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タイトル:特許公報(B2)_シクロプロパンモノアセタール誘導体の製造方法およびその中間体
出願番号:2006511835
年次:2011
IPC分類:C07C 45/65,C07C 47/47,C07C 47/277,C07B 61/00


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小役丸 健一 植山 真吾 宇治田 克爾 林原 太津彦 中川 直 秋葉 敏文 齋藤 立 JP 4800933 特許公報(B2) 20110812 2006511835 20050325 シクロプロパンモノアセタール誘導体の製造方法およびその中間体 株式会社クラレ 000001085 第一三共株式会社 307010166 高島 一 100080791 小役丸 健一 植山 真吾 宇治田 克爾 林原 太津彦 中川 直 秋葉 敏文 齋藤 立 JP 2004104862 20040331 20111026 C07C 45/65 20060101AFI20111006BHJP C07C 47/47 20060101ALI20111006BHJP C07C 47/277 20060101ALI20111006BHJP C07B 61/00 20060101ALN20111006BHJP JPC07C45/65C07C47/47C07C47/277C07B61/00 300 C07C 45/65 C07C 47/277 C07C 47/47 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 国際公開第2005/095317(WO,A1) 国際公開第02/014278(WO,A1) 特開2002−105029(JP,A) 6 JP2005006407 20050325 WO2005095318 20051013 11 20080319 小川 由美 本発明は、抗菌剤原料として利用されるシクロプロパンモノアセタール誘導体の新規な製造方法、およびその中間体化合物に関する。 後述する一般式(III)で示されるシクロプロパンモノアセタール誘導体(以下、シクロプロパンモノアセタール誘導体(III)と略称することがある。)、例えば、公知の式(IV)で示される化合物に代表される1−(ジアルコキシメチル)シクロプロパンカルバルデヒドは抗菌剤原料として有用である。式(IV)で示される化合物は、例えば、当該化合物に対応するジカルボニル体を、酸触媒存在下にオルトエステルを用いてモノアセタール化することにより合成され、数段階を経て合成抗菌剤中間体であるアミノ置換アザスピロアルカンへと誘導される(国際公開第02/14278号パンフレット参照)。しかし、この方法は、原料であるジカルボニル体の残存または過剰な反応により生成するジアセタール体の混入を避けることができないなどの問題点を有している。 本発明の目的は、シクロプロパンモノアセタール誘導体、特に1−(ジアルコキシメチル)シクロプロパンカルバルデヒドを、簡便かつ短工程で、工業的に有利に製造する方法を提供することにある。 上記目的を達成すべく本発明者らは鋭意研究した結果、シクロプロパンモノアセタール誘導体(III)を、新規化合物である、後述する一般式(II)で示されるハロゲン化不飽和カルボニル化合物(以下、ハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)と略称することがある。)から製造するという全く新しい製造方法を見出した。この製造方法により、簡便かつ短工程で、工業的に有利にシクロプロパンモノアセタール誘導体(III)を得ることができる。さらに、後述する一般式(I)で示されるアルコキシ環状エーテル(以下、アルコキシ環状エーテル(I)と略称することがある。)をハロゲン化剤と反応させることにより、ハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)が得られることも見出した。アルコキシ環状エーテル(I)とハロゲン化剤との反応において、ハロゲン化剤としてハロゲン化チオニルまたはハロゲン化スルフリルを用いた場合、亜硫酸ジエステルまたは硫酸ジエステルが副生するが、反応終了後、反応液をアルカリ水溶液で処理することによりかかる副生物を容易に除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。[1] 一般式(II)(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい飽和炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基、アルケニル基またはアラルキル基を表し、R8は、置換基を有していてもよい飽和炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基またはアラルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で示されるハロゲン化不飽和カルボニル化合物をアルコラートと反応させることを特徴とする、一般式(III)(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR8は前記定義のとおりであり、R9は、置換基を有していてもよい飽和炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基またはアラルキル基を表す。)で示されるシクロプロパンモノアセタール誘導体の製造方法。[2] 一般式(I)(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR8は前記定義のとおりであり、R7は、置換基を有していてもよい飽和炭化水素基、置換基を有していてもよいアリール基またはアラルキル基を表す。)で示されるアルコキシ環状エーテルをハロゲン化剤と反応させることにより、ハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)を得ることを特徴とする、上記[1]の製造方法。