生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_合成カプサイシンの製造および精製
出願番号:2006509790
年次:2006
IPC分類:C07C 231/02,A61K 31/165,A61K 9/08,A61P 25/04,C07C 233/20,C07C 57/03,C07C 51/353,C07C 57/18,C07C 51/36


特許情報キャッシュ

マッキルヴェイン,シャロン チェン,ウェイ ラミヤ,プレムチャンドラン,エイチ. バーチ,ロナルド カーター,リチャード,ビー. アンダーソン,ティモシー,エー. ツァン,ヘピング JP 2006522815 公表特許公報(A) 20061005 2006509790 20040408 合成カプサイシンの製造および精製 アルゴルクス ファーマスーティカルズ,インク 505226390 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 マッキルヴェイン,シャロン チェン,ウェイ ラミヤ,プレムチャンドラン,エイチ. バーチ,ロナルド カーター,リチャード,ビー. アンダーソン,ティモシー,エー. ツァン,ヘピング US 60/461,164 20030408 US 60/531,074 20031218 C07C 231/02 20060101AFI20060908BHJP A61K 31/165 20060101ALI20060908BHJP A61K 9/08 20060101ALI20060908BHJP A61P 25/04 20060101ALI20060908BHJP C07C 233/20 20060101ALI20060908BHJP C07C 57/03 20060101ALI20060908BHJP C07C 51/353 20060101ALI20060908BHJP C07C 57/18 20060101ALI20060908BHJP C07C 51/36 20060101ALI20060908BHJP JPC07C231/02A61K31/165A61K9/08A61P25/04C07C233/20C07C57/03C07C51/353C07C57/18C07C51/36 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW US2004010745 20040408 WO2004092122 20041028 33 20051202 4C076 4C206 4H006 4C076AA12 4C076AA22 4C076BB11 4C076EE23A 4C076GG45 4C206AA01 4C206AA04 4C206GA28 4C206MA04 4C206MA37 4C206MA43 4C206MA86 4C206NA03 4C206ZA08 4H006AA02 4H006AA03 4H006AB21 4H006AC11 4H006AC24 4H006AC46 4H006AC53 4H006BA92 4H006BB25 4H006BC10 4H006BJ50 4H006BN30 4H006BP30 4H006BS10 4H006BV34 本発明は、合成的に製造されるカプサイシンの製造および精製方法に関する。 カプサイシンは、ナス科の植物(ホットチリペッパー)に由来する刺激性の物質であり、疼痛を伝達すると考えられる細い求心性の神経繊維であるC繊維およびAδ繊維に対して選択的に作用することから、長い間実験ツールとして用いられてきた。動物実験によると、カプサイシンは、カルシウムおよびナトリウム透過性のカチオンチャネルを開くことによりC繊維膜の脱分極を引き起こすようである。最近、カプサイシン効果に対する受容体の1つがクローニングされた。カプサイシンは、キダチトウガラシ(Capsicum frutescens)またはトウガラシ(Capsicum annum)の実からエタノール抽出により容易に得ることができる。カプサイシンは、化学名N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)-8-メチルノナ-trans-6-エンアミドとして知られている。カプサイシンは、実質的に水に不溶性であるが、アルコール、エーテル、ベンゼンおよびクロロホルムには支障なく溶ける。治療的には、カプサイシンは局所鎮痛薬として使用されてきた。カプサイシンは、Steve Weiss & Co., 315 East 68th Street, New York, NY 10021からカプサイシンUSPとして市販されており、また発表された方法により合成的に製造することもできる。Michalska ら, "Synthesis and Local Anesthetic Properties of N-substituted 3,4-Dimethoxyphenethylamine Derivatives", Diss Pharm. Pharmacol., Vol. 24, (1972), pp. 17-25, (Chem. Abs. 77: 19271a)を参照されたい。そこでは、N-ペンチルおよびN-ヘキシル3,4-ジメトキシフェニルアセトアミドが、対応する二級アミンへと還元されることが開示されている。カプサイシン(USP)は、110%を下らない総カプサイシノイドを含有し、これは典型的には純度63%のカプサイシンに相当する。USPカプサイシンは、55〜60%がtrans-カプサイシンであり、また前駆体であるジヒドロカプサイシンおよびノルジヒドロカプサイシンをも含有する。 詳細な作用機序は未だ不明であるが、カプサイシンが仲介する効果には:(i)末梢組織における侵害受容器の活性化;(ii)1以上の刺激の感覚に対する末梢侵害受容器の最終的脱感作;(iii)感受性AδおよびC繊維求心性神経の細胞変性; (iv)ニューロンのプロテアーゼの活性化; (v)軸索輸送の遮断;(vi)非侵害受容性繊維の数に影響することなく侵害受容性繊維の絶対数を減少させること、が含まれる。 カプサイシンおよびその類似体の合成方法は報告されており、例えばCrombie ら, “Amides of Vegetable Origin Part VI Synthesis of Capsaicin,” Journal of the Chemical Society, pp. 1025-1027 (1955)は、赤唐辛子の有効成分であるカプサイシン、N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)-8-メチルノナ-trans-6-エンアミドの明確な合成を開示している。LaHannらに1985年1月15日に発行された米国特許第4,493,848号は、N-[(置換フェニル)メチル]-cis-モノ不飽和アルケンアミド組成物を開示し、また非経口、経口および局所投与用の同化合物の合成方法を開示している。Chenらに1992年3月10日に発行された米国特許第5,094,782号は、合成カプサイシン(ノナノイルバニリルアミド)と無水コハク酸からのノナノイルバニリルアミドスクシネートの合成を開示している。 さらに、他の文献は二重結合を導入するための重要な工程としてウィッティヒ(Wittig)反応を利用することを報告している。しかしながら、ウィッティヒ反応は常にcisアルケン生成物を優先的に与える。したがってシス生成物をトランス生成物へと異性化して分離するために、追加の工程(分別結晶を含む)が必要となる。 カプサイシン合成の別法は、オレフィン(アルケン)二重結合のトランス異性体を選択的に形成するためにクライゼン(Claisen)エステル転位を利用する。クライゼンエステル転位の使用は、シス生成物が生じ得ないことからウィッティヒ反応より優れているものの、炭素鎖が短すぎる初期生成物をもたらす。このことから、クライゼン工程の後で、最終生成物を形成するためにベンジルアミンとカップリングする前に、炭素鎖を長くしなければならない。 従来技術に記載されているカプサイシン合成に必要な追加工程を行う必要のない、カプサイシンのトランス異性体の全合成を提供するような、カプサイシンのトランス異性体の合成方法を提供することは有利であろう。 さらに、本明細書に記載の方法により製造した合成カプサイシンの精製方法を提供することも有利であろう。 本発明は、一部には、トランス幾何学的配置が合成反応の開始時から確立されており、簡単な4工程法の間、一貫して維持されるという事実に基づいている。さらに、本発明は、一部には、合成的に製造されたtrans-カプサイシンが99.0%またはそれ以上の純度に精製可能であるという事実に基づいている。発明の目的と概要 本発明の目的は、カプサイシンまたはカプサイシン様化合物のトランス異性体の全合成法を提供することである。 本発明の別の目的は、本発明のカプサイシンまたはカプサイシン様化合物の精製方法を提供することである。 上記目的および他の目的のために、本発明のある好適な実施形態においては、カプサイシンのトランス異性体を4工程法から合成する方法を提供する。 他の実施形態においては、trans-カプサイシンの製造方法を提供するが、その方法は以下の工程を含んでなる: a) 3-メチルブチンをハロ吉草酸および/またはω-ハロアルカン酸でアルキル化して、8-メチル-6-ノニン酸および/または以下の化学式(n=4〜8)を有するそのアルキン酸類似体を得ること、b) 8-メチル-6-ノニン酸を還元してtrans-8-メチルノネン酸を得ること、c) 8-メチルノネン酸を活性化して酸塩化物を得ること、d) 4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミン塩酸塩を前記酸塩化物でアシル化してtrans-カプサイシンを得ること。 他の特定の実施形態においては、工程a)が以下の工程を含んでなる、trans-カプサイシンの製造方法を提供する:i) 無水テトラヒドロフラン(THF)をヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)と混合し、この混合物を約-78℃〜-75℃に冷却すること、ii) 工程i)の混合物に3-メチルブチンを加え、次いで約-78℃〜約-65℃の温度で塩基を滴下して第2の混合物を得ること、iii) 第2の混合物を約-30℃まで温めて撹拌(好ましくは約30分ほど)すること、iv) 約-30℃で、無水テトラヒドロフラン中のハロ吉草酸の溶液を滴下し、ここでハロ吉草酸は前記3-メチルブチンを8-メチル-6-ノニン酸へと変換するのに十分な量で添加され、次いで室温まで徐々に温めかつ撹拌(好ましくは一晩)して反応混合物を得ること。 特定の実施形態においては、工程a)の粗製中間生成物を得る方法を提供するが、その方法は以下の工程をさらに含んでなる:i) 反応混合物に塩酸(HCl)を加え(好ましくは3M HCl)、反応混合物を酢酸エチルで抽出すること、ii)抽出した反応混合物を塩水で洗浄して粗製の生成物を得ること。 本発明の別の実施形態においては、工程a)の粗製中間生成物の精製方法を提供するが、その方法は以下の工程を含んでなる:i) シリカゲルを用いて酢酸エチル/ヘキサンの混合溶媒で溶出するカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すること;ii) 真空条件下で溶媒を除去して工程a)の中間生成物を得ること。 他の特定の実施形態においては、工程b)が以下の工程を含んでなる、trans-カプサイシンの製造方法を提供する:i) 前記8-メチル-6-ノニン酸を無水テトラヒドロフランとt-ブチルアルコール(t-BuOH)の混合溶媒に溶解して溶液とし、この溶液を約-55℃〜約-40℃に冷却すること、ii) 前記溶液に約-50℃〜約-40℃の温度でアンモニア(NH3)を凝縮させること、iii) 約-45℃〜約-30℃の温度でナトリウムを一片ずつ加え、ナトリウムが溶けるのに十分な時間(好ましくは約30分から約2時間)撹拌すること、iv) 塩化アンモニウム(NH4Cl)を添加し、室温まで温めて一晩かけてNH3を蒸発させ、反応混合物を得ること。 