タイトル: | 特許公報(B2)_透過細孔を識別する方法 |
出願番号: | 2006348675 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | G01N 15/08 |
長谷川 泰久 清住 嘉道 長瀬 多加子 水上 富士夫 JP 4863488 特許公報(B2) 20111118 2006348675 20061225 透過細孔を識別する方法 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 須藤 政彦 100102004 長谷川 泰久 清住 嘉道 長瀬 多加子 水上 富士夫 20120125 G01N 15/08 20060101AFI20120105BHJP JPG01N15/08 H G01N 15/08 JSTPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特開2001−235417(JP,A) Salil U.Rege, and Ralph T.Yang,Corrected Horvath-Kawazoe Equations for Pore-Size Distribution,AIChE JOURNAL,2000年 4月,Vol.46, No.4,P.734-750 Linda S.Cheng, and Ralph T.Yang,Improved Horvath-Kawazoe Equations Including Spherical Pore Models for Calculating Micropore Size Distribution,Chemical Engineering Science,1994年 8月,Vol.49, No.16,P.2599-2609 J.Choma, and M.Jaroniec,Influence of the Pore Geometry on the Micropore Size Distribution Function of Active Carbons,Adsorption Science & Technology,1997年,Vol.15, No.8,P.571-581 E.L.Fuller Jr., and K.A.Thompson,Chemical and Geometric Factors in Physical Adsorption/Desorption of Gases on Solids,Langmuir,1987年 9月,Vol.3, No.5,P.713-721 Artur P.Terzyk, Piotr Kowalczyk, Piotr A.Gauden, Gerhard Rychlicki, and Stefan Zietek,New relationships between the characteristic energy of adsorption and the average effectuve diameter of carbon slit-like micropores Part II. Adsorption of nitrogen and benzene in carbon slits and cylinders,Colloids and Surfaces A,2002年 3月 5日,Vol.201, No.1-3,P.17-30 宮澤 浩司,Matthias Thommes,森本 昌文,ガス吸着法による細孔構想解析の進展,ゼオライト,2002年12月10日,Vol.19,No.4,P.151-157 8 2008157826 20080710 13 20090212 特許法第30条第1項適用 Proceeding of the 9th International Conference on Inorganic Membranes,Lillehammer、及び、Book of Abstracts,International Symposium on Zeolites and Microporous Crystalsにて発表 河野 隆一朗 本発明は、透過細孔を識別する方法に関するものであり、更に詳しくは、多孔質材料薄膜の材料の骨格構造に由来した細孔と粒子間にできた空隙とから構成される透過細孔の種類を識別することが可能な多孔質材料薄膜の透過細孔の識別方法に関するものである。 従来、多孔質材料の細孔及び孔径分布の測定方法として、幾つかの手法が開発されている。まず、多孔質材料の細孔サイズとその分布状況を測定する手法としては、「吸着法」が広く用いられている。