タイトル: | 特許公報(B2)_核酸合成用アミダイド及び核酸合成方法 |
出願番号: | 2007000576 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C07H 19/10,C07H 19/20,C07H 21/04 |
藤原 健志 藤田 省三 JP 5076504 特許公報(B2) 20120907 2007000576 20070105 核酸合成用アミダイド及び核酸合成方法 富士通株式会社 000005223 廣田 浩一 100107515 藤原 健志 藤田 省三 20121121 C07H 19/10 20060101AFI20121101BHJP C07H 19/20 20060101ALI20121101BHJP C07H 21/04 20060101ALI20121101BHJP JPC07H19/10C07H19/20C07H21/04 A C07H 19/10−21/04 CA/REGISTRY(STN) 特表平09−510696(JP,A) J. Org. Chem.,1989年,54,1657−1664 10 2008162992 20080717 32 20090611 植原 克典 本発明は、核酸の合成に好適な核酸合成用アミダイド及びそれを用いた核酸合成方法に関する。 核酸の固相合成は、20年以上も前から行われており、自動合成装置もその時点で販売されていた。核酸の固相合成は、例えば、ヌクレオシドを結合させた固相担体(例えば、CPG)に核酸原料(アミダイド)を縮合反応させていくことにより行われるが、この縮合反応の際には、前記アミダイドのリン酸部分と他方の水酸基のみを縮合反応に関与させ、それ以外の反応性基は縮合反応に関与させずに行う必要がある。したがって、使用するアミダイドの塩基が有する環外アミノ基等には、保護基を導入して縮合反応への関与を防止し、全縮合反応が終了した後、保護基を脱離する(脱保護する)ことが必要となる。従来から、塩基の環外アミノ基に導入する保護基としては、ベンゾイル基、イソブチリル基等が用いられており、これらの保護基の脱保護には、濃アンモニア水を、55℃で8〜15時間、作用させる方法が一般的であった。 しかしながら、例えば、プライマー、プローブ、アンチセンスDNA、siRNA等、機能性人工核酸の蛍光標識等の修飾のため、より緩やかな条件で脱保護でき、核酸を得る事のできるアミダイドの改良が望まれている。例えば、従来の技術においては、嵩高い塩基、シアザビシクロウンデセン(DBU)で脱保護可能な核酸アミダイドとして、図14に示した構造式(4)〜(6)の核酸合成用アミダイドなどが報告されている(非特許文献1〜2)。しかしながら、前記構造式(4)〜(6)の核酸合成用アミダイドは、非プロトン性溶媒であるアセトニトリル中で不安定であり(非特許文献5)、実用には向かないものであった。また、図15に示した構造式(7)〜(9)の核酸合成用アミダイドも、緩やかな条件(ピリジン中、0.5M DBU 16時間)で脱保護可能であるとして報告されている(非特許文献3〜4)が、高濃度のDBU、長時間による脱保護のため、核酸塩基へのアルキル化が起こるという問題があった。また、図16に示した構造式(10)〜(12)の核酸合成用アミダイドも、緩やかな条件(メタノール中、K2CO3)で脱保護可能であるとして報告されている(非特許文献5〜6)が、プロトン性溶媒であるメタノール中で塩基のK2CO3を使用するため、エステル等が分解するという問題があった。 したがって、緩やかな条件で脱保護可能であり、かつ実用的な核酸合成用アミダイド、及び前記核酸合成用アミダイドを用いた核酸合成方法の開発は、未だ望まれているのが現状である。Acta Chem,Scand.,B37,263(1983)J.Org.Chem.,54,1657(1989)Tetrahedron 40,4171(1992)Nucleodied & Nuclrotides 13,2059(1994)Tetrahedron Letters 46,6729(1990)Nucleic Acids Reserch 21,3493(1993) 本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、緩やかな条件で脱保護可能であり、かつ実用的な核酸合成用アミダイド、及び前記核酸合成用アミダイドを用いた核酸合成方法を提供することを目的とする。 