タイトル: | 特許公報(B2)_安定化されたヒトIgG4抗体 |
出願番号: | 2006536409 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C07K 16/28,C12N 15/09,C12P 21/08,A61K 39/395,A61P 9/10,A61P 13/12,A61P 25/28,A61P 29/00,A61P 35/00,A61P 37/06,C12N 5/10 |
高橋 信明 吉田 英明 JP 4958555 特許公報(B2) 20120330 2006536409 20050922 安定化されたヒトIgG4抗体 協和発酵キリン株式会社 000001029 小栗 昌平 100105647 本多 弘徳 100105474 市川 利光 100108589 古館 久丹子 100129160 高橋 信明 吉田 英明 JP 2004275908 20040922 20120620 C07K 16/28 20060101AFI20120531BHJP C12N 15/09 20060101ALI20120531BHJP C12P 21/08 20060101ALI20120531BHJP A61K 39/395 20060101ALI20120531BHJP A61P 9/10 20060101ALI20120531BHJP A61P 13/12 20060101ALI20120531BHJP A61P 25/28 20060101ALI20120531BHJP A61P 29/00 20060101ALI20120531BHJP A61P 35/00 20060101ALI20120531BHJP A61P 37/06 20060101ALI20120531BHJP C12N 5/10 20060101ALN20120531BHJP JPC07K16/28C12N15/00 AC12P21/08A61K39/395 NA61P9/10 101A61P13/12A61P25/28A61P29/00 101A61P35/00A61P37/06C12N5/00 102 CA/BIOSIS/WPIDS(STN) GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq SwissProt/PIR/GeneSeq PubMed 国際公開第02/088186(WO,A1) 特表2002−512776(JP,A) Clin.Immunol.,Vol.98,No.2(2001)p.164-174 Immunology,Vol.105,No.1(2002)p.9-19 Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,Vol.72,No.6(1975)p.2081-2083 Eur.J.Immunogenet.,Vol.25,No.5(1998)p.349-355 Cancer Res.,Vol.58,No.17(1998)p.3905-3908 Biochem.J.,Vol.117,No.1(1970)p.33-47 17 IPOD FERM BP-7758 IPOD FERM BP-7579 ATCC PTA-3338 JP2005017463 20050922 WO2006033386 20060330 26 20080702 高堀 栄二 本発明は、ヒトIgG4の定常領域に変異を導入することにより得られた、物性が改善された変異IgG4に関するものである。 免疫グロブリンは、すべての哺乳動物の血清や組織体液中に存在する糖蛋白質で、外来抗原を認識する働きをもっている。抗体の抗原への結合により、補体系の活性化や、細胞表面に存在するFcレセプター(FcR)を介し、細胞の食作用、抗体依存性細胞障害作用、メディエーターの遊離、抗原提示作用の亢進など、エフェクター機能の活性化を介して、生体防御にかかわっている。 ヒトの免疫グロブリンには、IgG、IgA、IgM、IgDおよびIgEからなる5つの異なったクラスが存在する。IgGはさらにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4からなる4つのサブクラス、またIgAはさらにIgA1およびIgA2からなる2つのサブクラスに分類することが出来る。免疫グロブリンの基本構造は、2本の相同なL鎖(軽鎖)と、2本の相同なH鎖(重鎖)から成り立っている。免疫グロブリンのクラスとサブクラスはH鎖によって決定される。 それぞれの免疫グロブリンは異なった機能をもつことが解っている。たとえば、補体結合能は、IgM>IgG3>IgG1>IgG2の順で高く、FcγRI(FcレセプターI)への親和性は、IgG3>IgG1>IgG4>IgG2の順で高い。またプロテインAに対して、IgG1、IgG2およびIgG4が結合することが可能である。 ヒト抗体は、血液から採取精製されたものが医薬品として使用されているが、近年数多くのモノクローナル抗体に関して臨床試験が実施されており、上市されているものも数多くある。しかし、医薬品用途で上市または臨床開発されているモノクローナル抗体の多くはIgG1のものでIgG4のものはほとんどない。IgG4はIgG1に比べ、補体の活性化や抗体依存性細胞障害作用が低いことが知られている事から、このような特徴を生かした医薬品には、IgG4のものが適していると考えられる。抗体が抗原に結合したことにより抗体のエフェクター機能が活性化され、補体系や細胞を介して該抗原を発現する細胞が障害を受けることは、例えば抗原が癌特異的抗原などの場合には、薬効に結びつく機能として非常に重要となる。しかし、抗原によってはそのような機能が、副作用に結びつく可能性がある。たとえば、そのような抗原として免疫を調節する遺伝子として重要な働きを担っているCD40が挙げられる。CD40リガンドとCD40の結合を阻害する抗CD40抗体は、医薬品として高い可能性を有すると考えられるが、CD40は免疫細胞以外にも幅広い種類の細胞に発現しているため、抗体のもつエフェクター機能によってCD40発現細胞に障害が引き起こされた場合、重度の副作用を引き起こす可能性が考えられる。従ってこのような抗原に対する抗体は、IgG4であることが望ましいと考えられる。 しかし、IgG4を医薬品として製造するためには、考慮しなければならない問題がある。それは、IgG4は生体内においてH鎖間のSS結合が掛かっていないハーフ抗体(通常抗体は二つのL鎖および二つのH鎖からなるが、ハーフ抗体は一つのL鎖および一つのH鎖からなる)が存在し、また医薬品製造のためCHOなどの動物細胞で発現させた場合においても同様にハーフ抗体が作られることである。ハーフ抗体の形成は、医薬品製造という観点から非常に憂慮すべき問題ではあるが、定常領域に1アミノ酸置換を導入することによって、ハーフ抗体の形成を抑制することが出来ることが報告されている(非特許文献1参照)。また、IgG4はIgG1に比べ抗体依存性細胞障害作用が低いことが解っているが、弱いながらもFcRへの結合性を持っている。しかし、このFcRへの結合性は、IgG4のヒンジ領域に変異を導入することによってさらに低減させ改善することが出来る(特許文献1〜3を参照)。 以上のような方法により、理想に近いIgG4を作ることは可能になったが、医薬品として製造するにあたっては、まだ克服すべき課題が残っている。それは、低pHにおけるIgG4の抗体の不安定性である。一般的に、抗体を医薬品として製造する際に、プロテインAを用いて、アフィニティー精製する方法が用いられる。このとき、プロテインAに結合した抗体を溶出するために、低pHの緩衝液を用いる場合が多い。また、ウイルス除去のためにも、一定時間、低pHで処理することが望ましい。ところが本発明中に示してあるように、IgG4の抗体は、IgG1の抗体に比べて、低pHにおける安定性が乏しく、凝集体を作りやすいことが解っている。医薬品に凝集体が混入することによって、インフュージョンリアクション、補体の活性化あるいは抗体依存性細胞障害作用が亢進することが報告されており、それらが副作用につながることが容易に推定される。このため、凝集体の量を出来るだけ低くすることは、非常に重要となる。特許3101690号公報US5648260公報US5624821公報S.Angal et., al. Molecular Immunology 1993, 30, 105-108 本件発明は、ヒト抗体IgG4の、安定性の高い変異体を作製することを目的とする。 本発明者らは鋭意研究の結果、従来知られているヒトIgG4に比べ、抗体の持つ活性を損なわずに物性が改善された変異体を作製することに成功し、本発明を完成した。本件発明における、ヒトIgG4の改変についての基本的な考えかたを下記に詳述する。 ヒトIgG4の重鎖定常領域において、少なくともCH3ドメインを、ヒトIgG1の重鎖定常領域のCH3ドメインに、あるいはヒトIgG4の重鎖定常領域において、少なくともCH2ドメインおよびCH3ドメインを、ヒトIgG1のCH2ドメインおよびCH3ドメインに置換することによって抗体の安定性を改善することができ、またヒトIgG4の409番目のアルギニン(R)をリジン(K)、スレオニン(T)、メチオニン(M)またはロイシン(L)に置換する(以下、例えば、409番目のアルギニン(R)のリジン(K)への置換を“R409K”と記載することがある)ことによって抗体の安定性を改善することができる(アルファベットはアミノ酸の一文字表記。数字はKabatらによるEUインデックス(Kabat et. al., Sequences of proteins of Immunological Interest, 1991 Fifth edition)を示す)。 さらに、可能であればD270, K322, P329, P331をAに置換するか、あるいは、P331をSやGに変換することによって、CDC活性を低減させることができる。 同様に、可能であればL235をE、G237をAに置換することにより、ADCC活性を低減させることができる。 また本発明には、ヒトIgG4の重鎖定常領域において、少なくともKabatらによるEUインデックスにより示される409番目のアルギニン(R)がリジン(K)、スレオニン(T)、メチオニン(M)またはロイシン(L)に置換されているIgG4の重鎖定常領域のうち、すくなくともCH3ドメインを有する部分を含む融合タンパク質も含まれ、好ましくは該部分はさらにヒンジ領域およびCH2ドメインを含む。 すなわち、本発明は以下の通りである。