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タイトル:公開特許公報(A)_密着性評価方法
出願番号:2007034998
年次:2008
IPC分類:G01N 19/04


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田平 貴裕 清水 紀嘉 JP 2008197055 公開特許公報(A) 20080828 2007034998 20070215 密着性評価方法 富士通株式会社 000005223 服部 毅巖 100092152 田平 貴裕 清水 紀嘉 G01N 19/04 20060101AFI20080801BHJP JPG01N19/04 D 5 1 OL 13 本発明は密着性評価方法に関し、特に基板等の上に形成した膜のその基板等との密着性を評価する密着性評価方法に関する。 近年、LSI(Large Scale Integration)等の半導体装置には、その微細化・高速化に伴い、ダマシン法により形成される銅(Cu)配線が広く用いられるようになってきている。 ダマシン法では、例えば、まず層間絶縁膜にCu配線形成用の溝を形成した後、その全面にバリアメタルを形成し、さらにその上にCuシード層を形成して、電解めっきによりCuめっき膜を形成する。そして、層間絶縁膜上のCuめっき膜、Cuシード層およびバリアメタルの不要な部分をCMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去する。これにより、層間絶縁膜に形成した溝に、バリアメタルを介して、Cu配線を形成する。 このようにして形成されるCu配線では、Cu配線とバリアメタルとは、それらが共に金属材料であるため、比較的強い密着力を示す。しかしながら、バリアメタルと層間絶縁膜とは、それらが金属材料と絶縁材料であるために、密着力が比較的弱くなる。バリアメタルと層間絶縁膜との密着力の強さは、Cu配線の信頼性、そして、Cu配線を備える半導体装置の信頼性に大きく影響してくる。 そのため、そのような膜の密着力の強さを評価するため、従来、テープテスト法、スタッドプル法、mELT(modified Edge Liftoff Test)法、4点曲げ試験法等、いくつかの密着性評価方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特開2002−122533号公報 しかし、従来の密着性評価方法には、以下に示すような問題点があった。 図8はテープテスト法の説明図である。なお、図8には、テープテスト時の試料断面を模式的に図示している。 例えば、ダマシン法によって層間絶縁膜内にバリアメタルを介してCu配線を形成した場合における、その層間絶縁膜とバリアメタルとの密着性を評価するために、テープテストを行う場合を考える。 そのような場合、テープテスト法では、まず、図8に示すように、基板101上に形成された、層間絶縁膜に相当する絶縁膜102の上に、バリアメタル103およびCuシード層104を順に形成した試料100を作製する。そして、そのCuシード層104とバリアメタル103に縦横一定の間隔で切り込み105を入れて複数のマスに区画した後、Cuシード層104上にテープ200を貼り付け、そのテープ200を上方へと引っ張り、試料100から引き剥がす(図8中、点線で示した状態。)。そのとき、絶縁膜102とバリアメタル103との間の密着力が弱いと、テープ200が貼り付けられたCuシード層104に引っ張られてバリアメタル103が絶縁膜102から剥離する。テープテスト法では、テープ200を引っ張る強さを制御し、バリアメタル103が絶縁膜102から剥離したマスの個数等により、バリアメタル103と絶縁膜102との密着性を評価する。 一般に、テープテスト法は、密着力が比較的弱い膜の密着性評価に用いられる。したがって、バリアメタル103と絶縁膜102との密着力の大きさによっては、バリアメタル103の絶縁膜102からの剥離が起こらず、その密着性を適正に評価することができない場合があった。例えば、バリアメタル103と絶縁膜102の材質の組み合わせを変えた場合に、それら各組み合わせの試料がいずれも一定の密着力を有していれば、上記のテープテスト法では剥離が生じず、各試料間の密着性の差を比較することができなかった。 また、図9はスタッドプル法の説明図である。なお、図9にはスタッドプル試験時の試料断面を模式的に図示している。 