生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_エステル化物の製造方法
出願番号:2007042274
年次:2008
IPC分類:C07C 69/54,C07C 67/08,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

清水 倫和 JP 2008201761 公開特許公報(A) 20080904 2007042274 20070222 エステル化物の製造方法 三洋化成工業株式会社 000002288 清水 倫和 C07C 69/54 20060101AFI20080808BHJP C07C 67/08 20060101ALI20080808BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080808BHJP JPC07C69/54 ZC07C67/08C07B61/00 300 5 OL 9 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC48 4H006BA28 4H006BA34 4H006BA52 4H006BA66 4H006BC10 4H006BC19 4H006BC51 4H006BC53 4H006BD20 4H039CA66 4H039CG10 本発明は、ポリエーテルと不飽和カルボン酸とのエステル化物の製造方法に関する。 ポリエーテルと不飽和カルボン酸のエステル化によって得られるポリエーテルの不飽和カルボン酸エステルは、不飽和基のビニル重合性を利用して各種の重合体用のビニル単量体などの用途に使用されている。 ポリエーテルの不飽和カルボン酸エステルのうち、特にポリエーテルの(メタ)アクリル酸エステルは、セメントや顔料等の高分子分散剤として使用される重合体の原料モノマー、帯電防止剤または反応性乳化剤等として利用されている。ポリエーテルの(メタ)アクリル酸エステルの製造方法としては、ポリエーテルと(メタ)アクリル酸メチルとのエステル交換法またはポリエーテルと(メタ)アクリル酸とのエステル化法で従来から合成されている。この内、エステル化法はポリエーテルと過剰の(メタ)アクリル酸を硫酸やパラトルエンスルホン酸等の強酸性の触媒の存在下、反応生成水を除去するという合成法が一般的である。 これらの酸触媒は、エステル化反応終了後も系内に微量でも存在すると、微量の水分の存在下に、生成物であるエステル化物を加水分解する作用がある。特に、エステル化物が水性溶媒で希釈されて保存される場合や、水性溶媒中で重合反応に使用される場合は、長期間もしくは高温で水分と接触することになるため、酸触媒によって加水分解されやすい。 加水分解生成物が残留したエステル化物を単量体の1種として重合して得られる重合体は、加水分解生成物という不純物を含有し、かつ、重合率が低いという不都合を生じる。そのような重合体が、セメント分散剤等の各種分散剤や増粘剤等に使用される場合には、目的とする効果(分散性や増粘性など)が発揮できないという問題点が生じる。従って、エステル化物の加水分解を抑制して安定化を図るためには酸触媒を除去するか、失活させることが必要となる。 酸触媒の失活法としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリを使用して90℃以下で中和する方法が提案されている(特許文献1)特開2000−212129号公報 しかしながら、従来の酸触媒の失活法では強アルカリ性の化合物を使用するため、強アルカリ性化合物の接触による加水分解が起こりやすく、酸触媒の失活工程を少なくとも90℃以下、最も好ましくは50℃以下で行う必要があり、エステル化反応後に必ず冷却という操作が必要になったり、アルカリによる中和熱を気にしながら温度管理を行わないといけない煩わしさがあった。 本発明者は上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は一般式(1)で表されるポリエーテル(a1)と不飽和カルボン酸(a2)とを酸触媒の存在下にエステル化反応するエステル化物の製造方法において、エステル化反応終了後、酸触媒をカルボン酸塩(c)で失活させることを特徴とするエステル化物の製造方法である。R(OA)nOH (1)(Rは炭素数1〜12の炭化水素基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜200の整数を表す。) エステル化反応終了後において、酸触媒の失活を90℃を超える温度で行っても、加水分解が起こりにくい。 本発明において、ポリエーテル(a)は一般式(1)で示される化合物である。一般式(1)におけるRは炭素数1〜12の炭化水素基であり、脂肪族炭化水素基、脂環基含有炭化水素基および芳香環含有炭化水素基が挙げられる。 