他の特定の実施形態においては、工程b)の反応の工程iii)がさらに以下の工程を含んでなる、trans-カプサイシンの製造方法を提供する:約-65℃〜約-45℃の温度でリチウムを一片ずつ加え、リチウムを溶かすのに十分な時間(好ましくは約30分から約2時間)撹拌すること。 他の特定の実施形態においては、工程b)がさらに以下の工程を含んでなる、trans-カプサイシンの製造方法を提供する:i) 前記反応混合物を一晩撹拌してアンモニアを蒸発させること、ii) 追加の無水テトラヒドロフランおよび塩化アンモニウムを加え、過剰のリチウムを中和するのに十分な時間(好ましくは30分)前記混合物を撹拌すること、iii) 氷水を少しずつ加えること、iv) 前記混合物を酢酸エチルで抽出し、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させること、v) 濾過し、溶媒を真空下で除去して、工程b)の中間生成物を得ること。 特定の実施形態においては、工程b)の粗製中間生成物を得る方法を提供するが、この方法はさらに以下の工程を含んでなる:i) 反応混合物に水を加えること、ii) 反応混合物をHCl(好ましくは6N HCl)で約pH2〜3に酸性化すること、iii) 反応混合物を酢酸エチルで抽出し、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)上で乾燥させること、iv) 濾過し、真空下で溶媒を除去して、工程b)の粗製中間生成物を得ること。 本発明の他の実施形態においては、工程b)の粗製中間生成物の精製方法を提供するが、この方法は以下の工程を含んでなる:i) シリカゲルを用いて酢酸エチル/ヘキサンの混合溶媒で溶出するフラッシュカラムクロマトグラリーにより生成物を精製して、工程b)の中間生成物を得ること。 他の特定の実施形態において、工程c)が以下の工程を含んでなる、trans-カプサイシンの製造方法を提供する: i) 8-メチル-6-ノネン酸にハロゲン化チオニルを一滴ずつ室温で加えて溶液を形成すること、ii) 前記溶液を約50℃〜約75℃で8-メチル-6-ノネン酸を酸ハロゲン化物へと変換するのに十分な時間(好ましくは約1時間)加熱すること、iii) 約40℃〜約45℃の真空条件下で過剰なハロゲン化チオニルを除去して工程c)の中間生成物を得ること。 他の特定の実施形態においては、工程d)が以下の工程を含んでなる、trans-カプサイシンの製造方法を提供する: i) 4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミン塩酸塩とジメチルホルムアミド(DMF)を混合すること、ii) 工程i)の混合物に、水酸化ナトリウム水溶液(好ましくは5N NaOH)を室温で少しずつ加えて撹拌(好ましくは30分間)すること、iii) 無水エーテル中の酸ハロゲン化物を、約0℃〜約10℃で、酸ハロゲン化物をアミドへと変換するのに十分な時間(好ましくは約20分から約1時間)滴下すること、iv) 混合物を徐々に室温まで温めて撹拌(好ましくは一晩)すること。 特定の実施形態においては、以下の工程をさらに含んでなる、工程d)の粗製trans-カプサイシン生成物を得る方法を提供する: i) 混合物に水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出して酢酸エチル抽出物を得ること、ii) 前記抽出物をHCl(好ましくは1N HCl)で洗浄し、次いで重炭酸ナトリウム(NaHCO3)で洗浄すること、iii) 前記溶液を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)上で乾燥させること、iv) 濾過し、溶媒を真空条件下で除去して粗生成物を得ること。 本発明の他の実施形態においては、工程d)の粗製trans-カプサイシン生成物の精製方法を提供するが、この方法は、粗生成物を、シリカゲルを用いて酢酸エチル/ヘキサンの混合溶媒で溶出するカラムクロマトグラリーにより精製して、粗製trans-カプサイシン生成物を得ることを含んでなる。 他の特定の実施形態においては、trans-カプサイシン生成物を精製するためのさらなる方法を提供するが、この方法は以下の工程を含んでなる: i) 粗製trans-カプサイシン生成物をエーテル/ヘキサンの混合溶媒に溶解させ、この混合物を約40℃〜約45℃に加熱すること、ii) 混合物を約2時間撹拌しながら室温まで冷ますこと、iii) 混合物を濾過して精製trans-カプサイシン生成物を得ること。 他の特定の実施形態においては、準分取用HPLCを用いた高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によってカプサイシンを精製する方法を提供する。 特定の実施形態において、本発明はさらに、本発明の粗製trans-カプサイシン生成物を精製する方法、または既に精製した本発明のtrans-カプサイシン生成物をさらに精製する方法に関する。かかる精製は、約97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上の純度を有する超精製trans-カプサイシン生成物を与えることが好ましい。 このような精製は、本明細書においてカプサイシンの「準分取精製」(semi-preparative purification)とも呼ばれる。本発明に従ったカプサイシンの準分取精製は、準分取用HPLCを用いて行う。特定の好適な実施形態において、カプサイシンは、準分取用HPLCによるカプサイシンの精製に先立って、あらかじめ精製しておく。 特定の実施形態において、本発明はさらに、本発明に従って製造した超精製カプサイシン生成物に関し、ここでカプサイシン生成物は約97%以上、好ましくは約98%以上、より好ましくは99%以上の純度を有する。 他の特定の実施形態においては、本質的にtrans-カプサイシンからなる、疼痛緩和を必要とするヒトまたは動物の部位において疼痛を緩和するための、カプサイシン組成物を提供する。好ましくはカプサイシン組成物は、本発明の超精製カプサイシンおよび投与(例えば注射または浸潤による)に適したビヒクルを含んでなる。 他の特定の実施形態においては、以下の疼痛に関連した種々の症状の治療のためのtrans-カプサイシンまたはtrans-カプサイシン様化合物を含んでなる組成物を提供する:例えば、侵害受容性疼痛(無傷の神経経路に伝達される疼痛)、神経因性疼痛(神経構造への損傷により引き起こされる疼痛)、神経損傷の疼痛(神経腫および連続性の神経腫)、神経痛の痛み(神経の疾患および/または炎症に起因する疼痛)、筋肉痛の痛み(筋肉の疾患および/または炎症に起因する疼痛)、痛みを生じさせるトリガーポイントに関連する疼痛、軟組織の腫瘍から生じる疼痛、神経伝達物質調節不全症候群に関連する疼痛(正常な神経のシグナル伝達と関連する神経伝達分子の量/質の異常)、および整形外科的障害、例えば足、膝、腰、背骨、肩、肘、手、頭部および頸部の症状に関連する疼痛。好ましくはtrans-カプサイシンまたはtrans-カプサイシン様化合物は、超精製されたものである。 本明細書に記載する本発明がさらによく理解されるよう、以下の定義が提供される: 本明細書で用いる「trans-カプサイシン」は、カプサイシンのトランス異性体と、本明細書の方法によって製造したカプサイシン様化合物の全てのトランス異性体の両方を包含する。 本明細書で用いる「カプサイシン受容体」は、本明細書に詳細に記述するバニロイド受容体サブタイプ-1(VR1)を包含するが、VR1に限定されることを意図せず、特に受容体サブタイプVR1およびVR2を意味するよう総称的に使用される。発明の詳細な説明 本明細書に開示の方法は、trans-カプサイシンまたはtrans-カプサイシン様化合物の合成に有用である。 本発明の特定の他の実施形態においてtrans-カプサイシンは以下の化学反応により合成される: trans-カプサイシン合成の第1の工程では、第1の中間体が、好ましくはアルキル化反応により合成される。ある好ましい実施形態において、合成される第1の中間体は、好ましくは8-メチル-6-ノニン酸である。8-メチル-6-ノニン酸は、好ましくは3-メチル-ブチンをハロ吉草酸、例えば、ブロモ吉草酸、クロロ吉草酸、フルオロ吉草酸、ヨード吉草酸、アスタチノ吉草酸(astatinovaleric acid)、1-メシルオキシ吉草酸および1-トシルオキシ吉草酸などでアルキル化することにより合成される。 アルキル化反応は、好ましくはヘキサメチルホスホルアミドおよびテトラヒドロフランなどの溶媒を、適当な塩基、例えばn-ブチルリチウム(n-BuLi)の存在下で添加することにより進行させる。本発明の他の特定の実施形態では、アルキル化工程においてブチルリチウムの代わりに以下の別の塩基を用いてもよい:第二級ブチルリチウム(sec-BuLi)、第三級ブチルリチウム(t-BuLi)、リチウムジ(イソプロピル)アミド(LDA)、水素化ナトリウム(NaH)、ナトリウムアミド(NaNH2)、リチウムアミド(LiNH2)、メチル化リチウム(MeLi)、臭化メチルマグネシウム(MeMgBr)、臭化エチルマグネシウム(EtMgBr)、ハロゲン化アルキルまたはアリールマグネシウム、およびこれらの混合物。 他の特定の実施形態において、ヘキサメチルホスホルアミドを、1,2-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-(1H)ピリミジノンで置き換えてもよい。 他の特定の実施形態において、さらにエーテルなどの他の溶媒をアルキル化反応工程中に用いてもよい。 工程1の合成の粗生成物は、カラムクロマトグラフィーで精製することが好ましい。 他の特定の実施形態においては、工程1の中間体を、酸-塩基抽出により精製してもよい。 他の特定の実施形態においては、工程1の中間体を、減圧蒸留もしくは分別減圧蒸留または低温結晶化により精製してもよい。 trans-カプサイシン合成の第2の工程では、好ましくは第1の中間体を還元することにより第2の中間体を合成する。ある好適な実施形態において、合成される第2の中間体は好ましくは8-メチル-6-ノネン酸である。 還元反応はリチウム、t-BuOH、NH3/THFにより進行させることが好ましい。しかし、他の特定の実施形態では、金属水素化物、例えば水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)、液体アンモニア中のナトリウム、低級アミンの存在下でのリチウムを還元工程で使用して、所望の生成物を得ることも好適である。所望の生成物の収率は、還元工程を達成するために選択した作用剤に応じて変動すると考えられる。 他の特定の実施形態においては、t-BuOHを、他のアルキルアルコール、例えば第2級ブチルアルコール(sec-BuOH)、エチルアルコール(EtOH)などで置き換えてもよい。 trans-カプサイシン合成の第3の工程では、好ましくは、第2の中間体をハロゲン化チオニル、例えば塩化チオニルで活性化することにより、第3の中間体を合成する。ある好適な実施形態において、合成される第3の中間体は、好ましくは以下の式で表される酸ハロゲン化物、例えば酸塩化物である:ここでR2は、塩素、臭素、イミダゾリド、カルボジイミドおよび他の切断基(例えば混合エステル)からなる群より選択される。 特定の他の実施形態において、ハロゲン化チオニルの代わりに、塩化オキサリル、五塩化リン、三塩化リン、および塩化スルフリルを好適に使用することができる。 他の特定の実施形態において、カルボン酸の活性化は、クロロギ酸イソブチル、イミダゾリドおよびカルボジイミドとの混合エステルを形成させることにより達成することができる。 他の特定の実施形態において、ハロゲン化チオニルの代わりに、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)、DCCと1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)もしくは1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)の組み合わせ、EDCIとHOAtもしくはHOBtの組み合わせ、またはカルボニルジイミダゾール(CDI)、チオカルボニルイミダゾールを用いて活性化を行ってもよい。 