[3] ハロゲン化剤がハロゲン化チオニルまたはハロゲン化スルフリルであることを特徴とする上記[2]の製造方法。[4] ハロゲン化剤がハロゲン化アシルであることを特徴とする上記[2]の製造方法。[5] ハロゲン化剤がハロゲン化炭酸エステルであることを特徴とする上記[2]の製造方法。[6] ハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)。 本発明によれば、シクロプロパンモノアセタール誘導体、特に1−(ジアルコキシメチル)シクロプロパンカルバルデヒドを、簡便かつ短工程で、工業的に有利に製造できる。 R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9が表す飽和炭化水素基は、直鎖状、分岐状または環状で、その炭素数は好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基などが挙げられる。これらの飽和炭化水素基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えば、メチル基などの炭素数1〜6のアルキル基、メトキシ基などの炭素数1〜6のアルコキシル基および塩素原子などのハロゲン原子から選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基などの炭素数6〜10のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜6のアルコキシル基などが挙げられる。 R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9が表すアリール基は、好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは6〜10であり、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられる。これらのアリール基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12である飽和炭化水素基;フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などの置換基(炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基など)を有していてもよい炭素数6〜14のアリール基などが挙げられる。 R1、R2、R3、R4、R5およびR6が表すアルケニル基は、直鎖状または分岐状で、好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは2〜6であり、例えばアリル基などが挙げられる。 R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9が表すアラルキル基は、好ましくは炭素数7〜18、より好ましくは7〜12であり、例えばベンジル基などが挙げられる。 Xが表すハロゲン原子は、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、なかでも塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。 以下、本発明について詳細に述べる。 まず、アルコキシ環状エーテル(I)をハロゲン化剤と反応させることにより、ハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)を得る工程(工程1)について説明する。 本発明に使用するアルコキシ環状エーテル(I)は公知の方法で製造でき、例えばR1およびR2が水素原子で示されるアルコキシ環状エーテルは、特開平8−133997号公報に記載の方法に従って、対応する2,3−ジヒドロフランを、ルイス酸存在下でオルト蟻酸エステルと反応させることにより容易に得られる。 工程1で使用するハロゲン化剤は、例えば塩化チオニル、臭化チオニルなどのハロゲン化チオニル;塩化スルフリル、臭化スルフリルなどのハロゲン化スルフリル;アセチルクロライド、プロピオニルクロライド、ブチリルクロライド、ベンゾイルクロライドなどのハロゲン化アシル;クロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸プロピル、クロロ炭酸イソプロピル、クロロ炭酸ブチル、クロロ炭酸イソブチルなどのハロゲン化炭酸エステルなどが挙げられる。 工程1で使用するハロゲン化剤がハロゲン化チオニルまたはハロゲン化スルフリルの場合、その使用量は、アルコキシ環状エーテル(I)1モルに対して0.4〜1.5モルの範囲が好ましく、0.5〜1.1モルの範囲がより好ましい。ハロゲン化チオニルまたはハロゲン化スルフリルの添加時間は、通常0.5〜48時間であり、製造効率の観点からは1〜20時間が好ましい。ハロゲン化チオニルまたはハロゲン化スルフリルを使用した場合、工程1は−20℃〜150℃の範囲で実施できるが、特に70℃〜150℃の範囲で実施することが、収率および反応時間の点から好ましい。反応時間は、反応温度によっても異なるが、通常、添加終了後、1〜24時間以内の範囲である。 工程1で使用するハロゲン化剤がハロゲン化アシルまたはハロゲン化炭酸エステルの場合、その使用量は、アルコキシ環状エーテル(I)1モルに対して、0.8〜5モルの範囲が好ましく、1〜3モルの範囲がより好ましい。ハロゲン化アシルまたはハロゲン化炭酸エステルの添加時間は、通常0.5〜24時間であり、製造効率の観点からは1〜10時間が好ましい。使用するハロゲン化剤がハロゲン化アシルまたはハロゲン化炭酸エステルの場合、工程1における温度は0〜150℃が好ましく、40〜120℃がより好ましい。反応時間は、反応温度によっても異なるが、通常、添加終了後、1〜24時間以内の範囲である。 工程1は溶媒の存在下で実施するのが好ましい。使用できる溶媒は、反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチルなどのエステルなどが挙げられる。