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タイトル:再公表特許(A1)_低分子薬物内包ポリマーミセルの製造方法
出願番号:2007059349
年次:2009
IPC分類:A61K 9/107,A61K 47/30,A61K 47/34,A61K 47/16,A61K 31/7034,A61K 31/4745


特許情報キャッシュ

天野 優子 加藤 泰己 原田 充訓 柴田 直哉 齋藤 宏之 JP WO2007126110 20071108 JP2007059349 20070424 低分子薬物内包ポリマーミセルの製造方法 ナノキャリア株式会社 597144679 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 福本 積 100087871 古賀 哲次 100087413 渡辺 陽一 100117019 天野 優子 加藤 泰己 原田 充訓 柴田 直哉 齋藤 宏之 JP 2006119484 20060424 A61K 9/107 20060101AFI20090821BHJP A61K 47/30 20060101ALI20090821BHJP A61K 47/34 20060101ALI20090821BHJP A61K 47/16 20060101ALI20090821BHJP A61K 31/7034 20060101ALI20090821BHJP A61K 31/4745 20060101ALI20090821BHJP JPA61K9/107A61K47/30A61K47/34A61K47/16A61K31/7034A61K31/4745 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20090917 2008513321 18 4C076 4C086 4C076AA17 4C076CC01 4C076CC03 4C076CC27 4C076CC31 4C076CC32 4C076CC35 4C076DD51 4C076EE23 4C076EE26 4C076FF31 4C076GG46 4C086AA01 4C086AA02 4C086CB09 4C086EA10 4C086MA01 4C086MA05 4C086NA05 4C086ZB26 本発明は、リモートローディング法(又はpH勾配法)により、薬物をポリマーミセルに内包させる方法に関する。 水難溶性または疎水性の薬物の生物学的利用能を高めるべく、薬物をリポソームやポリマーミセルなどの粒子に内包した系が知られている。これらのうち、親水性ポリマーセグメントと疎水性ポリマーセグメントを有するブロックコポリマーを用い、疎水性ポリマーセグメントと薬物との疎水性結合形成能を始めとする相互作用を介して薬物を該ポリマーのミセル中に内包する方法は、広範な薬物への適用が可能であり、しかもナノメーターサイズの非常に小さな薬物内包ポリマーミセルを提供できることから、特に関心が持たれている(特許第2777530号)。腫瘍部位では新生血管に200nm程度の間隙があることが知られており、ナノメーターサイズの粒子はその間隙から漏れ出し、腫瘍へ蓄積することが知られている。薬物内包ポリマーミセルはその粒子径が大きいと腫瘍への薬物の集積性が減少してしまうことが考えられる。そのため、粒子径は200nm以下、好ましくは150nm以下であることが望ましい。また、治療効果の観点から、ポリマーミセルに内包される薬物量は多い方が望ましい。更に、薬物は往々にして高価であり、経済的及び生産的効率を考慮すると、薬物が高い収率でポリマーミセル内に内包されることが所望される。 親水性セグメントおよび疎水性セグメントを有するブロックコポリマーを使用して疎水性薬物を内包したポリマーミセルの製造方法としては、薬剤の内包率の高さやミセル粒子径の小ささの観点から、いわゆる乾固法が有利である(特開2003−342168号公報)。乾固法は、ブロックコポリマーと疎水性薬物を揮散性の有機溶媒に分散溶解して溶液を形成した後、該有機溶媒を除去し、こうして得られる残存物を水と一緒にし、次いで該残存物が水に均一分散するのに十分な時間、所定の温度で撹拌することで、制御された粒子径の薬物内包ポリマーミセルを含有する製剤を製造する。 しかしながら、乾固法は一般に薬物とポリマーミセルを長時間、例えば一晩中攪拌することを要し、また生成される薬物の内包率や粒子径も満足たる成果が得られない場合もあった。また、乾固法ではジクロロメタンやクロロホルムといった有機溶媒が一般に使用され、その毒性が懸念されてもいる。従って、そのような毒性の高い有機溶媒を使用することなく、薬物をブロックコポリマーに内包させる簡便な方法が所望される。 本発明の課題は、短時間でかつ簡単に、しかも高い内包率において粒子径の小さい低分子薬物内包ポリマーミセルの形成を可能にする方法の提供を課題とする。 