生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_湿疹の治療方法
出願番号:2006539968
年次:2007
IPC分類:A61K 31/65,A61P 17/00,A61P 37/08,A61P 17/08


特許情報キャッシュ

ライアン マリア エマニュエル リウ ユー ゴーループ ローン エム リー シー ミン サイモン サンフォード アール ウォーカー スティーブン ジー JP 2007510757 公表特許公報(A) 20070426 2006539968 20041104 湿疹の治療方法 ザ リサーチ ファウンデーション オブ ステイト ユニヴァーシティ オブ ニューヨーク 500312838 熊倉 禎男 100082005 小川 信夫 100084009 箱田 篤 100084663 浅井 賢治 100093300 平山 孝二 100114007 ライアン マリア エマニュエル リウ ユー ゴーループ ローン エム リー シー ミン サイモン サンフォード アール ウォーカー スティーブン ジー US 60/518,354 20031106 A61K 31/65 20060101AFI20070330BHJP A61P 17/00 20060101ALI20070330BHJP A61P 37/08 20060101ALI20070330BHJP A61P 17/08 20060101ALI20070330BHJP JPA61K31/65A61P17/00A61P37/08A61P17/08 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW US2004038089 20041104 WO2005046618 20050526 15 20060707 4C086 4C086AA01 4C086AA02 4C086DA29 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA89 4C086ZB13発明の詳細な説明 本発明は、国立衛生研究所により、許可番号1R21DE14491−01で認められた、政府の援助によりなされた。該政府は、本発明においてある権利を有している。(本発明の背景) 湿疹はアトピー性皮膚炎としても公知であり、皮膚の炎症を含む。その状態は、皮膚の鱗屑状又はかさぶた状の斑によって特徴づけられ、しばしば赤み、水疱、及びかゆみを伴う。人間及び他の哺乳動物における顕著な不快感は、しばしば湿疹を伴う。 微生物、とりわけプロピオニバクテリウムアクネは、ざ瘡及びざ瘡関連性の皮膚の状態の病因に、強く関係する。該微生物は、真皮中に炎症の微生物メディエーターを放出し、又は管のケラチノサイトからサイトカインを放出するきっかけになると考えられる。 湿疹を治療する種々の医薬品を開示する非常に多くの参考文献が存在する。湿疹はしばしば微生物の感染に付随する。従って、上記医薬品は、しばしば、付加的な成分として抗生物質を含む。 例えば、テトラサイクリン抗生物質は、湿疹が微生物の感染に付随している状態において、湿疹の治療におけるそのような付加的な成分としてしばしば用いられる。例えば、セスキテルペン化合物の使用に対するThornfeldtの米国特許第5,057,501号、フラボノイドの使用に対するLanzendoerfer,et al.の米国特許6,180,662、カッパ(kappa)アゴニスト化合物の使用に対するZhang,et al.の米国特許6,486,165を参照されたい。 他の多くの文献、例えばBrucks,et al.の米国特許5,720,948、Dow,et al.の米国特許5,061,700、及びSetterstrom,et al.の米国特許6,309,669は、湿疹を含む種々の状態の治療に有用となり得る医薬品送達媒体を開示する。該送達媒体は、種々の医薬品を含むと言われている。例えば、抗生物質、例えばテトラサイクリン抗生物質が、送達媒体中に含まれ得る。 湿疹は、しばしばざ瘡に関連する皮膚の疾患に付随する。ざ瘡の存在における該湿疹は、本明細書においてざ瘡関連性湿疹と言う。 テトラサイクリン抗生物質は,ざ瘡及びざ瘡関連性疾患の治療用に周知である。ざ瘡及びざ瘡に関連する疾患は、種々の種類の損傷により特徴づけられる。発症する領域は、典型的には皮脂腺が最大で、最も多くかつ最も活性な皮膚の領域である。 