タイトル: | 公開特許公報(A)_防カビ剤希釈液の簡易濃度測定用組成物及び簡易濃度測定方法 |
出願番号: | 2007034173 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 31/00,G01N 31/22 |
乾 圭一郎 JP 2008197022 公開特許公報(A) 20080828 2007034173 20070215 防カビ剤希釈液の簡易濃度測定用組成物及び簡易濃度測定方法 住化エンビロサイエンス株式会社 000250018 乾 圭一郎 G01N 31/00 20060101AFI20080801BHJP G01N 31/22 20060101ALI20080801BHJP JPG01N31/00 NG01N31/22 122 2 OL 5 2G042 2G042AA01 2G042BB16 2G042DA06 2G042DA08 2G042FA01 2G042FA11 2G042FA17 2G042FB02 2G042GA05本発明は、防錆剤としてリン酸塩を含有する工業用防カビ剤、特に木材防カビ剤の希釈液の濃度を簡易的に測定するために使用される。工業用防カビ剤を、水を用いて希釈し、使用する例として木材防カビ剤がある。木材防カビ剤の使用にあたっては、防カビ処理を行う季節、木材の樹種などによって防カビ剤の濃度を調整するため、防カビ剤の濃度を定期的に測定する必要がある。木材防カビ剤には従来、ハロゲン化フェノール化合物が主として用いられていたが、ハロゲン化フェノールは2価の銅イオンと錯体を形成し茶色に発色するため、硫酸銅や塩化銅を含有させた試験紙を用いて簡易に濃度を測定することが可能であった。近年、ハロゲン化フェノール化合物は急性及び慢性毒性が強く、また難分解性であることから、蓄積による二次公害の懸念があり、また処理された木材を焼却することによってダイオキシンの発生の危険性がある。さらに最近の環境汚染等の問題から使用が敬遠されつつある。近年では、ハロゲン化フェノール化合物を含まない新しい薬剤が次々と開発され、使用されている。これらの非ハロゲン化フェノール製剤を使用する場合にも簡易に濃度を測定する必要がある。例えば、(特許文献1)にはメチレンビスチオシアネートを有効成分とする木材防カビ剤希釈液の濃度測定方法として、前処理試薬に水酸化ナトリウム等アルカリ性試薬または亜硫酸塩等の還元性試薬、発色試薬として3価の鉄イオンを含有する試薬を用いる方法が提案されているが、メチレンビスチオシアネートを有効成分とする木材防カビ剤にのみ適用できるものであった。非ハロゲン化フェノール系の防カビ剤成分は多くの種類があり、それらの有効成分の一種または二種以上を含有しているが、これらの成分を簡易に測定することは非常に困難であり、有効成分毎に簡易濃度測定方法を開発する必要があった。また防カビ剤の希釈液を採取し、防カビ剤のメーカーに送付し、高速液体クロマトグラフ装置(HPLC)やガスクロマトグラフ装置(GC)等の機器を用いて分析する方法が行われているが、結果が迅速に得られず、しかも手間とコストがかかるものである。結果が得られるのが遅いと木材防カビ剤の濃度を補正するのが遅れ、濃度低下によるカビの発生等の障害が起こりやすい。通常、木材防カビ剤は鉄製の浴槽に希釈した液を調製し、木材を浸漬することによって防カビ処理を行うが、浴槽からの鉄イオンの溶脱によって処理液の着色、防カビ成分の分解が起こりやすくなる問題があり、それを防ぐため防錆剤を木材防カビ剤に配合することが必須である。防錆剤としては種々のものが存在するが、安価で防錆力の高いリン酸塩化合物が用いられている。木材防カビ剤の希釈液におけるこれらのリン酸塩化合物の濃度は防カビ剤有効成分に比例するため、リン酸塩濃度を測定することによって間接的に有効成分濃度を求めることができる。特開平6−230005号公報工業用防カビ剤、特に木材防カビ剤希釈液の処理槽における濃度を、簡易かつ迅速に測定することが、本発明の課題である。本発明者は鋭意研究を重ねた結果、木材防カビ剤中に配合されているリン酸塩を防カビ剤有効成分のインジケーターとして簡易に測定することによって、木材防カビ剤の濃度を迅速に見積もることができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、前処理試薬としてバナジン酸塩を含有する水溶液を用い、発色試薬としてモリブデン酸塩を含有する水溶液を用いることを特徴とする、リン酸塩を含有する木材防カビ剤希釈液の濃度測定試薬であり、また希釈液中の木材防カビ剤濃度をこれらの前処理試薬および発色試薬を用いて発色させ、これを同様にして発色させた標準液と比色することにより、または吸光度を測定することにより木材防カビ剤濃度を決定することを特徴とする防カビ剤の濃度測定方法である。本発明の試薬または方法を用いることにより、リン酸塩を含有する工業用防カビ剤、特に木材防カビ剤希釈液の処理槽における濃度を、簡易かつ迅速に測定することができる。本発明の前処理試薬は、バナジン酸塩の酸性水溶液で、リン酸イオンと錯体を形成させるために用いられる。バナジン酸塩はメタバナジン酸塩、オルトバナジン酸塩、ピロバナジン酸塩があるがこれらのいずれでも差し支えなく、またこれらのバナジン酸塩はアンモニウム塩、硝酸塩等どのような塩でも差し支えない。通常はメタバナジン酸アンモニウムを用いることができる。酸性とするために添加する酸としては塩酸、硝酸、硫酸等いずれの酸でも差し支えないが、通常は硝酸を用いることができる。本発明の発色試薬は、モリブデン酸塩の水溶液で、前処理試薬を添加して生じたバナドリン酸錯体と反応させてバナドモリブドリン酸を形成させるために用いられる。モリブデン酸塩はアンモニウム塩、硝酸塩等どのような塩でも差し支えないが、通常はアンモニウム塩を用いることができる。 濃度を測定される木材防カビ剤はリン酸塩を含有するものであればどのような製剤でも良く、例えば水溶製剤、乳剤またはフロアブル製剤でも差し支えない。