生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_体外診断薬用金コロイド
出願番号:2006327719
年次:2008
IPC分類:G01N 33/553,B22F 9/24,G01N 33/543


特許情報キャッシュ

中川 裕文 JP 2008139226 公開特許公報(A) 20080619 2006327719 20061205 体外診断薬用金コロイド 田中貴金属工業株式会社 000217228 特許業務法人 田中・岡崎アンドアソシエイツ 110000268 中川 裕文 G01N 33/553 20060101AFI20080523BHJP B22F 9/24 20060101ALI20080523BHJP G01N 33/543 20060101ALI20080523BHJP JPG01N33/553B22F9/24 FG01N33/543 521 9 OL 12 4K017 4K017AA08 4K017BA02 4K017CA08 4K017DA09 4K017EJ01 4K017FB07 本発明は、体外診断薬として好適な金コロイドに関する。 イムノクロマト法や生体物質の染色等による体外診断において、金コロイドを用いた診断方法が知られている。金コロイドを用いた場合、表面プラズモン共鳴により赤色の強い発色が観察可能となり、視覚による簡易的な診断が行える。また、金コロイドの発色は、時間経過による退色が少なく、生体物質等を固定した場合にも観察可能であるため、体外診断薬として好適である。 体外診断薬における金コロイドの具体的な使用方法としては、イムノクロマト法等において、金コロイドに抗体を固定した標識粒子を用いる方法が知られている。イムノクロマト法における使用例としては、抗原が存在する場合、前記標識粒子に抗原の結合した複合体を形成させて、移動層上を展開し、対応する抗体の固定された判定部において複合体を捕捉する方法が知られている。従って、この方法では、判定部において発色が見られるかどうかにより、抗原の有無を確認することができる。 前記した標識粒子作成のため、金コロイドに抗体を固定する方法としては、溶媒中で金コロイドと抗体とを分散させ、物理吸着により固定する方法が知られているが、この際、金コロイド粒子同士の凝集を生じる場合があった。また、金コロイドに抗体以外のタンパク質が固定されることもあった。 そこで、金コロイド粒子同士の凝集を防ぎ、金コロイドに目的の抗体を選択的に固定するため、金コロイドをリンカーで修飾する方法が知られている。リンカーとは、共有結合等の形式で抗体の固定化を可能とする化合物であり、例えば、特許文献1には、SH基を有する非架橋デキストランまたはアミノデキストランからなるリンカーが示されている。また、特許文献2には、アルカンチオール、アルカンチオール誘導体、ジチオール化合物及びトリチオール化合物をリンカーとする金コロイドが示されている。このリンカーを用いることにより、抗体の特異的吸着を促進することができると共に、金コロイド同士の凝集も防ぐことができる。特表2003−536074号公報特開平6−116602号公報 上述した体外診断薬は、診断の精度向上や早期発見が望まれるため、明確な発色により目的とする抗原等の有無が確認できること、抗原等が微量の場合にも検出可能であること等が求められる。従って、体外診断薬に用いる金コロイドとしては、発色の強度が大きく、微量の抗原とも反応して充分な発色を示すものが好適である。また、体外診断においては、目的の抗原等の種類により、様々な粒径の金コロイドを必要とする場合があるため、広範な粒径において良好な発色を示す金コロイドは、体外診断薬としての利用性が高い。 以上のように、金コロイドは、上記した特性を満たしている場合に、体外診断薬として、より好適なものとなる。一方、前記した特許文献1や特許文献2に記載の金コロイドによれば、金コロイドの凝集を防ぎ、目的とする抗体を特異的に固定することが可能となるが、体外診断薬として特に好適な金コロイドとするための上記特性を、全て満たしているものではなかった。 そこで、本発明は、体外診断薬として好適な金コロイドであって、発色の強度が大きく、微量の抗原とも反応して充分な発色を示す体外診断用の金コロイドの提供を目的とする。また、本発明は、広範な粒径において、良好な発色を示す体外診断薬用の金コロイドを提供する。 本発明者等は、鋭意検討を行い、上記課題を解決することのできる化合物を含むリンカーを見出し、本発明に想到した。すなわち、本発明は、金コロイドと、前記金コロイドを修飾し抗体を固定するためのリンカーと、を含む体外診断薬用金コロイドであって、前記リンカーは、化1及び/又は化2で示される化合物からなり、置換基R1、R2及び/又は炭素数n1、n2の異なる2種以上の化合物からなることを特徴とする体外診断薬用金コロイドに関する。 本発明における、化1又は化2で示される化合物は、アルキル基の末端にジスルフィド基又はチオール基を有し、アルキル基の他の端部に置換基R1又はR2を有する。ジスルフィド基とチオール基は、金コロイドを修飾する際に作用する置換基であり、置換基R1、R2は、抗体を固定する際に作用する置換基である。 また、本発明の金コロイドは、置換基R1、R2及び/又は炭素数n1、n2の異なる2種以上の化合物からなるリンカーを含むことにより、発色の強度が大きく、微量の抗原とも反応して良好な発色を示す体外診断薬とすることができる。このような効果が得られるのは、本発明のリンカーであれば、置換基R1、R2及び/又は炭素数n1、n2を選択することにより、金コロイド1粒子当たりに固定される抗体数を調整でき、金コロイド1粒子当たりの発色強度を効率的に利用できるためであると考えられる。 尚、本発明の化1、化2で示される化合物は、置換基R1、R2が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、アミノ基のいずれかであり、炭素数n1、n2が2〜10の範囲内のものである。