trans-カプサイシン合成の第4の工程においては、酸ハロゲン化物でベンジルアミン誘導体をアシル化することにより、最終的なtrans-カプサイシン生成物を合成する。ある好適な実施形態において、ベンジルアミン誘導体は4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミン塩酸塩である。 特定の実施形態において、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミンHCl塩を、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミンで置き換えて酸塩化物と反応させてもよい。 特定の実施形態においては、酸ハロゲン化物とのアシル化反応を、ジメチルホルムアミド(DMF)およびエチルエーテル(Et2O)中で水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液により進行させる。 他の好適な実施形態において、水酸化ナトリウムの代わりに、他の塩基、例えば水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アルキルアミン(例えばトリエチルアミン)、Hunig's 塩基、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、およびピリジンを好適に使用することができる。 他の特定の実施形態においては、ジメチルホルムアミド/エーテルの代わりに、別の溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン(DME)、アセトニトリル、メチルエチルケトン(MEK)、ジクロロメタンおよびクロロホルムを好適に使用することができる。 特定の実施形態において、最終の第5工程では最終(粗製)trans-カプサイシン生成物を再結晶により精製する。好ましくは、再結晶には、(i)粗製trans-カプサイシン生成物をエーテル/ヘキサン混合溶媒に溶解させ、この混合物を約40℃〜約45℃に加熱すること、ii)約2時間撹拌しながら混合物を室温まで冷ますこと、iii)混合物を濾過して、精製されたtrans-カプサイシンを得ること、の工程を含んでなる、trans-カプサイシン生成物の精製が含まれる。これとは別に、最終(粗製)trans-カプサイシン生成物をカラムクロマトグラフィーで精製してもよく、その場合にはシリカゲルを用いて、例えば酢酸エチル/ヘキサンの混合溶媒で溶出することにより、精製されたtrans-カプサイシン生成物を得る。 上記最終の第5工程に加えて、またはこれとは別に、最終trans-カプサイシン生成物を準分取用HPLCで精製すると、約97%以上、好ましくは約98%以上、より好ましくは99%以上の純度を有する超精製trans-カプサイシンが得られる。 特定の実施形態において、準分取用HPLCシステムは、例えば吸着クロマトグラフィーシステム、イオン交換クロマトグラフィーシステム、サイズ排除クロマトグラフィーなどである。好ましくはHPLCシステムは吸着クロマトグラフィー、例えば逆相クロマトグラフィーシステムである。 特定の実施形態において、本発明の最終精製工程には、準分取用HPLCを、均一濃度溶出(例えば、均一濃度の移動相)または濃度勾配溶出(例えば濃度勾配をかけた移動相)を用いることにより行うことが含まれる。均一濃度溶出では、化合物(例えばカプサイシンおよび不純物)を、一定の組成を有する移動相を用いて溶出する。化合物は溶出開始時にカラムを通って移動し、その際各化合物は異なる速度で移動するので、結果的に化合物が分離される。濃度勾配溶出では、移動相の組成を、例えば有機溶媒の濃度および/または強度を増加させることにより変化させながら、化合物を溶出することができる。 本発明において使用する移動相には典型的に、例えば、アセトニトリル、ジオキサン、エタノール、イソプロパノール、ヘキサン、EtOAc、メタノール、テトラヒドロフラン、水、およびこれらの組み合わせなどが含まれる。最も好ましくは移動相はメタノールを含む。 本発明において使用する準分取用HPLCカラムには、例えば、限定するものではないが、Symmetry C18、Cogent HPS C18、Zorbax SB-C18 StableBond、Hichrom C18、Genesis 300 C18、OmniSphere C18、HxSil C18などが含まれる。 特定の実施形態において、本発明の方法により製造したtrans-カプサイシンは、約97%以上、約98%以上、または99%以上のカプサイシン純度を有する。 特定の実施形態において、本発明はさらに、約97%以上、約98%以上、または約99%以上のカプサイシン純度を有するtrans-カプサイシン化合物に関する。このようなカプサイシンは、本明細書において、超精製カプサイシンともいう。 特定の実施形態において、本発明は、さらに不純物レベルが約3%未満、約2%未満、または約1%未満であるtrans-カプサイシン化合物の超精製カプサイシンに関する。 本発明の方法により製造したtrans-カプサイシンは、好ましくは、疼痛治療のためにヒトまたは動物の個別の部位に投与することができる、注射または浸潤可能な組成物の製造に好適である。 本明細書中で用いる「trans-カプサイシン」および「trans-カプサイシン様化合物」という用語は、特に断らない限り、カプサイシンと同じ薬理学的部位(例えばバニロイド受容体サブタイプ-1)に作用する、カプサイシンおよびカプサイシン様化合物のトランス異性体を包含する。カプサイシンと類似した生理学的性質を有する(すなわち、カルシウムおよびナトリウム透過性のカチオンチャネルを開かせることによりC繊維膜の脱分極を引き起こす)カプサイシン様化合物は知られている。例えばBrand(Procter & Gamble Co.)に1989年3月14日に発行された米国特許第4,812,446号は、他のカプサイシン様化合物およびその製造方法を記載している。LaHannに1984年1月3日に発行された米国特許第4,424,205号はカプサイシン様類似体を挙げている。Ton ら, Brit. J. Pharm. 10:175-182 (1955)は、カプサイシンおよびその類似体の薬理学的作用を考察している。 本発明の方法によりtrans-カプサイシン様化合物を合成する場合、trans-カプサイシン様化合物は、trans-カプサイシンの当技術分野で知られた生理学的性質と同様の性質を示すことが好ましい。 好適なtrans-カプサイシン様化合物には、好ましくは、限定するものではないが、ホモカプサイシン、オイゲノール(eugenol)、クルクミン、アナンダミド、ピペリン、ピペリリン(piperyline)、ピペレッチン(piperettine)、ピペロレインA、ピペロレインB、ピペラニン(piperanine)、およびこれらの組み合わせまたは混合物が含まれる。 本発明の方法で合成されるtrans-カプサイシンおよびtrans-カプサイシン様化合物は、トランス異性体がVR-1機構で認識されるメディエーターであることから、バニロイド受容体の活性化により緩和することができる疾患または疼痛の治療に特に有用である。本発明の合成方法は、本質的にtrans-カプサイシンからなるカプサイシン生成物を与える。本発明に従って製造したカプサイシン生成物は、cis-カプサイシンを1%未満しか含有しない。 バニロイド成分は、trans-カプサイシンおよびtrans-カプサイシン様化合物の必須の構造的成分を構成しており、したがって、提起されたこれらのtrans化合物の作用部位は、より一般的にバニロイド受容体と呼ばれている(Szallasi 1994 Gen. Pharmac. 25:223-243)。対照的に、カプサイシンのシス異性体はいくつかの作用機構による活性を有するが、VR-1がこの物質の主要な作用に関係するとは考えられていない。 VR-1はCa2+透過性の非選択的カチオンチャネルであり、バニロイド化合物、例えばカプサイシンやレジニフェラトキシン(resiniferatoxin)により活性化される。哺乳動物細胞において発現させた場合、ヒトバニロイド受容体は、カプサイシン、42℃より高い温度、および5.5未満のpHで活性化される。これら全てのエフェクターによる活性化は、カプサイシン拮抗剤であるカプサゼピンの作用により実質的にまたは完全に遮断することができる。 VR-1は、somata I後根神経節および三叉神経節の一次感覚ニューロンの全長にわたり見られる。これらのニューロンは、小〜中程度の太さのものであり、無髄C繊維を生じさせる。C繊維を伴うVR-1陽性ニューロンは次の2つに細分できる:ペプチド作動性および非ペプチド作動性。バニロイド感受性ニューロンに見られる神経ペプチドの中でも、サブスタンスPとCGRPが最もよく特徴づけられている。非ペプチド作動性のバニロイド感受性ニューロンは、その特徴として、P2X3プリノセプター、およびプリノセプターとバニロイド受容体の間の交差脱感作を保有する。下神経節ニューロンのサブセットもまたVR-1を含む。VR-1は、種々の有害刺激(熱、酸およびいくつかの植物毒素が含まれる)のための共有の受容体として機能すると考えられている。さらに、炎症においては、活性化された免疫細胞から放出される内因性物質がVR-1をも標的とする可能性があり、このVR-1活性化も、侵害とは別に、CGRPにより仲介される局所的血管拡張を引き起こす。消化管では、この機構が粘膜保護に中心的な役割を果たすと考えられている。対照的に、一次ニューロンの中枢末端(すなわち脊髄後角)におけるVR-1の役割と、この受容体の内因性の活性化物質は不明である。 trans-カプサイシンなどのバニロイドは、感受性の末梢神経に対して二相作用を有する。まずは初期の興奮相(疼痛および/または神経性炎症として顕れる)であり、次いで、伝統的に脱感作として知られている、持続的な不応状態である(Szallasi 2000 Trends Neurosci. 25:491-497)。 本発明のtrans-カプサイシン組成物は、特定部位での疼痛緩和を提供することにより、疼痛に関連する種々の症状の治療に使用することができる。治療される症状の例としては、限定するものではないが、下記のものがあげられる:侵害受容性疼痛(無傷の神経経路に伝達される疼痛)、神経因性疼痛(神経構造への損傷により引き起こされる疼痛)、神経損傷の疼痛(神経腫および連続性の神経腫)、神経痛の痛み(神経の疾患および/または炎症に起因する疼痛)、筋肉痛の痛み(筋肉の疾患および/または炎症に起因する疼痛)、痛みを生じさせるトリガーポイントに関連する疼痛、軟組織の腫瘍から生じる疼痛、神経伝達物質調節不全症候群に関連する疼痛(正常な神経のシグナル伝達と関連する神経伝達分子の量/質の異常)、および整形外科的障害、例えば足、膝、腰、背骨、肩、肘、手、頭部および頸部の症状に関連する疼痛。 特定の実施形態において、本発明はさらに、本発明にしたがって製造したカプサイシン(例えば超精製カプサイシン)を含む医薬組成物に関する。好ましくは、この組成物は、本発明にしたがって製造したカプサイシン(例えば超精製カプサイシン)および、ヒトまたは動物への投与に適したビヒクルを含んでなる。好ましくはカプサイシンはビヒクルに組み入れられている。より好ましくは、このビヒクルはヒトまたは動物への浸潤または注射による投与に適している。 特定の実施形態においては、カプサイシンをビヒクルに溶解させるが、かかるビヒクルとしては、例えば油、プロピレングリコールまたは注射もしくは浸潤可能な溶液を調製するために一般に使われる他の溶媒が挙げられる。