本発明者は鋭意研究を重ねた結果、親水性及び疎水性領域からなるブロックコポリマーのミセル内に低分子薬物をいわゆるリモートローディング法(pH勾配法)により導入することで、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。 本願発明は以下の態様を含む。[1]ポリマーミセル中に低分子薬物を内包させる方法であって、以下の工程: (a)電荷を有する前記低分子薬物を水性媒体に溶解または分散し、 (b)疎水性の側鎖と、該低分子薬物とは逆の電荷をもつ側鎖とがランダムに存在する全体として疎水性の領域および親水性の領域を有するブロックコポリマーからなるポリマーミセルを含有する水性媒体を準備し、 (c)該低分子薬物を溶解または分散した水性媒体と前記ポリマーミセルを含有する該水性媒体を混合し、 (d)混合した該水性媒体を、前記低分子薬物の内包が安定化されるpHに調整する; を含んでなる方法。[2]前記電荷を有する低分子薬物を溶解または分散する水性媒体が、該薬物のpKa値の±2を超える範囲であるpHを有する水性媒体である、[1]の方法。[3]前記電荷を有する低分子薬物を溶解または分散する水性媒体が、該薬物のpKa値の±3を超える範囲であるpHを有する水性媒体である、[2]の方法。[4]前記低分子薬物の内包が安定化されるpHが、該低分子薬物のpKaとほぼ同一である、[1]〜[3]のいずれかの方法。[5]更に、前記混合した水性媒体にエネルギーを与えることを含む、[1]〜[4]のいずれかの方法。[6]前記ブロックコポリマーの親水性領域がポリエチレングリコール(PEG)である、[1]〜[5]のいずれかの方法。[7]前記疎水性の側鎖と、前記低分子薬物とは逆の電荷をもつ側鎖とがランダムに存在する前記全体として疎水性の領域がアミノ酸および/又はその誘導体からなる、[1]〜[6]のいずれかの方法。[8]前記アミノ酸および/又はその誘導体がグルタミン酸またはアスパラギン酸および/又はそれらの誘導体である、[7]の方法。[9]前記アミノ酸および/又はその誘導体がリジンおよび/又はその誘導体である、[7]の方法。[10]前記低分子薬物が、付加塩の形態の抗がん剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗生物質、麻酔薬及び鎮痛剤からなる群から選ばれるである、[1]〜[9]のいずれかの方法。 本発明により、短時間でかつ簡単に、しかも高い内包率において粒子径の小さい低分子薬物内包ポリマーミセルの形成が可能となる。また、本発明において使用する空ミセルは大量調製が可能である。それ故本発明によれば大量に調製しておいた空ミセルに低分子薬物を簡単に内包させることができるため、本発明は低分子薬物内包ミセルのスクリーニングにも利用できる。 本発明者は、驚くべきことに、親水性及び全体として疎水性の領域からなるブロックコポリマーのミセル内に低分子薬物をリモートローディング法により導入することで、短時間でかつ簡単に、しかも高い内包率において粒子径の小さい低分子薬物内包ポリマーミセルの形成が可能となることを見出した。 リモートローディング法(pH勾配法)は内包すべき薬物のpHによる分子型/イオン型の解離平衡の移動を利用した方法であり、リポソームへの薬物の内包に慣用されている(例えば、Hwang SH,et al.Int J Pharm 179,85−95(1999);Wang JP,et al.Pharm Res 17,782−787(2000);Jia L et al.J Pharm Biomed Anal 28,65−72(2002);Eliaz RE et al.Cancer Res 61,2592−2601(2001))。しかしながら、空リポソームに薬物をリモートローディング法で内包する場合でも、一般に空リポソームの調製に1日を要し、更に薬物を内包させるために短くても1〜2時間を要する。しかしながら、本発明者はリモートローディング法を親水性及び全体として疎水性の領域からなるブロックコポリマーの空ミセル内への低分子薬物の内包に適用すると、驚くべきことに低分子薬物は空ミセルに混合されて瞬時に空ミセル内に内包されることを見出した。 本発明でいうリモートローディング法(又はpH勾配法)とは、ポリマーミセル内のpHを外部環境のpHとの間に勾配を設けることにより、解離状態でミセル内に進入した低分子薬剤を安定に保持させる方法である。例えば、全体として疎水性の領域にカルボキシル基を側鎖としてもつような本発明に係るブロックコポリマーの場合、それにより形成されるポリマーミセル(空ミセル)はPBSの如き中性から弱塩基性の水性媒体の中では負の電荷を帯びる。一方、例えばpKaが8.22の塩酸ドキソルビンシンはギ酸緩衝液やクエン酸緩衝液等の酸性条件下では正の電荷を帯び、溶解度が上昇する。そこで、このような水性媒体に分散させた空ミセルを、酸性の水性溶媒に溶解した薬物と混合し、その後その溶液のpHを徐々に中性付近、例えばpH7.4付近に上昇させると、カルボキシル基とのイオン結合により低分子薬物がミセル内に内包され、更に疎水性の部分によって一層安定に低分子薬物が保持されるものと考えられる。 