上記した置換基は、それぞれ抗体と結合する反応性が異なるものであり、これら反応性の異なる置換基を含む化合物を2種以上用いることで、金コロイドに結合する抗体数を調整できると考えられるからである。また、炭素数n1、n2が2〜10で異なる2種以上の化合物を用いることも、同様に、金コロイドと抗体との反応性の違いを利用するためのものである。 また、本発明のリンカーは、化1、化2で示される化合物を両方含むものとすることができる。化1で示される化合物と、化2で示される化合物とは、アルキル基の一端にジスルフィド基を有するか、チオール基を有するかという相違点を有しているが、ジスルフィド基は、還元によって容易にチオール基となり、チオール基は、酸化によってジスルフィド基となる関係にある。従って、化1で示される化合物と、化2で示される化合物とは、相溶性が高いため、混合して用いることができるものと考えられる。 上記したように、化1で示される化合物と化2で示される化合物とは、混合して用いることもできるが、本発明で適用するリンカーは、化1又は化2で示される化合物のいずれかのみからなることが好ましい。ジスルフィド基と、チオール基とは、抗体との反応性に違いがあると考えられるからである。すなわち、化1で示される化合物と、化2で示される化合物とを混合して用いると、置換基R1、R2及び/又は炭素数n1、n2の異なる2種以上の化合物を含むことにより抗体との反応性を調整した場合であっても、さらにジスルフィド基とチオール基との反応性の相違の影響が加わることから、目標とする反応性に調整しにくくなると考えられるからである。 化1又は化2で示される化合物のいずれかのみからなる場合、リンカーは、置換基R1又はR2がカルボキシル基である第1の化合物と、置換基R1又はR2がカルボキシル基以外の置換基である第2の化合物とを含むことが好ましい。抗体との反応性が異なる置換基を含む化合物を用いることにより、金コロイド1粒子当たりに固定される抗体の数を調整できると考えられるからである。また、上記した第2の化合物の置換基R1又はR2は、ヒドロキシル基であることが好ましい。カルボキシル基は、タンパク質中のアミノ基との結合性が高い置換基の1つとして知られており、ヒドロキシル基は、タンパク質中のアミノ基ともカルボキシル基とも、あまり反応しない置換基として知られている。このため、抗体との反応性が高いカルボキシル基と、反応性の低いヒドロキシル基を含むリンカーを用いれば、金コロイドに固定される抗体の数を、より正確に調整できると考えられる。 また、カルボキシル基を有する第1の化合物と、カルボキシル基以外の置換基を有する第2の化合物とをリンカーとする場合、第1の化合物の炭素数と第2の化合物の炭素数との差は、2以上であることが好ましい。炭素数の差によっても、抗体との反応性に相違が生じることから、置換基の種類による抗体との反応性調整効果と併用することで、金コロイドに固定される抗体の数を、より正確に調整できる。さらに、第1の化合物は、炭素数n1又はn2が4〜10の化合物であり、第2の化合物は、炭素数n1又はn2が2〜8の化合物であることが好ましい。金コロイドを体外診断薬として用いた場合に、発色強度の大きなものとすることができ、微量の抗原とも反応して発色を示すものとできるからである。 更に、カルボキシル基を有する第1の化合物と、カルボキシル基以外の置換基を有する第2の化合物とをリンカーとする場合、両化合物の混合比率は、モル比で1:1〜0.1:9.9とするのが好ましく、1:1〜1:9がさらに好ましい。1:1〜0.1:9.9の割合であれば、体外診断薬として良好な発色を示す金コロイドとなり、1:1〜1:9であれば、より発色強度の大きいものとすることができるからである。特に、金コロイドの粒径が大きい場合には、第2の化合物の割合を多くすることで、抗体との反応性を低くして、金コロイド1粒子当たりに固定される抗体数が過剰とならないように調整することが好ましいと考えられる。金コロイドの粒径が大きいと、金コロイド1粒子当たりに固定される抗体数が多くなりやすく、固定される抗体数が多いと、体外診断薬として用いる場合、診断に必要な量よりも過剰の抗原が必要になると考えられるからである。 尚、本発明の金コロイドは、粒径が10nm〜150nmであることが好ましく、40〜100nmであることがさらに好ましい。粒径が10nm〜150nmの金コロイドは、体外診断薬としての利用が可能であり、粒径40〜100nmであれば、充分な発光強度を示すものとすることができるからである。 以上で説明した本発明の金コロイドは、イムノクロマトグラフ法に用いることができる。具体的には、イムノクロマトグラフ法では、試料を展開するための移動層と、前記移動層の一端に設けられ、抗原に対応する抗体が固定された金コロイドと、前記移動層の他方の端部に含まれる抗原の有無を判定するための部分と、を備えるイムノクロマトグラフィー用診断キットが用いられるが、この金コロイドとして本発明の体外診断薬用金コロイドを用いることができる。 以上で説明したように、本発明の金コロイドは、体外診断薬として好適な金コロイドとなる。また、発色の強度が大きく、微量の抗原であっても検出可能であり、広範な粒径において発色性が良好なものとなる。 以下、本発明における最良の実施形態について説明する。 金コロイドを形成させて、リンカーを修飾した後、抗体を固定して体外診断薬用の金コロイド(以下、抗体固定金コロイドという。)を作成した。そして、イムノクロマトグラフィーに用いるテストストリップを作成した後、抗体固定金コロイドと、抗原とを用いて、イムノクロマトグラフィーを行い、金コロイドによる発色の強度を測定した。[金コロイドの形成] 以下の方法により、平均粒径40nmの金コロイドを形成させた。塩化金酸四水和物0.17gと、クエン酸三ナトリウム二水和物0.49gとを、それぞれ超純水25mlと100mlに溶解させて、塩化金酸溶液とクエン酸溶液を調製した。