タイトル: | 公開特許公報(A)_イミン化合物の製法 |
出願番号: | 2007059762 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07C 249/02,C07C 251/24,B01J 31/06,B01J 37/16,B01J 37/08,C07D 217/02,C07D 209/08,C07B 61/00 |
小林 修 宮嵜 洋二 森田 真正 JP 2008222584 公開特許公報(A) 20080925 2007059762 20070309 イミン化合物の製法 独立行政法人科学技術振興機構 503360115 下田 昭 100110249 赤尾 謙一郎 100113022 小林 修 宮嵜 洋二 森田 真正 C07C 249/02 20060101AFI20080829BHJP C07C 251/24 20060101ALI20080829BHJP B01J 31/06 20060101ALI20080829BHJP B01J 37/16 20060101ALI20080829BHJP B01J 37/08 20060101ALI20080829BHJP C07D 217/02 20060101ALI20080829BHJP C07D 209/08 20060101ALI20080829BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080829BHJP JPC07C249/02C07C251/24B01J31/06 ZB01J37/16B01J37/08C07D217/02C07D209/08C07B61/00 300 7 OL 12 4C034 4C204 4G169 4H006 4H039 4C034AA10 4C204AB01 4C204BB04 4C204CB03 4C204DB01 4C204EB01 4C204FB01 4C204GB01 4G169AA03 4G169AA08 4G169BA22A 4G169BA22B 4G169BA27C 4G169BB08C 4G169BB19C 4G169BB20C 4G169BC16C 4G169BC33A 4G169BC33B 4G169BC33C 4G169BD03C 4G169BD05C 4G169BE27C 4G169BE33C 4G169BE37A 4G169BE37B 4G169CB07 4G169DA08 4G169EA01Y 4G169EB19 4G169FA01 4G169FA02 4G169FB04 4G169FB29 4G169FB45 4G169FB80 4G169FC02 4G169FC03 4H006AA02 4H006AC52 4H006AC59 4H006BA05 4H006BA55 4H006BA81 4H006BA85 4H039CA99 4H039CC10 4H039CC20 この発明は、高分子担持金クラスター触媒の存在下でアミン化合物を酸化してイミン化合物を製造する方法に関する。 有機合成化学において、イミンは種々の求核試薬に対して高い反応性を示すことから、様々な有用物質合成の鍵中間体として位置づけられ、イミンを対応するアミンの酸化によって得る反応はよく知られている(非特許文献1)。 一方、本発明者らは、マイクロカプセル化法を用いてスチレン系高分子に遷移金属ナノサイズクラスターを担持することにより、パラジウムや白金に於いて非常に高活性な触媒の製造が出来ることを見出した(非特許文献2〜3、特許文献1)。 更に、本発明者らは、ポリスチレン誘導体に金ナノクラスターを担持させることにより高分子カルセランド型金触媒を調製し、アルコールを酸化して高収率で対応するケトン体を得ている(特願2006-65982)。WO2005/085307Chem. Comm., 2001, 461-462.J.Am.Chem.Soc. 127, 2125-2135(2005)Synlett 2005, 813-816. 本発明は、回収再使用可能な触媒の存在下で、酸素を酸化剤として用いて、特定構造のアミン化合物を酸化してイミン化合物を製造する方法を提供する。 金のナノサイズクラスターをスチレン系高分子に担持させて成る酸化反応用高分子担持金クラスター触媒(特願2006-65982)を、アミンの酸化反応に適用したところ、加熱が必要ではあるものの、良好な収率でイミンが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。 即ち、本発明は、液相で、高分子担持金クラスター触媒の存在下で、下式(式中、R1は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基又はアラルキル基、R2はアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表し、R2はアミノ基を構成する窒素原子及びアラルキル基を構成する炭素原子と共に脂肪族の5員環又は6員環を形成してもよい。