タイトル: | 特許公報(B2)_イソニトリル化合物および水中付着生物防汚剤 |
出願番号: | 2006537815 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C07C 291/10,C07C 309/73,C07C 317/04,C07C 321/14,A01N 47/40,A01P 17/00,C07D 209/48 |
北野 克和 野方 靖行 坂口 勇 塩野 万蔵 JP 4933261 特許公報(B2) 20120224 2006537815 20050929 イソニトリル化合物および水中付着生物防汚剤 国立大学法人東京農工大学 504132881 財団法人電力中央研究所 000173809 細田 芳徳 100095832 北野 克和 野方 靖行 坂口 勇 塩野 万蔵 JP 2004288210 20040930 20120516 C07C 291/10 20060101AFI20120419BHJP C07C 309/73 20060101ALI20120419BHJP C07C 317/04 20060101ALI20120419BHJP C07C 321/14 20060101ALI20120419BHJP A01N 47/40 20060101ALI20120419BHJP A01P 17/00 20060101ALI20120419BHJP C07D 209/48 20060101ALI20120419BHJP JPC07C291/10C07C309/73C07C317/04C07C321/14A01N47/40 AA01P17/00C07D209/48 Z C07C 291/10 C07C 309/73 C07C 317/04 C07C 321/14 A01N 47/40 C07D 209/48 C09D 5/16 CAplus(STN) REGISTRY(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開昭51−118830(JP,A) 特開昭57−128612(JP,A) 特開平04−288003(JP,A) 特開2002−370907(JP,A) 国際公開第1997/009464(WO,A2) 社団法人日本化学会編,実験化学講座 19 有機合成 I -炭化水素・ハロゲン化合物-,日本,丸善株式会社,1996年,第4版, 第3刷,p.445-446 電力中央研究所我孫子研究所報告,2002年,No.U01038,p.23P Biofouling,2004年,Vol.20, No.2,p.87-91 2 JP2005017988 20050929 WO2006035891 20060406 22 20080916 福島 芳隆 本発明は、水中付着生物に対する忌避効果を有するイソニトリル化合物および該イソニトリル化合物を有効成分として含有する水中付着生物防汚剤に関する。 海洋生物の中でも、汚損生物として知られているフジツボ類、イガイ類、ヒドロ虫類、コケムシ類などの水中付着生物は、船底、養殖用漁網、定置網、ブイなどの漁業関係施設;海底油田リグなどの海中構築物;火力発電所などの臨海工場の冷却水取水路や熱交換器冷却水配管;水族館、栽培漁業センターなどの海水取水施設などに付着して、船舶の走行抵抗の増大、網目の目詰まりによる作業性の悪化、特に養殖用漁網の目詰まりの場合は海水の流通悪化による養殖魚の成長抑制、ブイの沈下、海水の抵抗増大による海底油田リグ強度の低下、臨海工場の冷却水路の閉塞により冷却水不足となり発電所の出力が低下するなど、多大の被害を与えている。 従来、これらの水中付着生物の防除には、トリブチルスズオキシドなどの有機スズ化合物や、亜酸化銅、硫化銅などの銅化合物(例えば、非特許文献1参照)などの重金属を含む防汚剤が用いられている。かかる有機スズ化合物は、優れた防汚効果を有するため、船底塗料として広く用いられてきたが、使用量が増大するにつれて巻貝の不妊化などの海洋生物に対する悪影響を及ぼすことがわかってきた。そのため、わが国では、有機スズ化合物を含む防汚剤は、製造禁止および使用禁止となり、世界的にも使用を禁止する方向で協議が進められている。また、銅化合物、特に亜酸化銅が多量に使用されてきたヨットハーバーなどの場所では、海底への亜酸化銅の蓄積により、海洋生物に悪影響を及ぼす恐れがある程度の濃度に達している例が報告されている。 そこで、現在、経済的であり、かつ無害・無公害の付着生物対策技術の開発が緊急な課題となっており、その中で天然の生体間作用物質(フェロモンやアレロケミカルなどの他個体に影響を及ぼす生体物質)を利用して付着を抑制する方法(例えば、非特許文献2参照)や、それらをリードとしてより性能の優れた合成誘導体を利用して付着を抑制する方法(例えば、特許文献1参照)などが提案されている。 特開2002−370907号公報Chem.Rev.2003年、第103号、p.3431−3448「電力中央研究所報告 天然由来の付着忌避活性物質に関する文献調査 調査報告:U99024」、平成11年12月、(財)電力中央研究所 しかしながら、非特許文献2に記載の方法は、実用化するには未だコスト面で課題を有している。また、特許文献1に記載の方法は、合成誘導体の製造工程に高価な有機金属化合物を使用するなどのコスト面における課題を有しており、さらなる改良の余地がある。 しかして、本発明の目的は、前記課題を解決し、魚介類および人体に安全性が高く、かつ低コストで容易に製造可能な水中付着生物防汚剤を提供することにある。 本発明は、[1]一般式(1):〔式中、R1はCH2X基(Xは水酸基、ハロゲン原子、イソシアノ基、アミノ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニルオキシ基、炭素数1〜8のアシルオキシル基、有機スルホニルオキシ基、有機スルフェニル基、有機スルフィニル基、有機スルホニル基、アミド基またはフタルイミド基を示し、ここで、有機スルホニルオキシ基は、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基およびp−トルエンスルホニルオキシ基からなる群より選ばれ、有機スルフェニル基は、メタンスルフェニル基、エタンスルフェニル基、オクタンスルフェニル基およびベンゼンスルフェニル基からなる群より選ばれ、有機スルフィニル基は、メタンスルフィニル基、オクタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基およびp−トルエンスルフィニル基からなる群より選ばれ、有機スルホニル基は、メタンスルホニル基、オクタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基およびp−トルエンスルホニル基からなる群より選ばれ、アミド基は、ホルムアミド基、アセトアミド基およびベンズアミド基からなる群より選ばれ、そして、前記のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシル基、有機スルホニルオキシ基、有機スルフェニル基、有機スルフィニル基および有機スルホニル基は、炭素数1〜4のアルキル基およびイソシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい)またはCOOR4基(R4は炭素数1〜8のアルキル基または炭素数2〜8のアルケニル基を示す)を示し、各R2およびR3はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す〕で表されるイソニトリル化合物(以下、「イソニトリル化合物(1)」という)、および[2]前記イソニトリル化合物(1)を含有する水中付着生物防汚剤(以下、「防汚剤(2)」という)に関する。 本発明の防汚剤(2)は、水中付着生物に対する忌避効果に優れると同時に海洋生物への安全性が高いため、環境保全の観点からも極めて高い価値を有し、また安価な原料から容易に製造することができるため、低コストで提供することが可能である。 合成例2〜4で得られたイソニトリル化合物(1)(CT−1〜CT−3)の濃度とフジツボ幼生の付着率およびフジツボ幼生の死亡率との関係を示す図である。合成例5〜8で得られたイソニトリル化合物(1)(CT−4〜CT−7)の濃度とフジツボ幼生の付着率およびフジツボ幼生の死亡率との関係を示す図である。合成例9〜11で得られたイソニトリル化合物(1)(CT−8〜CT−10)の濃度とフジツボ幼生の付着率およびフジツボ幼生の死亡率との関係を示す図である。合成例12〜14で得られたイソニトリル化合物(1)(CT−11〜CT−14)の濃度とフジツボ幼生の付着率およびフジツボ幼生の死亡率との関係を示す図である。