タイトル: | 特許公報(B2)_損傷組織の治療剤と治療方法 |
出願番号: | 2006511809 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 38/27,A61K 38/48,A61P 9/10,A61P 19/00,A61P 19/02,A61K 35/12,A61K 45/00,A61L 27/00 |
加藤 幸夫 西村 正宏 尾崎 由衛 辻 紘一郎 JP 5048323 特許公報(B2) 20120727 2006511809 20050331 損傷組織の治療剤と治療方法 株式会社ツーセル 503328193 加藤 幸夫 595025305 小野 新次郎 100140109 小林 泰 100075270 千葉 昭男 100080137 富田 博行 100096013 野▲崎▼ 久子 100113309 加藤 幸夫 西村 正宏 尾崎 由衛 辻 紘一郎 JP 2004105890 20040331 20121017 A61K 38/27 20060101AFI20120927BHJP A61K 38/48 20060101ALI20120927BHJP A61P 9/10 20060101ALI20120927BHJP A61P 19/00 20060101ALI20120927BHJP A61P 19/02 20060101ALI20120927BHJP A61K 35/12 20060101ALN20120927BHJP A61K 45/00 20060101ALN20120927BHJP A61L 27/00 20060101ALN20120927BHJP JPA61K37/36A61K37/547A61P9/10A61P19/00A61P19/02A61K35/12A61K45/00A61L27/00 U A61K 38/18 A61K 38/48 A61K 45/00 A61L 27/00 A61P 9/10 A61P 19/00 A61P 19/02 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 再公表特許第2003/013588(JP,A1) 国際公開第2003/015802(WO,A1) 国際公開第02/033094(WO,A1) 特開2001−089471(JP,A) 特表2004−501608(JP,A) BENSAID,W. et al.,A biodegradable fibrin scaffold for mesenchymal stem cell transplantation,Biomaterials,2003年,Vol.24, No.14,p.2497-2502 加藤幸夫 他,I.自家間葉系幹細胞の移植による骨,軟骨,歯周組織の再生医療,The Bone,2003年,Vol.17, No.1,p.17-20 加藤幸夫 他,間葉系幹細胞と再生医療,広島歯科医学雑誌,2002年,Vol.30, No.1,p.1-9 東 博之 Hiroyuki AZUMA,遺伝性出血性末梢血管拡張症の成因 Pathogenesis of hereditary hemorrhagic telangiectasia,医学のあゆみ IGAKU NO AYUMI,三浦 裕士 医歯薬出版株式会社,第191巻,p.523-528 水田博志 他,FGFシグナルによる軟骨再生の制御,日本リウマチ・関節外科学会雑誌,2003年,Vol.XXII, No.2,p.103-109 上田 実,歯関連疾患の再生医療,Geriatric Medicine,2003年,Vol.41, No.12,p.1811-1818 HART,C.E. et al.,Purification of PDGF-AB and PDGF-BB from human platelet extracts and identification of all three PDGF dimers in human platelets,Biochemistry,1990年,Vol.29, No.1,p.166-172 4 JP2005006320 20050331 WO2005094888 20051013 18 20080324 鳥居 福代 本発明は、損傷組織への間葉系幹細胞の遊走・集積を促進する、および/または、損傷組織からの間葉系幹細胞の拡散を抑制する薬剤、移植材および治療法に関する。さらに詳細には、本発明は、変形性関節症、骨折、歯槽骨または顎骨欠損、脳梗塞、心筋梗塞、下肢虚血等における組織再生治療に有効な、間葉系幹細胞遊走能促進因子を含む薬剤および移植材ならびに間葉系幹細胞遊走能促進因子を使用する治療法に関する。 生体組織再生に対しては、従来から医薬品投与や外科手術等、様々な方法が試みられているが、いずれの薬剤や治療方法も、損傷組織や欠損組織を再生させる効果は十分とはいえない。近年、組織損傷部位へ幹細胞が遊走・集積することが多く報告されている。