具体的には、本発明の方法は以下の工程を含む。 (a)電荷を有する前記低分子薬物を水性媒体に溶解または分散し、(b)疎水性の側鎖と、該低分子薬物とは逆の電荷をもつ側鎖とがランダムに存在する全体として疎水性の領域および親水性の領域を有するブロックコポリマーからなるポリマーミセルを含有する水性媒体を準備し、 (c)該低分子薬物を溶解または分散した水性媒体と前記ポリマーミセルを含有する該水性媒体を混合し、 (d)混合した該水性媒体を、前記低分子薬物の内包が安定化されるpHに調整する。(a)電荷を有する薬物の水性媒体への溶解または分散: 本発明の方法に従い、ポリマーミセルに効率よく内包できる低分子薬物はpHによって溶解度又は分散性が変化する低分子化合物であれば特に限定されないが、例えば塩酸塩や硫酸塩などの付加塩の形態の低分子薬物が挙げられる。本発明でいう「低分子薬物」の“低分子”とは、分子量が約2000以下、好ましくは1500以下を意味する。また、“薬物”とは医薬品に限定されず、本発明では化合物と同じ意味で使用している。 抗がん剤の例としては、例えば塩酸イリノテカン、塩酸エピルビシン、塩酸エルロチニブ、塩酸オキシコドン、塩酸ゲムシタビン、塩酸ピラルビシン、塩酸ファドロゾール、塩酸ドキソルビシン、塩酸ブレオマイシン、塩酸プロカルバジン、塩酸ノギテカン、塩酸ミトキサントロン、塩酸ミボプラチン、塩酸リブロマイシン、塩酸レバミゾール、フマル酸リアロゾール、酢酸オサテロン、酢酸クロルマジノン、酢酸ゴセレリン、メシル酸エキサテカン水和物、酢酸メゲストロール、硫酸ビンデシン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンキサルチン、硫酸ペプロマイシン、塩酸メトトレキサート、酢酸リュープロレリン、メシル酸イマチニブ、酢酸メドロキシプロゲステロン、リン酸エストラムスチンナトリウム、リン酸フルダラビン、リン酸ミプロキシフェン(多剤耐性克服剤:フマル酸ドフェキダル)などが挙げられる。 抗菌剤、抗生物質、抗ウイルス剤の例としては、例えば塩酸アモロルフィン、塩酸シプロフロキサシン、塩酸カドロフロキサシン、塩酸テマフロキサシン、塩酸ブテナフィン、塩酸テルビナフィン、塩酸ドキシサイクリン、塩酸ネチコナゾール、塩酸モキシフロキサシン、硝酸オモコナゾール、トシル酸トスフロキサシン、メシル酸オラムフロキサシン、メシル酸ゲミフロキサシン、メシル酸トロバフロキサシン、塩酸グレパフロキサシン、塩酸セファタメトピポキシル、塩酸セフォチアムヘキセチル、塩酸セフォゾプラン、塩酸セフォチアム、塩酸セフカペンピボキシル、塩酸セフマチレン、塩酸セフメノキシム、塩酸テトラサイクリン、塩酸デメテルクロルテトラサイクリン、塩酸ミノサイクリン、トシル酸スルタミシリン、トシル酸セフダロキシムペンテキシル、酢酸ミデカマイシン、硫酸アミカシン、硫酸イセパマイシン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸シソマイシン、硫酸ジベカシン、硫酸セフォセリス、硫酸セフピロム、塩酸クリンダマイシン、アシクロビル、リン酸オセルタミビル、メシル酸サキナビル、メシル酸ネルフィナビル、硫酸インジナビルエタノール付加物などが挙げられる。 麻酔薬の例としては、例えば塩酸ブピバカイン、塩酸プロカイン、塩酸メピバカインポリアンプ、塩酸メピバカイン、塩酸リドカイン、塩酸ロピバカインなどが挙げられる。 鎮痛剤の例としては、例えば塩酸オキシコドン、塩酸デクスメデトミジン、塩酸ブプレノルフィン、塩酸トラマドール、塩酸ナラトリプタン、塩酸ペンタゾシン、塩酸レミフェンタニル、マレイン酸アルモトリプタン、塩酸ロペラミド、塩酸ロメリジン、マレイン酸フルピルチン、マレイン酸プログルメタシン、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、硫酸モルヒネ、リン酸ジヒドロコデインなどが挙げられる。 使用する低分子薬物の量は特に制限されないが、一般的にはブロックコポリマーと低分子薬物の総重量に対して、0.5〜30、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10重量%が使用される。 当該低分子薬物を溶解又は分散するための水性媒体は、ブロックコポリマーおよび/又は低分子薬物に悪影響を及ぼさない限り特に限定されるものではないが、低分子薬物に対して溶解性を上昇させるために必要な正又は負の電荷を帯びさせる事ができる水性媒体が使用される。 好ましくは、上記水性媒体は低分子薬物のpKa値の±2、より好ましくはpKa値の±3を超える範囲であるpHを有する。本発明でいう「溶解または分散」の“分散”とは、水性媒体中で溶質が均一に分散され、沈殿を生じていない状態を意味する。また、本発明では、ポリマーミセルやリポソームの場合、このように均一に分散された状態を溶液という場合がある。