生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_扁平上皮細胞癌関連抗原を指標とする肌の感受性の程度の評価方法
出願番号:2007057163
年次:2007
IPC分類:G01N 33/50,G01N 33/53


特許情報キャッシュ

片桐 千華 仲西 城太郎 日比野 利彦 JP 2007279024 公開特許公報(A) 20071025 2007057163 20070307 扁平上皮細胞癌関連抗原を指標とする肌の感受性の程度の評価方法 株式会社資生堂 000001959 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 福本 積 100087871 古賀 哲次 100087413 渡辺 陽一 100117019 片桐 千華 仲西 城太郎 日比野 利彦 JP 2006075024 20060317 G01N 33/50 20060101AFI20070928BHJP G01N 33/53 20060101ALI20070928BHJP JPG01N33/50 QG01N33/53 D 5 2 OL 10 2G045 2G045CB10 2G045DA36 2G045FB03 本発明は、細胞の扁平上皮細胞癌関連抗原(Squamous Cell Carcinoma Antigen 1、以下「SCCA」」と称す)を指標とした、肌の感受性の程度の評価方法を提供する。 近年、自分の肌が敏感肌、即ち、外部刺激やストレスに対する強い反応性を示す感受性の高い肌であると思っている人が増加する傾向にある。特に20〜30代の若い女性においては、70%以上の人が自分の肌は敏感肌であるとアンケート調査で回答している。肌状態が敏感になる要因としては、皮膚のバリアー機能の低下、皮膚刺激關値の低下、皮膚の乾燥、接触皮膚炎の起炎物質、物理化学的刺激、ストレス、体調、季節変化、紫外線、生理等が挙げられる。また、肌へのストレス等に対し耐性があっても敏感肌と申告する場合もあり、適切且つ客観的な生化学指標が求められている。 このような敏感肌は、次のように定義される。1.普段から医薬品外用剤、化粧品、植物、紫外線、金属などの物質に特異的に反応し、皮膚トラブルを起こしやすい肌、バリアー機能が低下していてアレルギー性物質(花粉、香料など)や刺激性物質(アルコールなど)に体質的に敏感な肌であり、具体的にはアレルギー体質、知覚過敏体質と考えられ、皮膚が乾燥(カサツキ)し易い、肌荒れしやすい、皮膚バリアー機能が低下していてカブレを起こしやすい等の症状が見られる。2.睡眠不足、過労、生理、季節の変わり目、精神的なストレスなどにより、肌本来の抵抗力或いは皮膚の生理機能が弱まるようなときに、一時的に皮膚トラブルを起こしやすくなる肌である。 肌の各種外部刺激やストレスに対する感受性には個人差があり、例えばある薬剤に対して敏感に反応して肌荒れが生じる者もいれば、全く反応を示さない者もいる。また、薬剤や外界の刺激に即座に応答して肌荒れが生じる場合もあれば、継続的な刺激的ではじめて肌荒れが生じる者もいる。従来、肌の感受性の程度は肌荒れが生じることではじめて明らかにされていた。しかしながら、このような肌荒れが生じた後では、心身への負担が大きく、回復までの時間が長くかかるもしくは完治が難しい瘢痕となる場合もある。よって、個人の肌の外部刺激やストレスに対する感受性や反応性の程度を予め測定し認知できれば、肌荒れを未然に防ぐことができ、さらには敏感肌・感受性の高い肌に適切なケアを選択することができ、極めて有意義である。 扁平上皮細胞癌関連抗原(SCCA)は扁平上皮癌細胞から抽出される抗原であり、子宮頚部、肺、食道、皮膚の扁平上皮細胞癌で高い血中濃度を示し、扁平上皮細胞癌の診断によく利用されている(H. Kato et al. Cancer 40:1621-1628 (1977); N.Mino et al. Cancer 62: 730-734 (1988))。特に、SCCAの血中レベルは扁平上皮細胞癌の進行段階、悪性度、腫瘍の大きさなどに良好に相関するため、癌の早期発見のみならず、癌治療効果の評価や再発のおそれの診断などにおいて特に有効な癌マーカーである。 SCCAはまた、乾癬表皮の上層において発現の亢進が認められることでも知られる(Takeda A.ら、 J. Invest. Dermatol. (2002) 118(1), 147-154)。乾癬は皮膚病の一つであり、表皮細胞の増殖・分化異常と炎症細胞浸潤を特徴とする慢性、再発性の炎症性不全角化症である乾癬がある。