しかしながら、吸着法では、破砕した粉末試料としなければならず、透過に寄与しない細孔(例えば、貫通していない細孔)まで測定してしまう。また、空隙と比べて、細孔は圧倒的に大きな容積を持っているので、吸着法では、細孔に関する情報しか得ることができず、透過に寄与する空隙に関する情報は得られない。 次に、「パームポロシメトリー法」が用いられているが、これは、凝縮成分と非凝縮成分を用いて薄膜の孔径分布を測定する手法であり、本発明でもこの測定手法に準じた手法を用いている。1nm未満の孔径分布を測定するためには、凝縮成分の蒸気圧を精度よく詳細に変化させることが必要であるが、従来のパームポロシメトリー法では、凝縮成分として標準状態で液体である物質を用いるので、蒸気圧の制御が困難であった。また、孔のサイズは、凝縮成分が孔内で毛管凝縮することを利用したケルビン式を用いているので、細孔と空隙を区別することはできない。 先行技術として、例えば、文献(特許文献1)には、細孔径分布測定装置に関する発明が提案されており、膜状試料の細孔径分布を測定することが可能である。この装置は、膜状試料の両表面に独立したチャンバーを備え、一方のチャンバーに不活性ガス(N2)と凝縮性蒸気(水)とを供給し、他方のチャンバーから排出される不活性ガスの流量を測定することにより、薄膜試料の細孔径分布を測定する。この手法では、凝縮成分が細孔内で凝縮し、細孔を閉塞することで、不活性ガスの透過を阻害することを利用している。細孔サイズは、ケルビン式を利用している。 また、他の文献(非特許文献1)には、上記の細孔径分布測定装置(特許文献1)を用いた測定の結果が示されている。そこでは、10nm以下の細孔サイズ分布を測定している。0.5nm未満の円筒形細孔及び球形細孔を検出するための相対蒸気圧は、それぞれ0.003及び0.000003としなければならない。しかしながら、文献に示されている結果から、0.01未満の相対蒸気圧を制御する(上記圧力〜0.01の範囲で数点以上の実験データを取得する)ことは困難であると思われる。 また、他の文献(非特許文献2)には、上記の細孔径分布測定装置(特許文献1)を用いた測定の結果が示されている。そこでは、10nm以下の細孔サイズ分布を測定している。また、ゼオライト膜の細孔分布に関する結果が記載してある(文献の図7)。また、異なる分離性能を示すゼオライト膜(文献の表1)であっても、ほとんど細孔径に差異は認められないが、これは極低濃度で凝縮成分(蒸気)の濃度を詳細に制御することが困難なために、測定点数が不足しているためであると考える。 更に、他の文献(特許文献2)には、上記細孔径分布測定装置を用いて測定した結果と、膜の分離性能と関連付けた発明が提案されている。LTA型、FAU型及びT型ゼオライトの多結晶薄膜について、細孔径分布を測定している。平均の細孔サイズがA[nm]のとき、高い性能を示す分離膜では、細孔サイズ4A[nm]以内の範囲に全体の99%以上の数の細孔が存在しているのに対して、低性能の膜では、4A[nm]の範囲内に99%未満の数の細孔しか存在していない。特開2001−235417号公報特開2005−74382号公報Journal of Membrane Science186 (2001) 257-265Separation and PurificationTechnology 32 (2003) 23-27 このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、従来の手法では測定できなかった、多孔質材料薄膜における骨格構造に由来した細孔と粒子間にできた空隙からなる透過細孔を識別できる新しい識別法方を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、凝縮性成分として標準状態で気体である物質を用い、凝縮性成分を吸着もしくは凝縮する圧力が、細孔の形状によって異なることを利用した新しい識別方法を開発することに成功し、本発明を完成するに至った。本発明は、多孔質材料薄膜における骨格構造に由来した細孔と粒子間にできた空隙からなる透過細孔を識別できる多孔質材料膜の透過細孔の識別方法を提供することを目的とするものである。 上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。