従って、ざ瘡及びざ瘡に関連する疾患の治療における抗生物質の効力は、大部分は、微生物の生長及び代謝を直接阻害する抗生物質の作用に依存すると考えられる。全身的に投与されたテトラサイクリン抗生物質、特にミノサイクリンハイドロクロライドは、特にざ瘡に関連する細菌感染症の治療に効果的である。 化合物テトラサイクリンは、テトラサイクリン、テトラサイクリン化合物、テトラサイクリン誘導体等として言及される、一群の抗生物質化合物の一部である。該親化合物、テトラサイクリンは以下の構造を有する: 構造A 複式環の核の番号システムは、以下の通りである: 構造B テトラサイクリン、並びにテラマイシン及びオーレオマイシン誘導体は、天然に存在し、周知の抗生物質である。天然のテトラサイクリンは、ある要素は残されなければならないが、それらの抗生物質の特性を失うことなく修飾しても良い。基本のテトラサイクリンの構造を構成し得る及び構成し得ない該修飾は、Mitscherにより、The Chemistry of Tetracyclines,Chapter 6,Marcel Dekker,Publishers,New York(1978)において概説されている。 Mitscherに従うと、テトラサイクリン環系5−9位の置換基が、抗生物質の特性を完全に失うことなく修飾できる。基本となる環系の変更又は4位及び10−12a位の置換基の置換は、一般的に抗菌性活性の実質的な減少又は有効な抗菌性活性の消失を伴う合成テトラサイクリンを誘導する。抗菌性のない化学的修飾をされたテトラサイクリンは、本明細書においてCMTsという。 テトラサイクリン抗生物質の活性は、一般的には投与された投与量に比例する。従って、中程度から重篤な感染症において、経口のテトラサイクリン抗菌薬は、典型的に高い投与量で投与される。例えば、通常のざ瘡又はざ瘡関連性湿疹の治療において、テトラサイクリンは500から2,000mg/日の初回量で投与され、250−500mg/日の維持量で続けられる。 これらの直接的な抗生物質の活性に加えて、テトラサイクリン抗菌薬のさらなる活性が、皮膚の疾患に関する可能な治療作用について検討されてきた。例えば、Plewig et al.は、抗菌薬が炎症性の皮膚病の治療において効果的であるとの仮説を試験するために計画した実験を開示している。Journal of Investigative Dermatology 65:532(1975)。Plewig et al.の実験は、抗菌性の投与量で投与されたテトラサイクリン抗生物質が、ヨウ化カリウム貼付剤によって誘導された膿疱治療において、抗炎症性の特性を有することを確立している。 同様に、Elewski et al.は、細菌に関連する皮膚の疾患、例えばざ瘡におけるテトラサイクリン抗生物質の治療作用は、直接的な抗菌性の作用に加えて、細菌によって誘導された炎症の阻害による可能性を推測している。J.Amer.Acad.Dermatol.,8:807−812(1983)。 前記検討からわかるように、先行技術は、炎症性の皮膚の状態の治療における、抗菌性の投与量でのテトラサイクリン抗生物質の使用を開示している。テトラサイクリン抗生物質が有益な第二の作用を有していることが報告されているにもかかわらず、テトラサイクリン抗生物質の最終的な使用目的は、常に細菌の感染を治療することであった。 しかしながら、ざ瘡及びざ瘡関連性疾患の治療における抗生物質の使用は、望ましくない副作用を生じ得る。例えば、テトラサイクリン抗生物質の長期間の投与は、健全な細菌叢、例えば腸内細菌叢及び膣内細菌叢を減少又は除去しかねず、並びに抗生物質耐性生物の生成並びに酵母及び真菌の過生長を導きかねない。 テトラサイクリン抗生物質の使用に関する上記欠陥の観点において、抗菌性のないテトラサイクリン調合物の全身的な投与による、ざ瘡及びざ瘡関連性の皮膚疾患の治療方法は、コーラジェネックスファーマシューティカルズ社(Newtown,Pennsylvania)に譲渡された米国特許出願2003/0139380において、以前に開示されていた。ざ瘡関連性の皮膚疾患の一つは、ざ瘡関連性湿疹と言われ、すなわちざ瘡の存在における脂漏性の皮膚炎である。 上記参照のいずれもが、湿疹、特にざ瘡を伴わない湿疹、すなわち非ざ瘡関連性湿疹の治療のための、抗菌性のないテトラサイクリン調合物の使用を扱っていない。従って、湿疹、特に非ざ瘡関連性湿疹の効果的な治療法に対する要望があり、該治療法においては、テトラサイクリンの治療作用が、細菌感染症に有効な抗菌剤の通常の投与による、好ましくない副作用を引き起こすことなく使用できる。