合成例15〜18で得られたイソニトリル化合物(1)(CT−15〜CT−18)の濃度とフジツボ幼生の付着率およびフジツボ幼生の死亡率との関係を示す図である。合成例19〜22で得られたイソニトリル化合物(1)(CT−19〜CT−22)の濃度とフジツボ幼生の付着率およびフジツボ幼生の死亡率との関係を示す図である。合成例23で得られたイソニトリル化合物(1)(CT−23)の濃度とフジツボ幼生の付着率およびフジツボ幼生の死亡率との関係を示す図である。比較例における硫酸銅の濃度とフジツボ幼生の付着率およびフジツボ幼生の死亡率との関係を示す図である。 一般式(1)において、R1はCH2X基(Xは水酸基、ハロゲン原子、イソシアノ基、アミノ基、置換アミノ基または置換基を有していてもよい、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシル基、有機スルホニルオキシ基、有機スルフェニル基、有機スルフィニル基、有機スルホニル基、アミド基もしくはイミド基を示す)またはCOOR4基(R4は置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基またはアラルキル基を示す)を示す。 Xが示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられる。 Xが示す置換アミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基,フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルフォリノ基、ピペラジニル基などが挙げられる。 Xが示すアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基などの、好ましくは炭素数1〜18のアルコキシ基が挙げられる。 Xが示すアルケニルオキシ基としては、例えば、アリルオキシ基、ブテニルオキシ基、オクテニルオキシ基などの、好ましくは炭素数2〜8のアルケニルオキシ基が挙げられる。 Xが示すアシルオキシル基としては、例えば、アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、オクテノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基などの、好ましくは炭素数1〜8のアシルオキシル基が挙げられる。 Xが示す有機スルホニルオキシ基としては、例えば、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基などが挙げられる。 Xが示す有機スルフェニル基としては、例えば、メタンスルフェニル基、エタンスルフェニル基、オクタンスルフェニル基、ベンゼンスルフェニル基などが挙げられる。 Xが示す有機スルフィニル基としては、例えば、メタンスルフィニル基、オクタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基、p−トルエンスルフィニル基などが挙げられる。 Xが示す有機スルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル基、オクタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基などが挙げられる。 Xが示すアミド基としては、例えば、ホルムアミド基、アセトアミド基、ベンズアミド基などが挙げられる。 Xが示すイミド基としては、例えば、フタルイミド基などが挙げられる。 前記Xが示すアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシル基、有機スルホニルオキシ基、有機スルフェニル基、有機スルフィニル基、有機スルホニル基、アミド基およびイミド基は、それぞれ置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、例えば、水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの好ましくは炭素数1〜4のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;イソシアノ基などが挙げられる。 また、COOR4基において、R4が示すアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの好ましくは炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。 R4が示すアルケニル基としては、例えば、アリル基、プレニル基、オクテニル基などの好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基が挙げられる。 R4が示すアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。 前記R4が有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの好ましくは炭素数1〜4のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;イソシアノ基などが挙げられる。 一般式(1)において、各R2およびR3は、それぞれ独立してアルキル基を示す。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基などが挙げられる。 本発明のイソニトリル化合物(1)の代表例としては、7−イソシアノ−3,7−ジメチル−1−オクタノール、酢酸7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル、安息香酸7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル、1−クロロ−7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクタン、p−トルエンスルホン酸7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル、8−(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチルオキシ)−1−オクテン、7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクタン酸7−オクテニル、7−オクテン酸7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル、1−ブロモ−7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクタン、1−ヨード−7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクタン、1−フルオロ−7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクタン、7−イソシアノ−1−メトキシ−3,7−ジメチルオクタン、ジ(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)エーテル、(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)(3,7−ジメチル−6−オクテニル)エーテル、ジ(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)スルフィド、ジ(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)スルホキシド、ジ(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)スルホン、N−(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)フタルイミド、N−(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)ホルムアミド、1,7−ジイソシアノ−3,7−ジメチルオクタン、7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチルアミン、N−(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)アセトアミド、1,7−ジイソシアノ−3,7−ジメチルオクタン、7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチルアミン、N−(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)アセトアミド、アクリル酸7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル、メタクリル酸7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチルなどが挙げられる。 