タイトル: | 公表特許公報(A)_イミペネム(imipenem)の新規な製造方法 |
出願番号: | 2006523142 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07D 477/00,C07D 487/04,C07B 61/00 |
ペ、ヒュン ソプ ホァン、テ ソプ アン、チャン ヨン オー、チャン フーン キム、ムー サン JP 2007501838 公表特許公報(A) 20070201 2006523142 20041209 イミペネム(imipenem)の新規な製造方法 チョンウェ ファーマ コーポレーション 505378002 特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ 110000040 ペ、ヒュン ソプ ホァン、テ ソプ アン、チャン ヨン オー、チャン フーン キム、ムー サン KR 10-2003-0088857 20031209 C07D 477/00 20060101AFI20070105BHJP C07D 487/04 20060101ALI20070105BHJP C07B 61/00 20060101ALN20070105BHJP JPC07D487/04 134C07D487/04C07B61/00 300 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW KR2004003224 20041209 WO2005056553 20050623 19 20060209 4C050 4H039 4C050KA11 4C050KB05 4C050KB12 4C050KB16 4C050KC05 4H039CA65 4H039CA99 4H039CB90 4H039CD10 本発明は下記化学式IIの化合物またはその誘導体と、化学式IIの化合物の製造方法とに関するものである。 [前記式で、R1はp−ニトロベンジルまたはp−メトキシベンジル基であり、R2およびR3は互いに同一であっても異なってもよく、それぞれは独立してC1-6アルキルまたはアリール基である。] また、本発明は、化学式IIの化合物を使用して下記化学式Iのイミペネムを製造する方法に関するものである。 前記化学式Iのイミペネムはベータ−ラクタム系抗生物質に属するカルバペネム系抗生物質である。 最初に発見されたカルバペネム系抗生物質は、1976年米国メルク社(Merck Co.)により、自然界に存在するストレプトミセスカトレア(streptomyces cattleya)から分離されたチエナマイシン(thienamycin)であった。 チエナマイシンは、優れた薬理効果にもかかわらず、化学的に非常に不安定であるため、未だ医薬品として開発されていない。チエナマイシンの薬理効果を保持しながらもチエナマイシンの化学的不安定性を克服するために、多くの試みがなされていた。たとえば、メルク社で合成した新規なチエナマイシン誘導体であるイミペネムは、チエナマイシンのアミン基をN−ホルムイミドイルに修飾して製造する。イミペネムは安定性の保障された新概念の抗生物質である。イミペネムは今まで治療剤として広く使用されている。カルバペネム系抗生物質としてのイミペネムは、カルバペネム環系を有する新型のベータ−ラクタム抗生物質のうち最初の使用可能な化合物で、ベータ−ラクタマーゼの存在下でさえ高い安定性を示す。また、イミペネムは、グラム陽性およびグラム陰性好気性および嫌気性の種に対して抗生物質の極めて広範囲なスペクトルを示す。イミペネムは、従来のセファロスポリン系抗生物質とは異なり、化学的全合成によってだけ製造される。 最初の工業的イミペネム合成は1981年に報告された。1989年以来、改良されたイミペネム合成法が提示されてきた。 米国特許第4,292,436号には、下記反応スキーム1に示すように、二環式ケトエステルを活性化させ、この活性化されたエステルとアミン基が保護されたN−ホルムイミドイル−2−アミノエタンチオール化合物を反応させた後、触媒として酸化白金を使用して触媒的水素添加を経ることで、中間体の分離なしに2−カルボキシル基およびアミン保護基を除去することにより、イミペネム一水和物をその場で製造する方法が開示されている。 [前記式で、Rは水素または保護基、Xは離脱基である。] しかし、この方法は、イミペネムは二環式ケトエステルから35%の低収率で製造され、保護されたN−ホルムイミドイル−2−アミノエタンチオール化合物を製造するのにさらに四段階を必要とするという面で欠点がある。また、この方法のほかの欠点は、N−ホルムイミドイル−2−アミノエタンチオール化合物を導入した後、大過剰の水(出発物質の660倍)と溶媒が洗浄に際して抽出用に必要なため、非経済的であるという欠点である。 