(本発明の概要) 本発明は、治療を必要とする哺乳動物における湿疹の治療方法を提供する。該方法は、有効量の抗菌性のないテトラサイクリン調合物、すなわち低抗菌性投与量の抗菌性テトラサイクリン化合物、又は抗菌性のないテトラサイクリン化合物のいずれかを、哺乳動物に投与することを含む。他の態様において、該湿疹は、非ざ瘡関連性湿疹である。(詳細な説明) 本発明は、湿疹の治療方法を提供する。本明細書で用いるものとして、用語“湿疹”は、皮膚の鱗屑状又はかさぶた状の斑により特徴づけられる皮膚の疾患であり、しばしば赤み、水疱及びかゆみ、ことによると斑点又は皮膚の損傷を伴うものである。これら斑点や損傷は、しばしば皮膚の腺及び毛嚢脂腺の炎症、及び微生物、とりわけ細菌の感染に付随する。 本明細書の目的のためには、湿疹は、全ての種類の湿疹を含む。該湿疹は、ざ瘡を伴っても、伴わなくても良い。一態様において、該湿疹はざ瘡を伴わない、言い換えれば、非ざ瘡関連性湿疹である。 本発明に従って治療できるいくつかの種類の湿疹は、例えば、アトピー性湿疹、接触湿疹、脂漏性湿疹、貨幣状湿疹、神経皮膚炎、うっ血性皮膚炎又は異汗性湿疹を含む。 アトピー性湿疹は、皮膚における炎症に対する遺伝性素因である。 接触湿疹は、刺激物又はアレルゲンに対して皮膚が接触することにより起こる、炎症を生じた皮膚の状態を指す一般的な用語である。従って、接触湿疹の特定の形態は、アレルギー性接触湿疹及び刺激性接触湿疹を含む。 脂漏性湿疹は、脂漏又は脂漏性皮膚炎としても知られており、主として頭皮であるが、体の他の部分にも発症し得る湿疹を意味する。脂漏性湿疹は、しばしばふけ、鱗屑及び赤みと付随している。脂漏性湿疹は、脂漏性皮膚炎としても知られている。 貨幣状湿疹は、貨幣状湿疹性皮膚炎、又は円盤状湿疹としても知られており、皮膚における貨幣形状の外傷により特徴づけられる。該外傷の原因は低湿度環境における乾燥皮膚、又は皮膚の過敏症を誘導する細菌の感染であり得る。 神経皮膚炎は、慢性の種類の湿疹であり、皮膚、典型的には首、手首及び足首における、隆起した、粗く、かゆい斑により特徴づけられる。神経皮膚炎の原因となり得るものは、長期にわたる外部薬剤による、又はストレス、不安、乾燥皮膚若しくは感染による皮膚の感作を含む。 うっ血性皮膚炎は、足の下部における、赤くかゆい発疹により特徴づけられる。うっ血性皮膚炎は足の腫脹における深刻な状況に変容し得る。うっ血性皮膚炎の通常の原因は、足から心臓への不十分な血流である。 異汗性湿疹は、発汗障害又は汗疱としても知られており、強度のかゆみの原因となる、皮膚における小さな水疱の形成により特徴づけられる。該水疱は、極度にかゆい発疹に変容し得る。異汗性湿疹は通常手及び足に発現する。異汗性湿疹の原因となり得るものは、皮膚における遺伝したアレルギー反応である。 本発明の方法は、湿疹を有する哺乳動物に対する、抗菌性のないテトラサイクリン調合物の投与を含む。テトラサイクリン自体を含むテトラサイクリン化合物の種類は、本明細書の背景の説で説明されている。 抗菌性のないテトラサイクリン調合物は、湿疹の治療に効果的な量で哺乳動物に対して投与される。湿疹に付随する赤み、斑、かゆみ、斑点及び/又は損傷の減少又は抑制が存在する場合、該治療は有効であると考える。特定の場合における、抗菌性のないテトラサイクリン調合物の実際に好ましい量は、治療される湿疹の種類及び重症度、調合された特定の組成物、処方の型、及び治療される特定の患者に従って変動し得る。抗菌性のないテトラサイクリン調合物の適正な量は、当業者により容易に決定できる。 抗菌性のないテトラサイクリン調合物は、低抗菌性投与量の抗菌性のテトラサイクリン化合物、又は抗菌性のないテトラサイクリン化合物のいずれかである。抗菌性のテトラサイクリン化合物は、抗菌活性を有しない有効量で投与され、換言すれば最小の抗菌性血清濃度より低い濃度で投与される。該量は、本明細書において、“低抗菌性投与量”又は“低抗菌性量”という。 抗菌性のないテトラサイクリン調合物の投与量は、1日当たり、言い換えればmg/日に基づいて良い。代わりに、抗菌性のないテトラサイクリン調合物の投与量は、血清レベルの濃度に基づいて良い。本出願の目的のため、“血清レベル”は、治療法の7日目に摂取した投与量の、24時間後の患者の血液における、抗菌性のないテトラサイクリン調合物の濃度を意味する。 