前記課題を解決するための手段としては、後述の付記に記載の通りである。即ち、 本発明の核酸合成用アミダイドは、下記一般式(I)で表されることを特徴とする。ただし、下記一般式(I)中、Xは、塩基を表し、Yは、4−アミノ酪酸誘導体、o−アミノメチル安息香酸誘導体、o−アミノフェニル酢酸誘導体、o−アミノエチル安息香酸誘導体、o−アミノメチルフェニル酢酸誘導体、o−アミノフェニルプロピオン酸誘導体、及び5−アミノ吉草酸誘導体のいずれかからなる保護基を表し、Qは、水素原子又は水酸基を表す。 前記核酸合成用アミダイドは、前記一般式(I)に示すような特徴的な構造を有することから、緩やかな条件で脱保護可能であり、そのため、例えば、従来の核酸自動合成装置を利用して、各種プライマーやプローブ等の機能性人工核酸をより迅速に合成することができ、また、プライマーやプローブの合成時に、蛍光標識等の不安定な分子を導入することも容易である。 本発明の核酸合成方法は、本発明の前記核酸合成用アミダイドを用いることを特徴とする。 前記核酸合成方法は、本発明の前記核酸合成用アミダイドを用いるため、緩やかな条件で前記核酸合成用アミダイドの脱保護が可能であり、そのため、例えば、従来の核酸自動合成装置を利用して、各種プライマーやプローブ等の機能性人工核酸を迅速に合成することができ、また、プライマーやプローブの合成時に、蛍光標識等の不安定な分子を導入することも容易である。 本発明によると、従来における前記問題を解決することができ、緩やかな条件で脱保護可能であり、かつ実用的な核酸合成用アミダイド、及び前記核酸合成用アミダイドを用いた核酸合成方法を提供することができる。(核酸合成用アミダイド) 本発明の核酸合成用アミダイドは、下記一般式(I)で表されることを特徴とする。 ただし、前記一般式(I)中、Xは、塩基を表し、Yは、4−アミノ酪酸誘導体、o−アミノメチル安息香酸誘導体、o−アミノフェニル酢酸誘導体、o−アミノエチル安息香酸誘導体、o−アミノメチルフェニル酢酸誘導体、o−アミノフェニルプロピオン酸誘導体、及び5−アミノ吉草酸誘導体のいずれかからなる保護基を表し、Qは、水素原子又は水酸基を表す。 前記一般式(I)中、Xで表される塩基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)などが挙げられる。 前記一般式(I)中、Yで表される保護基は、4−アミノ酪酸誘導体、o−アミノメチル安息香酸誘導体、o−アミノフェニル酢酸誘導体、o−アミノエチル安息香酸誘導体、o−アミノメチルフェニル酢酸誘導体、o−アミノフェニルプロピオン酸誘導体、及び5−アミノ吉草酸誘導体のいずれかからなるものであり、その具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中でも、下記一般式(II)で表される保護基が好ましい。 前記保護基は、前記塩基の環外アミノ基に結合してなることが好ましく、例えば、アデニン塩基の6位、グアニン塩基の2位、シトシン塩基の6位に結合してなることが好ましい。 前記核酸合成用アミダイドの具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式(1)〜(3)で表される核酸合成用アミダイドなどが挙げられる。 前記核酸合成用アミダイドの合成方法としては、特に制限はなく、例えば、後述する実施例に記載の方法等により、合成することができる。 前記核酸合成用アミダイドでは、前記保護基は、緩やかな条件で脱保護可能である。 前記「緩やかな条件で脱保護可能」とは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記保護基が、非プロトン性溶媒中で、嵩高い塩基により脱保護可能であることをいう。前記非プロトン性溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。また、前記嵩高い塩基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン)、テトラメチルグアニジンなどが挙げられる。