一方、米国特許第4,845,261号および同第4,894,450号は、中間物の分離および精製なしに、二環式ケトエステルからイミペネムを4段階で連続的に製造する新規な方法を開示している。この方法の過程は反応スキーム2に示す。 [前記式で、R1はp−ニトロベンジル基である。] 反応スキーム1で表したように、4段階からなる方法が分離および精製過程を経なくてその場で進むため、最終生成物が不可避に多量の不純物を含んでいて、この不純物により最終生成物の分離および精製が難しくなる。さらに、この方法は、二環式ケトエステル前駆体を活性化させるため、高価なビス(ジクロロフェニル)ホスホロクロリデートを使用しなければならなかった。 反応スキーム2で反応溶媒として使用する高価なN−エチルピロリジノンは極性の高い有機溶媒であるため、反応終了後に生じる水溶液から溶媒を除去し難い。また、過剰の反応溶媒(出発物質の200倍)を使用すると、この方法の産業化に経済的負担となる。 米国特許第4,373,772号は、ストレプトミセスカトレヤ(streptomyces cattleya)から分離されたチエナマイシンを出発物質として使用してイミペネム一水和物を製造する半合成法を開示する。この方法の全過程は下記の反応スキーム3に表す。 ところが、反応スキーム3で表したように、化学的に不安定なチエナマイシンが微生物から少量で得られるため、この方法は経済的効率が低いという欠点がある。また、反応溶媒として過剰の水(出発物質の214倍)を使用するため、反応、分離および精製において困難が生じる。また、この方法は、所望の生成物のイミペネムとともに、所望でない反応副産物として5%以上の二量体ビス−チエナマイシンホルムアミジンが生成されるという欠点がある。 ランバックシ博士(Dr. Ranbaxy)はイミペネムの製造方法に関する国際PCT出願(特許文献1:WO02/36594)を出願した。この方法は、反応溶媒としてテトラヒドロフランおよび高価の1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−(2H)−ピリミジノンの混合溶媒を使用することを除き、メルク社の方法と類似している。しかし、前記特許公報は水素化触媒に関しては言及していない。また、結晶形の最終生成物イミペネムが、吸着クロマトグラフィーを使用して、出発物質としての二環式ケトエステルから23%の非常に低い収率で製造される。国際公開第WO02/36594号パンフレット 前述したように、従来のイミペネム製造方法によれば、中間体の分離および精製が不可能で不安定であるため、生成イミペネムは連続反応段階(現場での反応)で製造される。その結果、多量の不純物の生成を避けることができない。 このような理由で、多量の不純物により、後処理、分離および精製が難しくなり、最終生成物の収率および純度が低下する。 つまり、従来のイミペネム合成方法によれば、中間体の化学的安定性が乏しいことから中間体の分離なしに全体反応段階が連続的に進行するため、不純物の存在下でイミペネムの分離および精製を行うことになる。また、不純物の存在により、結晶化による分離が難しいので、最終生成物の収率および純度が低下する。 また、従来の方法は高価な反応溶媒と多量の溶媒(出発物質の200倍)を使用しなければならないため、経済的効率および産業的応用の面でよくないという問題点がある。 したがって、本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、化学式Iのイミペネム一水和物の製造に有用な化学式IIのアミンが保護された新規なチエナマイシン化合物と、化学式IIのチエナマイシン化合物の製造方法とを提供することにある。 本発明のほかの目的は、化学式IIのアミンが保護されたチエナマイシン化合物を使用してイミペネムを製造する方法を提供することにある。 前述したように、本発明の化学式IIの化合物またはその誘導体によれば、チエナマイシンのカルボキシル基およびアミン基にいろいろの保護基を効果的に導入することで、化学式Iのイミペネム一水和物の製造に使用されるイミペネム中間体としての化学式IIのアミンが保護されたチエナマイシン化合物を得ることができる。本発明の方法によれば、中間体が分離および精製されなくて生じる多量の不純物の存在によりイミペネム一水和物の収率が低下する問題点を解決することができる。また、化学式IIの新規中間体化合物から高純度のイミペネム一水和物を簡単に製造することができる。また、化学式Iのイミペネム一水和物の収率および品質を大幅に改善することができる。 本発明の方法は一般の有機溶媒および水を使用するため、反応終了後に溶媒が易しく除去される。また、保護基の除去のための水素添加反応に多量の水を含有するパラジウム触媒を使用するため、取扱い上の危険性が相当に減少するので、本発明の方法を緩やかな反応条件で進行させることができる。