スタッドプル法は、例えば、図9に示すように、試料100を、Cuシード層104側を下向きにして補助リング300の上に載せ、そのCuシード層104にエポキシ樹脂301で一定面積のスタッド302を接着し、そのスタッド302を垂直方向に引っ張り、バリアメタル103が絶縁膜102から剥離したときのスタッド302の引っ張り力を測定するものである。 スタッドプル法では、バリアメタル103が絶縁膜102から剥離する際、バリアメタル103等の変形があるため、その分を測定値から分離する必要があり、その点で再現性に課題があった。 また、図10はmELT法の説明図であって、(A)は試験第1段階の試料の断面模式図、(B)は試験第2段階の試料の断面模式図、(C)は試験第3段階の試料の断面模式図である。 mELT法は、まず図10(A)に示すように、試料100のCuシード層104上に塗布・硬化したエポキシ樹脂400を形成し、それを、図10(B),(C)に示すように、冷却していくものである。冷却過程では、エポキシ樹脂400の残留応力により、バリアメタル103を絶縁膜102から引き剥がす力が発生する。バリアメタル103が絶縁膜102から剥離する際の応力は、その冷却過程の温度と相関があり、その温度からそれらの密着力を求める。 mELT法では、バリアメタル103の絶縁膜102からの剥離モードや、絶縁膜102中のクラックの成長モード、あるいはバリアメタル103の機械的特性等が、温度依存性を示さないという仮定が必要である点で問題が残る。また、試料100を冷却する必要があるため、密着力の湿度依存性等、環境試験は行えない。 また、図11は4点曲げ試験法の説明図であって、(A)は試験第1段階の試料の断面模式図、(B)は試験第2段階の試料の断面模式図である。 4点曲げ試験法では、図11(A)に示すように、試料100を、そのCuシード層104側をエポキシ樹脂500によってダミー基板501と貼り合わせ、その試料100にノッチ502を形成し、それを4つの支持部503a,503b,503c,503dで支持する。そして、例えば、内寄りに設けたダミー基板501側の支持部503c,503dは固定したまま、外寄りに設けた試料100側の支持部503a,503bに荷重(図中矢印で図示。)を加えることで、ノッチ502から、図11(B)に示すように、試料100にクラック504が入り、そのクラック504から試料100がダミー基板501から剥がれていくようになる。通常は、試料100中、最も密着力が弱いバリアメタル103と絶縁膜102との界面で剥離が生じやすい。このような剥離が生じたときの荷重から密着力を求める。 4点曲げ試験法では、試料100を形成し、さらにそれをエポキシ樹脂500でダミー基板501と貼り合わせなければならず、また、貼り合わせ後に支持部503a,503b,503c,503dに合わせて所定サイズにカットしたり、ノッチ502を形成したりする必要がある等、試験が煩雑であるという問題があった。また、同じ試料100を用いても、剥離が生じない場合があったり、試料100と共にダミー基板501も割れて応力が測定できない場合があったりする等、再現性にも課題があった。 このように、従来の密着性評価方法では、適用できる試料に制限がある、評価が煩雑である、再現性が悪い、といった問題点があり、膜の密着性をその種類によらず適正にかつ簡便に評価することのできる方法が強く要望されていた。 本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、膜の密着性を適正にかつ簡便に評価することのできる密着性評価方法を提供することを目的とする。 本発明では、上記課題を解決するために、被成膜体と前記被成膜体上に形成された膜との密着性を評価する密着性評価方法において、前記被成膜体上に第1の膜を形成し、前記第1の膜の上層に前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を変化させる第2の膜を形成し、前記第2の膜上に剥離補助膜を貼り付け、前記剥離補助膜を前記第2の膜面側に引っ張り、前記剥離補助膜を引っ張ったときの前記被成膜体と前記第1の膜との剥離の有無の結果を用いて、前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を評価することを特徴とする密着性評価方法が提供される。 このような密着性評価方法によれば、被成膜体上に第1の膜を形成し、その第1の膜の上層に第2の膜を形成して、被成膜体と第1の膜との密着性を変化させる。