(1)凝縮性成分と非凝縮性成分との混合ガスを用いて、多孔質材料膜における材料の骨格構造に由来した細孔と粒子間にできた空隙からなる透過細孔の細孔径分布を測定する方法であって、上記凝縮性成分として標準状態で気体である分子(ただし、臨界温度が50℃以上)を用い、また、上記非凝縮性成分として、測定温度で多孔質材料に吸着しない分子を用いて、算出した透過細孔内に吸着もしくは凝集した分子の平均ポテンシャルエネルギーに基づいて凝縮性成分を吸着もしくは凝集する蒸気圧が細孔の形状によって異なることを利用して透過細孔の細孔径分布を測定する、ことを特徴とする透過細孔の細孔径分布の測定方法。(2)上記凝縮性成分のプロパン、プロピレン、ブタン、イソブタン、又はブタジエン、と非凝縮性成分のヘリウム、アルゴン、窒素、又は水素との混合ガスを用いる、前記(1)記載の測定方法。(3)透過細孔の細孔径分布を測定する際に、細孔の形状が、円筒形状、球形、又はスリット形の細孔内に吸着した分子の平均ポテンシャルエネルギーを、Horvath−Kawazoe(HK)式を用いて、それぞれ、式(1)、式(2)、又は式(3)、により算出する、前記(1)記載の測定方法。(4)細孔内の平均ポテンシャルエネルギーを、細孔内と吸着平衡状態にある気相のポテンシャルエネルギーから算出する、前記(1)記載の測定方法。(5)気相のポテンシャルエネルギーを、式(4)により求める、前記(4)記載の測定方法。(6)高圧で吸着量が飽和に達するLangmuir式に従う場合、式(5)に補正した吸着ポテンシャルエネルギーを用いる、前記(5)記載の測定方法。(7)多孔質材料膜における材料の骨格構造に由来した細孔と粒子間にできた空隙からなる透過細孔の細孔と空隙とを識別する方法であって、請求項1から6のいずれかに記載の測定方法を使用して、算出した透過細孔内に吸着もしくは凝集した分子の平均ポテンシャルエネルギーに基づいて凝縮性成分を吸着もしくは凝縮する蒸気圧が細孔の形状によって異なることを利用して、細孔と空隙とを識別することを特徴とする透過細孔の識別方法。(8)前記(1)から(7)のいずれかに記載の方法を用いて、多孔質材料膜の材料の骨格構造に由来した細孔と粒子間にできた空隙からなる透過細孔の細孔径分布、及び/又は細孔と空隙との識別について評価することを特徴とする多孔質材料の透過細孔の評価方法。 次に、本発明について更に詳細に説明する。 本発明は、多孔質材料膜における材料の骨格構造に由来した細孔と粒子間にできた空隙からなる透過細孔の細孔径分布を測定する方法であって、凝縮性成分と非凝縮性成分との混合ガスを用い、凝縮性成分として標準状態で気体である物質を用い、また、非凝縮性成分として、測定温度で多孔質材料に吸着しない物質を用いて、凝縮性成分の蒸気圧が細孔の形状によって異なることを利用して透過細孔の細孔径分布を測定すること、を特徴とするものである。 また、本発明は、上記測定方法を使用して、凝縮性成分を吸着もしくは凝縮する蒸気圧が、細孔の形状によって異なることを利用して、細孔と空隙とを識別すること、を特徴とするものである。更に、本発明は、上記方法を用いて、多孔質材料膜の材料の骨格構造に由来した細孔と粒子間にできた空隙からなる透過細孔を評価することを特徴とするものである。 本発明の方法では、多孔質材料薄膜の透過細孔が測定対象とされる。多孔質材料薄膜には、図1に示すように、多孔質材料の骨格構造に由来した細孔と粒子間にできた空隙とが存在する。本発明の手法を用いれば、従来の手法では不可能であった細孔と空隙との判別が可能となり、個々の細孔径分布を測定することができる。測定には、凝縮性成分と非凝縮性成分との混合ガスを用い、凝縮性成分を吸着(もしくは凝縮)する圧力が、細孔の形状によって異なることを利用し、細孔と空隙とを識別する。 本発明では、多孔質材料の個別的な種類に特に制限されるものではなく、任意の多孔質材料の膜ないし薄膜が対象とされるが、具体例を示すとすれば、代表的なものとして、例えば、ゼオライト膜、シリカ膜、炭素膜が例示される。この場合、膜の厚さは問わない。また、本発明では、凝縮性成分としては、標準状態で気体である物質であれば適宜の物質(ただし、臨界温度が50℃以上)を用いることができる。具体的には、例えば、プロパン、プロピレン、ブタン、イソブタン、ブタジエンが例示される。また、非凝縮性成分としては、測定温度で多孔質材料には吸着しない物質であれば適宜の物質を用いることができる。具体的には、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素が例示される。ここで、多孔質材料には吸着しない物質とは、多孔質材料にほとんど吸着しないものであれば問題ない。 本発明の特徴的部分を以下に示す。(1)多孔質材料薄膜の孔径分布を測定するためにパームポロシメトリー法を用いる。(2)1nm未満の孔径分布を詳細に測定するため、凝縮性成分として、標準状態で気体である物質(ただし、臨界温度が50℃以上)を用い、非凝縮性成分としては、測定温度で多孔質材料にほとんど吸着しない物質を用いる。