タイトル: | 特許公報(B2)_睡眠改善用組成物 |
出願番号: | 2006512057 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 31/198,A61K 36/28,A61K 36/53,A61K 31/197,A61P 25/20 |
小関 誠 八尾 治夫 大久保 勉 ジュネジャ レカ ラジュ JP 4951162 特許公報(B2) 20120316 2006512057 20050401 睡眠改善用組成物 太陽化学株式会社 000204181 小林 洋平 100108280 小関 誠 八尾 治夫 大久保 勉 ジュネジャ レカ ラジュ JP 2004111726 20040406 20120613 A61K 31/198 20060101AFI20120524BHJP A61K 36/28 20060101ALI20120524BHJP A61K 36/53 20060101ALI20120524BHJP A61K 31/197 20060101ALI20120524BHJP A61P 25/20 20060101ALI20120524BHJP JPA61K31/198A61K35/78 TA61K35/78 QA61K31/197A61P25/20 A61K 31/00-80 CA/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開2003−164259(JP,A) 特開2002−306142(JP,A) 特開2001−086954(JP,A) 特開2000−247878(JP,A) 特開2003−183174(JP,A) 国際公開第01/058435(WO,A1) 特開2003−335691(JP,A) New薬理学,株式会社 南江堂,1997年,第3版,pp.114-123 1 JP2005006468 20050401 WO2005097101 20051020 22 20080324 安居 拓哉 本発明は、テアニンを含有する睡眠改善用組成物、該組成物を含有する食品および医薬品、テアニンを用いる睡眠改善方法、ならびに前記食品または医薬品の製造のためのテアニンの使用に関する。 人生の3分の1を占める「眠り」は人間にとって重要な行為の一つである。しかし近年、特に都市生活者においては、活動時間のずれによる昼夜の逆転現象などの生活のリズムの乱れ、ストレスに加え、運動不足の影響もあり、睡眠不足、不眠症を訴える人が増加している。現代においては、5人に1人が睡眠に関して何らかの不満を持っており、10人に1人が1ヶ月以上の不眠を訴えていると言われている。また、睡眠障害に関する実地調査によると、睡眠障害が引き起こす交通事故等の国民の経済損失は年間1兆4000億円と算定されている。さらに、睡眠障害についての医療費の支出も全国で年間5000億円を国民が負担しており、睡眠薬にかかる医療コストだけでも最低1825億円が支出されていると推定されている。 種々の天然成分が睡眠におよぼす効果は広く知られている。例えば、ヒノキやヒバなどの針葉樹に含まれる香気成分の一つであるセドロールには交感神経を抑制し副交感神経活動を優位にさせることが報告されており、更に睡眠においては総睡眠時間の延長、入眠潜時の短縮、睡眠効率の上昇が認められている(特許文献1)。西洋ハーブの一種であるバレリアンには鎮静効果があることが知られており、ヒト臨床試験において睡眠潜時の減少、睡眠の質の改善、徐波睡眠の延長などが確認されている(非特許文献1、非特許文献2)。 また、漢方薬として広く使われている高麗人参エキスには、ラットを用いた試験において、睡眠促進作用、絶食により睡眠リズムを変化をきたした睡眠を正常に戻す作用などが報告されている(非特許文献3、非特許文献4)。さらに、イクラ油に含まれるフォスファチジルコリン(PC)の睡眠に対する主要機能成分であるsa-2位DHA結合PCの1-オレオイル-2-DHA-sn-3-ホスホコリンをラットに投与すると、24時間中の総睡眠時間、レム睡眠時間および総睡眠時間に対するレム睡眠時間を増加させることなどが報告されている(非特許文献5)。 しかしながら、上述したヒバの香気成分であるセドロールは揮発性物質であり経口摂取する食品や医薬品形態で使用しにくい。また、バレリアン、高麗人参エキスおよびフォスファチジルコリンについては、詳細な睡眠改善効果に関しては未だ研究開発が進んでいなかった。再公表特許WO01/058435号公報Peter D. Leatherwood, Francoise Chaffard, Eva A Heck and Raphael Munoz-Box:Aqueous Extraction of Valerian Root (Valeriana offcinalis L.) improving Sleep Quantity in Man, Pharmacology Biochemistry & Behavior, Vol 17, pp. 65-71, 1982Olov Lindahl and Lars Lindwall, Double Blind Study of a Valerian Preparation, Pharmacology Biochemistry & Behavior, Vol 32, pp.1065-1066, 1989Young Ho Rhee, Sung Pil Lee, Kazuki Honda, and Shojiro Inoue:Panax ginseng Extract Modulates Sleep in Unrestrained Rats, Psychopharmacology, 101, pp.486-488, 1990Sung Pil Lee, Kazuki Honda, Young Ho Rhee and Shojiro Inoue:Chronic Intake of Panax ginseng, Extract Stabilizes Sleep and Wakefulness in Food-deprived Rats, Neuroscinence Letters, 111, pp217-221, 1990日比野英彦, PC-DHAと睡眠, Food Style 21, Vol.7, No.3, pp50-53, 2003 本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、テアニン及びその他の併用物を含有することを特徴とする睡眠改善用組成物を提供することにある。より詳しくは、睡眠障害を有する個体に適用するための食品および医薬品を提供することにある。