により無水硫酸マグネシウムを除去した後、溶媒を濃縮した。得られた濾液をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒として、ヘキサン:酢酸エチル=5:5)により精製し、化合物(B1−2)を得た。収量は12.3g、収率68.7%であった。1HNMR(400MHz、溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)δ(ppm)1.26−3.57(m,15H)、3.58−3.76(m,1H)、3.76−4.62(m,10H)、5.23(s,1H)、5.82−7.30(m,3H)(3)化合物(B1−3)の合成 窒素雰囲気下にて500mLの三口フラスコにトランス−4−n―ペンチルシクロヘキサンカルボン酸(7)6.55g(0.033mol)、塩化チオニル7.8g(0.066mol)、DMF2滴及びトルエン200mLを加え100℃で3時間還流した。その後、反応溶液を濃縮しトランス−4−n−ペンチルシクロヘキサンカルボニルクロライド(B1−3)を得た。(4)化合物(B1)の合成 攪拌装置、還流管を装備した500mLの三口フラスコに上記で合成した化合物(B1−2)を6.56g(0.022mol)、トリエチルアミンを3.34g(0.033mol)及びジクロロメタンを150mL加え、それらの混合物を室温で攪拌した。ついで上記で合成したトランス−4−n−ペンチルシクロヘキサンカルボニルクロライド(B1−3)5.7g(0.026mol)を50mLジクロロメタンに溶解させ、5分かけてゆっくり混合物に滴下した。室温で一晩攪拌した後、水50mLで反応を停止させた。ジクロロメタンおよび水で分液し、有機層を回収した。さらに有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で十分に分液し、未反応のカルボン酸を水層に移動させた。 回収した有機層を5%塩酸水溶液で洗浄した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し、溶媒を濃縮した。得られた濾液をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒として、ヘキサン:酢酸エチル=3:2)で精製し、メタノールで再結晶し化合物(B1)を得た。収量7.9g、収率60%であり、化合物(B1)についてのNMRの分析結果は、次の通りであった。1HNMR(400MHz、溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)δ(ppm)0.86−2.29(m,35H)、3.92−4.21(m,8H)、4.44−4.84(m,2H)、5.12−5.19(m,2H)、5.82−6.43(m,3H)[例2]カイラル剤(B2)の合成 上記した合成方法2に従って、化合物(B2)を合成した。 例1と同様の方法で、化合物(B1−2)とトランス−4−n−プロピルシクロヘキサンカルボン酸から得られる酸塩化物であるトランス−4−n−プロピルシクロヘキサンカルボニルクロライドとの反応により、化合物(B2)を得た。化合物(B2)の収率は、60.0%であり、化合物(B2)についてのNMRの分析結果は、次の通りであった。1HNMR(400MHz、溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)δ(ppm)0.86−2.29(m,31H)、3.91−4.46(m,8H)、4.44−4.83(m,2H)、5.12−5.18(m,2H)、5.82−6.43(m,3H)[例3]カイラル剤(B3)の合成 上記した合成方法2に従って、化合物(B3)を合成した。(1)化合物Q4COOH(B3−1)の合成 例1と同様な反応で、4−ヒドロキシブチルアクリレートの代わりに2−ヒドロキシエチルアクリレート(8)を用いて、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から得られる酸塩化物との反応により化合物(B3−1)を合成した。収率は42%だった。1HNMR(400MHz、溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)δ(ppm)1.41−2.11(m,8H)、2.3−2.35(m,2H)、4.28−6.46(m,4H)、5.88−6.46(m,3H)(2)化合物(B3−2)の合成 例1の化合物と同様な反応により化合物(B1−1)の代わりに化合物(B3−1)を用いて、イソソルビド(2)との反応により化合物(B3−2)を合成した。収率70%であった。1HNMR(400MHz、溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)δ(ppm)1.26−3.57(m,11H)、3.58−3.76(m,1H)、3.76−4.65(m,10H)、5.23(s,1H)、5.8−6.43(m,3H)(3)化合物(B3)の合成 例1の化合物と同様な反応により化合物(B3−2)と、トランス−4−n―ペンチルシクロヘキサンカルボン酸から得られる酸塩化物(トランス−4−n−ペンチルシクロヘキサンカルボニルクロライド)との反応により化合物(B3)を合成した。