(b)ブロックコポリマーを含んでなるポリマーミセルを含有する水性媒体の準備: 本発明の薬物内包ポリマーミセルを形成するのに用いることのできるポリマーは、親水性領域と全体として疎水性の領域からなるブロックコポリマーであり、これらのブロックコポリマーは、本発明の目的に沿うものであれば、いかなる親水性領域といかなる疎水性領域とを含むものであってもよい。 「疎水性の側鎖と、低分子薬物とは逆の電荷を持つ側鎖とがランダムに存在する全体として疎水性の領域」とは、ブロックコポリマーからなるポリマーミセルのコアを形成するために必要となる疎水性をその領域全体として有しており、その疎水性は、領域内にランダムに存在する疎水性の側鎖に起因しており、且つ、その領域内に、正または負の電荷を有する側鎖も存在する領域を意味する。ブロックコポリマーがミセルを形成しうる限り特に限定されないが、該領域内における疎水性の側鎖と低分子薬物とは逆の電荷を持つ側鎖との比は、3:7〜3:1程度が好ましく、低分子薬物が内包される量とミセル自体の安定性を考慮すると約3:2程度がより好ましい。 本発明において有用なブロックコポリマーの具体例には次のようなものが包含される。 限定されるものでないが、親水性領域としては、ポリ(エチレングリコール)[またはポリ(エチレンオキシド)]、ポリサッカライド、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリアミノ酸あるいはこれらの誘導体由来の領域が挙げられる。ここでポリサッカライドとしては、デンプン、デキストラン、フルクタン、ガラクタン等が挙げられる。これらのうち、ポリ(エチレングリコール)セグメントは片末端に種々の官能基を有するものが提供されており、また、領域の大きさも制御されたものが容易に利用できることから、好ましい。 他方、限定されるものでないが全体として、疎水性の領域としては、ポリ(アスパラギン酸)及び/又はその誘導体、ポリ(グルタミン酸)及び/又はその誘導体、例えばポリ(β−アルキルアスパルテート−コ−アスパラギン酸)、ポリ(β−アリルアスパルテート−コ−アスパラギン酸)、ポリ(β−アラルキルアスパルテート−コ−アスパラギン酸)、ポリ(γ−アルキルグルタメート−コ−グルタミン酸)、ポリ(γ−アラルキルグルタメート−コ−グルタミン酸)、ポリ(β−アルキルアスパルタミド−コ−アスパラギン酸)、ポリ(γ−アラルキルグルタミド−コ−グルタミン酸)並びにポリ(リジン)及び/又はその誘導体などのポリ(アミノ酸誘導体)を挙げることができる。 本発明で用いることのできるブロックコポリマーは、上記の親水性領域と全体として疎水性の領域からなり、水性媒体(例えば、水または緩衝化された水もしくは水混和性溶媒、メタノール、ポリエチレングリコール、糖類、等を含有する水性溶液)中でポリマーミセルを形成しうる、それぞれの分子量を有する領域の組み合わせからなるすべてを挙げることができるが、好ましくは、親水性領域がポリ(エチレングリコール)からなり、全体として疎水性の領域が上記のポリ(アミノ酸)及び/又はその誘導体からなるものである。 任意的に、このようなポリ(アミノ酸誘導体)領域は、それ自体公知の、ポリエチレングリコール−コ−ポリアスパラギン酸ベンジルエステルまたは、ポリエチレングリコール−コ−ポリグルタミン酸ベンジルエステルから調製することができる。ポリエチレングリコール−コ−ポリアスパラギン酸ベンジルエステルまたは、ポリエチレングリコール−コ−ポリグルタミン酸ベンジルエステルの調製は、肩末端が保護され、もう一方の末端がアミノ基であるポリエチレングリコール、例えば、MeO−PEG−CH2CH2CH2−NH2を開始剤として、脱水された有機溶媒中で、N−カルボキシ−β−ベンジル−L−アスパルテート(BLA−NCA)もしくは、N−カルボキシ−γ−ベンジル−L−グルタメート(BLG−NCA)を所望の重合度(アミノ酸ユニット数)となるように添加し、反応させることにより得ることができる。 上記で得られたブロックコポリマーの末端をアセチルクロライドまたは無水酢酸によりアセチル化を施した後、アルカリ加水分解によりベンジル基を除去してポリエチレングリコール−コ−ポリアスパラギン酸またはポリエチレングリコール−コ−ポリグルタミン酸とした後、有機溶媒中で、所望のエステル化率となるようにベンジルアルコールを添加し、縮合剤、例えば、N−N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはN−N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)存在下で反応させることより、部分的にベンジルエステルを有するブロックコポリマーを得ることができる。 尚、ポリエチレングリコール−コ−ポリアスパラギン酸ベンジルエステルは、アルカリ加水分解によってβ転移が生じることが知られている。本発明においては、β転移を起こしたアスパラギン酸誘導体を含むブロックコポリマーが包含されることは言うまでも無い。 アスパラギン酸、グルタミン酸は、いずれかの光学活性型のものであるか、それらの混合物であることができる。