さらに、本発明の目的は、睡眠障害を有する個体に投与する睡眠改善方法、ならびに前記食品または医薬品の製造のためのテアニンの使用を提供することにある。 上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、(a)テアニンと、(b)カモミール、ラベンダー、セイントジョーンズワード、カワカワ、バレリアン、パッションフラワー、トリプトファン、5−HTP、セロトニン、γ−アミノ酪酸、メラトニン、及びセドロールからなる群から選択される少なくとも1つ以上の成分とを併用することにより、テアニンが有する睡眠促進効果を更に有効に発揮させること、及びその併用が問題とすべき副作用を伴わないことを見出し、基本的には本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、〔1〕(a)テアニンと、(b)カモミール、ラベンダー、セイントジョーンズワード、カワカワ、バレリアン、パッションフラワー、トリプトファン、5−HTP、セロトニン、γ−アミノ酪酸、メラトニン、及びセドロールからなる群から選択される少なくとも1つ以上の成分とを含有することを特徴とする睡眠改善用組成物、[2]睡眠改善効果が起床時の眠気の改善によることを特徴とする前記[1]記載の睡眠改善用組成物、[3]睡眠改善効果が睡眠時間を延長することである前記[1]記載の睡眠改善用組成物、[4]前記〔1〕〜[3]のいずれかに記載の組成物を含有することを特徴とする食品、[5]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物を含有することを特徴とする医薬品、[6](a)テアニンと、(b)カモミール、ラベンダー、セイントジョーンズワード、カワカワ、バレリアン、パッションフラワー、トリプトファン、5−HTP、セロトニン、γ−アミノ酪酸、メラトニン、及びセドロールからなる群から選択される少なくとも1つ以上の成分とを含有する組成物を投与することを特徴とする睡眠改善方法、[7]睡眠障害を有する個体に適用するための食品または医薬品の製造のための(a)テアニンと、(b)カモミール、ラベンダー、セイントジョーンズワード、カワカワ、バレリアン、パッションフラワー、トリプトファン、5−HTP、セロトニン、γ−アミノ酪酸、メラトニン、及びセドロールからなる群から選択される少なくとも1つ以上の成分との使用に関する。 本発明の睡眠改善用組成物(以下、単に「組成物」と言うことがある)は、種々の原因により生ずる様々な睡眠障害を緩和又は改善することを目的として日常的に使用することができる。本発明の組成物によれば、睡眠障害における少なくとも1つ以上の症状を改善することができる。睡眠障害における症状の改善効果としては、例えば「起床時の眠気」、「起床時の疲労軽減」、「睡眠時間の延長」、「入眠改善」、「夢みの改善」、「中途覚醒の減少」、「睡眠後半の中途覚醒の減少」、「睡眠効率の改善」からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上のものが例示される。このうち特に、「起床時の眠気」を改善し、「睡眠時間の延長」について効果が見られた。 本発明の組成物における所望の効果の発現は、かかる組成物に含有される(a)テアニンと、(b)カモミール、ラベンダー、セイントジョーンズワード、カワカワ、バレリアン、パッションフラワー、トリプトファン、5−HTP、セロトニン、γ−アミノ酪酸、メラトニン、及びセドロールからなる群から選択される少なくとも1つ以上の成分との併用において初めて見出された睡眠改善効果に基づくものである。実施例における実験スケジュールを示す図である。睡眠時間、及び睡眠時間の延長に関する評価を示すグラフである。 次に、本発明の実施形態について、詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、下記の実施形態によって限定されるものではなく、その要旨を変更することなく、様々に改変して実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。 本発明に用いられるテアニンとは、茶葉に含まれているグルタミン酸誘導体で、茶の旨味の主成分であって、呈味を用途とする食品添加物として使用されている。本発明に用いられるテアニンの製造法としては、例えば、茶葉から抽出する方法、有機合成反応させてテアニンを得る方法(Chem.Pharm.Bull.,19(7)1301−1307(1971))、グルタミンとエチルアミンの混合物にグルタミナーゼを作用させてテアニンを得る方法(特公平7−55154号)、エチルアミンを含有する培地で茶の培養細胞群を培養し、培養細胞群中のテアニン蓄積量を増加させつつ培養細胞群の増殖促進を図る方法(特開平5−123166号)、また、特公平7−55154号、開平5−123166号におけるエチルアミンをエチルアミン塩酸塩などのエチルアミン誘導体に置き換えてテアニンを得る方法等があり、これらのいずれの方法によって得られたものでも良く、これ以外の方法によって製造されたものでも良い。茶葉としては、緑茶、ウーロン茶、紅茶等が例示される。 このような方法により得られたテアニンは、L−体、D−体、DL−体いずれも使用可能であるが、これらのうち、特にL−体は食品添加物にも認められており、経済的にも利用しやすいことから、L−体を用いることが好ましい。 本発明の組成物の投与方法、投与回数、投与期間等は、特に限定されるものではなく、ヒト、好ましくは睡眠障害の緩和または改善を所望するヒトに対し、たとえば1回または複数回に分けて、適当な投与形態、好ましくは経口投与により投与することができる。また、本発明の組成物を、日常的に摂取することにより睡眠障害を予防することもできる。 本発明に用いられるテアニンの安全性は高く、例えばマウスを用いた急性毒性試験において、5g/kgの経口投与でも死亡例がなく、一般状態および体重等に異常は認められない。また、特にテアニンは茶のうまみ成分として知られているものであり、呈味を用途とする食品添加物としても使用され、食品衛生法上、その添加量に制限はない。しかも、従来の薬物と異なり、テアニンによる副作用は全く認められないので、本発明の組成物によれば、安全かつ効果的に睡眠改善用組成物として使用できる。 上記のように、安全上の観点からは、テアニンについての用量上限は認められない。但し、経済上の観点及び実際に摂取する際の観点から見ると、テアニンの一回当り用量は、0.01mg/kg体重〜100mg/kg体重であり、好ましくは0.1mg/kg体重〜80mg/kg体重であり、更に好ましくは1mg/kg体重〜50mg/kg体重である。