イソニトリル化合物(1)の製造方法に特に制限はない。イソニトリル化合物(1)のXが水酸基の化合物は、例えば、ルイス酸の存在下でシトロネロール(またはシトロネロールを硫酸などの酸触媒で水和した化合物)とトリメチルシリルシアニドなどのイソシアノ化剤とを常温常圧下で反応させることにより得ることができる。かかるルイス酸としては、例えば、臭化亜鉛、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸銀、過塩素酸銀、テトラフルオロホウ酸銀などが挙げられる。なお、シトロネロールは天然抽出物の精留またはシトラールやゲラニオールの水素添加などによって容易に低コストで入手することができる。 また、その他のイソニトリル化合物(1)は、上記方法により得られる7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクタノールの水酸基を、必要に応じ、さらに常法により各種官能基に変換することにより容易に製造することができる。より具体的には、(i)7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクタノールを、例えば、酸ハロゲン化物や酸無水物などのアシル化剤と反応させることにより、7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクタノールの水酸基をアシルオキシル基に変換することができ、(ii)有機スルホニルハライドなどの有機スルホニル化剤と反応させることにより、7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクタノールの水酸基を有機スルホニルオキシ基に変換することができ、また、(iii)塩化チオニル、オキシ塩化リン、三臭化リンなどのハロゲン化剤と反応させるか、または7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル有機スルホナートを得、次いでフッ化カリウムなどのハロゲン化剤とさせることにより、7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクタノールの水酸基をハロゲン原子に変換することができる。 本発明の防汚剤(2)は、単一のイソニトリル化合物(1)を含有するものであってもよいし、2種以上のイソニトリル化合物(1)を含有したものであってもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、他の防汚剤を含有していてもよい。 防汚剤(2)の使用形態には特に制限がない。例えば、[A]イソニトリル化合物(1)を塗料(具体的には、塗膜形成剤、可塑剤、乾燥剤、流れ止剤、調整剤、顔料、溶剤などの混合物)に含有させたり、[B]イソニトリル化合物(1)を溶媒に溶解させて溶液にしたり、[C]イソニトリル化合物(1)を乳化剤で乳化させて乳液にしたり、あるいは[D]イソニトリル化合物(1)をカプセル剤に内包して使用することができるほか、イソニトリル化合物(1)をそのままの状態で使用することもできる。 [A]イソニトリル化合物(1)を塗料に含有させて使用する場合、例えば、イソニトリル化合物(1)を塗料に含有させて防汚塗料を調製し、該防汚塗料を船底、水中構築物、冷却用取水路などに塗布することにより、有害付着生物を忌避することができる。 前記塗料の1成分である塗膜形成剤としては、例えば、フタル酸樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどの合成樹脂;松ヤニ、コーパルガムなどの天然樹脂;亜麻仁油、大豆油などの植物油;いわし油などの動物油などが挙げられる。また、可塑剤としては、例えば、塩素化パラフィン、ジオクチルフタレートなどが挙げられる。乾燥剤としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガンなどが挙げられる。流れ止剤としては、例えば、有機ベントナイト、ステアリン酸亜鉛、EGワックスなどが挙げられる。調整剤としては、例えば、皮はり防止剤、色分かれ防止剤、泡防止剤などが挙げられる。顔料としては、例えば、着色顔料;炭酸カルシウム、タルク、シリカ粉などの体質顔料;亜酸化銅、有機防汚剤などの特殊顔料などが挙げられる。溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトンなどのケトン;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール;水などが挙げられる。 イソニトリル化合物(1)を塗料に含有させて使用する場合、イソニトリル化合物(1)の使用量は、塗料全体に対して、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜30質量%である。その他の塗料中の成分量には特に制限がなく、その用途に合わせて適宜決めればよい。 [B]イソニトリル化合物(1)を溶媒に溶解させて溶液にして使用する場合、例えば、塗膜形成剤および必要に応じて添加剤と共に溶媒に溶解させた後、得られた溶液を養殖漁網、定置漁網などの魚網や水中土木材などに塗布または浸透させることにより、有害付着生物を忌避することができる。かかる溶媒としては、前述した溶剤と同じものを使用することができる。塗膜形成剤としては、前記塗膜形成剤と同様のものが挙げられる。添加剤としては、前記可塑剤、乾燥剤および調整剤と同様のものなどが挙げられる。 イソニトリル化合物(1)を溶媒に溶解させて溶液にして使用する場合、本発明のイソニトリル化合物(1)の使用量は、通常、溶液全体に対して、好ましくは0.00001〜90質量%、より好ましくは0.00001〜30質量%である。その他の溶液中の成分量には特に制限がなく、その用途に合わせて適宜決めればよい。 [C]イソニトリル化合物(1)を乳化剤で乳化させて乳液にして使用する場合、前記イソニトリル化合物(1)の溶液に更に界面活性剤を添加し、常法により、乳液を調製し、該溶液を養殖漁網、定置漁網などの魚網や水中土木材などに塗布または浸透させることにより、有害付着生物を忌避することができる。界面活性剤としては、一般に使用されるものを用いることができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩などのアニオン系界面活性剤、有機アンモニウム塩などのカチオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン系界面活性剤などが挙げられる。常法による乳液の調製方法としては、例えば、イソニトリル化合物(1)と界面活性剤を混合し、水中で攪拌する方法などが挙げられる。 イソニトリル化合物(1)を乳液にして使用する場合、イソニトリル化合物(1)の使用量は、通常、乳液全体に対して、好ましくは0.00001〜80質量%、より好ましくは0.00001〜30質量%である。その他の乳液中の成分の比に特に制限はなく、用途に合わせて適宜決めればよい。 [D]イソニトリル化合物(1)をカプセル剤に内包して使用する場合、イソニトリル化合物(1)をカプセルの中に内包させたカプセル剤を漁網などに取り付け、カプセル剤から少しずつイソニトリル化合物(1)を溶出させることにより、水中付着生物を忌避することができる。 カプセルに内包されるイソニトリル化合物(1)の使用量は、通常、カプセル剤内部の体積に対して、好ましくは0.001〜5mmol/mL、より好ましくは0.1〜5mmol/mLである。 以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。 <合成例1> シトロネロール460mgを塩化メチレン3mLに溶解し、トリメチルシリルシアニド580μLおよび過塩素酸銀910mgを加えて室温で15時間攪拌した。反応混合液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液5mLを加えてさらに5分間攪拌した後、飽和食塩水15mLを加えてセライト濾過を行い、酢酸エチル200mLで洗浄した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/2(体積比))により精製し、下記の物性を有する7−イソシアノ−3,7−ジメチル−1−オクタノール[以下、「CT−1」と称する。]