これらの中でも、前記保護基は、前記アセトニトリル中、前記DBUにより脱保護されることが好ましい。また、この場合、前記保護基の脱保護に要するDBU濃度としては、0.5M以下が好ましく、0.1M以下がより好ましく、0.01M以下が特に好ましい、時間としては、8時間以内が好ましく、1時間以内がより好ましく、15分間以内が特に好ましい。 前記核酸合成用アミダイドは全て、前記保護基を、前記したような緩やかな条件で脱保護可能であるので、例えば、後述する本発明の核酸合成方法に好適に利用可能である。なお、前記核酸合成用アミダイドは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記核酸合成用アミダイドは、塩基の種類(アデニン、グアニン、シトシン)にかかわらず、全て前記したような緩やかな条件で脱保護可能である点で、有利である。(核酸合成方法) 本発明の核酸合成方法は、本発明の前記核酸合成用アミダイドを用いることを特徴とする。 前記核酸合成方法は、前記核酸合成用アミダイドを用いるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエステル法、トリエステル法、ホスファイト法、ホスホロアミダイト法、H−ホスホネート法、チオホスファイト法等に、固相法を組み合わせた従来の核酸合成方法などが挙げられる。また、前記核酸合成は、例えば、従来の核酸自動合成装置を用いて行うことができる。 前記核酸合成方法に用いる核酸合成用アミダイドとしては、Aアミダイド、Gアミダイド、及びCアミダイドの全てが本発明の前記核酸合成用アミダイドであってもよいし、一部のみが本発明の前記核酸合成用アミダイドであってもよいが、中でも、Aアミダイド、Gアミダイド、及びCアミダイドの全てが本発明の前記核酸合成用アミダイドであることが好ましい。 例えば、前記核酸合成方法により得られた核酸を、PCR用プライマー等として使用する場合、前記プライマーを実際にPCR等に適用する段階では全ての核酸合成用アミダイドが同様に脱保護されている必要があるが、前記核酸合成方法において、本発明の前記核酸合成用アミダイド以外のAアミダイド、Gアミダイド、及びCアミダイドを一部に用いると、緩やかな条件で脱保護を行った際に、脱保護が充分に行われず、そのため、その後のPCR等の妨げとなる場合がある。一方、用いる核酸合成用アミダイドの全て(Aアミダイド、Gアミダイド、及びCアミダイド)が、本発明の前記核酸合成用アミダイドであると、全ての核酸合成用アミダイドが緩やかな条件で同様に脱保護されるため、その後のPCR等を効率的に行うことができる点で、有利である。 前記核酸合成方法においては、前記核酸合成用アミダイドの縮合反応の後、前記核酸合成用アミダイドの保護基の脱保護を行う。前記脱保護の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記したような緩やかな条件で脱保護を行うことが好ましく、例えば、非プロトン性溶媒中で、嵩高い塩基により脱保護を行うことが好ましい。前記非プロトン性溶媒、前記嵩高い塩基としては、前記同様である。また、脱保護に要する濃度、時間としても、前記同様である。 前記核酸合成方法は、本発明の前記核酸合成用アミダイドを用いるため、前記したような緩やかな条件で前記核酸合成用アミダイドの脱保護が可能である。そのため、例えば、従来の核酸自動合成装置を利用して、各種プライマーやプローブ等の機能性人工核酸を迅速に合成することができ、また、プライマーやプローブの合成時に、蛍光標識等の不安定な分子を導入することも容易である。 なお、前記核酸合成方法により得られた核酸は、様々な用途に好適に使用することができ、その用途に特に制限はなく、例えば、PCR用プライマー、配列決定用プライマー、ハイブリダイゼーション用プローブ、アンチセンスDNA、siRNA等の各種機能性核酸として、好適に使用することができる。 以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。(実施例1:核酸合成用アミダイドの合成) 本発明の核酸合成用アミダイドIIIa、IIIg、IIIcを以下のようにして合成した。