タイトル: | 再公表特許(A1)_受容体及びイオンチャンネルを介したカルシウムの応答と引き続いて起こる遺伝子発現を測定する連続アッセイ法 |
出願番号: | 2007060849 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C12Q 1/02,C12Q 1/26,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12N 5/10,C12N 15/09,G01N 21/76 |
飯田 満 荒木 直比呂 藪下 尚智 鈴木 良和 JP WO2007139080 20071206 JP2007060849 20070528 受容体及びイオンチャンネルを介したカルシウムの応答と引き続いて起こる遺伝子発現を測定する連続アッセイ法 ノアセルサイエンス株式会社 507322322 内山 美奈子 100081581 飯田 満 荒木 直比呂 藪下 尚智 鈴木 良和 JP 2006146987 20060526 C12Q 1/02 20060101AFI20090911BHJP C12Q 1/26 20060101ALI20090911BHJP C12N 1/15 20060101ALI20090911BHJP C12N 1/19 20060101ALI20090911BHJP C12N 1/21 20060101ALI20090911BHJP C12N 5/10 20060101ALI20090911BHJP C12N 15/09 20060101ALI20090911BHJP G01N 21/76 20060101ALI20090911BHJP JPC12Q1/02C12Q1/26C12N1/15C12N1/19C12N1/21C12N5/00 AC12N15/00 AG01N21/76 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20091008 2008517932 25 2G054 4B024 4B063 4B065 2G054AA08 2G054CA21 2G054EA02 2G054EB03 4B024AA11 4B024BA08 4B024BA80 4B024CA01 4B024DA02 4B024EA04 4B024GA11 4B024HA08 4B024HA11 4B063QA18 4B063QQ08 4B063QQ22 4B063QQ79 4B063QR42 4B063QR50 4B063QR77 4B063QR80 4B063QS28 4B063QS36 4B063QX02 4B065AA01X 4B065AA57X 4B065AA87X 4B065AB01 4B065BA02 4B065CA46 本発明は、細胞内のカルシウムの応答、遺伝子発現を連続測定し受容体のアゴニスト、アンタゴニストをスクリーニングする方法に関するものである。一般に細胞膜表面や細胞質、核内に分布し、細胞外からの各種生理活性物質を特異的に認識して結合し、生理活性物質の情報を細胞内やDNAに伝達するタンパク質受容体は分布する場所によって細胞表面受容体と内在受容体(細胞内受容体ともいう)の二つに大別される。細胞膜表面受容体は、細胞膜を通過できない親水性の生理活性物質(ペプチド,サイトカイン,カテコールアミン,増殖因子など)と結合し、素早い構造変化を通して不活性型から活性型へ転換し、生理活性物質の情報を細胞内に伝達する。細胞表面受容体はそのタンパク質の構造と情報伝達機構の違いからチロシンキナーゼ共役型受容体、イオンチャネル共役型受容体、Gタンパク質共役型受容体の3種のグループに大別される。 以下 Gタンパク質共役型受容体を中心に説明するが、チロシンキナーゼ共役型受容体、イオンチャネル共役型受容体にあっても、受容体に化合物が結合することによってGタンパク質共役型受容体と同様に細胞内のカルシウムを上昇させることが知られているため、同様の連続アッセイが可能であるが、前者においては、受容体による作用発現に比較的長い時間を要するため、その間に、複数のアッセイを組み込むことがより可能となる。Gタンパク質共役型受容体は、細胞内でのセカンドメッセンジャーの種類によって大きく3種類に分類されている(非特許文献1)。 (A)Gq:ホスフォリパーゼCを介した細胞内カルシウムの応答。 (B)Gs:アデニレートサイクラーゼを刺激しcAMP濃度を上昇させる。 (C)Gi:アデニレートサイクラーゼを阻害しcAMP濃度を低下させる。これらセカンドメッセンジャーの種類に応じて、カルシウムに反応するFluo3,Fura2などの蛍光色素をもちいたアッセイ法(FLIPR)(非特許文献2、3)や、alphascreen, flash plate, ELISAなどにより細胞内のcAMPや遊離したIP3を定量する方法(非特許文献4)、放射ラベルしたGTPgSのGαサブユニットへの取り込みを測定する方法(非特許文献5)などが用いられてきた。 さらに改良として、これらの3種類のGPCRに反応する血球細胞特異的に発現しているGαのサブユニットの一種であるGα16/15やGz等のキメラタンパク質を用いて、Gs,GiをGqタイプのカルシウム応答に置き換える方法などが開発されてきた(非特許文献6、7、8)。しかし、いくつかのGPCRでは、カルシウム応答にスイッチできないもの、またシグナルが弱く、感度が十分確保できないなどの問題が報告されていた(非特許文献6)。 従って、特に、リガンドが不明なオーファンレセプターのリガンドをランダムスクリーニングする場合などには、上記のいくつかの方法を組み合わせて個別に実験を行う必要があった。