次に、500mlの三口フラスコ内に、塩化金酸溶液6mlと純水200mlとを投入して、30分間加熱還流させた。液温が安定した後、クエン酸溶液50mlを混合して、15分間加熱還流した。その後、加熱を停止して室温で放冷し、核コロイドを形成させた。この核コロイド26mlを、500mlの三口フラスコに入れ、液温が30℃になるまで恒温層内で撹拌した。液温が安定したら、塩化金酸四水和物0.076gを溶解させた塩化金酸溶液252mlと、L−アスコルビン酸ナトリウム0.092gを溶解させたL−アスコルビン酸溶液256mlとを同時に滴下して、1時間撹拌しながら反応させて、平均粒径40nmの金コロイドを形成させた。 また、平均粒径80nmの金コロイドは、上記により得られた平均粒径40nmの金コロイドを用いて形成させた。平均粒径40nmの金コロイド33.3mlを500mlの三口フラスコに入れ、液温が30℃になるまで恒温層内で撹拌した。液温が安定したら、塩化金酸四水和物0.039gを溶解させた塩化金酸溶液118mlと、L−アスコルビン酸ナトリウム0.043gを溶解させたL−アスコルビン酸溶液120mlとを同時に滴下して、1時間撹拌しながら反応させた。 100nmの金コロイドは、平均粒径40nmの金コロイド33.4mlに対し、塩化金酸四水和物0.079gを溶解させた塩化金酸溶液247mlと、L−アスコルビン酸ナトリウム0.092gを溶解させたL−アスコルビン酸溶液251mlとを滴下したこと以外は、平均粒径80nmの金コロイドと同様の方法によって形成させた。[リンカーの修飾] 上記方法により形成した粒径が40、80、100nmの金コロイドに、炭素数n1、n2や、置換基R1、R2の異なる第1の化合物及び第2の化合物を含むリンカーを修飾させた。第1実施形態〜第4実施形態のそれぞれについて、金コロイドの粒径、リンカーとして用いた第1の化合物及び第2の化合物の種類、第1の化合物と第2の化合物とを含む割合のモル比を、表1に示す。 第1実施形態は、粒径80nmの金コロイドに、化1の化合物(ジスルフィド基を有する)のみを含むリンカーを修飾させたものと、化2の化合物(チオール基を有する)のみを含むリンカーを修飾させたものとした。第2実施形態は、炭素数n1が3、5、7、10である第1の化合物を含むリンカーを修飾させたものとした。第3実施形態では、金コロイドの粒径が40nm、80nm、100nmである場合において、第1の化合物と第2の化合物とのモル比を10:0、5:5、1:9としたリンカーを修飾させた。第4実施形態は、第1の化合物のみを含むリンカーを金コロイドに修飾させたものであり、炭素数n1が10である第1の化合物と、炭素数n1が3、5、7、10である第1の化合物とを、モル比で1:9の割合で含むリンカーを用いた。 具体的なリンカーの修飾方法について、第3実施形態におけるモル比5:5の金コロイドを例として説明する。上記方法により得られた金コロイド100mlに、リンカーである第1の化合物のメタノール溶液5ml(濃度10μM)と、第2の化合物のメタノール溶液5ml(濃度10μM)とを添加し、室温で24時間反応させた。その後、10mM ホウ酸緩衝液(pH 8.1)1Lにより5時間の透析を3回行い未反応の溶液を取り除いて、リンカーを修飾した金コロイドを得た。その他の実施形態についても、それぞれ上記と同様の方法によりリンカーの修飾を行った。[抗体の固定] 上記方法により、粒径及びリンカーが異なるそれぞれの金コロイドについて、抗体を固定させた。抗体には、妊娠の成立を診断するために用いる絨毛性性腺刺激ホルモン抗体を用いた。リンカーを修飾した金コロイド900μlに、0.04mM 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボキシルイミド塩酸塩100mlを加えて10分間反応させて、100μg/ml絨毛性性腺刺激ホルモン抗体(抗ヒトモノクローナル抗体 clone5008、Biochemica社製)100μlを加え、3時間室温で反応させた。尚、カルボキシルイミド塩酸塩と、絨毛性性腺刺激ホルモン抗体には、緩衝液として10mM ホウ酸緩衝液(pH8.1)を使用した。 その後、1% ポリエチレングリコール20000(50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)を使用した。)を50μlと、10% ウシ血清アルブミン(以下、BSAという。:50mM リン酸カリウム緩衝液(pH9.0)を使用した。)100μlを加え、さらに10分間反応させた。その後、4℃において、15分間遠心分離を行い、上澄みの9割程度を除去して、沈降した抗体固定金コロイドを採取した。採取した沈殿は、超音波分散させた後、保存液(1.0% BSA、0.05% ポリエチレングリコール20000、0.1% NaN3、150mM NaCl、20mM Tris−HCl(pH8.2))900μlを加えた。この遠心分離による洗浄を、3回繰り返し行った。尚、遠心分離は、金コロイドの粒径が40nmの場合3000×g、80nm及び100nmの場合1500×gの条件で行った。洗浄後の抗体固定金コロイドは、分光光度計で吸光度を測定し、波長520〜600nmの間における吸光度の最大値が6となるよう、保存液を用いて調整を行った。 比較として、リンカーを修飾していない金コロイドについて、抗体固定金コロイドを作成した。平均粒径40nm、80nm、100nmの金コロイドを用いて、50mM KH2PO4(pH7.5)100μlと、100μg/ml絨毛性性腺刺激ホルモン抗体(5mM KH2PO4(pH7.5))100μlとを添加して10分間反応させた以外は、上記と同様の方法により、抗体固定金コロイドを作成した。[テストストリップの作成] イムノクロマトグラフィーによる診断のための、テストストリップを作成した。移動層であるメンブレン上に、抗原の有無を判定するためのテストラインと、金コロイドが、メンブレン上で正常に発色しているかどうかの目安となるコントロールラインとを作成した。