また、本発明に用いるテアニンは、精製品(テアニン含量98%以上)、粗精製品(テアニン含量50%〜98%)、抽出エキス(テアニン含量10%〜50%)等のいずれの形態でも良い。 (a)テアニンとの併用物として、(b)カモミール、ラベンダー、セイントジョーンズワード、カワカワ、バレリアン、パッションフラワー、トリプトファン、5−HTP、セロトニン、γ−アミノ酪酸、メラトニン、及びセドロールからなる群から選択される少なくとも1つ以上の成分(以下、「その他の成分」ということがある)が挙げられるが、これらは(A)ハーブとしてのカモミール、ラベンダー、セイントジョーンズワード、カワカワ、バレリアン、パッションフラワー、(B)化合物としてのトリプトファン、5−HTP、セロトニン、γ−アミノ酪酸、メラトニン、及び(C)香気成分としてのセドロールとして分類することができる。 (A)ハーブについて カモミールとは、古代エジプト時代から使われた最も古いハーブのひとつであり、ヨーロッパ原産のキク科の植物を意味している。カモミールには、一年草のジャーマン・カモミール、多年草のローマン・カモミール等が知られているが、本発明には、いずれのカモミールを用いることもできる。カモミールの一回当り用量は、0.004mg/kg体重〜6000mg/kg体重であり、好ましくは0.6mg/kg体重〜4800mg/kg体重であり、更に好ましくは0.6mg/kg体重〜1500mg/kg体重である。また、テアニンとカモミールとを併用する場合には、その質量比は、カモミール/テアニン=0.4〜60、好ましくは6〜60、更に好ましくは6〜30とする。 ラベンダーとは、良く知られているハーブであり、数多くの品種がある。代表的なものとして、イングリッシュラベンダーとフレンチラベンダーが例示されるが、本発明には、いずれのラベンダーも用いることができる。ラベンダーの一回当り用量は、0.003mg/kg体重〜3000mg/kg体重であり、好ましくは0.2mg/kg体重〜600mg/kg体重であり、更に好ましくは2mg/kg体重〜600mg/kg体重である。また、テアニンとラベンダーとを併用する場合には、その質量比は、ラベンダー/テアニン=0.3〜30、好ましくは2〜12、更に好ましくは2〜6とする。 セイントジョーンズワードとは、オトギリ草科の多年草(西洋オトギリ草)であり、ヨーロッパでは古くから用いられてきた。セイントジョーンズワードの一回当り用量は、0.001mg/kg体重〜2000mg/kg体重であり、好ましくは0.2mg/kg体重〜480mg/kg体重であり、更に好ましくは1mg/kg体重〜150mg/kg体重である。また、テアニンとセイントジーンズワードとを併用する場合には、その質量比は、セイントジョーンズワード/テアニン=0.1〜20、好ましくは2〜6、更に好ましくは1〜3とする。 カワカワとは、ポリネシア原産のコショウ科のハーブの一種であり、ミクロネシア、ポリネシア、メラネシアなどのオセアニア諸島一帯に住む人々に使用されている。カワカワの一回当り用量は、0.0002mg/kg体重〜1000mg/kg体重であり、好ましくは0.04mg/kg体重〜160mg/kg体重であり、更に好ましくは0.4mg/kg体重〜160mg/kg体重である。また、テアニンとカワカワとを併用する場合には、その質量比は、カワカワ/テアニン=0.02〜10、好ましくは0.4〜2、更に好ましくは0.4〜1とする。 バレリアンとは、ヨーロッパを原産とするオミナエシ科の植物であり、バレラノン、バレレナール酸などを含有している。バレリアンの一回当り用量は、0.002mg/kg体重〜4000mg/kg体重であり、好ましくは0.4mg/kg体重〜1600mg/kg体重であり、更に好ましくは2mg/kg体重〜500mg/kg体重である。また、テアニンとバレリアンとを併用する場合には、その質量比は、バレリアン/テアニン=0.2〜40、好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜10とする。 パッションフラワーとは、北米南東部原産のトケイソウ科の多年生つる植物であり、北米先住民の間で緊張を和らげ、眠りを深める植物性のトランキライザ−として伝統的に使われてきたハーブの一種である。パッションフラワーの一回当り用量は、0.002mg/kg体重〜8000mg/kg体重であり、好ましくは0.5mg/kg体重〜1040mg/kg体重であり、更に好ましくは5mg/kg体重〜500mg/kg体重である。また、テアニンとパッションフラワーとを併用する場合には、その質量比は、パッションフラワー/テアニン=0.2〜80、好ましくは5〜13、更に好ましくは5〜10とする。 (B)化合物について トリプトファンとは、アミノ酸の一種であり、体内の睡眠化学物質セロトニン及び睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの元となる。トリプトファンの一回当り用量は、0.0005mg/kg体重〜10000mg/kg体重であり、好ましくは0.01mg/kg体重〜1600mg/kg体重であり、更に好ましくは1mg/kg体重〜100mg/kg体重である。また、テアニンとトリプトファンとを併用する場合には、その質量比は、トリプトファン/テアニン=0.05〜100、好ましくは0.1〜20、更に好ましくは1〜2とする。 5−HTP(5−ヒドロキシトリプトファン)とは、トリプトファンが脳内に入った後に生成される物質であり、セロトニンの前駆体となる。5−HTPの一回当り用量は、0.005mg/kg体重〜1000mg/kg体重であり、好ましくは0.01mg/kg体重〜400mg/kg体重であり、更に好ましくは1mg/kg体重〜150mg/kg体重である。また、テアニンと5−HTPとを併用する場合には、その質量比は、5−HTP/テアニン=0.5〜10、好ましくは0.1〜5、更に好ましくは1〜3とする。 セロトニンとは、脳内における神経伝達物質の一つであり、覚醒・睡眠・自発運動・摂食・飲水行動・攻撃性・学習記憶能力・性行動・中枢性血圧調整等の幅広い整理機能をコントロールしており、セロトニン量が低下すると、不安感や睡眠障害、うつ症状などが生じると言われている。セロトニンの一回当り用量は、0.005mg/kg体重〜1000mg/kg体重であり、好ましくは0.01mg/kg体重〜400mg/kg体重であり、更に好ましくは1mg/kg体重〜150mg/kg体重である。また、テアニンとセロトニンとを併用する場合には、その質量比は、セロトニン/テアニン=0.1〜10、好ましくは0.5〜5、更に好ましくは1〜3とする。 γ−アミノ酪酸(GABA)とは、動植物界に広く分布するγ-アミノ酪酸というアミノ酸の一種であり、哺乳類の脳や髄に存在する抑制系の神経伝達物質である。