[1] ヒトIgG4の重鎖定常領域において、少なくともKabatらによるEUインデックスにより示される409番目のアルギニンがリジン、スレオニン、メチオニンまたはロイシンに置換され、さらに重鎖定常領域の数個のアミノ酸が欠失または置換され、または重鎖定常領域に対して数個のアミノ酸が挿入または付加されている抗体、[2] KabatらによるEUインデックスにより示される重鎖定常領域の228番目のセリンがプロリンおよび235番目のロイシンがグルタミン酸に置換されている、[1]の抗体、[3] ハイブリドーマ4D11(受託番号:FERM BP-7758)により産生される抗体の重鎖可変領域、軽鎖可変領域を有する抗体であって、当該重鎖可変領域および軽鎖可変領域がそれぞれヒトIgG4の重鎖定常領域をおよびヒト軽鎖定常領域と結合して重鎖および軽鎖を形成し、更にKabatらによるEUインデックスにより示される重鎖定常領域の228番目のセリンがプロリンおよび235番目のロイシンがグルタミン酸に置換されている、[1]の抗体、[4] 配列番号2で示される重鎖アミノ酸配列の可変領域、配列番号4で示される軽鎖アミノ酸配列の可変領域が、それぞれヒトIgG4の重鎖定常領域およびヒト軽鎖定常領域と結合して重鎖および軽鎖を形成し、更にKabatらによるEUインデックスにより示される重鎖定常領域の228番目のセリンがプロリンおよび235番目のロイシンがグルタミン酸に置換されている、[1]の抗体、[5] 配列番号1で示される重鎖核酸配列にコードされる重鎖可変領域、配列番号3で示される軽鎖各酸配列にコードされる軽鎖可変領域が、それぞれヒトIgG4の重鎖定常領域およびヒト軽鎖定常領域と結合して重鎖および軽鎖を形成し、更にKabatらによるEUインデックスにより示される重鎖定常領域の228番目のセリンがプロリンおよび235番目のロイシンがグルタミン酸に置換されている、[1]の抗体、[6] 配列番号44で示される重鎖において、KabatらによるEUインデックスにより示される重鎖定常領域の228番目のセリンがプロリン、235番目のロイシンがグルタミン酸、および409番目のアルギニンがリジン、スレオニン、メチオニンまたはロイシンに置換されている重鎖、および配列番号46で示される軽鎖を有する、[1]の抗体、[7] 配列番号43で示される核酸配列にコードされる重鎖において、KabatらによるEUインデックスにより示される重鎖定常領域の228番目のセリンがプロリン、235番目のロイシンがグルタミン酸、および409番目のアルギニンがリジン、スレオニン、メチオニンまたはロイシンに置換されている重鎖、および配列番号45で示される核酸配列にコードされる軽鎖を有する、[1]の抗体、[8] 抗CD40抗体である、[1]または[2]の抗体、[9] ヒトIgG4の重鎖定常領域に対して、KabatらによるEUインデックスにより示される409番目のアルギニンをリジン、スレオニン、メチオニンまたはロイシンに置換する行程を含む、抗体の製造方法、[10] ヒトIgG4の重鎖定常領域に対して、KabatらによるEUインデックスにより示される409番目のアルギニンをリジン、スレオニン、メチオニンまたはロイシンに置換することによる、抗体の凝集抑制方法、[11] [1]〜[7]のいずれか1項に記載の抗体における、重鎖および軽鎖をコードする遺伝子を有する発現ベクターを作製し、該発現ベクターを宿主に導入し、該宿主を培養し、培養物から該抗体を取得することを特徴とする、抗体の製造方法、[12] 配列番号1で示される重鎖核酸配列の可変領域および配列番号3で示される軽鎖核酸配列の可変領域を有する発現ベクターを作製し、該発現ベクターを宿主に導入し、該宿主を培養し、培養物から該抗体を取得することを特徴とする、抗体の製造方法、[13] 配列番号47で示される重鎖核酸配列および配列番号45で示される軽鎖核酸配列を有する発現ベクターを作製し、該発現ベクターを宿主に導入し、該宿主を培養し、培養物から該抗体を取得することを特徴とする、抗体の製造方法、[14] [3]〜[7]のいずれかの抗体を有効成分とする医薬組成物、ならびに[15] [3]〜[7]のいずれかの抗体を有効成分とする移植拒絶、自己免疫疾患、癌、動脈硬化、腎炎、アルツハイマー病またはアミロイドーシスの治療剤。 本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2004-275908号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。 ヒトIgG4における409番目のアルギニン(R)をリジン(K)、スレオニン(T)、メチオニン(M)またはロイシン(L)に置換した本発明の抗体は、抗原に対する結合性を保持しつつ、凝集体形成、特に低pHにおける凝集体形成が低減されているという特徴を備えている。従って、本発明の抗体は医薬品として安定的に製造することが出来る。さらに、被験体に投与した場合、抗体の凝集体の混入によって引き起こされる副作用を回避することが容易になり、安全に用いることができる。定常領域の1次構造を変えることにより、抗体の結合性に変化がないことを結合活性により示した図である。定常領域の1次構造を変えることにより、抗体の結合性に変化がないことを結合活性により示した図である。定常領域の1次構造を変えることにより、抗体の結合性に変化がないことを結合活性により示した図である。定常領域の1次構造を変えることにより、抗CD40抗体のアンタゴニスト活性に変化がないことをアンタゴニスト活性(Ramos細胞アッセイ)により示した図である。定常領域の1次構造を変えることにより、抗CD40抗体のアンタゴニスト活性に変化がないことをアンタゴニスト活性(Ramos細胞アッセイ)により示した図である。定常領域の1次構造を変えることにより、抗CD40抗体のアンタゴニスト活性に変化がないことをアンタゴニスト活性(Ramos細胞アッセイ)により示した図である。定常領域の1次構造を変えることにより、抗CD40抗体のアンタゴニスト活性に変化がないことをアンタゴニスト活性(Ramos細胞アッセイ)により示した図である。1. H鎖は、抗原への結合特異性を決定する可変領域および抗体のエフェクター機能発現に関与する定常領域の2つの領域からなる。可変領域は、それを構成する遺伝子の組換えと体細胞変異の導入により、抗原結合部位の配列が構造上異なる。このことが、非常に多くの外来抗原を認識することが出来るという特徴をもたらす。 また、抗体は本来外来の微生物、ウイルスや癌に対する生体防御機能をつかさどる分子であるため、抗体が結合した細胞を殺傷して取り除く作用を兼ね備えており、これをエフェクター機能と呼ぶ。この殺傷機能は2種類あり、抗体依存性細胞性細胞傷害活性(Antibody-Dependent Cellular Cytotoxicity 以下、ADCCと略記)、及び補体依存性細胞傷害活性(Complement-Dependent Cytotoxicity 以下、CDCと略記)といわれている。ADCCは、Macrophage, NK細胞、好中球などがその表面に発現しているFcRを介して、抗体の定常領域と結合し、細胞が活性化することにより誘導される細胞障害活性のことを言う。一方、CDCは抗体が抗原と結合することによって、活性化された補体系によって引き起こされる細胞障害活性のことを言う。これらの活性は、抗体のサブクラスによって、その活性の強弱が異なることが解っている(Charles A. Janeway et. al. Immunobiology, 1997, Current Biology Ltd/Garland Publishing Inc.)。 抗原への特異的結合性を保持しつつ、IgG4の抗体の安定性を改善することが出来る。具体的には、IgG4の409番目のアルギニン(R)を、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、イソロイシン(I)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、バリン(V)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、リジン(K)、スレオニン(T)、メチオニン(M)またはロイシン(L)に置き換えることによって実施できる。好ましくは、リジン(K)、スレオニン(T)、メチオニン(M)またはロイシン(L)への置換であり、最も好ましくはリジン(K)への置換である。 また、具体的にはIgG4のCH3ドメインをIgG1のCH3ドメインに、あるいはIgG4のCH2ドメインおよびCH3ドメインをIgG1のCH2ドメインおよびCH3ドメインに、つなぎかえることによっても実施できる。 本発明において、安定性を改善した抗体とは、酸性条件下すなわち低pH条件下において凝集体を形成しにくい抗体をいい、例えばpH3.5で10分間または60分間処理した場合に形成される凝集体の含有率が10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下である抗体をいう。凝集体の含有率は、例えば液体クロマトグラフィーにより測定することができる。 また、本発明において物性を改善した抗体とは、安定性に加えて、ADCCおよび/またはCDCを所望の強さに調節した抗体、FcRへの結合能を所望の程度に調節した抗体をいい、ADCCおよび/またはCDCの調節、FcRへの結合能の調節は、以下のように抗体に変異を導入することにより行うことができる。 安定性を改善した抗体に、更に適当な変異を導入することによって、ADCCおよび/またはCDCを低減または増強させることができる。 たとえば、L235、D265、D270、K322、P331、P329(アルファベットはアミノ酸の一文字表記。数字はKabatらによるEUインデックス(Kabat et. al., Sequences of proteins of Immunological Interest, 1991 Fifth edition)を示す。以下同様。)は、ヒトIgGの補体活性化能に重要な役割を果たしていると考えられており、この部位を他のアミノ酸に置換することによって、CDC活性を低減できる(Esohe E. Idusogie et. al. J. Immunol. 2000, 164:4178-4184; Yuanyuan Xu et. al. J. Biol. Chem. 1994, 269:3469-3474; Brekke, O.H. et. al. Eur. J. Immunol. 1994, 24:2542; Morgan, A., et. al., Immunology1995, 86:319; Lund, J., et. al., J. Immunol., 1996, 157:4963; Tao, M. H., et. al., J. Exp. Med. 1993, 178:661)。具体的には、D270, K322, P329, P331をAに置換することにより可能である。また、P331をSやGに変換することによっても可能である。 また、Glu233-Ser239、Gly316-Lys338、Lys274-Arg301、Tyr407-Arg416、Asn297、Glu318、Leu234-Ser239、Asp265-Glu269、Asn297-Thr299およびAla327-Ile332はIgGとFcRの結合に関与していると考えられており(Duncan, A. R., Woof, J. M., Partridge, L. J., Burton, D. R., and Winter, G. (1988) Nature 332, 563-564; Gessner, J. E., Heiken, H., Tamm, A., and Schmidt, R. E. (1998) Ann. Hematol. 