テストラインには、抗原と複合体を形成した抗体固定金コロイドのみを捕捉する抗体を塗布し、コントロールラインには、抗原を含まない抗体固定金コロイドを捕捉する抗体を塗布した。 テストラインは、抗体として抗hαS抗体を用いた溶液(表2)を調整し、この溶液0.75μlを、定量分注装置(Biojet Quanti 3000、BioDot社製)により、50mm/秒、20.83nL/dot、0.28mmピッチの条件で、メンブレンに塗布して作成した。尚、メンブレンとしては、ニトロセルロース製で、幅25mm、長さ30cmのものを使用した。 コントロールラインは、抗体として抗マウス抗体を用いた溶液(表3)を調整し、テストラインと同様の塗布条件で、メンブレン上に作成した。 テストライン及びコントロールラインを形成したメンブレンは、インキュベータで、42℃において1時間乾燥させた後、室温でさらに2時間乾燥させた。その後、抗体固定金コロイドのニトロセルロース膜への吸着を防ぐブロッキング溶液である0.5%カセイン(50mM ホウ酸緩衝液(pH8.5))に、まずテストライン側を浸漬し、その後に全体を浸漬して、室温で30分静置した。その後、ブロッキング溶液からメンブレンを取り出し、余分な試薬を除いた後、洗浄液である0.01% ドデシル硫酸ナトリウム(5mM リン酸緩衝液(pH7.5))に、前記と同様に浸漬し、30分静置した。洗浄液からメンブレンを取り出し、24時間静置した後、吸収パッドを貼り付けて、4mm幅に切断した。[イムノクロマトグラフィー] マイクロプレートに、抗原であるリコンピナントhCG(1%BSA、50mM リン酸緩衝液(pH7.4))を40μlと、抗体固定金コロイド4μlとを投入して混合した後、テストストリップを差し込み展開させた。[発色強度の測定] イムノクロマトグラフィーを行った後、メンブレン上のテストラインにおいて、金コロイドの発色強度を測定した。測定には、反応ライン自動読み取り機器(Quad Scan:Bio Dot社製)を用いた。第1実施形態〜第4実施形態のリンカーを修飾した金コロイドの発色強度について、リンカーを修飾しなかった金コロイドの発色強度に対する比率を算出した結果を図1〜4のグラフに示す。 図1より、第1の化合物と第2の化合物とを、モル比で1:9の割合で含むリンカーを用いた金コロイドによれば、化1のみを用いた場合であっても、化2のみを用いた場合であっても、リンカーを修飾しなかった金コロイドに対する発色強度の比率が100%以上となり、充分な発色を示す金コロイドとなることが分かった。また、図2より、第1の化合物の炭素数n1が5、7、10である場合には、n1が3の場合に比べて発色強度の高いものとなることが分かった。 図3より、粒径40、80、100nmのいずれの金コロイドを用いたにも、リンカーを修飾しなかった金コロイドに対する発色強度の比率が100%以上となり、良好な発色が示される金コロイドとなることが分かった。また、第1の化合物と第2の化合物との割合のモル比は、粒径40nmの場合は5:5(すなわち1:1)、粒径80nm及び100nmの場合には1:9であると、金コロイドの発色強度がより高いものとなることが分かった。 そして、図4より、第1の化合物のみを用いた場合の金コロイドは、リンカーを修飾しなかった金コロイドに対する発色強度の比率が100%程度であり、発色強度が高くなりにくいことが分かった。第1実施形態の発色強度のグラフ。第2実施形態の発色強度のグラフ。第3実施形態の発色強度のグラフ。第4実施形態の発色強度のグラフ。 金コロイドと、前記金コロイドを修飾し抗体を固定するためのリンカーと、を含む体外診断薬用金コロイドであって、 前記リンカーは、化1及び/又は化2で示される化合物からなり、置換基R1、R2及び/又は炭素数n1、n2が異なる2種以上の化合物からなる体外診断薬用金コロイド。 リンカーは、化1又は化2で示される化合物のいずれかであって、置換基R1、R2及び/又は炭素数n1、n2が異なる2種以上の化合物からなる請求項1に記載の体外診断薬用金コロイド。 リンカーは、置換基R1又はR2がカルボキシル基である第1の化合物と、置換基R1又はR2がカルボキシル基以外の置換基である第2の化合物とを含む請求項1又は請求項2に記載の体外診断薬用金コロイド。 第2の化合物の置換基R1又はR2は、ヒドロキシル基である請求項3に記載の体外診断薬用金コロイド。 第1の化合物の炭素数n1又はn2と、第2の化合物の炭素数n1又はn2との差が2以上である請求項3又は4に記載の体外診断薬用金コロイド。 第1の化合物は、炭素数n1又はn2が4〜10の化合物であり、第2の化合物は、炭素数n1又はn2が2〜8の化合物である請求項3〜請求項5のいずれかに記載の体外診断薬用金コロイド。 リンカーは、第1の化合物と第2の化合物とを、モル比で1:1〜0.1:9.9の割合で含むものである請求項3〜請求項6のいずれかに記載の体外診断薬用金コロイド。 金コロイドの粒径は、10nm〜150nmである請求項1〜7のいずれかに記載の体外診断薬用金コロイド。 試料を展開するための移動層と、 前記移動層の一端に設けられ、抗原に対応する抗体が固定された金コロイドと、 前記移動層の他方の端部に含まれる抗原の有無を判定するための部分と、を備えるイムノクロマトグラフィー用診断キットであって、 前記金コロイドは、請求項1〜8のいずれかに記載の金コロイドであるイムノクロマトグラフィー用診断キット。 【課題】本発明は、体外診断薬として好適な金コロイドであって、発色の強度が大きく、微量の抗原とも反応して充分な発色を示す体外診断用の金コロイドの提供を目的とする。また、本発明は、広範な粒径において、良好な発色を示す体外診断薬用の金コロイドを提供する。【解決手段】本発明は、金コロイドと、前記金コロイドを修飾し抗体を固定するためのリンカーと、を含む体外診断薬用金コロイドであって、前記リンカーは、化1及び/又は化2で示される化合物からなり、置換基R1、R2及び/又は炭素数n1、n2が異なる2種以上の化合物からなる体外診断薬用金コロイドに関する。本発明の金コロイドは、体外診断薬として好適であり、発色の強度が大きく、微量の抗原であっても検出でき、広範な粒径において発色性が良好なものである。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_体外診断薬用金コロイド