490mgを得た。 (CT−1のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.93(3H,d,J=6.6Hz)、1.15−1.22(1H,m)、1.30(1H,br)、1.32−1.67(14H,m)、1.40(6H,br)、3.63−3.74(2H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:19.49、21.53、28.94、29.02、29.34、36.86、39.84、42.61、57.39(t,J=5.0Hz)、61.02、152.90(t,J=5.0Hz) <合成例2> シトロネロール10gに35%硫酸60mLを加え、アルゴン雰囲気下、室温で18時間攪拌した。反応混合液に10%KOH水溶液を加えて中和した後、酢酸エチル300mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮して7−ヒドロキシシトロネロール11gを得た。 7−ヒドロキシシトロネロール1.47gをニトロメタン30mLに溶解し、トリメチルシリルシアニド1.4mLおよび過塩素酸銀2.1gを加えて室温で1時間攪拌した。反応混合液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10mLを加えてさらに5分間攪拌した後、飽和食塩水30mLを加えてセライト濾過を行い、酢酸エチル200mLで洗浄した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/2(体積比))により精製し、「CT−1」1.3gを得た。 <合成例3> 「CT−1」220mgをピリジン1.5mLに溶解し、無水酢酸1.5mLを加えて室温で14時間攪拌した。反応混合液に飽和食塩水30mLを加え、さらに5分間攪拌した後、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1(体積比))により精製し、下記の物性を有する酢酸7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル[以下、「CT−2」と称する。]240mgを得た。 (CT−2のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.93(3H,d,J=6.6Hz)、1.15−1.23(1H,m)、1.31−1.71(14H,m)、1.40(6H,t,J=1.8Hz)、2.05(3H,s)、4.06−4.15(2H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:19.34、21.00、21.48、28.99、29.73、35.43、36.64、42.60、57.34(t,J=5.0Hz)、62.82、153.02(t,J=5.0Hz)、171.16 <合成例4> [CT−1]220mgをピリジン1.5mLに溶解し、塩化ベンゾイル0.2mLを加えて室温で24時間攪拌した。反応混合液に飽和食塩水30mLを加え、さらに5分間攪拌した後、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1(体積比))により精製し、下記の物性を有する安息香酸7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル[以下、「CT−3」と称する。]200mgを得た。 (CT−3のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.99(3H,d,J=6.6Hz)、1.20−1.27(1H,m)、1.35−1.63(12H,m)、1.64−1.73(1H,m)、1.79−1.86(1H,m)、4.32−4.41(2H,m)、7.42−7.46(2H,m)、7.54−7.57(1H,m)、8.02−8.05(2H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:19.47、21.52、28.98、28.99、29.89、35.54、36.68、42.61、57.34(t,J=5.0Hz)、63.33、128.34、129.52、130.45、132.83、153.04(t,J=5.0Hz)、166.65 <合成例5> 「CT−1」550mgをピリジン3mLに溶解し、p−トルエンスルホニルクロリド860mgを加えて室温で2日間攪拌した。反応混合液に飽和食塩水30mLを加え、さらに5分間攪拌した後、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1(体積比))により精製し、下記の物性を有する1−クロロ−7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクタン[以下、「CT−4」と称する。]260mgを得た。 (CT−4のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.93(3H,d,J=6.6Hz)、1.15−1.23(1H,m)、1.31−1.63(12H,m)、1.40(6H,t,J=1.8Hz)、1.66−1.74(1H,m)、1.77−1.84(1H,m)、3.51−3.62(2H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:18.90、21.45、28.98、29.03、30.14、36.36、39.64、42.55、43.14、57.35(t,J=5.0Hz)、153.05(t,J=5.0Hz) <合成例6> 「CT−1」1gをピリジン5mLに溶解し、氷冷下p−トルエンスルホニルクロリド1.6gを加え、さらに同条件下で12時間攪拌した。反応混合液に飽和食塩水30mLを加え、さらに5分間攪拌した後、酢酸エチル200mLで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1(体積比))により精製し、下記の物性を有するp−トルエンスルホン酸7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル[以下、「CT−5」と称する。]1.8gを得た。 (CT−5のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.84(3H,d,J=6.6Hz)、1.09−1.16(1H,m)、1.22−1.29(1H,m)、1.39(6H,t,J=1.8Hz)、1.32−1.52(11H,m)、1.53−1.61(1H,m)、1.65−1.72(1H,m)、2.46(3H,s)、4.02−4.12(2H,m)、7.36(2H,d,J=8.1Hz)、7.79(2H,d,J=8.1Hz) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:18.96、21.35、21.61、28.94、28.98、29.05、35.66、36.35、42.45、57.31(t,J=5.0Hz)、68.80、127.85、129.82、133.19、144.68、153.01(t,J=5.0Hz) <合成例7> 「CT−1」155mgをジメチルホルムアミド(DMF)6mLに溶解し、8−ブロモ−1−オクテン170mg、水素化ナトリウム60mgを加えて室温で15時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液30mLを加えた後、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=40/1〜10/1(体積比))により精製し、下記の物性を有する8−(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチルオキシ)−1−オクテン[以下、「CT−6」と称する。]110mgを得た。 (CT−6のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.91(3H,d,J=6.6Hz)、1.13−1.20(1H,m)、1.25−1.65(22H,m)、1.40(6H,br)、2.01−2.07(2H,m)、3.35−3.48(4H,m)、4.89−5.02(2H,m)、5.76−5.85(1H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:19.53、21.54、26.06、28.86、28.95、28.97、29.01、29.72、29.81、33.71、36.74、36.93、42.70、57.38(t,J=5.0Hz)、69.03、70.98、114.16、139.10、152.94(t,J=5.0Hz) <合成例8> ヒドロキシシトロネロール500mgをアセトン5mLに溶解し、氷冷下にジョーンズ試薬(CrO3/H2SO4aq)1mLを加え、さらに1時間攪拌した。