溶媒の使用量は特に限定されないが、アルコキシ環状エーテル(I)に対して、0.5〜50倍質量の範囲が好ましく、1〜10倍質量の範囲がより好ましい。 工程1は、アルコキシ環状エーテル(I)とハロゲン化剤を溶媒中で混合することで実施できる。なお使用するハロゲン化剤の種類に応じて触媒をさらに添加してもよい。ここで用いることのできる触媒としては、ピリジンなどの有機塩基や、エタノールなどのアルコールが挙げられる。触媒を添加する場合、その量は、アルコキシ環状エーテル(I)に対して、0.1〜20モル%の範囲が好ましく、1〜5モル%の範囲がより好ましい。 工程1終了後の反応混合液には、ハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)のほかに、ハロゲン化剤としてハロゲン化チオニルまたはハロゲン化スルフリルを用いた場合には、亜硫酸ジエステルまたは硫酸ジエステルなどの副生物も含まれているが、そのまま後述する次工程(工程2)で使用してもよい。また、必要に応じて、工程1終了後、ハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)を蒸留精製あるいはカラムクロマトグラフィーなどの一般的な精製操作により単離精製することも可能である。例えば、工程1の終了後、得られた反応混合液をアルカリ水溶液(例えば炭酸水素ナトリウム水溶液)に加え、好ましくは30℃以下で攪拌して分液し、得られた有機層(例えばトルエン層)を濃縮して減圧蒸留することにより、ハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)を単離できる。 次に、ハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)をアルコラートと反応させることにより、シクロプロパンモノアセタール誘導体(III)を得る工程(工程2)について説明する。 工程2で用いるアルコラートは、アルコール:R9−OH(式中、R9は前記定義のとおりである)にリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、または塩基を加えることにより得られる。かかる塩基としては、例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水素化カルシウムなどのアルカリ土類金属水素化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリn−ペンチルアミン、トリn−ヘキシルアミン、トリn−オクチルアミンなどの炭素数1〜8の飽和炭化水素基を有する3級アミンなどの有機塩基などが使用される。アルコラートは反応系内で発生させてもよく、別途調製したものを用いてもよい。アルコラートの使用量は、ハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)1モルに対して、0.5〜2モルの範囲であるのが好ましく、0.8〜1.1モルの範囲であるのがより好ましい。 アルコラートを別途調製する場合、アルカリ金属、アルカリ土類金属または塩基の量は、工程2で用いるハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)1モルに対して0.5〜2モルの範囲であるのが好ましく、0.8〜1.1モルの範囲であるのがより好ましい。また、アルコールの量は、工程2で用いるハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)1モルに対して0.5〜50モルの範囲であるのが好ましく、1〜20モルの範囲であるのがより好ましい。 工程2で用いるアルコラートは工業的に製造されて市販されており、それらを用いてもよい。その性状は粉末、ペレットなどの固体状でも、対応するアルコールに溶解させた溶液であってもよい。その際、溶解に要するアルコールの使用量は、ハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)1モルに対して0.5モル〜50モルの範囲であるのが好ましく、1モル〜20モルの範囲であるのがより好ましい。アルコラートの濃度は、用いるアルコールに対する溶解度にもよるが、1〜50質量%であるのが好ましく、5〜30質量%であるのがより好ましい。なおアルコラートが固体状である場合、対応するアルコールを必要に応じて反応系内に存在させておくことができる。 工程2は溶媒の存在下で実施するのが好ましい。使用できる溶媒は、反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチルなどのエステルなどが挙げられる。溶媒の使用量は特に限定されないが、ハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)に対して0.5〜50倍質量の範囲が好ましく、1〜10倍質量の範囲がより好ましい。 工程2の温度は、−78℃〜50℃の範囲が好ましく、−40℃〜30℃の範囲がより好ましい。反応時間は、反応温度によっても異なるが、通常、1〜48時間の範囲である。 工程2は、ハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)とアルコラートを溶媒中で混合することによって行うことができる。ただし、生成するシクロプロパンモノアセタール誘導体(III)のアルコラートに対する安定性によっては、原料のハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)と溶媒の混合溶液に対して、アルコラートを添加する形式をとることも可能である。 工程1において、ハロゲン化剤としてハロゲン化チオニルまたはハロゲン化スルフリルを使用した場合、工程1の終了後に得られる反応混合液には、ハロゲン化不飽和カルボニル化合物(II)以外に副生成物である亜硫酸ジエステルまたは硫酸ジエステルが含まれている。この反応混合液を精製操作に付さずにそのまま工程2で用いる場合、これら副生成物の亜硫酸ジエステルまたは硫酸ジエステルは、工程2の終了後、得られた反応混合液にアルカリ水溶液を添加し、30℃〜150℃に加熱することにより、分解して除去することができる。