外傷性脳損傷(traumatic brain injury)に対し、間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell、以下「MSC」とも記す)や臍帯血中の細胞を静脈注射したりMSCを動脈注射すると、注入された細胞が損傷脳へ集積することが報告されている(Mahmood Aら、Neurosurgery 2001;49:1196-203; discussion 203-4、Lu Dら、Cell Transplant 2002;11:275-81、Lu Dら、J Neurotrauma 2001;18:813-9)。脳損傷マウスの線条体へ骨髄細胞の非造血性細胞(nonhematopoietic cell)を移植すると機能回復が起こることも報告されている(Li Yら、J Cereb Blood Flow Metab 2000;20:1311-9)。ラットの中大動脈閉塞モデルにMSCを静注すると、静注しない群に比較して神経学的重症度スコア(Neurological Severity Score)が改善し、移植したMSCが神経細胞への分化を示したものも認められている(Chen Jら、Stroke 2001;32:1005-11)。 またマウスの実験的骨折に骨髄細胞を静注すると、静注された骨髄細胞が骨髄へホーミングし骨の治癒部位へ局在することが報告されている(Devine MJら、J Orthop Res 2002;20:1232-9)。しかしこれらの細胞が損傷部位をどのようにして見分けて遊走・集積しているかについては、明らかになっていない。 in vitroでは様々な細胞に対する個々の遊走・集積因子について、現在までに多くの検討がされている。PDGF(platelet-derived growth factor、血小板由来成長因子)BBは、様々な種類の接着系細胞に対してパラクリン的な遊走・集積因子として知られている(Yu Jら、Biochem Biophys Res Commun 2001;282:697-700)。PDGF-BBは、特に内皮細胞やメサンギウム細胞の強力な遊走・集積因子である(Hirschi KKら、Circ Res 1999;84:298-305、Kohno Mら、J Am Soc Nephrol 1999;10:2495-502)。FGF2(fibroblast growth factor-2、線維芽細胞成長因子2)はオートクリン的な遊走・集積因子として知られており(Kondo Hら、Biochem Biophys Res Commun 2000;272:648-52)、内皮細胞、骨芽細胞、胎児線維芽細胞などにおける遊走・集積能と機構が検討されている(Shono Tら、Exp Cell Res 2001;264:275-83、Mayr-Wohlfart Uら、Bone 2002;30:472-7、 Liu Jら、Oncogene 1999;18:6700-6)。EGF(epidermal growth factor、上皮成長因子)も、いくつかの細胞に対する遊走・集積因子として報告されている(Chen Pら、J Cell Biol 1994;124:547-55)。最近では癌細胞の遊走・集積におけるEGFの作用機構も検討されている(Kawahara Eら、Exp Cell Res 2002;272:84-91)。HB-EGF(heparin-binding epidermal growth factor、ヘパリン結合上皮成長因子)は、EGFファミリーの一員であり、上皮細胞の生存、増殖、遊走・集積を促進することが報告されているが(Takemura Tら、J Biol Chem 1997;272:31036-42、Barnard JAら、J Biol Chem 1994;269:22817-22、Wilson SEら、Exp Eye Res 1996;62:325-7)、上皮細胞以外に対する検討はされていない。TGF-αは、EGFと30-40%程度の相同性を有し、EGFレセプターを介して組織修復に関与することが報告されている(Schultz Gら、J Cell Biochem 1991;45:346-52)。TGF-αは、主にケラチノサイトの増殖と遊走・集積を促進することが報告されているが(Cha Dら、J Invest Dermatol 1996;106:590-7)、他の細胞に対しては検討されていない。 トロンビンは、フィブリノーゲンをフィブリンに転化させることで血液を凝固させる酵素として知られているが、最近では、スイス 3T3 細胞(Swiss 3T3 cell)のEGFレセプターのクラスター形成(clustering)を引き起こすことによって、スイス 3T3 細胞の増殖と遊走・集積を促進することが報告されている(Crouch MFら、J Cell Biol 2001;152:263-73)。また、ヒト腎癌細胞の遊走・集積を促進することも報告されている(Kaufmann Rら、Cancer Lett 2002;180:183-90)。