タイトル: | 公開特許公報(A)_両親媒性高分子複合体 |
出願番号: | 2007058271 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 47/36,A61K 45/00,A61K 47/34,A61K 47/32 |
新海 征治 沼田 宗典 広瀬 良治 JP 2007269791 公開特許公報(A) 20071018 2007058271 20070308 両親媒性高分子複合体 独立行政法人科学技術振興機構 503360115 三井製糖株式会社 501190941 筒井 知 100087675 新海 征治 沼田 宗典 広瀬 良治 JP 2006063574 20060309 A61K 47/36 20060101AFI20070921BHJP A61K 45/00 20060101ALI20070921BHJP A61K 47/34 20060101ALI20070921BHJP A61K 47/32 20060101ALI20070921BHJP JPA61K47/36A61K45/00A61K47/34A61K47/32 7 5 OL 12 4C076 4C084 4C076AA09 4C076EE03A 4C076EE24A 4C076EE30A 4C076FF68 4C084AA16 4C084NA13 本発明は、両親媒性ポリマーを利用して薬物をデリバリーするなどの有用材料を作製する技術に関する。 両親媒性ポリマーには種々の物質が知られているが、エーテル、ケトン、エステル、アミド、イミン等の水溶性を与えるドメインから成る親水性ポリマーとアルキル、アルケニル、アルキニル、芳香族炭化水素等の水不溶性ドメインから成る疎水性ポリマーとを共有結合で連結したブロックコポリマーが一般的である。適切に設計された両親媒性ポリマーは水中で自己組織的にミセルもしくはベシクル状の構造体を形成する。そして疎水性の液体や固体を内包することができるため、薬物や情報記録材料等の機能性物質のデリバリーなどに効果的に使用される。 薬物のデリバリーシステムへの応用例を挙げると、(1)水混和性の両親媒性ポリマー内に水不溶性薬物もしくは診断用剤をパッケージングする方法(特許文献1)、(2)内部に無機ナノ粒子が安定して均一に分布している疎水性ポリマーマトリックス部分と親水性部分を含む両親媒性共重合体から成り、治療用組成物として有用な複合体粒子(特許文献2)、(3)中性疎水性αヒドロキシカルボン酸ポリマーブロックとイオン化されたペプチドα鎖を有する直鎖親水性ポリアミノ酸ブロックとで構成されるジブロックコポリマーによるタンパク質送達用粒子のコロイド懸濁液(特許文献3)、(4)ポリ(アルキレンオキシド)を含むAポリマーブロックおよびポリ(ヒドロキシアルカノエート)を含むBポリマーブロックを含み、かつ治療剤が、ヒドロゲルの内心に含まれるシクロデキストリンおよび両親媒性コポリマーから形成されるヒドロゲルを含む薬物送達システム(特許文献4)などの特許が公開されている。特表2001−519403特表2004−533530特表2005−529888特表2006−506335 情報記録材料への応用例を挙げると、(1)光学材料として有用なミセル粒子含有組成物に使われる両親媒性ブロックポリマー(特許文献5)、(2)インクジェット用のインク組成物に使われる非イオン性の両親媒性ブロックポリマー、イオン性ポリマー、色材からなる機能性物質の溶剤含有物(特許文献6)などがある。特開2004−217705特開2004−075990 そのような両親媒性ブロックコポリマーにおける親水性ブロックに多糖類が使用される例も幾つか知られている。化粧品を水中油型ナノエマルション組成物に含有させて使用する場合の両親媒性脂質における親水性ブロックの一例に多糖類が挙げられている(特許文献7および8)。眼科用医薬のデリバリー用に使えるカプセル用ナノ粒子の素材として両親媒性ポリエステルコポリマーをグラフトした多糖類が知られている(特許文献9)。特開2001−214081特開2001−226221特表2005−528185 上記の例に見られる両親媒性ブロックコポリマーは、いずれも親水性ブロックと疎水性ブロックとを特別の結合反応による共有結合を介して連結させているものであり、結合生成に労を要し、さらに、所望の目的を達成した後など、必要に応じて結合を解離することも容易でない。また、生体への安全性が確保されていない材料が用いられている場合も多い。 