タイトル: | 公開特許公報(A)_光透過性材料の内部異物検査方法 |
出願番号: | 2006335463 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 21/958,G01V 8/10 |
東 昌男 堤 正幸 河原 恵造 前田 郷司 JP 2008145366 公開特許公報(A) 20080626 2006335463 20061213 光透過性材料の内部異物検査方法 東洋紡績株式会社 000003160 東 昌男 堤 正幸 河原 恵造 前田 郷司 G01N 21/958 20060101AFI20080530BHJP G01V 8/10 20060101ALI20080530BHJP JPG01N21/958G01V9/04 S 4 OL 8 2G051 2G051AA41 2G051AB06 2G051BA10 2G051CB01 2G051CB05 2G051CC20 2G051EA08 本発明は、光透過性のある材料の内部のみに含まれる異物を観察可能とし、異物の大きさや含有量の評価方法に関する。更に詳しくは、平面性に影響を与えうる汎用フィルムや電子材料分野に使用される絶縁フィルム、ならびに石英ガラス基板等の内部異物の評価方法に関する。 前記材料の例として挙げた高分子フィルムの中でもポリイミドフィルムに代表される絶縁フィルムは、その優れた耐熱性・耐溶剤性・電気絶縁性などから種々の用途に広く用いられており、とりわけ半導体や実装回路基板用途に幅広く使用されている。これらのように高絶縁性が要求される分野にとって、フィルムに異物が存在するとその絶縁性が低下するなど、またフィルムの基本特性が大きく損なわれてしまうことにより、精密さが要求される回路基板製造工程に悪影響を与える可能性がある。 ポリイミドフィルムとしては、ピロメリット酸二無水物やビフェニルテトラカルボン酸二無水物などの酸二無水物と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルやパラフェニレンジアミンなどのジアミンとからなるポリイミドのフィルムである(例えば、特許文献1参照)。 また、ベンザオキサゾ−ル骨格を有するポリイミド(ベンゾオキサゾール)のフィルムも知られている(例えば、特許文献2参照)。 また、これらのポリイミドフィルムの異物分析方法として、物体表面上の微細な異物の検出と分析とを短時間で自動的に行うことができ、半導体製造ラインなどでのインライン計測にも適する方法として、検査対象の物体フィルムなどをXYステージ上に載置し、レーザー 光源からの相対的に大きなスポットサイズ(例えば1000μm)のレーザー光を用いて物体の表面を走査し、異物を検出してその異物の概略位置を求める。次に、レーザー光源からの相対的に小さなスポットサイズ(例えば10μm)のレーザー光を用いて物体の表面を走査し、レーザービームにおける動径方向のレーザー光強度分布も利用して、スポットサイズよりも細かい位置精度で異物の精測位置を求める。そしてこの精測位置の近傍に対し、走査型電子銃によって電子ビームを走査し、二次電子像や特性X線を観測して異物の分析を行う方法が提案されている(特許文献3参照)。特開平05−237928号公報特表平10−508059号公報特開平11−125602号公報 ポリイミドフィルムが多く使用され、精密さが要求される回路基板製造工程などで導通孔の加工などにおけるフィルム内部への加工が広く採用されている。このときフィルム内部における異物が加工時に孔壁面において残存するなどして導電ペーストの充填がスムースに行われないなどの弊害が発生する。フィルム表面の異物の測定は広く知られているが内部異物の測定は困難であった。ポリイミドフィルムは、溶融もせず溶媒に溶けることもない場合が多く、流動状態にして含有する内部異物を測定することが困難であった。 本発明者らは、かかる状況に鑑み、光透過性材料の品質に大きく関与する内部異物の測定に利用できる、しかも比較的簡便な方法で検査方法を見出した。 すなわち本発明は下記の構成による。1.光透過性材料の表面異物及び内部異物の情報を含む画像をレーザー顕微鏡で観察して得られる画像データXと、光透過性材料の表面異物のみの情報を含む画像をレーザー顕微鏡で観察して得られる画像データYを得て、(X−Y)の画像処理を行うことで内部異物のみの情報を得ることを特徴とする光透過性材料の内部異物検査方法。2.