収率は、65.0%であり、化合物(B3)についてのNMRの分析結果は、次の通りであった。1HNMR(400MHz、溶媒:CDCl3、内部標準:TMS)δ(ppm)0.88−2.29(m,31H)、3.91−3.96(m,4H)、4.35-4.36(m,5H)、4.82−5.18(m,3H)、5.82−6.43(m,3H)[例4]カイラル剤の物性評価(1) 例1〜3で合成されたカイラル剤の融点、HTP(ヘリカルツイスティングパワー)、及び旋光性を、以下のように測定した。(1)カイラル剤の融点の測定方法 合成したカイラル剤の結晶を2枚のプレパラートにはさむことによってセルを形成し、セルを5℃/分の速度にて昇温した。セルの昇温中、顕微鏡でセルを観察し、カイラル剤の結晶の融解が観察され始めた温度をカイラル剤の融点とした。(2)重合性液晶組成物の調整 下記重合性液晶化合物(R1)、下記重合性液晶化合物(R2)を11:9(モル比)で混合したもの90重量部に、カイラル剤である化合物(B1)を10重量部添加し、重合性液晶組成物1を調製した。次に、重合性液晶組成物1に光重合開始剤を液晶組成物1の100重量部に対して0.5重量部添加し、重合性液晶組成物1Aを得た。同様に化合物(B2)を10重量部添加した重合性液晶組成物2A、化合物(B3)を10重量部添加した重合性液晶組成物3Aも調合した。なお、光重合開始剤は、チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガキュアー754」を用いた。 比較例として、本発明におけるE1,E2が1,4−シクロヘキシレン基ではなく、1,4−フェニレン基であるカイラル剤(9)を用意した。また、E1が1,4−フェニレン基であり、E2が1,4−シクロヘキシレン基のカイラル剤(10)を用意した。下記重合性液晶化合物(R1)、下記重合性液晶化合物(R2)を11:9(モル比)で混合したもの90重量部に、カイラル剤(9)を10重量部添加し、さらに上記と同じ光重合開始剤を0.5重量部添加して、液晶組成物4Aを調整した。(3)カイラル剤のHTPの測定 調合した重合性液晶組成物1A〜4Aを各々、あらかじめtanθの値を測定したくさび型セルにそれらの重合性液晶組成物を等方相の状態で注入した。セルを室温まで冷却し、顕微鏡を用いて、Grandjean−Canoくさび法により、カイラル剤のHTPを算出した。その結果を表1に示す。(4)カイラル剤の旋光性の測定 旋光性が左旋性と右旋性である2種類のカイラル剤1重量部を、それぞれ、シアノビフェニル系ネマチック液晶(Aldrich社製「5CB」)99重量部に混合して、旋光性試験用の液晶組成物9、10を調製した。同様に5CBに化合物(B1)〜(B3)及び比較例の化合物(9)を各々1重量部混合して液晶組成部5〜8を調整した。二つ孔のEHC社製のセル(セルギャップ:10μm)を準備し、セルの左の孔から液晶組成物5〜8を注入し、右の孔から前記した旋光性が左または右の旋光性試験用の液晶組成物9、10を注入し、セルの中央付近における液の接触部分を観察する手法(コンタクトメソッド)により旋光性を判断した。その結果を表1に示す。[例5]カイラル剤の物性評価(2) 本発明のカイラル剤(B1)、比較例として上記した化合物(9)および化合物(10)をそれぞれTHFに濃度が10−5mol/Lとなるように溶解させ、吸収極大波長(λmax)、吸収端波長および250nmでのモル吸光係数εを測定した結果を表2に示す。 本発明のカイラル剤(B1)と比較例のカイラル剤(9)、(10)のモル吸光係数と波長の関係を示すグラフを図1に示す。上記の表では250nmにおけるモル吸光係数を示したが、グラフでは波長によるモル吸光係数をより詳しく見ることができる。 本発明のシクロへキサン環を有するカイラル剤は、比較例のベンゼン環を含むカイラル剤より短波長側まで低いモル吸光係数を示す。比較例のカイラル剤は、290nm付近から急速にモル吸光係数が増加するのに対し、本発明のカイラル剤はモル吸光係数の増加が緩やかであり、250nmの波長領域でもほぼ20000以下のモル吸光係数を示す。[例6]光学素子の作成(1)重合性液晶組成物の調製 下記重合性液晶化合物(R3)、下記重合性液晶化合物(R4)を1:1(モル比)で混合したもの90重量部に、本発明のカイラル剤である化合物(B1)を10重量部添加し、重合性液晶組成物11を調製した。次に、重合性液晶組成物11に光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガキュアー754」)を重合性液晶組成物11の100重量部に対して0.5重量部添加し、重合性液晶組成物11Aを得た。 比較例として、同様に下記重合性液晶化合物(R3)、下記重合性液晶化合物(R4)を1:1(モル比)で混合したもの90重量部に、前記したカイラル剤である化合物(4)を10重量部添加し、重合性液晶組成物12を調整した。また、同様に重合性液晶組成物12に上記と同じ光重合開始剤を重合性液晶組成物12の100重量部に対して0.5重量部添加し、重合性液晶組成物12Aを得た。