なお、前記核酸合成用アミダイドIIIa、IIIg、IIIcは、それぞれ前記した構造式(1)、(2)、(3)に対応する核酸合成用アミダイドである。<Ia、Ig、Icの合成> Nメチルアミノ酪酸塩酸塩7.68g(50mmol)を50mLの水に溶かし、NaHCO34.20g(50mmol)を加え、10分間攪拌した。この溶液に炭酸9−フルオレニルメチルスクシンイミジル13.49g(40mmol)、アセトニトリル100mL、及び硫酸水素テトラブチルアンモニウム0.14g(0.4mmol)を加え、室温で2日間攪拌した。溶液を減圧濃縮した後、塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した。塩化メチレン溶液を減圧濃縮し、脱水アセトニトリルで2回共沸した後、脱水塩化メチレンで共沸した。残渣を200mLの脱水塩化メチレンに溶かし、0℃でN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド4.13g(20mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。不溶物をろ過した後、減圧濃縮し、残渣Aを得た。 デオキシヌクレオシド(dA、dG、又はdC、20mmol)を脱水ピリジンで懸濁し、減圧濃縮する操作を3回行った。残渣を100mLの脱水ピリジンで懸濁し、0℃でトリメチルクロロシラン8.45mL(66mmol)を加え、室温で1時間攪拌した後、再び0℃に冷却し、本溶液を残渣Aに導入した。反応混合物を、室温で2時間攪拌した。氷冷下20mLの水を加え、室温で一晩攪拌した。本溶液を塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した。塩化メチレン溶液を減圧濃縮し、残渣を中圧クロマトグラフィー(ジクロロメタン−エタノール19:1→4:1)にて精製し、目的物Ia 6.91g(60%)、Ig 9.43g(80%)、Ic 8.80g(80%)を得た。<IIa、IIg、IIcの合成> Ia、Ig、又はIc、10mmolを脱水ピリジンに溶解し、減圧濃縮を3回行った。残渣を50mLの脱水ピリジンに溶解し、氷冷下4,4’−ジメトキシトリチルクロリド3.36g(10.5mmol)を加え、室温にて4時間攪拌した。続いてメタノール10mLを加え、30分攪拌した。溶液を減圧濃縮し、塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した。塩化メチレン溶液を減圧濃縮し、残渣を中圧クロマトグラフィー(ジクロロメタン−エタノール98:2→9:1)にて精製し、目的物IIa 7.92g(91%)、IIg 8.35g(94%)、IIc 7.64g(90%)を得た。<IIIa、IIIg、IIIcの合成> IIa、IIg又はIIc、5mmolを脱水アセトニトリル、脱水ジクロロメタン混合溶液に溶解し、減圧濃縮を3回行った。残渣を20mLの脱水ジクロロメタンに溶解し、氷冷下ジメチルアミノピリジン30.5mg(0.25mmol)、ジイソプロピルエチルアミン1.05mL(6.0mmol)を加え、2−シアノエチルジイソプロピルクロロホスホロアミジト1.23mL(5.5mmol)の5mL塩化メチレン溶液を15分以上かけ滴下した。混合溶液を0℃(IIa、IIc)又は室温(IIg)で2時間攪拌した。続いてメタノール5mlを加え、30分攪拌した。溶液を減圧濃縮し、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。酢酸エチル溶液を減圧濃縮し、残渣を25mLの酢酸エチルに溶解し、−30℃で500mLのヘキサンに15分以上かけ滴下した。不溶物をろ過し、冷ヘキサンで洗浄し、濾物から減圧下溶媒を除くことにより、目的物IIIa 5.22g(97%)、IIIg 5.22g(96%)、IIIc 4.70g(94%)を得た。<各化合物の構造確認> 前記Ia、Ig、Ic〜IIIa、IIIg、IIIcの各化合物の構造確認を以下のようにして行った。結果を図1〜12に示す。[1H−NMR] 各サンプル約10mgを重溶媒に溶解し、測定した。内部標準は溶媒ピークを基準とした。[31P−NMR] 外部標準としてPPh3を用い、−6.2ppmを基準として測定した。BCMにて測定を行った。