タイトル: | 公開特許公報(A)_比重測定キットおよび比重測定装置 |
出願番号: | 2007012590 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 9/08 |
飯塚 淳史 日詰 亮 JP 2008180533 公開特許公報(A) 20080807 2007012590 20070123 比重測定キットおよび比重測定装置 株式会社島津製作所 000001993 喜多 俊文 100098671 江口 裕之 100102037 飯塚 淳史 日詰 亮 G01N 9/08 20060101AFI20080711BHJP JPG01N9/08 2 1 OL 7 本発明は、空気中における重量と比重既知の液体中の重量を測定して、固体試料の比重を測定する比重測定キットおよび比重測定装置に関する。 アルキメデスの原理を利用して固体試料の比重を求める場合、従来、図5に示すような比重測定装置4が用いられている。この比重測定装置4は、空気中での重量を測定するために固体試料Sを載置する空中皿41と液体中での重量を測定する液中皿42とをワイヤ43で結合した試料受け44と、この試料受け44を支持する皿受けフレーム45と、比重既知の液体Lを収容した水槽46と、この水槽46を載せる水槽受台47を備え、前記皿受けフレーム45を電子天びん48に載置して、試料受け44に載置した固体試料Sの空気中および液体中での重量を測定するようにしたものである。 前記空中皿41に固体試料Sを載せた場合の空気中での固体試料Sの重量Waと液中皿42に固体試料Sを載せ代えた場合の液体L中での固体試料Sの重量Wlを電子天びん48で測定し、液体Lの比重ρlを入力することにより、固体試料Sの空気中での比重ρを、(1)式によって算出して表示している(特許文献1参照)。 ρ=Waρl/(Wa−Wl) (1) 上記の比重測定装置4で固体試料Sの比重を高精度で測定する必要がある場合、通常電子天びん48として分析用の電子天びん等の高精度電子天びんが用いられている。このような高精度電子天びんを使用して比重測定を行う場合、固体試料Sを空中皿41から液中皿42に移し替えるために試料受け44を上下に移動させる際、液中皿42やワイヤ43に気泡や水滴が付着して測定精度を低下させる。例えば1mm3の気泡が1個付着している場合、液体L中での浮力は約1mg大きく測定されるので、電子天びん48では下2桁の測定誤差が生じ、有効数字も減少する。 前記液中皿42への気泡の付着を低減するため図6の液中皿42の平面図に示すように円周上に多数の長孔42aを貫通させて気泡を生じにくくしたり、液体L中に浸漬する液中皿42およびワイヤ43など液体L中に浸漬する部分を洗浄して油分などの汚れを取り除いたり、あるいは液体L中に界面活性剤を投入して親水性を高めて濡れ性を良くし水滴の付着を無くしたり、前記ワイヤ43をできるだけ細くして浮力の影響を受けなくするような方法が採られている。しかし、ワイヤ43をあまり細くすると試料受け44の形状の保持が難しくなり、測定のしやすさと耐荷重の面から直径0.5mmより細くすることは難しく、通常直径0.5mm程度のSUS304製ワイヤが使用されている。特開2005−274392号公報 従来の比重測定装置4は上記のように構成されているが、前記液中皿42やワイヤ43の洗浄だけでは、液体Lに対して十分な濡れ性(親水性)が確保できず、気泡や水滴の付着を十分減らすことができないという問題がある。また、濡れ性を向上するための界面活性剤(例えば洗剤のようなもの)の必要量は、ワイヤ43や液中皿42の表面状態により異なるのでユーザが適量を決めることは面倒で難しく、適量を判断するためには、界面活性剤の量を少しずつ増やしていきながら測定結果を検討する必要があるという問題がある。あまり多量に界面活性剤を入れると泡立して測定精度に悪影響を与える。 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、液中皿および吊下用のワイヤへの気泡や水滴の付着を排除して、高精度で比重測定が可能な比重測定キットおよび比重測定装置を提供することを目的とする。 本発明の比重測定キットは、固体試料を空気中で載置する空中皿を上位に、水槽内の比重既知の液体中で載置する液中皿を下位にしてワイヤで接続した試料受けと、前記空中皿を取外し自在に載着する上位部位と電子天びんの荷重検出軸に載着する下部部位を有する皿受けフレームを備えた比重測定キットにおいて、液体中に浸漬させる前記ワイヤおよび液中皿は、その表面に超親水性のコーティングが施されているものである。 