乾癬は遺伝的素因に種々の環境因子が加わって発症すると考えられる(Hopso-Havu et al. British Journal of Dermatology (1983) 109, 77-85)。 SCCAは染色体18q21.3上にタンデムに並んでいる二つの遺伝子SCCA−1及びSCCA−2遺伝子によりコードされる。それらによりコードされるタンパク質、SCCA−1及びSCCA−2は共に分子量約45000のタンパクであり、高い相同性を示し、そのホモロジーは核酸レベルで95%である。これらのSCCAはovalbumin-serine protease inhibitor(ov-serpin)ファミリーに属している。ov-serpinはセルピンス−パーファミリーの中でもユニークな特徴を有している。一般にセルピンは分泌されて細胞外で働くとされているが、ov-serpinは主に細胞内でも働くprotease inhibitorである。 SCCA1はパパイン様システインプロテアーゼ阻害剤であるが、SCCA2はキモトリプシン様セリンプロテアーゼ阻害であり、相同性が高いにも関わらず反応部位のアミノ酸配列が異なるため、異なった特性を有することもある(Schick et al. J. Biol. Chem. (1997) 27213, 1849-55)。乾癬などの疾患やUVによってSCCA−1及びSCCA−2が高発現することはわかっていたが、それらが皮膚性状においてどのように関与しているかは不明であった。Cancer 40:1621-1628 (1977)Cancer 62: 730-734 (1988)J. Invest. Dermatol. (2002) 118(1), 147-154British Journal of Dermatology (1983) 109, 77-85J. Biol. Chem. (1997) 27213, 1849-55 本発明者はSCCAが関与する表皮の生理学的メカニズムの解明を目的とする研究を行っていたところ、肌の感受性や反応性の程度が表皮中のSCCA量と相関しており、表皮のSCCA量が高い被験者ほど刺激に対し高い反応性を示すことを見出した。従って、SCCAの発現が肌の感受性および反応性の指標となると考え、本発明を完成するに至った。 本発明は、皮膚角層細胞の扁平上皮細胞癌関連抗原(SCCA)、詳しくはSCCA−1及び/又はSCCA−2、特にSCCA−1の発現を指標とする、肌の感受性の程度の評価方法を提供する。好ましくは、前記SCCAの発現は、SCCAに特異的な抗体を使用する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により実施する。より好ましい態様において、前記皮膚角層試料はテープストリッピングにより採取されたものである。 本発明の方法により、肌の感受性・反応性・敏感の程度を生化学的レベルで判定することが可能となる。 SCCAは上述のとおり扁平上皮癌細胞や乾癬表皮に存在する分子量約45,000のタンパク質である。SCCA−1及びSCCA−2のアミノ酸配列並びにそれらをコードする核酸配列はTakeda A et al. J. Invest. Dermatol. 118, 147-154 (2002)(前掲)に記載されている。 本発明に係るSCCAの発現の測定は、SCCAを測定することのできる任意の方法に従い、定量的又は定性的に実施することができる。具体的には、SCCAに特異的な抗体を利用する免疫測定方法、例えば酵素ラベルを利用するELISA法、放射性ラベルを利用するRIA法、免疫比濁法、ウェスタンブロット法、ラテックス凝集法、赤血球凝集法等、様々な方法が挙げられる。免疫測定法の方式には競合法やサンドイッチ法が挙げられる。他に、SCCAの発現量はそれをコードする遺伝子の細胞内において発現された量の測定により行うこともできる。この場合、好ましくは、SCCAの発現は細胞内のSCCAをコードするmRNAの量を測定することにより決定する。mRNAの抽出、その量の定量的又は定性的測定も当業界において周知であり、例えばPCR法、3SR法、NASBA法、TMA法など、さまざまな周知の方法により実施することができる。他に、SCCAの発現はin situハイブリダイゼーション法やその生物活性の測定を通じて定性的に決定することができる。 被検体となる皮膚角層試料の採取は任意の方法で実施することができるが、簡便性の観点からテープストリッピング法が好ましい。テープストリッピングとは、皮膚表層に粘着テープ片を貼付し、剥がし、皮膚角層をその剥がした粘着テープに付着させることで角層試料を採取する方法である。