タイトル: | 公開特許公報(A)_合成石英ガラスの耐久性能の評価方法 |
出願番号: | 2006295468 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 21/23,G01N 17/00,G03F 1/14,H01L 21/027 |
橋口 英則 JP 2008111745 公開特許公報(A) 20080515 2006295468 20061031 合成石英ガラスの耐久性能の評価方法 キヤノン株式会社 000001007 日比谷 征彦 100075948 橋口 英則 G01N 21/23 20060101AFI20080418BHJP G01N 17/00 20060101ALI20080418BHJP G03F 1/14 20060101ALI20080418BHJP H01L 21/027 20060101ALI20080418BHJP JPG01N21/23G01N17/00G03F1/14 AH01L21/30 515D 5 1 OL 7 2G050 2G059 2H095 5F046 2G050AA02 2G050BA09 2G050DA01 2G050EA03 2G050EB07 2G059AA02 2G059BB15 2G059EE01 2G059EE04 2G059EE05 2G059EE09 2G059GG01 2G059GG08 2G059HH03 2G059JJ02 2G059KK01 2H095BA02 2H095BC26 2H095BC27 5F046BA03 5F046CA04 5F046CB12 本発明は、合成石英ガラスの耐久性能を評価する合成石英ガラスの耐久性能の評価方法に関するものである。 半導体素子を製造するためのリソグラフィ工程において、レチクル上のパターン像を投影光学系を介してウエハ上に露光する露光装置が用いられている。半導体集積回路の線幅の微細化が進み、その手段として露光源の露光波長を短波長化する方法が一般的である。 波長248nmのKrFエキシマレーザー光を露光装置光源として採用した露光装置が既に開発され、更に短い波長である波長193nmのArFエキシマレーザー光が用いられている。 これら露光装置の投影系・照明系に使用される光学材料には、真空紫外領域においても高い透過率を有する合成石英ガラスが用いられる。露光装置に適用される合成石英ガラスに要求される光学性能には、光源波長に対する透過率のみならず屈折率均質性、複屈折、更に耐久性能がある。長期に渡る露光装置の像性能を保証するためには、この屈折率均質性の悪化の低減が重要になる。 しかし、ArFエキシマレーザー光を長期間照射することにより、合成石英ガラスにコンパクション起因及びレアファクション起因の屈折率変化が生ずることは一般に知られている。 なお、コンパクションとは、紫外線照射により照射部の合成石英ガラス密度が増加し、この密度変化に伴い合成石英ガラスの屈折率が上昇する現象である。またレアファクションとは、紫外線照射により照射部の合成石英ガラスの密度が減少し、この密度変化に伴い照射部の合成石英ガラスの屈折率が低下する現象である。従来から、このコンパクション起因及びレアファクション起因による屈折率変化は、以下に説明する手順により算出している。 合成石英ガラスに露光装置で実際に照射されている条件、即ち極めて低いエネルギ密度のArFエキシマレーザー光の照射を行う。例えば非特許文献1では、コンパクション起因及びレアファクション起因の屈折率変化のモデル式を立て、実験データと整合が取れるように各パラメータを設定している。 コンパクション起因の屈折率変化をモデル化したコンパクション起因の屈折率変化Δncを式(1)に示し、レアファクション起因の屈折率変化をモデル化した屈折率変化Δnrを式(2)に示す。ただし、コンパクション比例係数をk1、レアファクション比例係数をk2、コンパクションべき乗係数をβ、レアファクションべき乗係数をαとする。また、レーザー光のエネルギ密度をI、パルス数をN、パルス発光幅をtisとする。 Δnc=k1(NI2/tis)β ・・・(1) Δnr=k2(NI)α ・・・(2)J.M Algots,et al“Verification of compaction and rarefaction models for fused silica with 40 billion pulses of 193-nmexcimer laser exposure and their effects on projection lens imaging performance”Proc SPIE 5377,pp1815-1827,2004 上述の従来技術では、合成石英ガラスに紫外領域で光を照射すると、コンパクション起因とレアファクション起因の屈折率変化が同時に進行してしまい、これらの屈折率変化を個別に算出することは困難である。 