76, 231-248; Gavin, A., Hulett, M., and Hogarth, P. M. (1998) in The Immunoglobulin Receptors and Their Physiological and Pathological Roles in Immunity (van de Winkel, J. G.J. , and Hogarth, P. M., eds) , pp. 11-35; Kluwer Academic Publishers Group, Dordrecht, The Netherlands、Sautes, C. (1997) in Cell-mediated Effects of Immunoglobulins (Fridman, W. H. , and Sautes, C., eds) , pp. 29-66; R. G.Landes Co., Austin, TX、Da'ron, M. (1997) Annu. Rev. Immunol. 15, 203-234; Canfield, S. M., and Morrison, S. L. (1991) J. Exp. Med. 173, 1483-1491; Chappel, M. S., Isenman, D. E., Everett, M., Xu, Y.-Y., Dorrington, K. J., and Klein, M. H. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88, 9036-9040; Woof, J. M., Partridge, L. J., Jefferis, R., and Burton, D. R. (1986) Mol. Immunol. 23, 319-330; Wines, B. D., Powell, M. S., Parren, P. W.H.I., Barnes, N., and Hogarth, P. M. (2000) J. Immunol. 164, 5313-5318)、この領域に変異を導入することにより、ADCC活性の低減が可能であると考えられる。具体的にはL235をE、G237をAに置換することにより、FcRとの結合能を低減させることは可能である。 また、上述の逆の変異を導入することにより、安定性を改善した抗体の、ADCC及び/またはCDCを増強することも可能である。具体的には、IgG4の331番目のSをPに変換することにより、CDC活性を増強することが出来る(Yuanyuan Xu et., al. J Biol. Chem. 1994. 269. 3469-3474)。 IgG4の409番目のアルギニン(R)をリジン(K)、スレオニン(T)、メチオニン(M)またはロイシン(L)に置換した、安定性を改善した抗体には制限はないが、例えば抗CD40抗体が挙げられる。より具体的にはWO03/88186に記載の、4D11、KM281-1-10およびF4-465が挙げられる。 なお、ヒトにおいて1/45の頻度でIgG4のR409がKに変異している事実が報告されているが、該変異と該IgG4の安定性に関する記載はない(Molecular characterization of immunoglobulin G4 isoallotype A.Brusco, S. Saviozzi, F. Clinque, M. DeMarchi, C.Boccazzi, G. de Lange, A.M.van Leeuwen, A.O.Carbonara European J Immunogenetics, 1998, 25, 349-355)。2.定義 本明細書で使用する用語の定義は以下のとおりである。 「CD40」とは、クラークら(E. A. Clark et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83: 4494, 1986)又はスタメンコビックら(I. Stamenkovic et. al., EMBO J. 8:1403, 1989)により示されているアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味し、特にB細胞、DC、マクロファージ、内皮細胞、上皮細胞、あるいはそれらの腫瘍細胞表面に発現する抗原ポリペプチドである。 「抗CD40抗体」とは、細胞発現CD40、全長CD40又は部分長CD40に対するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を意味する。好ましくはモノクローナル抗体である。 「抗体」とは、イムノグロブリンを構成する重鎖可変領域及び重鎖定常領域並びに軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域をコードする遺伝子(「抗体遺伝子」と総称する)に由来するものである。本発明の抗体には、いずれのイムノグロブリンクラス及びアイソタイプを有する抗体をも包含する。 「CH1ドメイン」、「ヒンジ領域」、「CH2ドメイン」および「CH3ドメイン」とは、抗体重鎖定常領域の一部分を示しており、KabatらのEUインデックス(Kabat et. al., Sequences of proteins of immunological interest, 1991 Fifth edition)に基づいている。CH1ドメインはEUインデックス118から215、ヒンジ領域はEUインデックス216から237、CH2ドメインはEUインデックス238から340、CH3ドメインはEUインデックス341から446と定義される。 「ヒト抗体」とは、ヒト由来の抗体遺伝子の発現産物である抗体を意味する。ヒト抗体の軽鎖はκおよびλのいずれか一方から成り、ヒト抗体の重鎖はIgG、IgA、IgM、IgDおよびIgEからなる5つの異なったクラスから成り、IgGはさらにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4からなる4つのサブクラスから成る。 「抗体の変異体」とは、ハイブリドーマにより生産される抗体の有するアミノ酸配列に、1アミノ酸以上の欠失、置換、挿入もしくは付加を生じたものをいう。本件発明の抗体の変異体は、当業者に周知であるハイブリドーマからの抗体遺伝子の単離方法、ヒト抗体定常領域の配列情報、遺伝子への部位特異的変異導入方法等を用いることにより適宜作製しうる。 本発明の抗体には、「数個」のアミノ酸が欠失または置換され、または「数個」のアミノ酸が挿入または付加されている抗体が含まれるが、この場合の「数個」とは、具体的には1〜10個、好ましくは1〜8個、更に好ましくは1〜5個、最も好ましくは1又は2個である。そしてこれらの欠失、置換、挿入および付加は好ましくは抗体重鎖定常領域において生じる。具体的には、(1)KabatらによるEUインデックスにより示される重鎖定常領域の228番目のセリンがプロリンに置換されている抗体、(2)KabatらによるEUインデックスにより示される重鎖定常領域の235番目のロイシンがグルタミン酸に置換されている抗体、および(3)KabatらによるEUインデックスにより示される重鎖定常領域の228番目のセリンがプロリンおよび235番目のロイシンがグルタミン酸に置換されている抗体が挙げられる。 また、本発明の抗体には、キメラ抗体およびヒト化抗体も含まれる。キメラ抗体は、2つまたはそれ以上の種由来の抗体の一部(マウス抗体の可変領域及びヒト抗体の定常領域など)を含む(欧州特許出願120694及び125023等)。ヒト化抗体は、例えばCDR移植技術を使用してマウスCDR、ヒト可変部フレームワーク及び定常領域から作成される(Riechmann, et al., Nature(1988), 332, 323-327等)。 本発明においては、抗体は、抗体遺伝子を発現ベクターに組み込み、ベクターを適当な宿主細胞に導入し、細胞もしくは細胞の培養上清から回収、精製することにより得ることができる。 ベクターには、宿主細胞で自律的に増殖し得るか、宿主細胞の染色体に組み込まれ得るファージ又はプラスミドが使用される。プラスミドDNAとしては、大腸菌、枯草菌又は酵母由来のプラスミドなどが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ等が挙げられる。 形質転換に使用する宿主としては、目的の遺伝子を発現できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、細菌(大腸菌、枯草菌等)、酵母、動物細胞(COS細胞、CHO細胞等)、昆虫細胞が挙げられる。 宿主への遺伝子の導入方法は公知であり、任意の方法(例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等)が挙げられる。また、後述の動物に遺伝子を導入する方法としては、マイクロインジェクション法、ES細胞にエレクトロポレーションやリポフェクション法を使用して遺伝子を導入する方法、核移植法などが挙げられる。 本発明において、「培養物」とは、(a)培養上清、(b)培養細胞若しくは培養菌体又はその破砕物、(c)形質転換体の分泌物のいずれをも意味するものである。形質転換体を培養するには、使用する宿主に適した培地を用い、静置培養法、ローラーボトルによる培養法などが採用される。 培養後、目的タンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合には、菌体又は細胞を破砕することにより抗体を採取する。また、目的抗体が菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体又は細胞を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる各種クロマトグラフィーを用いた一般的な生化学的方法を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から目的の抗体を単離精製することができる。 さらに、トランスジェニック動物作製技術を用いて、目的抗体の遺伝子が内在性遺伝子に組み込まれた動物宿主、例えばトランスジェニックウシ、トランスジェニックヤギ、トランスジェニックヒツジ又はトランスジェニックブタを作製し、そのトランスジェニック動物から分泌されるミルク中からその抗体遺伝子に由来するモノクローナル抗体を大量に取得することも可能である(Wright, G., et al. (1991) Bio/Technology 9, 830-834)。ハイブリドーマをインビトロで培養する場合には、培養する細胞種の特性、試験研究の目的及び培養方法等の種々条件に合わせて、ハイブリドーマを増殖、維持及び保存させ、培養上清中にモノクローナル抗体を産生させるために用いられるような既知栄養培地、あるいは既知の基本培地から誘導調製されるあらゆる栄養培地を用いて実施することが可能である。3.医薬組成物 また、本発明の抗体の精製された製剤を含有する医薬組成物もまた、本発明の範囲内に含まれる。このような医薬組成物は、好ましくは、抗体に加えて、生理学的に許容され得る希釈剤またはキャリアを含んでおり、他の抗体または抗生物質のような他の薬剤との混合物であってもよい。適切なキャリアには、生理的食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水グルコース液、および緩衝生理食塩水が含まれるが、これらに限定されるものではない。或いは、抗体は凍結乾燥(フリーズドライ)し、必要とされるときに上記のような緩衝水溶液を添加することにより再構成して使用してもよい。投与経路は、経口ルート、並びに静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内の注射または配薬を含む非経腸的ルートである。 