タイトル: | 公開特許公報(A)_睡眠改善剤組成物 |
出願番号: | 2006357279 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 31/198,A61K 31/197,A61P 25/20 |
玄 優基 玄 洋子 JP 2008150352 公開特許公報(A) 20080703 2006357279 20061215 睡眠改善剤組成物 エム・ジー製薬株式会社 398056252 玄 優基 玄 洋子 A61K 31/198 20060101AFI20080606BHJP A61K 31/197 20060101ALI20080606BHJP A61P 25/20 20060101ALI20080606BHJP JPA61K31/198A61K31/197A61P25/20 4 書面 6 4C206 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA45 4C206FA53 4C206GA18 4C206GA22 4C206MA03 4C206MA04 4C206MA61 4C206MA72 4C206NA05 4C206ZA05 本発明は、グリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンを含有する睡眠改善剤組成物、該組成物を含有する飲食品または医薬品、ならびに前記飲食品または医薬品の製造のためのグリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンの混合物の使用に関する。 ヒトの成人は乳幼児の短い眠りを終日繰り返す睡眠様式と異なり、日中は覚醒しており夜間に集中的に睡眠をとる生活習慣を繰り返している。このような生活リズムは体内でのさまざまな物質が調整機能を果たしている。人類の日常生活において食欲、性欲並びに睡眠欲の3つの欲が健康維持に重要である。近年、文明社会の到来とともにストレス社会へと移行し、睡眠に問題を感じているヒトは5人に1人以上であるといわれて、生活の質や健康維持のため睡眠に対する関心が日に日に高まってきている。 最近、食品よる睡眠改善の試みとしてアミノ酸を用いた報告がされている。例えば、特許文献1、特許文献2では、生体内で合成され最も単純な化学構造を有するアミノ酸であるグリシンをいびき又は睡眠時の呼吸障害の予防・緩和作用を有し、いびき又は睡眠時の呼吸障害の予防・緩和のために用いるものである旨の表示を付した食品が報告されている。また、特許文献3では、茶の葉に含まれているグルタミン酸誘導体であるテアニンを主成分とする睡眠改善用組成物、該組成物を含有する飲食品または医薬品、テアニンを用いる睡眠改善方法、ならびに前記飲食品または医薬品が報告されている。また、同じく特許文献4では、アミノ酸の一種類である、γアミノ酪酸(GABA)を用いた精神的疲労改善に関する報告もある。また、特許文献5には、睡眠改善効果を有するビタミン12に、安定剤としてのビタミCと、グリシンとを配合することが記載されている。さらに、特許文献6には「不眠症用組成物」として、バレリアンエキスと、鎮静作用を有するホップと、γアミノ酪酸(GABA)を高度に含有している米胚芽抽出物との組み合わせを用いることが記載されており、これにテアニンを配合できるとされている。しかし、上述のようなアミノ酸単品、もしくはビタミン類の配合剤では睡眠改善効果に乏しく、より効果的な睡眠改善組成物が望まれており、本発明のようなグリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンの3成分を配合した睡眠改善剤組成物は報告されていない。特開2006−191933号国際公開WO2004/10098号特開2005−289948号特開2006−273733号特開2006−169221号特開2003−183174号 発明が解決しようとする課題、及び、課題を解決する為の手段 上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、グリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンの混合物がグリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンの単品よりも遥かに睡眠改善効果に有効であり、数多い睡眠障害の項目における原因のうち、その睡眠改善効果が疲労感を軽減させ、起床時の睡眠時間が延長したと感じる、入眠改善、夢みの改善または中途覚醒の減少によるものであることを見出し、本発明を完成するに至った。 発明の効果 本発明の睡眠改善剤組成物(以下、組成物)は、種々の原因により生ずる様々な睡眠障害を緩和又は改善することを目的として日常的に使用することができる。本発明の組成物によれば、睡眠障害における少なくとも1つ以上の症状を改善することができる。特に睡眠障害における「入眠改善」、「中途覚醒の減少」、「睡眠後半の中途覚醒の減少」、「睡眠効率の改善」からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上の症状を効果的に改善することができる。