(実施例2:DNA合成における脱保護の確認1) 前記実施例1で合成した各核酸合成用アミダイドが緩やかな条件で脱保護可能であることを、以下のようにして確認した。以下の条件1〜4に示す通り、各々のアミダイドを使用し、キャッピィング操作を行わずに5’−dGpApCpTp C3 SS CPGを合成して、各々の脱保護操作を行った。 なお、本実施例2で使用した、dTアミダイト、benzoyl−protected dAアミダイド、benzoyl−protected dCアミダイド、isobutyrl−protected dGアミダイト、3’−Thiol−Modififier C3 SS CPG、pheoxyacetyl protected dAアミダイト、acetyl protected dCアミダイト、及び4−isopropyl−pheoxyacetyl protected dGアミダイトは、それぞれグレンリサーチ社から購入した。また、tris(2−carboxyethyl)phosphine hydrochloride(TCEP)は、アルドリッチ社から購入した。なお、DNA合成には、ジーンワルド社製のH8−Fを用い、付属の合成プログラムを変更せずに使用した。−条件1(対照区)− dTアミダイト、benzoyl−protected dAアミダイド、benzoyl−protected dCアミダイド、isobutyrl−protected dGアミダイトを用いて5’−dGpApCpTp C3 SS CPGを合成した。本CPGをスクリュウュウキャップドチューブに回収し、28%アンモニア水を加え、55℃で8時間加熱後、溶媒を減圧溜去し、残渣に0.1M TCEP−tris pH=7.0を500μl加え、室温で30分静置した。本溶液の一部をHPLCで解析した。(解析条件:カラム5C18カラム A溶媒 100mMギ酸アンモニウム B溶媒 アセトニトリル B 5→35%(20min)linear gradient) 解析結果を図13に示す。−条件2(実験区)− dTアミダイト、及び、IIIa、IIIg、IIIc(実施例1で合成した本発明の核酸合成用アミダイド)を用いて5’−dGpApCpTp C3 SS CPGを合成した。本DNA合成用カラムに0.01M DBUアセトニトリル溶液5mLを1時間かけて流した後、アセトニトリル、水で洗浄したのち0.1M TCEP−tris pH=7.0 250μlを2時間かけて流し溶液を回収した。本溶液の一部をHPLCで解析した。(解析条件:カラム5C18カラム A溶媒 100mMギ酸アンモニウム B溶媒 アセトニトリル B 5→35%(20min)linear gradient) 解析結果を図13に示す。−条件3(比較対照区)− dTアミダイト、benzoyl−protected dAアミダイド、benzoyl−protected dCアミダイド、isobutyrl−protected dGアミダイトを用いて5’−dGpApCpTp C3 SS CPGを合成した。本DNA合成用カラムに0.01M DBUアセトニトリル溶液5mLを1時間かけて流した後、アセトニトリル、水で洗浄したのち0.1M TCEP−tris pH=7.0 250μlを2時間かけて流し溶液を回収した。本溶液の一部をHPLCで解析した。(解析条件:カラム5C18カラム A溶媒 100mMギ酸アンモニウム B溶媒 アセトニトリル B 5→35%(20min)linear gradient) 解析結果を図13に示す。−条件4(比較対照区)− dTアミダイト、pheoxyacetyl protected dAアミダイト、acetyl protected dCアミダイト、4−isopropyl−pheoxyacetyl protected dGアミダイトを用いて5’−dGpApCpTp C3 SS CPGを合成した。本DNA合成用カラムに0.01M DBUアセトニトリル溶液5mLを1時間かけて流した後、アセトニトリル、水で洗浄したのち0.1M TCEP−tris pH=7.0 250μlを2時間かけて流し溶液を回収した。本溶液の一部をHPLCで解析した。(解析条件:カラム5C18カラム A溶媒 100mMギ酸アンモニウム B溶媒 アセトニトリル B 5→35%(20min)linear gradient) 解析結果を図13に示す。 