抗菌性のテトラサイクリン化合物のいくつかの例は、以下を含む:ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ライムサイクリン、及びこれらの薬剤として許容される塩。例えば、ドキシサイクリンは、そのハイクレート(hyclate)塩又は水和物、好ましくは一水和物として好ましく投与される。 テトラサイクリン群の化合物の抗菌性量のいくつかの例は、ドキシサイクリンの100mg/日、ミノサイクリンの100mg/日、テトラサイクリンの250mgを1日4回、オキシテトラサイクリンの1000mg/日、デメクロサイクリンの600mg/日及びライムサイクリンの600mg/日を含む。 抗菌性のテトラサイクリン化合物の低抗菌性量は、最小の抗菌性量の約10%、好ましくは約25%、さらに好ましくは約40%である最小量で投与されて良い。抗菌性テトラサイクリン化合物の最大の低抗菌性量は、抗菌性量の約80%、好ましくは約70%、より好ましくは約60%である。 薬物動態学的な定常状態に基づく抗菌性テトラサイクリンの、適切な低抗菌性投与量のいくつかの例は以下を含む:ドキシサイクリンが1日当たり20mg/2回;ミノサイクリンが38mgを1日1回、2回、3回又は4回;及びテトラサイクリンが60mgを1日1回、2回、3回又は4回。 投与された抗菌性テトラサイクリン化合物の量が血清レベルに基づく場合は、該テトラサイクリン化合物は、抗菌性量の約10%、好ましくは約25%、より好ましくは約40%の最小血清テトラサイクリン濃度が結果として得られる量で好ましく投与される。テトラサイクリン化合物は、抗菌性量の約80%、好ましくは約70%、より好ましくは60%の最大血清テトラサイクリン濃度が結果として得られる量で好ましく投与される。 例えば、成人に対する二つの100mgミノサイクリンHCl錠剤又はカプセルの一回の投与量は、一時間の間に0.74から4.45μg/mlの範囲で変化するミノサイクリンの血清レベルとなる。平均レベルは2.24μg/mlである。 24時間の間で6時間ごとに投与された250ミリグラムのテトラサイクリンHClは、約3μg/mlの血清レベルのピークを生ずる。24時間の間で6時間ごとに投与された500ミリグラムのテトラサイクリンHClは、4から5μg/mlの血清濃度のレベルを生ずる。 先に述べたように、抗菌性のないテトラサイクリン調合物は、抗菌性のないテトラサイクリン化合物を含むこともできる。抗菌性のないテトラサイクリン化合物は、抗菌性のテトラサイクリンと構造的に関係するが、化学的な修飾によって、実質的又は完全に除去された抗菌性活性を有する。本明細書で用いるものとして用語“実質的に”は、たとえ若干の感受性細菌細胞が阻害され得るとしても、該阻害が臨床上顕著ではないことを意味する。 テトラサイクリン化合物が、濃度においてのみ、少なくとも約10倍、好ましくは少なくとも約25倍ドキシサイクリンより多い量にて、ドキシサイクリンの抗菌性活性に匹敵する活性を達成することができるとき、該テトラサイクリン化合物は抗菌性がないと考えられる。 化学的修飾をされた抗菌性のないテトラサイクリン(CMTs)の例は、テトラサイクリン環構造の4位で、ジメチルアミノ基を欠落したものを含み、例えば以下のものである: 4−デジメチルアミノテトラサイクリン(CMT−1), 6−デメチル−6−デオキシ−4−デ(ジメチルアミノ)テトラサイクリン(CMT−3), 7−クロロ−4−デ(ジメチルアミノ)テトラサイクリン(CMT−4), 4−ヒドロキシ−4−デ(ジメチルアミノ)テトラサイクリン(CMT−6), 4−デ(ジメチルアミノ)−12α−デオキシテトラサイクリン(CMT−7), 6−デオキシ−5α−ヒドロキシ−4−デ(ジメチルアミノ)テトラサイクリン(CMT−8), 4−デジメチルアミノ−12α−デオキシアンヒドロテトラサイクリン(CMT−9), 7−ジメチルアミノ−6−デメチル−6−デオキシ−4−デ(ジメチルアミノ)テトラサイクリン(CMT−10), 4−デジメチルアミノ−5−オキシテトラサイクリン, 5α,6−アンヒドロ−4−ヒドロキシ−4−デ(ジメチルアミノ)テトラサイクリン, 4−デ(ジメチルアミノ)−11−ヒドロキシ−12α−デオキシテトラサイクリン, 12α−デオキシ−4−デオキシ−4−デ(ジメチルアミノ)テトラサイクリン,及び 12α,4α−アンヒドロ−4−デ(ジメチルアミノ)テトラサイクリン。 