本発明の組成物の作用の所望の効果の発現は、グリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンを含有する組成物の相乗効果について初めて見出された睡眠改善効果に基づくものである。 発明を実施する為の最良の形態 本発明に用いられるグリシンは食品や化粧品として古くから用いられているアミノ酸の一つである。このグリシンとは、最も簡単な構造の非必須アミノ酸で、動物性タンパク質中に比較的多く含まれており、抗菌・酸化防止、キレート作用、緩衝作用などがあるため、食品添加物として用いられたり、化粧品に用いられる。グリシンは、脳幹や脊髄における抑制性の神経伝達物質であることが知られていたが、2004年には、睡眠の質を左右するものであることが明らかになり、このグリシンが足りていると、短時間でもぐっすり眠れると言われている。最近、このグリシンの睡眠を改善する機能の研究が活発に進められ、神経伝達物質として中枢と末梢神経系で重要な役割を果たしていることが明らかにされつつあるが、複雑な睡眠覚醒調節機構は未だに解明されていない。 また、テアニンとは、茶の葉に含まれているグルタミン酸誘導体で、茶の旨味の主成分であって、呈味を用途とする食品添加物として使用されているアミノ酸である。テアニンとリラックス、テアニンと眠りの関係の研究は、近年急速に進すみ脳のα波を増加させ脳・神経機能に作用して、興奮を抑え、心身をリラックスにさせる効果を与えることが明らかにされている。また、テアニンを摂取した場合、睡眠中に覚醒する時間が減少し睡眠の質を改善する効果が認められ、生理活性の点からも注目されている。 さらに、本発明におけるγアミノ酪酸(GABA)とは、特に限定するものではないが、野菜、果物、穀物などから抽出されたγアミノ酪酸、発酵法により生産されたγアミノ酪酸、有機合成から生産されたγアミノ酪酸のことをいう。GABAは生体内特に脳内に広く分布されている事が知られており、抑制系の神経伝達物質として知られている。しかし、GABAは血液脳関門を通過しないと言われており、従って経口で摂取したGABAによって、脳中枢神経系におけるGABA遊離量は通常影響しないとされ、最近このGABAがアルファ波を効果的に増強し同時にベータ波を積極的に減少させることにより「癒し状態」をもたらすことが報告されている。しかし、このGABAを睡眠改善剤として用いる検討はされていない。 以上のように、グリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンの各単品については睡眠改善効果や癒し効果などが報告されているものの、本発明のようにグリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンの2種もしくは3種類の混合組成の睡眠改善効果に関しては全く知られていなかった。 本発明に用いられるグリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンの安全性は高く、たとえば、マウスを用いた急性毒性試験においてそれぞれの組成物は、5g/kg経口投与で死亡例がなく異常は認められない。また、呈味を用途とする食品添加物としても使用され、食品衛生法上、その添加量に制限はない。しかも、従来の薬物と異なり、グリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンによる副作用は全く認められないので、本発明の組成物によれば、安全かつ効果的に睡眠改善剤組成物として使用できる。本発明の睡眠改善剤におけるグリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンの配合量は、その種類によって異なるため、一概には言えないが、催眠効果を増強するための成人1回当たりの投与量は、おおよそ0.1μg〜3.0gの範囲であるので、これに対応した量とすれば良い。 具体的には、例えば成人1回当たりの投与量は、通常5〜3000mgの範囲にあり、好ましくは25〜2000mgであり、更に好ましくは50〜500mgであるので、これに対応した量を睡眠改善剤に配合すればよい。本発明における睡眠改善効果を発揮されるグリシンの摂取量は平均体重60kgのヒトで2〜3gが好ましく、またテアニンの場合0.01mg/kg好ましくは1mg/kg体重から50mg/kg体重である。さらに、GABAは平均体重60kgのヒトで100〜500mg/日が好ましい。 本発明品である睡眠改善剤組成物を食品として摂取するにはグリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンの混合物をそのまま、または、グリシンとγアミノ酪酸、及びテアニン混合物を含有する乾燥食品、サプリメント、また、清涼飲料やミネラルウォーター、嗜好飲料、アルコール飲料などの液状食品、錠剤、カプセル、粉末剤、顆粒剤、ドリンク剤等の種々の剤形で用いることが出来る。 本発明の睡眠改善剤組成物は、上述した成分のほかに、賦形剤、乳化剤、安定剤、甘味料、pH調整剤、増粘剤、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、多糖類、オリゴ糖等の通常食品に用いられる成分を含んでいてもよい。 