GABAは、血圧上昇抑制、中性脂肪の増加抑制、脳の血行改善、臓器への血流量増加、中枢神経の鎮静などの作用があるとされる。GABAの一回当り用量は、0.0005mg/kg体重〜10000mg/kg体重であり、好ましくは0.01mg/kg体重〜1600mg/kg体重であり、更に好ましくは1mg/kg体重〜100mg/kg体重である。また、テアニンとGABAとを併用する場合には、その質量比は、GABA/テアニン=0.05〜100、好ましくは0.1〜20、更に好ましくは1〜2とする。 メラトニンとは、人間の脳内にある松果体から出るホルモンの一種であり、周囲の明暗に合わせて分泌の多少が調節されている(つまり、暗いと多く、明るいと少なく分泌される)。それにより、哺乳類の機能を環境の光周期に同調させる役割を演じていると考えられている。メラトニンの一回当り用量は、0.005mg/kg体重〜1000mg/kg体重であり、好ましくは0.01mg/kg体重〜400mg/kg体重であり、更に好ましくは1mg/kg体重〜150mg/kg体重である。また、テアニンとメラトニンとを併用する場合には、その質量比は、メラトニン/テアニン=0.1〜10、好ましくは0.5〜5、更に好ましくは1〜3とする。 (C)香気成分について セドロールとは、スギやヒノキなどに含まれる樹木の天然香気成分のひとつである。セドロールは揮発性成分であることから、使用する場合には、鼻から吸入可能な気化物とすることが好ましい。セドロール空気中の濃度は、0.01μg/L〜100μg/L、好ましくは0.1μg/L〜10μg/L、更に好ましくは0.5μg/L〜5μg/Lである。 本発明品である組成物は、そのまま、或いは乾燥食品、サプリメント、清涼飲料・ミネラルウォーター・嗜好飲料・アルコール飲料などの液状食品、錠剤、カプセル、粉末剤、顆粒剤、ドリンク剤等の剤形、気化物として摂取することができる。 本発明における睡眠改善とは、心理的評価技術を用いた主観的な判断による睡眠感または活動量連続記録による睡眠・覚醒状態推定技術において客観的に睡眠状態が改善されることを意味している。 睡眠状態の判定に用いる診断方法には、主にアメリカ睡眠障害連合会が中心となり作成した睡眠障害国際分類、アメリカ精神医学界が作成した精神障害の診断・統計マニュアルDMS−IVの睡眠障害の項目、およびWHOの診断基準であるICDの睡眠障害の項目の3つの診断分類があり、数多くの睡眠障害の病名が列挙されている。 本発明における睡眠感とは、眠りについての主観的感覚について睡眠の深さや一夜の熟眠感についての内省報告である。また、睡眠感とは睡眠に対する各人固有の心的構えであり、情動レベル、認知レベル、行動レベルの3水準に関する判断結果の集合である。起床時に昨晩から今朝にかけての睡眠感を調べるには、OSA睡眠調査票を用いることができる。OSA睡眠調査票は睡眠に関する内省を標準化した調査票であり、第1版、第2版、MA版などがある。OSA睡眠調査票MA版(以下、「OSA-MA」と言う。山本由華吏, 田中秀樹, 高瀬美紀, 山崎勝男, 阿住一雄, 白川修一郎:中高年・高齢者を対象としたOSA睡眠調査票(MA版)の開発と標準化, 脳と精神の医学, vol.10, pp401-409, 1999)は、起床時眠気、入眠と睡眠維持、夢み、疲労回復、睡眠時間の5因子からなり、各因子の信頼性、妥当性ともに検証されている。 本発明における疲労とは、主に精神性疲労のことであり、睡眠状態が良好なときには起床時に疲労が回復したと感じる。疲労は、生体がある機能を発揮した結果その機能が低下する現象や、繰り返し力を出したり運動したときに、作業能力や運動能力が減退することを意味する。また、疲労の回復とは、機能が低下した状態から、生体が本来もっている水準にまで戻ることを意味する。生体の疲労は、筋肉などの身体性疲労と、脳や感覚系などの精神性疲労に分類され、睡眠は主に脳における精神性疲労の回復に重要な役割を果たす。 本発明における睡眠時間の延長感とは、実質的な睡眠時間を意味するのではなく、主観的に睡眠時間が延長したと自覚すること意味する。睡眠時間が延長したと感じる要因としては、中途覚醒が減少したり、早朝覚醒が改善されたりすることによるものと考えられる。 本発明における入眠改善とは、入眠過程における寝つきに対する心理評価が改善されることをいい、入眠過程とは就床から入眠に至るまでの状態を言う。不眠症の分類の一つに入眠障害が挙げられており、入眠障害とは本人が眠ろうと意識した時から寝付くまでの時間の延長であり、不眠症の症状でよくみられるものである。すなわち本発明は、入眠障害を改善することを意味する。また、不眠症の原因には不眠をもたらす薬剤の機会的使用やカフェインやニコチンの過剰摂取によってももたらされるが、これらの原因による入眠障害は含まれない。 本発明における夢みの改善とは、悪夢を見なくなることや夢みの回数の減少である。悪夢とは、夜間に見られる生々しい夢と関連した非常な不安と怖れで、たびたび叫びと自律神経の変動を伴い、目覚める現象である。目覚めたとき、その夢の内容を詳細に思い起こすことができ、意識は清明で、すぐ周囲に適応することができる。悪夢は夜間睡眠中に半ばから朝方のレム睡眠時に出現しやすいという特徴がある。悪夢は、生命、安全、または自尊心を脅かすような恐怖、不安に満ちた生々しく鮮明な夢、たとえば追われる、強奪される、レイプされる、殺されそうになる、ビルから突き落とされるなどの内容の夢であり、その恐怖のために夢から覚醒してしまう。悪夢はほとんどが長く入り組んだものであり、夢の終わりに近づくにつれて恐怖が増していく。こうした恐怖の夢からの目覚めはレム睡眠からの覚醒であり、したがって睡眠の後半に起こりやすい。覚醒後は見当識や意識は速やかに鮮明となり、長くて恐ろしい夢を詳細に想起することができるが、恐怖のためになかなか再入眠できない。 本発明における夢みとは、睡眠中に生じる自覚症状のうち、明瞭な感覚性心像をもつものであり、意識の統制作用が極端に弱められている場合を言う。夢みはレム睡眠段階に高率に出現する。レム睡眠段階に覚醒させたときの夢起想率は80%以上であるのに対し、ノンレム期の起想率は7%と低い。レム睡眠時には急速眼球運動や骨格筋の無緊張と突発的な痙攣が認められ、大脳皮質は部分的に活発化された状態で覚醒時に見られるような脳波があらわれる。レム睡眠段階は睡眠としては浅い睡眠状態であり、夢みが多いということは特に早朝時の眠りが浅いために夢をよくみることを意味する。 本発明における睡眠時間とは、入眠から起床までの時間を言い、総就床時間から入眠潜時を引いた時間を意味する。総就床時間とは、就床から起床までの時間であり、入眠潜時とは就床から入眠までの時間である。