このように第2の膜を形成して被成膜体と第1の膜との密着性を変化させた上で、第2の膜に剥離補助膜を貼り付け、それを引っ張って被成膜体と第1の膜との剥離の有無を調べ、それを基に、被成膜体と第1の膜との密着性を評価する。 本発明では、被成膜体と、被成膜体上に形成された第1の膜との密着性を、剥離補助膜を用いて評価する場合に、第1の膜の上層に第2の膜を形成するようにした。第2の膜を形成することにより、被成膜体と第1の膜との密着性を変化させる。第2の膜を形成した上で、剥離補助膜を用いた評価を行うことにより、被成膜体と第1の膜との剥離を生じやすくさせたり、異なる試料間の密着性の差を見えやすくしたりすることができ、密着性を適正にかつ簡便に評価することが可能になる。 以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。 まず、密着性評価方法の原理について説明する。 図1は密着性評価方法の原理説明図であって、(A)は被成膜体の直上に膜が形成された状態の断面模式図、(B)はその膜上にさらに上乗せ膜が形成された状態の断面模式図である。 図1に示すように、被成膜体10の直上に膜11が形成されており、この被成膜体10と膜11との密着性を評価する。このような被成膜体10とその直上に形成された膜11との密着性を評価するために、ここではテープテスト法を採用する。 従来のテープテスト法であれば、図1(A)に示すような構造の試料を作製した後、膜11上に粘着テープ等の剥離補助膜(図示せず。)を貼り付け、それを膜11面側に引っ張り、被成膜体10と膜11との間の剥離の有無を調べることによって、それらの密着性を評価する。ただし、この方法では、被成膜体10と膜11との密着力が一定以上であると、剥離補助膜によって膜11が剥離しない。 そこで、ここでは、図1(B)に示すように、被成膜体10の直上に形成された膜11上に、その膜11と充分な密着力を有する上乗せ膜12を所定膜厚で形成する。このように膜11上に上乗せ膜12を形成すると、被成膜体10上の膜厚が増加し、その内部応力が大きくなる。すなわち、膜11上に上乗せ膜12が形成されることにより、被成膜体10上の膜全体の内部応力は、膜11単体のとき(図1(A)のとき)に比べて大きくなる。被成膜体10上の膜全体のこのような内部応力の変化は、被成膜体10と膜11との密着性を変化させる。被成膜体10上の膜全体の内部応力が大きくなることにより、被成膜体10との密着力、さらに言えば膜11と被成膜体10との密着力が低下するようになる。この効果は、形成する上乗せ膜12の膜厚を厚くするほど、より顕著になる。 したがって、このように膜11上に上乗せ膜12を形成した上で、その上乗せ膜12上に剥離補助膜を貼り付け、その剥離補助膜を剥がすテープテストを行うことにより、上乗せ膜12を形成しなかった場合に比べ、被成膜体10と膜11との間で、より剥離が生じやすくなる。 上記のような原理を利用し、各種試料の密着性を評価する。 例えば、被成膜体10の直上に膜11を形成し、その上に種々の膜厚で所定の上乗せ膜12を形成した試料を作製する。膜厚の異なる上乗せ膜12を形成した各試料に対し、テープテストを行い、いずれの膜厚の上乗せ膜12を形成したときに、被成膜体10と膜11との間で剥離が生じるか(あるいは生じやすいか)を調べ、被成膜体10と膜11との密着性を評価する。 また、例えば、異なる材質の組み合わせで被成膜体10と膜11の積層体を形成し、その上に同様にして種々の膜厚で所定の上乗せ膜12を形成し、膜厚の異なる上乗せ膜12を形成した各組み合わせの積層体を有する試料に対し、テープテストを行う。そして、それらの各試料について、いずれの膜厚の上乗せ膜12を形成したときに、被成膜体10と膜11との間で剥離が生じるか等を調べ、さらにその結果を、被成膜体10と膜11の材質の組み合わせが異なるもの同士で比較し、被成膜体10と膜11との密着性や、材質の組み合わせによる密着性の違い等を評価する。 以下、密着性評価方法の実施例について説明する。 図2は試料の構成例を示す斜視模式図である。 密着性評価に用いる試料として、基板20上に絶縁膜21が形成され、その直上にバリアメタル22およびシード層23が順に形成されて、さらにそのシード層23上にめっき膜の上乗せ膜24が形成されたものを用いた。このような試料の、絶縁膜21とバリアメタル22との密着性を評価した。 