(3)解析には、Horvath−Kawazoe(HK)モデルを用いる。しかし、細孔形状によって孔内に存在する分子の安定性(細孔内の平均ポテンシャル)が異なる細孔サイズの算出方法であれば、特に、HKには拘らない。 次に、解析式を示す。Horvath−Kawazoe式によると、細孔内の平均ポテンシャルは細孔内に吸着した分子のポテンシャルエネルギーの総和として算出することができる。円筒形(C)、球形(S)及びスリット形(SL)細孔の平均ポテンシャルエネルギーは、それぞれ式(1)〜(3)により算出される。 細孔内の平均ポテンシャルエネルギーは、細孔内と吸着平衡状態にある気相のポテンシャルエネルギーと等価である。気相のポテンシャルエネルギーは、次式(4)により求められる。 ただし、高圧で吸着量が飽和に達するLangmuir式に従う場合には、次式のように補正した吸着ポテンシャルを用いる。 本発明により、次のような効果が奏される。(1)従来法では、多孔質材料薄膜の細孔と空隙を判別することはできなかったが、本発明により、細孔と空隙から構成される透過細孔の種類を識別することが可能である。(2)多孔質材料薄膜の透過細孔を識別できる識別方法を提供することができる。(3)上記透過細孔の細孔径分布を測定することができる。(4)多孔質材料薄膜の細孔及び空隙に関する情報を得ることができる。(5)多孔質材料薄膜の透過細孔を評価するための評価方法を提供することができる。(6)本発明の透過細孔の識別方法を利用することにより、所望の透過細孔を有する多孔質材料膜を設計し、作製することが可能となる。 次に、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。(1)方法 本実施例では、多孔質材料薄膜として、MFI型ゼオライト膜を用いた。図2に、本実施例で用いたパームポロシメトリーの実験装置図を示す。2つのチャンバー1a、1bを備えたセルにMFI型ゼオライト膜を固定し、流量制御装置(4a〜4c)を用いてプロパンとヘリウムの混合気体を所望の混合割合でャンバー1aに供給した。チャンバー1aから流出する混合気体の流量を圧力・流量調節バルブを用いて調節することで、チャンバー1a内の全圧を0.1〜0.5MPaの所定の圧力に調整した。チャンバー1bには、スイープガスとして流量調節したアルゴンを供給した。チャンバー1aから流出したガスに含まれるヘリウム濃度をガスクロマトグラフィーにより分析した。(2)結果1)モデル計算の結果 図3に、細孔サイズと圧力の関係を示す。EC=EHKCY、ES=EHKCY及びESL=EHKとした計算結果である。細孔サイズが同じであっても、孔の形状が異なれば、細孔サイズに対応する圧力は異なる。2)モデルの妥当性 図4に、MFI型ゼオライトの細孔径分布を示す。細孔径分布は350KにおけるMFI型ゼオライトへのプロパンの吸着等温線から求めた。解析結果は結晶構造から決定されるMFI型ゼオライトの細孔直径0.5〜0.6nmとよく一致しており、温度350K、吸着物質プロパンに対してもモデルは妥当であることが確認できた。 図5に、チャンバー1a中のプロパン分圧とヘリウムの無次元透過速度の関係を示す。無次元透過速度とは、チャンバー1aに純ヘリウムを供給したときの透過速度で規格化したヘリウムの透過速度である。チャンバー1aに供給するプロパンの分圧が大きくなると、プロパンが、ゼオライト膜の細孔及び空隙に吸着(もしくは凝縮)して孔を塞ぐので、ヘリウムは、ゼオライト膜を通過しにくくなる。 そのため、プロパン分圧の増加とともにヘリウムの透過速度は減少する。しかしながら、膜A(○)、B(△)及びC(□)では、無次元透過速度が減少するプロパンの圧力範囲は異なっており、それぞれの膜でヘリウムの透過経路が異なることが分かる。従来のパームポロシメトリー法(液体蒸気使用)では、このような僅かな違いを議論することはできない。 プロパンが優先的にゼオライト細孔及び結晶間空隙内に吸着ことで、ヘリウムの透過経路が閉塞され、ヘリウムの無次元透過速度は減少する。また、図3で述べたように、ゼオライト細孔と粒子間空隙では、それぞれに対応するプロパンの圧力範囲が異なるので、ゼオライト細孔及び結晶粒界を透過するヘリウムの透過速度の和として全ヘリウム透過速度を求めることができる。 図6に、膜A〜Cの解析結果を示す。破線(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)は、ゼオライト細孔を通過したヘリウムの透過度、破線(・・・‐・・・‐・・・‐・・・‐・・・‐)は、粒子間空隙を通過したヘリウム、実線は、解析結果から推測される全ヘリウム透過度である。