xは1又は2、yは0〜5の整数を表す。)で表されるアミン化合物を酸素又は空気雰囲気下で60〜180℃で加熱することから成る、下式(式中、R1、R2、x及びyは上記と同様である。)で表されるイミン化合物を製造する方法であって、該高分子担持金クラスター触媒が、金のナノサイズクラスターをスチレン系高分子に担持させて成り、該スチレン系高分子はスチレンモノマーをベースとし、その主鎖又はベンゼン環に架橋性官能基を有する親水性側鎖を有し、該架橋性官能基としてエポキシ基と水酸基を有する高分子であり、該スチレン系高分子のエポキシ基と水酸基とを架橋させて成る、イミン化合物の製法である。 本発明により、酸化剤として気体酸素又は空気を使用して、特定のアミン化合物を酸化することにより対応するイミン化合物を合成できる。本反応では回収再使用可能な固定化金ナノクラスター触媒を使用するため、コスト低減を達成できるのみならず環境に優しい合成プロセスを構築できる。生成するイミン化合物は、様々な医薬品原料などの合成に用いることのできる中間体として有用である。 本発明で用いる触媒は、金のナノサイズクラスターが、スチレン系高分子との相互作用によりポリマーに微小クラスターとして担持された形態を有する。 金をスチレン系高分子に担持させる方法としては、特に限定されないが、例えば上記したごとき構造を有する高分子と金前駆体とを、a)適当な極性の良溶媒に溶解し還元剤と混合した後適当な極性の貧溶媒で凝集させる、b)適当な非極性又は低極性の良溶媒に溶解し還元剤と混合した後適当な極性の貧溶媒で凝集させる、ことにより行われる。 金クラスターはスチレン系高分子の芳香環との相互作用により担持されている。 尚、極性の良溶媒としてはテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などがあり、非極性又は低極性の良溶媒としてはトルエン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが使用できる。極性の貧溶媒としてはメタノール、エタノール、ブタノール、アミルアルコールなどがあり、非極性の貧溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、オクタンなどが使用できる。金クラスターを架橋性ポリマーに担持する際の、ポリマーの濃度は用いる溶媒やポリマーの分子量によっても異なるが、約5.0〜200 mg/mL、好ましくは10〜100 mg/mlである。1価又は3価の金化合物は、ポリマー1gに対して、0.01〜0.5 mmol、好ましくは0.03〜0.2 mmol使用する。還元剤は、還元に必要な量の1〜10当量使用するが、例えば1価の金化合物を水素化ホウ素ナトリウムで還元する場合の水素化ホウ素ナトリウムは、金化合物の0.5〜5倍モルが好適である。還元に必要な温度及び時間は金化合物や還元剤の種類によるが、通常は0℃〜50℃の間、好ましくは室温で、1〜24時間で行われる。相分離する際の貧溶媒は、良溶媒に対して1〜10(v/v)倍量、好ましくは2〜5倍量使用し、0.5〜5時間程度で滴下する。 金前駆体としては、1価又は3価の金化合物を用いる。このような金化合物として、ハロゲン化金、ハロゲン化金のトリフェニルホスフィン錯体が挙げられる。ハロゲン化金のトリフェニルホスフィン錯体として、AuCl(PPh3)が挙げられる。 このような金化合物を還元剤を用いて還元することにより、ナノサイズの金クラスターがスチレン形高分子に担持される。このような還元剤として、水素化ホウ素化合物、水素化アルミニウム化合物又は水素化ケイ素化合物、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム又はボランを用いることができる。 本発明のスチレン系高分子はスチレンモノマーをベースとした高分子であり、その主鎖又はベンゼン環に架橋性官能基を有する親水性側鎖を有する。 この架橋性官能基を有する親水性側鎖は、親水性を有する架橋性官能基のみから成るものであっても、親水性側鎖の主鎖に架橋性官能基が付いたものでもよい。 架橋性官能基の一方は、エポキシ基である。 もう一方の架橋性官能基は水酸基である。 親水性側鎖の主鎖としては、比較的短いアルキル基、例えば、炭素数が1〜6程度のアルキレン基であってもよいが、−R3(OR4)u−、−R3(COOR4)v−、又は−R3(COOR4)w(OR4)z−(式中、R3は共有結合又は炭素数1〜6、好ましくは共有結合又は1〜2のアルキレン基を表し、R4はそれぞれ独立して炭素数2〜4、好ましくは2のアルキレン基を表し、u、v及びzは1〜10の整数、wは1又は2を表す。)で表される主鎖をもつものが親水性であるため好ましい。