使用するアルカリ水溶液は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属塩の水溶液が好ましい。アルカリ水溶液の添加量は、含有されるアルカリ金属塩に換算して、亜硫酸ジエステルまたは硫酸ジエステルの1〜20モル倍の範囲が好ましい。アルカリ水溶液の濃度は、1〜50質量%の範囲が好ましく、5〜20%質量の範囲がより好ましい。分解温度は40℃〜80℃の範囲であるのがより好ましい。分解時間は上記温度であれば特に限定されないが、製造効率の観点から5分〜24時間、特に1〜10時間の範囲が好ましい。 こうして得られた反応混合液は、中和、抽出などの有機合成化学における一般的な後処理操作に付した後、蒸留などの精製手段により、シクロプロパンモノアセタール誘導体(III)を単離できる。得られたシクロプロパンモノアセタール誘導体(III)は、公知の方法、例えば国際公開第02/14278号パンフレットに記載の方法またはこれに準じた方法により、合成抗菌剤中間体であるアミノ置換アザスピロアルカンへと誘導される。 以下、参考例および実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。参考例13−(ジエトキシメチル)−2−エトキシテトラヒドロフランの製造 温度計および攪拌装置を備えた容量3リットルの三つ口フラスコに、オルト蟻酸トリエチル1465g(9.89モル)を入れて10〜12℃に冷却し、ここに触媒として塩化鉄1.172g(0.00723モル)を加え、同温度で30分攪拌した。次に、2,3−ジヒドロフラン630g(8.99モル)を、内温を10〜15℃に維持しながら5時間30分かけて滴下し、その後同温度で1時間攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、1837g(8.42モル)の3−(ジエトキシメチル)−2−エトキシテトラヒドロフランが生成していた。2,3−ジヒドロフランを基準とした収率は93.7%であった。この反応液を、セラミック製ラシヒリングを充填した蒸留塔(内径2.5cm、高さ30cm)を備えたフラスコに移送し、減圧蒸留を行うことにより、0.67kPa(5mmHg)の減圧度において塔頂温度93〜94℃の留分として3−(ジエトキシメチル)−2−エトキシテトラヒドロフラン1348.7g(純度99.7%)を得た。実施例14−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナールの製造 温度計および攪拌装置を備えた容量2リットルの三つ口フラスコに、トルエン466gおよび参考例1の方法で得られた3−(ジエトキシメチル)−2−エトキシテトラヒドロフラン200.0g(0.916モル)を加え、窒素雰囲気下、90〜95℃に加熱した。ここに塩化チオニル114.5g(0.962モル)を4時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌した。得られた反応液を12質量%炭酸水素ナトリウム水溶液370.6gに液温を30℃以下に維持しながら加え、30分攪拌した後に分液した。水層にトルエン285gを加えて抽出し、抽出液を先の有機層と合わせて、トルエン溶液898gを得た。このトルエン溶液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナールが126.6g生成していた。3−(ジエトキシメチル)−2−エトキシテトラヒドロフランを基準とした収率は85.2%であった。このトルエン溶液を濃縮し、さらに減圧蒸留することにより、下記の物性を有する粗4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナール54.9g(純度95.1%)を得た。1H−NMR(CDCl3、ppm、TMS)δ:1.40(t、3H、J=7Hz)、2.65−2.80(m、2H)、3.50−3.65(m、2H)、4.20(q、2H、J=7Hz)、7.10(s、1H)、9.20(s、1H).実施例21−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルバルデヒドの製造 温度計および攪拌装置を備えた容量300mlの三つ口フラスコに、トルエン100gおよび実施例1で得た粗4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナール50.01g(純分47.5g、0.292モル)を加え、10℃に冷却した。ここにナトリウムエトキシドのエタノール溶液101.5g(20質量%、0.298モル)を内温10〜15℃を維持するように滴下した。得られた反応混合液を、脱気した水99.9gに10〜15℃を維持しながら滴下し、次いで0.5N塩酸水溶液および0.05N水酸化ナトリウム水溶液により、pH=9〜10に調整した。有機層を分液した後、水層にトルエン80gを加えて抽出し、抽出液と先の有機層を合わせて70℃以下で減圧下濃縮することにより、粗1−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルバルデヒド53.0g(純分47.3g、0.275モル)を得た(収率92.3%)。 得られた粗1−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルバルデヒドのうち、50gをトリn−オクチルアミン1.20gとともに20cmヴィグリュー管を備えたフラスコに仕込み、減圧蒸留を行ったところ、1.2kPa(9mmHg)、塔頂温度73〜74℃の留分として純度99.1%の1−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルバルデヒド37.3gを得た。実施例34−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナールの製造 温度計および攪拌装置を備えた容量2リットルの三つ口フラスコに、トルエン583gと参考例1の方法で得られた3−(ジエトキシメチル)−2−エトキシテトラヒドロフラン250.8g(1.15モル)を加え、窒素雰囲気下、加熱還流した(液温117℃)。