脂肪族炭化水素基としては、直鎖または分岐のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、ペンチル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、i−、sec−、およびt−ブチル基、2−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、3−メチルブチル基並びに2−エチルヘキシル基など)およびアルケニル基(ビニル基、アリル基およびメタリル基など)が挙げられる。 脂環基含有炭化水素基としては、シクロへキシル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基およびシクロヘキシルメチル基などが挙げられる。 芳香環含有炭化水素基としては、フェニル基、アリールアルキル基(ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基およびフェニルブチル基など)およびアルキルアリール基(メチルフェニル基、エチルフェニル基およびヘキシルフェニル基など)が挙げられる Rのうち好ましいのは炭素数1〜8のアルキル基、特に炭素数1〜6のアルキル基である。 Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、例えば、エチレン基、プロピレン基(1,2−プロピレン基および1,3−プロピレン基)およびブチレン基(1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基および1,4−ブチレン基など)が挙げられる。Aのうち、好ましいのはエチレン基、プロピレン基およびこれらの併用である。 nは1〜200の整数を表し、好ましいのは1〜90である。 一般式(1)で示されるポリエーテル(a)は、通常、ROHで表される炭素数1〜12の1価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加することで得られる。 炭素数1〜12の1価アルコールとしては、脂肪族アルコール、脂環式アルコールおよび芳香族アルコールが挙げられる。脂肪族アルコールとしては、天然アルコールでも合成アルコール(チーグラーアルコール、オキソアルコールなど)でもよい。具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコールなどの直鎖もしくは分岐の飽和脂肪族アルコールが挙げられる。 脂環基含有アルコールとしては、シクロヘキシルアルコール、エチルシクロヘキシルアルコールなどが挙げられる。 芳香環含有アルコールとしては、フェノール、エチルフェノールおよびベンジルアルコールなどが挙げられる。 上記の炭素数2〜4のアルキレンオキシドとしてはエチレンオキサイド(以下、EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、EOと他のアルキレンオキサイド[PO、1,2−ブチレンキサイドまたはテトラヒドロフラン等]の併用、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。アルキレンオキサイドの付加反応には、通常は、アルカリ触媒(アルカリ金属水酸化物など)または酸触媒が使用され、反応温度は60〜180℃である。また、生成物中に残存する触媒は、通常は中和されて、必要により濾過などによって除去される。 本発明において、エステル化反応の原料としての不飽和カルボン酸(b)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの炭素数3〜18の不飽和カルボン酸およびその無水物、これらの2種以上の併用などが挙げられる。これらのうち得られる不飽和カルボン酸エステルの利用価値という観点から好ましいものは、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸である。 エステル化反応におけるポリエーテル(a)と不飽和カルボン酸(b)の仕込み当量比は、特に制限されるものでないが、通常は一方が過剰となる比率が好ましく、具体的には、ポリエーテルの水酸基もしくは不飽和カルボン酸基1当量に対して、もう一方の官能基の当量が1.0〜30当量、好ましくは1.2〜10当量である。 エステル化反応においては、不飽和カルボン酸(b)および生成するエステルの重合を防止するために重合禁止剤を用いることが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、フェノチアジン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、ジ−p−フルオロフェニルアミン、ジフェニルピクリルヒドラジル、N−(3−N−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ベンゾキノン、ハイドロキノン、メトキノン、ブチルカテコール、ニトロソベンゼン、ピクリン酸、ジチオベンゾイルジスルフィド、クペロン、塩化銅(II)などが挙げられる。