したがって、本発明の方法は経済的に有利であり、イミペネムを容易に製造することができる。 本発明の前記およびほかの目的、特徴および利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明から、より明確に理解することができるであろう。(実施例1) (5R,6S)p−ニトロベンジル−3−(ジフェニルホスホノ)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−7−オン−2−カルボキシレート((5R, 6S)p-nitrobenzyl-3-(diphenylphosphono)-6-[(lR)-1-hydroxyethyl]-1-azabicyclo [3.2.0] hept-2-ene-7-one-2-carboxylate)の製造 20.0gの下記式IIIの(5R,6S)p−ニトロベンジル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−3,7−ジオン−2−カルボキシレートをアセトニトリル(100ml)およびテトラヒドロフラン(100ml)の混合溶液に溶解した。反応温度は0℃〜−10℃に低下させた。この反応混合物に11.1gのN,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび18.5gのジフェニルクロロホスフェートを順次加えた。生じた混合物を、反応温度を−10℃に維持しながら、1.5〜2時間撹拌して、下記化学式IVのエノールホスフェートを製造した。さらに精製することなくつぎの段階で化学式IVのエノールホスフェートを使用した。 [前記式で、R1はp−ニトロベンジルである。] [前記式で、R1はp−ニトロベンジルである。] (実施例2) (5R,6S)p−ニトロベンジル−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−3−({2−[(1−イソプロピリデン)アミノ]エチル}チオ)−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−7−オン−2−カルボキシレート((5R, 6S) p-nitrobenzyl 6-[(lR)-1-hydroxyethyl]-3 ([2-[(1-isopropylidene) amino] ethyl] thio)-1-azabicyclo [3.2.0] hept-2-ene-7-one-2-carboxylate)の製造 実施例1で製造した化学式IVのエノールホスフェート誘導体の反応溶液を−40℃から−60℃に降温し、その後、これに7.8gの2−アミノエタンチオール塩酸塩および11.1gのジイソプロピルアミンを順次加えた。この反応混合物を同一温度で0.5〜1時間撹拌した。塩基の存在下で前記反応混合物にケトン型溶媒を添加し、撹拌して結晶化させた。得られた沈殿物を濾過し、ヘキサンで洗浄し、室温および減圧の条件下で乾燥させて、20.5gの化学式IIのアミンが保護されたチエナマイシンを収得した(収率:80.0%)。 1H-NMR (DMSO-d6, 300 MHz, ppm)δ1.14 (d, J = 6.3 Hz, 3H), 1.78 (s, 3H), 1.90 (s, 3H), 3.12 (m, 2H), 3.28 - 3.32 (m, 2H), 3.37 - 3.40 (m, 2H), 3.94 (m, 1H), 4.13 (dt, J = 2.4, 8.7 Hz, 1H), 5.07 (d, J = 5. 1Hz, 1H), 5.27 (d, J = 14. 1 Hz, 1H), 5.43 (d, J = 14.1 Hz, 1H), 7.70 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 8.22 (d, J = 8. 7 Hz, 2H) 質量:447.51 融点:148〜151℃ 色:黄白色。 (実施例3) (5R,6S)p−ニトロベンジル−3−[[2−[(ホルムイミドイルアミノ]エチル)チオ]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−7−オン−2−カルボキシレート((5R, 6S) p-nitrobenzyl-3-[[2-[(formimidoylamino) ethyl] thio]-6- [(1R)-1-hydroxyethyl]-1-azabicyclo [3.2.0] hept-2-ene-7-one-2-carboxylate]の製造 実施例2で製造した20.0gの化学式IIの中間体化合物を蒸留水およびテトラヒドロフランの混合溶媒に添加し、反応温度を5℃から−5℃以下に低下させた。この反応混合物に18mlのN−メチルモルホリンおよび30.8gのベンジルホルムイミデート塩酸塩を添加した。