ここで、基板20には、シリコン(Si)基板を用いた。なお、基板20は、その上に絶縁膜21を形成することができ、かつ、その形成した絶縁膜21との間に一定の密着力が得られるものであれば、その材質は限定されない。 絶縁膜21には、熱酸化法により形成された酸化シリコン(SiO2)膜(熱酸化SiO2膜)、シラン(SiH4)を用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成されたSiO2膜(SiH4−SiO2膜)、テトラエトキシシラン(TEOS)を用いたCVD法により形成されたSiO2膜(TEOS−SiO2膜)、炭化シリコン(SiC)膜、低誘電率(low−k)膜、または多孔質low−k膜を用いた。 バリアメタル22には、スパッタ法により形成された膜厚約10nmのタンタル(Ta)膜またはジルコニウム(Zr)膜を用いた。このTa膜またはZr膜のバリアメタル22を、上記の各種の絶縁膜21上にそれぞれ形成した。 シード層23には、スパッタ法により形成された膜厚約60nmのCu膜を用いた。このシード層23となるCu膜を、絶縁膜21とバリアメタル22の各組み合わせのものに対して、それぞれそのバリアメタル22上に形成した。 上乗せ膜24には、電解めっき法により形成されたCuめっき膜を用いた。この上乗せ膜24であるCuめっき膜は、絶縁膜21とバリアメタル22の各組み合わせのものに対してそれぞれ形成されたシード層23上に、約2000nmまでの範囲で膜厚を変化させて形成した。 このようにして形成された各試料に対し、テープテストを行った。まず、その準備として、各試料に切り込みを形成した。 図3は切り込みを形成した試料の説明図であって、(A)は平面模式図、(B)は(A)のX−X断面模式図である。 絶縁膜21とバリアメタル22の材質の組み合わせ、および上乗せ膜24の膜厚を変化させた各試料に対し、図3(A)に示すように、2mm間隔で碁盤目状に5マス×5マスの切り込み25を形成した。この切り込み25は、図3(B)に示すように、上乗せ膜24、シード層23およびバリアメタル22を切断し、その下の絶縁膜21まで達するように形成した。切り込み25は、ここでは、各試料に対し、ダイヤモンドペンを用いて形成した。 図4はテープテストの流れの説明図であって、(A)は粘着テープを貼り付けた状態の断面模式図、(B)は粘着テープを引っ張ったときの第1の断面模式図、(C)は粘着テープを引っ張ったときの第2の断面模式図である。また、図5はテープテスト後の試料の説明図であって、(A)は剥離がなかった場合の平面模式図、(B)は剥離があった場合の一例の平面模式図である。 図3に示したようにして切り込み25を形成した後、図4(A)に示すように、上乗せ膜24上に、粘着テープ(ポリイミドテープ)26を、上乗せ膜24との間に隙間ができないように密着させて貼り付けた。次いで、図4(B),(C)に示すように、貼り付けたその粘着テープ26を、上乗せ膜24の膜面側に一定の力で引っ張った。なお、粘着テープ26を引っ張る力は、絶縁膜21とバリアメタル22の材質および上乗せ膜24の膜厚によらず、各試料で一定とした。 粘着テープ26によって引っ張られる力に比べ、絶縁膜21とバリアメタル22との密着力が弱い場合には、絶縁膜21からバリアメタル22が剥離する。したがって、粘着テープ26を一定の力で引っ張り、図5(A),(B)に示すように、切り込み25で区切られたマス27の中に、バリアメタル22が絶縁膜21から剥離したものがあるか否かを調べた。また、図5(B)に示したように、バリアメタル22の絶縁膜21からの剥離があった場合には、剥離があったマス27aの個数を調べた。 そして、各試料の材質(絶縁膜21とバリアメタル22の材質)、上乗せ膜24の膜厚、バリアメタル22の絶縁膜21からの剥離の有無、剥離があったマス27aの個数等を用い、各試料の密着性を評価した。結果を図6および図7に示す。 図6および図7は上乗せ膜の膜厚と絶縁膜−バリアメタル間の密着性の関係を示す図である。図6および図7において、横軸は、絶縁膜21とバリアメタル22の材質の組み合わせ(絶縁膜21/バリアメタル22)を示しており、縦軸は、上乗せ膜24の膜厚を示している。なお、上乗せ膜24の膜厚が0nmのときのデータは、バリアメタル22上にシード層23のみを形成してその上に上乗せ膜24を形成していない試料について得られたデータである。 絶縁膜21とバリアメタル22との密着性は、「剥離あり」(×)、「やや剥離あり」(△)、「剥離なし」(○)、の3段階で評価した。