心房性ナトリウム利尿ペプチド(atrial natriuretic peptide、ANP)は、心臓で合成される28個からなるペプチドで、循環血液中に存在する。ANPは、強力な利尿作用と血管拡張作用、血管平滑筋弛緩作用、レニン・アンジオテンシン系抑制作用、交感神経抑制作用などを有するが、ANPが、PDGFによる血管平滑筋細胞の遊走・集積を抑制したり(Ikeda Mら、Arterioscler Thromb Vasc Biol 1997;17:731-6)、VEGFによる血管内皮細胞の遊走・集積を抑制する(Pedram Aら、Endocrinology 2001;142:1578-86)等、内皮細胞の遊走・集積を抑制するという報告がある。レプチン(leptin)は、主に脂肪組織から分泌されて循環血液中に存在する16kDaの蛋白で、肥満遺伝子から産生される。レプチンは、in vitroにおいてヒトの内皮細胞の増殖、遊走・集積、管形成等を促進することが報告されており、おそらく血管形成(angiogenesis)を誘導することによって内軟骨性骨分化を誘導するであろうと報告されている(Kume Kら、J Histochem Cytochem 2002;50:159-69)。またレプチンが、腸骨の骨芽細胞についてもコラーゲン合成や石灰化を促進させることが報告されている(Gordeladze JOら、J Cell Biochem 2002;85:825-36)。しかし、これらの因子のMSCに対する遊走能については全く知られていない。 上述のように、損傷部位へのMSCの集積が、損傷組織の再生を促進する可能性が報告されているが、特異的にMSCを損傷部位に集積させる物質や、そうした物質を利用して損傷組織の治癒を促進する方法や薬剤については知られていない。 本発明の目的は、特異的にMSCを損傷部位に集積させるまたはMSCの拡散を防止する物質を利用して、変形性関節症、骨折、歯槽骨または顎骨欠損、脳梗塞、心筋梗塞、下肢虚血等における損傷組織の再生を促進し得る治療剤、移植材、治療法を提供することである。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、MSCの遊走・集積を促進させる走化性因子(chemotactic factor)、さらに驚くべきことにMSCの増殖をも促進する走化性因子を見出し、そうした走化性因子を含む薬剤や移植材が生体組織の再生治療に有効であることを知得し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明によれば、損傷組織への間葉系幹細胞の遊走・集積を促進する、および/または、損傷組織からの間葉系幹細胞の拡散を抑制する薬剤または移植材が提供される。 上記薬剤または移植材は、間葉系幹細胞遊走能促進因子を含むことが好ましく、間葉系幹細胞の増殖を促進する間葉系幹細胞遊走能促進因子を含むことがさらに好ましい。 上記薬剤または移植材は、再生治療に使用されることが好ましく、変形性関節症、骨折、歯槽骨もしくは顎骨欠損、脳梗塞、心筋梗塞または下肢虚血による損傷組織の再生治療に使用されることが特に好ましい。 上記薬剤または移植材に含まれる間葉系幹細胞遊走能促進因子が、EGF(上皮成長因子)、HB−EGF(ヘパリン結合上皮成長因子)、TGF−α、トロンビン、PDGF(血小板由来成長因子)、FGF(線維芽細胞成長因子)、ヒアルロン酸、IGF(インスリン様成長因子)、およびHGF(肝細胞増殖因子)から選ばれることが好ましい。 上記薬剤を間葉系幹細胞と同時に、連続的にまたは別個に投与してもよい。 上記移植材を間葉系幹細胞と同時に、連続的にまたは別個に移植してもよい。 本発明の別の側面によれば、損傷組織への間葉系幹細胞の遊走・集積を促進すること、および、損傷組織からの間葉系幹細胞の拡散を抑制することの少なくとも一方を含む損傷組織の再生治療方法が提供される。 上記方法が間葉系幹細胞遊走能促進因子を投与することを含むことが好ましい。 上記方法において、損傷組織が、変形性関節症、骨折、歯槽骨もしくは顎骨欠損、脳梗塞、心筋梗塞または下肢虚血によることが好ましい。 上記方法で投与される間葉系幹細胞遊走能促進因子が、EGF、HB−EGF、TGF−α、トロンビン、PDGF、FGF、ヒアルロン酸、IGF、およびHGFから選ばれることが好ましい。 上記方法において、間葉系幹細胞遊走能促進因子が損傷組織に局所投与されることが好ましく、注射投与されることまたは損傷組織に塗布されることが特に好ましい。 上記方法において、間葉系幹細胞遊走能促進因子の投与と同時に、連続的にまたは別個に、間葉系幹細胞を損傷組織および/またはその周辺に投与してもよい。 他の側面において本発明は、損傷組織への間葉系幹細胞の遊走・集積を促進する、および/または、損傷組織からの間葉系幹細胞の拡散を抑制する薬剤または移植材の製造のための上記間葉系幹細胞遊走能促進因子の使用に関する。 