生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_有機スルホン酸クロリドの製造法
出願番号:2006302750
年次:2008
IPC分類:C07C 303/12,C07C 309/81


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佐藤 靖 孫 珠姫 中井 徹 井上 慶三 JP 2008120693 公開特許公報(A) 20080529 2006302750 20061108 有機スルホン酸クロリドの製造法 ダイセル化学工業株式会社 000002901 後藤 幸久 100101362 佐藤 靖 孫 珠姫 中井 徹 井上 慶三 C07C 303/12 20060101AFI20080502BHJP C07C 309/81 20060101ALI20080502BHJP JPC07C303/12C07C309/81 2 OL 7 4H006 4H006AA02 4H006AC61 4H006BC40 4H006BE51 本発明は、有機スルホン酸クロリドの製造法に関する。有機スルホン酸クロリドは、医薬、農薬等の精密化学品の中間原料、機能性高分子のモノマーを得るための中間原料等として有用である。 有機スルホン酸クロリドの製造法として、特開2005−314388号公報には、有機スルホン酸アルカリ金属塩に塩化チオニルを反応させる方法が開示されている。しかし、この方法では目的の有機スルホン酸クロリドが必ずしも高い収率で得らず、工業的製法として十分なものではなかった。特開2005−314388号公報 従って、本発明の目的は、有機スルホン酸アルカリ金属塩から対応する有機スルホン酸クロリドを高い収率で製造できる方法を提供することにある。 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、反応に用いる有機スルホン酸アルカリ金属塩に含まれる水分が反応に多大の影響を及ぼすこと、有機スルホン酸アルカリ金属塩中の水分含量を特定値以下に設定すると、目的の有機スルホン酸クロリドが高い収率で安定に製造できることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、下記式(1) RSO3M (1)(式中、Rは炭化水素基、Mはアルカリ金属を示す)で表される有機スルホン酸アルカリ金属塩に塩化チオニルを反応させて、下記式(2) RSO2Cl (2)(式中、Rは前記に同じ)で表される有機スルホン酸クロリドを製造する方法であって、水分含量0.5重量%以下の式(1)で表される有機スルホン酸アルカリ金属塩を反応に用いることを特徴とする有機スルホン酸クロリドの製造法を提供する。 前記Rは、例えば炭素数3〜20のアルケニル基である。 本発明によれば、有機スルホン酸アルカリ金属塩から対応する有機スルホン酸クロリドを高い収率で製造することができる。また、有機スルホン酸クロリドを工業的規模において安定に製造することができる。 本発明の製造法では、前記式(1)で表される有機スルホン酸アルカリ金属塩に塩化チオニル(SOCl2)を反応させる際、該有機スルホン酸アルカリ金属塩として水分含量が0.5重量%以下のものを用いる。 式(1)で表される有機スルホン酸アルカリ金属塩は一般に固体であり、親水性基を有していることから水を含みやすく、通常の製造法で得たものはある程度の水を含有している。本発明者らは、式(1)で表される有機スルホン酸アルカリ金属塩と塩化チオニルとの反応について詳細に検討していく中で、有機スルホン酸アルカリ金属塩中に含まれている水分含有量が反応収率にきわめて大きく影響するという知見を得た。一般に、カルボン酸の塩素化剤による酸クロリド化においては水分が存在するとその水分により塩素化剤が分解するものの過剰の塩素化剤を消費するのみであって、一般的には塩素化剤の分解により副生する塩化水素(HCl)は主反応の収率には影響を与えない。しかし、塩化チオニルを用いた有機スルホン酸アルカリ金属塩のスルホン酸クロリド化においては、水分が塩化チオニルを消費し、そこから副生した塩化水素(HCl)が原料の有機スルホン酸アルカリ金属塩をも消費してしまうことが分かった。これは次の一連の反応が起こるためと推測される(式中のR、Mは前記に同じ)。このように、有機スルホン酸アルカリ金属塩と塩化チオニルとの反応では、有機スルホン酸アルカリ金属塩中の水分が主反応を阻害するので、一定の反応収率(例えば70%以上の反応収率)を確保するためには、有機スルホン酸アルカリ金属塩中の水分を厳密に管理する必要がある。 