このような好ましい主鎖として、−CH2(OC2H4)4−や−CO(OC2H4)4−等が挙げられる。 このようなスチレン系高分子として、例えば、下式(化4)(式中、Xaはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)又は下式(化5)(式中、Xbはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)で表される構造を有するモノマーを全モノマー中に5〜60%含み、下式(化6)(式中、Xcはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)又は下式(化7)(式中、Xdはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)で表される構造を有するモノマーを全モノマー中に10〜60%含み、かつこれらの合計が100%以下となるように含み、更にこれらの合計が100%未満の場合には残部としてスチレンモノマーを含むモノマー混合物を共重合して得られたスチレン系高分子が挙げられる。 好ましいスチレン系高分子として、下記の高分子が挙げられる。 式中、l、m及びnは構成モノマーのモル比を表し、(l+m+n)に対して、mは5〜60%、好ましくは10〜50%、nは10〜60%、好ましくは20〜50%であり、ただし、m+nは100%以下である。lは残部である。oは0〜5の整数、pは1〜6の整数を表す。 このようなスチレン系高分子と上記の金前駆体を、上記のような適当な溶媒に還元剤と共に溶解し、その後、高分子に対する貧溶媒を加えることにより、金クラスター含有高分子を相分離させることができる。 この場合、金前駆体がまず還元を受ける。金前駆体に配位子が結合していた場合は、その際に配位子が脱離する。還元された金はクラスターとして高分子の疎水性部分に取り込まれ、高分子の芳香環から電子供与を受け微小な状態でも安定化される。 これに担持されている金クラスター1個の平均径は20nm以下、好ましくは0.3〜20nm、より好ましくは0.3〜10nm、更に好ましくは0.3〜5nm、より更に好ましくは0.3〜2nm、よりより更に好ましいのは0.3〜1nmであり、数多くの金クラスターがミセルの疎水性部分(スチレン系高分子の芳香環)に均一に分散して存在していると考えられる。このように金属が微小なクラスター(微小金属塊)となっているため、高い触媒活性を示すことができる。 このように金クラスターを担持したミセルは、架橋性官能基(エポキシ基と水酸基)により架橋することができる。架橋することにより金クラスターは安定化すると共に種々の溶剤に対して不溶化し、担持した金クラスターの漏れを防止することが出来る。 架橋反応により、金クラスターを担持した高分子鎖同士を結合させることや、架橋基を有する材料など適当な担体に結合させることもできる。 架橋反応は、加熱や紫外線照射、好ましくは加熱により架橋性官能基を反応させることにより行う。架橋反応は、これらの方法以外にも、使用する直鎖型有機高分子化合物を架橋するための従来公知の方法である、例えば架橋剤を用いる方法、過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合触媒を用いる方法、酸又は塩基を添加して加熱する方法、例えばカルボジイミド類のような脱水縮合剤と適当な架橋剤を組み合わせて反応させる方法等に準じても行うことができる。 架橋性官能基を加熱により架橋させる際の温度は、通常50〜200℃、好ましくは70〜180℃、より好ましくは100〜160℃である。 加熱架橋反応させる際の反応時間は、通常0.1〜100時間、好ましくは1〜50時間、より好ましくは2〜10時間である。 本ナノサイズ金クラスターを、塊や膜としたり、担体に固定することもできる。ガラス、シリカゲル、樹脂などの担体表面の架橋性官能基(例えば、水酸基やアミノ基など)と金含有ポリマーの架橋性官能基とを架橋反応させると、本発明の高分子担持金クラスターは担体表面に強固に固定される。また、適当な樹脂やガラスの反応容器の表面に、ミセルの架橋性官能基を使用して、本発明の高分子担持金クラスター組成物を固定化すれば、より再使用が簡便な触媒担持反応容器として使用できる。 このようにして得られた架橋型金含有ポリマーミセルは多くの空孔を有しており、適当な溶剤で膨潤して表面積を拡大する。また担持された金は数ナノメートル以下の非常に小さいクラスターを形成する。 本発明においては、この高分子担持金クラスター触媒を、アミン化合物の酸化反応に用いる。 アミン化合物は下式で表される。 式中、R1は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。アルキル基の炭素数は好ましくは1〜10である。アリール基としてはフェニル基が好ましい。