Nambi, P., and Aiyar, N. (2003)Assay Drug Dev Technol 1, 305-10.Nakayama, T., Kato, Y., Hieshima,K., Nagakubo, D., Kunori, Y., Fujisawa, T., and Yoshie, O. (2004) J Immunol173, 2078-83.Fujii, R., Hosoya, M., Fukusumi,S., Kawamata, Y., Habata, Y., Hinuma, S., Onda, H., Nishimura, O., and Fujino,M. (2000) J Biol Chem 275, 21068-74.Offermanns, S., and Simon, M. I.(1995) J Biol Chem 270, 15175-80.Ferrer, M., Kolodin, G. D., Zuck,P., Peltier, R., Berry, K., Mandala, S. M., Rosen, H., Ota, H., Ozaki, S.,Inglese, J., and Strulovici, B. (2003) Assay Drug Dev Technol 1, 261-73.Stables, J., Green, A., Marshall,F., Fraser, N., Knight, E., Sautel, M., Milligan, G., Lee, M., and Rees, S.(1997) Anal Biochem 252, 115-26.New, D. C., and Wong, Y. H. (2004)Assay Drug Dev Technol 2, 269-80.Milligan, G., Marshall, F., andRees, S. (1996) Trends Pharmacol Sci 17, 235-7.Fitzgerald, L. R., Mannan, I. J.,Dytko, G. M., Wu, H. L., and Nambi, P. (1999) Anal Biochem 275, 54-61.Bresnick, J. N., Skynner, H. A.,Chapman, K. L., Jack, A. 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(1999) Plant Physiol 121, 705-14. これまでカルシウムの応答と遺伝子発現の誘導および阻害をそれぞれ個別に独立した試験系の中で実験し、測定する必要があった。たとえば、Gs,GiをGqタイプのシグナルをフラッシュタイプの発光タンパク質のカルシウム応答で測定し、次にGsに関したシグナルのみを測定する等である。本発明を用いれば、細胞を生存させたままこれらの複数のアッセイを同一細胞、同一条件で同時に測定できるため、より精密な評価が可能になり、かつ多大なコスト削減を図ることができる。一例として、Gタンパク質共役型受容体活性測定の場合、共役するGs,Gi、Gqを後に測定し分別しなければならない。本発明は、このような測定を一連の操作で細胞を生存させたまま、同一細胞、同一条件でしかも同一容器内で測定することを可能ならしめた。また一連の操作内で活性阻害が細胞毒性による影響かどうかの確認も行うことが可能となった。本発明は、Gタンパク質共役型受容体を介した細胞内のカルシウム上昇を細胞質、またはミトコンドリアに局在させたカルシウム応答性のフラッシュタイプの発光タンパク質(エクオリン、オベリンなど)と細胞内のcAMPの増減に応答するプロモーターの下流にカルシウム非感受性のウミシイタケ由来のレニラルシフェラーゼをつなげたレポーター遺伝子を用いる。細胞内に長時間安定して存在できるセレンテラジン誘導体を用いて、始めにカルシウム応答性の発光タンパク質を測定し、その後、数時間培養をつづけレポーターアッセイ法によりcAMPの増加によって誘導されるレニラルシフェラーゼの活性を測定する。さらに、アデニレートサイクラーゼを活性化するフォルスコリンを続けて細胞に添加し、化合物がアデニレートサイクラーゼの活性化を阻害するかどうか、レニラルシフェラーゼの活性を測定し調べる。最後に、細胞に発現する内在GPCRに対するリガンドを加えカルシウムの応答を測定することで細胞毒性を評価し、アデニレートサイクラーゼの活性化の阻害が細胞毒性によって引き起こされたものでないことを調べる(図1)。イクオリンの反応は、カルシウムによって誘起され、酸素を必要とせず、フラッシュタイプの発光を示す。これに対して、レニラルシフェラーゼは、カルシウムの影響を受けず、溶解した酸素を反応に必要とし、飽和濃度の基質の存在下で長時間の発光を触媒する。つまりカルシウム応答性の発光タンパク質(イクオリン)とレニラルシフェラーゼは、ともにセレンテラジンを基質としてもちいるが反応メカニズムが異なることと、長時間持続型のセレンテラジン誘導体を併用することで、3種類(カルシウム応答、cAMPの上昇、cAMPの上昇阻害)のアッセイを新たな基質を添加することなく一度に測定する方法である。また、本発明は、cAMPの誘導および抑制に限らず、レニラルシフェラーゼの上流に用いるシスエレメントとしてマルチプルレスポンスエレメント(MRE)(非特許文献9)やカルシウム応答性の転写因子の応答エレメント(AP-1,TPA,SRE(serumresponseelement))などを介した他の転写の活性化及び抑制(非特許文献5,10,11)の連続測定にも利用可能である。 以上説明してきたように本発明は、カルシウム応答性のイクオリンとその後に起こる遺伝子の発現誘導・抑制をレニラ由来のルシフェラーゼをレポーター遺伝子として細胞内に同一基質を用いて共発現させることで、カルシウムの応答と遺伝子発現の応答を連続して一度で測定できるという利点がある。とくに、GPCRを対象として用いた場合、Gα16、カルシウム応答性のイクオリンとcAMPによって誘導されるレニラ由来のルシフェラーゼをレポーター遺伝子として細胞内に共発現させることで3タイプ知られているGPCRのすべての応答を一度で測定できるという利点がある。