反応混合液に2−プロパノール1mLを加えて過剰のジョーンズ試薬を失活させた後、飽和食塩水30mLを加え、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮して7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタン酸480mgを得た。 7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタン酸150mgをDMF10mLに溶解し、8−ブロモ−1−オクテン175mgおよび炭酸カリウム400mgを加えて室温で12時間攪拌した。反応混合液に水30mLを加えた後、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1(体積比))により精製し、7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタン酸7−オクテニル220mgを得た。 7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタン酸7−オクテニル210mgをニトロメタン2mLに溶解し、トリメチルシリルシアニド110μL、過塩素酸銀175mgを加えて室温で1時間攪拌した。反応混合液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液2mLを加えてさらに5分間攪拌した後、飽和食塩水10mLを加えてセライト濾過を行い、酢酸エチル150mLで洗浄した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1(体積比))により精製し、下記の物性を有する7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクタン酸7−オクテニル[以下、「CT−7」と称する。]170mgを得た。 (CT−7のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.96(3H,d,J=6.6Hz)、1.19−1.26(1H,m)、1.29−1.66(18H,m)、1.40(6H,t,J=1.8Hz)、1.94−2.08(4H,m)、2.14(1H,dd,J=14.7,8.1Hz)、2.29(1H,dd,J=14.7,6.2Hz)、4.07(2H,t,J=6.6Hz)、4.91−5.02(2H,m)、5.75−5.84(1H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:19.61、21.51、25.78、28.59、28.66、28.75、28.95、29.01、30.15、33.64、36.37、41.82、42.43、57.30(t,J=5.0Hz)、64.34、114.30、138.92、153.10(t,J=5.0Hz)、173.16 <合成例9> 7−オクテノール5gをアセトン50mLに溶解し、氷冷下ジョーンズ試薬20mLを加え、さらに2時間攪拌した。反応混合液に2−プロパノール5mLを加えて過剰のジョーンズ試薬を失活させた後、飽和食塩水30mLを加え、酢酸エチル300mLで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮して7−オクテン酸5.3gを得た。 7−オクテン酸1.3gに塩化チオニル1mLを加え、2時間加熱還流した後、反応混合液を減圧下に濃縮して7−オクテン酸クロリド1.6gを得た。 「CT−1」170mgをピリジン2mLに溶解し、7−オクテン酸クロリド250mgを加えて室温で24時間攪拌した。反応混合液に飽和食塩水10mLを加え、さらに5分間攪拌した後、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1〜10/1(体積比))により精製し、下記の物性を有する7−オクテン酸7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル[以下、「CT−8」と称する。]256mgを得た。 (CT−8のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.93(3H,d,J=6.6Hz)、1.15−1.23(1H,m)、1.29−1.66(22H,m)、1.40(6H,t,J=1.8Hz)、2.02−2.07(2H,m)、2.30(2H,t,J=7.3Hz)、4.06−4.15(2H,m)、4.90−5.02(2H,m)、5.75−5.83(1H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:19.35、21.50、24.82、28.49、28.58、28.99、29.77、33.52、34.31、35.50、36.66、42.61、57.34(t,J=5.0Hz)、62.61、114.38、138.78、153.05(t,J=5.0Hz)、173.86 <合成例10> 「CT−5」720mgをアセトニトリル30mLに溶解し、臭化ナトリウム400mgを加えて6時間加熱還流した。反応混合液に酢酸エチル150mLを加えた後、有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20/1(体積比))により精製し、1−ブロモ−7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクタン[以下、「CT−9」と称する。]530mgを得た。 (CT−9のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.92(3H,d,J=6.6Hz)、1.23−1.15(1H,m)、1.63−1.31(11H,m)、1.40(6H,t,J=1.8Hz)、1.73−1.64(2H,m)、1.93−1.85(1H,m)、3.50−3.37(2H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:18.78、21.43、28.98、29.03、31.40、31.91、36.24、39.88、42.55、57.34(t,J=5.0Hz)、153.10(t,J=5.0Hz) <合成例11> 「CT−5」2.2gをアセトニトリル50mLに溶解し、ヨウ化ナトリウム1.6gを加えて1時間加熱還流した。反応混合液に水50mLを加えた後、ヘキサン200mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=40/1(体積比))により精製し、下記の物性を有する1−ヨード−7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクタン[以下、「CT−10」と称する。]1.52gを得た。 (CT−10のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.91(3H,d,J=6.6Hz)、1.14−1.22(1H,m)、1.30−1.69(2H,m)、1.31−1.63(11H,m)、1.41(6H,t,J=1.8Hz)、1.84−1.92(1H,m)、3.14−3.20(1H,m)、3.23−3.28(1H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:4.96、18.56、21.41、28.98、29.03、33.63、36.01、40.73、42.56、57.33(t,J=5.0Hz)、153.10(t,J=5.0Hz) <合成例12> 「CT−5」227mgをメタノール10mLに溶解し、フッ化カリウム770mgを加えて20時間加熱還流した。反応混合液に水20mLを加えた後、ヘキサン150mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=15/1〜5/1(体積比))により精製し、下記の物性を有する1−フルオロ−7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクタン[以下、「CT−11」と称する。]