入眠とは、睡眠段階1が90秒以上持続した場合を意味する。睡眠時間は睡眠ポリグラフ検査やアクチグラフィにより計測することができる。 本発明における中途覚醒とは、夜中に目が覚めその後眠れない状態や、平均よりも頻繁に目が覚めるために、睡眠の質が悪くなって結果として熟睡していないと感じる状態を意味する。高齢者では睡眠が浅くなるため、中途覚醒が出やすくなり睡眠全体の質を低下させる。中途覚醒は睡眠ポリグラフやアクチグラフにより定量的に観察することができる。 本発明における睡眠後半とは、睡眠時間を2等分したときの起床に近い時間帯を意味する。睡眠後半ではレム睡眠が良く認められるという特徴がある。 本発明における睡眠効率とは、床に入っている時間に対して実際に眠っている時間の割合を意味している。中途覚醒があると睡眠効率は悪くなる。 本発明における組成物は、睡眠障害と診断されたヒト、自分の睡眠に満足していないヒトなどを対象として適用できる。睡眠障害とは、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠感の欠如などといった症状が、少なくとも週3回以上で1ヶ月以上続いて、睡眠が量的質的に障害された状態を言い、睡眠障害国際分類(ICSD)、DSM−IVによる睡眠障害の分類、ICD−10による睡眠障害の分類などで診断・分類できる。本発明は、睡眠障害の中でも特に不眠症であるヒトに有効である。ここで不眠症とは、自覚的に寝つきにくい入眠障害、睡眠途中の覚醒が多い中途覚醒障害、望まない早朝の覚醒をともなう早朝覚醒障害、眠った気がしない熟眠障害を意味している。また、本発明は、悪夢にも有効である。 自分の睡眠に満足していない状態とは、主観的に自分の睡眠に不満を感じていたり、不眠症の診断基準に満たなくとも入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、塾眠感の欠如などといった症状がまれに認められる場合を意味する。 本発明の対象は、主にヒトであるが、この他にも睡眠が認められる動物(例えば、イヌ、ネコ、牛、馬、ハムスター、モルモット、ラット、マウスなどの哺乳類、インコ、オウム、ジュウシマツなどの鳥類など)にも適用できる。 本発明の組成物は、例えば食品又は医薬品として好適に使用される。かかる食品としては、特に限定されるものではないが、(a)テアニンと(b)その他の成分とを含有する乾燥食品等の固形状食品、サプリメント、清涼飲料・ミネラルウォーター・嗜好飲料等の液状食品が挙げられる。医薬品としては、錠剤、カプセル、粉末剤、顆粒剤、ドリンク剤等の種々の剤形のものが挙げられる。 本発明の組成物を含有する食品の形状としては特に限定されるものではないが、通常のチュアブル状、タブレット状、カプセル状、顆粒状、粉末状、ドリンク状などが挙げられる。 前記固形状食品としては、例えば練り製品、大豆加工品、ムース、ゼリー、ヨーグルト、冷菓、飴、チョコレート、ガム、クラッカー、ビスケット、クッキー、ケーキ、パン等が挙げられる。一方、前記液状食品としては、例えば、緑茶、ウーロン茶、紅茶、ハーブティー等の茶類、濃縮果汁、濃縮還元ジュース、ストレートジュース、果実ミックスジュース、果粒入り果実ジュース、果汁入り飲料、果実・野菜ミックスジュース、野菜ジュース、炭酸飲料、清涼飲料、乳飲料等が挙げられる。なお、(b)その他の成分として(A)ハーブから選択した場合には、液状食品が好ましく、ハーブティーが更に好ましい。 組成物中に含まれるテアニンの量については、特に限定されるものではないが、0.001%〜99.9%、好ましくは0.01%〜99%、更に好ましくは0.1%〜90%である。 また、本発明の組成物には、更に生薬、ハーブ、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、その他食品に許容される素材・原料を併用することができる。ここにおいて、使用する生薬とは特に限定されるものではないが、カノコソウ、当帰、芍薬、牡丹、高麗人参などが挙げられる。 ハーブについては特に限定されるものではないが、アニス、キャロットシード、クローブ、コリアンダー、サイプレス、シナモン、ジュニパー、ジンジャー、スイートオレンジ、パイソニードル、バジル、パチュリ、ビターオレンジ、フェンネル、ブラックペッパー、ベイ、ペパーミント、ベルガモット、マンダリン、ミルラ、レモングラス、ローズマリー、グレットリーフ、バニラ、ヒソップ、ユーカリ、ライム、レモン、イランイラン、カルダモン、クラリセージ、ジャスミン、ゼラニウム、ブルガリアローズ、ローズ、オリバナム、カミツレ、ゼラニウム、サンダルウッドネロリ、バーベナ、プチグレン、ベチバー、マージョラム、メリッサ、ローズウッドなどが挙げられ、好ましくはペパーミントである。これらのハーブの形状としては抽出エキス、精油、ハーブティー等が例示される。 アミノ酸については特に限定されるものではないが、例えば、グルタミン、グルタミン酸、イノシン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、スレオニン、セリン、タウリン、チオタウリン、ヒポタウリン等が挙げられる。 ビタミンについては特に限定されるものではないが、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、ニコチン酸、リボ酸、パントテン酸、ビオチン、ユビキノン等が挙げられ、好ましくはビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12である。更に、ビタミンはそれぞれの誘導体も含まれる。 ミネラルについては特に限定されるものではないが、カルシウム、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、セレン、カリウム等が例示される。 また、その他食品に許容される素材・原料としては、ペプチド、カロチノイド、アロエ、ローヤルゼリー、プラセンタ、プロポリス、インフラボン、大豆レシチン、卵黄レシチン、卵黄油、コンドロイチン、カカオマス、コラーゲン、酢、クロレラ、スピルリナ、イチョウ葉、緑茶、杜仲茶、黄妃茶、ウ一口ン茶、桑の葉、甜茶、バナバ茶、不飽和脂肪酸、糖アルコールやオリゴ糖などの糖類、ビフィズス菌や紅麹などの菌類、アガリクス茸、姫マツタケ、霊芝、マイタケ等のキノコ類、ブルーベリー、プルーン、ブドウ、オリーブ、梅や稚橘類等の果実類、落花生、アーモンド、ゴマや胡椒等の種実類、ピーマン、唐辛子、ネギ、カボチャ、ウリ、人参、ゴボウ、モロヘイヤ、ニンニク、シソ、ワサビ、トマト、ラッキョウ、葉菜、芋や豆等の野菜類、ワカメ等の海草類、魚介類、獣鳥鯨肉類、穀類等が例示され、更にこれらの抽出物、乾燥品、粗精製品、精製品、加工品、醸造品等も使用できる。 