本発明によれば、損傷組織の再生治療に有効な薬剤、移植材、治療方法等が提供される。それぞれ、AがPDGF−BB、BがbFGF、CがHB−EGF、DがTGF−α、EがPDGF AB、FがIGF−I、GがEGF、Hがα−トロンビン、IがHGFの、ウサギ由来MSCに対する遊走・集積刺激効果の用量応答曲線を示すグラフである。それぞれ、TGF−β1、TGF−β3、IL−2、PDGF−AA、SCGF−α、SCF、SDF−1α、レプチン、BDNF、NGF-β、NT-3、ANPの、ウサギ由来MSCに対する遊走・集積刺激効果の用量応答曲線を示すグラフである。PDGF−BBのヒト腸骨由来MSCとヒト顎骨由来MSCに対する遊走・集積刺激効果を示すグラフである。斜線入りの棒グラフはPDGF−BBの最終濃度10ng/mLの時のCIを示し、無地の棒グラフはPDGF−BB濃度0の時のCIを示す。それぞれ、PDGF−BB、HB−EGF、TGF−α、PDGF AB、IGF−I、EGFの各濃度における、ヒト由来MSC(Kt−11)に対する遊走・集積刺激効果を示すグラフである。ラットのふくらはぎに局在化させたPDGF−BBの、ラット由来MSCに対する遊走・集積刺激効果を示す電気泳動写真である。図5中のGFPのバンドの濃度をGAPDHのバンドの濃度で補正した数値をグラフ化したものである。 本発明において、「間葉系幹細胞」とは、骨、軟骨、脂肪、血管、神経等への多分化能(multipotent)を有する組織幹細胞のことである。 本発明において、「損傷組織への間葉系幹細胞の遊走・集積を促進するおよび/または損傷組織からの間葉系幹細胞の拡散を抑制する」とは、損傷組織への間葉系幹細胞の遊走・集積を促進すること、および、損傷組織からの間葉系幹細胞の拡散を抑制することの少なくとも一方が行われることを意味する。 本発明において、「間葉系幹細胞遊走能促進因子」とは、間葉系幹細胞の遊走・集積を促進する因子のことである。さらに、本発明において、「間葉系幹細胞の増殖を促進する間葉系幹細胞遊走能促進因子」とは、間葉系幹細胞の遊走・集積を促進するだけでなく、間葉系幹細胞の増殖をも促進する因子のことである。 本発明において、「損傷組織」とは、変形性関節症、骨折、歯槽骨もしくは顎骨欠損、脳梗塞、心筋梗塞、下肢虚血等により損傷(組織の破壊や喪失を含む)を受けた組織を意味する。また損傷を受けた皮膚、靭帯、半月板、腱、肝臓、腎臓、食道、胃、肺、毛等も含むすべての組織を意味する。 本発明において、「損傷組織の再生(regeneration)」とは、損傷組織の再構成(reconstruction)および再構築(reproduction)を意味する。変形性関節症においては、例えば、関節軟骨が周囲の軟骨と同様な厚みで平滑な状態に回復すること等である。骨折においては、例えば、皮質骨が周囲の骨と同様な厚みで連続的に結合した状態に回復することである。歯槽骨欠損においては、例えば、歯周病、ブラキシズム、咬合性外傷、矯正治療等により吸収された歯を支持する歯槽骨の高さがセメント−エナメル境界程度まで回復、あるいは歯の動揺が臨床的許容範囲内となるまで歯槽骨のレベルが回復することである。脳梗塞においては、例えば、梗塞によって失われた脳の機能が部分的にでも回復することである。心筋梗塞においては、例えば、梗塞に陥った心筋の機能が部分的にでも回復することである。下肢虚血においては、例えば、血管が再生することによって末梢組織の血管内皮機能が回復することである。 本発明において、「損傷組織の再生治療」とは、損傷組織の再生を促進することのみならず、本願の薬剤や治療方法を適用しない場合と比較して、既にある損傷の増悪を防いだり増悪の程度を軽減させたりする場合をも含む概念である。 本発明において、「移植材」とは、MSC遊走能促進因子と、その因子を所定の部位(例えば、関節の損傷部位、大腿骨頸部骨折部位や歯槽骨や顎骨の欠損部位などの生体部位)に所定の濃度で作用させるための足場(scaffold)となる担体と、を含むものを意味する。 本発明に使用するMSC遊走能促進因子は、遺伝子組換えや化学合成などで人工的に製造したものでも天然型(native)でもよい。 本発明の薬剤の投与経路は特に限定されず、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、経皮投与、経気道投与、皮内投与、皮下投与などでもよい。 本発明の薬剤は注射等により局所投与することも可能である。例えば、損傷関節内、骨折部位、歯槽骨や顎骨欠損部位、梗塞部位、虚血部位あるいはこれらの周囲などに注射してもよい。 本発明の薬剤は外用剤として局所投与してもよい。例えば、歯周病、ブラキシズム、咬合性外傷、矯正治療等による歯槽骨吸収においては、シリンジ等に充填し、歯周ポケット内に直接注入してもよい。また、歯周外科治療の際に、歯周組織の欠損部に投与することも可能である。