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_体外診断薬用金コロイド
出願番号:2006327719
年次:2013
IPC分類:G01N 33/553,B22F 9/24,B22F 9/00


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中川 裕文 JP 5203600 特許公報(B2) 20130222 2006327719 20061205 体外診断薬用金コロイド 田中貴金属工業株式会社 509352945 特許業務法人田中・岡崎アンドアソシエイツ 110000268 中川 裕文 20130605 G01N 33/553 20060101AFI20130520BHJP B22F 9/24 20060101ALI20130520BHJP B22F 9/00 20060101ALI20130520BHJP JPG01N33/553B22F9/24 FB22F9/00 G01N 33/48−33/98 B22F 9/24 B22F 9/00 特開平06−116602(JP,A) 特開2006−266832(JP,A) 特表2003−536074(JP,A) 6 2008139226 20080619 12 20091021 加々美 一恵 本発明は、体外診断薬として好適な金コロイドに関する。 イムノクロマト法や生体物質の染色等による体外診断において、金コロイドを用いた診断方法が知られている。金コロイドを用いた場合、表面プラズモン共鳴により赤色の強い発色が観察可能となり、視覚による簡易的な診断が行える。また、金コロイドの発色は、時間経過による退色が少なく、生体物質等を固定した場合にも観察可能であるため、体外診断薬として好適である。 体外診断薬における金コロイドの具体的な使用方法としては、イムノクロマト法等において、金コロイドに抗体を固定した標識粒子を用いる方法が知られている。イムノクロマト法における使用例としては、抗原が存在する場合、前記標識粒子に抗原の結合した複合体を形成させて、移動層上を展開し、対応する抗体の固定された判定部において複合体を捕捉する方法が知られている。従って、この方法では、判定部において発色が見られるかどうかにより、抗原の有無を確認することができる。 前記した標識粒子作成のため、金コロイドに抗体を固定する方法としては、溶媒中で金コロイドと抗体とを分散させ、物理吸着により固定する方法が知られているが、この際、金コロイド粒子同士の凝集を生じる場合があった。また、金コロイドに抗体以外のタンパク質が固定されることもあった。 そこで、金コロイド粒子同士の凝集を防ぎ、金コロイドに目的の抗体を選択的に固定するため、金コロイドをリンカーで修飾する方法が知られている。リンカーとは、共有結合等の形式で抗体の固定化を可能とする化合物であり、例えば、特許文献1には、SH基を有する非架橋デキストランまたはアミノデキストランからなるリンカーが示されている。また、特許文献2には、アルカンチオール、アルカンチオール誘導体、ジチオール化合物及びトリチオール化合物をリンカーとする金コロイドが示されている。このリンカーを用いることにより、抗体の特異的吸着を促進することができると共に、金コロイド同士の凝集も防ぐことができる。特表2003−536074号公報特開平6−116602号公報 上述した体外診断薬は、診断の精度向上や早期発見が望まれるため、明確な発色により目的とする抗原等の有無が確認できること、抗原等が微量の場合にも検出可能であること等が求められる。従って、体外診断薬に用いる金コロイドとしては、発色の強度が大きく、微量の抗原とも反応して充分な発色を示すものが好適である。また、体外診断においては、目的の抗原等の種類により、様々な粒径の金コロイドを必要とする場合があるため、広範な粒径において良好な発色を示す金コロイドは、体外診断薬としての利用性が高い。 以上のように、金コロイドは、上記した特性を満たしている場合に、体外診断薬として、より好適なものとなる。一方、前記した特許文献1や特許文献2に記載の金コロイドによれば、金コロイドの凝集を防ぎ、目的とする抗体を特異的に固定することが可能となるが、体外診断薬として特に好適な金コロイドとするための上記特性を、全て満たしているものではなかった。 そこで、本発明は、体外診断薬として好適な金コロイドであって、発色の強度が大きく、微量の抗原とも反応して充分な発色を示す体外診断用の金コロイドの提供を目的とする。また、本発明は、広範な粒径において、良好な発色を示す体外診断薬用の金コロイドを提供する。 本発明者等は、鋭意検討を行い、上記課題を解決することのできる化合物を含むリンカーを見出し、本発明に想到した。すなわち、本発明は、金コロイドと、前記金コロイドを修飾し抗体を固定するためのリンカーと、を含む体外診断薬用金コロイドであって、前記リンカーは、化1及び/又は化2で示される化合物からなり、置換基R1、R2及び/又は炭素数n1、n2の異なる2種以上の化合物からなることを特徴とする体外診断薬用金コロイドに関する。 本発明における、化1又は化2で示される化合物は、アルキル基の末端にジスルフィド基又はチオール基を有し、アルキル基の他の端部に置換基R1又はR2を有する。ジスルフィド基とチオール基は、金コロイドを修飾する際に作用する置換基であり、置換基R1、R2は、抗体を固定する際に作用する置換基である。 