本発明の目的は、生体に安全であり、結合生成と解離も容易な両親媒性ポリマーを創製し、各種機能性物質のデリバリーなどに利用できる技術を提供することにある。 本発明者は、β-1,3-グルカンに代表される多糖類を用いることにより、共有結合によらない両親媒性ポリマーが形成され得ることを見出し本発明を導き出した。 すなわち、本発明は、多糖、疎水性ポリマーおよび疎水性物質から成り、多糖と疎水性ポリマー間の結合が非共有結合性であることを特徴とする複合体を提供するものである。 さらに、本発明に従えば、このような複合体を製造する方法であって、多糖、疎水性ポリマーおよび疎水性物質を非プロトン性極性溶媒またはアルカリ性水溶液中で混合した後、中性の状態で水を混合させる工程を含むことを特徴とする方法が提供される。 本発明の複合体は、疎水性物質として各種の機能性物質や有機溶剤を使用することにより、薬物のデリバリーやナノ粒子、ナノエマルション、薄膜等の製造に利用することができる。特に、生体に安全な多糖類を使用するので薬物のデリバリーシステム用などに有効である。中間に(in situ)生成すると考えられる両親媒性ポリマーの親水性ドメインと疎水性ドメイン間の結合が非共有結合性であるため、簡単な物理的操作だけで生成可能である。また、その非共有結合を解離し、複合体を崩壊させる必要が生じた場合も、酸を添加するなど簡単な操作で達成できる。 本発明は、基本的に、両親媒性ポリマーが水中で自己組織的に形成するミセル状構造体に疎水性の機能物質を内包させ、薬物のデリバリー等に活用する手法を、新規な両親媒性物質を使って行おうとするものである。通常使われる両親媒性ポリマーは、各種の親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを共有結合によって共重合させたコポリマーである。本発明において疎水性ポリマーとしては、通常使われるアルカン、アルケン、アルキン、芳香族炭化水素等が骨格となっている疎水性ポリマーを使用し、親水性ポリマーに相当する部分には、好ましくはβ-1,3-グルカンである多糖類を用いる。 β-1,3-グルカンは天然の状態で3重のらせん構造を形成しているが、非プロトン性極性溶剤中やアルカリ水溶液中においては1本鎖のランダムコイル状に解離している。その1本鎖のβ-1,3-グルカンに高分子物質を共存させた状態で中性の水と接触させると、共存高分子物質をヘリカル状に巻き込み、高分子物質がβ-1,3-グルカンでラッピングされること、そして、β-1,3-グルカンの外側表面は親水性であり、高分子物質はβ-1,3-グルカンの内側表面の疎水部分と疎水的相互作用をしてβ-1,3-グルカンの内部に取り込まれることを本発明者らが見出している。Kazuo Sakuraiand Seiji Shinkai;J. Am. Chem.Soc., 2000, 122, 4520-4521MunenoriNumata, Teruaki Hasegawa, Tomohisa Fujisawa, Kazuo Sakurai, and Seiji Shinkai;Org. Lett., 2004, 6(24), 4447-4450MunenoriNumata, Masayoshi Asai, Kenji Kaneko, Teruaki Hasegawa, Norifumi Fujita, YumikoKitada, Kazuo Sakurai, and Seiji Shinkai; Chem. Lett., 2004, 33(3), 232-233再表2001-034207特開2005-104762 本発明で使用する多糖類としては、上記のβ-1,3-グルカンが好適であり、その中でも水溶性の高いシゾフィラン(略称:SPG)、スクレログルカンおよびレンチナンから選ばれたものがより好適である。特に、天然のβ-1,3-グルカンの一つであるシゾフィランは筋肉内注射製剤の臨床薬として実際に使用されており、婦人科癌に対する免疫増強法の筋肉内注射薬として20年以上の使用実績があり、免疫系の抗原提示細胞への親和性も知られており、生体内での安全性が確認されている。β-1,3-グルカンの平均分子量は1本鎖の状態で25000以上のものであればよい。側鎖が官能基で置換されたβ-1,3-グルカンを用いることもできる。また、β-1,3-グルカン以外の多糖類ではアミロース、デキストラン、プルランも場合により使用可能である。 疎水性ポリマーに関しては特に制限はなく、アルカン、アルケン、アルキン、の芳香族炭化水素などを骨格とする多数の物質が使われる。