テープストリッピング法を利用すれば、角層をテープ一枚採取するだけでSCCA発現の測定が可能となり、SCCAを指標とした非侵襲性の敏感肌評価方法が可能となる。テープストリッピングの好ましい方法は、まず皮膚の表層を例えばエタノールなどで浄化して皮脂、汚れ等を取り除き、適当なサイズ(例えば2×5cm)に切った粘着テープ片を皮膚表面の上に軽く載せ、テープ全体に均等な力を加えて平たく押さえ付け、その後均等な力で粘着テープを剥ぎ取ることで行われる。粘着テープは市販のセロファンテープなどであってよく、例えばScotch Superstrength Mailing Tape (3M社製)、セロファンテープ(セロテープ(登録商標);ニチバン株式会社)等が使用できる。粘着テープに付着した皮膚角層試料中のSCCAは、テープ片を適当な抽出液、例えばTris-buffer (pH 8.0) (0.1M Tris-HCl, 0.14M NaCl, 0.1% Tween-20)に浸漬し、角層を抽出することでテープから単離・抽出させることができる。 本発明の好ましい態様においては、SCCAは免疫測定方法、例えばELISAにより測定する。ELISAにおいて使用するSCCAに特異的な抗体はモノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよい。モノクローナル抗体やポリクローナル抗体の作成方法は当業者に周知であり、例えばLunstrum et el., J Biol. Chem. 1986, 261: 9042-9048; Hurle et al. J Cell Science 1994, 107: 2623-2634に記載されている。 本発明に係る方法においては、サンドイッチ免疫測定法が特に好ましい。サンドイッチ免疫測定方法は例えば下記の通りに実施できる。 2種類のSCCAに特異的な抗体の一方を一次抗体として担体に固定化する。担体としては固体担体が好ましく、例えば固体担体として免疫測定法において常用される任意のものを使用してよく、例えば任意の大きさ、形状に成形されたスチレンやポリスチレンなどの高分子担体のほか、これらの適当な材料で成形した反応容器、例えばELISAプレートのウェルの内壁などが挙げられる。 上記一次抗体の担体への固定化は常法に従って行うことができ、例えば上記一次抗体を緩衝液、例えばリン酸緩衝食塩水(PBS)、ホウ酸緩衝液などに溶解して担体に吸着させることにより固定化することができる。また、例えば上記一次抗体に結合する抗体やその他のタンパク質、例えばプロテインCをあらかじめ担体に固定化し、これを上記一次抗体と接触させる等してもよい。更に、非特異的な結合を抑えるため、このようにして一次抗体を固定化した担体に適当なブロッキング剤、例えばPBS−BSAや市販のブロッキング剤、例えばブロックエース(大日本製薬)を加え、約4〜40℃、好ましくは20〜37℃で、5分から数日、好ましくは10分から24時間、より好ましくは10分〜3時間インキュベーションすることによりブロッキングするのが好ましい。 上記2種類のSCCAに特異的な抗体の他方の抗体は二次抗体として使用し、標識する。標識としては、酵素標識、放射線標識、蛍光標識、などが挙げられる。酵素標識する場合、酵素を二次抗体に直接結合させて標識するか、または例えばアビジンービオチンのような相互反応性蛋白質を介して間接的に酵素で標識することもできる。酵素の抗体などへの結合は、例えば市販のチオール導入基試薬を利用して酵素及び標識すべき抗体などのそれぞれにチオール基を導入してから両者をS−S結合させることで行うことができる。酵素としては、ホースラディッシュパーオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼなどが挙げられる。酵素の検出は、その酵素に特異的な基質を用いて行うことができる。例えばホースラディッシュパーオキシダーゼを利用する場合、TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジンジン)やABTS(2,2’−アジン‐ジ[3−エチルベンズチアゾリンスルホネート])などが利用できる。 かかる免疫測定は、前記一次抗体を固定した担体、前記標識した二次抗体、被検試料を混合し、インキュベーションすることにより、担体に固定化された一次抗体に被検試料中のSCCAを結合せしめ、このSCCA分子に標識二次抗体を結合せしめる。 このようにして、標識化抗体は、試料中のSCCAの量を反映した量において、担体に固定化された一次抗体と試料に由来するSCCAを介して担体上に固定される。