適当な製薬上許容可能なビヒクルには、好ましくは、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗微生物剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、懸濁剤および分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤、ならびにこれらの任意の組み合わせもしくは混合物が含まれる。水性ビヒクルの例には、好ましくは、塩化ナトリウム注射液、静菌性塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張デキストロース注射液、滅菌水注射液、静菌性滅菌水注射液、デキストロース乳酸加リンゲル注射液、およびこれらの任意の組み合わせまたは混合物が含まれる。非水性非経口ビヒクルには好ましくは、植物由来の不揮発性油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、ピーナッツ油、およびこれらの任意の組み合わせまたは混合物が含まれる。さらなる製薬上許容可能なビヒクルには、好ましくは、水混和性ビヒクルとしてのエチルアルコール、ポリエチレングリコール、グリセリンおよびプロピレングリコール、ならびに、pH調節用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸、ならびにこれらの任意の組み合わせまたは混合物もまた含まれる。上述のビヒクルのどのような組み合わせを用いてもよい。本発明における使用に好ましいビヒクルは、注射用水中に約20% PEG 300、約10mMヒスチジンおよび約5%スクロースを含む。 これとは別に、またはこれに追加して、1種以上の以下の物質を本発明の組成物に含めることができる。 本組成物中で使用するための抗微生物剤は静菌濃度または静真菌濃度で含まれ、好ましくは、フェノール、クレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p-ヒドロキシ安息香酸エチルおよびプロピルエステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムならびにこれらの混合物を含む。 本組成物中で使用するための等張剤には、好ましくは、塩化ナトリウム、デキストロースおよびこれらの任意の組み合わせまたは混合物が含まれる。 本発明の組成物中で使用するための緩衝剤には、好ましくは、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩およびこれらの任意の組み合わせまたは混合物が含まれる。 本発明の組成物中で使用するための抗酸化剤には、好ましくは、アスコルビン酸、重硫酸ナトリウム、およびこれらの任意の組み合わせまたは混合物が含まれる。 本発明の組成物中で使用するための懸濁剤および分散剤には、好ましくは、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロール、ポリビニルピロリドンおよびこれらの任意の組み合わせまたは混合物が含まれる。 本発明の組成物中で使用するための乳化剤には、好ましくはポリソルベート80(Tween 80)が含まれる。 本発明に従って使用するための金属イオン封鎖剤またはキレート剤には、好ましくは、エチレンジアミン四酢酸が含まれる。 好ましくは、1回量のカプサイシンを局部麻酔薬と別に、または局部麻酔なしで投与する場合、カプサイシンの1回量を注射または浸潤用の製薬上許容可能なビヒクルと混合することが望ましい。 選択した製薬上許容可能なビヒクルに応じて、特定の実施形態では、1回量のカプサイシンを注射または浸潤用の水溶液または水性懸濁液として投与することができる。好適な実施形態の詳細な説明 以下の実施例は、本発明の様々な態様を例証する。これらは、いかなる場合にも、特許請求の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。工程1:ブロモ吉草酸による3-メチル-ブチンのアルキル化 trans-カプサイシン合成の第1工程は、3-メチルブチンを、ハロ吉草酸、例えばブロモ吉草酸でアルキル化することによる、第1の中間体(例えば8-メチル-6-ノニン酸)の合成に関する。以下の実施例1(a)〜(e)に記載の通り、実験室において第1の中間体組成物の合成に成功した。実施例1(a) 8-メチル-6-ノニン酸は、温度計、電磁攪拌機、および窒素流入口/流出口を備えた50mlの三つ口丸底フラスコに、無水テトラヒドロフラン(15ml)およびヘキサメチルホスホルアミド(3.8ml)を加えることにより2つの別個の反応(反応1および反応2)で製造した。混合物を約-78℃〜約-75℃に冷却した。次にメチルブチン(1g)を添加し、その後、約-78℃〜約-65℃で2.5M n-BuLiを滴下した(反応1については1当量、反応2については2当量)。これらの反応の混合物を両方とも約-30℃まで徐々に温め、そのままの温度で約30分撹拌した。5-ブロモ吉草酸溶液(3ml THF中に1.33g)を、約-30℃で約10〜約15分かけて滴下した。次いで、反応1および反応2の混合物を徐々に室温まで温め、一晩撹拌した。 次いで反応混合液(反応1と反応2)を温めた。約50mlの3M HClを、反応1の溶液および反応2の溶液のいずれにも加えた。次いでこれらの溶液を、酢酸エチル(2×100ml)で抽出し、塩水で洗浄した。反応1については約1.1gの粗生成物、反応2については約0.8gの粗生成物が抽出から得られた。 反応1から得られた粗生成物は、約50gのシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにかけて、ヘキサン/酢酸エチルの2:1混合溶媒で溶出させることにより精製した。回収物をプールした。溶媒を真空下で除去して、工程1の中間生成物(8-メチル-6-ノニン酸)を得た。生成した中間生成物は淡い黄色の油であった。生成した中間物は約0.55g(収率=46%)であった。実施例1(b) 8-メチル-6-ノニン酸は、機械的攪拌機、添加漏斗および温度計を備えた500mlの三つ口丸底フラスコに、窒素雰囲気下でヘキサメチルホスホルアミド(30ml)および無水テトラヒドロフラン(120ml)を加えることにより製造した。混合物を約-78℃〜約-70℃に冷却した。-75℃で3-メチルブチン7.9g(11.8ml)を添加し、その後、2.5M n-BuLi(46ml)を約20分かけて滴下した。ついで、この混合物を約-30℃まで温めながら、約45分撹拌した。ブロモ吉草酸溶液(約20mlの無水THF中に10.4g)を、約-30℃〜約-25℃で約20分にわたり滴下した。次いで、混合物を徐々に室温まで温め、一晩撹拌した。反応混合物のTLC(薄層クロマトグラフィー)は、出発物質が存在しないことを示した。 前記混合物に3M HCl(100ml)と水(100ml)を加えた。温度を約3℃まで上げた。次いで、混合物を酢酸エチル(3×200ml)で抽出した。抽出物をプールし、塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、約35℃で真空下に溶媒を除去し、淡い橙黄色の油として工程1の粗製最終生成物を得た。粗製最終生成物は、シリカゲル(約250g)を用いたカラムクロマトグラフィーにかけて、酢酸エチル/ヘキサンの1:2混合溶媒で溶出させることにより精製した。回収物をプールし、真空下で溶媒を除去して、淡い黄色の油として工程2の中間物を得た。重量は約6.7g(収率71%)であった。実施例1(c) 機械的攪拌機、添加漏斗、および温度計を備えた、窒素流入口/流出口のある1Lの三つ口丸底フラスコに、ヘキサメチルホスホルアミド(60ml)および無水テトラヒドロフラン(240ml;250ppmのBHT阻害剤を含有)を加えた。この溶液を-70℃に冷却した。溶液に3-メチルブチン15.7g(23.6ml)を加えた。次いで、2.5M n-BuLi(92ml)を約-50℃以下の温度で25分間にわたり滴下した。この溶液を-30℃まで徐々に温め、50分間撹拌した。無水テトラヒドロフラン(40ml)に溶解した5-ブロモ吉草酸(20.8g)の溶液を、約-30℃〜約-25℃で、約30分間かけて滴下した。溶液を徐々に室温まで温め、一晩撹拌した。反応混合物のTLCはクリーンな反応を示した。 この反応混合物を5℃〜10℃に冷却した。溶液に3M HCl(100ml)と水(150ml)を加えた。得られた混合物を酢酸エチル(3×200ml)で抽出した。酢酸エチル抽出物のTLCは、2回の酢酸エチル抽出で十分であることを示した。2回分の酢酸エチル抽出物をプールし、塩水(350ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)上で乾燥させて、濾過した。真空下で溶媒を除去し、約25.8gの中間生成物を得た。 粗製の中間生成物は、約300gのシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにかけて、酢酸エチル/ヘキサンの1:2混合溶媒で溶出させることにより精製した。 所望の生成物を含有する回収物をプールした。真空下で溶媒を除去し、約15gの中間物(収率89%)を得た。中間物は淡い黄色の油であった。実施例1(d) 機械的攪拌機、添加漏斗、および温度計を備えた、窒素流入口/流出口のある1Lの三つ口丸底フラスコに、無水テトラヒドロフラン(200ml)およびヘキサメチルホスホルアミド(46ml)を加えた。溶液を-70℃に冷却した。3-メチルブチン(18.1ml)を加えると、透明な溶液が生成した。ヘキサン(90.7ml)中の2.5M n-BuLiを-70℃で約25分間かけて滴下した。溶液を-30℃に徐々に温めて、約-25℃〜約40℃で1時間撹拌した。5-ブロモ吉草酸(40mlの無水THF中に16g)を-30℃で約10分間かけて滴下した。溶液を徐々に室温まで温め、N2下で一晩撹拌した。反応混合物のTLCから、反応が完了したことが明らかになった。 反応混合物を約10℃まで冷し、3N HCl(80ml)で約pH 3に酸性化した。水(200ml)を加えた。溶液を酢酸エチル(2×300ml)で抽出した。有機層をプールし、塩水(200ml)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。約35℃で真空下に溶媒を除去し、淡い黄色の油(重量=18.7g)を得た。生成物は、シリカゲル(約350g)を用いたカラムクロマトグラフィーにかけて、酢酸エチル/ヘキサンの1:2混合溶媒で溶出させて精製した。 所望の生成物を含有する回収物をプールした。真空下で溶媒を除去し、真空下で一晩乾燥させた後に、薄い黄色の油(重量=14.5g)を得た。実施例1(e) 機械的攪拌機、添加漏斗、および温度計を備えた1Lの三つ口丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、テトラヒドロフラン(240ml、BHTで阻害)およびヘキサメチルホスホルアミド(60ml)を加えた。この混合物を-70℃に冷却した。次いで3-メチル-1-ブチン(15.6g)を加え、その後、-50℃より低い内部温度でn-BuLi(92ml)を滴下した。次いで混合物を1時間かけて徐々に-30℃まで温めた。内部温度を-30℃より低く保ちながら、テトラヒドロフラン(40ml)中の5-ブロモ吉草酸(20.7g)の溶液を添加した。反応混合物を室温まで徐々に温め、一晩撹拌した。この段階での反応混合物のTLCは、全てのブロモ吉草酸が消費され、反応が進行したことを示した。 反応混合物を5〜10℃へと冷却し、次いで内部温度が15℃より高くならないように3M HCl(100ml)および水(150ml)を加えた。次いで溶液を酢酸エチル(2×200ml)で抽出し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮して、工程1の粗製中間生成物を得た。この粗製中間生成物を、基質に対して10:1のシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィーにかけて、酢酸エチル/ヘキサンの1:2混合溶媒で溶出させることにより、精製した。