これらの結果、条件1と条件2でのみ主生成物の保持時間が一致した(図13)ことから、IIIa、IIIg、IIIc(実施例1で合成した本発明の核酸合成用アミダイド)を使用したDNA合成でのみ、0.01M DBUアセトニトリル溶液中、1時間で脱保護可能であることが示された。また条件2では、条件1と同等にメインピーク以外の生成物は少量で本条件では塩基のアルキル化が無視できるとわかった。(実施例3:DNA合成における脱保護の確認2) また、前記実施例1で合成した各核酸合成用アミダイドが緩やかな条件で脱保護可能であることを、更に、以下のようにして確認した。 DNA自動合成機としてアプライドバイオシステム社のABI381Aを用い、グレンリサーチ社から購入した3’Thiol−modifier C3 S−S CPGに、IIIa→IIIc→IIIg→Tアミダイドの順に合成した。合成サイクルは、改良せずにそのまま用いることで、各段階98%以上の収率で合成できた。本レジンに0.01M DBU 200μlを15分間かけて流した後、0.1M DTT水溶液400μlを4時間かけて流すことによりDNA溶液Aを得た。 また、対照として、同様の3’Thiol−modifier C3 S−S CPGにAアミダイド→Cアミダイド→Gアミダイド→Tアミダイドの順に合成し、定法に従い、DTT存在下、アンモニア水により脱保護及び切り出しを行い、DNA溶液Bを得た。 HPLCを用いて溶液A、及び溶液Bを比較した結果、主生成物が一致することがわかった。また、化合物Ia及びIgを用いることにより、DTT水―ピリジン混合溶液中で保護基が安定であることも確認してあるので、以上の結果から、前記IIIa、IIIc、及びIIIg(前記構造式(1)、(2)、(3)の核酸合成用アミダイド)の保護基は0.01M DBU 200μl、15分間で脱保護可能であることが示された。 本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。(付記1) 下記一般式(I)で表されることを特徴とする核酸合成用アミダイド。 ただし、前記一般式(I)中、Xは、塩基を表し、Yは、4−アミノ酪酸誘導体、o−アミノメチル安息香酸誘導体、o−アミノフェニル酢酸誘導体、o−アミノエチル安息香酸誘導体、o−アミノメチルフェニル酢酸誘導体、o−アミノフェニルプロピオン酸誘導体、及び5−アミノ吉草酸誘導体のいずれかからなる保護基を表し、Qは、水素原子又は水酸基を表す。(付記2) 一般式(I)中、Yで表される保護基が、下記一般式(II)で表される保護基である付記1に記載の核酸合成用アミダイド。(付記3) 一般式(I)中、Xで表される塩基が、アデニン、グアニン、及びシトシンのいずれかである付記1から2のいずれかに記載の核酸合成用アミダイド。(付記4) 一般式(I)中、Yで表される保護基が、Xで表される塩基の環外アミノ基に結合してなる付記1から3のいずれかに記載の核酸合成用アミダイド。(付記5) 下記構造式(1)〜(3)のいずれかで表される付記1から4のいずれかに記載の核酸合成用アミダイド。(付記6) 非プロトン性溶媒中で脱保護可能である付記1から5のいずれかに記載の核酸合成用アミダイド。(付記7) 非プロトン性溶媒が、アセトニトリル、ジクロロメタン、DMF、及びN−メチルピロリドンからなる群より選択される少なくともいずれかである付記6に記載の核酸合成用アミダイド。(付記8) 嵩高い塩基により脱保護可能である付記1から7のいずれかに記載の核酸合成用アミダイド。(付記9) 嵩高い塩基が、DBU、DBN、及びテトラメチルグアニジンからなる群より選択される少なくともいずれかである付記8に記載の核酸合成用アミダイド。(付記10) 0.01M DBU濃度以下で脱保護可能である付記1から9のいずれかに記載の核酸合成用アミダイド。(付記11) 15分間以内に脱保護可能である付記1から10のいずれかに記載の核酸合成用アミダイド。(付記12) 付記1から11のいずれかに記載の核酸合成用アミダイドを用いることを特徴とする核酸合成方法。(付記13) 核酸合成用アミダイドの縮合反応の後、前記核酸合成用アミダイドの保護基の脱保護が行われる付記12に記載の核酸合成方法。