主反応(目的反応): RSO3M+SOCl2→RSO2Cl+MCl+SO2 副反応: SOCl2+H2O→SO2+2HCl 2RSO3M+2HCl→2RSO3H+2MCl 2RSO3H+SOCl2→RSO2−O−SO2R+2HCl+SO2 前記Rにおける炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル基等の炭素数1〜20程度の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基;アリル、2-プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4-ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5-ヘキセニル、7-オクテニル、9-デセニル、11−ドデセニル基等の炭素数2〜20程度の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基;1−プロピニル基等の炭素数2〜20程度のアルキニル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチル基等の脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基、橋架け炭素環式基);フェニル、ナフチル基等のアリール基;ベンジル、2−フェニルエチル基等のアラルキル基などの炭素数1〜20程度の炭化水素基が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜20のアルケニル基、より好ましくは炭素数3〜20(さらに好ましくは3ないし15)のアルケニル基が好ましい。また、アルケニル基としては、末端に二重結合を有するアルケニル基(例えば、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル基等)が好ましい。 Mはアルカリ金属を示し、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。これらの中でもナトリウムが特に好ましい。 式(1)で表される有機スルホン酸アルカリ金属塩中の水分含量は0.5重量%以下であるが、水分は少なければ少ないほど望ましく、より好ましくは0.2重量%以下である。有機スルホン酸アルカリ金属塩中の水分含量が0.5重量%を超えると、反応収率が例えば70%未満という低い値になる。 水分含量の少ない有機スルホン酸アルカリ金属塩は、例えば、対応するハロゲン化炭化水素(RX;Xは塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を示す)と亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸アルカリ金属塩(M2SO3;Mは前記に同じ)とを水中で反応させて得られる有機スルホン酸アルカリ金属塩(RSO3M)を、60℃以上(例えば60〜150℃、好ましくは80〜150℃程度)の温度、100Pa以下の圧力下で24〜120時間程度真空乾燥させることにより得ることができる。 式(1)で表される有機スルホン酸アルカリ金属塩と塩化チオニルとの反応は溶媒の存在下又は溶媒の非存在下で行われる。溶媒としては反応を阻害しないものであればよいが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどの鎖状又は環状エーテルなどが好ましく用いられる。特に好ましい反応溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素である。これらのハロゲン系溶媒は、水と混ざらず、一般的な工業的グレードにおいても含水率が数百ppm以下であるため、本方法における反応溶媒として最も適している。アルコール系の溶媒やエステル系の溶媒は溶媒自体が反応し、目的とする反応が効率よく進行しないため望ましくない。溶媒においても、水分含量の低い(例えば0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、特に0.03重量%以下)ものが望ましい。 反応促進剤として、N,N−ジメチルホルムアミド等を反応系に存在させてもよい。その添加量は特に制限はないが、式(1)で表される有機スルホン酸アルカリ金属塩1モルに対して、例えば0.01〜0.2モル程度である。 反応原料である有機スルホン酸アルカリ金属塩は一般に有機溶媒に溶解しにくいので、通常、スラリー状態で反応を行う。反応は常圧で行ってもよく、加圧下で行ってもよい。反応は窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うのが望ましい。反応温度は、例えば0〜100℃、好ましくは20〜50℃程度である。反応温度が低すぎると反応速度が低下し、反応に長時間を費やすので好ましくない。また、反応温度が高すぎる場合には、生成物の分解等の好ましくない副反応が生じるため好ましくはい。 反応系の基質濃度(有機スルホン酸アルカリ金属塩の濃度)に特に制限はないが、10〜20重量%程度で行うのが望ましい。