アラルキル基としてはベンジル基が好ましい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。 R2はアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。アルキル基及びアルコキシ基の炭素数は好ましくは1〜4である。ハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。 R2はアミノ基を構成する窒素原子及びアラルキル基を構成する炭素原子と共に脂肪族の5員環又は6員環を形成してもよい。 xは1又は2を表す。 yは0〜5の整数、好ましくは0又は1を表す。yが2以上の場合、R2はそれぞれ同じであっても異なってもよい。 本発明の製法は、酸素雰囲気下又は空気雰囲気下で行われる。そのため、酸素ガス又は空気を用いることができる。 またこの反応は、60〜180℃、好ましくは80〜140℃に加熱して行われる。この反応温度以下では、反応が遅くなるので好ましくない。 この反応は、好ましくは以下のような条件下で行なわれる。 反応溶媒として、高分子を膨潤させ基質を溶解するものであれば、単一溶媒でも混合溶媒でも使用できる。例えば、水と有機溶媒の混合溶媒が有効な場合もある。 基質の濃度は、通常0.01〜1 mmol/ml、好ましくは0.05〜0.5 mmol/mlである。 触媒の濃度は、通常0.0001〜0.1 mmol/ml、好ましくは0.0005〜0.005 mmol/mlである。 反応時間は、1〜50時間である。 その結果、下式の反応により対応するイミン化合物が得られる。(式中、R1、R2、x及びyは上記と同様である。) 生成したイミン化合物は、更に種々の反応を経て有用な化合物を合成するための中間体として有用である。 例えば、アミン化合物からイミン化合物へ変換する反応系中にジエンを併存させることにより、イミン化合物とジエン化合物とを反応させて所望の化合物を得ることができる。(式中、例えば、R1は上記と同じ、R5及びR7は置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、R6は3個の置換基を有するシリル基を表し、この置換基は、それぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。) 以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。 得られたイミン化合物の収率は内部標準を用いて下記条件のガスクロマトグラフィーにより定量した。標品であるイミン化合物との保持時間の一致を確認することで生成物を同定した。 Column: DB-1, (60m, Agilent Technologies), Flow rate (157kPa), Sequence, Inject: 300℃, Detect: 300℃, Int. Temp.: 100℃, Int. t. 0min, Rate:10℃/min, Fin. Temp.:300℃, Fin. T. 10 min.製造例1 150 mLのTHFにソジウムハイドライド(60% in mineral oil, 5.2g)を加え、0℃にてその反応液にテトラエチレングリコール(25.4 g, 131 mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後 1-クロロメチル-4-ビニルベンゼン(13.3 g, 87.1 mmol)を加え、さらに12時間撹拌を続けた。0℃に冷却しジエチルエーテルを加え、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、反応を停止した。水相をエーテルで抽出した後、併せた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下留去した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、テトラエチレングリコールモノ−2−フェニル−2−プロペニルエーテルを得た(20.6 g, 66.2 mmol, 76%)。1H NMR (CDCl3) δ 2.55-2.59 (m, 1H), 3.59-3.73 (m, 16H), 4.55 (s, 2H), 5.25 (d, 1H, J = 6.4 Hz), 5.53 (d, 1H, J = 18 Hz), 6.71 (dd, 1H, J = 11.0, 17.9 Hz), 7.22-7.27 (m, 3H), 7.31-7.39 (m, 2H); 13C NMR δ 61.8, 69.5, 70.5, 70.69, 70.74, 72.6, 73.0, 113.8, 126.3, 128.0, 136.0, 137.1, 138.0.製造例2 スチレン(1.9 g、18 mmol)、4−ビニルベンジルグリシジルエーテル(特許文献1(WO2005/085307)に記載の方法に従って合成した。)