29mgおよび7−イソシアノ−1−メトキシ−3,7−ジメチルオクタン[以下、「CT−12」と称する。]68mgを得た。 (CT−11のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.95(3H,d,J=6.6Hz)、1.17−1.25(1H,m)、1.31−1.63(12H,m)、1.40(6H,t,J=1.8Hz)、1.62−1.80(2H,m)、4.43−4.57(2H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:19.37、21.52、28.99、29.04、29.21(d,J=5.0Hz)、36.72、37.30(d,J=18.6Hz)、42.60、57.38(t,J=5.0Hz)、82.53(d,J=163.8Hz)、153.07(t,J=5.0Hz) (CT−12のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.91(3H,d,J=6.6Hz)、1.14−1.21(1H,m)、1.30−1.66(15H,m)、1.40(6H,t,J=1.8Hz)、3.33(3H,s)、3.38−3.44(1H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:19.51、21.56、28.99、29.03、29.74、36.67、36.94、42.69、57.40(t,J=5.0Hz)、58.59、71.02、152.97(t,J=5.0Hz) <合成例13> シトロネロール6.5gをピリジン20mLに溶解し、氷冷下p−トルエンスルホン酸クロリド10.3gを加え、さらに同条件下24時間攪拌した。反応混合液に飽和食塩水40mLを加え、さらに5分間攪拌した後、酢酸エチル250mLで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮してp−トルエンスルホン酸3,7−ジメチル−6−オクテニル13.3gを得た。 p−トルエンスルホン酸3,7−ジメチル−6−オクテニル2.2gをアセトニトリル30mLに溶解し、ヨウ化ナトリウム1.6gを加えて1時間加熱還流した。反応混合液に水30mLを加えた後、ヘキサン200mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=40/1(体積比))により精製し、下記の物性を有する8−ヨード−2,6−ジメチル−2−オクテン1.52gを得た。 シトロネロール528mgをDMF5mLに溶解し、アルゴン雰囲気下水素化ナトリウム140mgを加えて室温で15分間攪拌した後、反応混合液に8−ヨード−2,6−ジメチル−2−オクテン600mgを加え、アルゴン雰囲気下、110℃で18時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液20mLを加えた後、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=30/1〜10/1(体積比))により精製し、ジ(3,7−ジメチル−6−オクテニル)エーテル200mgを得た。 ジ(3,7−ジメチル−6−オクテニル)エーテル200mgを塩化メチレン2mLに溶解し、トリメチルシリルシアニド450μLおよび過塩素酸銀700mgを加えて室温で24時間攪拌した。反応混合液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLを加えてさらに5分間攪拌した後、飽和食塩水30mLを加えてセライト濾過を行い、酢酸エチル200mLで洗浄した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1(体積比))により精製し、下記の物性を有するジ(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)エーテル[以下、「CT−13」と称する。]150mgを得た。 (CT−13のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.91(6H,d,J=6.6Hz)、1.13−1.21(2H,m)、1.29−1.66(28H,m)、1.40(12H,t,J=1.8Hz)、3.38−3.48(4H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:19.56、19.57、21.57、29.01、29.03、29.84、29.86、36.76、36.96、36.98、42.73、57.41(t,J=5.0Hz)、69.12、69.16、152.98(t,J=5.0Hz) <合成例14> [CT−4]640mgをメタノール20mLに溶解し、硫化ナトリウム・九水和物760mgを加え、20時間加熱還流した。反応混合液に飽和食塩水50mLを加えた後、酢酸エチル200mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=200/1(体積比))により精製し、下記の物性を有するジ(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)スルフィド[以下、「CT−14」と称する。]300mgを得た。 (CT−14のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.91(6H,d,J=6.6Hz)、1.21−1.13(2H,m)、1.40(12H,t,J=1.8Hz)、1.64−1.28(28H,m)、2.60−2.45(4H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:19.21、21.53、28.97、29.00、29.89、29.91、32.04、32.07、36.55、36.79、36.80、42.63、57.35(t,J=5.0Hz)、153.02(t,J=5.0Hz) <合成例15> [CT−14]76mgをメタノール10mLに溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム53mgを加え、室温で20時間攪拌した。反応混合液に飽和食塩水20mLを加えた後、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/3(体積比))により精製し、下記の物性を有するジ(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)スルホキシド[以下、「CT−15」と称する。]30mgを得た。 (CT−15のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.96(3H,d,J=6.6Hz)、0.97(3H,d,J=6.6Hz)、1.28−1.17(2H,m)、1.40(12H,br)、1.66−1.34(26H,m)、1.87−1.74(2H,m)、2.75−2.60(4H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:19.07、19.24、21.48、28.90、28.94、28.95、28.99、29.25、29.31、29.44、29.49、32.17、32.40、36.34、36.48、42.49、50.10、50.18、57.30(t,J=5.0Hz)、153.06(t,J=5.0Hz) <合成例16> シトロネロール10gをピリジン20mLに溶解し、p−トルエンスルホニルクロリド14.6gを加えて室温で3日間攪拌した。反応混合液に飽和食塩水30mLを加え、さらに5分間攪拌した後、ヘキサン200mLで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮してシトロネリルクロリド8.5gを得た。 シトロネリルクロリド7.8gをメタノール100mLに溶解し、硫化ナトリウム・九水和物8gを加え、20時間加熱還流した。反応混合液に飽和食塩水100mLを加えた後、酢酸エチル300mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮してジ(3,7−ジメチル−6−オクテニル)スルフィド7gを得た。 ジ(3,7−ジメチル−6−オクテニル)スルフィド2.1gをメタノール30mLに溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム433mgを加え、室温で15時間加熱還流した。