ここに塩化チオニル143.1g(1.20モル)を4時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌して冷却し、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナール161.1g(0.991モル、収率86.2%)が生成していた。実施例44−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナールの製造 温度計および攪拌装置を備えた容量300mlの三つ口フラスコに、トルエン116.6gおよび参考例1の方法で得られた3−(ジエトキシメチル)−2−エトキシテトラヒドロフラン50.16g(0.229モル)を加え、窒素雰囲気下、85〜90℃に加熱した。ここに塩化チオニル13.64g(0.115モル)を4時間かけて滴下して反応させた後、さらに塩化チオニルを2.73g追加した。同温度で1時間攪拌してから、冷却することで4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナールを含む反応液151.7g(純分32.5g、収率87.3%)を得た。実施例54−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナールの製造 温度計および攪拌装置を備えた容量1リットルの三つ口フラスコに、トルエン468gおよび参考例1の方法で得られた3−(ジエトキシメチル)−2−エトキシテトラヒドロフラン200.5g(0.916モル)を加え、窒素雰囲気下、85〜90℃に加熱した。ここに塩化チオニル109.0g(0.916モル)を4時間かけて滴下した。滴下後、同温度で1時間攪拌してから冷却し、この反応液を10.6gの炭酸ナトリウムを含む水275gに30℃以下を維持しながら加え、pH8〜9に調整した。有機層を分液し、これを70℃以下で減圧下濃縮することで粗4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナール189.13g(純分116.0g、0.713モル、収率78%)を得た。なお、得られた粗4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナール中の亜硫酸ジエチル含有量は16.11g(0.117モル)であった。実施例6アセチルクロライドによる4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナールの製造 温度計、攪拌装置およびジムロートを備えた容量100mlの三つ口フラスコに、参考例1の方法で得た3−(ジエトキシメチル)−2−エトキシテトラヒドロフラン20.01g(91.7ミリモル)、トルエン46.02gおよびエタノール126.2mg(2.74ミリモル)を加え、窒素雰囲気下、90℃に加熱した。ここにアセチルクロライド15.11g(192.5ミリモル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で6時間反応させた後に反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナール13.8g(84.9ミリモル、収率92.6%)が生成していた。実施例7アセチルクロライドによる4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナールの製造 アセチルクロライドの添加時間を4時間とした以外は、実施例6と同一の操作を実施したところ、4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナールの収率は89.7%であった。実施例8クロロ炭酸エチルによる4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナールの製造 温度計、攪拌装置およびジムロートを備えた容量100mlの三つ口フラスコに、参考例1の方法で得た3−(ジエトキシメチル)−2−エトキシテトラヒドロフラン20.03g(91.8ミリモル)、トルエン46.0gおよびピリジン0.22g(2.8ミリモル)を加え、窒素雰囲気下、100〜106℃に加熱した。ここにクロロ炭酸エチル19.92g(183.5ミリモル、3−(ジエトキシメチル)−2−エトキシテトラヒドロフランに対して2モル倍)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で6時間反応させ、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3−(ジエトキシメチル)−2−エトキシテトラヒドロフランの転化率100%であり、4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナール14.3g(87.9ミリモル、収率95.8%)が生成していた。実施例9クロロ炭酸エチルによる4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナールの製造 クロロ炭酸エチルの使用量を原料に対して1.3モル倍とした以外は、実施例8と同一の操作を行い、3−(ジエトキシメチル)−2−エトキシテトラヒドロフランの転化率97.1%、収率90.5%で4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナールを得た。実施例101−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルバルデヒドの製造 温度計および攪拌装置を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、実施例5で得られた粗4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナール189.13g(純分116.0g、0.713モル)およびトルエン232gを加え、攪拌下、10〜15℃に冷却した。