例えば、本発明で用いられる疎水性ポリマーとしてポリスチレン(略称:PS)が挙げられるが、これに限られるものではない。多糖と疎水性ポリマーとの使用比率については、ポリマーの種類によっても異なるが、疎水性ポリマーの全部が多糖によるラッピングを受けないようにする必要がある。重量単位で等量付近では問題なく、一般にかなり広範囲の比率で実施可能である。 本発明において疎水性物質とは、既述のように、所望の目的に応じて用いられる各種の機能性物質や有機溶剤であり、この疎水性物質に関しても特に制限はなく、水に不溶かつ有機溶剤に可溶または安定に分散できるものであれば、固体もしくは液体のいずれも適用可能である。本発明において用いられるのに特に好ましい疎水性物質は、疎水性薬物(薬剤)であり、これによって、後述するような両親媒性ポリマーに薬物が封入(内包)されドラックデリバリーシステムに使用されるのに好適な複合体が得られる(後述の実施例9、10参照)。 本発明では、疎水性物質を多糖類および疎水性ポリマーと非プロトン性極性溶剤(ジメチルスルホキシド:DMSO,1-メチル-2-ピロリジノン:NMPなど)もしくはアルカリ水溶液(NaOH水溶液など)と混合し、中性の状態を保ちつつ水を混和し、熟成することにより、多糖、疎水性ポリマーおよび疎水性物質から成る複合体が形成される。熟成は、一般に、室温〜60℃付近の温度で数時間〜数日間行われる。 以上の記述から明らかなように、本発明の複合体は、本質的に、複合体の構成成分を混合するだけの操作により調製され、共有結合を形成させるための格別の反応工程を要しない。多くの実験事実から、疎水性ポリマーはシゾフィランのような多糖にラッピングされて、親水性ドメインと疎水性ドメインから成る両親媒性ポリマーを形成し、これが従来から知られた両親媒性ポリマーと同様に自己集合してミセル状構造体を形成しているものと理解される。特に、疎水性ポリマーがエマルジョン化した疎水性溶媒中に分散していると考えられため、エマルジョンをテンプレートに容易にミセル状会合体を形成できると考えられる。図1はこのような様子を模式的に示すものである。多糖と疎水性ポリマー間の結合は非共有結合性、すなわち疎水性相互作用(疎水結合)による(後述の実施例1、2、3、6、7等参照)。 そして、多糖と疎水性ポリマーとともに、疎水性物質を加えて所定の混合を行った後も、このような構造体が保持され、疎水性物質は当該構造体内に取り込まれて三元複合体を形成することが示されている(後述の実施例4,5参照)。 このように本発明の複合体は、水性溶液中ではミセル状と理解される安定な構造体に疎水性物質が結合した構造を呈するとともに、pH変化や溶媒組成の変化などの条件によりその構造が崩壊され、当該疎水性物質を放出することができる(後述の実施例8参照)。 以下、実施例に沿って本発明の特徴を更に具体的に説明する。多糖/疎水性ポリマー複合体サンプルの調製 まず、SPG(1本鎖でのMw=35000)とPS(Mw=1.09×106)のNMP(1−メチル−2−ピロリジノン)ストック溶液をそれぞれ500μlをサンプル管中で混合し、軽く攪拌した。この溶液にトルエン100μlを加え素早く攪拌を行った。この段階で溶液は均一であることが目視により確認できた。溶液に超音波照射を行いながら蒸留水4.0mlを加えた、さらに超音波照射を1分間行った。この段階で溶液は白濁しエマルジョンを形成しているのが確認できた。さらに溶液を60℃にて3日間インキュベートしたところ、溶液の白濁は次第に消失し均一溶液となった。得られた溶液から透析(MWCO=8000)によりNMPを除去した。溶媒を水に置換した後も溶液は均一を保っているのが目視により確認できた。CDスペクトルを用いた相互作用の検証 SPGとPS が相互作用していることを確かめるためにCDスペクトルによる評価を行った。図2に示す結果より、ポリスチレンの吸収領域にCDが確認できたことから、SPGがPSをラッピングしているものと考えられる。TEMを用いた構造評価(1) 得られた水溶液をグリッドにキャストしTEMによる観察を行った。図3に示す結果より直径約150nmの球状物が確認できる。その形状、大きさはほぼ均一であることが分かる。得られた球状物は親水性であることを考えると、疎水性のPSが核を形成し、表面はシゾフィランによって覆われているものと考えられる。もし、得られた構造体の内部に空孔が存在しミセル状の構造体を与えているとすると、その内部に様々な疎水性分子を取り込めることが期待される。C60の取り込み 実施例1のトルエンの代わりにC60のトルエン溶液を用いて、同様の操作でサンプル調製を行った。