また、コンパクション起因とレアファクション起因の屈折率変化は照射エネルギ密度に対する依存性が異なっており、高エネルギ密度で照射した場合と低エネルギ密度で照射した場合とで、合成石英ガラスに与えるダメージが全く異なってくる。つまり、高エネルギ密度で照射する加速耐久試験から、露光装置で実際に照射されている低いエネルギ密度の照射による屈折率変化を予測することは困難である。そのため、合成石英ガラスの耐久試験は露光装置で、実際に照射されている低いエネルギ密度のArFエキシマレーザー光の照射を行う必要がある。しかし、この耐久試験には膨大な時間と費用がかかり、極めて困難である。 本発明の目的は、上述の問題点を解消し、合成石英ガラスのコンパクション起因及びレアファクション起因の屈折率変化を個別に算出し、加速耐久試験を可能とする合成石英ガラスの耐久性能の評価方法を提供することにある。 上記目的を達成するための本発明に係る合成石英ガラスの耐久性能の評価方法における技術的特徴は、合成石英ガラスに生ずる屈折率変化を評価する方法において、紫外領域の光を、被検体である合成石英ガラスに直線偏光で入射し、その際に生ずる前記光の偏光方向に対し垂直方向の屈折率変化Δn1及び前記光の偏光方向に対し平行な方向の屈折率変化Δn2を測定することにより、コンパクション起因及びレアファクション起因のそれぞれの屈折率変化を算出することにある。 本発明に係る合成石英ガラスの耐久性能の評価方法によれば、コンパクションとレアファクションとが同時に進行してしまう合成石英ガラスのこれらの屈折率変化は、それぞれ個別の事象として測定することができる。 また、露光装置において設定される照度以上の照度を照射する加速耐久試験においても、コンパクション起因及びレアファクション起因の屈折率変化を個別に算出することが可能となる。 そのことにより、短期間にかつ実験コストを抑え、コンパクション起因及びレアファクション起因の屈折率変化を評価することが可能となる。 本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。 図1は合成石英ガラスの耐久性能の評価するための装置の構成図を示す。紫外領域の光を含むArFエキシマレーザー光源1からのレーザー光Lの出射方向には、ビーム整形光学系2、NDフィルタ3、アパーチャ4、被検体である合成石英ガラスのサンプルS、エネルギモニタ5が配列されている。 ArFエキシマレーザー光源1から出射されたArFエキシマレーザー光Lは、ビーム整形光学系2を通過した後に、NDフィルタ3によりエネルギが調整され、更にアパーチャ4を通過しサンプルSに入射される。サンプルSを透過したレーザー光Lは、エネルギモニタ5によってエネルギ密度が測定される。 この照射実験においては、一定照射数毎にフィゾー干渉計により屈折率変化を測定し、複屈折測定装置により複屈折変化を測定する。 サンプルSに対し、4(kHz)、レーザーTis20(ns)、照射エネルギ密度0.20〜0.02(mJ/cm2)のArFエキシマレーザー光Lにより、照射パルス数5、10、15、20billionの照射を行った。その際に、直線偏光光のレーザー光Lの偏光方向に対し垂直方向の屈折率変化Δn1及びレーザー光Lの偏光方向に対し平行方向の屈折率変化Δn2を測定した。 図2はその測定結果を示し、縦軸はΔn1(ppb)、横軸はN(billion パルス)としている。同様に、図3はΔn2の測定結果を示し、縦軸はΔn2(ppb)、横軸はN(billion パルス)としている。 更に図2の測定結果を、横軸をNI2/tis(パルス×(J/cm2)2/ns)としたグラフを図4に示す。この図4の近似曲線のように、Δn1(ppb)は式(1)で近似することができる。つまり、ArFエキシマレーザー光Lの偏光方向に対し垂直方向の屈折率変化Δn1は、コンパクション起因の影響しか受けておらず、コンパクション起因の屈折率変化Δncと等しいことが分かる。 更に図5は、Δn2−Δn1(ppb)を縦軸に、NI(パルス×kJ/cm2)を横軸としたグラフ図である。この図5の近似曲線のように、Δn2−Δn1(ppb)は式(2)で近似することができる。つまり、ArFエキシマレーザー光Lの偏光方向に対し平行方向の屈折率変化Δn2から垂直方向の屈折率変化Δn1を減算したΔn2−Δn1は、レアファクション起因の屈折率変化Δnrと等しいことが分かる。 このことから、屈折率変化Δncと屈折率変化Δnrを、屈折率変化Δn1とΔn2から算出する式に変形すると、下記の関係式となる。 Δnc=Δn1 ・・・(3) Δnr=Δn2−Δn1 ・・・(4) 式(3)、(4)にΔn1、Δn2を代入することにより、コンパクション起因の屈折率変化Δnc及びレアファクション起因の屈折率変化Δnrを算出できる。 