レーザー顕微鏡のレーザー光の波長が光透過性材料に透過可能な150〜2000nmである前記1記載の光透過性材料の内部異物検査方法。3.光透過性材料が有色透明高分子フィルムである前記1又は2いずれかに記載の内部異物検査方法。4.光透過性材料がポリイミドフィルムである前記1〜3いずれかに記載の内部異物検査方法。 本発明の、レーザー光の波長が光透過性材料に透過可能な150〜2000nmであるレーザーを使用して、光透過性材料の表面異物及び内部異物の情報を含む画像をレーザー顕微鏡で観察して得られる画像データXと、同材料の表面異物のみの情報を含む画像をレーザー顕微鏡で観察して得られる画像データYを得て、(X−Y)の画像処理を行うことで内部異物のみの情報を得る光透過性材料の内部異物検査方法は、比較的簡便に光透過性材料の内部異物を検査でき、工業的に広く精密な分野に使用される高分子フィルムならびにアモルファスの品質を予め知ることができ、製造上の品質管理などに有効的に使用でき工業的意義は大きい。 また、本発明にて検出可能な異物の大きさは、レーザー光の波長程度の微粒子からフィルム膜厚に相当する大きな粒子と多岐に渡る。 本発明における光透過性のある高分子フィルムの例としては、PET、OPP、ONY、PVA、PE、PP等が挙げられるが、別段これらに制限されることはなく、高分子フィルムが光透過性を有していればよい。また、本発明はポリイミドフィルムのような有色フィルムの内部異物を観察する場合に特に好ましい手法である。 また、本発明における高度に光透過性が求められ、かつ極めて高い無塵性が求められる材料の例としては、石英ガラス基板や、透過性薄膜フォトマスク用防塵カバーとして使用されるペリクル材が挙げられるが、別段これに制限されることはなく、アモルファスが光透過性を有していればよい。 本発明におけるポリイミドフィルムとは、芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸類を重縮合して得られるポリイミドフィルムであって、特に限定されるものではないが、好ましくは下記の芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸(無水物)類との組み合わせが好ましい例として挙げられる。 A.ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。 B.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。 C.フェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とビフェニルテトラカルボン酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。 D.ジアミノジフェニルエーテル骨格を有する芳香族ジアミン類とフェニレンジアミン骨格を有する芳香族ジアミン類とピロメリット酸骨格を有する芳香族テトラカルボン酸類との組み合わせ。 さらに上記のABCの一種以上の組み合わせが好ましい。 前記芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸(無水物)類とを反応(重合)させてポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマー及び生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。 ポリアミド酸を得るための重合反応の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌及び/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割するなどして、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましい。 得られたポリアミド酸を支持体に流延して乾燥などして、自己支持性の前駆体フィルムとし、200〜500℃程度の温度でイミド化するか化学的イミド化剤によるイミド化をしてポリイミドフィルムとなす。 高温処理によるイミド化方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒及び脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒及び脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができる。 