また、一度目のカルシウムの応答の結果と、cAMPを介したレニラ由来のルシフェラーゼの誘導、またフォルスコリンで強制誘導したレニラルシフェラーゼの阻害を連続して見ることで、どのGPCRのタイプに由来する反応か判定できる利点もある。また、これまで基質として用いられてきたネイティブセレンテラジンは、細胞内で不安定で細胞に添加後、数時間で分解されてしまい、連続して測定することはできなかった。本発明では、細胞内に安定的に存在できる基質をもちいることで、細胞が生存している間にカルシウム応答性のイクオリンタンパク質とレニラ由来のルシフェラーゼの反応を一度に測定することを可能にした。最後に、細胞に発現する内在GPCRに対するリガンドを加えカルシウムの応答を測定することで細胞毒性を評価し、アデニレートサイクラーゼの活性化の阻害が細胞毒性によって引き起こされたものでないかどうかを調べることも一連の操作内で連続測定可能となった。本発明の連続アッセイ全体の測定スキームを説明した概略図である。本発明に用いたプラスミドマップである。実施例1におけるGqタイプのGPCRのカルシウム応答をイクオリンで測定した結果を示す測定図である。実施例1におけるGqタイプのGPCRのcAMPを介した遺伝子誘導をレニラルシフェラーゼで測定した結果を示す測定図である。サンプル添加後、図3の測定に続けて、5時間後レニラルシフェラーゼを介した発光を測定した。実施例2におけるGsタイプのGPCRのカルシウム応答をイクオリンで測定した結果を示す測定図である。実施例2におけるGsタイプのGPCRのcAMPを介した遺伝子誘導をレニラルシフェラーゼで測定した結果を示す測定図である。サンプル添加後、図5の測定に続けて、5時間後レニラルシフェラーゼを介した発光を測定した。実施例3におけるGiタイプのGPCRのカルシウム応答をイクオリンで測定した結果を示す測定図である。実施例3におけるGiタイプのGPCRのcAMPの産生抑制をレニラルシフェラーゼで測定した結果を示す測定図である。サンプル添加後、図7の測定に続けて、24時間培養後、10-6Mのフォルスコリンを添加し、さらに5時間培養した後、レニラルシフェラーゼを測定した。実施例4における発光基質としてのネイティブセレンテラジンとEndurenを比較し測定結果を図示した。実施例4におけるフォルスコリンで刺激したcAMPの産生を、発光基質としてネイティブセレンテラジンとEndurenを用いて、レニラルシフェラーゼで連続測定した結果を示した図。サンプル添加後、図9の測定に続けて、5時間後にレニラルシフェラーゼを介した発光を測定した。 本発明に記載の安定的セレンテラジン誘導体は、プロメガ社製のEnduren(登録商標)を用いたがこれに限定されるものではなく、少なくとも24時間以上安定的に存在可能なものであれば良い。また、プラスミドも本発明実施例に記載のものに限定されるわけではなく、同様の機能が提供できるものであれば良いことはもちろんである。 なお、以下の実施例では、化合物(リガンド)にカルシウム応答のイクオリンと遺伝子発現誘導抑制のレニラルシフェラーゼを共発現した細胞を添加しているが、当然のことながら、共発現細胞に化合物を添加してもかまわない。以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。[pGL3CRE Renilla luciferaseプラスミドの構築方法の詳細]pRL-TK(Promega社)からthymidine kinaseプロモーター部分(-41−+30)部分を切り出して、pGL3basic vector(Promega社)のBglII−HindIIIに挿入し、pGL3-tkを作成する。5’および3’にKpnI末端をもつc-AMP応答エレメント(CRE)のオリゴヌクレオチドを(1)5’-ctggcTGACGTCAgtagagacatcccatTGACGTCAtacgtggtac-3’,(2)5’-cacgtaTGACGTCAatgggatgtctctacTGACGTCAgccaggtac-3’(下線はCREを示す)をDNA-ligaseで結合させオリゴヌクレオチドが3重になったものをpGL3-tkのKpnIサイトに導入してCREが合計6個はいったpGL3-CREluc+を構築した。pGL3-CRE luc+を制限酵素NcoI およびXbaIで蛍ルシフェラーゼ遺伝子(Luc+)を切り出す。次にpRL-TKをNcoIおよびXbaIでウミシイタケルシフェラーゼ(Renilla)遺伝子を切り出してRenilla遺伝子をLuc+遺伝子を切り出したpGL3-CRE luc+に導入してpGL3-CRE Renilla(図2A)を構築した。[ミトコンドリア局在イクオリン発現ベクター(pcDNAMtAEQ)の構築方法の詳細]増幅プライマーとして、aeq-s1:5’-GGGAAGCTTATGCTTTATGATGTTCCTGAT-3’,aeq-a1:5’-GGTACCTTAGGGGACAGCTCCACCGTAGAG-3’を用いてイクオリンのコード領域(576bp)をpBIN19NucAeqプラスミド(非特許文献12)を鋳型にPCR法で増幅した。ミトコンドリアのチトクロームIIIオキシダーゼ遺伝子のエクソン1にあるミトコンドリア移行シグナル配列(100bp)をヒト健常人のゲノムDNAを鋳型として、以下のプライマーを用いてPCR法で増幅した(cyt-aeq-fus-p2:5’-TGATGTAAGCTTGACCTTCATGATCCCAAGCTTCCCCTC-3’,cyt-aeq-fus-p3:5’-GAGGGGAAGCTTGGGATCATGAAGGTCAAGCTTACATCA-3’)。得られた2つの増幅産物(576bp,100bp)をリコンビナントPCRによって融合させ得られた産物(676bp)を、KpnI,NheIで制限酵素処理し、KpnI,NheIで処理したpcDNA3.1(Invitrogen)にクローニングしイクオリン発現ベクター pcDNA3.1 MtAequorin(pcDNAMtAEQ)(図2B)を構築した。