本発明の睡眠改善剤組成物はグリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンの3成分、またはグリシンとγアミノ酪酸の2成分、もしくはグリシンとテアニンの2成分から構成されている。したがって、主成分はグリシンであり、そこにγアミノ酪酸、及びテアニンが混合されそれらの相乗効果が発揮されるのである。 グリシンは睡眠持続効果があるものの入眠効果に欠け、またγアミノ酪酸とテアニンは逆に入眠効果があるものの睡眠持続効果が不足している。 本発明の睡眠改善剤組成物におけるグリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンの混合物の割合は特に制限はないが、グリシンが90〜99.9重量%、γアミノ酪酸が5〜0.01重量%、及びテアニンが5〜0.01重量%であるのが好ましい。 上記の製剤化に使用される製剤添加剤としては、賦形剤、基剤、結合剤、崩壊剤、崩壊補助剤、滑沢剤、流動化剤、コーティング剤、可塑剤、消泡剤、糖衣剤、剤皮、光沢化剤、発泡剤、防湿剤、界面活性剤、可溶化剤、緩衝剤、溶解剤、溶解補助剤、溶剤、安定化剤、乳化剤、懸濁剤、分散剤、抗酸化剤、充填剤、粘稠剤、粘稠化剤、pH調整剤、防腐剤、保存剤、甘味剤、矯味剤、清涼化剤、着香剤・香料、芳香剤、着色剤などが挙げられる。 また、本発明の睡眠改善剤は1日数回に分けて服用できるが、1日1回就寝前に服用する形態であることが好ましい。 以下、実施例、試験例により本発明を詳細に説明するが、本発明は当該実施例および試験例に限定するものではない。 本発明において、グリシンは味の素(株)製の“グリナ”を用いた。また、テアニンは太陽化学(株)製の“サンテアニン”を用いた。更にγアミノ酪酸は(株)ファーマフーズ製の“ファーマギャバ20−D”を使用した。 グリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンを含有する睡眠改善剤組成物を表1に示す組成物の割合で顆粒製剤を製造した。 グリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンを含有する睡眠改善剤組成物を表2に示す組成物の割合で顆粒製剤を製造した。 グリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンを含有する睡眠改善剤組成物を表3に示す組成物の割合で顆粒製剤を製造した。 比較例1 グリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンを含有する睡眠改善剤組成物の比較例としてグリシンのみでγアミノ酪酸、及びテアニンが入っていないグリシン単品製剤を用いた。 試験例1 被験者は、通常の睡眠に問題を感じている男女ボランテイア10名(平均年齢42歳)であり、研究内容に関して十分な説明を受けた。 試験例2 実験期間中、被験者には通常の生活スタイルを心がけさせ、休日も勤務日とほぼ同じ就床時刻、起床時刻となるよう要請した。 実験スケジュールは、生活調整期間として3日、服用期間として実施例1のグリシンとγアミノ酪酸、及びテアニン混合顆粒剤、実施例2のグリシンとγアミノ酪酸、混合顆粒剤、実施例3のグリシンとテアニン混合顆粒剤、および比較例1の対照グリシン顆粒剤各6日とし、実施例1、2、ならびに実施例3のグリシンとγアミノ酪酸、及びテアニン混合顆粒剤および比較例1の対照錠剤間に1日間の効果消去期間をおいた。 表4に試験結果を示す。 本発明により、日常的に睡眠不足に悩まされ、日中は疲労感と脱力感のため仕事はもちろんのこと日常生活にも不満足をきたしていた成人が、起床時にぐっすり寝たと感じ爽やかな朝を迎え、健康的な日々を迎えられることになる、睡眠改善剤の組成物を提供される。したがって、この組成物は種々の飲食品や医薬品として応用できる。 グリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンを含有することを特徴とする睡眠改善剤組成物。 睡眠改善効果が入眠遅延改善、睡眠中の中途覚醒の減少、及び睡眠効率の改善などを特徴とする請求項1記載の睡眠改善剤組成物。 組成物がグリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンの3成分、またはグリシンとγアミノ酪酸の2成分、もしくはグリシンとテアニンの2成分から構成されている、即ち上記化合物の2種または3種類を配合することを特徴とする請求項1記載の睡眠改善剤組成物。 グリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンの混合割合は、グリシンが90〜99.9重量%、γアミノ酪酸が5〜0.01重量%、及びテアニンが5〜0.01重量%であることを特徴とする請求項1記載の睡眠改善剤組成物。 【課題】不眠症に悩む人に対して、副作用がなく安心して日常的に使用できる睡眠改善剤の組成物を提供する。【解決手段】グリシンとγアミノ酪酸、及びテアニンを含有する組成物によって達成される。この組成物によれば、入眠遅延改善、睡眠中の中途覚醒の減少、及び睡眠効率の改善などの睡眠改善効果が期待できる。【選択図】なし