また、本発明の金コロイドは、置換基R1、R2及び/又は炭素数n1、n2の異なる2種以上の化合物からなるリンカーを含むことにより、発色の強度が大きく、微量の抗原とも反応して良好な発色を示す体外診断薬とすることができる。このような効果が得られるのは、本発明のリンカーであれば、置換基R1、R2及び/又は炭素数n1、n2を選択することにより、金コロイド1粒子当たりに固定される抗体数を調整でき、金コロイド1粒子当たりの発色強度を効率的に利用できるためであると考えられる。 尚、本発明の化1、化2で示される化合物は、置換基R1、R2が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、アミノ基のいずれかであり、炭素数n1、n2が2〜10の範囲内のものである。上記した置換基は、それぞれ抗体と結合する反応性が異なるものであり、これら反応性の異なる置換基を含む化合物を2種以上用いることで、金コロイドに結合する抗体数を調整できると考えられるからである。また、炭素数n1、n2が2〜10で異なる2種以上の化合物を用いることも、同様に、金コロイドと抗体との反応性の違いを利用するためのものである。 また、本発明のリンカーは、化1、化2で示される化合物を両方含むものとすることができる。化1で示される化合物と、化2で示される化合物とは、アルキル基の一端にジスルフィド基を有するか、チオール基を有するかという相違点を有しているが、ジスルフィド基は、還元によって容易にチオール基となり、チオール基は、酸化によってジスルフィド基となる関係にある。従って、化1で示される化合物と、化2で示される化合物とは、相溶性が高いため、混合して用いることができるものと考えられる。 上記したように、化1で示される化合物と化2で示される化合物とは、混合して用いることもできるが、本発明で適用するリンカーは、化1又は化2で示される化合物のいずれかのみからなることが好ましい。ジスルフィド基と、チオール基とは、抗体との反応性に違いがあると考えられるからである。すなわち、化1で示される化合物と、化2で示される化合物とを混合して用いると、置換基R1、R2及び/又は炭素数n1、n2の異なる2種以上の化合物を含むことにより抗体との反応性を調整した場合であっても、さらにジスルフィド基とチオール基との反応性の相違の影響が加わることから、目標とする反応性に調整しにくくなると考えられるからである。 化1又は化2で示される化合物のいずれかのみからなる場合、リンカーは、置換基R1又はR2がカルボキシル基である第1の化合物と、置換基R1又はR2がカルボキシル基以外の置換基である第2の化合物とを含むことが好ましい。抗体との反応性が異なる置換基を含む化合物を用いることにより、金コロイド1粒子当たりに固定される抗体の数を調整できると考えられるからである。また、上記した第2の化合物の置換基R1又はR2は、ヒドロキシル基であることが好ましい。カルボキシル基は、タンパク質中のアミノ基との結合性が高い置換基の1つとして知られており、ヒドロキシル基は、タンパク質中のアミノ基ともカルボキシル基とも、あまり反応しない置換基として知られている。このため、抗体との反応性が高いカルボキシル基と、反応性の低いヒドロキシル基を含むリンカーを用いれば、金コロイドに固定される抗体の数を、より正確に調整できると考えられる。 また、カルボキシル基を有する第1の化合物と、カルボキシル基以外の置換基を有する第2の化合物とをリンカーとする場合、第1の化合物の炭素数と第2の化合物の炭素数との差は、2以上であることが好ましい。炭素数の差によっても、抗体との反応性に相違が生じることから、置換基の種類による抗体との反応性調整効果と併用することで、金コロイドに固定される抗体の数を、より正確に調整できる。さらに、第1の化合物は、炭素数n1又はn2が4〜10の化合物であり、第2の化合物は、炭素数n1又はn2が2〜8の化合物であることが好ましい。金コロイドを体外診断薬として用いた場合に、発色強度の大きなものとすることができ、微量の抗原とも反応して発色を示すものとできるからである。 更に、カルボキシル基を有する第1の化合物と、カルボキシル基以外の置換基を有する第2の化合物とをリンカーとする場合、両化合物の混合比率は、モル比で1:1〜0.1:9.9とするのが好ましく、1:1〜1:9がさらに好ましい。1:1〜0.1:9.9の割合であれば、体外診断薬として良好な発色を示す金コロイドとなり、1:1〜1:9であれば、より発色強度の大きいものとすることができるからである。特に、金コロイドの粒径が大きい場合には、第2の化合物の割合を多くすることで、抗体との反応性を低くして、金コロイド1粒子当たりに固定される抗体数が過剰とならないように調整することが好ましいと考えられる。金コロイドの粒径が大きいと、金コロイド1粒子当たりに固定される抗体数が多くなりやすく、固定される抗体数が多いと、体外診断薬として用いる場合、診断に必要な量よりも過剰の抗原が必要になると考えられるからである。 尚、本発明の金コロイドは、粒径が10nm〜150nmであることが好ましく、40〜100nmであることがさらに好ましい。粒径が10nm〜150nmの金コロイドは、体外診断薬としての利用が可能であり、粒径40〜100nmであれば、充分な発光強度を示すものとすることができるからである。 以上で説明した本発明の金コロイドは、イムノクロマトグラフ法に用いることができる。具体的には、イムノクロマトグラフ法では、試料を展開するための移動層と、前記移動層の一端に設けられ、抗原に対応する抗体が固定された金コロイドと、前記移動層の他方の端部に含まれる抗原の有無を判定するための部分と、を備えるイムノクロマトグラフィー用診断キットが用いられるが、この金コロイドとして本発明の体外診断薬用金コロイドを用いることができる。 以上で説明したように、本発明の金コロイドは、体外診断薬として好適な金コロイドとなる。また、発色の強度が大きく、微量の抗原であっても検出可能であり、広範な粒径において発色性が良好なものとなる。 以下、本発明における最良の実施形態について説明する。 