また、本発明の比重測定装置は、固体試料を空気中で載置する空中皿を上位に、水槽内の比重既知の液体中で載置する液中皿を下位にしてワイヤで接続した試料受けと、前記空中皿を取外し自在に載着する上位部位と電子天びんの荷重検出軸に載着する下部部位を有する皿受けフレームを備えるとともに、液体中に浸漬させる前記ワイヤおよび液中皿は、その表面に超親水性のコーティングが施されている比重測定キットと、風袋重量、固体試料の空気中重量、液体中重量を選択して測定する測定選択手段と、各測定値を記憶する記憶手段と、各測定値から固体試料の比重値を算出表示する算出表示手段とからなるものである。 本発明による比重測定キットおよび比重測定装置は、表面に酸化チタンをコーティングした液中皿とこれを空中皿から吊り下げるワイヤを用いてこれに蛍光を照射することによりその表面が超親水性になるため、気泡や水滴の付着が無く安定した測定ができ、測定精度が向上する。 本発明の比重測定キットの実施例を図面を参照しながら説明する。図1は比重測定キットを構成する構成部材を組み立てた状態を示す斜視図である。本比重測定キット1は比重既知の液体(通常水を使用する)Lを収容する水槽11と、図2(A)に示すような液体Lに沈む固体試料を測定する場合に用いる試料受け12または図2(B)に示すような液体Lに浮く固体試料を測定する場合に用いる試料受け13と、前記試料受け12または13を取外し自在に係着する皿受けフレーム14と、前記水槽11を支持する水槽受台15と、液体Lの温度を測定する温度計16と、この温度計16を水槽11内に固着するホルダー17から構成されている。 前記試料受け12は固体試料Sを載置して空気中でその重量を測定する空中皿12aと、円周方向に沿って打ち抜かれた複数の長孔を有して下方に湾曲し、固体試料Sを載置し液体L中でその重量を測定する液中皿12bと、この液中皿12bを空中皿12aから吊り下げるために空中皿12aの裏面中心部に固定するとともに下部を開いて液中皿12bに固定している2本のワイヤ12c、12dと、この上側部分を通して密着させるための筒体12eから構成されている。また、前記試料受け13は前記試料受け12の液中皿12bの代わりに上方に湾曲した液中皿13aを取り付けたものである。前記ワイヤ12c、12dは、直径0.5mm程度のSUS304ワイヤを使用し、空中皿12a、液中皿12b、13aにはSUS304が用いられ、これらの表面にはアナターゼ型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、ルチル型酸化チタンなどの酸化チタン(TiO2)類や酸化錫や酸化亜鉛などの超親水性物質含有処理液がコーティングされている。 前記ワイヤ12c、12dおよび液中皿12b、13aは、その表面にブラックライトや蛍光ランプ(図示省略)などからの400nm以下の紫外光線を照射することにより、光触媒作用が機能してその表面が超親水性となり液体Lとの濡れが良好化し、固体試料Sを空気中から液体L中へ移し替える際の上下移動に伴い発生していた気泡や水滴の付着が排除される。 前記比重測定キット1を図1に示すような分析用の電子天びん2と組み合わせて比重測定装置を構成し、液体Lに沈む固体試料Sの比重測定を行う場合の操作手順を以下に説明する。(1)図3(A)に示すように電子天びん2から測定皿21、皿受け22、対流防止リング23を取り除く。(2)図3(B)に示すように電子天びん2の皿受け軸24に比重測定キット1の皿受けフレーム14を載置する。(3)図3(C)に示すように水槽受台15を皿受けフレーム14に接触しないように配設する。(4)水槽受台15の上に液体Lを入れた水槽11を載せる。(5)皿受けフレーム14に空中皿12aを係着させる。このとき、前記ワイヤ12c、12dの途中までが水槽11の液体L中に沈む。試料受け12のワイヤ12c、12dから下部をバックライトまたは蛍光ランプで紫外光を照射する。(6)この状態で風袋重量W0と固体試料Sを空中皿12aに載置した時の重量Waを測定する。(7)皿受けフレーム14から空中皿12aを外して持ち上げ、液中皿12bを液体Lから引き上げ、固体試料Sを液中皿12bに載置した後、空中皿12aを再度皿受けフレーム14に係着し、固体試料Sを液体L中に沈める。(8)固体試料Sの液中重量Wlを測定する。これより固体試料Sの比重ρは次式(2)より求められる。 ρ=(Wa−W0)ρl/(Wa−Wl) (2)ここで、ρlは、液体Lの比重値で、温度計16で測定された温度により補正される値を使用する。 図4は本発明の比重測定装置に使用される電子天びん3の概略構成を示すブロック図である。荷重検出部31は、例えば電磁力平衡方型の電子天びん機構を主体とするもので、前記皿受けフレーム14を載置する皿受け台31a上の荷重に対応した電気信号を出力する。