また、医薬品としての剤形は、例えば内服薬、注射薬、貼付薬、坐薬、吸入薬等が挙げられるが、特に限定されるものではない。内服薬は、従来使用されている錠剤、カプセル、粉末剤、顆粒剤、ドリンク割箸が挙げられる。注射薬としては、筋肉注射剤、皮内注射剤、皮下注射剤、静脈注射剤等が挙げられる。また、貼付薬としては、従来、貼付薬の製造に使用されている公知の担体と本発明の有効成分とを配合したものを公知の貼付薬に使用されるシート等の上に塗布してなるもの等が挙げられる。坐薬は、従来使用されるカカオ脂、グリセロゼラチン、ステアリン酸ナトリウム、プロピレングリコールモノステアレート等と本発明の組成物とを配合してなるもの等が挙げられる。吸入薬としては、従来の方法により吸入させるものであって、例えば、水蒸気又は空気と共に鼻孔又は口腔より体内に吸収され得る剤型を有するもの等が挙げられる。 また、本発明の睡眠改善用組成物には、緑茶抽出物を併用することもできる。本発明における緑茶抽出物には、カテキン類(A)が0.001%から90%含まれており、好ましくは0.01%から85%、更に好ましくは0.1%から80%含まれる。緑茶抽出物に含まれるカテキン類(A)とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類(B)及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類(C)をあわせての総称(すなわち、A=B+C)である。 また、本発明におけるカテキン類の組成としては、更に非エピ体カテキン類(B)とエピ体カテキン類(C)の含有重量比は、非エピ体カテキン類/エピ体カテキン類(B/C)=0.25〜9.0であるが、好ましくは0.43〜9.0、より好ましくは0.43〜5.67、特に0.54〜5.67が好ましい。緑茶抽出物の一回当たりの用量は0.0005mg/kg体重〜10000mg/kg体重であり、好ましくは0.01mg/kg体重〜1600mg/kg体重であり、更に好ましくは1mg/kg体重〜100mg/kg体重である。また、テアニン類(A)と緑茶抽出物(D)とを併用する場合には、その重量比は、緑茶抽出物/テアニン類(D/A)=0.05〜100、好ましくは0.1〜20、更に好ましくは1〜2とする。 本発明の組成物の製法としては、テアニンとその他の成分とを配合する工程を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、テアニンと他の原材料(その他の成分を含む)を粉体混合する製法、溶媒中にテアニンと他の原材料を溶かし混合溶液とする製法、また、その混合溶液を凍結乾燥する製法、噴霧乾燥する製法等の一般的な食品、医薬品の製法が挙げられる。 本発明の製品形態としては、溶液、懸濁物、粉末、固体成形物等の任意の形態が例示されるが、これらに限定するものではない。食品としては、具体的には固形状食品または液状食品として前記例示したものの他、調味料、スープ、コーヒー、ココア、乳製品等が挙げられる。医薬品としては、用途、剤型等に応じて適宜選択される公知の任意の担体、本発明の組成物とその他の併合物を配合してなる錠剤、カプセル、注射剤等が例示される。 次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下において「mg/kg」とは、体重1kgあたりのmg投与量を示す。 参考例1 酵素法によるテアニンの製造 0.3Mグルタミン及び1.5M塩酸エチルアミンを0.05Mホウ酸緩衝液(pH11)中、0.3Uグルタミナーゼ(市販品)存在下にて、30℃、22時間反応させ225nmolのテアニンを得た。次いで、反応液をDowex 50×8、Dowex 1×2カラムクロマトグラフィー(共に室町化学工業(株)製)にかけ、これをエタノール処理することにより、反応液から目的物質を単離し、8.5gのテアニンを得た。 この単離物質をアミノ酸アナライザー(株式会社日立製作所製)、ペーパークロマトグラフィーにかけ、標準物質と同じ挙動を示すことにより、L−テアニンであることを確認した。塩酸又はグルタミナーゼで加水分解処理を行うと、1:1の割合で、グルタミン酸とエチルアミンを生じた。このように、単離物質がグルタミナーゼによって加水分解されたことから、エチルアミンがグルタミン酸のγ位に結合していたことが示される。また、加水分解で生じたグルタミン酸がL-体であることも、グルタミン酸デヒドロゲナーゼにより確認した。 参考例2 テアニンの茶葉からの抽出 茶(Camellia sinensis)葉10kgを熱水で抽出後、カチオン交換樹脂(室町化学工業(株)製、Dowex HCR W−2)に通し、1N NaOHにより溶出した。溶出画分を活性炭(二村化学工業(株)製太閤活性炭SG)に通し、15%エタノールによる溶出画分をRO膜(日東電工(株)製、NTR 729 HF)を用いて濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、更に再結晶を行い、24.8gのテアニンを得た。 なお、以下における各試験及び各組成物の製造にはテアニン[商品名:サンテアニン、太陽化学株式会社製]を用いた。 実施例1 テアニンとカモミールとを含む錠剤の製造 睡眠改善用組成物の1例として、下表1に示す原料を混合後打錠し、テアニンとカモミールとを配合する錠剤を製造した。 すなわち、上記配合に従って各原料を混合し、造粒後に、1粒1000mgとなるように打錠した。 実施例2〜実施例11 実施例1のカモミールに代えて、ラベンダー、セイントジョーンズワード、カワカワ、バレリアン、パッションフラワー、トリプトファン、5−HTP、セロトニン、γ−アミノ酪酸、またはメラトニンを下表2に示す重量%だけ添加したことを除き、実施例1と同様に操作して1粒1000mgの錠剤を打錠した(以下、実施例1〜実施例11の錠剤を「試験用錠剤」という)。 実施例12 セドロールについては、揮発成分であることから、セドロールの空気中濃度が約1μg/Lとなるように計算し、下記比較例1のテアニン含有錠剤と共に摂取することにより併用試験を行った。 比較例1 対照錠剤の製造 比較例として、下表3に示す原料を混合後打錠し、対照錠剤を製造した。 すなわち、上記配合に従って各原料を混合し、造粒後に、1粒1000mgとなるように打錠した。 試験例1 被験者の選定 被験者は、研究内容に関して十分な説明を受け、協力に同意した健常日勤男性25〜36歳(28.6±1.1歳)13名および健常男子大学生20〜33歳(26.8±1.3歳)13名とした。