(3.4 g、18 mmol)、製造例1で得たテトラエチレングリコールモノ−2−フェニル−2−プロペニルエーテル(5.6 g、18 mmol)、及び2,2'−アゾ(イソブチロニトリル)(164 mg、1 mmol)をクロロホルム(9 ml)に溶解させ、脱気操作後アルゴン中で室温、48時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、THF200 mlを加えた反応液をエーテル1l中に0℃にてゆっくりと滴下し、得られた沈殿物を濾過分取した後、メタノールにて十分に洗浄した。その後、室温にて減圧乾燥させ透明ガム状固体として下式の架橋性スチレン系高分子(高分子1)(8.2g、x:y:z:=29:35:36)を得た。コポリマーのモノマー成分の比は1H−NMRにより決定した。製造例3 製造例2で得た高分子1(800 mg)と水素化ホウ素ナトリウム(7.0 mg, 0.18 mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(10 mL)溶液に、室温でクロロトリフェニルホスフィン金((C6H5)3P)AuCl)(STREM、30 mg、0.06 mmol)のTHF(2.0 ml)溶液を0.15時間手滴下し、24時間撹拌した。この混合液にヘキサン(20 ml)を加えた。析出した金クラスターを含むマイクロカプセル化高分子をろ別し、ヘキサン洗浄と減圧乾燥を行った。その後、無溶媒下150℃で5時間加熱して高分子を架橋させた。得られた固体を、THF(20 ml)続いて水(20 ml)で洗浄、減圧乾燥し、高分子固定化ナノサイズ金クラスターを842 mg得た。金の含有量はICPにより定量した(0.079 mmol/g)。得られた高分子固定化ナノサイズ金クラスターのTEMによる観察の結果、担持されたクラスターのサイズは大部分が1〜5nmであった。このようにして得た高分子固定化ナノサイズ金クラスター触媒を以下「PI-Au」という。実施例1 メトキシベンジルアミン(入手先:Aldrich社)(100 mg)を2 mlのp-キシレンに溶解し、"PI-Au"(0.59 mmol/g, 12.4 mg)を加え、酸素雰囲気下(1 atm)140℃にて24時間撹拌した。室温まで放冷後、内部標準としてアニソールを加え、触媒を濾去し、4-Methoxy-benzyl)-(4-methoxy-benzylidene)-amine(81.8 mg、収率 88 %)を得た。GC Retention time = 24.5 min この反応では、下記のように、一旦イミンが生成した後に、別のアミン分子と反応し、アンモニア分子が脱離することで、最終生成物が生成したものと考えられる。実施例2 ジベンジルアミン(入手先:東京化成工業)(100 mg)を2 mlのp-キシレンに溶解し、"PI-Au"(0.59 mmol/g, 8.6 mg)を加え、酸素雰囲気下(1 atm)140℃にて24時間撹拌した。室温まで放冷後、内部標準としてアニソールを加え、触媒を濾去し、Benzyl-benzylidene-amine(97.4 mg、収率98 %)を得た。GC Retention time = 17.9 min実施例3 テトラヒドロイソキノリン(入手先:東京化成工業)(100 mg)を2 mlのp-キシレンに溶解し、"PI-Au"(0.59 mmol/g, 12.7 mg)を加え、酸素雰囲気下(1 atm)140℃にて24時間撹拌した。室温まで放冷後、内部標準としてアニソールを加え、触媒を濾去し、3,4-Dihydro-isoquinoline(76.4 mg、収率78 %)を得た。GC Retention time = 10.9 min実施例4 インドリン(入手先:東京化成工業)(100 mg)を2 mlのp-キシレンに溶解し、"PI-Au"(0.59 mmol/g, 14.2 mg)を加え、酸素雰囲気下(1 atm)140℃にて24時間撹拌した。室温まで放冷後、内部標準としてアニソールを加え、触媒を濾去し、Indole(53.4 mg、収率(64 %)を得た。GC Retention time = 11.6 min この反応では、下記のように、一旦イミンが生成した後に、異性化反応が起き、インドールが生成したものと考えられる。実施例5 N-ベンジルアニリン(入手先:Aldrich社)(100 mg)を2 mlのp-キシレンに溶解し、"PI-Au"(0.59 mmol/g, 9.2 mg)を加え、酸素雰囲気下(1 atm)140℃にて24時間撹拌した。室温まで放冷後、内部標準としてアニソールを加え、触媒を濾去し、N-Benzylideneaniline(89.3 mg、収率90%)を得た。GC Retention time = 17.2 min 上記実施例の出発物質と生成物を下表にまとめる。 