かかるインキュベーションは、適当な緩衝液、例えばPBS中で約4〜40℃、好ましくは20〜37℃で、5分から数日、好ましくは10分から24時間、より好ましくは10分〜3時間行う。 次に、上記担体から未結合の標識化抗体を分離する操作を行う。担体が固体担体である場合、この分離操作は固液分離により簡単に行うことができる。一定の既知量の標識二次抗体を使用した場合、担体に結合した標識もしくは未結合の標識又はこの両者を測定することができる。他方、任意の標識抗体を使用した場合、担体に結合した標識を検出、測定する。担体に結合した標識を検出するには、好ましくは担体を洗浄液、例えば適当な界面活性剤の入った緩衝液、例えばPBS−Tween20により洗浄して未結合の標識化抗体を除去した後に検出を行う。検出は標識の種類に依存して常法に従って行うことができる。 以下、具体例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はこれにより限定されるものではない。 材料と方法(1)抗体 SCCA−1及び2の両者を認識するポリクローナル抗体は、乾癬表皮の鱗屑から精製したSCCA(SCCA−1及びSCCA−2)を用いて、ポリクローナル抗体を作製した。乾癬表皮の鱗屑抽出物(抽出液:0.1M Tris-HCl (pH8.0), 0.14M NaCl)を遠心後、上清をSephacryl S-200, DEAE Sepharose, Mono Q, Mono S, Mono P, Superrose 6にて精製し、これを抗原として、ウサギを感作動物として用いた。 抗−SCCA−1モノクローナル抗体及び抗−SCCA−2モノクローナル抗体はSanta Cruz Biotechnology, CA, USAより入手した。(2)ELISA 皮膚角層試料は透明粘着テープ(セロテープ(登録商標)(NICHIBAN))を皮膚表面に貼付したのち剥離するテープストリッピングにより採取した。皮膚角層の付着したこのテープを裁断、抽出バッファー(0.1M Tris-HCl (pH8.0), 0.14M NaCl、0.1% Tween-20, 1ml)に浸漬、超音波処理(20 sec ×4)にかけ、試料抽出液を作製した。 PBSに希釈したポリクローナル抗SCCA抗体(1:1000に希釈)を100μlずつ、96穴ELISAプレートの各ウェルに分注し、一晩室温におき、プレートの固相に結合させた。その後、プレートへの非特異的な結合を阻害するために、ブロッキング溶液(ブロックエースをPBS-Tween 20で希釈した溶液、300μl/ウェル)にて1時間インキュベートした。 上記試料抽出液50μlをELISAプレートの各ウェルに添加し、37℃で2時間反応させた。モノクローナル抗SCCA−1抗体(1:1000に希釈)を添加して37℃で1時間反応させた。次に、二次抗体、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウスを添加して37℃で1時間反応させ、0.1% Tween-20 PBSで洗浄後、基質3', 3', 5', 5'−テトラメチルベンジジン(TMB)を添加して、TMB Peroxidase EIA substrate kit(BIO-RAD社)を用いて発色させ、630 nmで測定を行った。(3)皮膚の経皮蒸散水分量(TEWL)の測定 検体(正常人の顔面及び内腕)のTEWLは、TEWAmeter(TM120)を用いて測定を行った。(4)SCCA発現量と経皮蒸散水分量(TEWL)との相関 皮膚角層についてELISAによりSCCA発現量を測定するとともに、皮膚生理パラメーターとしてのTEWLも調べ、SCCA発現量とTEWLとの相関を調べた。その結果を図1に示す。SCCA−1とTEWLとではPearson相関係数が0.876であり、SCCA−2とTEWLとではPearson相関係数が0.600であり、ともに有意な相関が認められ、従ってTEWLが高く、肌の性状が比較的悪い状態のとき、SCCA−1及び−2ともに、特にSCCA−1の発現量が高くなることがわかった。(5)薬剤刺激におけるSCCA発現量 額(露光部)及び内腕(非露光部)の皮膚に対し、薬剤刺激として10%のオレイン酸を1及び2日目に適量塗布した。オレイン酸塗布前及び塗布を開始して4日目の皮膚のTEWL測定を行うと共に、それらの皮膚に対しテープストリッピングを施すことでそれぞれの角層を採取し、SCCA−1の発現量をELISAにより測定した。オレイン酸の塗布前及び塗布後の皮膚とTEWLとの関係も調べた。 