化学的イミド化閉環法では、ポリアミド酸溶液を、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有する前駆体複合体を形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。 以下、本発明の有効性について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例における内部異物検査手法の手順を下記する。 本発明の、レーザー光の波長が光透過性のある高分子フィルムに透過可能な150〜2000nmであるレーザーを使用して、高分子フィルムの表面異物及び内部異物の情報を含む画像をレーザー顕微鏡で観察して得られる画像データXと、高分子フィルムの表面異物のみの情報を含む画像をレーザー顕微鏡で観察して得られる画像データYを得て、(X−Y)の画像処理を行うことで内部異物のみの情報を得る高分子フィルムの内部異物検査方法において、好ましく採用し得る方法を下記に示す。(1)使用する装置 超深度形状測定顕微鏡(レーザー顕微鏡)VK−8510、株式会社キーエンス製。 解析ソフトウェア:KEYENCE社製、VK形状解析アプリケーション(2)サンプル 高分子フィルムロールから、目的に応じサンプル箇所を決定する。サンプリングする箇所は、フィルム長手方向に500mm間隔、フィルム幅方向には中心から200mm間隔の計9箇所とする(図1参照)。各々のサンプリングサイズは35mm×5mmである。(3)測定方法(手順) (a)レーザー顕微鏡用のサンプル台に切り出したサンプル片のA面側(前駆体フィルム製膜時の空気面側)を上にして、水平に固定する。サンプルの固定台は、表面が滑らかでありかつレーザー光を吸収するような黒色の物を使用する。 (b)切り出したフィルムの任意の位置に油性マジックペンで直径2mm程度の丸印をマーキングし、その印内を測定点とする。 (c)前記装置の測定ソフトに内蔵された膜厚測定モードにて、マーキングしたサンプル位置の膜厚を測定する。 (d)フィルム内部の画像データを採取する方法を次に示す。 i)サンプル片のB面側(前駆体フィルム製膜時の基材側)にレーザー光の焦点を合わせる。この焦点位置がレーザー光走査下限であり、測定ソフトの専用ボタンで認識させる。 ii) i)で焦点を合わせたレーザー光をサンプル片の厚さの2/3に相当する高さまで上昇させる。この高さ位置がレーザー光走査上限であり、測定ソフトの専用ボタンで認識させる。 iii) i), ii)で走査範囲を設定後、測定ボタンを押すことによりオート走査にてレーザー光が走査され、画像情報(1)(B面側の表面及び内部の情報)が得られる。 iv)サンプル片を裏返し、B面側の可視光画像を観察し、その画像情報(2)(B面側の表面の情報)を得る。 v)画像情報(1)及び画像情報(2)の背景色と異なる点状物フィルム異物とし、それぞれに観察される異物数を目視で求め、画像情報(1)の異物数から画像情報(2)の異物数を差し引いた値をB面側の内部異物量として定義した。 (e)(a)〜(d)の操作において、A面とB面を入れ替えて同様に実施することで、A面側の内部異物量を評価した。 (f)(a)〜(e)の操作において今回は目視により実施したが、より好ましくは目的とする異物を識別/カウント可能な画像処理ソフトを利用することであり、これによって人為的差異の発生を抑制できる。 (g)上記のレーザー顕微鏡観察は、23℃、50%RHの雰囲気で行う。(実施例1) 窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(p−DAMBO)300質量部を仕込み、次いで,N,N−ジメチルアセトアミド4400質量部を加えて完全に溶解させた後,ピロメリット酸二無水物300質量部を加え,25℃の反応温度で17時間攪拌すると,褐色で粘調なポリアミド酸溶液(ドープ)が得られた。このもののηsp/Cは4.1dl/gであった。 フィルタ網目径が3μmの異物除去フィルタを通したポリアミド酸溶液を用い、このポリアミド酸溶液をステンレスベルトに、スキージ/ベルト間のギャップを調節してコーティングし、110℃にて15分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離しグリーンフィルムを得た。