[pcDNAGα16プラスミドの構築方法の詳細]ヒトGα16サブユニット遺伝子をヒト白血球poly-A RNAよりRT-PCR法にて以下のプライマーを用いて増幅させた(Gα16-s2:5’-CTCGAGTCTAGACCACCATGGCCCGCTCGCTGACCTGG-3’,Gα16-a2:5’-GGTACCTCACAGCAGGTTGATCTC-3’)。増幅産物をクローニングベクター(pGEM-T:プロメガ社)にサブクローングして塩基配列を決定し、Genbankに登録されているヒトGα16サブユニット遺伝子のそれと同一であることを確認した。上記DNAをインサートDNAとしてCMVプロモーターを有する発現ベクターpcDNA3.1(インビトロゲン社)のNheI,Kpn1サイトにクローニングし、Gα16サブユニット発現ベクター pcDNA3.1human Gα16(pcDNAGα16)(図2C)を構築した。 本実施例においては、GqタイプのGPCRの応答を連続測定した。 始めにCHO細胞にプラスミド(pcDNAMtAEQ, pcDNAGα16, pGL3 CRE-Renilla)を導入する。一晩培養後、基質であるEndurenを加え4時間培養し、サンプル(ATP)を10-3から10-9M添加した。添加直後の30秒間、イクオリンを介した発光を連続測定した。その結果を図3図4に示した。詳細には、プリン受容体を発現するCHO細胞株(ATCC寄託細胞)を10cm2シャーレに細胞濃度1.5x105cell/mlで播種した。翌日、シャーレあたり2.2ngのGα16(pcDNAGα16)、3mgのイクオリン発現プラスミド(pcDNAMtAequorin)、3mgのcAMP応答性レニラルシフェラーゼプラスミド(pGL3CRE-Renilla)を18mLのFuGENE6(ロッシュ社製、登録商標)を用いて遺伝子導入した。翌日、シャーレに400mLのトリプシン・EDTA溶液を添加し、細胞をシャーレより剥がし、13mLのDMEM/F12FCS培地に懸濁した。懸濁液に、安定基質である60mMのEndurenを6.5mL添加し、4時間培養後、プリン受容体のリガンドであるATP(Adenosine 5’-triphosphate disodium hydrate)を10-3 −10-9M濃度10mL添加しておいた96ウェルプレートに、ウェルあたり90mLの細胞懸濁液を添加した。添加直後の30秒間の発光強度の変化をBerthord社製測定機アルボ(ARVO)を用いて測定した結果を示した(図3)。図3において、縦軸は、一秒当たりの発光強度(Count per Second)および横軸は、測定時間(秒)を示す。その後培養を続け、6時間後にレニラルシフェラーゼの活性をアルボで測定した結果を示した(図4)。図4において縦軸は、一秒当たりの発光強度(Count per Second)および横軸は、ATPの濃度を示す。プリン受容体は、cAMPを介したレニラルシフェラーゼの誘導は起こらず、GqタイプのGPCRであることがわかる。 本実施例においては、GsタイプのGPCRの応答を連続測定する。 始めにセロトニンレセプター発現細胞にプラスミド(pcDNAMtAEQ,pcDNAGα16,pGL3 CRE-Renilla)を導入する。一晩培養後、基質であるEndurenを加え4時間培養し、サンプル(Serotonin)を2.5x10-6から2.5x10-12M添加した。添加直後の30秒間、イクオリンを介した発光を連続測定した。その結果を図5図6に示した。 詳細には、CHO細胞株(ATCC寄託細胞)にセロトニン受容体を遺伝子導入し、安定発現する細胞株に、実施例1と同様に、Gα16、イクオリン発現プラスミド、cAMP応答性レニラルシフェラーゼプラスミドを遺伝子導入し、細胞懸濁液を調整した。安定基質である30mM Endurenを添加し、4時間培養後、セロトニン受容体のリガンドであるセロトニン(Serotonin hydrochloride)を2.5x10-6-2.5x10-12M濃度10mL添加している96ウェルプレートに、ウェルあたり90mLの細胞懸濁液を添加した。添加直後の30秒間の発光強度の変化Berthord社製測定機アルボ(ARVO)を用いて測定した結果を示した(図5)。図5において、縦軸は、一秒当たりの発光強度(Count per Second)および横軸は、測定時間(秒)を示す。その後6時間培養を続け、レニラルシフェラーゼの活性を測定した結果を示した(図6)。図6において縦軸は、一秒当たりの発光強度(Count per Second)および横軸は、セロトニンの濃度を示す。cAMPを介したレニラルシフェラーゼの上昇(誘導)が認められたことから、セロトニン受容体は、GsタイプのGPCRであることがわかる。 本実施例においては、GiタイプのGPCRの応答を連続測定した。 始めにドーパミン受容体(D2RS)発現細胞にプラスミドを導入する。一晩培養後、基質であるEndurenを加え4時間培養し、サンプル(ドーパミン)を10-3から10-9M添加した。添加直後の30秒間、イクオリンを介した発光を連続測定した。その結果を図7図8に示した。 詳細にはCHO細胞株(ATCC寄託細胞)にドーパミン受容体(D2RS)を遺伝子導入し、安定発現する細胞株に、実施例1と同様に、Gα16、イクオリン発現プラスミド、cAMP応答性レニラルシフェラーゼプラスミドを遺伝子導入し、細胞懸濁液を調整した。安定基質である30mM Endurenを添加し、4時間培養後、ドーパミン受容体のリガンドであるドーパミン(Dopamin hydrochloride)を1.0x10-3-1.0x10-9M濃度10mL添加している96ウェルプレートに、ウェルあたり90mLの細胞懸濁液を添加した。