反応混合液に飽和食塩水30mLを加えた後、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチルー40/1〜5/1(体積比))により精製し、ジ(3,7−ジメチル−6−オクテニル)スルホン210mgを得た。 ジ(3,7−ジメチル−6−オクテニル)スルホン210mgを塩化メチレン2mLに溶解し、トリメチルシリルシアニド330μL、過塩素酸銀500mgを加えて室温で24時間攪拌した。反応混合液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLを加えてさらに5分間攪拌した後、飽和食塩水20mLを加えてセライト濾過を行い、酢酸エチル150mLで洗浄した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1(体積比))により精製し、下記の物性を有するジ(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)スルホン[以下、「CT−16」と称する。]100mgを得た。 (CT−16のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.96(3H,d,J=6.6Hz)、1.18−1.26(2H,m)、1.32−1.71(26H,m)、1.40(12H,br)、1.84−1.92(2H,m)、2.88−3.03(4H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:19.09、21.54、28.56、28.99、29.04、32.03、36.33、42.52、50.84、57.35(t,J=5.0Hz)、153.27(t,J=5.0Hz) <合成例17> [CT−1]250mgをDMF5mLに溶解し、アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム100mgを加えて室温で15分間攪拌した後、反応混合液にシトロネリルヨージド500mgを加えて室温で8時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液20mLを加えた後、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=30/1〜10/1(体積比))により精製し、(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)(3,7−ジメチル−6−オクテニル)エーテル[以下、「CT−17」と称する。]25mgを得た。 (CT−17のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.89(3H,d,J=6.6Hz)、0.91(3H,d,J=6.6Hz)、1.11−1.22(2H,m)、1.40(6H,t,J=1.8Hz)、1.60(3H,br)、1.30−1.66(22H,m)、1.68(3H,br)、1.91−2.05(2H,m)、3.38−3.48(4H,m)、5.05−5.12(1H,m) 13C−NMR(150.8MHz、CDCl3、TMS)δ:17.64、19.55、19.60、21.56、25.50、25.72、28.99、29.03、29.68、29.69、29.82、29.84、36.74、36.78、36.95、36.97、37.25、37.27、42.73、57.40(t,J=5.0Hz)、69.08、69.10、69.27、69.30、124.87、131.12、152.98(t,J=5.0Hz) <合成例18> シトロネロール3.4gをテトラヒドロフラン30mLに溶解し、アルゴン雰囲気下および氷冷下にて、トリフェニルホスフィン5.9g、フタルイミド3.6gおよびアゾジカルボン酸イソプロピルエステル5.4mLを加え、氷冷下で1時間攪拌した。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液20mLを加えた後、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を5%水酸化カリウム水溶液、水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1(体積比))により精製し、N−(3,7−ジメチル−6−オクテニル)フタルイミド4.9gを得た。 N−(3,7−ジメチル−6−オクテニル)フタルイミド1.5gを塩化メチレン20mLに溶解し、トリメチルシリルシアニド1.1mLおよび過塩素酸銀1.6gを加えて室温で14時間攪拌した。反応混合液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液30mLを加えた後、酢酸エチル200mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1(体積比))により精製し、N−(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)フタルイミド[以下、「CT−18」と称する。]192mgを得た。 <合成例19> N−(3,7−ジメチル−6−オクテニル)フタルイミド3.6gをメタノール30mLに溶解し、ヒドラジン・一水和物880μLを加えて1時間加熱還流した。反応混合液に飽和食塩水50mLを加えた後、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、次いで減圧下に濃縮し、3,7−ジメチル−6−オクテニルアミン1.36gを得た。 3,7−ジメチル−6−オクテニルアミン1.36gをギ酸エチル40mLに溶解し、p−トルエンスルホン酸50mgを加えて14時間加熱還流した。反応混合液に酢酸エチル100mLを加え、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1〜0/1(体積比))により精製し、N−(3,7−ジメチル−6−オクテニル)ホルムアミド850mgを得た。 N−(3,7−ジメチル−6−オクテニル)ホルムアミド300mgを塩化メチレン5mLに溶解し、トリメチルシリルシアニド460μLおよび過塩素酸銀680mgを加えて室温で24時間攪拌した。反応混合液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLを加えた後、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1(体積比))により精製し、N−(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)ホルムアミド[以下、「CT−19」と称する。]192mgを得た。 <合成例20> 「CT−19]」170mgをピリジン2mLに溶解し、p−トルエンスルホニルクロリド312mgを加えて室温で16時間攪拌した。反応混合液に飽和食塩水20mLを加えた後、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1(体積比))により精製し、1,7−ジイソシアノ−3,7−ジメチルオクタン[以下、「CT−20」と称する。]86mgを得た。 <合成例21> 「CT−18」1gをメタノール30mLに溶解し、ヒドラジン・一水和物200μLを加えて2時間加熱還流した。反応混合液に飽和食塩水50mLを加えた後、酢酸エチル150mLで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=10/1(体積比))により精製し、7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチルアミン[以下、「CT−21」と称する。]300mgを得た。 <合成例22> 「CT−21」100mgをピリジン500μLに溶解し、無水酢酸500μLを加えて室温で10時間撹拌した。反応混合液に、飽和食塩水20mLを加えた後、酢酸エチル100mLで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/9(体積比))により精製し、N−(7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル)アセトアミド[以下、「CT−22」と称する。]104mgを得た。 <合成例23> 「CT−1」18.7gを塩化メチレン70mLに溶解し、氷冷下にてトリエチルアミン17mLおよびメタクリル酸クロリド12mLを加え、さらに同条件で4時間攪拌した。反応混合液を濃縮し、酢酸エチル100mLを加えてから濾過した後、減圧下に濃縮した。