生じた混合物を0〜10℃で2〜3時間撹拌して化学式Vの化合物を収得し、これをさらなる精製なしで次の段階で使用した。 [前記式で、R1はp−ニトロベンジルである。] (実施例4) (+)−(5R,6S)−3−{[2−(ホルムイミドイルアミノ)エチル]チオ}−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボン酸(イミペネム)((+)-(5R, 6S)-3-[[2-(formimidoylamino) ethyl] thio]-6-[(R)-1-hydroxyethyl]-7-oxo-1-azabicyclo [3. 2. 0] hept-2-ene-2-carboxylic acid (imipenem))の製造 実施例3で製造した化学式Vのカルボキシル基が保護されたN−ホルムイミドイルチエナマイシンの反応溶液に、16gのN−メチルモルホリンを添加してpHを7.0〜8.0に調整した。この反応混合物に水含有パラジウム触媒を添加し、10〜25℃で保護基除去反応を進行させた。この際、水素圧力を4〜6kg/cm2に維持しながら前記反応を3時間持続し、その後、濾過により触媒を除去した。反応溶液のHPLC分析の結果、イミペネムが82%の収率で製造されたことが示された。この反応溶液を酢酸エチルで数回洗浄し、減圧下で蒸発させて残存有機溶媒を除去した。生じた水溶液を逆相クロマトグラフィーで精製した後、逆浸透技術を用いて濃縮した。この濃縮液にアセトンを添加し、2〜3時間撹拌して結晶化させた。この結晶化したイミペネム一水和物を濾過および洗浄し、減圧下で乾燥させることにより、8.6gの化学式Iの所望のイミペネム一水和物を収得した(収率:60%、純度(HPLC):99%)。 以下では、本発明によるイミペネムの製造方法(以下、“本方法”という)をメルク社の製造方法(米国特許第4,845,261号および同第4,894,450号参照、以下、“メルク社方法”という)を比較した。 <実験> メルク社方法によれば、中間体の分離なしにイミペネムが製造された。これに対し、本発明によれば、カルボキシル基が保護されたチエナマイシンからイミン化合物を製造し、分離してイミペネムを製造するのに使用した。その後、イミペネムの収率および含量を比較した。 <実験手順> メルク社方法の場合、TCIで市販しているビス(ジクロロフェニル)ホスホロクロリデートを使用したことを除き、米国特許第4,845,261号および同第4,894,450号に開示された方法によってイミペネムを製造した。 <結果> 本方法の実験結果とメルク社方法の実験結果を比較するため、つぎのサンプルを使用した: − ケトン化合物(化学式III) − イミン化合物(化学式II) − メルク社方法:ホルムイミデーションおよびイミペネム − 本発明の方法:ホルムイミデーションおよびイミペネム 本方法の実験結果とメルク社方法の実験結果を比較するために用いたLC分析用装置および条件は以下のとおりである: 1)分析装置 −アライアンス(Alliance)2695および2996 PDAシステム −ワークステーション:Empower −カラム:C18、ODS、4.6×260mm、5μm 2)分析条件 i)HPLC −流速:1.0mL/分 −注入量:5μl −サンプリング:1/10希釈(移動相Bによる) −実行時間:50分 −カラム温度:室温 −自動サンプラー温度:4℃ −検出器:254nm ii)移動相 −移動相A:(NH4)2HPO4緩衝液 −移動相B:MeOH/ACN=1:1 −移動相の勾配条件を下記表1に示す: <実験結果> 1)ケトン化合物の純度 ケトン化合物はメルク社方法および本方法で共に使用する反応化合物である。本方法で製造したケトン化合物をメルク社方法に使用した。ケトン化合物の純度は下記表2に示す。 ケトン化合物の純度を示すLCクロマトグラムを図1に示す。 2)イミン化合物の純度 本方法により分離されたイミン化合物は、本方法とメルク社方法を区別する化合物であり、本実験目的の重要な化合物である。表3はイミン化合物の純度を表す。 イミン化合物の純度を示すLCクロマトグラムは図1に示す。 3)メルク社方法と本方法の各段階別純度比較 表4は両方法の各段階別純度を表す。 4)メルク社方法と本方法の各段階別収率の比較(理論値対比) 表5は両方法の各段階別収率を表す。 メルク社方法はイミン化合物の製造段階を含んでいないため、イミン化合物含量は算出することができない。各段階別理論含量は対応収率が100%であるときに得られる含量を表す。 イミペネム含量はイミペネム一水和物の含量に基づいて算出した。水含量およびそのほかの要因は較正から排除した(液状であるため、要因値を正確に計算することができない)。 イミペネム含量は、算出されたピーク面積とUSP標準試薬のピーク面積を比較することにより得た。 