被験者には、モーズレー性格検査、CMI健康調査、睡眠健康調査票を事前に施行し、問題となるような治療中の疾患や過去の既往歴がないこと、著しい性格的偏りを有さないこと、睡眠健康に関して著しい不都合のないことを確認した。 試験例2 睡眠改善効果の検証実験期間中、被験者には規則正しい生活スタイルを心がけさせ、就床・起床時刻は各被験者の普段どおりの時刻から1時間以上ずれないよう、休日も勤務日とほぼ同じ就床時刻、起床時刻となるよう要請した。また、規則正しく食事をとること、薬や大量のアルコールを飲まない、さらに夕食後は、コーヒーや紅茶、緑茶、ウーロン茶、健康ドリンクなどカフェインの入った飲料を飲まないよう指示した。積極的に昼寝を取ること、床がかわる旅行、日常と異なる過激な運動や水泳は禁止した。 実験スケジュールは、生活調整期間として3日、服用期間として実施例1の試験用錠剤、比較例1の対照錠剤各6日とし、実施例1の試験用錠剤および比較例1の対照錠剤間に1日間の効果消去期間をおいた。実施例1の試験用錠剤と比較例1の対照錠剤の服用条件は、順序効果を消去するためカウンターバランスによるクロスオーバ・デザインとした(図1)。 試験例1で選定した被験者に実施例1の試験用錠剤服用期間中は習慣的就床時刻の1時間前に実施例1の試験用錠剤4錠を就寝1時間前に水で服用するよう指導した。比較例1の対照錠剤服用期間中は比較例1の対照錠剤を同様に服用させた。実験期間中の連日の起床時に起床時睡眠感としてOSA睡眠調査票MA版(山本由華吏, 田中秀樹, 高瀬美紀, 山崎勝男, 阿住一雄, 白川修一郎:中高年・高齢者を対象としたOSA睡眠調査票(MA版)の開発と標準化, 脳と精神の医学,vol.10, pp401-409, 1999)による日々の睡眠内省評価および心理評価を施行した。睡眠に対する効果評価の主体となるOSA睡眠調査票MA版は、16質問項目より構成され、標準化の手続きがとられている。本調査票は統計学的に5つの因子に分類され、第1因子 起床時眠気、第2因子 入眠と睡眠維持、第3因子 夢み、第4因子 疲労回復感、第5因子 睡眠時間延長感から構成されている。起床時の心理状態に関する評価は、意欲、気分、自信度について4肢選択方式で聴取した。さらに、実験期間中の通常生活から逸脱した日の有無を、就床前の生活・睡眠日誌によりチェックした。 また男子大学生は、実験期間睡眠中も含め入浴および水仕事以外の時間帯において常に非利き腕にアクチグラフ(actigraph, 米国 A.M.I.社製)を装着して1分ごとの活動量を連続記録し、同時に標準化された入眠感評価尺度も施行した。アクチグラフにより記録された連続活動量より、睡眠と覚醒をColeら(Cole Rj, Kripke DF, Gruen W, et al.:Automatic sleep/wake identification from wrist activity. Sleep., Vol.15, p461-469, 1992)の方式に従い判別した。入眠に関する内省評価は、4肢選択方式9質問項目で構成された入眠感評価尺度(山本由華吏,田中秀樹, 山崎勝男, 白川修一郎:入眠感調査票の開発と入眠影響要因の解析, 心理学研究, Vol.74, pp140-147, 2003)を使用した。 睡眠内容の評価の主体となるOSA睡眠調査票MA版の5因子の得点と起床時の心理評価および入眠感評価に関しては、実施例1の試験用錠剤条件、比較例1の対照錠剤条件ともに各条件の第4日目から第6日目の起床時の各因子得点を平均し各例各条件の得点とした。アクチグラフィ(actigraphy)により計測された客観的睡眠指標については、夜間主睡眠期における総睡眠時間、主睡眠期における入眠〜起床間の睡眠効率、また8:00〜17:59、18:00〜21:59の間に混入した睡眠時間、22:00〜7:59の夜間の睡眠時間、さらに8:00〜17:59、18:00〜21:59間の1分間当たりの活動量、22:00〜7:59の夜間睡眠期の活動量、および主睡眠期の中途覚醒時間、主睡眠期を2等分し、それぞれ睡眠期前半と後半に出現した中途覚醒時間を集計した。次に、各条件の第3夜目から第5夜目のそれぞれの平均を算出し各例各条件の値とした。 統計学的検討は、実施例1の試験用錠剤および比較例1の対照錠剤両条件でWilcoxon matched-pairs signed-ranks testによるノンパラメトリック検定を行った。また、本試験はヒトを対象とした試験であるため統計学的に比較例1の対照錠剤に比較してその差がp<0.10であった場合、効果として有意ではないが改善効果としては十分な効果であると判断した。 解析対象 日勤男性においては13名の被験者のうち1名は、実施例1の試験用錠剤の服用第1、2夜に睡眠内省が極端に悪化し、この例の実施例1の試験用錠剤の服用初期における極端な睡眠内省の悪化はその後徐々に回復していった。また、この例のスクリーニングでの性格特性を検討した結果、実施例1の試験用錠剤の服用による直接的な影響では無いと判断された。この例では、実施例1の試験用錠剤の服用以外の要因により睡眠状態を問題となる水準まで悪化したと判断され解析の対照から除外した。このことから、日勤男性の最終的な対象者は、25〜36歳(28.0±1.0歳)の12名とした。男子大学生においては13名の被験者のうち、2名は「研究協力期間中の生活スタイル」に違反したため解析対象から除外し、1名は実施例1の試験用錠剤の服用期間中に風邪による胃痛を訴えたため実験を中止した。したがって、男子大学生の最終的な対象者は、20〜33歳(27.0±1.5歳)の健常男子大学生10名とした。起床時の睡眠内省および心理状態に対する実施例1の試験用錠剤の効果については、上記の日勤男性および男子大学生22名(27.5±0.9歳)を解析の対象とした。 起床時のOSA睡眠調査票MA版による睡眠内省に対する実施例1の試験用錠剤の効果 第1因子の起床時眠気、第2因子の入眠と睡眠維持および第3因子の夢みについての結果を評価したところ、起床時の眠気において、実施例1の錠剤が比較例1の対照錠剤に比べて、有意に改善(p<0.05)していることが認められた(図2右)。また、入眠と睡眠維持、及び夢みについては、有意差は見られなかった。 第4因子の起床時の疲労回復感、及び第5因子の睡眠時間の延長感についての結果を解析したところ、いずれについても、実施例1の錠剤と比較例1の対照錠剤とで有意差は見られなかった。 アクチグラフィにより測定した睡眠の客観的指標に対するテアニン・カモミールの効果 男子学生10例の活動量の連続記録について、Coleらの方式に従い覚醒と睡眠を判別した。22時以降の10分以上連続した睡眠の始まりを入眠とし、翌朝の10時以前の10分以上連続、安定した覚醒の始まりを起床とした。