その場合には、長時間一定の濃度で作用させるために、本発明の治療剤をシートやスポンジなどに吸収させて使用することも好ましい。感染した歯周組織を除去してから投与することが好ましい。のう胞や腫瘍摘出後の歯槽骨や顎骨の欠損部に局所投与してもよい。 例えば、骨折においては、骨折片が離断している場合は従来の整復法により移動骨折片を整復固定後、骨折片が完全に離断しておらず(骨に亀裂(クラック)が入っている場合など)整復が必要ない場合にはそのままの位置で固定後、骨折部位に本発明の薬剤を注射投与してもよい。 本発明の薬剤を使用する場合には、通常の製剤方法により、製剤的に許容しうる担体または希釈剤などを使用して適当な剤形に製剤化して用いるのが好ましい。剤形としては、軟膏、クリーム、ローション等の外用剤の他、例えば水系の溶剤を主成分とした注射剤などが挙げられる。粉末状の剤形として、使用直前に精製水などの溶解液に溶解して使用することも可能である。あるいは、MSC遊走能促進因子をゼラチン、PLGA(poly lactic glycolic acid)、PGA(ポリグリコール酸)、PLA (ポリ乳酸)、ハイドロキシアパタイト、βTCP(βトリカルシウムフォスペクト/β三リン酸カルシウム)等の担体と混合し、凍結乾燥等して塗布薬としてもよい。あるいは、ブロック状、顆粒状などのリン酸カルシウム系充填材やハイドロキシアパタイト系充填材と混合して使用してもよい。その他、錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤、散剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤、経皮吸収剤、吸入剤、坐剤等が挙げられる。 投与量や投与間隔は、使用するMSC遊走能促進因子の種類、投与経路、剤形、損傷組織の位置、範囲、程度、症状、投与対象の年齢、性別等により異なるが、局所投与においては、通常1箇所あたり、MSC遊走能促進因子として1pg〜1mgが好ましく、1000pg〜100μgがさらに好ましく、10ng〜1μgが特に好ましい。一般に、注射で局所投与する場合は外用薬よりも少ない投与量でよい。本発明の治療剤は、例えば、週に1〜4回(例えば2日に1回)で、1〜5週間程度(例えば3週間程度)投与してもよい。本発明の治療剤の投与と同時に、投与前後に連続的に、または投与前後にある程度時間をあけて別々に、MSCを損傷部位やその周辺に局所投与してもよく、その場合には、本発明の治療剤の投与回数を減らせることもある。 本発明の移植材は、移植材の1cm3当たり、1pg〜1mg(さらに好ましくは1000pg〜100μg、特に好ましくは10ng〜1μg)のMSC遊走能促進因子を含むことが好ましい。本発明の移植材の移植と同時に、移植前後に連続的に、または移植前後にある程度時間をあけて別々に、MSCを損傷部位やその周辺に局所投与してもよい。 本発明の治療剤や移植材は、その有効性を妨げない限り、他の薬剤と組合わせて使用してもよい。例えば、感染防止のための抗生物質(例、ペニシリン、ストレプトマイシン)あるいは抗真菌剤(例、アンホテリシンB)等と組み合わせて使用してもよいし、ステロイド剤(例、デキサメタゾン)等の抗炎症剤と組み合わせて使用してもよい。本発明の治療剤や移植材と共に、MSCを損傷部位に局所投与しても良い。 本発明の移植材においてMSC遊走能促進因子と組合わせる担体としては、MSC遊走能促進因子を投与局所に維持できる材料であって、生体為害性がなく、MSC遊走能促進因子の作用を阻害することのない材料であればよい。例えば、多孔性のシートやスポンジなどが使用できる。生体分解性タンパク材料(コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、プレートレット・リッチ・プラズマ(PRP))や組織吸収性材料(ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)、ヒアルロン酸(HA)、三リン酸カルシウム(TPC))であれば、後に摘出する必要がないため好ましい。例えば、テルプラグ(商品名)(テルモ社)、ジーシーメンブレン(商品名)(ジーシー社)、オスフェリオン(商品名)(オリンパス社)等がある。あるいは、MSC遊走能促進因子を従来の骨充填材(リン酸カルシウム系充填材やハイドロキシアパタイト系充填材(アパセラム(商品名):ペンタックス社)等)と混合したものを移植材としてもよく、顆粒状、塊状等の骨充填材が好ましく用いられる。 以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。 実施例1 (細胞培養) MSCの分離は、Tsutsumiらの方法(Tsutsumi S、B.B.R.C. 2001;288:413-419)に従って行った。