生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_バイオマスからのアミノ酸製造方法および装置
出願番号:2007047307
年次:2008
IPC分類:C07C 227/28,C07C 229/08,C07C 229/24,C07C 319/20,C07C 323/58


特許情報キャッシュ

岡田 純 山下 武俊 大塚 潔 JP 2008208080 公開特許公報(A) 20080911 2007047307 20070227 バイオマスからのアミノ酸製造方法および装置 ハビックス株式会社 594050762 奥山 尚一 100099623 有原 幸一 100096769 松島 鉄男 100107319 森本 聡二 100142996 岡田 純 山下 武俊 大塚 潔 C07C 227/28 20060101AFI20080815BHJP C07C 229/08 20060101ALI20080815BHJP C07C 229/24 20060101ALI20080815BHJP C07C 319/20 20060101ALI20080815BHJP C07C 323/58 20060101ALI20080815BHJP JPC07C227/28C07C229/08C07C229/24C07C319/20C07C323/58 6 2 OL 12 4H006 4H006AA02 4H006AC46 4H006AC52 4H006BC10 4H006BC31 4H006BE10 4H006BN10 4H006BS10 4H006BU32 4H006TA04 4H006TB52 4H006TC34 本発明は、タンパク質を含有するバイオマス資源を原料に用いてアミノ酸を製造する方法および装置に関する。 アミノ酸を製造する方法としては、特定の微生物を利用してアミノ酸を生産させる発酵法や、特定の酵素を利用してグルコースをアミノ酸に分解する酵素法、昆布等からアミノ酸を抽出する抽出法、小麦や脱脂大豆のタンパク質を塩酸による加水分解する加水分解法、化学的に合成する合成法などがあるが、これらの中で発酵法が現在、最も一般的に採用されている方法である。 例えば、アミノ酪酸を製造する方法として、特開平8−154692号公報には、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する特定の微生物を培養し、これを5−エチルヒダントインに作用せしめ、D−2−アミノ酪酸を生成する方法が記載されている。また、アミノアジピン酸の製造方法として、特開平6−181787号公報には、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、クレプシエラ(Klebsiella)属、ブレビバクテリウム(Breviacterium)属、又はバチルス(Bacillus)属に属する微生物をL−リジンに作用せしめることで、L−α−アミノアジピン酸を生成する方法、国際公開第96/31616号パンフレットには、フラボバクテリウム(Flavobacterium)属に属する微生物の培養物を用いて、L−リジンのアミノメチル基をカルボキシル基に変換するL−2−アミノアジピン酸の製造方法が記載されている。さらに、シスタチオニンの製造方法として、特開2004−159553号公報や特開2005−168422号公報には、大腸菌に属する特定の変異株を培養し、これにL−メチオニンや、L−システイン、L−ホモセリンを添加することで、L−シスタチオニンを製造する方法が記載されている。 一方、バイオマス資源は、有限な資源でありかつ大気中に多量のCO2を排出する化石燃料とは異なり、再生産が可能でありかつカーボンニュートラルである。そのため、バイオマス資源の有効利用については、化石燃料の代替エネルギーとしての用途の他にも、多くの用途への研究がなされている。米ぬかやおから等の食品加工残渣や、セリシン等の絹糸加工残渣に代表される廃棄物系バイオマスについては、飼料等への再利用も行われているものの、依然として多くの量が有効利用されずに廃棄処理されている状況にある。特開平8−154692号公報特開平6−181787号公報国際公開第96/31616号パンフレット特開2004−159553号公報特開2005−168422号公報 発酵法は、現在のアミノ酸産業の基盤をなす技術である。しかしながら、発酵法は、変異株等の特定の微生物を培養する必要がある等の高度の技術が要求される。よって、発酵法よりも容易にアミノ酸を製造する方法および装置の開発が求められている。 そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、発酵法よりも容易にアミノ酸を安価に大量に製造することができる方法および装置を提供することを目的とする。 