図3ないし図6はそれぞれメルク社−ホルムイミデーション、メルク社−水素添加、CWP−ホルムイミデーション、およびCWP−水素添加を示すLCクロマトグラムである。 前記実験値から明らかであるように、イミン化合物を分離してイミペネムを製造した本方法は、ホルムイミデーション後に得た化合物の含量と最終生成物のイミペネムの含量で、メルク社方法に比べて優れていた。 本発明の一観点によれば、前記目的は下記化学式IIの化合物またはその誘導体により達成可能である。 [前記式で、R1はp−ニトロベンジルまたはp−メトキシベンジル基であり、R2およびR3は互いに同一であっても異なってもよく、それぞれは独立してC1-6アルキルまたはアリール基である。] 本発明のほかの観点によれば、下記化学式IVの化合物またはその誘導体を塩基の存在下で2−アミノエタンチオール塩酸塩とカップリングさせた後、ケトンと反応させることにより、化学式IIの化合物を製造する方法が提供される。 [前記式で、R1はp−ニトロベンジルまたはメトキシベンジル基である。] 前記ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン、ジフェニルケトン、およびその混合物からなる群より選択される。 化学式IVの化合物またはその誘導体は、下記化学式IIIの化合物を塩基の存在下でジフェニルクロロホスフェートと縮合反応させることにより得られる。 [前記式で、R1はp−ニトロベンジルまたはp−メトキシベンジル基である。] 反応溶媒としては、アセトニトリルおよびテトラヒドロフランの混合溶媒を使用する。 反応温度は0℃〜−10℃の範囲内である。 本発明のさらにほかの観点によれば、下記化学式Iの化合物を製造する方法であって、化学式IIの化合物を塩基の存在下でイソプロピルホルムイミデートまたはベンジルホルムイミデートと反応させて下記化学式Vの化合物を得、前記化学式Vの化合物を金属触媒の存在下で水素添加反応させた後、水素添加化合物を分離し、この分離された化合物をアルコールまたはケトンの存在下で結晶化させることにより、下記化学式Iの化合物を製造する方法が提供される。 [前記式で、R1はp−ニトロベンジルまたはp−メトキシベンジル基である。] 前記水素添加反応は、4〜6kg/cm2の水素圧で過剰の水を含有するパラジウム触媒の存在下で実施する。 前記反応の溶媒としては、水およびテトラヒドロフランの混合溶媒を使用する。 以下、本発明をより詳細に説明する。 本発明によれば、化学式IVのエノールホスフェート誘導体を2−アミノエタンチオール塩酸塩とカップリングさせた後、適切なケトンと反応させることにより、化学式IIのアミンが保護されたチエナマイシン化合物が製造される。このように製造されたアミンが保護されたチエナマイシン化合物は、化学式Iのイミペネム一水和物の製造に有用である。 本発明によれば、従来のイミペネムの製造方法に使用されたチエナマイシン誘導体のカルボキシル基またはアミン基にいろいろの保護基を効果的に導入することにより、カルバペネム中間体として化学式IIのアミンが保護されたチエナマイシン化合物を製造する。このように製造されたアミンが保護されたチエナマイシン化合物は室温で安定であり、低温で長期間保管可能である。 すなわち、本発明によれば、化学式IIIの二環式ケトエステルを塩基の存在下でジフェニルクロロホスフェートと縮合させて、化学式IVのエノールホスフェート化合物を製造する。 前記化学式IVのエノールホスフェート誘導体は、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルおよびジオキサンなどのエーテルとアセトニトリルから選択された極性溶媒中で製造された後、このエノールホスフェート誘導体を塩基の存在下で2−アミノエタンチオール塩酸塩とカップリングさせることで、チエナマイシン誘導体を製造する。その後、アセトン、メチルエチルケトンまたはジフェニルケトンなどの一般のケトンを前記チエナマイシン誘導体に添加して化学式IIのアミンが保護されたチエナマイシン化合物を製造し、これを分離および結晶化する。 従来のイミペネムの製造方法とは異なり、チエナマイシンのカルボキシル基およびアミン基にいろいろの保護基を効果的に導入して、カルバペネム中間体として化学式IIのアミンが保護されたチエナマイシン化合物を製造する。化学式IIの化合物は、室温で安定であり、低温で長期間保管可能である黄白色結晶形態の新規化合物である。また、化学式IIの化合物は、イミペネム中間体の製造用中間体として、およびその他のカルバペネム抗生剤製造において有用である。 また、本発明によれば、新規な中間体としてのアミンが保護されたチエナマイシン化合物は、化学式Iのイミペネム一水和物の製造に効果的に使用される。 