生成物画分をプールし、濃縮して、工程1の中間生成物(8-メチル-6-ノニン酸)を得、次いでこれを一定の重量になるまで真空下で乾燥させた。生成した中間生成物は、淡い黄色の油であった。生成した中間生成物の量は15g(収率=89%)であった。工程1の中間生成物のスペクトルデータは以下の通りであった:1H NMR (CDCl3) δ 2.56-2.48 (m, 1H), 2.38 (t, 2H), 2.18 (dt, 2H), 1.75 (br q, 2H), 1.53 (br q, 2H), 1.13 (d, 6H); MS 167 (M--1); GC: 100% 。実施例1(f) 機械的攪拌機、温度計、添加漏斗およびアルゴン流入口/流出口を備えた22Lの四つ口丸底フラスコに、無水THF(5L、250ppm BHTで阻害)およびHMPA(1.3L)を加えた。得られた混合物を-60℃に冷却し、3-メチル-1-ブチン(509ml)を添加した。次いで-60℃より低い温度でn-BuLi(2.5M、502ml)加えた。反応混合物を、-30℃を超えない温度で徐々に温め、その温度で約1時間維持した。無水THF(900ml、250ppm BHTを含有)中の5-ブロモ吉草酸(450g)の溶液を添加漏斗から-30℃ほどの温度で加えた。反応混合物を徐々に室温まで温め一晩撹拌した。反応をTLCでモニターした。 反応混合物を氷浴で10℃以下まで冷やし、30℃以下で水(10L)を少しずつ用いて反応を停止させた。水層を冷6N HClにより約pH2〜3に酸性化し、酢酸エチルで2回(10L、6L)抽出した。酢酸エチル抽出物を一緒に合わせて、塩水(10L)で洗浄した。無水Na2SO4上で乾燥後、酢酸エチル溶液を濾過し、約45℃で真空下に濃縮乾固させて、粗生成物を得た。 粗生成物は、順相Biotageクロマトグラフィーを用いて、酢酸エチル/ヘキサン(1:2)を溶出液として精製した。所望の生成物を含有する回収物をプールし、真空下で溶媒を除去し、薄い黄色の油として生成物237g(収率77%)を得た。実施例1(g) 8-メチル-6-ノニン酸(1.4g)をMTBE(10ml)に溶解させた。この溶液をpH10〜11へと塩基性化し、MTBEで2回(2×8ml)抽出した。冷6N HClを用いて水層を約pH2〜3に酸性化し、MTBE(2×8ml)で抽出した。MTBE抽出物をプールし、塩水(4ml)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮乾固させて生成物を得た。工程2:8-メチル-6-ノニン酸の還元 trans-カプサイシン合成の第2の工程は、8-メチル-6-ノニン酸を還元することにより第2の中間物質(8-メチル-6-ノネン酸)を合成することに関する。以下の実施例2(a)〜(g)に記載の通り、8-メチル-6-ノニン酸は実験室において成功裏に還元された。実施例2(a) 温度計、磁気攪拌機、および凝縮器を備えた、窒素流入口/流出口のある250mlの三つ口丸底フラスコ中で、8-メチル-6-ノニン酸を無水テトラヒドロフラン(30ml)およびt-BuOH(0.42ml)に溶解させた。溶液を-40℃へと冷却した。約-40℃〜約-50℃で、アンモニアをフラスコに凝縮させた。ナトリウムを一片ずつ加えた。ナトリウム片を添加したら溶液が濃い青色になった。この溶液を約30分間、約-40℃〜約-45℃で撹拌した。NH4Cl(1.7g)を添加し(約32mmol)、混合物を徐々に室温まで温めた。アンモニアを一晩かけて蒸発させた。反応混合物のTLCは、生成物の収率が約30%〜約40%であることを明らかにした。 反応混合物の後処理を行った。冷水(100ml)を加え、温度を約18℃〜約24℃へとあげた。次いで溶液を6N HClで約pH3に酸性化した。溶液を酢酸エチル(2×80ml)で抽出した。酢酸エチル層をプールし、塩水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。真空下で溶媒を除去した。淡い黄色の油の中間生成物が得られた。実施例2(b) 磁気攪拌機、アセトン-ドライアイス凝縮器および温度計を備えた、窒素流入口/流出口のある三つ口丸底フラスコに、8-メチル-6-ノニン酸、無水テトラヒドロフランおよびt-BuOHを加えた。溶液を-50℃に冷却した。反応フラスコに-40℃でアンモニアを凝縮させた。ナトリウム片を一片ずつ約10分間加えた。溶液を-33℃へと温め、約2時間撹拌した。反応混合物のTLCから、生成物の収率が約30%〜約40%であることが明らかになった。追加のナトリウム(約0.3g)を加えた。NH3を徐々に蒸発させた。反応混合物を室温まで温め一晩撹拌した。 NH4Cl(1g)を加え、溶液を約30分間撹拌した。次いで、溶液に水を加えて反応を停止させ、酢酸エチル(2×60ml)で抽出した。酢酸エチル抽出物をプールし、塩水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で溶媒を除いた。淡い黄色の油の中間生成物が得られた。実施例2(c) 機械的攪拌機、凝縮器および温度計を備えた、窒素流入口/流出口のある500mlの三つ口丸底フラスコに、8-メチル-6-ノニン酸を加えた。溶液を約-40℃に冷却した。フラスコに凝縮アンモニアを加え、溶液が得られるまで混合物を撹拌した。混合物の青い色が持続するようになるまでナトリウムを一片ずつ加えた。NH4Clを加え、得られた混合物を一晩撹拌してNH3を蒸発させた。 水(100ml)と酢酸エチル(60ml)を加えた。次いで混合物を6N HClで約pH3に酸性化させた。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(60ml)で抽出した。酢酸エチル層をプールし、塩水で洗浄し無水Na2SO4上で乾燥させた。実施例2(d) 8-メチル-6-ノニン酸(10g;約10ml)を、無水テトラヒドロフラン(200ml、阻害剤なし)および無水t-BuOH(7ml)で希釈した。溶液を約-50℃に冷却した。アンモニア(約300〜400ml)を混合物に凝縮させた。 リチウム(3〜4g)を30分間かけて、一片ずつ加えた。リチウム添加後30分の反応混合物のTLCは、出発物質が存在しないことを明らかにした。次いで、NH3を蒸発により取り除くため、反応混合物をアルゴン雰囲気下で一晩撹拌した。さらなるTLCにより、若干の副生成物が存在することが明らかになった。 無水テトラヒドロフラン(約200ml)を添加し、その後NH4Cl(約30g)を加えた。混合物を約30分間撹拌した。氷水(約400ml)を混合物に少しずつ加えた。次いで混合物を酢酸エチルで抽出(3×300ml)した。反応混合物のTLCは、2回の抽出で十分であることを明らかにした。 最初の2回分の抽出物を一緒に合わせ、塩水(200ml)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させて濾過した。次いで、約35℃で真空下に溶媒を除去すると、約8.7gの黄色の油の中間生成物が得られた。実施例2(e) 凝縮器、温度計および磁気攪拌機を備えた、アルゴン流入口/流出口のある1Lの三つ口丸底フラスコに、8-メチル-6-ノニン酸(4g)、無水テトラヒドロフラン(120ml、阻害剤なし)およびt-BuOH(2.8ml)を加えた。この混合物を約-55℃〜約-45℃に冷却した。NH3(約150〜200ml)をフラスコに凝縮させた。-60℃〜約-45℃でリチウム(各0.1〜0.15g)を一片ずつ加え、次のリチウム片を加える前に濃い青色が消失するまで混合物を撹拌した。0.4gのリチウムを添加した後のTLCから、約40%〜約50%が変換されたことが明らかになった。次いで追加のリチウム(0.75g)を加え、TLCで反応の完了を観察した。反応混合物をさらに1時間撹拌した(温度-45℃〜-42℃)。約-45℃〜約-42℃でNH4Cl(2g)を少しずつ加えた。混合物を一晩かけて徐々に室温まで温めた。反応混合物のTLCはクリーンな生成物を明らかにした。 反応混合物を約5℃まで冷やし、氷水(200ml)で反応を停止させた。温度は約25℃まで上昇した。次いで混合物を、6N HCl(約50mlを25℃で少しずつ加えた)で約pH2〜3に酸性化した。次いで混合物を酢酸エチル(2×300ml)で抽出した。酢酸エチル層を合わせ、塩水(200ml)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。乾燥させた混合物を約30℃で真空濃縮して、淡い黄色の油の中間生成物を得た(重量=3.8g)。 中間生成物を、シリカゲル(約100〜110g)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけて、酢酸エチル/ヘキサンの1:3混合溶媒で溶出させることにより、精製した。 所望の生成物を含有する回収物をプールした。真空下で溶媒を除き、薄い黄色の中間生成物を得た(重量=3.7g)。実施例2(f) 凝縮器、温度計および磁気攪拌機を備えた、アルゴン流入口/流出口のある1Lの三つ口丸底フラスコに、8-メチル-6-ノニン酸(4g)、無水テトラヒドロフラン(120ml、阻害剤なし)およびt-BuOH(2.8ml)を加えた。溶液を約-55℃〜約-45℃に冷却した。NH3(約150〜200ml)をフラスコに凝縮させた。約-65℃〜約-50℃で約1時間40分かけてリチウム(約4〜5g)を一片ずつ加えた。次いで、得られた混合物を-35℃で約30分間撹拌し、TLCで出発物質の消失が観察されるまでモニターした。 溶液の青い色が消えるまでNH4Cl(約20g)を少しずつ加えて反応を停止させた。混合物を徐々に室温まで温め一晩撹拌した。 氷水(約400ml)を少しずつ加え、得られた混合物を6N HCl(約150ml)で約pH2〜約3へと酸性化させた。混合物を酢酸エチル(2×400ml)で抽出した。抽出物を塩水(300ml)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して薄い黄色の油(重量=14.2g)を得た。粗生成物を、シリカゲル(約300〜350g)を用いたカラムクロマトグラフィーにかけて、酢酸エチル/ヘキサンの1:2混合溶媒で溶出させることにより精製した。 回収物をプールし、真空下で溶媒を除き、生成物を真空下で乾燥させて中間生成物12.2g(収率86%)を得た。実施例2(g) 機械的攪拌機、添加漏斗および温度計を備えた1Lの三つ口丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下で、テトラヒドロフラン(200ml、阻害剤なし)、酸(14g)およびt-BuOH(7.7g)を加えた。得られた混合物をドライアイス/アセトン浴で-50℃に冷却した。アンモニア(約200ml)を反応混合物に凝縮させた。次いで、青い色が持続するようになるまでリチウムを少しずつフラスコに加えた。反応混合物を-35℃以下で撹拌し、出発物質の完全な変換が観察されるまでTLCでモニターした。反応は-40℃で20gの塩化アンモニウムを加えることにより停止させた。ガスクロマトグラフィーで、trans(E)異性体のみが合成されたことを確認した。 室温まで温めて、10時間かけてアンモニアを蒸発させた後、氷水(400ml)を加え、次いで6N HClで混合物をpH2〜3へと酸性化させた。次いで混合物を酢酸エチル(2×400ml)で抽出した。合わせた有機層を塩水(300ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム(100g)上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して第2の中間生成物を得た。第2の中間生成物は薄い黄色の油であり、これをシリカカラムのフラッシュクロマトグラフィーで精製して、12.2gの黄色い油(収率86%)の純粋なtrans-8-メチル-6-ノネン酸を得た。第2の中間生成物のスペクトルデータは以下の通りであった:1H NMR (CDC13) δ 5.43-5.29 (m, 2H), 2.35 (t, 2H), 2.22 (m, 1H), 2.02 (m, 2H), 1.65 (m, 2H), 1.41 (m, 2H), 0.95 (d, 6H). MS 169 (M--1)。