その際、バリアメタル22の絶縁膜21からの剥離が、切り込み25で区切られたマス27の中に1箇所でもあった場合には、「剥離あり」と評価し、1箇所もなかった場合には、「剥離なし」と評価した。また、切り込み25で区切られたマス27のバリアメタル22が絶縁膜21から完全には剥離していないが、切り込み25の近傍では部分的に剥離が見られたような場合等は、「やや剥離あり」と評価した。 図6より、絶縁膜21とバリアメタル22の組み合わせ(絶縁膜21/バリアメタル22)が、熱酸化SiO2膜/Zr膜の場合には、上乗せ膜24の膜厚を厚くしていっても、それらの間に剥離は生じなかった。熱酸化SiO2膜/Ta膜の場合も、上乗せ膜24の膜厚によらず、それらの間に剥離は生じなかった。 同様に、絶縁膜21とバリアメタル22の組み合わせが、SiH4−SiO2膜/Zr膜の場合、SiH4−SiO2膜/Ta膜の場合共に、上乗せ膜24の膜厚によらず、それらの間に剥離は生じなかった。 絶縁膜21とバリアメタル22の組み合わせが、TEOS−SiO2膜/Zr膜の場合も、上乗せ膜24の膜厚によらず、それらの間に剥離は生じなかったが、これに対し、TEOS−SiO2膜/Ta膜の場合には、上乗せ膜24の膜厚により、それらの間の密着性に差が見られた。すなわち、TEOS−SiO2膜/Ta膜の組み合わせでは、上乗せ膜24の膜厚が600nm程度までは、それらの間に剥離が生じなかったものの、上乗せ膜24の膜厚が800nm程度より厚くなると、それらの間に剥離が見られるようになった。 また、図7より、絶縁膜21とバリアメタル22の組み合わせが、SiC膜/Zr膜の場合には、上乗せ膜24の膜厚が500nm程度までは、それらの間に剥離が生じないものの、上乗せ膜24の膜厚が600nm程度より厚くなると、それらの間に剥離が見られるようになった。一方、SiC膜/Ta膜の場合には、上乗せ膜24の膜厚が200nm程度までは、それらの間に剥離はなく、上乗せ膜24の膜厚が400nm程度でやや剥離が見られ、上乗せ膜24の膜厚が500nm程度より厚くなると、それらの間に明瞭に剥離が見られるようになった。 絶縁膜21とバリアメタル22の組み合わせが、low−k膜/Zr膜の場合、およびlow−k膜/Ta膜の場合は、いずれも、上乗せ膜24を形成しなかったときには剥離が見られなかったにも関わらず、膜厚100nm程度の上乗せ膜24を形成することにより、やや剥離が見られるようになった。そして、上乗せ膜24の膜厚を200nm程度にすると、明瞭に剥離が見られるようになった。 絶縁膜21とバリアメタル22の組み合わせが、多孔質low−k膜/Zr膜の場合、および多孔質low−k膜/Ta膜の場合には、いずれも、上乗せ膜24を形成しなかったときには剥離が見られなかったが、上乗せ膜24の膜厚が100nm程度より厚くなると、それらの間に剥離が見られるようになった。 このように、上乗せ膜24を形成しなかったとき(膜厚0nmのとき)には所定のテープテストで絶縁膜21とバリアメタル22との密着性の差を見ることができなかったものについても、上乗せ膜24を形成することにより、それらの密着性の差を見ることができるようになった。 例えば、絶縁膜21に熱酸化SiO2膜やSiH4−SiO2膜を用いた試料では、上乗せ膜24を膜厚2000nm程度まで厚く形成しても剥離が生じなかったのに対し、絶縁膜21にlow−k膜や多孔質low−k膜を用いた試料では、膜厚200nm程度の上乗せ膜24を形成するだけで剥離が見られるようになった。上乗せ膜24を形成することにより、絶縁膜21の材質の違いから生じる密着性の差を見ることが可能になった。 また、絶縁膜21にTEOS−SiO2膜やSiC膜を用いた試料では、絶縁膜21の材質が同じであっても、バリアメタル22がZr,Ta膜というようにその材質が変わることにより、バリアメタル22の剥離が生じるときの上乗せ膜24の膜厚が異なってくることがわかった。絶縁膜21の材質が同じ場合でも、上乗せ膜24を形成することにより、バリアメタル22の材質の違いから生じる密着性の差を見ることが可能になった。 以上説明したように、被成膜体との密着性を評価すべき膜の上に、さらに上乗せ膜を形成することにより、被成膜体上に形成されている膜の膜厚が全体として増加し、その内部応力が大きくなるため、その膜の被成膜体との密着性を変化させることが可能になる。その結果、テープテスト時には、被成膜体とその直上に形成されている膜との密着性がより見えやすくなる。