以上の親水性領域と全体として疎水性の領域は、それ自体既知の連結基、例えば、エステル結合、アミド結合、イミノ基、炭素−炭素結合、エーテル結合等を介して連結されうる。 特に、製造容易であり、本発明で都合よく使用できるブロックコポリマーとしては、下記式(I)および(II)で示すことのできるものを挙げることができる。 上記各式中R1およびR3は、それぞれ独立して、水素原子または保護されていてもよい官能基が置換したもしくは未置換低級アルキル基を表し、R2は水素原子、飽和もしくは不飽和のC1〜C29脂肪族カルボニル基またはアリールカルボニル基を表し、R4は水酸基、飽和もしくは不飽和のC1〜C30脂肪族オキシ基またはアリール−低級アルキルオキシ基を表し、R5は水素原子、フェニル基、C1〜C16アルキル基またはベンジル基を表す。(但し、R5は1つのブロックコポリマー内の各アミノ酸ユニットにおいて任意に選択可能であるが、水素原子はアミノ酸ユニット数全体に対して25%〜70%を占め、かつ疎水性の領域中にランダムに存在する。)L1およびL2は、それぞれ独立して連結基を表し、nは10〜2500の整数であり、xは10〜300となる整数であり、yは1又は2の整数を表す。保護されていてもよい官能基としては、ヒドロキシル基、アセタール基、ケタール基、アルデヒド基、糖残基等が挙げられる。R1およびR3が保護されていてもよい官能基が置換した低級アルキル基を表す場合の親水性セグメントは、例えば、WO96/33233、WO96/32434、WO97/06202に記載の方法に従うことができる。低級アルキル基とは炭素数が例えば7個以下、好ましくは4個以下の直鎖又は分枝鎖アルキル基を意味し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基などが含まれる。 連結基は、主として、ブロックコポリマーの製造方法により変化しうるので限定されるものでないが、具体的なものとしては、L1が−NH−、−O−、−O−Z−NH−、−CO−、−CH2−および−OCO−Z−NH−(ここで、Zは独立してC1〜C6アルキレン基である。)からなる群より選ばれ、L2が−OCO−Z−CO−および−NHCO−Z−CO−(ここで、ZはC1〜C6アルキレン基である。)からなる群より選ばれる基を挙げることができる。 また、本発明に係るブロックコポリマーは下記の構造を有するものものであってもよい。 上記式中、R1、R2、R3、R4、nは上記式(I)又は(II)と同義であり、mは10〜2500の整数であり、R6はフェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、C1〜C16アルキル、C1〜C16アルキルカルボン酸又は水素原子を意味する。(但し、水素原子はm個のうちの25%〜75%を占め、疎水性領域内にランダムに存在する。 低分子薬物を溶解又は分散するための水性媒体は特に限定されるものではないが、上記ブロックコポリマーの疎水性領域内のアミノ基(R6が水素原子)とは、上記薬物が逆の電荷を帯びるようにするpHを有するものでなくてはならない。 ミセル形成は、例えばブロックコポリマーを溶液に溶解して攪拌することで行うことができる。好ましくは、空ミセルの形成は超音波の如きエネルギーをかけて行う。超音波を使用する場合、例えばBioruptor(日本精機)を用い、レベル4、水冷しながら1秒間欠、5分〜10分間照射することによって行うことができる。(c)低分子薬物を溶解または分散した水性媒体と前記ポリマーミセルを含有する該水性媒体との混合 上述のとおりに準備した低分子薬物含有水性媒体とポリマーミセル含有水性媒体を混合する。その際、低分子薬物のポリマーミセルへの内包を促進すべきエネルギー、例えば超音波エネルギーをかけることが好ましい。超音波を使用する場合、例えば上記の空ミセル形式と同じ条件で行うことができる。(d)混合した水性媒体の、前記低分子薬物の内包が安定化されるpHへの調整: 次に、上述のとおりに混合した溶液のpHを調整し、当該低分子薬物がミセル中に安定に保持させるようにする。pHの調整は、前記低分子薬物の電荷をなるべく小さくするように行う。 好ましくは、pHは薬物のpKa値とほぼ同一の値、例えば±1以内、好ましくは±0.5以内、より好ましくは±0.1以内に設定する。溶液をこのようなpHに設定することで前記低分子薬物の溶解性が低下し、更に疎水性部分によって該低分子薬物がミセル中に安定に保持される。 こうして、形成した薬物内包ポリマーミセルについて、必要であれば、それを含有する水性溶液を孔径0.22μmの親水性フィルターで濾過する。0.22μmのフィルターは、通常、注射剤(静脈注射用、動脈注射用、筋肉注射用、腹腔内注射用、等)の調製に際して、使用されることが公知である。上記薬物内包ポリマーミセル水溶液は、0.22μmのフィルターを用いて除菌濾過しても、上述のとおり、極めて高収率で除菌済み薬物内包ポリマーミセル水溶液が得られることになる。