タイトル: | 公開特許公報(A)_フレーム式原子吸光分光光度計 |
出願番号: | 2006288336 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 21/31,G01N 21/76 |
渡辺 努 JP 2008107127 公開特許公報(A) 20080508 2006288336 20061024 フレーム式原子吸光分光光度計 株式会社島津製作所 000001993 野口 繁雄 100085464 渡辺 努 G01N 21/31 20060101AFI20080414BHJP G01N 21/76 20060101ALI20080414BHJP JPG01N21/31 610BG01N21/76 4 1 OL 6 2G054 2G059 2G054AA01 2G054EA01 2G054EB02 2G054FB04 2G054GA03 2G054GB01 2G059AA01 2G059BB04 2G059CC20 2G059DD20 2G059EE01 2G059EE12 2G059HH02 2G059HH03 2G059HH06 2G059JJ01 2G059KK01 2G059MM01 2G059MM10 2G059PP04 本発明は原子吸光分光光度計に関し、特に、霧化した液体試料、燃焼ガス及び助燃ガスを混合して燃焼し、試料を原子化するフレーム式原子吸光分光光度計に関するものである。 フレーム式原子吸光分光光度計は、(1)霧化チャンバ内で液体試料を噴霧して霧化試料を形成し、(2)霧化試料を燃焼ガス及び助燃ガスと混合したガスをバーナ上で燃焼することにより試料を高温に加熱して原子化し、(3)原子化された元素が存在するフレーム中に、特定波長の測定光を通過させてその元素の吸光度を測定するものである。この特定波長は原子化された元素ごとに異なるものである。 試料を原子化するには、燃焼温度を上げて熱解離させる必要があるため、燃焼ガスには高温で燃焼するアセチレンガスや水素ガスが用いられる。特に、アセチレンガスについては、助燃ガスである空気や亜酸化窒素と混合した際、可燃性ガスの中で最も高い燃焼温度(2500〜3000℃)を得ることが出来るため、原子吸光装置の燃焼ガスとして一般的に使用されている。 アセチレンは、熱力学的に不安定であり、かつ反応性の大きい物質であるため、一般的な工業ガスのように中空容器に圧縮充填すると、わずかなエネルギーでも爆発する危険性がある。また、酸素等の助燃ガスがなくても加圧下では自己分解を起こして多量の熱を発生する危険性がある。このように化学的に不安定で危険なアセチレンを安全な状態で貯蔵・輸送するために、アセチレンガスは多孔質物質が詰まった容器(ボンベ)内に溶剤に溶解充填された状態(溶解アセチレン)で保管されている。 容器内に多孔質物質を詰めることで、外部からの衝撃によって容器内の圧力変動が起こらないようになり、溶剤に溶解することで、例えボンベ内の気相部分で分解爆発が起こったとしても、アセチレンが溶解された液相までは爆発が伝わらないようになる。この溶剤には、アセチレンが溶解しやすいアセトンまたはジメチルホルムアミド(DMF)が使用されている。このような事情から、溶解アセチレンから供給されるアセチレンガス中にはアセトンやDMFが混入することがあり、特にボンベの残量が少なくなると、その混入量は多くなる。 アセトンやDMFがガス流路に混入すると、接ガス部に使用するゴム材や樹脂材を変形もしくは浸食することがあり、ここからガスの外部漏れが発生する危険性がある。また、フレーム式原子吸光における燃焼ガスと助燃ガスの流量は、元素毎に感度が最も高くなるように混合比が設定されるが、ここに引火性のあるアセトンやDMFが混入すると、ガスの混合バランスが崩れるため燃焼温度が変化して感度が低下する(例えば特許文献1参照。)。 これらの不具合を防止するために、従来は装置の使用者が燃焼ガスボンベの残圧を確認して、ボンベの残圧が低い場合(0.05MPa以下)には、アセトンやDMFが流路内に混入する可能性が高いため、ボンベの交換をおこなっていた。特開平2−28539号公報 しかし、上述の方法では、アセトン等の混入判断は装置の使用者の判断に依存するため、アセトンやDMFの混入を確実に防止することができなかった。 そこで本発明は、アセトンやDMFの混入を自動検知することにより、安全で信頼性の高いフレーム式原子吸光分光光度計を提供することを目的とする。 本発明のフレーム式原子吸光分光光度計は、測定試料を霧化して燃焼ガス及び助燃ガスと混合する混合部、混合部で混合されたガスを燃焼する燃焼部、燃焼部に測定試料に含まれる元素毎の固有波長を照射する光源部、並びに燃焼部内で吸収される光量を検出して測定試料中の成分の濃度を定量する測定部を備えている。