実施例2(h) 凝縮器、温度計および機械的攪拌機を備えた22Lの四つ口丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下で、8-メチル-6-ノニン酸(225g)、無水テトラヒドロフラン(2.7L、阻害剤なし)、およびt-BuOH(154ml)を加えた。この混合物を約-55℃〜約-45℃へと冷却した。アンモニア(約4L)をフラスコに凝縮させた。リチウム(約30〜35g)を-33℃を超えない温度で少しずつ加え、濃い青色を維持しながら30分ほど撹拌した。NH4Cl(143g)を少しずつ加えた。得られた混合物を徐々に室温まで温め、アンモニアを蒸発させた。 氷水(3L)を少しずつ加えた。得られた混合物を、6N HClを用いてpH3以下に酸性化させ、酢酸エチル(2×4.5L)で抽出した。有機層を合わせ、塩水(5L)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。真空下で溶媒を除き、粗生成物を得た。 粗生成物をBiotageカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサンの1:3混合溶媒)で精製し、薄い黄色い油として214g(94%)の生成物を得た。ガスクロマトグラフィーで、トランス/シス(E/Z)比が約94:3〜約94:5であることを確認した。工程3:8-メチル-6-ノネン酸の活性化 trans-カプサイシン合成の第3工程は、8-メチル-6-ノネン酸を活性化させることによる、第3の中間体(酸ハロゲン化物)の合成に関する。8-メチル-6-ノネン酸を、以下の実施例3(a)〜(c)にしたがい、実験室で酸塩化物へと変換することに成功した。実施例3(a) 8-メチル-6-ノネン酸を、凝縮器、添加漏斗、温度計および磁気攪拌機を備えた50mlの三つ口丸底フラスコに加えた。塩化チオニル(SOCl2)3.9mlを室温で約25分間かけて滴下した。次いで溶液を約50℃〜約60℃の水浴により約1時間加熱した。過剰の塩化チオニルを約40℃〜約45℃で真空下に除去し、約3gの第3の中間生成物(酸塩化物;淡い茶色がかった黄色の油)を得た。実施例3(b) 8-メチル-6-ノネン酸(12g)を、磁気攪拌機、添加漏斗、凝縮器および温度計を備えた100mlの三つ口丸底フラスコに加えた。塩化チオニル(15.5ml)を室温で窒素雰囲気下に30分かけて滴下した。次いで、溶液を約1時間加熱し、温度を約50℃〜約65℃または約74℃にし、このことにより茶色い溶液が生成した。過剰の塩化チオニルを約40℃〜約42℃で真空下に除き、約13.4gの茶色い油を得た。次いで中間生成物を真空下に40℃で1時間乾燥させた。実施例3(c) 8-メチル-6-ノネン酸(12g)を、磁気攪拌機、添加漏斗、凝縮器および温度計を備えた100mlの三つ口丸底フラスコに加えた。次いで、塩化チオニル(25.2g)を30分間にわたり滴下した。次いで、反応混合物を1時間にわたり65〜74℃に加熱した。過剰の塩化チオニルを真空下で除き、粗製の酸塩化物生成物を得た。次いで、この粗製の酸塩化物生成物をさらに精製することなく、trans-カプサイシンを生成するための第4の合成工程に用いた。実施例3(d) 8-メチル-6-ノネン酸(200g)を塩化チオニル(419g)で処理した。次いで、反応混合物を約1時間、約70℃で加熱した。真空下で過剰の塩化チオニルを除き、249gの粗生成物を得た。次いで、粗酸塩化物をさらに精製することなく第4の合成工程に用いた。工程4:ベンジルアミン誘導体の酸ハロゲン化物へのカップリング trans-カプサイシン合成の第4の工程は、酸ハロゲン化物にベンジルアミン誘導体をカップリングさせることによりtrans-カプサイシン最終生成物を合成することに関する。以下の通り、ベンジルアミン誘導体は実施例3(a)〜(c)のように実験室において成功裏に酸ハロゲン化物にカップリングされた。実施例4(a) 添加漏斗、温度計および磁気攪拌機を備えた100mlの三つ口丸底フラスコに、窒素雰囲気下で4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミン塩酸塩(3.35g)とジメチルホルムアミド(10ml)を加えた。5N NaOH(7ml)を室温で少しずつ加えた。混合物を35℃で30分間撹拌した。次いで、混合物を約0℃〜約5℃に冷却した。無水エーテル(30ml)中の酸塩化物(工程3で製造したもの)を約0℃〜約5℃または10℃で20分間にわたり滴下した。さらに無水ジメチルホルムアミドを5ml加えた。混合物を室温まで徐々に温め、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。 水(150ml)を加えた。混合物を酢酸エチル(1×100mlと1×50ml)で抽出した。酢酸エチル抽出物を1N HCl(2×60ml)で洗浄し、次いで飽和NaHCO3(2×100ml)および塩水で洗浄した。次いで抽出物を無水Na2SO4上で乾燥させ濾過した。約35℃〜約40℃で真空下に溶媒を除き、粘性の淡い橙桃色の残留物(重量=3.4g)を得た。 粗生成物を、約150〜160gのシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにかけて、酢酸エチル/ヘキサンの1:1混合溶媒で溶出させて精製した。 カラム精製からの回収物をプールし、約40℃で真空濃縮し、真空下で乾燥させると、白色の固形物として3.1gの所望の生成物が得られた。実施例4(b) 機械的攪拌機、添加漏斗、および温度計を備えた500mlの三つ口丸底フラスコに、窒素雰囲気下で4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミン塩酸塩(13.4g)およびジメチルホルムアミド(40ml)を加えた。混合物を約10℃に冷却した。氷水浴で冷却しながら5N NaOH(28ml)を少しずつ加えた。溶液を約20℃で30分間撹拌し、次いで5℃に冷却した。無水エーテル(120ml)中の酸塩化物を5℃で約1時間にわたり少しずつ加えた(温度は約7℃に上昇した)。溶液を徐々に室温まで温め一晩撹拌した。 水(400ml)を加えて、次いで得られた混合物を酢酸エチル(1×400mlと2×200ml)で抽出した。抽出物のTLCからは、2回の酢酸エチル抽出で十分であることが明らかになった。酢酸エチル抽出物を1N HCl(2×200mlおよび1×100ml)で洗浄した。次いで、有機層をNaHCO3(2×200mlおよび200ml)と塩水で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。真空下で溶媒を除き、残留物をエーテルと共蒸発(×2)させると、薄茶色の粘りけのある残留物として21gの粗生成物が得られた。残留物を一晩真空下で乾燥させた(重量=20.2g)。 生成物を、約600gのシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにかけて、i)酢酸エチル/ヘキサンの2:3混合溶媒(2L)、ii)酢酸エチル/ヘキサンの1:1混合溶媒(3L)、iii)酢酸エチル/ヘキサンの3:2混合溶媒(3L)で溶出させることにより精製して、粗化合物を得た。 回収物をプールし、真空下に約40℃で溶媒を除いた。生成物をエーテルと共蒸発(×2)させ、真空下で一晩乾燥させると、白色の固形物として所望の生成物が得られた(重量=14.1g、収率65%)。HPLC純度は96%であった。 さらに、オーバーラップする回収物をプールし、真空下で溶媒を除去すると、それほど純度の高くない生成物2.4gが得られた。エステル副生成物(1.4g)も分離され、その特性決定を行った。 本発明の追加の実施形態では、NaHCO3の添加後の粗生成物の、2N NaOH処理による精製を試験管スケールで試験した。生成した塩は酢酸エチルに可溶性であることが見いだされた。さらに、反応混合物に酸塩化物を加えるときは、反応温度を制御する(約5〜10℃)ことが好ましいとわかった。実施例4(c) 機械的攪拌機、添加漏斗および温度計を備えた500mlの三つ口丸底フラスコに、窒素雰囲気下で、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミン塩酸塩(13.4g)およびジメチルホルムアミド(40ml)を加えた。次いで溶液を約10℃に冷却し、5N 水酸化ナトリウム28mlを滴下したが、その際内部温度を20℃より低く保つようにした。この溶液を20℃で30分間撹拌し、次いで5℃に冷却した。冷却されたら、エーテル(120ml)中の酸塩化物(13.3g)の溶液を、内部温度を3〜7℃に保ちながら1時間かけて加えた。次いで反応混合物を20℃で12時間撹拌した。 反応混合物を水(400ml)および酢酸エチル(2×200ml)で洗浄した。合わせた有機層を1N HCl(2×200ml)、飽和重炭酸ナトリウム(2×200ml)および飽和塩化ナトリウム(200ml)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させた。真空下で溶媒を除いたところ、桃色の固形物が得られ、これをシリカゲルおよび酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒(2:3〜3:2)を用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製した。純粋な画分をプールすると14.1gとなり、これは収率65%に相当する(HPLC面積純度=96%)。 他の特定の実施形態においては、この第4工程でフラッシュクロマトグラフィーを省略することが好ましい。なぜなら、粗生成物を直接結晶化に供し、これにより良好な純度および収率で生成物が得られたからである。 上述の方法により得られたtrans-カプサイシンを、エーテル/ヘキサン(1:2、150ml)を用いて40〜45℃で再結晶化させた。混合物を約2時間かけて室温まで冷ました。白い沈殿物を濾過し、一定重量(重量=12.7g、収率=91%)となるまで乾燥させた。このtrans-カプサイシン生成物のスペクトルデータは以下の通りであった:1H NMR (CDCl3) δ 6.86-6.75 (m, 3H), 5.82 (br s, 2H), 5.35-5.32 (m, 2H), 4.34-4.32 (d, 2H), 3.86 (s, 3H), 2.22-2.17 (m, 3H), 2.00-1.95 (m, 2H), 1.75-1.65 (m, 2H), 1.45-1.35 (m, 2H), 0.95 (d, 6H); MS = 306 (M+1). C18H27NO3 の計算値; C, 70.79; H, 8.91; N, 4.59; 実測値: C, 70.94, H, 8.94; N, 4.75。 合成されたtrans-カプサイシンのHPLC純度(面積%)は98%であった。実施例4(d) 機械的攪拌機、添加漏斗および温度計を備えた12Lの四つ口丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下で、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミン塩酸塩(245g)およびジメチルホルムアミド(700ml)を加えた。次いで懸濁物を10℃に冷やし、5N水酸化ナトリウム(494ml)を20℃より低い温度で滴下した。この溶液を約10℃に冷やし、30分間撹拌し、次いで約5℃に冷やした。エーテル(1.7L)中の酸塩化物(249g)の溶液を約5℃で滴下した。反応混合物を室温まで徐々に温め一晩撹拌した。 反応混合物を1N HCl(5L)と酢酸エチル(5L)とに分配した。水層を分離して酢酸エチル(5L)で抽出した。有機層を合わせて、1N HCl(5L)、飽和重炭酸ナトリウム(3×5L)および塩水(5L)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させ濾過した。