なお、ガスクロマトグラフィーによる生成物特定のための標品としては以下の化合物を用いた。(1)実施例1の生成物: p-メトキシベンジルアミン(1 g)及びp-メトキシベンズアルデヒド(1 g)を塩化メチレン(7ml)に溶解し、乾燥させたモレキュラーシーブス(3 A)とともに20時間室温にて攪拌した。反応終了後、セライトろ過をした後、減圧下に濃縮した。得られた残渣を減圧蒸留により精製し、無色のオイル状化合物(4-Methoxy-benzyl)-(4-methoxy-benzylidene)-amine)(1.3g, 70 %)を得た。b.p.= 178℃ / <1 mmHg, 1H NMR (CDCl3, 600MHz) δ3.80(s, 3H) , 3.84(s, 3H), 4.72(s, 2H), 6.88(d, 2H), 6.92(d, 2H), 7.25(d, 2H), 7.72(d, 2H), 8.28(s, 1H), GC Retention time = 24.5 min(2)実施例2の生成物:ベンジルアミン(2 g)及びベンズアルデヒド(2 g)を塩化メチレン(15ml)に溶解し、乾燥させたモレキュラーシーブス(3 A)とともに20時間室温にて攪拌した。反応終了後、セライトろ過をした後、減圧下に濃縮した。得られた残渣を減圧蒸留により精製し、無色のオイル状化合物(Benzyl-benzylidene-amine)(2.2g, 60 %)を得た。b.p.= 169-171℃ / 13 mmHg, 1H NMR (CDCl3, 600MHz) δ 4.85(s, 2H), 7.24-7.43(m, 8H), 7.77-7.80(m, 2H), 8.39(s, 1H), GC Retention time = 17.9 min(3)実施例3〜5の生成物:Aldrich社より購入したもの液相で、高分子担持金クラスター触媒の存在下で、下式(式中、R1は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基又はアラルキル基、R2はアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表し、R2はアミノ基を構成する窒素原子及びアラルキル基を構成する炭素原子と共に脂肪族の5員環又は6員環を形成してもよい。xは1又は2、yは0〜5の整数を表す。)で表されるアミン化合物を酸素又は空気雰囲気下で60〜180℃で加熱することから成る、下式(式中、R1、R2、x及びyは上記と同様である。)で表されるイミン化合物を製造する方法であって、該高分子担持金クラスター触媒が、金のナノサイズクラスターをスチレン系高分子に担持させて成り、該スチレン系高分子はスチレンモノマーをベースとし、その主鎖又はベンゼン環に架橋性官能基を有する親水性側鎖を有し、該架橋性官能基としてエポキシ基と水酸基を有する高分子であり、該スチレン系高分子のエポキシ基と水酸基とを架橋させて成る、イミン化合物の製法。前記スチレン系高分子が、下式(化3)(式中、l、m及びnは構成モノマーのモル比を表し、oは0〜5の整数、pは1〜6の整数を表す。)で表される請求項1に記載の製法。前記触媒が、1価又は3価の金化合物を、架橋性官能基を有する重量平均分子量1万から15万のスチレン系高分子の溶液中で還元剤により還元し、続いて該スチレン系高分子に対する貧溶媒を加えて相分離させることによりナノサイズ金クラスターをスチレン系高分子に担持し、さらに、該ナノサイズ金クラスターを担持したスチレン系高分子を架橋させてなる請求項1又は2に記載の製法。前記スチレン系高分子を加熱により架橋させることを特徴とする請求項3に記載の製法。前記還元剤が水素化ホウ素化合物、水素化アルミニウム化合物又は水素化ケイ素化合物である請求項3又は4に記載の製法。前記金化合物が、ハロゲン化金又はハロゲン化金のトリフェニルホスフィン錯体である請求項3〜5に記載の製法。前記金化合物が、AuCl(PPh3)である請求項6に記載の製法。 【課題】 回収再使用可能な触媒の存在下で、酸素を酸化剤として用いて、アミン化合物を酸化してイミン化合物を製造する方法を提供する。 【解決手段】 液相で、金のナノサイズクラスターをスチレン系高分子に担持させて成る酸化反応用高分子担持金クラスター触媒(特願2006-65982)の存在下で、アミン化合物を酸素又は空気雰囲気下で60〜180℃で加熱することにより、特定のイミン化合物を製造する。この高分子担持金クラスター触媒(特願2006-65982)は、金のナノサイズクラスターをスチレン系高分子に担持させて成り、該スチレン系高分子はスチレンモノマーをベースとし、その主鎖又はベンゼン環に架橋性官能基を有する親水性側鎖を有し、該架橋性官能基としてエポキシ基と水酸基を有する高分子であり、該スチレン系高分子のエポキシ基と水酸基とを架橋させて成る。 【選択図】 なし