その出力はA−D変換器32によってディジタル化された後、所定の微小時間間隔で制御部33に採りこまれる。 制御部33はマイクロコンピュータを主体として構成されており、CPU34、前記(1)式の演算や入力平均化などの処理を行うプログラムが書き込まれたROM35、ディジタル変換された荷重データが書き込まれるRAM36、および外部機器との接続のための入出力インターフェース37等を備えている。この制御部33には、上述のA−D変換器32のほか、固体試料の比重値を表示するための表示器38と、固体試料の空気中重量、液体中重量、風袋重量の測定項目を選択指令する選択スイッチ39A、各測定値の測定記憶を指令する測定記憶スイッチ39Bおよびこれらの測定値から比重値を算出して表示することを指令する表示スイッチ39Cが設けられた入力部39が接続されている。 本比重測定装置は、前記比重測定キット1を使用して比重測定を行う手順と同様の手順で比重測定を行うが、前記電子天びん3を備えているので風袋重量、固体試料の空気中重量および液体中重量測定時に、前記選択スイッチ39Aをその測定項目に合わせその都度測定記憶スイッチ39Bを押し、液中重量を測定後表示スイッチ39Cを押すことにより、比重値が表示器38に表示される。 本発明の比重測定キット1および比重測定装置の構成は上記実施例に限定されるものでなく、例えば液中皿12b、13aを2本のワイヤ12c、12dで吊り下げているが1本または3本以上のワイヤで吊り下げるようにしてもよい。 本発明は、空気中における重量と比重既知の液体中の重量を測定して、固体試料の比重を測定する比重測定キットおよび比重測定装置に関する。本発明実施例の比重測定キット1の組立状態を示す斜視図である。実施例に係わる試料受け12の側面図(A)と試料受け13の側面図(B)である。比重測定キット1の電子天びん2への据付工程図(A)、(B)、(C)である。本発明実施例の比重測定装置の電子天びん3の概略構成を示すブロック図である。従来の比重測定装置の一部断面で示す側面図である。液中皿の平面図である。符号の説明 1 比重測定キット 2、3、48 電子天びん 4 比重測定装置 11、46 水槽 12、13、44 試料受け 12a、41 空中皿 12b、13a、42 液中皿 12c、12d、43 ワイヤ 12e 筒体 14、45 皿受けフレーム 15、47 水槽受台 16 温度計 17 ホルダー 21 測定皿 22 皿受け 23 対流防止リング 24 皿受け軸 31 荷重検出部 31a 皿受け台 32 A−D変換器 33 制御部 34 CPU 35 ROM 36 RAM 37 入出力インターフェース 38 表示器 39 入力部 39A 選択スイッチ 39B 測定記憶スイッチ 39C 表示スイッチ 42a 長孔 L 液体 S 固体試料固体試料を空気中で載置する空中皿を上位に水槽内の比重既知の液体中で載置する液中皿を下位にしてワイヤで接続した試料受けと、前記空中皿を取外し自在に載着する上位部位と電子天びんの荷重検出軸に載着する下位部位を有する皿受けフレームを備えた比重測定キットにおいて、液体中に浸漬させる前記ワイヤおよび液中皿は、その表面に超親水性のコーティングが施されていることを特徴とする比重測定キット。固体試料を空気中で載置する空中皿を上位に、水槽内の比重既知の液体中で載置する液中皿を下位にしてワイヤで接続した試料受けと、前記空中皿を取外し自在に載着する上位部位と電子天びんの荷重検出軸に載着する下位部位を有する皿受けフレームを備えるとともに、液体中に浸漬させる前記ワイヤおよび液中皿は、その表面に超親水性のコーティングが施されている比重測定キットと、風袋重量、固体試料の空気中重量、液体中重量を選択して測定する測定選択手段と、各測定値を記憶する記憶手段と、各測定値から固体試料の比重値を算出表示する算出表示手段とからなることを特徴とする比重測定装置。 【課題】試料受けの液体中への出し入れに伴い付着する気泡および水滴による測定誤差の影響を低減した比重測定キットおよび比重測定装置を提供する。【解決手段】空気中での重量を測定する固体試料Sを載置する空中皿12aを上位にし、水槽11内の比重既知の液体L中での重量を測定する固体試料Sを載置する液中皿12bを下位にしてワイヤ12c、12dで接続した試料受け12において、前記ワイヤ12c、12dおよび液中皿12bの表面に酸化チタンコーティングを施し光触媒機能を付加する。測定時、ワイヤ12c、12dおよび液中皿12bに紫外線を照射して使用する。これにより試料受け12に超親水性が付加され、気泡や水滴の付着が軽減される。【選択図】 図1