(付記14) 非プロトン性溶媒中で脱保護が行われる付記12から13のいずれかに記載の核酸合成方法。(付記15) 非プロトン性溶媒が、アセトニトリル、ジクロロメタン、DMF、及びN−メチルピロリドンからなる群より選択される少なくともいずれかである付記14に記載の核酸合成方法。(付記16) 嵩高い塩基により脱保護が行われる付記12から15のいずれかに記載の核酸合成方法。(付記17) 嵩高い塩基が、DBU、DBN、及びテトラメチルグアニジンからなる群より選択される少なくともいずれかである付記16に記載の核酸合成方法。(付記18) 0.01M DBU濃度以下で脱保護が行われる付記12から17のいずれかに記載の核酸合成方法。(付記19) 15分間以内に脱保護が行われる付記12から18のいずれかに記載の核酸合成方法。(付記20) 核酸自動合成装置を用いて行われる付記12から19のいずれかに記載の核酸合成方法。 本発明の核酸合成用アミダイドは、緩やかな条件で脱保護可能であるので、例えば、本発明の核酸合成方法に好適に利用可能である。 また、本発明の核酸合成方法は、緩やかな条件で前記核酸合成用アミダイドの脱保護が可能であるので、例えば、PCR用プライマー、配列決定用プライマー、ハイブリダイゼーション用プローブ、アンチセンスDNA、siRNA等の各種機能性核酸の合成に、好適に利用可能である。図1は、実施例1における化合物Iaの1H−NMRスペクトルである。図2は、実施例1における化合物Igの1H−NMRスペクトルである。図3は、実施例1における化合物Icの1H−NMRスペクトルである。図4は、実施例1における化合物IIaの1H−NMRスペクトルである。図5は、実施例1における化合物IIgの1H−NMRスペクトルである。図6は、実施例1における化合物IIcの1H−NMRスペクトルである。図7は、実施例1における化合物IIIa(構造式(1)の核酸合成用アミダイド)の1H−NMRスペクトルである。図8は、実施例1における化合物IIIa(構造式(1)の核酸合成用アミダイド)の31P−NMRスペクトルである。図9は、実施例1における化合物IIIg(構造式(2)の核酸合成用アミダイド)の1H−NMRスペクトルである。図10は、実施例1における化合物IIIg(構造式(2)の核酸合成用アミダイド)の31P−NMRスペクトルである。図11は、実施例1における化合物IIIc(構造式(3)の核酸合成用アミダイド)の1H−NMRスペクトルである。図12は、実施例1における化合物IIIc(構造式(3)の核酸合成用アミダイド)の31P−NMRスペクトルである。図13は、実施例2における条件1〜条件4での各DNA合成物のHPLC解析結果である。図14は、従来の核酸合成用アミダイド(構造式(4)〜(6))である。図15は、従来の核酸合成用アミダイド(構造式(7)〜(9))である。図16は、従来の核酸合成用アミダイド(構造式(10)〜(12))である。 下記一般式(I)で表されることを特徴とする核酸合成用アミダイド。 ただし、前記一般式(I)中、Xは、塩基を表し、Yは、下記一般式(II)で表される保護基を表し、Qは、水素原子又は水酸基を表す。 一般式(I)中、Qが水素原子である請求項1に記載の核酸合成用アミダイド。 一般式(I)中、Xで表される塩基が、アデニン、グアニン、及びシトシンのいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の核酸合成用アミダイド。 下記構造式(1)〜(3)のいずれかで表される請求項1から3のいずれかに記載の核酸合成用アミダイド。 非プロトン性溶媒中で脱保護可能である請求項1から4のいずれかに記載の核酸合成用アミダイド。 非プロトン性溶媒が、アセトニトリル、ジクロロメタン、DMF、及びN−メチルピロリドンからなる群より選択される少なくともいずれかである請求項5に記載の核酸合成用アミダイド。 嵩高い塩基により脱保護可能である請求項1から6のいずれかに記載の核酸合成用アミダイド。 嵩高い塩基が、DBU、DBN、及びテトラメチルグアニジンからなる群より選択される少なくともいずれかである請求項7に記載の核酸合成用アミダイド。 請求項1から8のいずれかに記載の核酸合成用アミダイドを用いることを特徴とする核酸合成方法。 核酸自動合成装置を用いて行われる請求項9に記載の核酸合成方法。