この場合、本発明の抗体の有効量と適切な希釈剤及び薬理学的に使用し得るキャリアとの組合せとして投与される有効量は、1回につき体重1kgあたり0.0001mg〜100mgであり、2日から8週間間隔で投与される。 本発明に記載の抗CD40抗体は、移植拒絶(例えば腎臓移植、心臓移植、肝臓移植、すい臓、腸移植、Xenograft)、自己免疫疾患(例えば炎症性腸疾患(例えばクローン病および潰瘍性大腸炎)、全身性エリテマトーデス(SLS)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、多発性硬化症、乾癬およびリューマチ)、癌(例えば肺癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、肝臓癌、前立腺癌、膀胱癌、乳癌および胃癌)、動脈硬化、腎炎、アルツハイマー病およびアミロイドーシスの治療に用いることができる。 以下、実施例を以って本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその実施例に記載される形態のみに限定されるものではない。実施例1 抗CD40抗体、IgG1/IgG4定常領域融合体の作製 WO02/088186に記載の抗CD40抗体のうち、4D11、KM281-1-10、F4-465の軽鎖および重鎖の可変領域を用いて抗体を作製した。なお、これら3つの抗体はアンタゴニストとして作用することが分かっている。4D11、KM281-1-10およびF4-465はそれぞれハイブリドーマ4D11、KM281-1-10およびF4-465の産生する抗体であり、ハイブリドーマ4D11は、受託番号FERM BP-7758で、2001年9月27日付で、ハイブリドーマKM281-1-10は、受託番号FERM BP-7579で、2001年5月9日付で、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に寄託されている。また、F4-465は、受託番号ATCC PTA-3338で、2001年4月24日付でアメリカ国立菌培養収集所、アメリカ合衆国 ヴァージニア州 20110-2209 マナサス 10801 ユニバーシティブルバードに寄託されている。 4D11の重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。 重鎖核酸配列の翻訳開始点は、配列番号1の5'末端から16番目のアデニン(A)からはじまるATGコドンである。 4D11の重鎖核酸配列(配列番号1)における、シグナル配列と可変領域の境界は93番目のシトシン(C)と94番目のシトシン(C)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は456番目のアデニン(A)と457番目のグアニン(G)の間に位置すると予想される(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 4D11の重鎖アミノ酸列(配列番号2)における、シグナル配列と可変領域の境界は26番目のセリン(S)と27番目のグルタミン(Q)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は147番目のセリン(S)と148番目のアラニン(A)の間に位置すると予想される。 以上より、4D11の重鎖可変領域の核酸配列は、配列番号1における94番目のシトシン(C)から456番目のアデニン(A)までである。また、4D11の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号2における27番目のグルタミン(Q)から147番目のセリン(S)までである。 軽鎖核酸配列の翻訳開始点は、配列番号3の5'末端から59番目のアデニン(A)からはじまるATGコドンである。 4D11の軽鎖核酸配列(配列番号3)における、シグナル配列と可変領域の境界は124番目のチミン(T)と125番目のグアニン(G)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は442番目のアデニン(A)と443番目のシトシン(C)の間に位置すると予想される(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 4D11の軽鎖アミノ酸列(配列番号4)における、シグナル配列と可変領域の境界は22番目のシステイン(C)と23番目のアラニン(A)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は128番目のリジン(K)と129番目のアルギニン(R)の間に位置すると予想される。 以上より、4D11の軽鎖可変領域の核酸配列は、配列番号3における125番目のグアニン(G)から442番目のアデニン(A)までである。また、4D11の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号4における23番目のアラニン(A)から128番目のリジン(K)までである。4D11 重鎖核酸配列(配列番号:1)ATATGTCGACGAGTCATGGATCTCATGTGCAAGAAAATGAAGCACCTGTGGTTCTTCCTCCTGCTGGTGGCGGCTCCCAGATGGGTCCTGTCCCAGCTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTACTGAAGCCTTCGGAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGCGGCTCCATCAGCAGTCCTGGTTACTACGGGGGCTGGATCCGCCAGCCCCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATTGGGAGTATCTATAAAAGTGGGAGCACCTACCACAACCCGTCCCTCAAGAGTCGAGTCACCATATCCGTAGACACGTCCAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACCGCCGCAGACACGGCTGTGTATTACTGTACGAGACCTGTAGTACGATATTTTGGGTGGTTCGACCCCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGC4D11 重鎖アミノ酸配列(配列番号:2)MDLMCKKMKHLWFFLLLVAAPRWVLSQLQLQESGPGLLKPSETLSLTCTVSGGSISSPGYYGGWIRQPPGKGLEWIGSIYKSGSTYHNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCTRPVVRYFGWFDPWGQGTLVTVSSAS4D11 軽鎖核酸配列(配列番号:3)AGATCTTAAGCAAGTGTAACAACTCAGAGTACGCGGGGAGACCCACTCAGGACACAGCATGGACATGAGGGTCCCCGCTCAGCTCCTGGGGCTTCTGCTGCTCTGGCTCCCAGGTGCCAGATGTGCCATCCAGTTGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGGCATTAGCAGTGCTTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCTCCTAAGCTCCTGATCTATGATGCCTCCAATTTGGAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGTCAACAGTTTAATAGTTACCCGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAACGTACG4D11 軽鎖アミノ酸配列(配列番号:4)MDMRVPAQLLGLLLLWLPGARCAIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISSALAWYQQKPGKAPKLLIYDASNLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQFNSYPTFGQGTKVEIKRT 4D11の重鎖定常領域をIgG4に置換した抗体(以下、4D11G4とする)の重鎖核酸配列および軽鎖核酸配列を以下に示す。4D11G4 重鎖核酸配列(配列番号:43)ATGGATCTCATGTGCAAGAAAATGAAGCACCTGTGGTTCTTCCTCCTGCTGGTGGCGGCTCCCAGATGGGTCCTGTCCCAGCTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTACTGAAGCCTTCGGAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGCGGCTCCATCAGCAGTCCTGGTTACTACGGGGGCTGGATCCGCCAGCCCCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATTGGGAGTATCTATAAAAGTGGGAGCACCTACCACAACCCGTCCCTCAAGAGTCGAGTCACCATATCCGTAGACACGTCCAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACCGCCGCAGACACGGCTGTGTATTACTGTACGAGACCTGTAGTACGATATTTTGGGTGGTTCGACCCCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCACCAAGGGGCCATCCGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCATCATGCCCAGCACCTGAGTTCCTGGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAATGA4D11G4重鎖アミノ配列(配列番号:44)MDLMCKKMKHLWFFLLLVAAPRWVLSQLQLQESGPGLLKPSETLSLTCTVSGGSISSPGYYGGWIRQPPGKGLEWIGSIYKSGSTYHNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCTRPVVRYFGWFDPWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK4D11G4 軽鎖核酸配列(配列番号:45)ATGGACATGAGGGTCCCCGCTCAGCTCCTGGGGCTTCTGCTGCTCTGGCTCCCAGGTGCCAGATGTGCCATCCAGTTGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGGCATTAGCAGTGCTTTAGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCTCCTAAGCTCCTGATCTATGATGCCTCCAATTTGGAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGTCAACAGTTTAATAGTTACCCGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAACGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTGA4D11G4 軽鎖アミノ配列(配列番号:46)MDMRVPAQLLGLLLLWLPGARCAIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISSALAWYQQKPGKAPKLLIYDASNLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQFNSYPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC 4D11の重鎖定常領域がIgG4に置換され、さらに228番目のセリンがプロリン、235番目のロイシンがグルタミン酸、および409番目のアルギニンがリジン置換されたの重鎖核酸配列を以下に示す(以下、4D11G4PEKとする)。