添加直後の30秒間の発光強度の変化Berthord社製測定機アルボ(ARVO)を用いて測定した結果を示した(図7)。図7において、縦軸は、一秒当たりの発光強度(Count per Second)および横軸は、測定時間(秒)を示す。翌日、10-5Mのフォルスコリンを10uL添加し、6時間培養を続けた。レニラルシフェラーゼの活性を測定した結果を示した(図8)。図8において縦軸は、一秒当たりの発光強度(Count per Second)および横軸は、ドーパミンの濃度を示す。フォルスコリンによって刺激されたレニラルシフェラーゼの活性が低下した。これらの結果から、ドーパミン受容体は、GiタイプのGPCRであることがわかる。 酵素の発光基質として、ネイティブセレンテラジンと安定基質であるEndurenを用いて連続測定系を比較した。CHO細胞にプラスミドを導入する。一晩培養後、基質である30mM Endurenまたは30mM ネイティブセレンテラジンを加え4時間培養し、サンプル(ATP 10-3から10-9M:フォルスコリン10-6から10-12M)を添加した。添加直後の30秒間、イクオリンを介した発光を連続測定した。溶媒の値で割った相対強度を誘導倍率で示した。その結果を図8に示す。 詳細にはCHO細胞株(ATCC寄託細胞)に、実施例1と同様に、Gα16、イクオリン発現プラスミド、cAMP応答性レニラルシフェラーゼプラスミドを遺伝子導入し、細胞懸濁液を調整した。懸濁液に、安定基質である30mMのEndurenを6.5mL、同様に、30mMのネイティブセレンテラジンを添加し、4時間培養後、プリン受容体のリガンドであるATP(Adenosine 5’-triphosphate disodium hydrate)を10-3 −10-9M濃度10mL添加しておいた96ウェルプレートに、ウェルあたり90mLの細胞懸濁液を添加した。添加直後の30秒間Berthord社製測定機アルボ(ARVO)を用いて測定した発光強度の最大値の相対活性を示した(図9)。図9において、縦軸は、溶媒の値で割った相対活性(Fold induction)および横軸は、リガンドの濃度(M)を示す。ATPとフォルスコリンをリガンドとして用いた。ATPによっておこるカルシウムの応答はいずれの基質でもイクオリンの発光で測定できることがわかる。これに対して、その後培養を続け、6時間後にレニラルシフェラーゼの活性をアルボで測定した結果を示した(図10)。図10において縦軸は、一秒当たりの発光強度(Count per Second)および横軸は、リガンドの濃度を示す。Endurenはフォルスコリンによって引き起こされたcAMPの誘導を検出できたが、ネイティブセレンテラジンでは検出できないことがわかる。本発明は、細胞内のカルシウムの応答、遺伝子発現を連続測定し受容体のアゴニスト、アンタゴニストをスクリーニングする方法に関するものであり、複数のアッセイを連続的に行えるため、産業上の利用可能性を当然に有する。細胞内カルシウムの上昇を、クラゲのカルシウム応答性のイクオリン発光タンパク質及びそれらの機能的な同等物からなる群より選択されたカルシウム応答性の発光タンパク質を用いて測定し、その後遺伝子発現の誘導及び抑制をカルシウム非応答性レニラルシフェラーゼ及びそれらの機能的な同等物からなる群より選択されたレポーター遺伝子を用いて測定するレポータージーンアッセイ法を細胞を生存させたまま同一容器内で同一基質を用いて連続して測定する方法。Gタンパク質共役型受容体、Gα16サブユニットまた他のαサブユニットとのキメラタンパク質、カルシウム応答性発光たんぱく質を発現する細胞を用いて化合物が結合して生じる細胞内のカルシウム上昇をカルシウム応答性の発光タンパク質を用いて測定する方法と、遺伝子発現の誘導及び抑制をカルシウム非応答性のレニラルシフェラーゼ及びそれらの機能的な同等物からなる群より選択されたレポーター遺伝子として測定するレポータージーンアッセイ法、細胞に発現する内在GPCRに対するリガンドを加えてカルシウムの応答を測定することで細胞毒性を評価する方法を細胞を生存させたまま同一容器内で同一基質を用いて連続して又は必要項目を選択して連続的に行う方法。チロシンキナーゼ受容体、カルシウム応答性発光たんぱく質を発現する細胞を用いて化合物が結合して生じる細胞内のカルシウム上昇をカルシウム応答性の発光タンパク質を用いて測定する方法と、遺伝子発現の誘導及び抑制をカルシウム非応答性のレニラルシフェラーゼ及びそれらの機能的な同等物からなる群より選択されたレポーター遺伝子として測定するレポータージーンアッセイ法を細胞を生存させたまま同一容器内で同一基質を用いて一度に連続して又は必要項目を選択して連続的に行う方法。イオンチャンネル、カルシウム応答性発光たんぱく質を発現する細胞を用いて化合物が結合して生じる細胞内のカルシウム上昇をカルシウム応答性の発光タンパク質を用いて測定する方法と、遺伝子発現の誘導及び抑制をカルシウム非応答性のレニラルシフェラーゼ及びそれらの機能的な同等物からなる群より選択されたレポーター遺伝子として測定するレポータージーンアッセイ法を細胞を生存させたまま同一容器内で同一基質を用いて一度に連続して又は必要項目を選択して連続的に行う方法。受容体に作用するアゴニスト、アンタゴニスト作用物質から選択されるリガンドを検定するものである請求項1から4のいずれかに記載の方法。クラゲのカルシウム応答性のイクオリン発光タンパク質及びそれらの機能的な同等物と、カルシウム非応答性のレポーター遺伝子を共発現する細胞株。クラゲのカルシウム応答性のイクオリン発光タンパク質を発現させるプラスミドDNA及びそれらの機能的な同等物と、カルシウム非応答性のレニラルシフェラーゼ及びそれらの機能的な同等物からなる群より選択されたレポーター遺伝子プラスミドを含む、カルシウム応答、及び、遺伝子発現測定キット。 