上記の目的を達成するために、本発明は、タンパク質を含有するバイオマスからアミノ酸を製造する方法であって、このバイオマスとアルカリとを、加熱条件下および無酸素雰囲気下で反応させて、アミノ酸を生成することを特徴とするものである。 このように、バイオマス中に含まれるタンパク質は、加熱条件下および無酸素雰囲気下でアルカリと反応し、アミノ酸へと分解する。この反応により得られるアミノ酸としては、現在のところ、ホスホセリン、タウリン、トレオニン、グルタミン酸、α−アミノアジピン酸、グリシン、アラニン、シトルリン、α−アミノ酪酸、バリン、メチオニン、シスタチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、β−イソアミノ酪酸、ギャバ(γ−アミノ酪酸)、トリプトファン、オルチニン、リジン、ヒスチジン、アルギニン、プロリンが確認されている。これらアミノ酸は、医薬用途、食品用途、研究用途などで広く利用されているが、本発明によれば、これらの中でも特に、医薬用途として有望で且つ工業的に製造することが非常に困難で高価なα−アミノアジピン酸、α−アミノ酪酸、シスタチオニンを製造することができるという利点がある。 前記加熱条件としては150〜450℃の温度範囲が好ましい。前記バイオマスと前記アルカリとの重量比は、前記バイオマスを乾燥重量で1gに対し前記アルカリを0.05〜40.0gとすることが好ましい。アルカリの重量は固体状態のものである。前記タンパク質を含有するバイオマスとしては、動植物系タンパク質を含有するバイオマスを使用することが好ましい。 また、本発明は、別の態様として、タンパク質を含有するバイオマスからアミノ酸を製造する装置であって、このバイオマスとアルカリとの反応によりアミノ酸を生成する無酸素雰囲気下の反応室と、前記反応室を前記反応が起こる温度に加熱する加熱手段と、前記反応室内から、生成したアミノ酸を含有する固体状の残留物を取り出す排出手段とを備えることを特徴とする。このアミノ酸製造装置は、前記バイオマスと前記アルカリとの重量比が、乾燥重量の前記バイオマス1gに対して前記アルカリが0.05〜40.0gとなるように、前記反応装置に前記バイオマスと前記アルカリを供給する定量供給手段を更に備えることが好ましい。また、このアミノ酸製造装置は、前記残留物中からアミノ酸を分離する分離手段を更に備えることが好ましい。 上記の通り、本発明によれば、原料としてタンパク質を含有するバイオマスを用い、これを加熱条件下および無酸素雰囲気下でアルカリと反応させることでアミノ酸が生成することから、アミノ酸を安価に大量に製造する方法および装置を提供することができる。 以下に、本発明に係るアミノ酸を製造する方法の実施の形態について説明する。本発明は、所定の加熱条件下および無酸素雰囲気下で、タンパク質を含有するバイオマスとアルカリとを反応させることで、アミノ酸を得るというものである。 タンパク質を含有するバイオマスとしては、動植物系タンパク質を含有するバイオマスを使用することが好ましい。このような動植物系タンパク質を含有するバイオマスとしては、米、麦、トウモロコシ、肉、刺身や、昆布、ワカメ、海苔等の藻類などの食品がある。さらに、有効利用という観点から、食品や絹糸などの工業製品に加工する際に発生する残渣といった廃棄物系バイオマスを用いることが好ましい。食品加工残渣として具体的に例を挙げると、米ぬか、おから、ふすま、コーヒー粕、ビール粕、酒粕、油粕、醤油粕、デンプン粕、コーン廃液、みかん絞り粕、魚粉、魚介類煮汁、獣骨、獣肉残渣、肉蒸煮液、鳥羽毛などがある。また、絹糸加工残渣としてはセリシンがある。本発明は、タンパク質を含有するバイオマスから直接的にアミノ酸を生成することができるので、バイオマス資源を容易に有効利用することができる。 アルカリとしては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物または酸化物を使用することが好ましい。例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ルビジウム(RbOH)等のアルカリ金属の水酸化物や、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)等のアルカリ土類金属の酸化物を使用することができ、このうち特にNaOHが好ましい。 アルカリの添加量としては、乾燥重量の前記バイオマス1gに対して、アルカリを固体重量で0.05g以上添加することが好ましい。このような添加量にすることで、バイオマス中のタンパク質が十分にアルカリと反応することから、一定量のアミノ酸を生成させることができる。なお、アルカリはタンパク質に対して多めに存在させても良いが、40.0gを超えて過剰に添加してもその効果は飽和状態となるので、アルカリ添加量の上限は40.0gとすることが好ましい。