すなわち、4週齡の雄性日本白色ウサギ(SPF、北山ラベス生産)3羽の腹腔内へネンブタール麻酔薬を過剰投与して屠殺後、両側の大腿骨・脛骨を取り出し、骨端を落とし、この中に存在する骨髄を一本あたり約20mLのダルベッコ変法イーグル培地(シグマ社)(最終濃度100 unit/mLのペニシリンG、最終濃度100μg/mLの硫酸ストレプトマイシン、最終濃度0.0085%のアンホテリシンB(ギブコ社)および10%牛胎児血清を含む)で、21ゲージ針(テルモ社)を使用して骨髄を分離後、骨髄細胞の懸濁液を、ピペットを用いて単一の細胞にした。上述のダルベッコ変法イーグル培地を含む培養皿(175cm2、ファルコン社)に、片足分の大腿骨及び脛骨の骨髄液を全て播種し、底面に接着した細胞(MSC)をそのまま同じ培地で培養し続け(37℃、5% CO2 95% Air)、コロニーを形成したところで(7日目)、新たな培養皿に細胞密度5000細胞/cm2で継代培養した。 (細胞遊走試験) 上記で得られたウサギ由来MSCに対する、PDGF−BB(Genzyme Techne社製)、bFGF(塩基性線維芽細胞成長因子)(科研製薬社製)、HB−EGF(シグマ社製)、TGF−α(DIACLONE Research社製)、PDGF−AB(Genzyme Techne社製)、IGF−I(Insulin-like growth factor-I)(BD Biosciences社製)、EGF(Pepro Tech EC社製)、α−トロンビン(Enzyme Research Laboratories社製)、HGF(Pepro Tech EC社製)、TGF−β1(Pepro Tech EC社製)、TGF−β3(Pepro Tech EC社製)、IL−2(Pepro Tech EC社製)、SCGF-α(Stem cell growth factor-α) (Pepro Tech EC社製)、SCF(Stem cell factor)(Pepro Tech EC社製)、SDF−1α(Stromal cell-defived factor-1α)(Pepro Tech EC社製)、レプチン(DIACLONE Research社製)、BDNF(Brain-derived neurotrophic factor)(和光純薬工業社製)、NGF−β(Nerve growth factor-β) (シグマ社製)、NT−3(Neurotrophin-3)(シグマ社製)、ANP(Biogenesis社製)、ヒアルロン酸(高分子、電気化学工業社製)、PDGF−AA(Pepro Tech EC社製)の各試験物質の遊走・集積刺激効果を検討した。 ウサギ由来MSCを、血清を含まないダルベッコ変法イーグル培地(最終濃度100unit/mLのペニシリンG、最終濃度100μg/mLの硫酸ストレプトマイシン、最終濃度0.0085%のアンホテリシンBを含む)に、1×106個/mLで懸濁し、MSCサンプル液とした。各試験物質を、それぞれ図1,2に示す最終濃度となるように、上述の血清を含まないダルベッコ変法イーグル培地に溶解し、試験物質溶液とした。両面が0.01%の1型コラーゲンで一晩4℃でコートされたポリカーボネートフィルター(ポアサイズ8μm、Neuro Probe Inc.)で、96穴ボイデンチャンバー(Boyden's chamber、Neuro Probe Inc.)の各ウェルを上部と下部に分けた。25μLの試験物質溶液を、ウェルのフィルターの下層に入れ、50μLのMSCサンプル液をウェルのフィルターの上層に入れた(5×104個/ウェル)。1つの試験物質の各濃度当たり4つのウェルを使用して試験した。フィルター下層に試験物質を含まない培地25μLのみを入れ、フィルターの上層にMSCサンプル液50μLのみを入れたウェルを、コントロールとして使用した。 5% CO2下、37℃で、ボイデンチャンバーを6時間インキュベーションした後、フィルターをはずし、遊走・集積したウサギ由来MSCをメタノールにて固定し、ディフクイック(Diff-Quik)(国際試薬社製)で染色した。フィルターの上部表面の細胞をキムワイプで機械的にふき取り、フィルター下部のディフクイックで染まった細胞の605nmでの吸光度を、イムノミニNJ2300(Immuno Mini NJ2300、ヌンク社)により測定した。得られたデータから、各試験物質についての用量応答曲線を作成した。 (結果) 結果を図1,2のグラフに示す。縦軸はケモタキシスインデックス(CI)、すなわち、コントロールウェルのフィルター下部に移動した細胞の吸光度を基準として、試験物質を入れたウェルのフィルター下部に移動した細胞の吸光度を除した値を示す。統計学的検定はt検定で行った。図1の各グラフにおいて、*はp<0.05を表し、**はp<0.01を表す。図1,2の各グラフにおいて、バーは平均値±標準偏差(mean±SD)を表す。 各グラフから明らかなように、PDGF−BB、bFGF、HB−EGF、TGF−α、PDGF−AB、IGF−I、EGF、α−トロンビン、HGFは、いずれもウサギ由来MSCの遊走・集積を有意に促進したが、TGF−β1、TGF−β3、IL−2、SCGF−α、SCF、SDF−1α、レプチン、BDNF、NGF−β、NT-3、ANP、PDGF−AAには有意な効果は認められなかった。