受容体を介した細胞内のカルシウム上昇を細胞質、またはミトコンドリアに局在させたカルシウム応答性の発光タンパク質と細胞内のセカンドメッセンジャーに応答するプロモーターの下流にレニラ由来のルシフェラーゼをつなげたレポーター遺伝子を用いる。細胞内に長時間安定して存在できるセレンテラジン誘導体を両たんぱく質の基質として用いて、一過的に数秒間おこる細胞内のカルシウムの増加をカルシウム応答性の発光タンパク質で測定し、その後新たな基質を添加することなく細胞を生存させたまま、数時間培養をつづけてレポーターアッセイ法により遺伝子発現の増減を連続して測定し、さらに必要であれば活性阻害が細胞毒性によるものかどうかの評価測定を行う。配列表20090406A16333請求項23Gタンパク質共役型受容体、Gα16サブユニットまた他のαサブユニットとのキメラタンパク質、カルシウム応答性発光たんぱく質を発現する細胞を用いて化合物が結合して生じる細胞内のカルシウム上昇をカルシウム応答性の発光タンパク質を用いて測定する方法と、遺伝子発現の誘導及び抑制をカルシウム非応答性のレニラルシフェラーゼ及びそれらの機能的な同等物からなる群より選択されたレポーター遺伝子として測定するレポータージーンアッセイ法、細胞に発現する内在GPCRに対するリガンドを加えてカルシウムの応答を測定することで細胞毒性を評価する方法を細胞を生存させたまま同一容器内で同一基質を用いて連続して又は必要項目を選択して連続的に行う方法。A1633000033Gタンパク質共役型受容体は、細胞内でのセカンドメッセンジャーの種類によって大きく3種類に分類されている(非特許文献1)。 (A)Gq:ホスフォリパーゼCを介した細胞内カルシウムの応答。 (B)Gs:アデニレートサイクラーゼを刺激しcAMP濃度を上昇させる。 (C)Gi:アデニレートサイクラーゼを阻害しcAMP濃度を低下させる。これらセカンドメッセンジャーの種類に応じて、カルシウムに反応するFluo3,Fura2などの蛍光色素をもちいたアッセイ法(FLIPR)(非特許文献2、3)や、alphascreen, flash plate, ELISAなどにより細胞内のcAMPや遊離したIP3を定量する方法(非特許文献4)、放射ラベルしたGTPγSのGαサブユニットへの取り込みを測定する方法(非特許文献5)などが用いられてきた。A1633000043 さらに改良として、これらの3種類のGPCRに反応する血球細胞特異的に発現しているGαのサブユニットの一種であるGα16/15やGz等のキメラタンパク質を用いて、Gs,GiをGqタイプのカルシウム応答に置き換える方法などが開発されてきた(非特許文献6、7、8)。しかし、いくつかのGPCRでは、カルシウム応答にスイッチできないもの、またシグナルが弱く、感度が十分確保できないなどの問題が報告されていた(非特許文献6)。 従って、特に、リガンドが不明なオーファンレセプターのリガンドをランダムスクリーニングする場合などには、上記のいくつかの方法を組み合わせて個別に実験を行う必要があった。A1633000063 これまでカルシウムの応答と遺伝子発現の誘導および阻害をそれぞれ個別に独立した試験系の中で実験し、測定する必要があった。たとえば、Gqタイプのシグナルをフラッシュタイプの発光タンパク質のカルシウム応答で測定し、次にGsに関したシグナルのみを測定する等である。本発明を用いれば、細胞を生存させたままこれらの複数のアッセイを同一細胞、同一条件で同時に測定できるため、より精密な評価が可能になり、かつ多大なコスト削減を図ることができる。一例として、Gタンパク質共役型受容体活性測定の場合、共役するGs,Gi、Gqを後に測定し分別しなければならない。本発明は、このような測定を一連の操作で細胞を生存させたまま、同一細胞、同一条件でしかも同一基質を用いて同一容器内で測定することを可能ならしめた。また一連の操作内で活性阻害が細胞毒性による影響かどうかの確認も行うことが可能となった。A1633000073本発明は、Gタンパク質共役型受容体を介した細胞内のカルシウム上昇を測定するために細胞質、またはミトコンドリアに局在させたカルシウム応答性のフラッシュタイプの発光タンパク質(エクオリン、オベリンなど)と細胞内のcAMPの増減に応答するプロモーターの下流にカルシウム非感受性のウミシイタケ由来のレニラルシフェラーゼをつなげたレポーター遺伝子を用いる。細胞内に長時間安定して存在できるセレンテラジン誘導体を用いて、始めにカルシウム応答性の発光タンパク質を測定し、その後、数時間培養をつづけレポーターアッセイ法によりcAMPの増加によって誘導されるレニラルシフェラーゼの活性を測定する。さらに、アデニレートサイクラーゼを活性化するフォルスコリンを続けて細胞に添加し、化合物がアデニレートサイクラーゼの活性化を阻害するかどうか、レニラルシフェラーゼの活性を測定し調べる。最後に、細胞に発現する内在GPCRに対するリガンドを加えカルシウムの応答を測定することで細胞毒性を評価し、アデニレートサイクラーゼの活性化の阻害が細胞毒性によって引き起こされたものでないことを調べる(図1)。イクオリンの反応は、カルシウムによって誘起され、酸素を必要とせず、フラッシュタイプの発光を示す。これに対して、レニラルシフェラーゼは、カルシウムの影響を受けず、溶解した酸素を反応に必要とし、飽和濃度の基質の存在下で長時間の発光を触媒する。つまりカルシウム応答性の発光タンパク質(イクオリン)とレニラルシフェラーゼは、ともにセレンテラジンを基質としてもちいるが反応メカニズムが異なることと、長時間持続型のセレンテラジン誘導体を併用することで、3種類(カルシウム応答、cAMPの上昇、cAMPの上昇阻害)のアッセイを新たな基質を添加することなく一度に測定する方法である。また、本発明は、cAMPの誘導および抑制に限らず、レニラルシフェラーゼの上流に用いるシスエレメントとしてマルチプルレスポンスエレメント(MRE)(非特許文献9)やカルシウム応答性の転写因子の応答エレメント(AP-1,TPA,SRE(serum response element))などを介した他の転写の活性化及び抑制(非特許文献5,10,11)の連続測定にも利用可能である。