ここにナトリウムエトキシドのエタノール溶液311.6g(14.6質量%、0.669モル)を内温を10〜15℃に維持するように滴下した。滴下終了後、10〜15℃を維持しながら、この反応液を水232gに滴下して分液することにより、1−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルバルデヒド(純分105.9g、0.614モル、収率86.3%)を含む溶液567.3gを得た。この溶液のうち、425.6g(純分79.4g、0.461モル;亜硫酸ジエチル含有量12.09g、87.5ミリモル)を、水酸化ナトリウム28.4g(0.71モル)および水261gとともに、70℃で4時間攪拌することにより亜硫酸ジエチルを消失させた後、分液した。分液後の水層にトルエン79.4gを加えて抽出し、抽出液を先の有機層と合わせ、合わせた有機層を水87gで洗浄した後、70℃以下で減圧下濃縮した。この結果、粗1−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルバルデヒド105.63g(含有量76.0g、0.441モル)を得た。4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナールを基準とした収率は82.4%であった。実施例111−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルバルデヒドの製造 温度計および攪拌装置を備えた容量50mlの三つ口フラスコに、窒素雰囲気下、トルエン10.0g、エタノール4.16g(90.3ミリモル)および実施例1で得た4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナール5.00g(純分4.80g、29.6ミリモル)を添加し、−30〜−25℃に冷却した。ここに水酸化ナトリウムのエタノール溶液11.0g(11.0質量%、30.2ミリモル)を、−30〜−25℃を維持しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間攪拌し、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルバルデヒドが4.25g(24.7ミリモル、収率83.4%)生成していた。実施例121−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルバルデヒドの製造 温度計および攪拌装置を備えた容量50mlの三つ口フラスコに、窒素雰囲気下、トルエン10.0g、エタノール4.16g(90.3ミリモル)および実施例1で得た4−クロロ−2−エトキシメチリデンブタナール5.00g(純分4.80g、29.6ミリモル)を添加し、40〜45℃に加熱した。ここに水酸化ナトリウムのエタノール溶液11.0g(11.0質量%、30.2ミリモル)を、40〜45℃を維持しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間攪拌し、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1−(ジエトキシメチル)シクロプロパンカルバルデヒドが4.70g(27.3ミリモル、収率92.2%)生成していた。 本発明の方法で製造できるシクロプロパンモノアセタール誘導体は、合成抗菌剤原料となるアミノ置換アザスピロアルカンの原料として有用である。 本願は日本で出願された特願2004−104862を基礎としており、その内容は本明細書中に全て包含されるものである。 一般式(II)(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子、飽和炭化水素基、アリール基、アルケニル基またはアラルキル基を表し、R8は、飽和炭化水素基、アリール基またはアラルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で示されるハロゲン化不飽和カルボニル化合物をアルコラートと反応させることを特徴とする、一般式(III)(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR8は前記定義のとおりであり、R9は、飽和炭化水素基、アリール基またはアラルキル基を表す。)で示されるシクロプロパンモノアセタール誘導体の製造方法。 一般式(I)(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子、飽和炭化水素基、アリール基、アルケニル基またはアラルキル基を表し、R7は飽和炭化水素基、アリール基またはアラルキル基を表し、R8は、飽和炭化水素基、アリール基またはアラルキル基を表す。)で示されるアルコキシ環状エーテルをハロゲン化剤と反応させることにより、一般式(II)(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR8は前記定義のとおりであり、Xはハロゲン原子を表す。)で示されるハロゲン化不飽和カルボニル化合物を得ることを特徴とする、請求項1記載の製造方法。 ハロゲン化剤がハロゲン化チオニルまたはハロゲン化スルフリルであることを特徴とする請求項2記載の製造方法。 ハロゲン化剤がハロゲン化アシルであることを特徴とする請求項2記載の製造方法。 ハロゲン化剤がハロゲン化炭酸エステルであることを特徴とする請求項2記載の製造方法。 一般式(II)(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子、飽和炭化水素基、アリール基、アルケニル基またはアラルキル基を表し、R8は、飽和炭化水素基、アリール基またはアラルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で示されるハロゲン化不飽和カルボニル化合物。


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