また、本発明によれば、化学式IIの化合物を塩基の存在下でイソプロピルホルムイミデート塩酸塩またはベンジルホルムイミデート塩酸塩と反応させて、化学式Vのカルボキシル基が保護されたイミペネムを製造し、このカルボキシル基が保護されたイミペネムを金属触媒の存在下で水素添加させて保護基を除去した後、適切な処理により水溶液を得、これを逆相カラムクロマトグラフィーで分離し、適切なアルコールまたはケトン中で結晶化させることで、化学式Iの高純度イミペネム一水和物を高収率で製造することができる。 産業上の利用可能性 前述したように、本発明の化学式IIの化合物またはその誘導体によれば、チエナマイシンのカルボキシル基およびアミン基にいろいろの保護基を効果的に導入して、イミペネム中間体として化学式IIのアミンが保護されたチエナマイシン化合物を製造するが、これは化学式Iのイミペネム一水和物の製造に使用される。本発明の方法によれば、中間体を分離および生成しないことにより生じる、多量の不純物の存在によるイミペネム一水和物の低収率の問題点を解決することができる。また、化学式IIの新規中間体化合物から高純度のイミペネム一水和物を簡単に製造することができる。また、化学式Iのイミペネム一水和物の収率および品質が大幅に改善できる。 本発明の方法は一般の有機溶媒および水を使用するので、反応終了後に溶媒を容易に除去することができる。また、保護基を除去するための水素添加反応に多量の水を含有するパラジウム触媒を使用するので、取扱い上の危険が相当に減少して、本発明の方法を緩やかな反応条件で進行することができる。したがって、本発明の方法は経済的に有利であり、イミペネムを易しく製造することができる。図1はケトン化合物の純度を示すLCクロマトグラムである。図2はイミン化合物の純度を示すLCクロマトグラムである。図3はメルク社のホルムイミデーションを示すLCクロマトグラムである。図4はメルク社の水素添加反応を示すLCクロマトグラムである。図5はCWP(中外製薬)のホルムイミデーションを示すLCクロマトグラムである。図6はCWPの水素添加を示すLCクロマトグラムである。 下記化学式IIの化合物またはその誘導体。 [前記式で、R1はp−ニトロベンジルまたはp−メトキシベンジル基であり;R2およびR3は互いに同一であっても異なってもよく、それぞれは独立してC1-6アルキルまたはアリール基である。] 下記化学式IIの化合物を製造する方法であって、 [前記式で、R1はp−ニトロベンジルまたはp−メトキシベンジル基であり;R2およびR3は互いに同一であっても異なってもよく、それぞれは独立してC1-6アルキルまたはアリール基である] 前記方法が、下記化学式IVの化合物またはその誘導体を塩基の存在下で2−アミノエタンチオール塩酸塩とカップリングさせた後、ケトンと反応させることにより化学式IIの化合物を製造する方法。 [前記式で、R1はp−ニトロベンジルまたは p−メトキシベンジル基である。] 前記ケトンが、アセトン、メチルエチルケトン、ジフェニルケトン、およびその混合物からなる群より選択される請求項2に記載の方法。 化学式IVの化合物またはその誘導体が、下記化学式IIIの化合物を塩基の存在下でジフェニルクロロホスフェートと縮合させることにより得られる請求項2または3に記載の方法。 [前記式で、R1はp−ニトロベンジルまたはp−メトキシベンジル基である。] 前記反応溶媒が、アセトニトリルおよびテトラヒドロフランの混合溶媒である請求項4に記載の方法。 前記反応温度が、0℃〜−10℃の範囲内である請求項4に記載の方法。 下記化学式Iの化合物を製造する方法であって、前記方法が、下記化学式IIの化合物を塩基の存在下でイソプロピルホルムイミデートまたはベンジルホルムイミデートと反応させて下記化学式Vの化合物を得、前記化学式Vの化合物を金属触媒の存在下で水素添加反応させた後、水素添加化合物を分離し、この分離された化合物をアルコールまたはケトンの存在下で結晶化させることにより化学式Iの化合物を製造する方法。 [前記式で、R1はp−ニトロベンジルまたはp−メトキシベンジル基であり、R2およびR3は互いに同一であっても異なってもよく、それぞれは独立してC1-6アルキルまたはアリール基である。] [前記式で、R1はp−ニトロベンジルまたはp−メトキシベンジル基である。] 前記水素添加反応が、4〜6kg/cm2の水素圧で過剰の水を含有するパラジウム触媒の存在下で実施される請求項7に記載の方法。 前記反応溶媒が、水およびテトラヒドロフランの混合溶媒である請求項7に記載の方法。 【課題】【解決手段】 下記化学式IIの化合物またはその誘導体、および化学式IIの化合物の製造方法を開示する。また、化学式IIの化合物を使用して下記化学式Iのイミペネムを製造する方法を開示する。 【化1】 前記式で、R1はp−ニトロベンジルまたはp−メトキシベンジル基であり;R2およびR3は互いに同一であっても異なってもよく、それぞれは独立してC1-6アルキルまたはアリール基である。【選択図】なし