金コロイドを形成させて、リンカーを修飾した後、抗体を固定して体外診断薬用の金コロイド(以下、抗体固定金コロイドという。)を作成した。そして、イムノクロマトグラフィーに用いるテストストリップを作成した後、抗体固定金コロイドと、抗原とを用いて、イムノクロマトグラフィーを行い、金コロイドによる発色の強度を測定した。[金コロイドの形成] 以下の方法により、平均粒径40nmの金コロイドを形成させた。塩化金酸四水和物0.17gと、クエン酸三ナトリウム二水和物0.49gとを、それぞれ超純水25mlと100mlに溶解させて、塩化金酸溶液とクエン酸溶液を調製した。次に、500mlの三口フラスコ内に、塩化金酸溶液6mlと純水200mlとを投入して、30分間加熱還流させた。液温が安定した後、クエン酸溶液50mlを混合して、15分間加熱還流した。その後、加熱を停止して室温で放冷し、核コロイドを形成させた。この核コロイド26mlを、500mlの三口フラスコに入れ、液温が30℃になるまで恒温層内で撹拌した。液温が安定したら、塩化金酸四水和物0.076gを溶解させた塩化金酸溶液252mlと、L−アスコルビン酸ナトリウム0.092gを溶解させたL−アスコルビン酸溶液256mlとを同時に滴下して、1時間撹拌しながら反応させて、平均粒径40nmの金コロイドを形成させた。 また、平均粒径80nmの金コロイドは、上記により得られた平均粒径40nmの金コロイドを用いて形成させた。平均粒径40nmの金コロイド33.3mlを500mlの三口フラスコに入れ、液温が30℃になるまで恒温層内で撹拌した。液温が安定したら、塩化金酸四水和物0.039gを溶解させた塩化金酸溶液118mlと、L−アスコルビン酸ナトリウム0.043gを溶解させたL−アスコルビン酸溶液120mlとを同時に滴下して、1時間撹拌しながら反応させた。 100nmの金コロイドは、平均粒径40nmの金コロイド33.4mlに対し、塩化金酸四水和物0.079gを溶解させた塩化金酸溶液247mlと、L−アスコルビン酸ナトリウム0.092gを溶解させたL−アスコルビン酸溶液251mlとを滴下したこと以外は、平均粒径80nmの金コロイドと同様の方法によって形成させた。[リンカーの修飾] 上記方法により形成した粒径が40、80、100nmの金コロイドに、炭素数n1、n2や、置換基R1、R2の異なる第1の化合物及び第2の化合物を含むリンカーを修飾させた。第1実施形態〜第4実施形態のそれぞれについて、金コロイドの粒径、リンカーとして用いた第1の化合物及び第2の化合物の種類、第1の化合物と第2の化合物とを含む割合のモル比を、表1に示す。 第1実施形態は、粒径80nmの金コロイドに、化1の化合物(ジスルフィド基を有する)のみを含むリンカーを修飾させたものと、化2の化合物(チオール基を有する)のみを含むリンカーを修飾させたものとした。第2実施形態は、炭素数n1が3、5、7、10である第1の化合物を含むリンカーを修飾させたものとした。第3実施形態では、金コロイドの粒径が40nm、80nm、100nmである場合において、第1の化合物と第2の化合物とのモル比を10:0、5:5、1:9としたリンカーを修飾させた。第4実施形態は、第1の化合物のみを含むリンカーを金コロイドに修飾させたものであり、炭素数n1が10である第1の化合物と、炭素数n1が3、5、7、10である第1の化合物とを、モル比で1:9の割合で含むリンカーを用いた。 具体的なリンカーの修飾方法について、第3実施形態におけるモル比5:5の金コロイドを例として説明する。上記方法により得られた金コロイド100mlに、リンカーである第1の化合物のメタノール溶液5ml(濃度10μM)と、第2の化合物のメタノール溶液5ml(濃度10μM)とを添加し、室温で24時間反応させた。その後、10mM ホウ酸緩衝液(pH 8.1)1Lにより5時間の透析を3回行い未反応の溶液を取り除いて、リンカーを修飾した金コロイドを得た。その他の実施形態についても、それぞれ上記と同様の方法によりリンカーの修飾を行った。[抗体の固定] 上記方法により、粒径及びリンカーが異なるそれぞれの金コロイドについて、抗体を固定させた。抗体には、妊娠の成立を診断するために用いる絨毛性性腺刺激ホルモン抗体を用いた。リンカーを修飾した金コロイド900μlに、0.04mM 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボキシルイミド塩酸塩100mlを加えて10分間反応させて、100μg/ml絨毛性性腺刺激ホルモン抗体(抗ヒトモノクローナル抗体 clone5008、Biochemica社製)100μlを加え、3時間室温で反応させた。尚、カルボキシルイミド塩酸塩と、絨毛性性腺刺激ホルモン抗体には、緩衝液として10mM ホウ酸緩衝液(pH8.1)を使用した。 その後、1% ポリエチレングリコール20000(50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)を使用した。)を50μlと、10% ウシ血清アルブミン(以下、BSAという。:50mM リン酸カリウム緩衝液(pH9.0)を使用した。)100μlを加え、さらに10分間反応させた。その後、4℃において、15分間遠心分離を行い、上澄みの9割程度を除去して、沈降した抗体固定金コロイドを採取した。採取した沈殿は、超音波分散させた後、保存液(1.0% BSA、0.05% ポリエチレングリコール20000、0.1% NaN3、150mM NaCl、20mM Tris−HCl(pH8.2))900μlを加えた。この遠心分離による洗浄を、3回繰り返し行った。尚、遠心分離は、金コロイドの粒径が40nmの場合3000×g、80nm及び100nmの場合1500×gの条件で行った。洗浄後の抗体固定金コロイドは、分光光度計で吸光度を測定し、波長520〜600nmの間における吸光度の最大値が6となるよう、保存液を用いて調整を行った。 