得られた溶液はC60が凝集したことを示す褐色を呈していたが、特に沈殿など不溶成分は確認出来なかった。溶液の均一性は溶媒を透析により水に置換した後も保たれていた。C60がミセルの疎水性内部に取り込まれることにより水溶化できたものと理解される。得られた水溶液の写真を図4に示した。また、この図にはSPGの代わりにアミロース、デキストラン、プルランを用いた参照溶液の写真も示してある。図4よりSPGを用いた場合は他の多糖を用いたものよりC60がより高濃度で溶解していることが解る。TEMを用いた構造評価(2) 実施例4で得られたサンプルのTEMによる観察を行った。結果を図5に示した。この図より疎水性のゲスト分子存在下においても図3同様の球状物が形成しているのが分かる。混合したC60が疎水性分子であるにも関わらず完全に水に溶解している事実を考え合わせると、C60は内部の疎水空間に取り込まれているものと考えられる。この結果は得られた構造体が巨大ミセル構造をとっていることを強く示唆するものである。ビオチン修飾シゾフィランを用いたミセル表面の機能化 ミセル表面を様々な機能性分子で修飾するとミセル同士の会合制御、ミセル膜を介した内外の情報伝達が可能となる。この実施例では、SPGの側鎖にビオチンを修飾したSPG-Bio(図6)を用いて同様にミセルの形成を試みた。ミセルの表面がSPG-Bioによって被覆されているとすると、ビオチンに特異的に結合することが知られているタンパク質(アビジン)を表面に集積させることが可能と考えられる。サンプルは実施例1と同様の操作で調製した。得られた溶液は未修飾SPGを用いた場合と同様に、乳白色のエマルジョン溶液となった。CLSMによる評価 ミセル状の構造を呈すると表面は親水性のSPGで覆われていると考えられる。そこで次にビオチン修飾したシゾフィラン(SPG-Bio)を用いて形成されるミセル表面の機能化の可能性について検討を行った。サンプルは以下に示す表1の組成に従い、実施例1と同様の操作で調製した。最終的に得られた水溶液500μlにFITC修飾アビジン水溶液(5mgml-1)を5.0μl加え共焦点レーザー顕微鏡観察用のサンプルとした。測定結果を図7および図8にそれぞれ示す。図7よりミセルと考えられる構造体とFITC由来の蛍光が完全に一致しているのが解る。このことはミセルとアビジンが共存していることを示している。一方、ビオチン部位を持たないSPGを用い調製したミセルはアビジンに対する親和性は確認されていない(図8)。このことはミセル表面のビオチンによってアビジンが認識されていることを強く示唆する結果である。さらに、図6の蛍光像を拡大するとミセルからは円状の蛍光が確認できた(図9)。これは巨大ミセルの表面がビオチン修飾SPGで覆われていることを示す結果である。SPGの加水分解によるミセル構造の崩壊 次に、内部にA.ポルフィリンおよびB.C60を内包させたミセルを調製し、得られた水溶液に塩酸を滴下することによりミセルの分解挙動を検討することにした。pHメータにてpHを2.2に調整し、UVスペクトルにて経時変化を追跡した。結果を図10に示す。この図より時間の経過に伴い内包したゲストの吸光度が減少していく様子が解る。また、時間の経過に伴いセルの底には沈殿物が堆積していくのが目視で確認された。この結果はSPGが酸による加水分解を受けそれによりミセル構造が崩壊したことを示唆している。一方、酸を加えないサンプルは数週間放置しても沈殿物の生成は認められないことを別途確認している。以上の結果はミセル内部に包接したゲストが酸性条件下でのみ放出可能であることを示している。このことから本発明の複合体は、ドラッグキャリアーとしての応用が期待される。薬物のミセル封入 本系の特徴はまず疎水性ポリマーと疎水性薬物をあらかじめ混合させ安定なエマルジョンを形成し、その後SPG層を超分子化学的に構築できる点である。これにより、より効果的な薬物封入が達成できるものと期待される。また、様々な官能基を予めSPGに導入しておくおことにより、ミセル表面の機能デザインも可能である。今回細胞系での利用を考慮して生分解性のポリ乳酸(PLA)を用いた。また薬物としては抗がん剤であるカンプトテシン(CPT)を用いた。ポリ乳酸はAldrich社のpoly(DL-lactide)(Mw = 75,000-120,000)[CAS番号:51063-13-9]を用いた。 サンプルの調製は表2に示す配合で行った。基本的な操作を以下に示す。PLAの塩化メチレン溶液(5mg/mL)とCPTの塩化メチレン溶液(1mg/mL)を混合した後、水2.0mLを加え、プローブ型ソニケーターを10秒照射した。