上記記載の測定手法を用いて、多種の合成石英ガラスを測定した。その結果、コンパクション起因の屈折率変化は空間的な方向性を持たず、ArFエキシマレーザー光Lの偏光方位に拘らず屈折率変化は等しく、等方的に屈折率変化が起きることが確認された。一方、レアファクション起因の屈折率変化は空間的な方向性を持っており、照射を行ったArFエキシマレーザー光Lの偏光方位の方向に限って、屈折率変化が生じていることが分かった。以上のことから、照射エネルギ密度に拘らず、コンパクション起因及びレアファクション起因の屈折率変化Δnc、Δnrを式(3)、(4)を用いることで個別に算出することができる。更に、屈折率変化Δnc、Δnrを個別に算出することで、露光装置において設定される照度以上の照度を照射する加速耐久試験が可能となり、短期間にかつ実験コストを抑えた耐久試験ができる。 実施例2においては、合成石英ガラスのサンプルSに対して実施例1と同様のArFエキシマレーザー光Lを照射し、その際のArFエキシマレーザー光の照射部の複屈折変化ΔReを測定した。図6はその測定結果を縦軸ΔRe(nm/cm)、横軸N(Billion pulse)として示している。更に図6を単位、符号換算を行うと図7になる。図7は縦軸ΔRe(ppb)とし、NI(パルス×kJ/cm2)を横軸としたグラフ図である。 実施例1中の図5と実施例2中の図7は、同じ近似曲線にて示すことができる。つまり、複屈折変化ΔReは屈折率変化Δnrと等しくなる。このことからも、レアファクション起因の屈折率変化Δnrは、ArFエキシマレーザー光Lの偏光方向に対し平行方向にしか発生していないことが分かる。 以上のことから、照射部の複屈折変化ΔReを測定することで、照射エネルギ密度に拘らず、レアファクション起因の屈折率変化を個別に算出することができる。これにより、露光装置において設定される照度以上の照度を照射する加速耐久試験が可能となり、短期間にかつ実験コストを抑えた耐久試験ができる。 また、上述のようにして求めた耐久性能の評価を基に選択した合成石英ガラスを用いた露光装置は、合成石英ガラスの屈折率の低下が少ないので、耐久性に優れ好適に使用できる。実施例1の評価装置の構成図である。屈折率変化Δn1のグラフ図である。屈折率変化Δn2のグラフ図である。屈折率変化Δn1のグラフ図である。屈折率変化Δn2-Δn1のグラフ図である。複屈折率変化ΔReのグラフ図である。複屈折率変化ΔReのグラフ図である。符号の説明 1 ArFエキシマレーザー光源 2 ビーム整形光学系 3 NDフィルタ 4 アパーチャ 5 エネルギモニタ L ArFエキシマレーザー光 S サンプル 合成石英ガラスに生ずる屈折率変化を評価する方法において、紫外領域の光を、被検体である合成石英ガラスに直線偏光で入射し、その際に生ずる前記光の偏光方向に対し垂直方向の屈折率変化Δn1及び前記光の偏光方向に対し平行な方向の屈折率変化Δn2を測定することにより、コンパクション起因及びレアファクション起因のそれぞれの屈折率変化を算出することを特徴とする合成石英ガラスの耐久性能の評価方法。 前記コンパクション起因の屈折率変化Δnc及び前記レアファクション起因の屈折率変化Δnrを、下記の関係式により算出することを特徴とする請求項1に記載の合成石英ガラスの耐久性能の評価方法。 Δnc=Δn1 Δnr=Δn2−Δn1 前記合成石英ガラスに直線偏光で入射した際に生ずる複屈折変化を測定することにより、前記レアファクション起因の屈折率変化を算出することを特徴とする請求項1に記載の合成石英ガラスの耐久性能の評価方法。 前記紫外領域の光はArFエキシマレーザー光とした請求項1に記載の合成石英ガラスの耐久性能の評価方法。 請求項1又は請求項3に記載の方法を用いて算出した前記屈折率変化を基に選択した合成石英ガラスを用いた露光装置。 【課題】合成石英ガラスのコンパクション起因及びレアファクション起因の屈折率変化を個別に算出する。【解決手段】ArFエキシマレーザー光源1から出射されたレーザー光Lは、ビーム整形光学系2を通過し、NDフィルタ3によりエネルギが調整され、更にアパーチャ4を介してサンプルSに照射され、エネルギモニタ5によってエネルギ密度が測定される。 レーザー光Lの偏光方向に対し垂直方向の屈折率変化Δn1はコンパクション起因の影響しか受けておらず、コンパクション起因の屈折率変化Δncと等しい。また、レーザー光Lの偏光方向に対し平行方向の屈折率変化Δn2はコンパクション起因とレアファクション起因の双方の影響を受け、屈折率変化Δncとレアファクション起因の屈折率変化Δnrの加算に等しい。このことから、Δnc=Δn1、Δnr=Δn2−Δn1が得られる。【選択図】図1