入眠から起床までを主睡眠期とし、その間に出現した睡眠時間の累計を睡眠時間とした。睡眠効率は、(睡眠時間/主睡眠期の時間)x100で算出した。アクチグラフィにより測定した睡眠時間の結果を解析した。主睡眠期の睡眠時間は、対照群では約6時間20分、実施例1の錠剤では約6時間53分であり、有意差(p<0.05)が認められた(図2左)。また、睡眠効率については、有意差は認められなかった。なお、本実験における対象者は若年の青年期男子であり、元来睡眠効率は良好で、比較例1の対照錠剤条件においても94%弱と良好であった。 実施例1〜実施例12の効果 実施例1〜実施例11の各試験用錠剤、及び実施例12のテアニンとセドロールとの併用について、上記試験例1及び試験例2と同様にして、対象錠剤との効果を比較した。 その結果、下の表4及び表5に示す効果が得られた。 なお、睡眠時間の延長感、入眠と睡眠維持、夢み、中途覚醒、主睡眠期後半の中途覚醒、睡眠効率については、対照群と試験群との間に有意差が見られなかったので、データを割愛する。 このように、テアニンとその他の成分とを併用したところ、テアニン単独で摂取した場合に比べると、起床時の眠気、及び睡眠時間の延長について、有意差が確認された。このため、テアニン単独で投与する場合に比べ、テアニンとその他の成分とを併用すると、より良好な睡眠を促進できることがわかった。実施例13 テアニン・カモミール配合キャンディーの製造 睡眠改善用組成物の1例として、下表6に示す原料を用いてテアニン・カモミール配合キャンディーを製造した。 グラニュー糖を水20kgに溶解しながら110℃まで加熱し、テアニンを溶解した残りの水10kgとカモミールと水飴を加えて、145℃まで温度を上げた。火を止め、50%酒石酸を添加し混合した。75〜80℃まで冷却し、成形ローラーで成形し、テアニン・カモミール配合キャンディーを調整した。 なお、キャンディー中のテアニンの含量を測定した結果、含量は1コ1.2gで89.6mg/gであった。 実施例14〜実施例23 実施例13のカモミールに代えて、ラベンダー、セイントジョーンズワード、カワカワ、バレリアン、パッションフラワー、トリプトファン、5−HTP、セロトニン、γ−アミノ酪酸、またはメラトニンを下表7に示す重量だけ添加したことを除き、実施例13と同様に操作してキャンディーを製造した(以下、実施例13〜実施例24のキャンディーを「試験用キャンディー」という)。 実施例24 セドロールについては、揮発成分であることから、セドロールの空気中濃度が約1μg/Lとなるように計算し、実施例13のカモミールを除いたテアニン含有キャンディーと共に摂取することにより併用試験を行った。 実施例25 テアニン・カモミール配合ブルーベリー飲料の製造 睡眠改善用組成物の1例として、下表8に示す原料を用いてテアニン・カモミール配合飲料を製造した。 果糖ブドウ糖、ブルーベリー濃縮果汁、1/5透明レモン果汁、クエン酸Na、カモミールおよびテアニンを水に加え攪拌溶解した。50%クエン酸Na(結晶)を用いpH3.1に調製し95℃まで昇温後香料を加えて100mlに充填して冷却し、テアニン・カモミール配合ブルーベリー飲料を製造した。なお、ブルーベリージュース中のテアニンを定量した結果、含量は98.3mg/100mlであった。 実施例26〜実施例35 実施例25のカモミールに代えて、ラベンダー、セイントジョーンズワード、カワカワ、バレリアン、パッションフラワー、トリプトファン、5−HTP、セロトニン、γ−アミノ酪酸、またはメラトニンを下表9に示す重量だけ添加したことを除き、実施例25と同様に操作して飲料を製造した(以下、実施例25〜実施例35の飲料を「試験用飲料」という)。 実施例36 セドロールについては、揮発成分であることから、セドロールの空気中濃度が約1μg/Lとなるように計算し、実施例25のカモミールを除いたテアニン含有飲料と共に摂取することにより併用試験を行った。実施例37 テアニン・カモミール配合グレープフルーツ飲料の製造 睡眠改善用組成物の1例として、下表10に示す原料を用いてテアニン・カモミール配合飲料を製造した。 果糖ブドウ糖液、テアニン、カモミール、ピロリン酸第二鉄、プラセンタエキスおよびグレープフルーツ果汁100%を水に加え攪拌溶解した。クエン酸Naを用いpH3.1に調製し95℃まで昇温後香料を加えて、100mlづつ充填して冷却し、テアニン配合グレープフルーツ飲料を製造した。なお、グレープフルーツジュース中のテアニンを定量した結果、含量は96.4mg/100mlであった。 実施例38〜実施例47 実施例37のカモミールに代えて、ラベンダー、セイントジョーンズワード、カワカワ、バレリアン、パッションフラワー、トリプトファン、5−HTP、セロトニン、γ−アミノ酪酸、またはメラトニンを下表11に示す重量だけ添加したことを除き、実施例37と同様に操作して飲料を製造した(以下、実施例37〜実施例47の飲料を「試験用飲料」という)。 実施例48 セドロールについては、揮発成分であることから、セドロールの空気中濃度が約1μg/Lとなるように計算し、実施例37のカモミールを除いたテアニン含有飲料と共に摂取することにより併用試験を行った。 実施例13〜実施例24の試験用キャンディー、実施例25〜実施例36の試験用飲料、実施例37〜実施例48の試験用飲料について、それぞれ睡眠前に飲用したところ、起床時の疲労軽減、睡眠時間の延長感、入眠と睡眠維持、夢み、睡眠時間、中途覚醒(主睡眠期全体)、主睡眠期後半の中途覚醒、睡眠効率の全般に渡って、実施例1〜実施例12と同様の効果を示した。すなわち、睡眠障害の改善について、テアニン単独と比較すると、テアニンとその他の成分とを併用することにより、起床時の眠気を改善し、睡眠時間を延長させることにより、より良好な睡眠を促進できることがわかった。 このように本実施例によれば、睡眠に不満を持っているものが起床時に夜長くねたと感じ、また起床時に疲労感がとれリフレッシュ感が高いと感じ、更には悪夢や頻回な夢みによる睡眠妨害がなくぐっすり眠れ、睡眠中の中途覚醒が減少することにより睡眠効率が良くなり、その中途覚醒が特に朝方の睡眠後半に改善されることによる睡眠が改善用の組成物が提供された。かかる組成物は、種々な飲食品、医薬品の開発に応用可能である。 (a)1mg/kg体重〜50mg/kg体重のテアニンと、(b)6mg/kg体重〜1500mg/kg体重のカモミール、2mg/kg体重〜300mg/kg体重のラベンダー、及び1mg/kg体重〜100mg/kg体重のγ−アミノ酪酸からなる群から選択される少なくとも1つ以上の成分とを含有することを特徴とする睡眠改善用剤であって、 睡眠改善効果が起床時の眠気の改善、及び睡眠時間の延長である睡眠改善用剤。