基質濃度が低すぎると、反応溶媒として用いる有機溶媒中の含有水分の影響を相対的に受けやすくなり、収率低下をもたらしやすい。基質濃度が高すぎると、スラリー濃度が上昇し、撹拌効率が悪くなるため、操作上煩雑となり好ましくない。 塩化チオニルの使用量は、式(1)で表される有機スルホン酸アルカリ金属塩に対して、1当量以上が必要であり、好ましくは1.2〜3当量である。塩化チオニルの使用量が多すぎると、後工程で未反応の塩化チオニルをクエンチする際の操作が煩雑になるので好ましくない。 反応終了後、反応生成物は、水によるクエンチ、分液、濾過、洗浄、抽出、濃縮、蒸留、晶析、カラムクロマトグラフィーなどの分離精製手段により分離精製できる。 こうして得られる有機スルホン酸クロリドは、医薬、農薬等の精密化学品の中間原料、機能性高分子のモノマーを得るための中間原料等として使用できる。 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。 実施例1 下記反応式に従って、有機スルホン酸クロリドを製造した。 水分含量0.16重量%の5−ヘキセンスルホン酸ナトリウム[式(3)]49.4g(265mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)0.86g(12mmol)のジクロロメタン385gのスラリー混合液を窒素雰囲気下、撹拌しながら昇温し、還流させた。ここに、塩化チオニル(SOCl2)79.0g(664mmol)を少しずつ滴下した。滴下後、7時間還流下で反応を進行させた。室温まで放冷後、770gの氷水中に反応液を少しずつ投入し、過剰分の塩化チオニルをクエンチした。分液後、下相(有機層)を抜き取り、38gの無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濾過した。濾液を濃縮し、式(4)で表される5−ヘキセンスルホン酸クロリドを得た。ガスクロマトグラフィー(内標法)により式(4)で表される化合物を定量し、反応収率を求めたところ、81%であった。 比較例1 水分含量0.6重量%の5−ヘキセンスルホン酸ナトリウム[式(3)]を49.4g用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。ガスクロマトグラフィー(内標法)により反応収率を求めたところ、68%であった。 比較例2 水分含量0.91重量%の5−ヘキセンスルホン酸ナトリウム[式(3)]を49.4g用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。ガスクロマトグラフィー(内標法)により反応収率を求めたところ、48%であった。 実施例2 下記反応式に従って、有機スルホン酸クロリドを製造した。 水分含量0.16重量%の5−ヘキセンスルホン酸ナトリウムの代わりに水分含量0.14重量%の3−ブテンスルホン酸ナトリウム[式(5)]を41.9g(265mmol)用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、式(6)で表される3−ブテンスルホン酸クロリドを得た。ガスクロマトグラフィー(内標法)により式(6)で表される化合物を定量し、反応収率を求めたところ、83%であった。 比較例3 水分含量1.02重量%の3−ブテンスルホン酸ナトリウム[式(5)]を41.9g用いた以外は実施例2と同様の操作を行った。ガスクロマトグラフィー(内標法)により反応収率を求めたところ、35%と大幅に低下した。 下記式(1) RSO3M (1)(式中、Rは炭化水素基、Mはアルカリ金属を示す)で表される有機スルホン酸アルカリ金属塩に塩化チオニルを反応させて、下記式(2) RSO2Cl (2)(式中、Rは前記に同じ)で表される有機スルホン酸クロリドを製造する方法であって、水分含量0.5重量%以下の式(1)で表される有機スルホン酸アルカリ金属塩を反応に用いることを特徴とする有機スルホン酸クロリドの製造法。 Rが炭素数3〜20のアルケニル基である請求項1記載の有機スルホン酸クロリドの製造法。 【課題】 有機スルホン酸アルカリ金属塩から対応する有機スルホン酸クロリドを高い収率で安定に製造できる方法を提供する。【解決手段】 本発明の有機スルホン酸クロリドの製造法は、下記式(1) RSO3M (1)(式中、Rは炭化水素基、Mはアルカリ金属を示す)で表される有機スルホン酸アルカリ金属塩に塩化チオニルを反応させて、下記式(2) RSO2Cl (2)(式中、Rは前記に同じ)で表される有機スルホン酸クロリドを製造する方法であって、水分含量0.5重量%以下の式(1)で表される有機スルホン酸アルカリ金属塩を反応に用いることを特徴とする。前記Rは、例えば炭素数3〜20のアルケニル基である。【選択図】 なし


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