また図には示さないが、高分子ヒアルロン酸は約10 μg/mL〜5 mg/mLの範囲でウサギ由来MSCの遊走・集積を有意に促進した。 実施例2 ヒト腸骨由来のMSCである1F1061細胞および1F2155細胞(Cambrex社より購入)およびヒト顎骨由来のMSCであるKt−10細胞およびKt−11細胞を用いて、実施例1と同様の方法で細胞遊走試験を行った。 1F1061細胞および1F2155細胞は、CD29、44、105、166 がポジティブで、CD14、34、45がネガティブであること、および骨、軟骨、脂肪への分化能をもつことが確認されている。 Kt−10細胞およびKt−11細胞は、広島大学歯学部附属病院において難抜歯または顎骨切除術を行った際に、余剰となった骨髄液を200 U/mLヘパリン含有のダルベッコ変法イーグル培地に懸濁し(倫理委員会承認番号2号)、実施例1と同様の方法により培養皿上で増殖させたものである。Kt−10細胞およびKt−11細胞も骨、軟骨、脂肪への分化能をもつことが確認されている。 (細胞遊走試験) 上記のヒト腸骨由来MSCおよびヒト顎骨由来MSCに対する、PDGF−BB、HB−EGF、TGF−α、PDGF AB、IGF−I、EGFの遊走・集積刺激効果を、実施例1と同じ方法で検討した。 図3に1F1061細胞、1F2155細胞、Kt−10細胞およびKt−11細胞に対するPDGF−BB(最終濃度10ng/ml)の結果を示す。図4にKt−11細胞に対するHB−EGF、EGF、TGF−α、IGF−I、PDGF AB、PDGF−BBの各濃度における、ヒト由来MSCに対する遊走・集積刺激効果を示す。図3、4の各グラフにおいて、*はp<0.05を表し、**はp<0.01を表し、バーは平均値±標準偏差(mean±SD)を表す。 各グラフから明らかなように、HB−EGF、EGF、TGF−α、IGF−I、PDGF−AB、PDGF−BBは、いずれもヒト由来MSCの遊走・集積を有意に促進していた。実施例3 (細胞増殖試験) 実施例1で得られたウサギ由来MSCに対する、PDGF-BB(Genzyme Techne社製)、bFGF(塩基性線維芽細胞成長因子)(科研製薬社製)、HB−EGF(シグマ社製)、TGF−α(DIACLONE Research社製)、PDGF-AB(Genzyme Techne社製)、IGF−I(Insulin-like growth factor-I)(BD Biosciences社製)、EGF(Pepro Tech EC社製)、α−トロンビン(Enzyme Research Laboratories社製)、HGF(Pepro Tech EC社製)、PDGF−AA(Pepro Tech EC社製)、TGF−β1(Pepro Tech EC社製)、TGF−β3(Pepro Tech EC社製)、IL−2(Pepro Tech EC社製)、SCGF-α(Stem cell growth factor-α) (Pepro Tech EC社製)、SCF(Stem cell factor)(Pepro Tech EC社製)、SDF−1α(Stromal cell-defived factor-1α)(Pepro Tech EC社製)、レプチン(DIACLONE Research社製)、BDNF(Brain-derived neurotrophic factor)(和光純薬工業社製)、NGF-β(Nerve growth factor-β) (シグマ社製)、ANP(Biogenesis社製)の各試験物質の増殖刺激効果を検討した。 ウサギ由来MSCを、3000細胞/ウェルとなるように5% FCS含有ダルベッコ変法イーグル培地にて調製し96ウェルTC plate に播種した。24時間後 血清の濃度を1%まで下げ、さらに14時間後 血清を含まないダルベッコ変法培地とした。無血清培地として10時間後、試験物質を最終濃度が100 ng/mlになるようにダルベッコ変法イーグル培地にて希釈した培地へ交換した。18時間後 3H-thymidine を最終濃度5μCi/ml (0.5μCi /ウェル) となるように加え、6時間ラベリングを行った。ラベルされた細胞に取り込まれた3H-thymidineの量を液体シンチレーションカウンターにて測定し、MSCの増殖率とした。表1に、各因子を添加した場合の3H-thymidineの取り込み(DPM)の割合をコントロールに対する%で示す(標準偏差を±で示す)。 (結果) ウサギ由来MSCの遊走を促進させた因子(PDGF−BB、bFGF、HB−EGF、TGF−α、PDGF−AB、IGF−I、EGF、α−トロンビン、HGF)はすべてウサギ由来MSCの増殖を促進させた。一方、遊走に影響しなかった因子(PDGF−AA、TGF−β1、TGF−β3、IL−2、SCGF−α、SCF、SDF−1α、レプチン、BDNF、NGF−β、ANP)はウサギMSCの増殖を有意に促進しなかった。