より好ましい範囲は、バイオマス1gに対して0.5〜10.0gである。 加熱条件としては、使用する原料により異なるが、原料を少なくとも150℃以上に加熱する必要がある。加熱温度が150℃未満では、タンパク質を分解してアミノ酸を生成することができない。一方、加熱温度の上限は450℃に抑える必要がある。加熱温度が450℃を超えると、生成したアミノ酸が分解してしまい、効率良くアミノ酸を得ることができない。より好ましい範囲は200〜350℃である。 また、本反応は、バイオマスの燃焼を防ぐため、無酸素雰囲気下で行い、例えば、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、アルゴン(Ar)などの0族元素のガスや窒素ガスを用いることが好ましい。なお、不活性ガスとともに水蒸気を導入してもよい。また、不活性ガスを流通させることで、生成した水素を反応系外に除去することができる。 バイオマスとアルカリは、反応が起こるように混合されていれば特に限定されないが、バイオマスは反応が促進するように様々な形状にすることが好ましい。例えば、粉状、粒状、ペレット状、フレーク状、チップ状、小片状、多孔質状にすることが好ましい。また、バイオマスの種類によっては、液状、スラリー状にしてもよい。また、アルカリは、濃度10〜99重量%の水溶液としてバイオマスに担持させることが好ましい。 本実施の形態では、次に、上記反応により生成した固体状の残留物からアミノ酸を分離する。本反応により生成するアミノ酸としては、ホスホセリン(HOOCCH(NH2)CH2OPO(OH)2)、タウリン(NH2CH2CH2SO2OH)、トレオニン(CH3CH(OH)CH(NH2)COOH)、グルタミン酸(HOOCCH2CH2CH(NH2)COOH)、α−アミノアジピン酸(HOOCCH2CH2CH2CH(NH2)COOH)、グリシン(NH2CH2COOH)、アラニン(CH3CH(NH2)COOH)、シトルリン(NHC(OH)NHCH2CH2CH2CH(NH2)COOH)、α−アミノ酪酸(CH3CH2CH(NH2)COOH)、バリン((CH3)2CHCH(NH2)COOH)、メチオニン(CH3SCH2CH2CH(NH2)COOH)、シスタチオニン(HOOCCH(NH2)CH2SCH2CH2CH(NH2)COOH)、イソロイシン(CH3CH2CH(CH3)CH(NH2)COOH)、ロイシン((CH3)2CHCH2CH(NH2)COOH)、チロシン(p−OHC6H4CH2CH(NH2)COOH)、フェニルアラニン(C6H5CH2CH(NH2)COOH)、β−イソアミノ酪酸(NH2CH2CH(CH3)COOH)、ギャバ(γ−アミノ酪酸)(NH2CH2CH2CH2COOH)、トリプトファン((C8H6N)CH2CH(NH2)COOH)、オルチニン(NH2CH2CH2CH2CH(NH2)COOH)、リジン(H2NCH2CH2CH2CH2CH(NH2)COOH)、ヒスチジン((C3H3N2)CH2CH(NH2)COOH)、アルギニン(HN=C(NH2)NHCH2CH2CH2CH(NH2)COOH)、プロリン((C4H8N)COOH)の24種類が確認されている。これらの中でも、α−アミノアジピン酸、α−アミノ酪酸、シスタチオニンを製造することが好ましい。 これらのアミノ酸は、ナトリウム塩等のアミノ酸のアルカリ塩として残留物中に存在する場合もある。また、残留物中には、これらアミノ酸塩の他、未反応のバイオマスなどが存在する。よって、残留物中からアミノ酸を分離する必要がある。 残留物中からアミノ酸を分離する方法としては、例えば、残留物を純水等の溶媒に浸漬して、アミノ酸のアルカリ塩を溶媒に溶解させることで、このような溶媒に不溶な固形物と分離することができる。その後、濾過等の固液分離を行うことによって、固形物を除去して、アミノ酸を含む液体を得ることができる。なお、各アミノ酸をそれぞれ分離する場合は、アミノ酸の種類によって異なるが、例えば、塩酸、硫酸等の酸水溶液と有機溶媒で抽出分離する方法や、高速液体クロマトグラフィーにより分離、精製する方法もある。 次に、本発明に係るアミノ酸を製造する装置の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る装置は、タンパク質を含有するバイオマスとアルカリとの反応によりアミノ酸を生成する反応室と、この反応室の温度を150〜450℃にする加熱手段と、前記バイオマスと前記アルカリとの重量比が、乾燥重量の前記バイオマス1gに対して前記アルカリが0.05〜40.0gとなるように、反応室にバイオマスとアルカリを供給する定量供給手段と、反応室を無酸素雰囲気に維持するために反応室に不活性ガスを供給する配管と、反応室内で生成した水素等を含むガスを排出する配管と、反応室から固体状の残留物を取り出す排出手段と、この残留物中からアミノ酸を分離する分離手段とを備えている。 