すなわち、本発明によれば、注射剤が効率よく提供できる。このような注射剤は、本発明の好適な態様の一つとして、各種の糖類および/または各種のポリエチレングリコール(マクロゴール)を、除菌濾過前の薬物内包ポリマーミセル水溶液(または水性溶液)に加える工程をさらに含んでなる方法により製造できる。限定されるものでないが、使用できる糖類としては、マルトース、トレハロース、キシリトール、グルコース、スクロース、フルクトース、ラクトース、マンニトールおよびデキストリン等が挙げられ、使用できるポリエチレングリコールとしては、分子量が約1000〜約35000であって、例えば、マクロゴール1000、1540、4000、6000、20000および35000等が挙げられる。これらの助剤は、上記残存物と水とを一緒にするとき、水に含めていても、あるいは残存物からの薬物内包ポリマーミセルが水中に分散溶解した後に加え、その後、全体を除菌濾過してもよい。こうして、本発明によれば、注射剤中で薬物内包ポリマーミセルを安定化しうる助剤を注射剤に簡易、かつ、安全に加えることができる。前記低分子化合物を安定化させるためにpHを調整した結果、注射剤として投与に適さないpHとなった場合、投与直前に適当なpHに調整すればよい。 このような注射剤は簡易、かつ、安全に製造できるだけでなく、それらを凍結乾燥した場合には、乾燥製剤を水または水性溶液を用いて薬物内包ポリマーミセル含有溶液に再溶解または再構成するときでも、ミセル粒子間での凝集がほとんど起こらない注射液が提供できる。 凍結乾燥製剤が上記のような作用効果を奏するには、凍結乾燥前の溶液における糖類は、その最終濃度が0.1〜15%(w/v)になるように加え、ポリエチレングリコールはその最終濃度が0.5〜10%(w/v)になるように加えるのがよい。通常、ブロックコポリマーと糖類またはポリエチレングリコールとの割合は、それぞれ重量で1:1〜1:10または1:0.5〜1:10である。 以下に比較例、実施例を示し、本発明を具体的に示す。 以下においては、ポリエチレングリコール−ポリ(β−ベンジル−L−アスパラギン酸)ブロックコポリマーをPEG−PBLA、ポリエチレングリコール−ポリ(オクチルエステル−L−アルパラギン酸)ブロックコポリマーをPEG−POLA、ポリエチレングリコール−ポリ(γ−ベンジル−L−グルタミン酸)ブロックコポリマーをPEG−PBLGと略す。また、例えばブロックコポリマーのPEG鎖の平均分子量12,000、ポリアミノ酸鎖40残基、ポリアミノ酸側鎖のベンジル基の導入率が60%の場合、各ブロックコポリマーの後に、12−40(60)と表記し、同様にオクチルエステルの導入率が50%の場合も12−40(60)と表記し、以下の実施例においては疎水基の導入率が60%〜65%の場合、60%と表記する。実施例1:リモートローディング法による塩酸ドキソルビシン内包ミセル製剤の調製 PEG−PBLA 12−50(60)、PEG−PBLA 12−40(60)、PEG−POLA 12−40(60)、PEG−PBLG 12−40(60)、20mgをそれぞれスクリュー管に秤量し、PBS(PBS Tablets,TAKARA BIO INC.を調製法に従い調製。以下同じ。)3mLを加えた後、超音波処理を行いポリマーミセル(空ミセル)を調製した。塩酸ドキソルビシン(以下、Dox・HCl)3.5mgを25mMのギ酸緩衝液(pH3.0)1mLに溶解し、そのうち200μLを空ミセル溶液2mLと混合し、超音波処理を行った。その後、0.1mol/LのNaOHにてpHを7.4に調整し、これをDox・HCl内包ミセルとした。 調製したミセルの粒子径は、DLS−7000(大塚電子)にて測定し、Histogram results G(wt)の平均値を示した。内包率は、Sephadex G−25カラム(PD−10、GEヘルスケアバイオサイエンス)にて移動相としてPBSを用いてゲルろ過し、各フラクションのDox・HCl濃度をMicroplate reader(大日本製薬)にて480nmにおける吸光度を測定し、以下の式に当てはめ求めた。内包率(%)=ミセルピークの薬物量の合計/(ミセルピークの薬物量の合計+遊離薬物量の合計)×100 その結果を表1に示す。 粒子径は30nm未満〜47nmと小さく、内包率はPEG−PBLG 12−40(60)を除き65%〜95%と高かった。またPEG−PBLA 12−40(60)のミセルに関しては、超音波処理を行わなくても粒子径30.0nm未満、内包率87.6%のミセルが調製できた。 この結果を、pH勾配を利用することなく、Dox・HClをブロックコポリマーPLP(パルミトイルポリ−L−リジンポリエチレングリコール)やPOP(パルミトイルポリ−L−オルニチンポリエチレングリコール)に内包せしめたWO99/61512号公報に示された結果と対比する。同公報の結果との比較で超遠心分離により内包率を求めたところ、以下の表2のとおりであった。