そして、上記燃焼ガスとしてアセチレンガスを用いるものであり、アセチレンガスと助燃ガスとの混合ガスを燃焼させた際に生成される分子による発光波長域での発光量の変化から、混合ガス中に混入するアセトン又はジメチルホルムアミドを検知する検知部を備えたものである。 測定部が検知部を兼ねるようにしてもよい。 検知部が一定濃度以上のアセトン又はジメチルホルムアミドを検知した際、燃焼ガスを供給するための流路を閉鎖するガスコントロール部をさらに備えるようにしてもよい。 ガスコントロール部が流路を閉鎖した後、流路内に残留しているガスをパージするパージ機構をさらに備えるようにしてもよい。 本発明のフレーム式原子吸光分光光度計は、混合ガスを燃焼させた際に生成される分子による発光量の変化から、混合ガス中に混入するアセトン等を検出する検知部を備えるようにしたので、装置の判断によってアセトン等の混入を検出できるようになる。 測定部が検知部を兼ねるようにすれば、装置構成を小さくすることができるようになる。 流路を閉鎖するガスコントロール部を備えるようにすれば、アセトン等を検出した際、それ以上を混入させることを防止することができる。 パージ機構を備えるようにすれば、流路内にのこ会ったアセトン等を大気へ放出するのが容易になる。 以下に本発明の実施例を説明する。 図1はフレーム式原子吸光分光光度計の概略図である。 燃焼ガスとしてはアセチレンガスを用いる。また、フレーム式原子吸光分光光度計において、燃焼ガスにアセチレンを使用する場合には、分析感度や安全性、使いやすさ、コストなどの点が考慮された結果、助燃ガスとしては、空気もしくは亜酸化窒素のどちらかを用いることが一般的となっている。 ガスコントロール部5では、燃焼ガス流路21内を流れるアセチレンガスと助燃ガス流路22内を流れるガス(例えば酸素)の流量が制御される。 燃焼ガス流路21には、ガスの流れを停止するストップバルブ7及びガスの流量を制御する流量制御部9が設けられ、助燃ガス流路22には、ガスの流れを停止するストップバルブ8及びガスの流れを制御する流量制御部10が設けられている。 燃焼ガス流路21と助燃ガス流路22は、流路切換えバルブ11によって接続されている。本実施例では流路切換えバルブ11をパージ機構として用いることができる。 燃焼ガス流路21と助燃ガス流路22は混合ガス(燃焼ガスと助燃ガス)が流される混合ガス流路23を介してガス混合部6に接続されている。 また、ガス混合部6には測定試料を導入するための試料ガス流路24も接続されており、ガス混合部6では霧化された測定試料が燃焼ガス及び助燃ガスと混合される。 混合ガスと霧化された測定試料からなる混合試料ガスは、混合部6で混合されたガスを燃焼するフレーム式燃焼部2に導入される。燃焼部2には点火部15が接続されており、導入されたガスを燃焼させる。燃焼部2には光源部27(光学系1を介した光源ランプ14)からの光が照射される。照射される光は測定試料に含まれる元素毎の固有波長の光である。 燃焼部2の後段には測定部25が備えられている。測定部25は、燃焼部2内で吸収される光量を分光する分光器3と、分光された光を検出して測定試料中の成分の濃度を定量する検出器4からなっている。 測定部25は、アセチレンガスと助燃ガスとの混合ガスを燃焼させた際に生成される分子による発光波長域での発光量の変化から、混合ガス中に混入するアセトン又はジメチルホルムアミドを検知する検知部26を兼ねている。 また、ガスコントロール部5、光源ランプ14、光学系1、点火部15、測定部25、及び測定結果を表示する表示部13は、演算処理装置(CPU)12に接続され、制御されるようになっている。 図2に示すフローチャートを参照しながら同実施例の動作を説明する。 (STP1)光源14の光を消灯し、分光器3の設定波長と検出器4の受光感度を予め定めた値に設定する。 (STP2)燃焼部2における光量のバックグランドを取るために、非燃焼状態における光量Iを測定する。 (STP3)ガスコントロール部5におけるアセチレンガス、助燃ガスの流量と、燃焼部2の光学系1との相対位置を、予め定めた値に設定する。 (STP4)ガスコントロール部5のアセチレンガスストップバルブ7と助燃ガスストップバルブ8を開き、ガス混合部6に、アセチレンガスと助燃ガスを供給し、点火部15によって燃焼部2に点火をおこない燃焼を開始する。 (STP5)検出器4によって燃焼時のフレームの発光量I’を検出する。 (STP6)CPU12において、I’−Iの値とCPUのメモリに予めインプットされた値I0との比較をおこない、アセトンまたはDMFの混入を判断する。 (STP7)結果を表示部13に表示する。 アセトンまたはDMFの混入があった場合には、装置内の燃焼ガス流路の最上流にあるストップバルブ7を閉じることで(STP8)、アセトンやDMFの侵入を遮断し、同時に助燃ガスストップバルブ8を閉じることで、燃焼部2へのガス供給を遮断して消火をおこなう。 (STP9)その後、流路切り換えバルブ11を開き、再度、助燃ガスストップバルブ8を開くことで、流路内に残ったアセトンまたはDMFを燃焼部2から大気へ放出する。 また、光源ランプ14を点灯させた状態で上述の動作をおこなう場合には、STP1において光源ランプ14の光を光軸から外して燃焼部2及び検出器4に入らないようにすればよい。このとき、ランプ14を移動させる手段を設けてもよいし、遮へい器を用いて光を遮断するようにしても良い。 また、STP9における燃焼ガスのパージについては、パージ機構を制御し、助燃ガスを用いて積極的にアセチレンガス流路内のパージをおこなうのではなく、STP8を実行した後、流路内のガスが自然に燃焼部2から大気開放されるようにしてもよい。 STP7でアセトンやDMFの混入を検知する方法として、アセチレンガスを助燃ガスと混合して燃焼させた際に生成される特定分子の発光スペクトル強度を監視し、アセトンまたはDMFが混入した際に起こる発光強度の変化から、これらの混入を検知するようにする。 具体的には、アセチレンガスと空気、又は、アセチレンガスと亜酸化窒素の混合気体を燃焼させた際には、N2、CO、H2Oなどの様々な分子が生成されるが、これらの内、OHやC2は、原子吸光分光光度計で設定可能な波長域で強い発光を示す分子であり、アセトンやDMFが混入した場合には、炎中の生成量が変化する分子である。 そして、OHの発光スペクトルは300〜320nmで、C2の発光スペクトルは480〜530nmで確認できるため、分光器の設定波長をこの波長域のいずれかに設定しておけば、炎中のOH分子またはC2分子が出す発光量の変化からアセトンやDMFの混入を検知することが可能となる。 本発明では、フレーム式原子吸光分光光度計が通常装備するハードウェアを利用して、前述のSTP1〜STP7までのチェックシーケンスをおこなうことにより、アセトンやDMFの混入をユーザーの判断に頼ることなく確実に検知することが可能となる。そしてアセトンやDMFの検知時には自動的にガス流路を閉じて流路内のガスをパージすることで、接ガス部の劣化からくるガス漏れの危険を防止することが可能となる。更には、測定前にこのチェックをおこなうことで、アセトンやDMFの混入による不具合データの取得を防止し、データの信頼性を向上させることが可能となる。 本発明は原子吸光分光光度計に関し、特に、霧化した液体試料、燃焼ガス及び助燃ガスを混合して燃焼し、試料を原子化するフレーム式原子吸光分光光度計に利用することができる。フレーム式原子吸光分光光度計の概略図である。同実施例の動作を示すフローチャートである。符号の説明 1 光学系 2 フレーム燃焼部 3 分光器 4 検出器 5 ガスコントロール部 6 混合部 7,8 ストップバルブ 9,10 流量制御部 11 流路切換えバルブ 12 CPU 13 表示部 14 光源ランプ 15 点火部 測定試料を霧化して燃焼ガス及び助燃ガスと混合する混合部、前記混合部で混合されたガスを燃焼する燃焼部、前記燃焼部に前記測定試料に含まれる元素毎の固有波長を照射する光源部、並びに前記燃焼部内で吸収される光量を検出して前記測定試料中の成分の濃度を定量する測定部を備えたフレーム式原子吸光分光光度計において、 前記燃焼ガスはアセチレンガスであり、アセチレンガスと助燃ガスとの混合ガスを燃焼させた際に生成される分子による発光波長域での発光量の変化から、前記混合ガス中に混入するアセトン又はジメチルホルムアミドを検知する検知部を備えたフレーム式原子吸光分光光度計。 前記測定部が前記検知部を兼ねている請求項1に記載のフレーム式原子吸光分光光度計。 前記検知部が一定濃度以上のアセトン又はジメチルホルムアミドを検知した際、前記燃焼ガスを供給するための流路を閉鎖するガスコントロール部をさらに備えた請求項1又は2に記載のフレーム式原子吸光分光光度計。 前記ガスコントロール部が前記流路を閉鎖した後、前記流路内に残留しているガスをパージするパージ機構をさらに備えた請求項3に記載のフレーム式原子吸光分光光度計。 【課題】 アセトンやDMFの混入を自動検知することにより、安全で信頼性の高いフレーム式原子吸光分光光度計を提供する。【解決手段】 測定試料を霧化して燃焼ガス及び助燃ガスと混合する混合部6、混合部6で混合されたガスを燃焼する燃焼部2、燃焼部2に測定試料に含まれる元素毎の固有波長を照射する光源部27、並びに燃焼部2内で吸収される光量を検出して測定試料中の成分の濃度を定量する測定部25を備えている。燃焼ガスとしてはアセチレンガスを用いる。そして、アセチレンガスと助燃ガスとの混合ガスを燃焼させた際に生成される分子による発光波長域での発光量の変化から、混合ガス中に混入するアセトン又はジメチルホルムアミドを検知する検知部26を備えたものである。【選択図】図1