上乗せ膜の形成を、被成膜体とその直上に形成されている膜の材質の組み合わせが異なるものに対して行い、テープテストを行うことにより、剥離界面の材質の違いから生じる密着性の差を評価することが可能になる。 さらに、上記の密着性評価方法によれば、上乗せ膜の膜厚を変化させるだけで、それを形成しなかった場合に比べて、被成膜体とその直上に形成されている膜との密着性を変化させることができるため、簡便にかつ適正に密着性の評価を行うことが可能になる。 なお、上乗せ膜は、上記のようなCuめっき膜に限らず、例えば、バリアメタルに用いられるような金属膜、その他種々の膜(金属膜には限定されない。)を用いるようにしてもよく、また、その形成方法は、その用いる膜に応じて選択すればよい。上乗せ膜は、それを上に形成する膜との間に、一定の密着力を有し、その膜厚を制御することができるものであれば、その材質は特に限定されない。 また、上記の密着性評価方法は、様々な形態の試料の密着性評価に適用することが可能である。上記のように、絶縁膜上にバリアメタルとシード層の2層積層膜を介して上乗せ膜を形成する形態のほか、試料を構成する各要素の材質等に応じ、絶縁膜上にそれとの密着性を評価すべき単層の膜を介して上乗せ膜を形成する形態や、絶縁膜上にそれとの密着性を評価すべき単層の膜とさらに2層以上の積層膜を介して上乗せ膜を形成する形態等にも適用可能である。 (付記1) 被成膜体と前記被成膜体上に形成された膜との密着性を評価する密着性評価方法において、 前記被成膜体上に第1の膜を形成し、 前記第1の膜の上層に前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を変化させる第2の膜を形成し、 前記第2の膜上に剥離補助膜を貼り付け、 前記剥離補助膜を前記第2の膜面側に引っ張り、 前記剥離補助膜を引っ張ったときの前記被成膜体と前記第1の膜との剥離の有無の結果を用いて、前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を評価することを特徴とする密着性評価方法。 (付記2) 前記第1の膜の上層に前記第2の膜を形成することによって、前記被成膜体上の膜全体の内部応力を変化させ、前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を変化させることを特徴とする付記1記載の密着性評価方法。 (付記3) 前記第1の膜の上層に前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を変化させる前記第2の膜を形成する際には、 前記第2の膜の膜厚を変化させることによって、前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を変化させることを特徴とする付記1または2に記載の密着性評価方法。 (付記4) 前記剥離補助膜を引っ張ったときの前記被成膜体と前記第1の膜との剥離の有無の結果を用いて、前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を評価する際には、 前記被成膜体と前記第1の膜との剥離の有無の結果、および前記第1の膜の上層に形成されている前記第2の膜の膜厚を用いて、前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を評価することを特徴とする付記3記載の密着性評価方法。 (付記5) 前記被成膜体上に前記第1の膜を形成した後、 前記第1の膜上に1層または2層以上で構成される第3の膜を形成し、 前記第1の膜の上層に前記第2の膜を形成する際には、 前記第1の膜上に形成された前記第3の膜上に前記第2の膜を形成することを特徴とする付記1から4のいずれかに記載の密着性評価方法。 (付記6) 前記被成膜体は、絶縁膜、または前記第1の膜が形成される面に絶縁膜が形成されており、前記第1,2の膜は、金属膜であることを特徴とする付記1から5のいずれかに記載の密着性評価方法。 (付記7) 前記被成膜体は、絶縁膜、または前記第1の膜が形成される面に絶縁膜が形成されており、前記第1,2の膜は、金属膜であり、前記第3の膜は、金属膜で構成されていることを特徴とする付記1から5のいずれかに記載の密着性評価方法。密着性評価方法の原理説明図であって、(A)は被成膜体の直上に膜が形成された状態の断面模式図、(B)はその膜上にさらに上乗せ膜が形成された状態の断面模式図である。