4D11G4PEK 重鎖核酸配列(配列番号:47)ATGGATCTCATGTGCAAGAAAATGAAGCACCTGTGGTTCTTCCTCCTGCTGGTGGCGGCTCCCAGATGGGTCCTGTCCCAGCTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTACTGAAGCCTTCGGAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGCGGCTCCATCAGCAGTCCTGGTTACTACGGGGGCTGGATCCGCCAGCCCCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATTGGGAGTATCTATAAAAGTGGGAGCACCTACCACAACCCGTCCCTCAAGAGTCGAGTCACCATATCCGTAGACACGTCCAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACCGCCGCAGACACGGCTGTGTATTACTGTACGAGACCTGTAGTACGATATTTTGGGTGGTTCGACCCCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCACCAAGGGGCCATCCGTCTTCCCCCTGGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCATGCCCAGCACCTGAGTTCGAGGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTAAATGA4D11G4PEK重鎖アミノ配列(配列番号:48)MDLMCKKMKHLWFFLLLVAAPRWVLSQLQLQESGPGLLKPSETLSLTCTVSGGSISSPGYYGGWIRQPPGKGLEWIGSIYKSGSTYHNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCTRPVVRYFGWFDPWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK KM281−1−10の重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。重鎖核酸配列の翻訳開始点は、配列番号5の5'末端から52番目のアデニン(A)からはじまるATGコドンである。KM281-1-10の重鎖核酸配列(配列番号5)における、シグナル配列と可変領域の境界は108番目のシトシン(C)と109番目のシトシン(C)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は468番目のアデニン(A)と469番目のグアニン(G)の間に位置すると予想される(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 KM281-1-10の重鎖アミノ酸列(配列番号6)における、シグナル配列と可変領域の境界は19番目のセリン(S)と20番目のグルタミン(Q)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は139番目のセリン(S)と140番目のアラニン(A)の間に位置すると予想される。 以上より、KM281-1-10の重鎖可変領域(マチュア部分)の核酸配列は、配列番号5における109番目のシトシン(C)から468番目のアデニン(A)までである。また、KM281-1-10の重鎖可変領域(マチュア部分)のアミノ酸配列は、配列番号6における20番目のグルタミン(Q)から139番目のセリン(S)までである。 軽鎖核酸配列の翻訳開始点は、配列番号7の5'末端から41番目のアデニン(A)からはじまるATGコドンである。 KM281-1-10の軽鎖核酸配列(配列番号7)における、シグナル配列と可変領域の境界は100番目のアデニン(A)と101番目のグアニン(G)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は424番目のアデニン(A)と425番目のシトシン(C)の間に位置すると予想される(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 KM281-1-10の軽鎖アミノ酸列(配列番号8)における、シグナル配列と可変領域の境界は20番目のグリシン(G)と21番目のグルタミン酸(E)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は128番目のリジン(K)と129番目のアルギニン(R)の間に位置すると予想される。 以上より、KM281-1-10の軽鎖可変領域(マチュア部分)の核酸配列は、配列番号7における101番目のグアニン(G)から424番目のアデニン(A)までである。また、KM281-1-10の軽鎖可変領域(マチュア部分)のアミノ酸配列は、配列番号8における21番目のグルタミン酸(E)から128番目のリジン(K)までである。 本発明は、上記マチュア部分を有する抗体であって、上記の変異により安定化された抗体を包含する。KM281−1−10 重鎖核酸配列(配列番号:5)CTGAACACAGACCCGTCGACTTTGAGAGTCCTGGACCTCCTGTGCAAGAACATGAAACATCTGTGGTTCTTCCTTCTCCTGGTGGCAGCTCCCAGATGGGTCCTGTCCCAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGTGGTTACTACTGGAGCTGGATCCGGCAGCCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGGTATATCTATTACAGTGGGAGCACCAACTACAATCCCTCCCTCAAGAGTCGAGTCACCATATCAGTAGACACGTCCAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAATTCTGTGACCGCTGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGCCCCCTTGCACGGTGACTACAAATGGTTCCACCCCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCACCAAGGKM281−1−10 重鎖アミノ酸配列(配列番号:6)MKHLWFFLLLVAAPRWVLSQVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGGSISGYYWSWIRQPPGKGLEWIGYIYYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLNSVTAADTAVYYCARAPLHGDYKWFHPWGQGTLVTVSSASTKKM281−1−10 軽鎖核酸配列(配列番号:7)TCACAGATCTGAGCTGCTCAGTTAGGACCCAGAGGGAACCATGGAAACCCCAGCGCAGCTTCTCTTCCTCCTGCTACTCTGGCTCCCAGATACCACCGGAGAAATTGTGTTGACGCAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCAGCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCAGTATGGTAGCTCACCGATCACCTTCGGCCAAGGGACACGACTGGAGATCAAACGTACGKM281−1−10 軽鎖アミノ酸配列(配列番号:8)METPAQLLFLLLLWLPDTTGEIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPITFGQGTRLEIKRT F4-465の重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。 重鎖核酸配列の翻訳開始点は、配列番号9の5'末端から47番目のアデニン(A)からはじまるATGコドンである。 F4-465の重鎖核酸配列(配列番号9)における、シグナル配列と可変領域の境界は103番目のシトシン(C)と104番目のシトシン(C)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は484番目のアデニン(A)と485番目のグアニン(G)の間に位置すると予想される(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 F4-465の重鎖アミノ酸列(配列番号10)における、シグナル配列と可変領域の境界は19番目のセリン(S)と20番目のグルタミン(Q)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は146番目のセリン(S)と147番目のアラニン(A)の間に位置すると予想される。 以上より、F4-465の重鎖可変領域の核酸配列は、配列番号9における104番目のシトシン(C)から484番目のアデニン(A)までである。また、F4-465の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号10における20番目のグルタミン(Q)から146番目のセリン(S)までである。 軽鎖核酸配列の翻訳開始点は、配列番号11の5'末端から81番目のアデニン(A)からはじまるATGコドンである。 F4-465の軽鎖核酸配列(配列番号11)における、シグナル配列と可変領域の境界は137番目のシトシン(C)と138番目のチミン(T)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は458番目のチミン(T)と459番目のシトシン(C)の間に位置すると予想される(遺伝子配列予測ソフトウェア(Signal P ver.2)を使用)。 