重合禁止剤の添加量は、ポリエーテル(a)と不飽和カルボン酸(b)の合計量に対して、0.001〜1質量%、さらに好ましくは0.01〜0.1質量%である。 エステル化反応においては、酸化防止剤を用いることが好ましい。酸化防止剤としては、例えば、亜硝酸、亜硫酸、亜リン酸、次亜リン酸、過ホウ酸、アスコルビン酸、シュウ酸、クエン酸およびこれらの酸のナトリウム塩とカリウム塩などが挙げられる。この中でも特に次亜リン酸が好ましい。次亜リン酸の添加量は、ポリエーテル(a)と不飽和カルボン酸(b)の合計量に対して、0.001〜1質量%、さらに好ましくは0.01〜0.1質量%である。 本発明において、エステル化反応において使用される酸触媒としては、硫酸および塩酸などの無機酸、並びにメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸などが挙げられる。この際、酸触媒は単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。酸触媒の添加量は、ポリエーテル(a)と不飽和カルボン酸(b)の合計量に対して、0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。 エステル化時に反応生成水を系外に除去する手段としては、(1)水と相溶しない有機溶剤の還流下、有機溶剤と生成水とを共沸させて、生成水のみを反応系外で分離除去する方法;有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等が挙げられる。(2)反応系内にキャリアガスを吹き込み、キャリアガスと共に生成水を系外に持ち出す方法;キャリアガスとしては、例えば、空気、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、二酸化炭素等の気体等が挙げられる。これらのガスは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。(3)反応系内を減圧とすることで生成水を系外に留去する方法;減圧とする場合、反応成分であるポリエーテル(a)と不飽和カルボン酸(b)は系内に残存し、生成水のみ系外に留去する条件が好ましく、一般的には80〜0.5kPaの条件が好ましい。(4)上記(1)〜(3)のいずれか1種以上を組み合わせた方法;等が挙げられる。 エステル化反応における反応温度は、通常90℃を超え160℃以下、特に100〜130℃が好ましい。エステル化反応時間は、通常2〜30時間、好ましくは3〜12時間である。 エステル化反応終了後に、過剰のポリエーテル(a)または不飽和カルボン酸(b)が残存する場合は、生成物が蒸発しない範囲の条件で、必要により減圧下に除去もしくは留去してもよい。過剰成分の除去・留去の温度は、エステル化反応の温度と同様の範囲である。 本発明において、酸触媒を失活させるためのカルボン酸塩(c)を構成するカルボン酸としては、例えば、炭素数1〜3の脂肪族飽和モノカルボン酸(蟻酸、酢酸、プロピオン酸など)、炭素数2〜6の脂肪族飽和ジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸など)、炭素数3〜8の脂肪族不飽和モノもしくはジ〜テトラカルボン酸((メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸など)が挙げられる。カルボン酸塩(c)としては、上記カルボン酸のアルカリ金属(カリウム、ナトリウムなど)塩、上記カルボン酸のアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)塩、上記カルボン酸のアンモニウム塩、上記カルボン酸のアミン(1〜3級のアルキルアミンなど)塩、およびこれらの2種以上の併用などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、後述のように、分散剤用の共重合体の単量体の1種として本発明におけるエステル化物を使用する場合に共重合の相手の単量体としてそのまま利用できるという観点から、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウムおよびこれらの併用である。 カルボン酸塩(c)の添加量は、エステル化反応で使用した酸触媒の当量数に対して、通常1〜10当量、不飽和カルボン酸エステルの純度の観点から好ましくは1〜2当量、さらに好ましくは1〜1.3当量である。酸触媒がカルボン酸塩(c)によって中和されて失活する結果として、カルボン酸が副生し、カルボン酸はそのまま生成物中に残存する。また、カルボン酸塩(c)の当量比が1.0を超えて仕込まれた場合の過剰分は、そのまま残存する。これらの副生カルボン酸および過剰のカルボン酸塩は、カルボン酸塩(c)として、上記の不飽和カルボン酸(b)の塩を使用する場合は、結果的に残存するのは不飽和カルボン酸(b)(および必要により、その塩も含む)となる。