A1633000083 以上説明してきたように本発明は、カルシウム応答性のイクオリンとその後に起こる遺伝子の発現誘導・抑制をレニラ由来のルシフェラーゼをレポーター遺伝子として細胞内に同一基質を用いて共発現させることで、カルシウムの応答と遺伝子発現の応答を連続して一度で測定できるという利点がある。とくに、GPCRを対象として用いた場合、Gα16、カルシウム応答性のイクオリンとcAMPによって誘導されるレニラ由来のルシフェラーゼをレポーター遺伝子として細胞内に共発現させることで3タイプ知られているGPCRのすべての応答を一度で測定できるという利点がある。また、一度目のカルシウムの応答の結果と、cAMPを介したレニラ由来のルシフェラーゼの誘導、またフォルスコリンで強制誘導したレニラルシフェラーゼの阻害を連続して見ることで、どのGPCRのタイプに由来する反応か判定できる利点もある。また、これまで基質として用いられてきたネイティブセレンテラジンは、細胞内で不安定で細胞に添加後、数時間で分解されてしまい、連続して測定することはできなかった。本発明では、細胞内に安定的に存在できる基質をもちいることで、細胞が生存している間にカルシウム応答性のイクオリンタンパク質とレニラ由来のルシフェラーゼの反応を一度に測定することを可能にした。最後に、細胞に発現する内在GPCRに対するリガンドを加えカルシウムの応答を測定することで細胞毒性を評価し、アデニレートサイクラーゼの活性化の阻害が細胞毒性によって引き起こされたものでないかどうかを調べることも一連の操作内で連続測定可能となった。A1633000123[ミトコンドリア局在イクオリン発現ベクター(pcDNAMtAEQ)の構築方法の詳細]増幅プライマーとして、aeq-s1:5’-GGGAAGCTTATGCTTTATGATGTTCCTGAT-3’,aeq-a1:5’-GGTACCTTAGGGGACAGCTCCACCGTAGAG-3’を用いてイクオリンのコード領域(576bp)をpBIN19NucAeqプラスミド(非特許文献12)を鋳型にPCR法で増幅した。ミトコンドリアのチトクロームCオキシダーゼサブユニット8A遺伝子のエクソン1にあるミトコンドリア移行シグナル配列(100bp)をヒト健常人のゲノムDNAを鋳型として、以下のプライマーを用いてPCR法で増幅した(cyt-aeq-fus-p2:5’-TGATGTAAGCTTGACCTTCATGATCCCAAGCTTCCCCTC-3’,cyt-aeq-fus-p3:5’-GAGGGGAAGCTTGGGATCATGAAGGTCAAGCTTACATCA-3’)。得られた2つの増幅産物(576bp,100bp)をリコンビナントPCRによって融合させ得られた産物(676bp)を、KpnI,NheIで制限酵素処理し、KpnI,NheIで処理したpcDNA3.1(Invitrogen)にクローニングしイクオリン発現ベクター pcDNA3.1 MtAequorin(pcDNAMtAEQ)(図2B)を構築した。A1633000133[pcDNAGα16プラスミドの構築方法の詳細]ヒトGα16サブユニット遺伝子をヒト白血球poly-A RNAよりRT-PCR法にて以下のプライマーを用いて増幅させた(Gα16-s2:5’-CTCGAGTCTAGACCACCATGGCCCGCTCGCTGACCTGG-3’,Gα16-a2:5’-GGTACCTCACAGCAGGTTGATCTC-3’)。増幅産物をクローニングベクター(pGEM-T:プロメガ社)にサブクローニングして塩基配列を決定し、Genbankに登録されているヒトGα16サブユニット遺伝子のそれと同一であることを確認した。上記DNAをインサートDNAとしてCMVプロモーターを有する発現ベクターpcDNA3.1(インビトロゲン社)のNheI,Kpn1サイトにクローニングし、Gα16サブユニット発現ベクター pcDNA3.1human Gα16(pcDNAGα16)(図2C)を構築した。A1633000143 本実施例においては、GqタイプのGPCRの応答を連続測定した。 始めにCHO細胞にプラスミド(pcDNAMtAEQ, pcDNAGα16, pGL3 CRE-Renilla)を導入する。一晩培養後、基質であるEndurenを加え4時間培養し、サンプル(ATP)を10-3から10-9M添加した。添加直後の30秒間、イクオリンを介した発光を連続測定した。その結果を図3図4に示した。詳細には、プリン受容体を発現するCHO細胞株(ATCC寄託細胞)を10cm2シャーレに細胞濃度1.5x105cell/mlで播種した。翌日、シャーレあたり2.2ngのGα16(pcDNAGα16)、3μgのイクオリン発現プラスミド(pcDNAMtAequorin)、3μgのcAMP応答性レニラルシフェラーゼプラスミド(pGL3CRE-Renilla)を18μLのFuGENE6(ロッシュ社製、登録商標)を用いて遺伝子導入した。翌日、シャーレに400μLのトリプシン・EDTA溶液を添加し、細胞をシャーレより剥がし、13mLのDMEM/F12 FCS培地に懸濁した。懸濁液に、安定基質である60mMのEndurenを6.5μL添加し、4時間培養後、プリン受容体のリガンドであるATP(Adenosine 5’-triphosphate disodium hydrate)を10-3 −10-9M濃度10μL添加しておいた96ウェルプレートに、ウェルあたり90μLの細胞懸濁液を添加した。添加直後の30秒間の発光強度の変化をBerthord社製測定機アルボ(ARVO)を用いて測定した結果を示した(図3)。図3において、縦軸は、一秒当たりの発光強度(Count per Second)および横軸は、測定時間(秒)を示す。