抗菌性活性を減少させるために修飾をしたテトラサイクリンのさらなる例は、6−α−ベンジルチオメチレンテトラサイクリン、テトラサイクリンのモノ−N−アルキル化したアミド、6−フルオロ−6−デメチルテトラサイクリン、11α−クロロテトラサイクリン、テトラサイクリノニトリル(CMT−2)、及びテトラサイクリンピラゾール(CMT−5)を含む。 上述のCMTsの誘導体も使用できる。該誘導体は、テトラサイクリン環の核の環Dの7,8又は9位において、水素以外の置換基を有していても良い。置換基のいくつかの例は以下を含む:ハロゲン(例えば、F、Cl、Br及びI);ニトロ;ヒドロキシ;アルキルカルボニル;アルキルカルボニルオキシ;アルキルアミド;アミノ;アルキルアミノ;ジアルキルアミノ;フェニル、カルボキレート等、ここでアルキルはC1−C16、好ましくはC1−C4で表し、直鎖状又は分枝状のアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル)である。 例えば、CMT−3のいくつかの誘導体は以下を含む:CMT−8のいくつかの誘導体は、以下を含む: CMT−10のいくつかの誘導体は、以下を含む: 本発明の方法において使用に適する一般的な、及び特定のテトラサイクリン化合物のさらなる例は、国際PCT出願No.WO 01/87823に開示されている。PCT出願No.WO 01/87823に開示されている該一般的な、及び特定の化合物の全ては、参照により本明細書に取り込まれる。 化学的に修飾されたテトラサイクリン化合物は、本技術で公知のいかなる方法によっても合成できる。CMTsの合成に適した方法は、例えば、Mitscher(同書)、及び米国特許4,704,383、5,532,227及び6,506,740に述べられているものが含まれる。 哺乳動物に対して投与される抗菌性のないテトラサイクリン化合物の最小量は、湿疹の治療に有効な最低量である。抗菌性のないテトラサイクリン化合物の適切な最小量は、約0.1μg/ml、好ましくは約0.5μg/mlの血清レベルとなる量である。抗菌性のないテトラサイクリン化合物の適切な最小の1日量は、約1mg/日、好ましくは約20mg/日、より好ましくは約30mg/日、さらに好ましくは約40mg/日である。 哺乳動物に対して投与される抗菌性のないテトラサイクリン化合物の最大量は、好ましくない副作用を生じない最高の有効量である。抗菌性のないテトラサイクリン化合物の適切な最大量は、血清レベルで約10μg/ml、より好ましくは約8μg/ml、さらに好ましくは約6μg/ml、より好ましくは約4μg/ml、さらにより好ましくは約1μg/mlとなる量である。抗菌性のないテトラサイクリン化合物の適切な最大の1日量は、約200mg/日、好ましくは約100mg/日、さらに好ましくは約80mg/日、より好ましくは約60mg/日である。 上述の血清レベルに基づいたいかなる最小投与量も、上述の血清レベルに基づいた最大投与量と組み合わせて、血清レベルに基づいた最適な投与量範囲を形成できる。同じく、上述のいかなる最小の1日量は、上述のいかなる最大の1日量と組み合わせて、適切な1日量の範囲を形成できる。 例えば、一の態様において、6−デメチル−6−デオキシ−4−デ(ジメチルアミノ)テトラサイクリン(CMT−3)は、約40mg/日から約200mg/日の投与量で、又は約1.55μg/mlから約10μg/mlの血清レベルとなる量で投与される。他の態様において、CMT−3は、例えば1mg/日から約12mg/日の投与量で、又は約0.1μg/mlから約1.1μg/mlの血清レベルとなる量で投与される。 テトラサイクリン調合物は、単独で、又は付加的な医薬品との添加物として投与しても良い。該付加的な医薬品は、それ自体が湿疹の治療に関係していても、していなくてもよい。該付加的な医薬品の例は、以下を含む:鎮痛薬、例えばアスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン及びコデイン;副腎皮質ステロイド、例えばコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン及びデキサメタゾン;筋弛緩薬、例えばメトカルバモール、オルフェナドリン、カリソプロドール、メプロバメート及びジアゼパム;興奮薬、例えばカフェイン、メチルフェニデート及びペンチレンテトラゾール;抗ヒスタミン剤、例えばクロルフェニラミン、サイプロヘプタジン、プロメタジン及びピリラミン;及び麻酔剤、例えばモルフィン誘導体、リドカイン、プロカイン、ブピバカイン又はプリロカイン。