本反応を行うための反応室は、固定床方式でも流動床方式でもよい。流動床方式としては、例えば、円筒形状の回転型反応炉(ロータリーキルン)や、単軸又は2軸スクリュー式押出機を用いることができる。反応室は、ステンレススチールやアルミニウム等の金属、アルミナやジルコニア等のセラミックスまたはフェノール樹脂やポリフェニレンサルファイド等の耐熱性プラスチック等の耐熱性、耐アルカリ性に優れた素材で作られていることが好ましい。 加熱手段としては、抵抗加熱によるヒータや、正特性サーミスタ(PTCヒータ)、化学反応の酸化熱を利用する加熱器、触媒燃焼による加熱器、誘導加熱による加熱器、熱風を反応室外周に供給して原料を間接加熱する外熱式加熱手段などを用いることができる。 定量供給手段としては、タンパク質を含有するバイオマスとアルカリまたはその水溶液とをそれぞれ計量して、所定の重量比となるように供給するものであれば、特に限定されるものではない。これらは混合してから反応室に供給してもよいし、別々に供給してもよい。また、定量供給手段は、反応室が固定床方式であればバッチ式を採用でき、反応室が流動床方式であれば連続式を採用できる。 反応室内に不活性ガスを供給する配管、反応室が固定床方式であれば反応前に不活性ガスを反応室内に充填するように構成することができ、反応室が流動床方式であれば反応中に不活性ガスを連続的に供給する構成にすることができる。また、反応室内から気相生成物を含むガスを排出する配管も、反応室が固定床方式であれば反応後にガスを反応室内から排出するように構成することができ、反応室が流動床方式であれば反応中にガスを連続的に排出する構成にすることができる。 反応室から固体状の残留物を取り出す排出手段としては、例えば、反応室としてロータリーキルンを採用した場合、円筒軸を傾けることで、キルンの回転により、床面の高さが低い方のキルン端部の開口部から、残留物が自由落下して排出される。必要により、残留物を掻き出すためのスパイラルブレードなどを残留物の出口に設けてもよい。 分離手段としては、例えば、アミノ酸を溶解する溶媒が収容された残留物用受容器と、アミノ酸が溶解した溶媒と固形物とを固液分離するフィルターとの組み合わせ等を用いることができる。排出手段と分離手段との間に、例えば、室温まで残留物を冷却することができる冷却手段を設けてもよい。例えば、室温または低温の不活性ガスを送風すること等によって、残留物を冷却することができる。(実施例1) タンパク質を含有するバイオマスとして、米ぬか0.3g(水分率12%)をアルミナボートにのせ、それにアルカリとして50wt%のNaOH水溶液(和光純薬工業社製)を所定量(NaOH:22.5mmol)滴下し、スパチュラにて両者を混合した。そして、図1に示す常圧固定床流通式反応装置を用いて、上記の試料からアミノ酸を生成する実験を行った。 先ず、ステンレス製の反応管3中央部に上記のアルミナボート11に載せた試料10を入れ、Arパージ(100ml/min、101kPa)を30分間行った。次に、電気炉4により反応管3を加熱して、Ar(20ml/min、101kPa)雰囲気下、室温から100℃まで5℃/minで昇温し、100℃から250℃まで2℃/minで昇温し、その後、250℃で1時間にわたり反応を行った。 この反応により生成した生成物を50mlの純水に溶解し、この溶解液を日立社製アミノ酸分析装置にて分析した。その結果を表1に示す。また、米ぬかに代えて、セリシン、おからについても、各0.3g(水分率12%)使用して同様の実験を行った。これらの結果も表1に示す。なお、アミノ酸の収率(%)は、バイオマスの乾燥重量に対する各アミノ酸の生成量の割合である。米ぬか、セリシン、おからの各乾燥重量は265.4mg、264.0mg、264.0mgであった。 表1に示すように、バイオマスとして米ぬかを使用した場合、ホスホセリン、タウリン、トレオニン、グルタミン酸、α−アミノアジピン酸、グリシン、アラニン、α−アミノ酪酸、バリン、メチオニン、シスタチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、β−イソアミノ酪酸、ギャバ(γ−アミノ酪酸)、トリプトファン、オルチニン、リジン、ヒスチジン、アルギニン、プロリンの23種類のアミノ酸が生成することが確認できた。なお、β−イソアミノ酪酸とトリプトファンについては生成していることは確認できたが、生成量が微量のため定量することができなかった。 また、セリシンを使用した場合は、上記のアミノ酸のうち、ホスホセリン、トレオニン、フェニルアラニン、β−イソアミノ酪酸、アルギニンを除く、18種類のアミノ酸が生成することが確認できた。おからを使用した場合は、上記のアミノ酸のうち、タウリン、トレオニン、β−イソアミノ酪酸を除く、20種類のアミノ酸が生成することが確認できた。