F4-465の軽鎖アミノ酸列(配列番号12)における、シグナル配列と可変領域の境界は19番目のアラニン(A)と20番目のセリン(S)の間に位置し、可変領域と定常領域の境界は126番目のグリシン(G)と127番目のグルタミン(Q)の間に位置すると予想される。 以上より、F4-465の軽鎖可変領域の核酸配列は、配列番号11における138番目のチミン(T)から458番目のチミン(T)までである。また、F4-465の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号12における20番目のセリン(S)から126番目のグリシン(G)までである。F4-465 重鎖核酸配列(配列番号:9)CTGAACACAGACCCGTCGACTACGCGGGAGACCACAGCTCCACACCATGGACTGGACCTGGAGGATCCTATTCTTGGTGGCAGCAGCAACAGGTGCCCACTCCCAGGTGCAGCTGGTGCAATCTGGGTCTGAGTTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCCCCTGCAAGGCTTCTGGATACACCTTCACTAGCTATGCTATGAATTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATCAACACCAACACTGGGAACCCAACGTATGCCCAGGGCTTCACAGGACGGTTTGTCTTCTCCTTGGACACCTCTGTCAGCACGGCATATCTGCAGATCAGCAGCCTAAAGGCTGAGGACACTGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGGTAGTACCAGTTGCTATGAGGGTAACTCACTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCACCAAF4-465 重鎖アミノ酸配列(配列番号:10)MDWTWRILFLVAAATGAHSQVQLVQSGSELKKPGASVKVPCKASGYTFTSYAMNWVRQAPGQGLEWMGWINTNTGNPTYAQGFTGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCAREVVPVAMRVTHYYYGMDVWGQGTTVTVSSASTF4-465 軽鎖核酸配列(配列番号:11)CTGGGTACGGTAACCGTCAGATCGCCTGGAGACGCCATCACAGATCTGCCTCAGGAAGCAGCATCGGAGGTGCCTCAGCCATGGCATGGATCCCTCTCTTCCTCGGCGTCCTTGTTTACTGCACAGGATCCGTGGCCTCCTATGAGCTGACTCAGCCACCCTCAGTGTCCGTGGCCCCAGGACAGACAGCCAGCATCACCTGTTCTGGAGATAAATTGGGGGATAATTTTACTTGCTGGTATCAGCAGAAGCCAGGCCAGTCCCCTGTGCTGGTCATCTTTCAGGATTGGAAGCGGCGCCCAGGGATCCCTGCGCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGGAACACAGCCACTCTGACCATCAGCGGGACCCAGGCTATGGATGAGGCTGACTATTACTGTCAGGCGTGGGACATCAGCACTGTGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTAGGTCAGCCCAAGGCTGCCCCCTCGGTCACTCTGTTCCCGCCCTCCTCTGAGGAGCTTCAAGCCAACAAGGCCACACTGGTGTGTCTCATAAGTGACTTCTACCCGGGAGCCGTGACAGTGGCCTGGAAGGCAGATAGCAGCCCCGTCAAGGCGGGAGTGGAGACCACCACACCCTCCAAACAAAGCAACAACAAGTACGCGGCCAGCAGCTACCTGAGCCTGACGCCTGAGCAGTGGAAGTCCCACAGAAGCTACAGCTGCCAGGTCACGCATGAAGGGAGCACCGTGGAGAAGACAGTGGCCCCTACAGAATGTTCATGAATTCAGATCCGTTAACGGTTACCAACTACCTAGACTGGATTCGTGACCAACATAF4-465 軽鎖アミノ酸配列(配列番号:12)MAWIPLFLGVLVYCTGSVASYELTQPPSVSVAPGQTASITCSGDKLGDNFTCWYQQKPGQSPVLVIFQDWKRRPGIPARFSGSKSGNTATLTISGTQAMDEADYYCQAWDISTVVFGGGTKLTVLGQPKAAPSVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADSSPVKAGVETTTPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS 本発明者らは、抗CD40抗体である4D11(IgG4を有する)やその変異体である4D11PE(4D11抗体遺伝子の重鎖、軽鎖を含むDNA断片を、BglII、NheIで消化、精製した後、N5KG4PEベクター(IDEC Pharmaceuticals)につなぎ換えて作製した。N5KG4PEはIgG4定常領域に、S228P及びL235Eの点変異を含む。培養上清をProtein Aカラム(アマシャムバイオサイエンス社)にチャージし0.1Mクエン酸バッファー(pH2.7)により溶出して中和した後にpH3.5とし、37℃で1分間および10分間インキュベートした場合において約10%の凝集体が生成するのに対し、4D11の定常領域をIgG1とした4D114D11G1においては、ほとんど凝集体が生じないことを見出している(特願2003−431408)。低pHにおける凝集体形成抑制にかかわるIgG1の領域を特定するために、キメラ抗体IgG[1/1/4/4]([1/1/4/4]は、左から順にCH1ドメイン、ヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインに関して、CH1ドメインはIgG1由来ヒンジ領域はIgG1由来、CH2ドメインはIgG4由来およびCH3ドメインはIgG4由来であることを意味している。以下同様に解釈する。)、IgG[4/4/1/1]、IgG[4/4/1/4]、IgG[4/4/4/1]、を以下に述べるように作製した。 IgG[4/4/1/1]は、N5KG4PE(IDEC Pharmaceuticals)を鋳型として、プライマーlinkH: gggtacgtcctcacattcagtgatcag(配列番号13), 24ch4: AGGGGTCCGGGAGATCATGAGAGTGTCCTT(配列番号14)で98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。同時に、抗体発現ベクターN5KG1-Val Lark(IDEC Pharmaceuticals:以下N5KG1と略記)を鋳型として、プライマー24ch3: AAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCT(配列番号15)、linkH2: tgatcatacgtagatatcacggc(配列番号16)を用いて、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。増幅したDNA断片をPCR purification kit で精製し、2つの精製DNA断片を等量混合したのち、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を5回行い、プライマーlinkH、linkH2を加えて、15回反応した。増幅したDNA断片をNheI、BamHIで切断し、N5KG1ベクターのIgG1定常領域と置き換えた。この発現ベクターをN5KG4411と名づけた。 IgG[1/1/4/4]は、N5KG1を鋳型として、プライマーlinkH: gggtacgtcctcacattcagtgatcag(配列番号13), 24ch4: AGGGGTCCGGGAGATCATGAGAGTGTCCTT(配列番号14)で98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。同時に、N5KG4PEを鋳型として、プライマー24ch3: AAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCT(配列番号15)、linkH2: tgatcatacgtagatatcacggc(配列番号16)を用いて、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。増幅したDNA断片をPCR purification kit で精製し、2つの精製DNA断片を等量混合したのち、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を5回行い、プライマーlinkH、linkH2を加えて、15回反応した。増幅したDNA断片をNheI、BamHIで切断し、N5KG1ベクターのIgG1定常領域と置き換えた。この発現ベクターをN5KG1144と名づけた。 IgG[4/4/1/4]は、上記のように作製したN5KG4411を鋳型として、プライマーlinkH: gggtacgtcctcacattcagtgatcag(配列番号13), CH3consR: GGTGTACACCTGTGGCTCTCGGGGCTGCCC(配列番号17)で98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。同時に、N5KG4PEを鋳型として、プライマーCH3cons: GGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACC(配列番号18)、linkH2: tgatcatacgtagatatcacggc(配列番号16)を用いて、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。増幅したDNA断片をPCR purification kitで精製し、2つの精製DNA断片を等量混合したのち、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を5回行い、プライマーlinkH、linkH2を加えて、15回反応した。増幅したDNA断片をNheI、BamHIで切断し、N5KG1ベクターのIgG1定常領域と置き換えた。この発現ベクターをN5KG4414と名づけた。 IgG[4/4/4/1]は、N5KG4PEを鋳型として、プライマーlinkH: gggtacgtcctcacattcagtgatcag(配列番号13), CH3consR: GGTGTACACCTGTGGCTCTCGGGGCTGCCC(配列番号17)で98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。