他の種類の付加的な医薬品は、例えば抗生物質、レチノイド、抗ウイルス薬及び抗真菌薬を含む。 テトラサイクリン調合物は、本技術分野で公知のいかなる方法によっても投与できる。投与に適した方法のいくつかの例は、経口、全身及び局所投与を含む。 該テトラサイクリン類は、本技術で公知のいかなる方法により経口投与できる。液状又は固形の経口調合物を使用しても良い。経口投与に適した調合物のいくつかの例は、錠剤、カプセル、丸薬、トローチ、エリキシル、懸濁液及びシロップを含む。 全身投与は、経腸的又は非経口的な方法の投与を含み、例えば、静脈内;筋肉内;注射可能な溶液又は懸濁液としての皮下;又は腹腔内投与を含む。 例えばネブライザー、液状霧又は鼻腔内のスプレーの形態で、例えば鼻腔内投与することができる。例えば貼付剤の形態で経皮的に投与することができる。代わりに、例えば座薬の形態で直腸に投与することができる。さらには、例えば吸入器スプレーの形態で気管支に投与することができる。 該投与は局所的であることもできる。抗菌性のないテトラサイクリン化合物の局所適用は、湿疹の治療において有効であり、一方哺乳動物における顕著な毒性を含まない。例えば、媒体における約25%(w/w)までの量が有効である。約0.1%から約10%の量が好ましい。 特定の抗菌性のないテトラサイクリン化合物は、限定された体内分布のみを有しており、例えばCMT−5である。このような場合、局所的な適用が、該化合物の好ましい投与方法である。 テトラサイクリン化合物は、1日1回又は1日1回以上投与されても良い。例えば、テトラサイクリン化合物は、1日1−6回、好ましくは1日1−2回投与されても良い。 代わりに、テトラサイクリン化合物は、制御された放出により投与されても良い。制御された放出の投与は、特定の時間の間に医薬品の一定レベルを達成するための医薬品送達方法である。該レベルは、典型的には、血清濃度により測定される。例えば、40ミリグラムのドキシサイクリンが、24時間の間に制御された放出により投与されても良い。 制御された放出によるテトラサイクリン化合物の送達方法のさらなる記述は、PCT出願No.WO 02/083106に見いだせる。前述の出願は、参照することにより、本明細書中にその全体が取り込まれる。 組み合わされ又は協調したテトラサイクリン化合物の局所的及び全身の投与も、本発明において考慮される。例えば、非吸収性の抗菌性のないテトラサイクリン化合物は局所的に投与でき、一方実質的に吸収性かつ有効に全身に分布する能力を有するテトラサイクリン化合物は、全身的に投与できる。 該テトラサイクリン化合物は、該化合物の薬剤として許容できる塩の形態にあることができる。用語“薬剤として許容できる塩”は、適切なテトラサイクリン化合物及び例えば酸から調製される塩をいう。該塩は、許容される非毒性であり、かつ許容される薬物動態学的特性を有している。該塩は、周知の方法により形成される。 テトラサイクリン化合物の塩の生成に適した酸は、鉱酸及び有機酸を含む。鉱酸の例のいくつかは、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸及び硫酸を含む。有機酸のいくつかの例は、酒石酸、酢酸、クエン酸、マレイン酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、グロン酸、コハク酸、アリルスルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸等を含む。 上記の薬剤の目的のために、本発明のテトラサイクリン化合物は、任意で適切な薬剤のキャリアー(媒体)又は賦形剤として当業者に理解されるものと共に、薬剤の調製物に配合することができる。本明細書において、薬剤のキャリアーは媒体又は賦形剤として当業者に理解されるものと同義であると考えられている。キャリアーの例は以下を含む:デンプン、乳液、糖、ある種類の粘土、ゼラチン、ステアリン酸又はその塩、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウム、タルク、植物性脂肪又は植物性油、ガム及びグリコール。 テトラサイクリン調合物は、以下の一以上を含むこともできる:安定化剤、界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、及び任意で塩及び/又は緩衝剤。 