全ヘリウムの無次元透過速度とこの解析結果から、膜Bを透過する全ヘリウムの約20%がゼオライト細孔を、残りの約80%が粒子間空隙を通過していることが分かる。一方、膜Cでは、99.9%以上のヘリウム分子が結晶粒界を透過している。 図7に、膜A、B、Cの細孔サイズ分布及び粒子間空隙サイズの分布を示す。図6に示すように、膜A、B、Cでは、結晶粒界を透過するヘリウム分子の割合が大きく異なっていたものの、膜A、B、Cの結晶粒界サイズは、いずれも0.49〜0.50nmで、大きな差異は無かった。このことから、膜Cでは、貫通した結晶粒界が数多く存在していることが分かる。 以上詳述したように、本発明は、多孔質材料膜の透過細孔を識別する方法に係るものであり、本発明により、多孔質材料膜の材料の骨格構造に由来した細孔と粒子間にできた空隙からなる透過細孔の細孔径分布を測定することが可能な新しい透過細孔の測定方法を提供することができる。また、本発明により、多孔質材料膜の細孔と粒子間の空隙から構成される透過細孔の細孔と空隙を識別(判別)することが可能な透過細孔の識別方法を提供することができる。本発明は、多孔質材料膜の透過細孔の評価や、目的及び用途に応じた所望の透過細孔を有する多孔質材料膜の設計及び作製を可能とする新しい手法を提供するものとして、また、透過細孔を制御した高精度の多孔質材料膜の製造を可能にするものとして高い技術的な意義を有する。多孔質材料薄膜に存在する、材料の骨格構造に由来する細孔と粒子間にできた空隙を模式的に示す。パームポロシメトリーの実験装置を示す。MFI型ゼオライトの細孔径分布を示す。細孔サイズと圧力の関係を示す。チャンバー中のプロパン分圧とヘリウムの無次元透過速度の関係を示す。膜A〜Cの解析結果を示す。膜A、B、Cの細孔サイズ分布及び粒子間空隙サイズの分布を示す。符号の説明1a チャンバー1b チャンバー2a 検査ガス供給管2b スイープガス供給管3a 余剰ガス排出管3b 透過ガス排出管4a 流量制御装置4b 流量制御装置5a 圧力制御装置5b 圧力制御装置6a 圧力センサー6b 圧力センサー7a ガス採取点7b ガス採取点8 組成分析装置(ガスクロマトグラフ)9 データ収集、解析装置(パソコン)10 空気恒温槽 凝縮性成分と非凝縮性成分との混合ガスを用いて、多孔質材料膜における材料の骨格構造に由来した細孔と粒子間にできた空隙からなる透過細孔の細孔径分布を測定する方法であって、上記凝縮性成分として標準状態で気体である分子(ただし、臨界温度が50℃以上)を用い、また、上記非凝縮性成分として、測定温度で多孔質材料に吸着しない分子を用いて、算出した透過細孔内に吸着もしくは凝集した分子の平均ポテンシャルエネルギーに基づいて凝縮性成分を吸着もしくは凝集する蒸気圧が細孔の形状によって異なることを利用して透過細孔の細孔径分布を測定する、ことを特徴とする透過細孔の細孔径分布の測定方法。 上記凝縮性成分のプロパン、プロピレン、ブタン、イソブタン、又はブタジエン、と非凝縮性成分のヘリウム、アルゴン、窒素、又は水素との混合ガスを用いる、請求項1記載の測定方法。 透過細孔の細孔径分布を測定する際に、細孔の形状が、円筒形状、球形、又はスリット形の細孔内に吸着した分子の平均ポテンシャルエネルギーを、Horvath−Kawazoe(HK)式を用いて、それぞれ、式(1)、式(2)、又は式(3)、により算出する、請求項1記載の測定方法。 細孔内の平均ポテンシャルエネルギーを、細孔内と吸着平衡状態にある気相のポテンシャルエネルギーから算出する、請求項1記載の測定方法。 気相のポテンシャルエネルギーを、式(4)により求める、請求項4記載の測定方法。 高圧で吸着量が飽和に達するLangmuir式に従う場合、式(5)に補正した吸着ポテンシャルエネルギーを用いる、請求項5記載の測定方法。 多孔質材料膜における材料の骨格構造に由来した細孔と粒子間にできた空隙からなる透過細孔の細孔と空隙とを識別する方法であって、請求項1から6のいずれかに記載の測定方法を使用して、算出した透過細孔内に吸着もしくは凝集した分子の平均ポテンシャルエネルギーに基づいて凝縮性成分を吸着もしくは凝縮する蒸気圧が細孔の形状によって異なることを利用して、細孔と空隙とを識別することを特徴とする透過細孔の識別方法。 請求項1から7のいずれかに記載の方法を用いて、多孔質材料膜の材料の骨格構造に由来した細孔と粒子間にできた空隙からなる透過細孔の細孔径分布、及び/又は細孔と空隙との識別について評価することを特徴とする多孔質材料の透過細孔の評価方法。