その後培養を続け、6時間後にレニラルシフェラーゼの活性をアルボで測定した結果を示した(図4)。図4において縦軸は、一秒当たりの発光強度(Count per Second)および横軸は、ATPの濃度を示す。プリン受容体は、cAMPを介したレニラルシフェラーゼの誘導は起こらず、GqタイプのGPCRであることがわかる。A1633000153 本実施例においては、GsタイプのGPCRの応答を連続測定する。 始めにセロトニンレセプター発現細胞にプラスミド(pcDNAMtAEQ,pcDNAGα16,pGL3 CRE-Renilla)を導入する。一晩培養後、基質であるEndurenを加え4時間培養し、サンプル(Serotonin)を2.5x10-6から2.5x10-12M添加した。添加直後の30秒間、イクオリンを介した発光を連続測定した。その結果を図5図6に示した。 詳細には、CHO細胞株(ATCC寄託細胞)にセロトニン受容体(5HT2A)を遺伝子導入し、安定発現する細胞株に、実施例1と同様に、Gα16、イクオリン発現プラスミド、cAMP応答性レニラルシフェラーゼプラスミドを遺伝子導入し、細胞懸濁液を調整した。安定基質である30μM Endurenを添加し、4時間培養後、セロトニン受容体のリガンドであるセロトニン(Serotonin hydrochloride)を2.5x10-6-2.5x10-12M濃度10μL添加している96ウェルプレートに、ウェルあたり90μLの細胞懸濁液を添加した。添加直後の30秒間の発光強度の変化をBerthord社製測定機アルボ(ARVO)を用いて測定した結果を示した(図5)。図5において、縦軸は、一秒当たりの発光強度(Count per Second)および横軸は、測定時間(秒)を示す。その後6時間培養を続け、レニラルシフェラーゼの活性を測定した結果を示した(図6)。図6において縦軸は、一秒当たりの発光強度(Count per Second)および横軸は、セロトニンの濃度を示す。cAMPを介したレニラルシフェラーゼの上昇(誘導)が認められたことから、セロトニン受容体は、GsタイプのGPCRであることがわかる。A1633000163 本実施例においては、GiタイプのGPCRの応答を連続測定した。 始めにドーパミン受容体(D2RS)発現細胞にプラスミドを導入する。一晩培養後、基質であるEndurenを加え4時間培養し、サンプル(ドーパミン)を10-3から10-9M添加した。添加直後の30秒間、イクオリンを介した発光を連続測定した。その結果を図7図8に示した。 詳細にはCHO細胞株(ATCC寄託細胞)にドーパミン受容体(D2RS)を遺伝子導入し、安定発現する細胞株に、実施例1と同様に、Gα16、イクオリン発現プラスミド、cAMP応答性レニラルシフェラーゼプラスミドを遺伝子導入し、細胞懸濁液を調整した。安定基質である30μM Endurenを添加し、4時間培養後、ドーパミン受容体のリガンドであるドーパミン(Dopamin hydrochloride)を1.0x10-3-1.0x10-9M濃度10μL添加している96ウェルプレートに、ウェルあたり90μLの細胞懸濁液を添加した。添加直後の30秒間の発光強度の変化をBerthord社製測定機アルボ(ARVO)を用いて測定した結果を示した(図7)。図7において、縦軸は、一秒当たりの発光強度(Count per Second)および横軸は、測定時間(秒)を示す。翌日、10-5Mのフォルスコリンを10uL添加し、6時間培養を続けた。レニラルシフェラーゼの活性を測定した結果を示した(図8)。図8において縦軸は、一秒当たりの発光強度(Count per Second)および横軸は、ドーパミンの濃度を示す。フォルスコリンによって刺激されたレニラルシフェラーゼの活性が低下した。これらの結果から、ドーパミン受容体は、GiタイプのGPCRであることがわかる。A1633000173 酵素の発光基質として、ネイティブセレンテラジンと安定基質であるEndurenを用いて連続測定系を比較した。CHO細胞にプラスミドを導入する。一晩培養後、基質である30μM Endurenまたは30μM ネイティブセレンテラジンを加え4時間培養し、サンプル(ATP 10-3から10-9M:フォルスコリン10-6から10-12M)を添加した。添加直後の30秒間、イクオリンを介した発光を連続測定した。溶媒の値で割った相対強度を誘導倍率で示した。その結果を図9に示す。 詳細にはCHO細胞株(ATCC寄託細胞)に、実施例1と同様に、Gα16、イクオリン発現プラスミド、cAMP応答性レニラルシフェラーゼプラスミドを遺伝子導入し、細胞懸濁液を調整した。懸濁液に、安定基質である30μMのEndurenを6.5μL、同様に、30μMのネイティブセレンテラジンを添加し、4時間培養後、プリン受容体のリガンドであるATP(Adenosine 5’-triphosphate disodium hydrate)を10-3 −10-9M濃度10μL添加しておいた96ウェルプレートに、ウェルあたり90μLの細胞懸濁液を添加した。添加直後の30秒間Berthord社製測定機アルボ(ARVO)を用いて測定した発光強度の最大値の相対活性を示した(図9)。図9において、縦軸は、溶媒の値で割った相対活性(Fold induction)および横軸は、リガンドの濃度(M)を示す。ATPとフォルスコリンをリガンドとして用いた。ATPによっておこるカルシウムの応答はいずれの基質でもイクオリンの発光で測定できることがわかる。これに対して、その後培養を続け、6時間後にレニラルシフェラーゼの活性をアルボで測定した結果を示した(図10)。図10において縦軸は、一秒当たりの発光強度(Count per Second)および横軸は、リガンドの濃度を示す。Endurenはフォルスコリンによって引き起こされたcAMPの誘導を検出できたが、ネイティブセレンテラジンでは検出できないことがわかる。