本発明におけるエステル化物は、セメント分散剤や増粘剤用の共重合体の製造に使用される単量体の1種として使用されることが多いが、その場合の他の単量体として、不飽和カルボン酸またはその塩を使用することが多い。従って、分散剤用の共重合体の単量体の1種として本発明におけるエステル化物を使用する場合は、カルボン酸塩(c)として、不飽和カルボン酸塩、特に共重合性と分散性付与の観点から(メタ)アクリル酸塩が好ましい。また、分散剤用の共重合体の単量体の1種として本発明におけるエステル化物を使用する場合は、カルボン酸塩(c)として不飽和カルボン酸塩を過剰に使用しても、過剰分は他の単量体として共重合するため、カルボン酸塩(c)の当量比が1.0を超えて仕込まれた場合であっても、他の単量体としての目的の量の範囲内であれば特に問題はない。 カルボン酸塩(c)そのものは通常は室温で固体であるが、溶解のし易さの観点から、水溶液として使用するのが好ましく、水溶液はカルボン酸の水溶液をアルカリ金属水酸化物などの水溶液で中和することによって得ることができる。水溶液中のカルボン酸塩(c)の濃度は、通常3〜60質量%、好ましくは10〜40質量%である。 酸触媒をカルボン酸塩(c)で失活させる具体的な方法としては、エステル化反応終了後(「エステル化反応終了後」には、必要により行われる「過剰分のポリエーテル(a)もしくは過剰分の不飽和カルボン酸(b)の除去工程終了後」も含まれる)に、系内にカルボン酸塩(c)を一括して添加または徐々に添加する方法が挙げられる。添加される際の系内の温度は、160℃以下であれば特に限定されないが、冷却の必要が無く、工程が短縮できるという観点から、エステル化反応温度と同じ温度、さらに好ましくは90℃を超える温度、特に100〜130℃が好ましい。本発明のエステル化物の製造方法は、90℃を超える温度で酸触媒の失活を行っても、エステル化物の加水分解が殆ど起こらない。なお、酸触媒が失活したことは、系内の強酸価が検出されなくなることで確認できる。 本発明のエステル化物には常温で固体のものが含まれるが、このようなものは使用時に加熱溶解すると重合する危険性があることから、水溶液として保管されることが好ましい。 以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されない。以下において、部および%はそれぞれ質量部および質量%を示す。 <実施例1> 温度計、攪拌機を備えたSUS製オートクレーブに、メタノール32部及び水酸化ナトリウム0.4部を仕込み、容器内を十分に窒素置換した後、密閉し、100℃に昇温した。エチレンオキシド132部を150℃以下で1時間かけて吹き込み反応した後、180℃に昇温し、エチレンオキシド880部を3時間かけて吹き込み反応した。さらに180℃で1時間熟成した後、25℃に冷却した。温度計、攪拌機、生成水分離器、還流冷却管を備えたガラス製反応器に内容物を移し替え、ハイドロキノンモノメチルエーテル2部、次亜リン酸2部、硫酸6部、メタクリル酸172部を仕込み、攪拌下、若干量の空気を供給しながら徐々に昇温すると共に減圧し、エステル化反応により生成する水を70kPaの減圧度で反応系外に留去しつつ、120℃でエステル化反応を行なった。次いで、残存する過剰分のメタクリル酸を更に減圧度を上げて留去することにより、ケン化価49.1mgKOH/g、水酸基価0.5mgKOH/g、弱酸価7.4mgKOH/g、水酸基価から算出したエステル化率99%のメトキシポリエチレングリコール(付加モル数23モル)メタクリレート1130部を得た。 メタクリル酸の留去が終了した直後の120℃のメトキシポリエチレングリコールメタクリレートを攪拌しながら、30%メタクリル酸ナトリウム水溶液(弱酸価155mgKOH/g)88部を一括して仕込み、さらに120℃で30分間攪拌を続けた。このものの濃度は95%、強酸価は0mgKOH/g、弱酸価は18.1mgKOH/gであり、以下の式からエステルの加水分解率を計算することでエステルが加水分解していないことを確認した。加水分解率(%)=(A3−A1×W1/W3−A2×W2/W3)×100/(S×W1/W3)A1・・・エステル化終了時の弱酸価(mgKOH/g)A2・・・30%メタクリル酸ナトリウムの弱酸価(mgKOH/g)A3・・・30%メタクリル酸ナトリウム添加後の合計試料の弱酸価(mgKOH/g)S・・・エステル化終了時のケン化価(mgKOH/g)W1・・・エステル化終了時の生成物の得量(部)W2・・・30%メタクリル酸ナトリウムの添加量(部)W3・・・30%メタクリル酸ナトリウム添加後の合計得量(部)更に水438部を加えて濃度を70%としたものを(A−1)とした。<比較例1> 実施例1においてメタクリル酸の留去が終了した段階のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ケン化価49.1mgKOH/g、水酸基価0.5mgKOH/g、弱酸価7.4mgKOH/g)を50℃に冷却し、水484部を加て濃度を70%としたものを(B−1)とした。