同公報に記載の150,000g×1hr処理でPOP、コレステロール+Dox・HClの内包率は、本法と同様の計算を行うと3.5%[(文献値では0.014±0.0042(Dox・HCl,POP gg−1))]、PLP、コレステロール+Dox・HClの内包率は2.9%[(文献値では0.0117±0.0015(Dox・HCl,PLP gg−1))]であった。また、前者の粒子径は361±13nm、後者は531±56nmであった。この結果と比較して、リモートローディング法により調製したミセルは粒子径が小さく、かつ内包率が極めて高いといえる。実施例2:薬物Dox・HClとPEG−PBLA 12−50(60)の重量比の検討 12−50(60) 20mgをスクリュー管に秤量し、PBS(pH7.4)3mLを加えた後、超音波処理を行いポリマーミセル(空ミセル)を調製した。Dox・HClを25mMのギ酸緩衝液(pH3.0)に3.5mg/mlの濃度で溶解し、その90μL、130μL、200μL、400μL、または800μLをそれぞれスクリュー管に取り、それぞれを空ミセル溶液2mLと混合し、超音波処理を行った。その後、0.1mol/LのNaOHにてpHを7.4に調整し、これをDox・HCl内包ミセルとした。調整したミセルの粒子径および内包率は実施例1と同様に測定を行った。結果を表3に示す。比較例1:乾固法によるDox・HCl内包ミセル製剤の調製 PEG−PBLA 12−50(60)、PEG−PBLA 12−40(60)、PEG−POLA 12−40(60)、PEG−PBLG 12−40(60) 20mgをそれぞれスクリュー管に秤量し、それぞれにDox・HCl 1mgを添加後、1mLのジクロロメタン・メタノール混合溶媒(1:1)に溶解した。窒素ガスにより溶媒を留去し、その後、蒸留水3mLを添加し、4℃にて一晩スターラーで撹拌した。撹拌後、超音波処理を行い、Dox・HCl内包ミセルとした。調整したミセルの粒子径および内包率は実施例1の表1の結果を得た方法と同様に測定を行った。結果を表4に示す。 リモートローディング法により調製したミセル(表1)と比較すると、乾固法にて調製したミセルの粒子径の方が1.2〜1.4倍大きく、内包率は同程度またはリモートローディング法で調製したミセルの方が1.2〜2.8倍高かった。比較例2:Dox・HCl内包リポソーム製剤の調製(非特許文献2および4の方法による調製) ジクロロメタンに溶解した100mg/mLのH−精製大豆レシチン(以下、HSPC)100μLと、ジクロロメタンに溶解した100mg/mLのコレステロール(以下、Chol)24μL及びジクロロメタン・エタノール混合溶媒(1:1)に溶解した50mg/mLの1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−ホスファチジルエタノールアミン−N−PEG 5000(以下、PEG−DSPE)72μLをスクリュー管にとり(HSPC:Chol:PEG−DSPE=2:1:0.1(mol))、窒素ガスにより乾燥させ、さらにデシケーター内で1.5時間乾燥させた。その後、250mMの硫酸アンモニウム1mLを添加し、60℃で加温しながら攪拌し、懸濁した後に超音波処理を行なった。続いて60℃でMini−Exruder(0.1μmPVP膜、Avanti Polar Lipids社)を用いて11回押し出し、それを透析膜(Spectra/por(登録商標)、CE,MWCO 3500)に入れ、室温において100mlの5%グルコース溶液を外液として3回透析を行ない、空リポソーム溶液とした。上記により調製した空リポソーム溶液約1mLのうち800μLと、5%グルコースに溶解した2mg/mLのDox・HCl 490μLとを混合し、65.0℃の水浴で2時間静置し、Dox・HCl内包リポソーム製剤とした。 調製後実施例1の表1の結果を得た方法と同様に粒子径および内包率を測定した。またリポソーム中のリン脂質濃度は、リン脂質測定用C−テストキット(Wako)を用い、測定を行った。その結果、粒子径は74.3mm、内包率は96.2%、リン脂質1μmol当たりのDox・HCl(μg)は83.6μg/μmolであった。 リポソームの粒子径とリモートローディング法により調製したミセルの粒子径を比較すると、ミセルの方が1.6〜2.5倍小さく、内包率はPEG−PBLA 12−40(60)と同程度であった。実施例3:塩酸イリノテカン内包ミセル製剤の調製 PEG−PBLA 12−50(60)またはPEG−PBLA 12−40(60) 20mgをスクリュー管それぞれに秤量し、PBS(pH7.4)3mLを加えた後、超音波処理を行いポリマーミセル(空ミセル)を調製した。塩酸イリノテカン(以下、CPT−11)3.5mgを50mMのクエン酸緩衝液(pH3.5)1mLに溶解し、その200μLを空ミセル溶液2mLと混合し、超音波処理を行った。その後、0.1mol/LのNaOHにてpHを7.4に調整し、これをCPT−11内包ミセルとした。また乾固法では、PEG−PBLA 12−50(60)またはPEG−PBLA 12−40(60)20mgをスクリュー管にそれぞれ秤量し、それぞれに1mgのCPT−11を添加した後、1mLのジクロロメタンに溶解させ、窒素ガスにより溶媒を留去した。