なお、これらのバイオマスを使用した場合も、トリプトファンについて生成していることは確認できたが、生成量が微量のため定量することができなかった。 原料として米ぬかやおからを使用した場合、これらの重量に対してアミノ酸の生成量は少なく、収率は約9%から約18%であった。一方、原料としてセリシンを使用した場合、この重量に対してアミノ酸の生成量は多く、収率は約51%であった。これは、バイオマス原料中に含まれるタンパク質の割合によるものであると推測する。 また、反応管3内で生成した気体は、氷により温度0℃に保持されたトラップ装置5を介して、サンプリング装置6に導入した。そして、気相生成物を分析するために、さらに気相の一部をガスクロマトグラフ7に導入した。その結果、気相生成物として、水素とメタンを検出したが、COおよびCO2は検出されなかった。(実施例2) タンパク質を含有するバイオマスとして米ぬか0.3g(水分12%)をアルミナボートにのせ、それにアルカリとして50wt%のNaOH水溶液(和光純薬工業社製)を所定量(NaOH:22.5mmol)滴下し、スパチュラにて両者を混合した。そして、実施例1と同様の反応装置を用いて、上記の試料からアミノ酸を生成する実験を行った。 この反応により生成した生成物を分析するため、50mlの純水で溶解した同生成物を外部機関の岐阜県産業技術センター(日本電子社製アミノ酸分析装置JLC−500を使用)に依頼してアミノ酸分析を行った。その結果を表2、表3および図2、図3に示す。 表2、表3および図2、図3に示すように、外部機関による分析結果では、米ぬかから、ホスホセリン、グルタミン酸、α−アミノアジピン酸、グリシン、アラニン、シトルリン、α−アミノ酪酸、バリン、メチオニン、シスタチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、ギャバ(γ−アミノ酪酸)、トリプトファン、オルチニン、リジン、ヒスチジン、アルギニン、プロリンの21種類のアミノ酸が生成することが確認できた。なお、タウリン、トレオニン、β−イソアミノ酪酸については、生成量が少ないこともあってか、この分析結果からは生成したことの確認はできなかった。一方、この外部機関による分析結果ではシトルリンも生成していることがわかった。実施例で使用した固定床流通反応装置の概略を示す模式図である。バイオマスとして米ぬかを用いた場合に生成したアミノ酸の分析結果を示すグラフである。バイオマスとして米ぬかを用いた場合に生成したアミノ酸(プロリン等)の分析結果を示すグラフである。符号の説明 1 マイクロフィーダ 2 気化器 3 アルミナ反応管 4 電気炉 5 トラップ装置 6 サンプリング装置 7 ガスクロマトグラフ タンパク質を含有するバイオマスからアミノ酸を製造する方法であって、 前記バイオマスとアルカリとを、加熱条件下および無酸素雰囲気下で反応させて、アミノ酸を生成するバイオマスからのアミノ酸製造方法。 前記アミノ酸として、α−アミノアジピン酸、α−アミノ酪酸、若しくはシスタチオニン、又はこれらの組み合わせを生成する請求項1に記載のアミノ酸製造方法。 前記加熱条件が150〜450℃の温度範囲である請求項1又は2に記載のアミノ酸製造方法。 前記バイオマスと前記アルカリとの重量比を、前記バイオマスを乾燥重量で1gに対し前記アルカリを0.05〜40.0gとする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアミノ酸製造方法。 前記タンパク質を含有するバイオマスとして、動植物系タンパク質を含有するバイオマスを使用する請求項1〜4のいずれか一項に記載のアミノ酸製造方法。 タンパク質を含有するバイオマスからアミノ酸を製造する装置であって、 前記バイオマスとアルカリとの反応によりアミノ酸を生成する無酸素雰囲気下の反応室と、前記反応室を前記反応が起こる温度に加熱する加熱手段と、前記反応室内から、生成したアミノ酸を含有する固体状の残留物を取り出す排出手段とを備えたアミノ酸製造装置。 【課題】 発酵法よりも容易にアミノ酸を安価に大量に製造することができる方法および装置を提供する。【解決手段】 タンパク質を含有するバイオマスとアルカリとを、加熱条件下および無酸素雰囲気下で反応させてアミノ酸を生成する。この方法により生成するアミノ酸としては、ホスホセリン、タウリン、トレオニン、グルタミン酸、α−アミノアジピン酸、グリシン、アラニン、シトルリン、α−アミノ酪酸、バリン、メチオニン、シスタチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、β−イソアミノ酪酸、ギャバ(γ−アミノ酪酸)、トリプトファン、オルチニン、リジン、ヒスチジン、アルギニン、プロリンが確認されている。【選択図】 図2


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