試料の構成例を示す斜視模式図である。切り込みを形成した試料の説明図であって、(A)は平面模式図、(B)は(A)のX−X断面模式図である。テープテストの流れの説明図であって、(A)は粘着テープを貼り付けた状態の断面模式図、(B)は粘着テープを引っ張ったときの第1の断面模式図、(C)は粘着テープを引っ張ったときの第2の断面模式図である。テープテスト後の試料の説明図であって、(A)は剥離がなかった場合の平面模式図、(B)は剥離があった場合の一例の平面模式図である。上乗せ膜の膜厚と絶縁膜−バリアメタル間の密着性の関係を示す図(その1)である。上乗せ膜の膜厚と絶縁膜−バリアメタル間の密着性の関係を示す図(その2)である。テープテスト法の説明図である。スタッドプル法の説明図である。mELT法の説明図であって、(A)は試験第1段階の試料の断面模式図、(B)は試験第2段階の試料の断面模式図、(C)は試験第3段階の試料の断面模式図である。4点曲げ試験法の説明図であって、(A)は試験第1段階の試料の断面模式図、(B)は試験第2段階の試料の断面模式図である。符号の説明 10 被成膜体 11 膜 12,24 上乗せ膜 20 基板 21 絶縁膜 22 バリアメタル 23 シード層 25 切り込み 26 粘着テープ 27 マス 被成膜体と前記被成膜体上に形成された膜との密着性を評価する密着性評価方法において、 前記被成膜体上に第1の膜を形成し、 前記第1の膜の上層に前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を変化させる第2の膜を形成し、 前記第2の膜上に剥離補助膜を貼り付け、 前記剥離補助膜を前記第2の膜面側に引っ張り、 前記剥離補助膜を引っ張ったときの前記被成膜体と前記第1の膜との剥離の有無の結果を用いて、前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を評価することを特徴とする密着性評価方法。 前記第1の膜の上層に前記第2の膜を形成することによって、前記被成膜体上の膜全体の内部応力を変化させ、前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を変化させることを特徴とする請求項1記載の密着性評価方法。 前記第1の膜の上層に前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を変化させる前記第2の膜を形成する際には、 前記第2の膜の膜厚を変化させることによって、前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の密着性評価方法。 前記剥離補助膜を引っ張ったときの前記被成膜体と前記第1の膜との剥離の有無の結果を用いて、前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を評価する際には、 前記被成膜体と前記第1の膜との剥離の有無の結果、および前記第1の膜の上層に形成されている前記第2の膜の膜厚を用いて、前記被成膜体と前記第1の膜との密着性を評価することを特徴とする請求項3記載の密着性評価方法。 前記被成膜体上に前記第1の膜を形成した後、 前記第1の膜上に1層または2層以上で構成される第3の膜を形成し、 前記第1の膜の上層に前記第2の膜を形成する際には、 前記第1の膜上に形成された前記第3の膜上に前記第2の膜を形成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の密着性評価方法。 【課題】被成膜体とその上に形成された膜との密着性を適正かつ簡便に評価する。【解決手段】被成膜体10上に膜11を形成し、その膜11上に上乗せ膜12を形成して、被成膜体10と膜11との密着性を変化させる。上乗せ膜12を形成して被成膜体10と膜11との密着性を変化させた上で、上乗せ膜12に粘着テープ等を貼り付け、それを引っ張って被成膜体10と膜11との剥離の有無を調べる。そして、その結果を基に、被成膜体10と膜11との密着性を評価する。このように膜11上に上乗せ膜12を形成することにより、膜11を剥離させやすくしたり、異なる試料間の密着性の差を見えやすくしたりすることができ、密着性の適正な評価を簡便に行うことが可能になる。【選択図】図1


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