図2はオレイン酸塗布前と、TEWLとの関係(a)及びSCCA1発現量との関係(b)を示す。図2(a)から明らかなとおり、額ではオレイン酸の塗布によりTEWL値の有意な上昇が認められたのに対し、内腕では薬剤刺激によるTEWLの有意な上昇は認められなかった。従って、オレイン酸の塗布により額では皮膚バリアー機能が有意に低下するのに対し、内腕では低下はほとんどないことがわかり、額が内腕に比べ薬剤刺激に対し感受性であることがわかる。 図2(b)はオレイン酸の塗布前及び塗布後のSCCA−1の量を示す。この結果からか、額におけるSCCA−1の量は多く、また薬剤刺激によりその量は有意に亢進することもわかる。一方、内腕においてはSCCA−1の量は額における量に比べ、顕著に少なかった。従って、薬剤刺激に対し感受性である額の方が、内腕に比べSCCA−1の発現量が多いことが明らかである。 図3はオレイン酸の塗布の前後における、額及び内腕のそれぞれのTEWLの変動(a)及びSCCA−1発現量の変動(b)を示す。図3(a)は図2(a)と同様、額の方が内腕に比べ薬剤刺激に対し感受性であることを示しているが、図3(b)は感受性の高い額において、薬剤刺激によりSCCA−1の発現量が有意に上昇するのに対し、感受性の低い内腕ではSCCA−1の発現量の有意な変化がないことがわかる。従って、感受性の高い額ではオレイン酸の塗布によりSCCA−1の発現が亢進し、皮膚バリアー機能の低下につながったものと考えられる。 図4はオレイン酸を塗布した皮膚毎におけるTEWLの変動とSCCA−1発現量の変動との相関関係を示す。額及び内腕の皮膚について得られた値をまとめたものである。この図から、オレイン酸塗布前の個人の表皮が有するSCCA−1量が高いほど、オレイン酸塗布後のTEWLの変動が大きいことがわかる。即ち、オレイン酸布前の個人の表皮が有するSCCA−1量が高いほど、外部刺激による皮膚バリアー機能低下の割合が高いことが示唆された(SCCA−1とTEWLとではPearson相関係数は0.7668であり有意である)。従って、各個人の表皮が有するSCCA−1の発現レベルは薬剤刺激といった外部刺激に対する肌の感受性および反応性の指標となることが示唆された。(6)不全角化を呈する露光部皮膚、アレルギー性皮膚、アトピー乾燥皮膚、乾癬皮膚におけるSCCA1の発現レベル 正常な皮膚性状を示す非露光部位(内腕)皮膚、不全角化を呈する露光部位(顔面)皮膚、花粉症によるアレルギー性皮膚により肌荒れを患った患者の皮膚、アトピー性皮膚炎に罹った患者の皮膚、乾癬に罹った患者の皮膚の各々に対しテープストリッピングを施すことでそれぞれの角層を採取し、SCCA−1の発現量を上記のとおりELISAにより測定した。 その結果を表1に示す。正常な皮膚性状を示す非露光部位皮膚(コントロール)以外、検討した全ての皮膚でSCCA1の顕著な亢進が認められた。コントロールと比較して、アトピー性乾燥皮膚では16倍、露光部皮膚では90倍、花粉症アレルギー性皮膚では232倍、乾癬皮膚においては466倍も発現が亢進していた。これらの結果よりSCCA1は刺激感受性の高い、すなわち少ない刺激でさらに肌荒れしやすい敏感で反応性の高い肌で著しい発現亢進をしていることが明らかになった。正常皮膚におけるSCCA発現量とTEWLの相関図。オレイン酸塗布によるTEWL値とSCCA−1発現量を示す。オレイン酸塗布によるTEWLの変動とSCCA−1発現量の変動を示す。TEWLの変動とSCCA−1発現量との相関図。 皮膚角層細胞の扁平上皮細胞癌関連抗原(SCCA)の発現を指標とする、肌の感受性の程度の評価方法。 前記肌の感受性が薬剤刺激に対するものである、請求項1記載の方法。 前記SCCAの発現を、SCCAに特異的な抗体を使用する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により実施する、請求項1又は2に記載の方法。 前記皮膚角層試料がテープストリッピングにより採取されたものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。 SCCAがSCCA−1である、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。 【課題】生化学レベルでの肌の感受性の評価方法の提供。【解決手段】本発明は、皮膚角層細胞の扁平上皮細胞癌関連抗原(SCCA)の発現を指標とする、肌の感受性の程度の評価方法を提供する。【選択図】図2


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