実施例4 GFP(緑色蛍光タンパク質) トランスジェニックラットを使用して、MSC(GFP-MSC)のin vivo遊走試験を行った。 (細胞培養) GFPトランスジェニックラットからのGFP-MSCの分離を行った。すなわち、腹腔内へネンブタール麻酔薬を過剰投与して屠殺後、両側の大腿骨・脛骨を取り出し、骨端を落とし、この中に存在する骨髄を一本あたり約20mLのダルベッコ変法イーグル培地(シグマ社)(最終濃度100 unit/mLのペニシリンG、最終濃度100μg/mLの硫酸ストレプトマイシン、最終濃度0.0085%のアンホテリシンB(ギブコ社)および10%牛胎児血清を含む)で、21ゲージ針(テルモ社)を使用して骨髄を分離後、骨髄細胞の懸濁液を、ピペットを用いて単一の細胞にした。上述のダルベッコ変法イーグル培地を含む培養皿(175cm2、ファルコン社)に、片足分の大腿骨及び脛骨の骨髄液を全て播種し、底面に接着した細胞(MSC)をそのまま同じ培地で培養し続け(37℃、5% CO2 95% Air)、コロニーを形成したところで(7日目)、新たな培養皿に細胞密度5000細胞/cm2で継代培養し、以下の実験に使用した。 (移植実験) ノントランスジェニックのSDラット(n=2)をネンブタールによって全身麻酔し(腹腔内40 mg/kg)、左右ふくらはぎ部を剃毛後、29G針を使用して、PDGF−BB 1μg/mlを含む2%アテロコラーゲン300μlを皮下注射した。その直後にGFP-MSC (2x106cells/ml、 150μl)を尾静脈へ注入した。コントロールにはPDGF−BBを含まない2%アテロコラーゲンのみを300μl皮下注射した。 (遊走評価方法) 7日後、コラーゲンを注入した部位を含むふくらはぎ部の筋肉および皮膚組織を採取し、組織中の細胞のtotal RNAを採取した。すなわちTRI Reagent(登録商標)(シグマ社)とRNeasy(登録商標)mini kit(QIAGEN社)によってtotal RNAを精製した。2μgの total RNAからOmniscript RT(QIAGEN社)を用いてcDNAを製作し、GAPDH(ハウスキーピング遺伝子) は1 μlのcDNA溶液を、GFPは4 μlのcDNA溶液をテンプレートとして、それぞれの特異的プライマーを使ってPCR(GAPDHは18 サイクル、GFPは40サイクル)を行った。得られたPCR産物は4% NuSieve(登録商標)GTG(登録商標) agarose ゲル(BMA社)内で電気泳動し、エチジウムブロマイド染色を行い、UV下で可視化した。GFPのPCR産物は129bp、GAPDHのPCR産物は613bpに対応するバンドとして現れる。 (結果) 図5の電気泳動写真は、コラーゲン単独とPDGF−BB含有コラーゲンを注入したふくらはぎからそれぞれ採取したtotal RNAを用いてハウスキーピング遺伝子(GAPDH)とGFP遺伝子のRT-PCRを行った結果である。GFPに対応するバンドの存在は、尾静脈から注入したGFP-MSCがふくらはぎ部まで遊走したことを示す。GFPのRNA量についてコラーゲン単独を注入した側(PDGF-BB -)と、PDGF−BB含有コラーゲンを注入した側(PDGF-BB +)とで比較すると、個体1ではPDGF−BB含有側のみにGFPのバンドが認められ、個体2でもPDGF−BB含有側により強いバンドが認められた。これらのバンドをスキャンしてそれぞれのGAPDHのバンドの濃度を基準にしてGFPのバンドの濃度を補正したところ、個体1及び2のいずれにおいても、PDGF−BBを含有させた側のふくらはぎ部からより多くのGFP遺伝子が検出されることが示された(図6)。このことは、GFP-MSCが尾静脈から全身に循環する過程で、PDGF−BBが局在する部位へより多く遊走・集積したことを示す。 本発明の薬剤、移植材および治療方法は、再生医療に役立つことが期待できる。 PDGF−BB、bFGF、HB−EGF、TGF−α、PDGF−AB、IGF−I、EGF、α−トロンビン、およびHGFから選ばれる物質を有効成分として含有し、損傷部位又はその周囲に注射投与される、損傷組織の再生治療に使用される薬剤であって、 損傷組織の再生治療が間葉系幹細胞の静脈注射による投与を伴い、 薬剤が、間葉系幹細胞の投与と同時に、連続的にまたは別個に使用され、有効成分が損傷組織に局所投与されることにより、投与された間葉系幹細胞の損傷組織への遊走・集積を促進するおよび/または投与された間葉系幹細胞の損傷組織からの拡散を抑制することを特徴とする、薬剤。 間葉系幹細胞の増殖を促進する、請求項1記載の薬剤。 変形性関節症、骨折、歯槽骨もしくは顎骨欠損、脳梗塞、心筋梗塞または下肢虚血による損傷組織の再生治療に使用される請求項1又は2記載の薬剤。 PDGF−BBを有効成分として含有する、請求項1〜3の何れか1項記載の薬剤。