溶媒を真空下で除き、粗生成物を得た。粗生成物を、エーテル/ヘキサン(1:2)からの2回の再結晶化により精製して、所望の生成物237g(収率66%)を得た。HPLCによりトランス/シス(E/Z)比が約98:0.9であることが確認された。再結晶化によるカプサイシン精製実施例5(a) 粗製カプサイシン(1g;HPLC純度91%)をエーテル/ヘキサンの1:2混合溶媒(15ml)に溶解させた。固形物を溶解させるために、混合物を約40℃〜約42℃に加熱した。撹拌しながら混合物を徐々に室温まで冷ました。灰白色の粒状物が生成した。懸濁物を室温で約2時間撹拌した。濾過して灰白色の固体(重量=0.74g)を得た。実施例5(b) カプサイシン(14g)を約40℃〜約45℃でエーテル/ヘキサンの1:2混合溶媒(150ml)に溶解させた。この溶液を徐々に室温まで冷ました。白い沈殿物が形成された。次いで混合物を室温で約2時間撹拌した。懸濁物を濾過し、エーテル/ヘキサンの1:2混合溶媒で洗浄し、室温で真空下に約2時間乾燥させて白色固体(重量=12.7g;回収率91%)を得た。実施例5(c) 粗製カプサイシン(337g)にエーテル/ヘキサン(1:2、2.5L)を加えた。得られた混合物を約10℃に冷やし、約2時間撹拌した。固形物を濾過し、エーテル/ヘキサン(1:2)で洗浄し、同様にして再度エーテル/ヘキサン(1:2)から再結晶化すると、HPLC純度98%およびE/Z比98:0.9の所望のカプサイシン237gが得られた。カプサイシンの準分取精製実施例6(a) 実施例6(a)において、カプサイシン10gをHPLCで精製した。均一濃度条件はメタノール/水(57:43)、流速10ml/分とした。使用カラムは、Waters Symmetry Prep C18 (300x19mm, 7μ)、シリアル番号 T22981A 04であった。A. HPLC法に用いる材料は以下の通りであった:1. 装置UV検出器付きGilson HPLCシステムGilson UV/Vis検出器 モデル番号119 シリアル番号109H7D083Gilson Dynamic Mixer モデル番号811C シリアル番号369H7T264Gilson Interface モデル番号506 シリアル番号 369J7PA383Gilson Liquid Handler モデル番号215 シリアル番号 259G7272Gilson Valvemate モデル番号610 シリアル番号 339H7A109 2. 化学薬品メタノール ロット番号43080313, EM Science, HPLCグレード水 ロット番号43010, EM Science, HPLCグレードアセトニトリル ロット番号42165226, EM Science, HPLCグレードTEA ロット番号CE619, Burdick and JacksonTFA ロット番号 X07476 JT BakerB. HPLC法に用いた実験手順は以下の通りであった:1. サンプル調製95.4%純度のカプサイシンサンプル500mgをHPLCグレードのメタノール1mLに溶解させた。精製のために調製したサンプルの濃度は約500mg/mLであった。2. 精製のためのHPLC条件Symmetry Prep C18, 300×19mm-7ミクロンを以下の条件で精製に用いた:移動相: 57%メタノール / 43%水流速: 10.0mL/分操作時間: 100分注入量: 400μL波長: 281nm3. 解析のためのHPLC条件synergi Hydro RP, 80A, 250 x 4.6mmおよび4ミクロンカラムを、純度を調べるために以下の条件で用いた:移動相: 勾配 A: 水 + 0.1%TEA + 0.1%TFA B: アセトニトリル 時間 %A %B 0 100 0 10 52 48 30 52 48 40 0 100 50 0 100流速: 1ml/分操作時間: 50分注入用量: 10μl波長: 281 nmC. 結果 準分取精製法がうまくいくことが実証された。カプサイシンの最終純度は99.86%であった。約7.29gのカプサイシンが回収された。予備研究のために粗原料1gを用いたが、実際に処理した粗原料の量は約9gである。総回収率は約81%である。実施例6(b) 実施例6(b)において、カプサイシンをさらに精製するために、逆相準分取HPLC法を行った。A. HPLC法に用いる材料は以下の通りであった:1. HPLCシステムおよび溶媒a. UV検出器付き日立HPLCシステムIntelligent Pump モデル番号 L-7100 シリアル番号 1158-047Diode Array Detector モデル番号 L-7455 シリアル番号 1005-030Auto Sampler モデル番号 L-7255 シリアル番号 1128-005Interface D-7000 シリアル番号 1127-021Degasser (ERC) N/A シリアル番号 102899N0880b. HPLCカラム (Waters):解析用カラム: Symmetry C18, 250x4.6 mm 5μ、シリアル番号 W20801D0 41準分取用カラム: Symmetry C18, 300x29 mm 7μ、シリアル番号 T20101N 07c. HPLC 溶媒 (EM Science)MeOH: HPLCグレード、ロット番号 42213232H2O: HPLCグレード、ロット番号 42347B. HPLC法に用いた実験手順は以下の通りであった:1. 精製のために開発されたHPLC法 さらなる精製のために、徹底的解析用のHPLC法を開発した。評価した一般的HPLC条件を以下に示す:流速: 1.0mg/ml検出器: UV=281nm温度: 室温サンプル濃度: ACN/H2O(1:1)中に2mg/ml 用いたHPLCカラムおよび移動相を以下の表にまとめて示す: 開発した手法のうちでは、Symmetry C18(250×4.6mm、5μ)に均一濃度(H2O中の52%メタノール)が好適であった。不純物であるノルジヒドロカプサイシンの保持時間は60.1分であり、これに対してカプサイシンは69.1分で溶出する。準分取用HPLCカラムは長さ30cmのものしか入手できないため、この方法の移動相を若干変更してこの変化に適合させた。2. 準分取用HPLCによる1.7%の不純物を有するカプサイシンの精製a. サンプル調製 1.7%の不純物を有する粗製カプサイシンサンプルを20mlのHPLCグレードのMeOHに溶解した。b. HPLC条件カラム: Symmetry C18(300×19mm、7μ)移動相: A=H2O;B=MeOH溶出: 均一濃度57〜58%MeOH温度: 室温流速: 9.5ml/分注入用量: 400〜450μl検出器: 281nm(UV)C. 結果 粗カプサイシンのクロマトグラムを評価することにより、より遅く溶出する不純物も微量観察されたものの、ノルジヒドロカプサイシンが主要な不純物であることが見いだされた。ノルジヒドロカプサイシンもカプサイシンも60分より前には溶出しないことから、重複注入手法をとることにより精製サイクル時間を45分に短縮することができ、したがって溶媒の消費も少なくなった。 精製中に、画分を回収し、分析用HPLCで解析して純度が99.0%より高いことを確認した。全ての精製画分をプールしてロータリーエバポレーターで55〜60℃にて乾燥させた。 精製方法がうまくいくことが実証された。9.85gのカプサイシンが99.9%より高い最終純度で処理された。精製の総回収率は80%であった。実施例7比較実施例 最初に、trans-カプサイシン合成のための4工程法が提案されが、これには:a)ジアニオンの形成;b)ジアニオンのアルキル化;c)ジアニオンの還元;およびd)trans-カプサイシンを得るためのベンジルアミン誘導体へのカップリングが含まれていた。4工程法は以下の通りである: 最初の試験では、アルキル化試薬として2-ヨードプロパンを、アルケンアニオンを形成するための塩基としてLDA、NaHおよびLiNH2を用いて6-ヘプチン酸のアルキル化をまず試みた。出発物質の6-ヘプチン酸しか回収できなかった。これらの結果から、所望のイソプロピルアルキンを形成するための望まれる求核置換のかわりに、ヨウ化イソプロピル(E2)からのHIの脱離が排他的に起こることが示唆された。 2-ブロモプロパンおよびイソプロピルメシレートをアルキル化試薬として、NaHおよびn-BuLi/AlCl3を塩基として用いて、6-ヘプチン酸のアルキル化をさらに試みた。これらの条件下では所望の生成物は観察されなかった。 さらなるアルキル化試験において、ジアニオン形成を試した。具体的には、前記のハロゲン化イソプロピル反応について用いた条件と同様の条件で、6-ヘプチン酸(2g)をLDA(3当量)で処理した。次いで反応混合物を臭化ベンジルで処理した。生成物の形成が確認された。 別のアプローチでは、6-ヘプチン酸のカルボキシル基のオルトエステル保護と、これに続くアルキン官能基のアルキル化を試験した。モデル反応として臭化ベンジルによるアルキル化を試みたが、これには6-ヘプチン酸のオルトエステル300mgおよび塩基としてのn-BuLiおよび塩化エチルマグネシウムをそれぞれ用いた。 n-BuLi塩基の使用は、7:2の比で生成物/出発化合物をもたらした。塩化エチルマグネシウムの使用は少量の生成物をもたらし、生成物/出発物質比が1:2であった。 別の試験では、ヨウ化サマリウム-サマリウム(SmI2)および臭化エチルマグネシウムをそれぞれ用いて、300mgスケールで、ヨウ化イソプロピルによるオルトエステルのアルキル化により、グリニヤールのサマリウム媒介アルキル化を試した。いずれの反応からも生成物の形成は観察されなかった。 別の試験では、ウィッティヒ反応とその後の異性化によりtrans-8-メチル-6-ノネン酸を合成した。粗カプサイシン(1.4gの粘性油、約84%トランスおよび12%シス異性体)をエーテル/ヘキサン(1:3)から結晶化させることで精製し、灰白色の固形物0.4gを得た。HPLCにより純度91.5%が示され、トランス/シス比は91.5/6.7であった。シス異性体はあまり結晶質ではないようであり、粘着性の残留物から混合物(0.3g)が得られた。 別の試験では、グリニャール条件下での臭化イソプロピルによる6-ヘプチン酸のオルトエステルのアルキル化を試したが、所望の生成物は生成しなかった。 以上、本明細書において、具体的な例証的実施形態および実施例を参照して本発明について説明してきた。しかしながら、特許請求の範囲に記載した通りの、本発明の広い精神および範囲を逸脱することなく、本発明に様々な改変および変更を施すことができることは当業者にとって明らかであろう。したがって本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例証的に解釈されるべきである。 trans-カプサイシンの製造方法であって、a) 3-メチルブチンをハロ吉草酸でアルキル化して8-メチル-6-ノニン酸を得ること、b) 8-メチル-6-ノニン酸を還元してtrans-8-メチル-6-ノネン酸を得ること、c) 8-メチル-6-ノネン酸を活性化して酸ハロゲン化物または活性化された酸誘導体を得ること、d) 4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミン塩酸塩を前記酸ハロゲン化物でアシル化してtrans-カプサイシンを得ること、を含む前記方法。 工程a)が、3-メチルブチンをω-ハロアルカン酸でアルキル化してω-アルキン酸類似体を得ることを含む、請求項1に記載の方法。 工程a)が、i) 無水テトラヒドロフランをヘキサメチルホスホルアミドと混合し、前記混合物を約-78℃〜約-60℃へと冷却すること、ii) 工程i)の混合物に3-メチルブチンを加え、次いで塩基を約-78℃〜約-65℃で滴下して第2の混合物を得ること、iii) 前記第2の混合物を撹拌しながら約-30℃まで温めること、iv) 無水テトラヒドロフラン中のハロ吉草酸を約-30℃で滴下し、ここでハロ吉草酸は3-メチルブチンを8-メチル-6-ノニン酸へと変換するのに十分な量で添加され、次いで徐々に室温まで温めかつ撹拌して、反応混合物を得ること、の工程を含む、請求項1に記載の方法。 