同時に、N5KG1を鋳型として、プライマーCH3cons: GGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACC(配列番号18)、linkH2: tgatcatacgtagatatcacggc(配列番号16)を用いて、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を15回行った。増幅したDNA断片をPCR purification kit で精製し、2つの精製DNA断片を等量混合したのち、98℃1秒、60℃30秒、72℃30秒の反応を5回行い、プライマーlinkH、linkH2を加えて、15回反応した。増幅したDNA断片をNheI、BamHIで切断し、N5KG1ベクターのIgG1定常領域と置き換えた。この発現ベクターをN5KG4441と名づけた。 それぞれの発現ベクターをBglII、NheIで消化し、4D11の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を挿入し発現ベクターを完成させた。実施例2 キメラ抗CD40抗体の発現・精製 実施例1で作製した発現ベクターDNAをEndoFree Plasmid Kit(キアゲン社)にて調製し、FreeStyle(登録商標) 293 Expression System(インビトロジェンライフテクノロジー社)を用いて浮遊性293細胞(インビトロジェンライフテクノロジー社)に導入して、一過性発現により各抗体を含む培養上清を得た。孔径0.22μm のメンブランフィルター(MILLIPORE 製)で濾過した培養上清(IgGとして約500μg)を抗体精製用アフニティーカラムであるHiTrap rProtein A FF(カラム体積1ml)(アマシャムバイオサイエンス社)にチャージし、PBS (-)で洗浄後20 mMクエン酸バッファー(pH3.4)により溶出し、200 mMリン酸バッファー(pH7.0)を含むチューブに回収した。精製後の各抗体サンプルの凝集体の含有率は0〜0.7%であった。実施例3 抗体溶液の凝集体の含有率の測定 抗体溶液の凝集体含有率は、高速液体クロマトグラフ装置(島津社製)及びTSK−G3000 SWカラム(東ソー社製)と、溶媒として20mMリン酸ナトリウム、500mM NaCl pH7.0を用いて分析を行った。溶出位置をゲルろ過HPLC用分子量マーカー(オリエンタル酵母社)(Cat No. 40403701)と比較することで、抗体蛋白の単量体とそれ以上の凝集体のピークを同定して、それぞれのピーク面積から凝集体の含有率を算出した。実施例4 キメラ抗CD40抗体の安定性の評価 実施例2示す方法で精製した抗体溶液300μlに対し、200 mMクエン酸ナトリウム、50 mM NaClから成るバッファー(pH2.7)60μlを添加してpH3.5に調整し、37℃で10分間あるいは60分間インキュベートした後、その低pH処理溶液150μlに対して500 mMリン酸ナトリウムバッファー(pH8.0)を 37.5μl加えることにより中和した。低pH処理後の抗体溶液の凝集体含有率は、実施例3に示す方法で測定した。 その結果、少なくともCH3ドメインがIgG1由来(IgG[4/4/1/1]或はIgG[4/4/4/1])であれば、定常領域全体がIgG1である場合と同程度に低pHで安定性であることが判明した(表1)。表1は、IgG4/IgG1キメラ抗体の低pHにおける安定性を示す。実施例5 抗CD40抗体定常領域変異体(変異体抗体)の作製と凝集体形成抑制評価 更に凝集体形成抑制に寄与している領域を絞り込むために、CH3ドメイン内に存在するIgG1とIgG4間で異なるアミノ酸残基6箇所(KabatらによるEUインデックスにより示される355、356、358、409、419、445番目)に注目して、IgG4のアミノ酸残基からIgG1のアミノ酸残基に変換した各変異体(Q355R(355番目のGln残基をArgへ変換、以下同様)、E356D、M358L、R409K、E419Q、L445P)を作製した。それぞれの変異体を作製するために、Q355R:CCTGCCCCCA TCCCGGGAGG AGATGACCAA G(配列番号19)、E356D:CCATCCCA GGACGAGATG ACCAAGAAC(配列番号20)、M358L:ATCCCAGGAG GAGCTGACCA AGAACCAG(配列番号21)、R409K:CTTCTTCCTC TACAGCAAGC TAACCGTGGA CAAG(配列番号22)、E419Q:GAGCAGGTGG CAGCAGGGGA ATGTCTTCTC(配列番号23)、L445P:CCTCTCCCTG TCTCCGGGTA AATGAGGATC C(配列番号24)を使用した。抗CD40抗体の遺伝子の重鎖及び軽鎖を含むDNA断片をN5KG4PEベクター(IDEC Pharmaceuticals)に挿入することにより作製した抗CD40抗体発現ベクター(WO02/088186、特願2003−431408に記載)のDNAを鋳型として、GeneEditor(登録商標) in vitro Site-Directed Mutagenesis System(プロメガ)を用いた部位特異的変異導入法により、定常領域のアミノ酸置換体をコードする各種の変異DNAを調製した。目的の変異導入用オリゴヌクレオチドと上記キット付属のSelection Oligonucleotideを鋳型DNAとアニーリングさせて変異導入鎖を合成した後、GeneEditor(登録商標) Antibiotic Selection Mix存在下では変異体のみが増殖することを利用して変異体を選択した。より具体的には、dsDNAテンプレートをアルカリ条件下(0.2 M NaOH、 0.2 mMEDTA(最終濃度))室温で5分間インキュベートした後、2M 酢酸アンモニウム(pH4.6)を10分の1容量加えて中和してからエタノール沈殿により回収した。回収したアルカリ変性処理した鋳型DNAに、目的の変異導入用オリゴヌクレオチド(各オリゴヌクレオチドの配列は表1に示す、5’末端リン酸化済み)と新しい抗生物質耐性獲得用Selection Oligonucleotide(Top Select Oligo、5’末端リン酸化)、及び、キット添付のアニーリングバッファーを加えた後、75℃で5分間保温し、37℃にゆっくり下げることによりアニーリングした。変異鎖の合成と連結のために、キット付属のSynthesis 10X buffer、T4 DNA Polymerase、及びT4 DNA ligaseを加えて、37℃で90分反応を行なった。GeneEditor(登録商標) Antibiotic Selection Mix存在下でコンピテントセルBMH 71-18 mutSに形質転換して培養した形質転換体大腸菌よりプラスミドDNAを調製し、更にそのDNAによりコンピテントセルJM109を形質転換後、GeneEditor(登録商標) Antibiotic Selection Mixを含むLBプレートに播種した。プレートに生じた形質転換体を培養して、プラスミドDNAを精製しDNA塩基配列を解析し、目的とするアミノ酸変異が導入された抗CD40抗体変異体の発現ベクター(N5KG4PE-4D11- Q355R、N5KG4PE-4D11-E356D、N5KG4PE-4D11-M358L、N5KG4PE-4D11-R409K、N5KG4PE-4D11-E419Q、N5KG4PE-4D11-L445P)を取得した。それぞれの抗体は、実施例2に従って発現、精製し、実施例3に従って、低pHにおける安定性を測定した。 その結果、作製した6種類の変異体の内R409K(409番目のArgをLysへ変換)のみ、低pHにおける凝集体の生産が抑制されることを見出した(表2、3)。表2は、IgG4のCH3ドメインにIgG1のアミノ酸を導入した時の低pHにおける安定性を示し、表3は、R409K変異体の低pHにおける安定性が、IgG1と同程度であることを示す。実施例6 抗CD40抗体、KM281-1-10、F4-465の低pHによる凝集体形成抑制の検証 4D11と同じく抗CD40抗体であるF4-465及びKM281-1-10抗体についても、R409Kの変異を持つIgG4の定常領域を持たせた場合、低pH条件下での凝集体形成が抑制可能であるか検討した。N5KG4PE-4D11-R409Kの軽鎖可変領域および重鎖可変領域を、BglII、NheIで消化することにより切り出し、その代わりにKM281-1-10、F4-465の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を挿入した。それぞれの抗体を実施例2の方法で発現、精製し、実施例3の方法で、低pHの安定性を調べた。 その結果、4D11と異なる可変領域のアミノ酸配列を持つF4-465やKM281-1-10においても、同様にR409Kのアミノ酸変換の効果を確認した(表4)。表4は、4D11以外の抗体においても、R409Kの変異によって、低pHにおける安定性が向上することを示す。実施例7 抗CD40抗体のRamos細胞に対する結合活性 実施例2で作製したキメラ抗体および実施例5で変異体抗体が、もとの抗体と同等の結合活性を示すかどうか調べるために、CD40が発現するRamos[ATCC]細胞への結合活性を測定した。 2x106/mlの濃度でRamos細胞株を0.1%NaN3、2%FCS含有PBSの染色バッファー(SB)に浮遊させた。細胞浮遊液(100μl/ウェル)を96-well丸底プレート(ベクトンディッキンソン社製)に分注した。各々のハイブリドーマの培養上清(50μl)を加え、氷温下30分間インキュベートした。陰性コントロールとしてヒト血清アルブミンに対するヒトIgG1抗体を用い、ハイブリドーマ培養培地で2μg/mlの濃度に調製し、50μl添加後氷温下15分間インキュベートした。SBで洗浄した後、250倍希釈したR-PE蛍光標識抗ヒト抗体(Southern Biotechnology社製)50μlを加え、氷温下15分間インキュベートした。SBで2回洗浄した後、300〜500μlのFACS緩衝液に懸濁し、FACS(FACSort、FACScan、ベクトンディッキンソン社製)で各細胞の蛍光強度を測定した。 その結果、キメラ抗体および変異体抗体で結合性は変化無かった(図1A,B,C)。実施例8 Ramos細胞における抗CD40抗体によるCD95発現抑制 4D11、F4-465およびKM281-1-10はアンタゴニスト抗体として知られている。抗体の持つアンタゴニスト活性が、定常領域の構造変化による影響を調べた。Ramos細胞は、CD40リガンドを添加することにより、CD95の発現上昇が観察される。このとき、抗体を添加することにより、CD95の発現上昇が抑制できるかどうかを指標に、抗体のアンタゴニスト活性を評価した。 1.0x106個/mlのRamos細胞懸濁液を96ウエルプレートに50μl/wellで播種した。培養上清又は精製抗体を2μg/mlに培地で調整し、96ウエルプレートに100μl/well添加した。可溶性CD40リガンド(ALEXIS CORPORATION)を4μg/mlと抗FLAG抗体(M2、シグマ)4μg/mlとを培地に添加し、96ウエルプレートに50μl/well添加した。一晩培養後、細胞を集めR-PE標識抗CD95抗体(Pharmingen NJ)を用い、FACSを使って解析した。 その結果、定常領域の構造変化によって、抗体のアンタゴニスト活性に変化は見られなかった(図2A,B,C,D)。