(2)光学素子の作製 縦5cm、横5cm、厚さ0.5mmのガラス板にポリイミド溶液をスピンコータで塗布して乾燥した後、ナイロンクロスで一定方向にラビング処理してガラス基板を作製した。 配向処理を施した面が向かい合うように、2枚のガラス基板を接着剤を用いて貼り合わせてセルを作製した。接着剤には、直径4μmのガラスビーズを添加し、ガラス基板の間隔が4μmになるように調整した。 次に、セル内に重合性液晶組成物11Aを105℃で注入した。50℃において、強度135mW/cm2の紫外線を積算光量が72900mJ/cm2となるよう照射して光重合を行って光学素子11を得た。 同様に、セル内に重合性液晶組成物12Aを105℃で注入した。50℃において、強度135mW/cm2の紫外線を積算光量が72900mJ/cm2となるよう照射して光重合を行って光学素子12を得た。(3)光学素子の評価 上記で作成した光学素子11に、Krレーザー(波長407nm、413nmのマルチモード)を照射し、青色レーザー光曝露加速試験を行った。照射条件は、温度80℃、積算曝露エネルギー15W・hour/mm2とした。加速試験前の405nmの透過率に対する試験後の透過率の変動幅は1%未満であった。同様に、光学素子12に対しても青色レーザー光曝露加速試験を行った。光学素子12では、加速試験前の405nmの透過率に対する試験後の透過率の変動幅は3.2%だった。 本発明のイソソルビド構造の両側に環構造としてシクロへキサン環を各1個のみ有するカイラル剤は、短波長側まで低いモル吸光係数を示し、250nmの波長領域でも20000以下のモル吸光係数を示すため、このカイラル剤を用いて作製される光学素子は青色レーザー光に対する耐光性に優れることを確認した。 本発明によれば、青色レーザー光による光劣化が少ない耐光性に優れたカイラル剤が得られるので、それを用いて青色レーザーを用いた光学素子、特に、高密度光記録媒体の読み書きに使用される光ヘッド用の光学素子及びその光学素子を用いた光ヘッドに好適である。図1は、本発明のカイラル剤と比較例のカイラル剤のモル吸光係数と波長の関係を示すグラフである。 下記一般式(1)で表されるカイラル剤であって、 P1及びP2は、それぞれ独立に1,4−シクロヘキシレン基を1個含む炭素数が10〜20の炭化水素基であり、基中にエーテル結合性の酸素原子もしくはエステル結合を有していてもよく、また基中の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよく、P1及びP2の一方は、さらに重合性官能基を含むことを特徴とするカイラル剤。 下記一般式(1A)または下記一般式(1B)で表されるカイラル剤であって、 Q1及びQ4は、それぞれ独立に、 CH2=CR1−COO−(L)m−E1−で表される基であり、 Q2及びQ3は、それぞれ独立に、 −E2−R2で表される基であり、 R1は、水素原子またはメチル基であり、 R2は、水素原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上8以下のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1以上8以下のアルコキシ基、フッ素原子からなる群より選択される基であり、 mは、0または1であり、 Lは、フッ素原子で置換されていてもよい(CH2)pO−、−(CH2)q−もしくは−(CH2)rOCO−、またはそれらの同じ基もしくは異なる基の組み合わせであり、 p,q及びrは、単独の場合には2以上8以下の整数であり、同じ基もしくは異なる基の組み合わせの場合にはメチレン基の総数が2以上8以下となる数であり、 E1及びE2は、1,4−シクロへキシレン基である請求項1に記載のカイラル剤。 R2は、炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数1以上8以下のアルコキシ基、フッ素原子からなる群より選択される基である請求項2に記載のカイラル剤。 250nmでの波長でモル吸光係数が20000以下である請求項1〜3のいずれかに記載のカイラル剤。 重合性液晶化合物と請求項1〜4のいずれかに記載のカイラル剤とを含むことを特徴とする重合性液晶組成物。 表面に配向処理を施した一対の基板間に請求項5に記載の重合性液晶組成物を挟持して、重合させて得られた高分子液晶を有することを特徴とする光学素子。 屈折率が等方性の第1の光学材料及び請求項5に記載の重合性液晶組成物を重合させて得られた高分子液晶からなる屈折率が異方性の第2の光学材料が格子状に配置されていることを特徴とする回折光学素子。 第1の円偏光に対する前記第1の光学材料の屈折率は、第1の円偏光に対する前記第2の光学材料の屈折率と実質的に等しく、第1の円偏光と逆向きに回転する第2の円偏光に対する前記第1の光学材料の屈折率は、第2の円偏光に対する前記第2の光学材料の屈折率と異なる請求項7に記載の回折光学素子。 光記録媒体に情報を記録する及び/又光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置であって、請求項7または8に記載の回折光学素子を含むことを特徴とする光記録再生装置。


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