<比較例2> 実施例1においてメタクリル酸の留去が終了した直後の120℃のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ケン化価49.1mgKOH/g、水酸基価0.5mgKOH/g、弱酸価7.4mgKOH/g)に30%水酸化ナトリウム水溶液33部(弱酸価0mgKOH/g)を一括して仕込んだ。このものの濃度は98%、強酸価は0mgKOH/g、弱酸価は12.1であり、実施例1で挙げた加水分解率計算式中の30%メタクリル酸ナトリウムを30%水酸化ナトリウムに置き換えた式により計算するとエステルが約10%加水分解していること確認した。更に水464部を仕込んで濃度を70%としたものを(B−2)とした。<70%水溶液の長期安定性評価>(A−1)、(B−1)および(B−2)を、45℃で3ヶ月間静置した前後の弱酸価の変化を測定し、実施例で挙げた加水分解率計算式を更に濃度補正した式から加水分解率(%)を算出した。結果を表1に示す。(A−1)は、弱酸価の変化は小さく、エステル化物はほとんど加水分解していない。(B−1)は、弱酸価の変化が大きく、エステル化物がかなり加水分解していることが確認された。(B−2)は、酸触媒処理時にエステル化物が加水分解したものの、経時での弱酸価の変化は小さく、エステル化物はほとんど加水分解していない<重合時の安定性の評価> 反応容器に、水300部及びイソプロピルアルコール(以後、IPAと略す)250部を仕込み、窒素置換した後、80℃に昇温し、80℃で撹拌下環流させながら(環流は熟成終了まで継続)、(A−1)、(B−1)または(B−2)を332.8部と、過硫酸ナトリウム2%水溶液100部(1.0モル%)とを同時に3時間かけて滴下し反応した。引き続き、80℃で2時間熟成した後、80℃でIPAを留去した。その後40℃まで冷却したのち、濃度を調整して30%の重合体水溶液(PA−1)、(PB−1)および(PB−2)をそれぞれ得た。これらの重合体水溶液の弱酸価と実施例1で挙げた加水分解率計算式を更に濃度補正した式から求めた加水分解率(%)を表2に示す。(PA−1)の弱酸価は5.7であり、重合中にエステルは加水分解していないことを確認した。(PB−1)の弱酸価は8.1であり、重合中にエステルが約40%加水分解していることが確認された。(PB−2)の弱酸価は3.6であり、エステルの加水分解は約10%のまま重合中に変化していないことが確認された。 本発明の製造方法で得られた、ポリエーテルの不飽和カルボン酸によるエステル化物は、各種の重合体を製造する際に使用される単量体として有用であり、特にセメントや顔料等の分散剤として使用される重合体の原料として利用できる。また、エステル化物はそのままで帯電防止剤および反応性乳化剤などに有用である。 一般式(1)で表されるポリエーテル(a)と不飽和カルボン酸(b)とを酸触媒の存在下にエステル化反応するエステル化物の製造方法において、エステル化反応終了後、酸触媒をカルボン酸塩(c)で失活させることを特徴とするエステル化物の製造方法。 R(OA)nOH (1)(Rは炭素数1〜12の炭化水素基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜200の整数を表す。) 不飽和カルボン酸(b)が(メタ)アクリル酸である請求項1記載のエステル化物の製造方法。 カルボン酸塩(c)が不飽和カルボン酸塩である請求項1または2に記載のエステル化物の製造方法。 カルボン酸塩(c)の添加量が酸触媒1当量に対して1〜10当量である、請求項1〜3いずれか記載のエステル化物の製造方法。 酸触媒をカルボン酸塩(c)で失活させる工程が、90℃を超え160℃以下の温度でなされることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のエステル化物の製造方法。 【課題】酸触媒を使用するエステル化物の製造方法におけるエステル化反応後の処理工程において、加水分解生成物の発生を抑制することにより、効率よく製造することのできるエステル化物の製造方法の提供。【解決手段】酸触媒存在下、一般式(1)で示されるポリエーテル(a)と不飽和カルボン酸(b)とを酸触媒の存在下にエステル化反応するエステル化物の製造方法において、エステル化反応終了後、酸触媒の失活工程をカルボン酸塩(c)で、90℃以上で行っても、エステル化物の加水分解が少ないエステル化物の製造方法。 R(OA)nOH (1)(Rは炭素数1〜12の炭化水素基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜200の整数を表す。)【選択図】なし


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