タイトル: | 特許公報(B2)_エチレングリコールの酸化防止方法 |
出願番号: | 2006345702 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07C 29/94,C07C 31/20 |
山本 良成 河岡 良明 高下 勝滋 JP 5448018 特許公報(B2) 20140110 2006345702 20061222 エチレングリコールの酸化防止方法 三新化学工業株式会社 000176268 山本 良成 河岡 良明 高下 勝滋 20140319 C07C 29/94 20060101AFI20140227BHJP C07C 31/20 20060101ALI20140227BHJP JPC07C29/94C07C31/20 A C07C29/94,C07C31/20 REGISTRY(STN)CAplus(STN) 特開平6−25655(JP,A) 欧州特許出願公開第352120(EP,A2) 英国特許出願公告第1221996(GB,A) 3 2008156263 20080710 5 20091216 2012023988 20121204 門前 浩一 齋藤 恵 唐木 以知良本発明は、主として有機合成用の反応剤や溶剤、自動車などの内燃機関などにおいて不凍液および/または冷却液、あるいは化学プラントにおける熱媒や冷媒として使用されるエチレングリコールに関し、詳細にはエチレングリコールの酸化劣化防止方法に関する。公開特許公報平成5年第171140号公開特許公報平成9年第227425号公開特許公報平成6年第25655号エチレングリコールをはじめアルコール類は、特に加熱時に熱劣化や空気酸化を受けやすく、劣化することが知られている。従来、エチレングリコール類の酸化を防止する方法としては、特許文献1にトリアゾール化合物を添加する方法が、特許文献2には特定のカルボン酸塩による方法が開示されている。また、下記化2に記載の化合物とエチレングリコール類との組み合わせは、金属除去剤の比較例として、特許文献3に開示があるに過ぎない。本発明の目的は、エチレングリコールの酸化防止方法を提供することにある。この目的を達成するために、本発明のとった手段について、以下に説明する。すなわち本発明にかかるエチレングリコールの酸化防止方法の構成は、含水状態であってもよいエチレングリコールおよび下記化2で表されるチアゾリン誘導体からなり、当該チアゾリン誘導体を1種または2種以上添加することによる、エチレングリコールの酸化防止方法である。(ただし、R1〜R4は独立して水素、C1〜C4のアルキル基を表す。)本発明のチアゾリン誘導体には2−メルカプトチアゾリン、2−メルカプト−4−メチルチアゾリンが例示される。酸化防止のための安定化されたエチレングリコール組成物中の、化2で表されるチアゾリン誘導体のエチレングリコールに対する添加量は、重量比で0.001〜5%、好ましくは 0.01〜2%、さらに好ましくは0.1〜1%である。この割合で当該チアゾリン誘導体を存在させたエチレングリコールは、空気酸化に対して極めて良好な抵抗性を示す。むろん、5%を越える添加量であっても、熱劣化を始め、空気酸化に対して極めて良好な抵抗性を示す。しかしながら、添加の費用を考慮すれば、上記の添加量程度が好ましい。エチレングリコールの自動酸化の機構は、過酸化物中間体を通じてアルデヒドを生じ、最終的にギ酸になると言われている。本発明の組成物は、エチレングリコールに化2で表されるチアゾリン誘導体を添加することにより調整されるものである。本発明を実施することにより、化2で示されるチアゾリン誘導体は、エチレングリコールの過酸化物生成を抑制するものと推定している。上記、化2に示される化合物は、金属用防錆剤や腐食抑制剤としては公知であるものの、エチレングリコールにおける酸化防止剤としての効果は知られていない。本発明は、この点に着目してなされたものであり、新規なエチレングリコールの酸化防止方法として極めて有用である。以上説明したとおり、本発明にかかるエチレングリコールの酸化防止方法によれば、以下の効果を奏する。即ち、エチレングリコールに本発明にかかるチアゾリン誘導体を添加又は含有してなるエチレングリコールは、その酸化防止効果がきわめて良好となる。また、本発明は、エチレングリコールの、特に加熱時の、空気酸化防止方法として有効である。よって、本発明の酸化防止方法によれば、酸化防止効果の高いエチレングリコールを得ることができる。具体的には化学プラントの熱媒や冷媒、自動車エンジンの冷却液、不凍液などに適用が可能である。以下、本実施例を詳細に説明するが、これは代表的なものを示したものであり、本実施例によって本発明が限定されるものではない。試験例1空気酸化によるエチレングリコールの劣化試験を次の操作で行い、その結果を下記にまとめた。エチレングリコール50gに、上記化2で表されるチアゾリン誘導体を重量比で所定量加えた。その後に酸化促進剤として銅粉を5g加え、エアレーションしながら100℃で30日間経時変化させた。そしてガスクロマトグラフィーによりエチレングリコールの残存量を測定した。ただし、下記実施例において、化2記載のR2〜R4は それぞれ水素である。R1 添加量(%) 残存率(%)H 0.5 98.3 H 1.0 99.2 CH3 0.5 97.5CH3 1.0 98.7比較例 無添加 76.3試験例2空気酸化による含水エチレングリコールの劣化試験を次の操作で行い、その結果を下記にまとめた。エチレングリコール25gと水25gからなる溶液に、上記化2で表されるチアゾリン誘導体をそれぞれ0.125g、0.25g(エチレングリコールに対して重量比で0.5%、1.0%)加えた。その後、試験例1と同様に酸化促進剤として銅粉を5g加え、エアレーションしながら100℃で30日間経時変化させた。なお、試験中に蒸発する水は、毎日、試験開始の状態になるように補充した。30日後、ガスクロマトグラフィーによりエチレングリコールの残存量を測定した。ただし、下記実施例において、化2記載のR1〜R4は それぞれ水素である。添加量(%) 残存率(%)0.5 96.7 1.0 98.3比較例 無添加 76.3試験例3空気酸化による自動車用不凍液の劣化試験を次の操作で行い、その結果を下記にまとめた。自動車用不凍液の例として、以下の配合で不凍液の類似液を調製した。エチレングリコール88g、水 3.5g、セバシン酸3g、安息香酸ナトリウム 3g、ベンゾトリアゾール0.2g、トリルトリアゾール0.2g、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩0.1g、硝酸ナトリウム0.1g、モリブデン酸ナトリウム0.1g、水酸化カリウム1.8g。以上からなる溶液に、上記化2で表されるチアゾリン誘導体をそれぞれ0.44g、0.88g(エチレングリコールに対して重量比で0.5%、1.0%)加えた。その後、試験例2と同様に酸化促進剤として銅粉を10g加え、30日間経時変化させた。なお、試験中に蒸発する水は、毎日、試験開始の状態になるように補充した。30日後、ガスクロマトグラフィーによりエチレングリコールの残存量を測定した。ただし、下記実施例において、化2記載のR1〜R4は それぞれ水素である。添加量(%) 残存率(%)0.5 98.5 1.0 99.4 比較例 無添加 83.7エチレングリコールに、化1で表されるチアゾリン誘導体を1種または2種以上添加することを特徴とするエチレングリコールの酸化防止方法。(ただし、R1〜R4は独立して水素、C1〜C4のアルキル基を表す。)エチレングリコールを主成分とする液体に、請求項1の化1で表されるチアゾリン誘導体を1種または2種以上、添加することを特徴とする当該液体中のエチレングリコールの酸化防止方法。請求項2記載の液体が不凍液および/または冷却液である当該液体中のエチレングリコールの酸化防止方法。