比較として、リンカーを修飾していない金コロイドについて、抗体固定金コロイドを作成した。平均粒径40nm、80nm、100nmの金コロイドを用いて、50mM KH2PO4(pH7.5)100μlと、100μg/ml絨毛性性腺刺激ホルモン抗体(5mM KH2PO4(pH7.5))100μlとを添加して10分間反応させた以外は、上記と同様の方法により、抗体固定金コロイドを作成した。[テストストリップの作成] イムノクロマトグラフィーによる診断のための、テストストリップを作成した。移動層であるメンブレン上に、抗原の有無を判定するためのテストラインと、金コロイドが、メンブレン上で正常に発色しているかどうかの目安となるコントロールラインとを作成した。テストラインには、抗原と複合体を形成した抗体固定金コロイドのみを捕捉する抗体を塗布し、コントロールラインには、抗原を含まない抗体固定金コロイドを捕捉する抗体を塗布した。 テストラインは、抗体として抗hαS抗体を用いた溶液(表2)を調整し、この溶液0.75μlを、定量分注装置(Biojet Quanti 3000、BioDot社製)により、50mm/秒、20.83nL/dot、0.28mmピッチの条件で、メンブレンに塗布して作成した。尚、メンブレンとしては、ニトロセルロース製で、幅25mm、長さ30cmのものを使用した。 コントロールラインは、抗体として抗マウス抗体を用いた溶液(表3)を調整し、テストラインと同様の塗布条件で、メンブレン上に作成した。 テストライン及びコントロールラインを形成したメンブレンは、インキュベータで、42℃において1時間乾燥させた後、室温でさらに2時間乾燥させた。その後、抗体固定金コロイドのニトロセルロース膜への吸着を防ぐブロッキング溶液である0.5%カセイン(50mM ホウ酸緩衝液(pH8.5))に、まずテストライン側を浸漬し、その後に全体を浸漬して、室温で30分静置した。その後、ブロッキング溶液からメンブレンを取り出し、余分な試薬を除いた後、洗浄液である0.01% ドデシル硫酸ナトリウム(5mM リン酸緩衝液(pH7.5))に、前記と同様に浸漬し、30分静置した。洗浄液からメンブレンを取り出し、24時間静置した後、吸収パッドを貼り付けて、4mm幅に切断した。[イムノクロマトグラフィー] マイクロプレートに、抗原であるリコンピナントhCG(1%BSA、50mM リン酸緩衝液(pH7.4))を40μlと、抗体固定金コロイド4μlとを投入して混合した後、テストストリップを差し込み展開させた。[発色強度の測定] イムノクロマトグラフィーを行った後、メンブレン上のテストラインにおいて、金コロイドの発色強度を測定した。測定には、反応ライン自動読み取り機器(Quad Scan:Bio Dot社製)を用いた。第1実施形態〜第4実施形態のリンカーを修飾した金コロイドの発色強度について、リンカーを修飾しなかった金コロイドの発色強度に対する比率を算出した結果を図1〜4のグラフに示す。 図1より、第1の化合物と第2の化合物とを、モル比で1:9の割合で含むリンカーを用いた金コロイドによれば、化1のみを用いた場合であっても、化2のみを用いた場合であっても、リンカーを修飾しなかった金コロイドに対する発色強度の比率が100%以上となり、充分な発色を示す金コロイドとなることが分かった。また、図2より、第1の化合物の炭素数n1が5、7、10である場合には、n1が3の場合に比べて発色強度の高いものとなることが分かった。 図3より、粒径40、80、100nmのいずれの金コロイドを用いたにも、リンカーを修飾しなかった金コロイドに対する発色強度の比率が100%以上となり、良好な発色が示される金コロイドとなることが分かった。また、第1の化合物と第2の化合物との割合のモル比は、粒径40nmの場合は5:5(すなわち1:1)、粒径80nm及び100nmの場合には1:9であると、金コロイドの発色強度がより高いものとなることが分かった。 そして、図4より、第1の化合物のみを用いた場合の金コロイドは、リンカーを修飾しなかった金コロイドに対する発色強度の比率が100%程度であり、発色強度が高くなりにくいことが分かった。第1実施形態の発色強度のグラフ。第2実施形態の発色強度のグラフ。第3実施形態の発色強度のグラフ。第4実施形態の発色強度のグラフ。 金コロイドと、前記金コロイドを修飾し抗体を固定するためのリンカーと、を含む体外診断薬用金コロイドであって、 前記リンカーは、化1で示される化合物であって、 置換基R1がカルボキシル基である第1の化合物と、置換基R1がヒドロキシル基である第2の化合物とを含み、 更に、第1の化合物の炭素数n1と第2の化合物の炭素数n1とが異なるものである、体外診断薬用金コロイド。 第1の化合物の炭素数n1と、第2の化合物の炭素数n1との差が2以上である請求項1に記載の体外診断薬用金コロイド。 第1の化合物は、炭素数n1が4〜10の化合物であり、第2の化合物は、炭素数n1が2〜8の化合物である請求項1又は請求項2に記載の体外診断薬用金コロイド。 リンカーは、第1の化合物と第2の化合物とを、モル比で1:1〜0.1:9.9の割合で含むものである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の体外診断薬用金コロイド。 金コロイドの粒径は、10nm〜150nmである請求項1〜請求項4のいずれかに記載の体外診断薬用金コロイド。 試料を展開するための移動層と、 前記移動層の一端に設けられ、抗原に対応する抗体が固定された金コロイドと、 前記移動層の他方の端部に含まれる抗原の有無を判定するための部分と、を備えるイムノクロマトグラフィー用診断キットであって、前記金コロイドは、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の金コロイドであるイムノクロマトグラフィー用診断キット。


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