実施例9 IgG4PEのCH3定常領域409番目部位の1アミノ酸残基変異体の作製 CH3ドメイン内の409番目のArg残基をLysへ変換するアミノ酸置換により、IgG4抗体の低pHにおける凝集体の生産が抑制されることが明らかになったので、当該部位を他の18種類のアミノ酸残基に置換したIgG4抗体(4D11-G4PE[R409A]、4D11-G4PE[R409D]、4D11-G4PE[R409E]、4D11-G4PE[R409F]、4D11-G4PE[R409G]、4D11-G4PE[R409H]、4D11-G4PE[R409I]、4D11-G4PE[R409L]、4D11-G4PE[R409M]、4D11-G4PE[R409N]、4D11-G4PE[R409P]、4D11-G4PE[R409Q]、4D11-G4PE[R409S]、4D11-G4PE[R409T]、4D11-G4PE[R409V]、4D11-G4PE[R409W]、4D11-G4PE[R409Y]、4D11-G4PE[R409C])についても作製して、低pHでの安定性について検討した。各変異体の発現ベクターは、実施例5に示したGeneEditor(登録商標) in vitro Site-Directed Mutagenesis System(プロメガ社)を用いた部位特異的変異導入法により作製した。部位特異的変異導入法の鋳型として抗CD40抗体発現ベクター(WO02/088186, 特願2003−431408に記載)のDNAを、また、変異導入用オリゴヌクレオチド(下記の合成DNAは全て5’末端リン酸化済み、下線で示す塩基はアミノ酸変異の導入部位にあたる)としては、R409A作製用:CTTCTTCCTCTACAGCGCGCTAACCGTGGACAAG(配列番号25)、R409D作製用:CTTCTTCCTCTACAGCGACCTAACCGTGGACAAG(配列番号26)、R409E作製用:CTTCTTCCTCTACAGCGAGCTAACCGTGGACAAG(配列番号27)、R409F作製用:CTTCTTCCTCTACAGCTTCCTAACCGTGGACAAG(配列番号28)、R409G作製用:CTTCTTCCTCTACAGCGGGCTAACCGTGGACAAG(配列番号29)、R409H作製用:CTTCTTCCTCTACAGCCACCTAACCGTGGACAAG(配列番号30)、R409I作製用:CTTCTTCCTCTACAGCATCCTAACCGTGGACAAG(配列番号31)、R409L作製用:CTTCTTCCTCTACAGCCTGCTAACCGTGGACAAG(配列番号32)、R409M作製用:CTTCTTCCTCTACAGCATGCTAACCGTGGACAAG(配列番号33)、R409N作製用:CTTCTTCCTCTACAGCAACCTAACCGTGGACAAG(配列番号34)、R409P作製用:CTTCTTCCTCTACAGCCCGCTAACCGTGGACAAG(配列番号35)、R409Q作製用:CTTCTTCCTCTACAGCCAGCTAACCGTGGACAAG(配列番号36)、R409S作製用:CTTCTTCCTCTACAGCAGCCTAACCGTGGACAAG(配列番号37)、R409T作製用:CTTCTTCCTCTACAGCACGCTAACCGTGGACAAG(配列番号38)、R409V作製用:CTTCTTCCTCTACAGCGTGCTAACCGTGGACAAG(配列番号39)、R409W作製用:CTTCTTCCTCTACAGCTGGCTAACCGTGGACAAG(配列番号40)、R409Y作製用:CTTCTTCCTCTACAGCTACCTAACCGTGGACAAG(配列番号41)、及びR409C作製用:CTTCTTCCTCTACAGCTGCCTAACCGTGGACAAG(配列番号42)の18種類のオリゴヌクレオチドを用いた。それぞれの部位特異的変異導入操作により得られた変異抗体発現ベクターの候補プラスミドDNAに関して、セレクション及び抗体コード部分の全塩基配列確認のためにDNA塩基配列解析を実施して、目的とするアミノ酸変異が導入された変異体の発現ベクター全18種類を取得した。実施例10 抗CD40抗体4D11-G4PEの409番目アミノ酸残基変異体の凝集体形成抑制評価 18種類の409番目アミノ酸残基変異体抗体と4D11-G4PE及び4D11-G4PE[R409K]を加えた20種類について、実施例2に従って、各発現ベクターDNAを培養細胞へトランスフェクションして蛋白発現を行い、培養上清から抗体蛋白質を精製した。それらの精製抗体について、実施例3に従って低pH(37℃)における安定性を測定した。各抗体サンプルを60分間低pH処理した時に生じる凝集体の含有率を表5に示した。表5に示すように、4D11-G4PE[R409K]と同程度まで凝集体の生成が抑制されるアミノ酸変換体はなかったが、4D11-G4PE[R409M]、4D11-G4PE[R409T]、及び4D11-G4PE[R409L]においては凝集体の含有率が5%以下であり、IgG4抗体の409番目のArg残基をLysへ変換した場合だけでなく、Met、Thr、Leuへのアミノ酸置換でも低pHにおける安定化が可能なことが確認された。 本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。 ヒトイムノグロブリンを構成する重鎖可変領域および重鎖定常領域並びに軽鎖可変領域および軽鎖定常領域を含み、且つ該重鎖定常領域のイムノグロブリンクラスがIgG4であるIgG4抗体であって、該重鎖定常領域において、KabatらによるEUインデックスにより示される409番目のアルギニンがリジン、スレオニン、メチオニンまたはロイシンに置換され、さらに228番目のセリンがプロリンおよび235番目のロイシンがグルタミン酸に置換されているIgG4抗体。 ハイブリドーマ4D11(受託番号:FERM BP−7758)により産生される抗体の重鎖可変領域、軽鎖可変領域を有する抗体である、請求項1に記載のIgG4抗体。 配列番号2の重鎖アミノ酸配列で示される重鎖の可変領域、および配列番号4の軽鎖アミノ酸配列で示される軽鎖の可変領域を含む、請求項1に記載のIgG4抗体。 配列番号1の重鎖核酸配列にコードされる重鎖の可変領域、および配列番号3の軽鎖核酸配列にコードされる軽鎖の可変領域を含む、請求項1に記載のIgG4抗体。 配列番号44の重鎖アミノ酸配列で示される重鎖において、KabatらによるEUインデックスにより示される重鎖定常領域の228番目のセリンがプロリン、235番目のロイシンがグルタミン酸、および409番目のアルギニンがリジン、スレオニン、メチオニンまたはロイシンに置換されている重鎖、および配列番号46の軽鎖アミノ酸配列で示される軽鎖を有する、請求項1に記載のIgG4抗体。 配列番号43の重鎖核酸配列にコードされる重鎖において、KabatらによるEUインデックスにより示される重鎖定常領域の228番目のセリンがプロリン、235番目のロイシンがグルタミン酸、および409番目のアルギニンがリジン、スレオニン、メチオニンまたはロイシンに置換されている重鎖、および配列番号45の軽鎖核酸配列にコードされる軽鎖を有する、請求項1に記載のIgG4抗体。 抗CD40抗体である、請求項1または2に記載のIgG4抗体。 ヒトイムノグロブリンを構成する重鎖可変領域および重鎖定常領域並びに軽鎖可変領域および軽鎖定常領域を含み、且つ該重鎖定常領域のイムノグロブリンクラスがIgG4であるIgG4抗体の製造方法であって、該重鎖定常領域に対して、KabatらによるEUインデックスにより示される409番目のアルギニンをリジン、スレオニン、メチオニンまたはロイシンに置換し、228番目のセリンをプロリンに置換し、および235番目のロイシンをグルタミン酸に置換する工程を含む、IgG4抗体の製造方法。 ヒトイムノグロブリンを構成する重鎖可変領域および重鎖定常領域並びに軽鎖可変領域および軽鎖定常領域を含み、且つ該重鎖定常領域のイムノグロブリンクラスがIgG4であるIgG4抗体の凝集抑制方法であって、該重鎖定常領域に対して、KabatらによるEUインデックスにより示される409番目のアルギニンをリジン、スレオニン、メチオニンまたはロイシンに置換することによる、IgG4抗体の凝集抑制方法。 請求項1〜7のいずれか1項に記載のIgG4抗体における、重鎖および軽鎖をコードする遺伝子を有する発現ベクターを作製し、該発現ベクターを宿主に導入し、該宿主を培養し、培養物から該IgG4抗体を取得することを特徴とする、IgG4抗体の製造方法。 配列番号1の重鎖核酸配列の可変領域および配列番号3の軽鎖核酸配列の可変領域を含みかつKabatらによるEUインデックスにより示される重鎖定常領域の228番目のセリンがプロリン、235番目のロイシンがグルタミン酸、および409番目のアルギニンがリジン、スレオニン、メチオニンまたはロイシンに置換されている重鎖を有する発現ベクターを作製し、該発現ベクターを宿主に導入し、該宿主を培養し、培養物から該抗体を取得することを特徴とする、抗体の製造方法。 配列番号47の重鎖核酸配列および配列番号45の軽鎖核酸配列を有する発現ベクターを作製し、該発現ベクターを宿主に導入し、該宿主を培養し、培養物から該抗体を取得することを特徴とする、抗体の製造方法。 請求項2〜7のいずれか1項に記載のIgG4抗体を有効成分とする医薬組成物。 請求項2〜7のいずれか1項に記載のIgG4抗体を有効成分とする移植拒絶、自己免疫疾患、癌、動脈硬化、腎炎、アルツハイマー病またはアミロイドーシスの治療剤。 ヒトイムノグロブリンを構成する重鎖可変領域および重鎖定常領域並びに軽鎖可変領域および軽鎖定常領域を含み、且つ該重鎖定常領域のイムノグロブリンクラスがIgG4であるIgG4抗体の製造方法であって、該重鎖定常領域においてKabatらによるEUインデックスにより示される409番目のアルギニンがリジン、スレオニン、メチオニンまたはロイシンに置換され、さらに228番目のセリンがプロリンおよび235番目のロイシンがグルタミン酸に置換されたヒトイムノグロブリンクラスがIgG4の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子を有する発現ベクターを作製し、該発現ベクターを宿主に導入し、該宿主を培養し、培養物から該抗体を取得することを特徴とする、安定化され精製されたIgG4抗体の製造方法。 ヒトイムノグロブリンを構成する重鎖可変領域および重鎖定常領域並びに軽鎖可変領域および軽鎖定常領域を含み、且つ該重鎖定常領域のイムノグロブリンクラスがIgG4であるIgG4抗体の製造方法であって、該重鎖定常領域に対して、KabatらによるEUインデックスにより示される409番目のアルギニンをリジン、スレオニン、メチオニンまたはロイシンに置換する工程を含む、当該置換前と比較して低pH条件下における凝集が抑制されたIgG4抗体の製造方法。 ヒトイムノグロブリンを構成する重鎖可変領域および重鎖定常領域並びに軽鎖可変領域および軽鎖定常領域を含み、且つ該重鎖定常領域のイムノグロブリンクラスがIgG4であるIgG4抗体の製造方法であって、該重鎖定常領域に対して、KabatらによるEUインデックスにより示される409番目のアルギニンをリジン、スレオニン、メチオニンまたはロイシンに置換する工程を含む、pH3.5で10分間または60分間処理した場合に形成される凝集体の含有率が10%以下であるIgG4抗体の製造方法。配列表