さらに、i) 前記反応混合物に塩酸を加え、前記反応混合物を酢酸エチルで抽出すること、ii) 前記抽出した反応混合物を塩水で洗浄して粗生成物を得ること、を含む、請求項2に記載の方法。 さらに、i) 前記粗生成物を精製すること、ii) 真空下で溶媒を除去して、工程a)の中間生成物を得ること、を含む、請求項3に記載の方法。 前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製する、請求項5に記載の方法。 前記粗生成物を酸-塩基抽出で精製する、請求項5に記載の方法。 前記粗生成物を減圧蒸留で精製する、請求項5に記載の方法。 前記工程a)の中間生成物が8-メチル-6-ノニン酸である、請求項5に記載の方法。 ハロ吉草酸が、ブロモ吉草酸、クロロ吉草酸、フルオロ吉草酸、ヨード吉草酸、アスタチノ吉草酸、1-メシルオキシ吉草酸および1-トシルオキシ吉草酸からなる群より選択される、請求項3に記載の方法。 ハロ吉草酸がブロモ吉草酸である、請求項10に記載の方法。 工程i)において、ヘキサメチルホスホルアミドの代わりに1,2-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-(1H)ピリミジノンを用いる、請求項3に記載の方法。 前記塩基が、n-BuLi、sec-BuLi、t-BuLi、リチウムジ(イソプロピル)アミド、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、リチウムアミド、メチルリチウム、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、ハロゲン化アルキルもしくはアリールマグネシウム、またはこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項4に記載の方法。 前記塩基がn-ブチルリチウムである、請求項13に記載の方法。 工程b)が、i) 前記8-メチル-6-ノニン酸を無水テトラヒドロフランとt-ブチルアルコールの混合溶媒に溶解して溶液とし、前記溶液を約-55℃〜約-40℃に冷却すること、ii) 前記溶液に約-50℃〜約-33℃でアンモニアを凝縮させること、iii) 約-45℃〜約-30℃で撹拌しながらナトリウム片を一片ずつ加え、ナトリウムが溶けるのに十分な時間撹拌すること、iv) 塩化アンモニウムを加え、室温まで温めてアンモニアを蒸発させ、反応混合物を得ること、の工程を含む、請求項1に記載の方法。 工程iii)の後に、追加のリチウムを加える、請求項15に記載の方法。 工程iii)が、約-65℃〜約-45℃でリチウムを加え、リチウムが溶けるのに十分な時間撹拌することを含む、請求項15に記載の方法。 さらに、i) 前記反応混合物に水を加えること、ii) 前記反応混合物を、塩酸を用いて約pH2〜3に酸性化させること、iii) 前記反応混合物を酢酸エチルで抽出し、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させること、iv) 濾過し、真空下で溶媒を除去し、工程b)の中間生成物を得ること、を含む、請求項15に記載の方法。 工程b)の中間生成物がtrans-8-メチルノネン酸である、請求項18に記載の方法。 工程ii)を省く、請求項17に記載の方法。 工程ii)のアンモニアの代わりに低級アルキルアミンを用いる、請求項15に記載の方法。 工程iii)のリチウムの代わりにナトリウムを用いる、請求項15に記載の方法。 工程i)のt-ブチルアルコールの代わりに第二級ブチルアルコール(sec-BuOH)、エチルアルコール(EtOH)、または他のアルキルアルコールを用いる、請求項15に記載の方法。 前記リチウム、前記テトラヒドロフラン、および前記液体アンモニアの代わりに、リチウムと液体アンモニアまたはナトリウムと液体アンモニアを用いる、請求項15に記載の方法。 さらに、i) 前記反応混合物を一晩撹拌してアンモニアを蒸発させること、ii) 追加の無水テトラヒドロフランおよび塩化アンモニウムを加え、前記混合物を、過剰のリチウムを中和するのに十分な時間撹拌すること、iii) 氷水を少しずつ加えること、vi) 前記混合物を酢酸エチルで抽出し、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させること、v) 濾過し、真空下で溶媒を除去して、工程b)の中間生成物を得ること、の工程を含む、請求項17に記載の方法。 さらに、i) 反応混合物を冷却し、氷水で反応を停止させること、ii) 前記混合物を、塩酸を少しずつ加えて約pH2〜3に酸性化させること、iii) 前記混合物を酢酸エチルで抽出し、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させること、iv) 濾過し、約30℃で真空濃縮して粗生成物を得ること、の工程を含む、請求項17に記載の方法。 さらに、前記生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、工程b)の中間生成物を得る工程を含む、請求項26に記載の方法。 減圧蒸留で前記粗生成物を精製する工程をさらに含む、請求項26に記載の方法。 工程c)が、i) 8-メチル-6-ノネン酸にハロゲン化チオニルを室温で滴下して溶液を形成すること、ii) 前記溶液を約50℃〜約70℃で十分な時間加熱して、8-メチル-6-ノネン酸を前記酸ハロゲン化物に変換すること、iii) 過剰のハロゲン化チオニルを真空下で取り除いて、工程c)の中間生成物を得ること、の工程を含む、請求項1に記載の方法。 前記ハロゲン化チオニルが、臭化チオニルである、請求項29に記載の方法。 前記ハロゲン化チオニルが、塩化チオニルである、請求項29に記載の方法。 前記工程c)の中間生成物が酸ハロゲン化物である、請求項29に記載の方法。 酸ハロゲン化物が酸臭化物である、請求項32に記載の方法。 酸ハロゲン化物が酸塩化物である、請求項32に記載の方法。 酸ハロゲン化物が活性化されたカルボン酸である、請求項32に記載の方法。 活性化されたカルボン酸がイミダゾリドである、請求項35に記載の方法。 活性化されたカルボン酸がカルボジイミドである、請求項35に記載の方法。 工程d)が、i) 4-ヒドロオキシ-3-メトキシベンジルアミン塩酸塩とジメチルホルムアミドを混合すること、ii) 工程i)の混合物に水酸化ナトリウム水溶液を室温で少しずつ加え、撹拌して反応混合物を得ること、iii) 無水エーテル中の酸ハロゲン化物を約0℃〜約10℃で十分な時間にわたり加えて、前記酸ハロゲン化物をアミドへと変換すること、その後iV) 前記混合物を徐々に室温まで温め撹拌すること、の工程を含む、請求項1に記載の方法。 さらに、i) 前記混合物に水を加え、前記混合物を酢酸エチルで抽出して、酢酸エチル抽出物を得ること、ii) 前記抽出物を塩酸で洗浄し、その後、重炭酸ナトリウムで洗浄すること、iii) 前記溶液を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させること、iv) 濾過し、真空下で溶媒を除去して、粗trans-カプサイシン生成物を得ること、の工程を含む、請求項38に記載の方法。 さらに、i) 前記粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製して、trans-カプサイシン生成物を得ること、の工程を含んでなる、請求項39に記載の方法。 工程ii)の水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、またはアルキルアミンを用いる、請求項38に記載の方法。 工程i)の4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミン塩酸塩の代わりに4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジルアミンを用いる、請求項38に記載の方法。 アルキルアミンが、トリエチルアミン、Hunig's塩基、4-ジメチルアミノピリジンおよびピリジンからなる群より選択される、請求項41に記載の方法。 工程i)のジメチルホルムアミドの代わりに、テトラヒドロフラン、2-ジメトキシエタン、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、またはメチルエチルケトンを用いる、請求項38に記載の方法。 請求項35に記載のtrans-カプサイシン生成物の精製方法であって、i) 前記粗製のtrans-カプサイシン生成物をエーテル/ヘキサンの混合溶媒中に溶解して、この混合物を約40℃〜約45℃に加熱すること、ii) 前記混合物を室温にまたは室温より低い温度に冷却すること、iii) 前記混合物を濾過して精製trans-カプサイシン生成物を得ること、の工程を含んでなる前記方法。 工程iii)が、前記混合物を濾過し、前記混合物をエーテル/ヘキサンの混合溶媒で洗浄し、真空下で乾燥させて精製trans-カプサイシン生成物を得ること、を含む、請求項45に記載の方法。 さらに、準分取用HPLCを用いて前記trans-カプサイシンを精製することを含む、請求項1に記載の方法。 さらに、準分取用HPLCを用いて前記粗製trans-カプサイシン生成物を精製することを含む、請求項39に記載の方法。 さらに、準分取用HPLCを用いて前記trans-カプサイシン生成物を精製することを含む、請求項40に記載の方法。 準分取用HPLCを用いた精製が、結果的に約97%以上のカプサイシン純度を有する超精製trans-カプサイシンをもたらす、請求項47に記載の方法。 準分取用HPLCを用いた精製が、結果的に約98%以上のカプサイシン純度を有する超精製trans-カプサイシンをもたらす、請求項47に記載の方法。 準分取用HPLCを用いた精製が、結果的に約99%以上のカプサイシン純度を有する超精製trans-カプサイシンをもたらす、請求項47に記載の方法。 請求項47に記載の方法で製造されたtrans-カプサイシン生成物。 純粋なtrans-カプサイシンから本質的になる、疼痛緩和を必要とするヒトまたは動物の部位において疼痛を緩和するためのカプサイシン組成物。 前記trans-カプサイシンが、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、神経損傷の疼痛、神経痛の痛み、筋肉痛の痛み、痛みを生じさせるトリガーポイントに関連する疼痛、軟組織の腫瘍から生じる疼痛、神経伝達物質調節不全症候群に関連する疼痛、および整形外科的障害に関連する疼痛の治療に使用される、請求項54に記載の組成物。 trans-カプサイシンが、足、膝、腰、背骨、肩、肘、手、頭部および頸部の症状からなる群より選択される整形外科的障害の治療に使用される、請求項54に記載の組成物。 純粋なtrans-カプサイシンが注射可能な製剤として提供される、請求項54に記載の組成物。 約97%以上のtrans-カプサイシンを含むtrans-カプサイシン化合物。 約98%以上のtrans-カプサイシンを含むtrans-カプサイシン化合物。 約99%以上のtrans-カプサイシンを含むtrans-カプサイシン化合物。 約97%以上のtrans-カプサイシン、約98%以上のtrans-カプサイシン、または約99%以上のtrans-カプサイシンを含む超精製trans-カプサイシン化合物、および浸潤または注射用のビヒクルを含んでなる医薬組成物。 ビヒクルが、注射用の水中に約20% PEG 300、約10mMヒスチジンおよび約5%スクロースを含む、請求項61に記載の医薬組成物。 本発明は、トランス幾何学的配置が合成反応の開始時から確立されておりかつ全合成プロセスを通して維持される方法を利用することによる、カプサイシンおよび/またはカプサイシン様化合物のトランス異性体の合成方法を提供する。


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