混合溶液は乳白色を示し、エマルジョンが形成されているのが目視により確認できた。この段階で、特に不溶物の形成なども認められていない。このエマルジョンの塩化メチレン層を濃縮する目的で、室温にて3.5時間撹拌を行った。撹拌30分後にはPLAの混在量を1/5としたサンプル2において、エマルジョンが完全に消失し、2層に分離しているのが目視で確認された。その他のサンプルについては特に2層に分離する事は無く、溶液の乳白色は次第に消えながらわずかに濁りを示す溶液となった。この溶液にSPGのDMSO溶液を加え、エマルジョンの表面をSPGにて被覆した。得られた溶液をさらに室温にて1日撹拌し、塩化メチレン層の濃縮とSPGの巻き戻りを促進させた。得られた溶液にはわずかに不溶物が存在する程度でCPTは効率的にミセル内に封入されているものと考えられる。得られた溶液のDLS測定を行ったところサンプル1, 3, 4について直径250nm程度のミセルの形成が確認されている。UVスペクトルによる内包量の評価:得られた溶液を200mL分取し、ここに1800mLのDMSOを加えUVスペクトルによりCPTの含有量を評価した。結果を表3にまとめて示す。内包量にばらつきはあるもののCPTがミセル内に内包され水溶化できていた事が表3の結果より示された。特に少量のCPTを用いてミセルを形成させたサンプル3については高い回収率が達成されている。 本発明により自己組織的に形成される巨大複合体の内部に様々な疎水性分子を内包できるため、薬物のデリバリー等の医療分野への応用や、情報記録材料分野への応用などが期待できる。シゾフィランを親水性ドメインとした両親媒性ポリマーとその自己組織化によるミセル構造体化概念図を示す。SPG/PS複合体のCDスペクトル(H2O, 0.5cm、25℃)を示す。SPG/PSが形成するミセルのTEM像(未染色)を示す。C60存在下で調製した多糖/PS水溶液を示す。C60を取り込んだSPG/PSミセルのTEM像(未染色)を示す。ビオチン修飾したシゾフィラン(SPG-Bio)構造式を示す。Sample A FITC修飾アビジンで修飾された巨大ミセルの共焦点レーザー顕微鏡像を示す。 a.透過光像、b.蛍光像、およびc.それらの重ね合わせ像。 d.アルゴンレーザー(488nm)励起の蛍光スペクトルSample B FITC修飾アビジンと混合後の巨大ミセルの共焦点レーザー顕微鏡像 a.透過光像、b.蛍光像、およびc.それらの重ね合わせ像を示す。a. SampleAより得られたミセルの蛍光像、およびb.拡大図を示す。A.ポルフィリン、B. C60を内包した巨大ミセルの酸による分解挙動を示す。(0hから6hまでは1時間毎のスペクトル変化、黒点線のスペクトルは塩酸滴下前(0h)、黒実線が3日後のスペクトル(1.0cm, H2O、室温)。多糖、疎水性ポリマーおよび疎水性物質から成り、多糖と疎水性ポリマー間の結合が非共有結合性であることを特徴とする複合体。多糖がβ-1,3-グルカンであることを特徴とする請求項1の複合体。β-1,3-グルカンがシゾフィラン、スクレログルカンおよびレンチナンから選ばれたものであることを特徴とする請求項2の複合体。疎水性ポリマーがポリスチレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの複合体。疎水性ポリマーがポリ乳酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの複合体。疎水性物質が疎水性薬物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの複合体請求項1に記載の複合体を製造する方法であって、多糖、疎水性ポリマーおよび疎水性物質を非プロトン性極性溶媒またはアルカリ性水溶液中で混合した後に、中性の状態で水を混合させる工程を含むことを特徴とする方法。 【課題】 生体に安全であり、結合生成と解離が容易な両親媒性ポリマーを創製し、各種機能性物質のデリバリーなどに利用できる技術を提供する。【解決手段】 多糖類と疎水性ポリマーおよび疎水性物質を非プロトン性極性溶媒またはアルカリ性水溶液中で予備混合し、さらに水を加えて混合することにより、自己組織的に、ミセル状と考えられる構造が形成され、さらに、疎水性物質を結合した複合体が水中に生成する。疎水性物質に各種の機能性物質や有機溶剤を使用することができる。多糖類としてβ-1,3-グルカンが好適に使用される。【選択図】 図5