該安定化剤は、例えば以下のものであっても良い:アミノ酸、例えばグリシン;又はオリゴ糖、例えばスクロース、テトラロース、ラクトース又はデキストラン。代わりに、該安定化剤は、糖アルコール、例えばマンニトール又はこれらの組み合わせであっても良い。好ましくは、該安定化剤又は安定化剤の組み合わせは、テトラサイクリン化合物の質量に対して、約0.1質量%から約10質量%で構成する。 該界面活性剤は、好ましくは非イオン性の界面活性剤であり、例えばポリソルベートである。適した界面活性剤のいくつかの例は、以下を含む:Tween20、Tween80;ポリエチレングリコール又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、例えば約0.001%(w/v)から約10%(w/v)のPlurinicF−68。 該塩又は緩衝剤は、いずれの塩又は緩衝剤であってよく、例えばそれぞれ塩化ナトリウム、又はナトリウム/カリウムホスフェートである。好ましくは、該緩衝剤は、テトラサイクリン調合物のpHを、約5.5から約7.5の範囲で維持する。該塩及び/又は緩衝剤は、哺乳動物への投与に適したレベルで重量モル浸透圧濃度を維持するためにも有用である。好ましくは、該塩又は緩衝剤は、約150mMから約300mMのおおよその等張濃度で存在する。 テトラサイクリン調合物は、一以上の通常の添加剤を付加的に含んでも良い。該添加剤のいくつかの例は、以下を含む:可溶化剤、例えばグリセロール;酸化防止剤、例えば塩化ベンザルコニウム(第四級アンモニウム化合物の混合物、“クオート”(“quart”)として知られている)、ベンジルアルコール、クロレトン又はクロロブタノール;又は等張剤若しくは緩衝剤、例えば上述のもの。酸化又は他の腐敗に対するさらなる予防として、テトラサイクリン調合物は、不浸透性の栓により密閉したガラス瓶中に、窒素ガス下で貯蔵しても良い。 水性懸濁液が、経口投与に用いられる場合は、乳化及び/又は懸濁剤が通常添加される。加えて、着色剤、甘味剤及び/又は調味剤が経口組成物に添加されても良い。 種々の型の投与、例えば、筋肉内、腹腔内、皮下及び静脈内投与のために、テトラサイクリン化合物の無菌溶液が好ましく用いられ、及び該溶液のpHは適切に調整されかつ緩衝される。静脈内の使用のため、溶質の合計濃度は、調製物を等張に調整するために制御できる。 局所適用に適していると考えられるキャリアー組成物は、ゲル、膏薬、ローション、クリーム、軟膏等を含む。抗菌性のないテトラサイクリン化合物は、直接皮膚に適用できる支持ベース又はマトリックス等に取り込むこともできる。 湿疹にかかる可能性のあるいかなる哺乳動物も、本発明に従い治療できる。哺乳動物は、例えば、人間、ヒヒ及び他の霊長目、並びに愛玩動物、例えば犬及び猫、実験動物、例えばラット及びマウス、及び農場動物、例えば馬、羊及び牛を含む。 このように、現在本発明の好ましい態様と考えられるものを記載してきたが、当業者は、他のさらなる態様が本発明の精神を外れることなく作り得ること、及び全てのさらなる変形及び変更が本明細書に記載された請求の範囲の真の範囲内に含まれることを意図していることを理解するであろう。 抗菌性のないテトラサイクリン調合物の有効量を、哺乳動物に投与することを含む、湿疹の治療を必要とする哺乳動物の湿疹の治療方法。 哺乳動物が人間である、請求項1に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリン調合物が、抗菌性テトラサイクリンを低抗菌性投与量で含む、請求項1に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリン調合物が、抗菌性のないテトラサイクリンを含む、請求項1に記載の方法。 該抗菌性テトラサイクリンがドキシサイクリンである、請求項3に記載の方法。 