その後、蒸留水3mLを添加し、4℃にて一晩スターラーで撹拌した。撹拌後、超音波処理を行い、CPT−11内包ミセルとした。調製したミセルの内包率は370nmにおける吸光度で測定した以外は実施例1の表1の結果を得た方法と同様に測定を行った。結果を表5に示す。 リモートローディング法と乾固法の内包率を比較すると、リモートローディング法で調製したミセルのCPT内包率が1.9〜2.5倍高かった。実施例4:硫酸ビンクリスチン内包ミセルの調製 PEG−PBLA 12−50(60)またはPEG−PBLA 12−40(60) 20mgをスクリュー管それぞれに秤量し、PBS(pH7.4)3mLを加え超音波処理を行いポリマーミセル(空ミセル)を調製した。硫酸ビンクリスチン(以下VCR)3.5mgを2.5mMのギ酸緩衝液(pH3.0)1mLに溶解し、その200μLを空ミセル溶液2mLと混合し超音波処理を行った。その後、0.1mol/LのNaOHにてpH7.4に調整し、これをVCR内包ミセルとした。また乾固法では、PEG−PBLA 12−50(60)またはPEG−PBLA 12−40(60)20mgをスクリュー管にそれぞれ秤量し、それぞれにVCR 1mgを添加した後、1mLのジクロロメタンを加えて溶解した。その後、窒素ガスにより溶媒を留去した。その後、蒸留水3mLを添加し4℃で一晩スターラーにて撹拌した。撹拌後、超音波処理を行い、VCR内包ミセルとした。調製したミセルの内包率は300nmにおける吸光度で測定した以外は実施例1の表1の結果を得た方法と同様に測定を行った。結果を表6に示す。 リモートローティング法で調製したミセルのVCR内包率は、乾固法に比べて1.4〜3.6倍高かった。ポリマーミセル中に低分子薬物を内包させる方法であって、以下の工程: (a)電荷を有する前記低分子薬物を水性媒体に溶解または分散し、 (b)疎水性の側鎖と、該低分子薬物とは逆の電荷をもつ側鎖とがランダムに存在する全体として疎水性の領域および親水性の領域を有するブロックコポリマーからなる前記ポリマーミセルを含有する水性媒体を準備し、 (c)該低分子薬物を溶解または分散した水性媒体と前記ポリマーミセルを含有する該水性媒体を混合し、 (d)混合した該水性媒体を、前記低分子薬物の内包が安定化されるpHに調整する; を含んでなる方法。前記電荷を有する低分子薬物を溶解または分散する水性媒体が、該薬物のpKa値の±2を超える範囲であるpHを有する水性媒体である、請求項1に記載の方法。前記電荷を有する低分子薬物を溶解または分散する水性媒体が、該薬物のpKa値の±3を超える範囲であるpHを有する水性媒体である、請求項2に記載の方法。前記低分子薬物の内包が安定化されるpHが、該低分子薬物のpKaとほぼ同一である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。更に、前記混合した水性媒体にエネルギーを与えることを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。前記ブロックコポリマーの親水性領域がポリエチレングリコール(PEG)である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。前記疎水性の側鎖と、前記低分子薬物とは逆の電荷をもつ側鎖とがランダムに存在する前記全体として疎水性の領域がアミノ酸および/又はその誘導体からなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。前記アミノ酸および/又はその誘導体がグルタミン酸またはアスパラギン酸および/又はそれらの誘導体である、請求項7に記載の方法。前記アミノ酸および/又はその誘導体がポリリジンおよび/又はその誘導体である、請求項7に記載の方法。前記低分子薬物が、付加塩の形態の抗がん剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗生物質、麻酔薬及び鎮痛剤からなる群から選ばれる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。 本発明は、ポリマーミセル中に低分子薬物を内包させる方法であって、以下の工程:(a)電荷を有する前記薬物を水性媒体に溶解または分散し、(b)疎水性の側鎖と該低分子薬物とは逆の電荷をもつ側鎖とがランダムに存在する全体として疎水性の領域および親水性の領域を有するブロックコポリマーを含んでなる前記ポリマーミセルを含有する水性媒体を準備し、(c)該低分子薬物を溶解または分散した水性媒体と前記ポリマーミセルを含有する該水性媒体を混合し、(d)混合した該水性媒体を、前記低分子薬物の内包が安定化されるpHに調整する;を含んでなる方法を提供する。


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