リン酸塩を含んでいれば特に制限はなく、リン酸三ナトリウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸二水素一ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸一水素二カリウム、リン酸二水素一カリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸一水素二アンモニウム、リン酸二水素一アンモニウム等が挙げられ、これらの二種類以上を混合して使用しても差し支えない。防錆剤として添加されるため、通常はpHが4〜10の範囲内となるように用いられる。木材防カビ剤中の非水溶性の有効成分やこれらの有効成分を溶解、製剤するために非水溶性の溶剤が添加される場合があり、上記の前処理試薬および発色試薬を添加したときに試料液に濁りを生じ、濃度を測定するのに障害となる場合がある。このような場合には前処理試薬または発色試薬に界面活性剤や水溶性の溶剤を添加し、濁りを生じないようにすることができる。添加される界面活性剤に特に制限はないが重量%で1〜15%が望ましい。界面活性剤は特に限定するものではないが、例えば、ノニオン系界面活性剤ではポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなど、アニオン系界面活性剤ではアルキルベンゼン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ジアルキルコハク酸硫酸塩などがあげられる。また、これらのノニオン系界面活性剤およびアニオン系界面活性剤は一種を単独に用いても二種以上を併用してもよい。添加される水溶性溶剤は特に限定するものではないが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどがあげられる。また、これらの水溶性溶剤は一種を単独に用いても二種以上を併用してもよい。水溶性溶剤の濃度は重量%で0〜40%が望ましい。防カビ剤として用いられる有効成分には特に制限はないが、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、4−クロロフェニル−3−ヨードプロパギルホルマール、メチレンビスチオシアネート、ジヨードメチルパラトリルスルホン、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニルエチルカルボナート、2−n−オクチルイソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−n−オクチルイソチアゾリン−3−オン、2−チオシアノメチルチオベンゾチアゾール、トリス−N−シクロヘキシルジアゼニウムジオキシ−アルミニウム塩及びカリウム塩、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチルなどが挙げられる。 本発明の測定方法を利用して希釈液中の防カビ剤の濃度を求めるには、発色させた液の吸光度を、吸光光度計を用いて測定し、標準となる防カビ剤の希釈液を発色させた液の吸光度と比較する方法がある。しかし実際には、発色させた液と標準となる防カビ剤の希釈液を発色させた液とを目視で比較することによって防カビ剤の濃度を求める方が簡便である。次に本発明の実施例及び試験例をあげて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (前処理試薬) メタバナジン酸ナトリウム2gを約700gの温水(50℃)に溶解し、6規定の硝酸水溶液60mLを添加する。その後さらにイオン交換水を加えて液量を1000mLとした。(発色試薬)モリブデン酸アンモニウム20gを秤量し、イオン交換水を加えて1000mLとした。(試験例1)リン酸アンモン(NH4H2PO4)を50、100、200、400ppmとなるように含有する水溶液を調製し、試料溶液とした。これらの試料溶液を試験管に2mLづつ採り、それぞれに前記実施例に示す前処理試薬および発色試薬を順に1mLづつ添加し発色させた。これらの液の470nmにおける吸光度を、吸光光度計を用いて測定した。表1より、吸光度とリン酸アンモン濃度は良好な直線性を示した。 (試験例2) 製材所において使用されている木材防カビ剤(ネオシントールW−2000、シントーファイン株式会社製)の処理液(4点)を採取し、これらの処理液2mLに前記実施例に示す前処理試薬および発色試薬を添加し発色させた。これを発色させた木材防カビ剤の標準液と比較し木材防カビ剤の濃度を求めた。また、液体クロマトグラフ装置(HPLC)を用いて有効成分の濃度を測定し、木材防カビ剤の濃度を求めた。結果を表2に示す。表2より本発明の測定方法は、HPLCを用いた測定方法と高い相関を示した。 本発明の試薬を用いて木材防カビ剤希釈液の濃度を簡易かつ迅速に測定することができ、希釈倍率の管理を簡便に行うことができる。 前処理試薬としてバナジン酸塩を含有する水溶液を用い、発色試薬としてモリブデン酸塩を含有する水溶液を用いることを特徴とする、リン酸塩を含有する木材防カビ剤希釈液の濃度測定試薬。 請求項1記載の前処理試薬および発色試薬を用いて発色させ、これを同様にして発色させた標準液と比色することにより、または吸光度を測定する操作によることを特徴とする、リン酸塩を含有する木材防カビ剤希釈液の濃度測定方法。 【課題】工業用防カビ剤、特に木材防カビ剤希釈液の処理槽における濃度を、簡易かつ迅速に測定し、濃度管理を行えるようにする。【解決手段】 リン酸塩を含有する木材防カビ剤の希釈液の濃度を簡易に測定するために、前処理試薬としてバナジン酸塩を含有する水溶液、発色試薬としてモリブデン酸塩を含有する水溶液を用い、これらの前処理試薬および発色試薬を用いて発色させ、これを同様にして発色させた標準液と比色することにより、または吸光度を測定することにより木材防カビ剤濃度を迅速に決定することができる。【選択図】 なし