該抗菌性テトラサイクリンがミノサイクリンである、請求項3に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−3である、請求項4に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−308である、請求項4に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−8である、請求項4に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−10である、請求項4に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−801である、請求項4に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−802である、請求項4に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−803である、請求項4に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−804である、請求項4に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−1002である、請求項4に記載の方法。 湿疹がアトピー性湿疹である、請求項1に記載の方法。 湿疹が、接触湿疹である、請求項1に記載の方法。 湿疹がアレルギー性接触湿疹である、請求項1に記載の方法。 湿疹が脂漏性湿疹である、請求項1に記載の方法。 湿疹が貨幣状湿疹である、請求項1に記載の方法。 湿疹が神経皮膚炎である、請求項1に記載の方法。 湿疹がうっ血性皮膚炎である、請求項1に記載の方法。 湿疹が異汗性湿疹である、請求項1に記載の方法。 抗菌性のないテトラサイクリン調合物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、非ざ瘡関連性湿疹の治療を必要とする哺乳動物の該湿疹の治療方法。 哺乳動物が人間である、請求項24に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリン調合物が、抗菌性テトラサイクリンを低抗菌性投与量で含む、請求項24に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリン調合物が、抗菌性のないテトラサイクリンを含む、請求項24に記載の方法。 該抗菌性のテトラサイクリンがドキシサイクリンである、請求項26に記載の方法。 該抗菌性テトラサイクリンがミノサイクリンである、請求項26に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−3である、請求項27に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−308である、請求項27に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−8である、請求項27に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−10である、請求項27に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−801である、請求項27に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−802である、請求項27に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−803である、請求項27に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−804である、請求項27に記載の方法。 該抗菌性のないテトラサイクリンがCMT−1002である、請求項27に記載の方法。 該非ざ瘡関連性湿疹がアトピー性湿疹である、請求項24に記載の方法。 該非ざ瘡関連性湿疹が接触湿疹である、請求項24に記載の方法。 該非ざ瘡関連性湿疹がアレルギー性接触湿疹である、請求項24に記載の方法。 該非ざ瘡関連性湿疹が脂漏性湿疹である、請求項24に記載の方法。 該非ざ瘡関連性湿疹が貨幣状湿疹である、請求項24に記載の方法。 該非ざ瘡関連性湿疹が神経皮膚炎である、請求項24に記載の方法。 該非ざ瘡関連性湿疹がうっ血性皮膚炎である、請求項24に記載の方法。 該非ざ瘡関連性湿疹が異汗性湿疹である、請求項24に記載の方法。 湿疹の治療に有効であるが、実質的に抗菌性の活性を有しない量のテトラサイクリン化合物の、人間又は他の哺乳動物への全身の投与を含む、湿疹の治療を必要とする人間又は他の哺乳動物の湿疹の治療方法。


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