残留物を減圧下に単蒸発[105℃/133Pa(1mmHg)]することにより、下記の物性を有するメタクリル酸7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル[以下、「CT−23」と称する。]2.96gを得た。 (CT−23のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.95(3H,d,J=6.6Hz)、1.16−1.76(15H,m)、1.93−1.95(3H,m)、4.13−4.24(2H,m)、5.52−5.56(1H,m)、6.07−6.10(1H,m) <合成例24> 「CT−1」16.8gを塩化メチレン70mLに溶解し、氷冷下にてトリエチルアミン20mLおよびアクリル酸クロリド10mLを加え、さらに同条件で4時間攪拌した。反応混合液を濃縮した後、酢酸エチル100mLを加えて固体を濾過した後、減圧下に濃縮し、粗アクリル酸7−イソシアノ−3,7−ジメチルオクチル[以下、「CT−24」と称する。]21.8gを得た。 (CT−24のNMR測定結果) 1H−NMR(600MHz、CDCl3、TMS)δ:0.95(3H,d,J=6.6Hz)、1.16−1.24(2H,m)、1.30−1.76(13H,m)、6.40(1H,dd,J=10、1.5Hz)、6.13(1H,dd,J=18、10Hz)、6.40(1H,dd,J=18、1.5Hz) <実施例1> 実施例1における試験方法は、マルチウェルプレートを用いたRittschofらが考案した方法(Rittschof et.al,J.Exp.Mar.Bio.Ecl.,82,p.131−146(1984年)参照)に基づいて実施した。サンプルとしては、イソニトリル化合物(1)として、前記合成例1〜23で製造した「CT1」〜「CT23」を使用した。 25℃のインキュベータ内で珪藻を与えて飼育したタテジマフジツボのキプリス幼生を用いて、「CT1」〜「CT23」の忌避効果について試験した。試験にはCorning社製24ウェルのポリスチレン製マルチウェルプレート(容量3.2mL、直径15.5mm、高さ17.6mm)を用い、「CT1」〜「CT23」の各化合物をメタノール約0.3mLに溶かした混合溶液をウェルに注ぎ込み、乾燥させてメタノールを除去した後、さらに濾過済みの海水2mLを注入した。試験する化合物の濃度(μg/mL)は、それぞれの化合物につき、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10となるように調製した。1ウェルにつき6個体のフジツボ幼生を収容し、4ウェルを1濃度区とした。5日後に付着個体数および死亡個体数を実体顕微鏡下で計数し、各濃度区別のフジツボ幼生の付着率および死亡率を算出した。 なお、試験を3回繰り返し、その平均値を求めて横軸にイソニトリル化合物(1)の濃度、縦軸にフジツボ幼生の付着率をプロットした。また同時に、各濃度におけるフジツボ幼生の死亡率をプロットした。その結果を図1〜7のグラフ1〜23に示す。但し、フジツボ幼生の付着率のプロットを黒塗りの四角形(■)、フジツボ幼生の死亡率を黒塗りのひし形(◆)で示す。 <比較例> イソニトリル化合物(1)の代わりに、硫酸銅を使用した以外は、実施例1と同様に試験を行った。その結果を図8のグラフ24に示す。 図1〜7のグラフ1〜23より、本発明のイソニトリル化合物(1)は、いずれも優れたフジツボ幼生の付着防止効果を有していることがわかる。また、図8のグラフ24より、銅化合物(硫酸銅)にもフジツボ幼生の付着防止効果があることがわかる。 しかし、本発明のイソニトリル化合物(1)を含有する防汚剤(2)は、図8のグラフ24(比較例)と比べ、イソニトリル化合物(1)の濃度が0.3μg/mL以上でもフジツボ幼生の死亡率がほとんど上がっていない。このことから、イソニトリル化合物(1)を含有する防汚剤(2)は、毒性により海洋生物の付着を防止しているのではなく、忌避効果により付着の防止をしていることがわかる。したがって、本発明のイソニトリル化合物(1)および防汚剤(2)は、海洋生物にとって非常に優しい化合物であることがわかる。 また、本発明のイソニトリル化合物(1)および防汚剤(2)は、前記特徴に加えて、さらに低コストで容易に製造することができるという利点があり、産業上とても有用であるといえる。 本発明のイソニトリル化合物(1)は、水中付着生物に対して毒性が低いにも関わらず忌避効果を有するため、例えば、水中付着生物防汚剤などに好適に使用することができる。 一般式(1):〔式中、R1はCH2X基(Xは水酸基、ハロゲン原子、イソシアノ基、アミノ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニルオキシ基、炭素数1〜8のアシルオキシル基、有機スルホニルオキシ基、有機スルフェニル基、有機スルフィニル基、有機スルホニル基、アミド基またはフタルイミド基を示し、ここで、有機スルホニルオキシ基は、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基およびp−トルエンスルホニルオキシ基からなる群より選ばれ、有機スルフェニル基は、メタンスルフェニル基、エタンスルフェニル基、オクタンスルフェニル基およびベンゼンスルフェニル基からなる群より選ばれ、有機スルフィニル基は、メタンスルフィニル基、オクタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基およびp−トルエンスルフィニル基からなる群より選ばれ、有機スルホニル基は、メタンスルホニル基、オクタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基およびp−トルエンスルホニル基からなる群より選ばれ、アミド基は、ホルムアミド基、アセトアミド基およびベンズアミド基からなる群より選ばれ、そして、前記のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシル基、有機スルホニルオキシ基、有機スルフェニル基、有機スルフィニル基および有機スルホニル基は、炭素数1〜4のアルキル基およびイソシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい)またはCOOR4基(R4は炭素数1〜8のアルキル基または炭素数2〜8のアルケニル基を示す)を示し、各R2およびR3はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す〕で表されるイソニトリル化合物。 一般式(1):〔式中、R1はCH2X基(Xは水酸基、ハロゲン原子、イソシアノ基、アミノ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニルオキシ基、炭素数1〜8のアシルオキシル基、有機スルホニルオキシ基、有機スルフェニル基、有機スルフィニル基、有機スルホニル基、アミド基またはフタルイミド基を示し、ここで、有機スルホニルオキシ基は、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基およびp−トルエンスルホニルオキシ基からなる群より選ばれ、有機スルフェニル基は、メタンスルフェニル基、エタンスルフェニル基、オクタンスルフェニル基およびベンゼンスルフェニル基からなる群より選ばれ、有機スルフィニル基は、メタンスルフィニル基、オクタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基およびp−トルエンスルフィニル基からなる群より選ばれ、有機スルホニル基は、メタンスルホニル基、オクタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基およびp−トルエンスルホニル基からなる群より選ばれ、アミド基は、ホルムアミド基、アセトアミド基およびベンズアミド基からなる群より選ばれ、そして、前記のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシル基、有機スルホニルオキシ基、有機スルフェニル基、有機スルフィニル基および有機スルホニル基は、炭素数1〜4のアルキル基およびイソシアノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の置換基を有していてもよい)またはCOOR4基(R4は炭素数1〜8のアルキル基または炭素数2〜8のアルケニル基を示す)を示し、各R2およびR3はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示す〕で表されるイソニトリル化合物を含有する水中付着生物防汚剤。