このときのグリーンフィルムの残溶媒量は39%であった。得られたグリーンフィルムを、連続式の乾燥炉に通し、150℃にて3分間熱処理し、続いて200℃にて2分間熱処理した後、499℃にて5分間熱処理し、5分間かけて室温まで冷却、褐色の20μm厚さのポリイミドフィルムP(以下IMPとも略記する)を得た。 得られたポリイミドフィルムPを使って内部異物観察を上記手順で実施した。サンプルは図1に示すように9箇所から採取し、マーキングした観察箇所を500倍に拡大した。 1測定当たりの観察範囲は214×284μmであり、この範囲で確認できた内部異物を平方センチメートル当たりの個数に換算した。9箇所の測定データ値の取扱いについては、最大値とその次に大きい値、及び最小値とその次に小さい値の計4個を切り捨て、真ん中の5つの値の平均を取ったものとした。その結果を表1に示す。(実施例2〜6) 実施例1とほぼ同様に、実施例2ではポリアミド酸ドープに対する異物除去フィルタに関してフィルタ網目径が5μmの条件で製膜したポリイミドフィルムP(IMP)を用い、実施例3では異物除去フィルタを使用しない条件で製膜したポリイミドフィルムU(IMU)、さらに実施例4〜6ではフィルタ網目径が5μmのフィルタを使用する条件で製膜したアラミドフィルム(AR)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、及び6ナイロンフィルム(NY)を得て、先に記述した手順により内部異物検査を実施した。 結果を表1に示す。従来のフィルム表面の異物のみの測定ではなく、フィルムの内部にある異物の測定ができる。 なお、実施例1の内部異物個数<1645個/cm2は、本装置、本条件における下限の測定限界値である。 本発明の、レーザー光の波長がポリイミドフィルムなどに透過可能な150〜2000nmであるレーザーを使用して、ポリイミドフィルムなどの表面異物及び内部異物の情報を含む画像をレーザー顕微鏡で撮像して得られる画像データXと、ポリイミドフィルムなどの表面異物のみの情報を含む画像をレーザー顕微鏡で撮像して得られる画像データYを得て、(X−Y)の画像処理をすることで内部異物のみのデータを得るポリイミドフィルムなど光透過性材料の内部異物検査方法は、比較的簡便にポリイミドフィルムなどの内部異物を検査でき、工業的に広く精密な分野に使用されるポリイミドフィルムなどの品質を予め知ることができ、製造上の品質管理などに有効的に使用でき工業的意義は大きく、ポリイミドに限らず、透明性ある不溶不融の耐熱性フィルム、石英ガラス基板、及び透過性薄膜フォトマスク用防塵カバーとして使用されるペリクル材の内部異物検査にも有効に使用できる。フィルムサンプル取得場所の説明図である。フィルムとレーザーの位置関係を示す概略図である。符号の説明 (1)高分子フィルム (2)フィルム長手方向 (3)サンプル採取箇所 (4)長手方向のサンプル採取間隔 (5)フィルム幅方向のサンプル採取間隔 (6)レーザー入射光 (7)入射光に対する測定範囲 (8)フィルム 光透過性材料の表面異物及び内部異物の情報を含む画像をレーザー顕微鏡で観察して得られる画像データXと、光透過材料の表面異物のみの情報を含む画像をレーザー顕微鏡で観察して得られる画像データYを得て、(X−Y)の画像処理を行うことで内部異物のみの情報を得ることを特徴とする光透過性材料の内部異物検査方法。 レーザー顕微鏡のレーザー光の波長が光透過性材料に透過可能な150〜2000nmである請求項1記載の光透過性材料の内部異物検査方法。 光透過性材料が有色透明高分子フィルムである請求項1又は2のいずれかに記載の内部異物検査方法。 光透過性材料がポリイミドフィルムである請求項1〜3のいずれかに記載の内部異物検査方法。 【課題】 光透過性のある材料特に高分子フィルムの品質に大きく関与する内部異物の測定に利用できる、しかも比較的簡便な検査方法を提供する。【解決手段】 レーザー光の波長が光透過性のある材料の高分子フィルムなどに透過可能な150〜2000nmであるレーザーを使用して、本高分子フィルムの表面異物及び内部異物の情報を含む画像をレーザー顕微鏡で観察して得られる画像データXと、本高分子フィルムの表面異物のみの情報を含む画像をレーザー顕微鏡で観察して得られる画像データYを得て、(X−Y)の画像処理を行うことで内部異物のみの情報を得る光透過性材料の内部異物検査方法。【選択図】 なし