生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_亜鉛酵母およびその製造方法
出願番号:2006283316
年次:2008
IPC分類:C12N 1/16,A61K 36/06,A61K 33/30,A61P 1/02,A61P 15/00


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染谷 秀男 栗山 雄司 JP 2008099578 公開特許公報(A) 20080501 2006283316 20061018 亜鉛酵母およびその製造方法 メディエンス株式会社 305020240 染谷 秀男 501459402 横沢 志郎 100090170 染谷 秀男 栗山 雄司 C12N 1/16 20060101AFI20080404BHJP A61K 36/06 20060101ALI20080404BHJP A61K 33/30 20060101ALI20080404BHJP A61P 1/02 20060101ALI20080404BHJP A61P 15/00 20060101ALI20080404BHJP JPC12N1/16A61K35/72A61K33/30A61P1/02A61P15/00 5 1 OL 6 4B065 4C086 4C087 4B065AA72X 4B065AC20 4B065BA30 4B065BB02 4B065BC13 4B065BD11 4B065BD15 4B065BD18 4B065CA41 4B065CA44 4C086AA01 4C086AA02 4C086HA03 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA52 4C086NA11 4C086ZA67 4C086ZA81 4C087AA01 4C087AA02 4C087BC11 4C087MA02 4C087MA52 4C087NA11 4C087ZA67 4C087ZA81 本発明は、亜鉛を高濃度に含有する亜鉛酵母およびその製造方法に関するものである。 亜鉛は、味覚障害の改善や生殖機能の向上などに寄与するが、現在、十分な量を摂取しているとはいえない状況にある。従って、亜鉛を高濃度に含有するサプリメントが求められており、かかるサプリメントの原料などとして、亜鉛酵母が注目されている。しかしながら、亜鉛を添加した培地で酵母を増殖させようとすると、酵母の増殖阻害が起こり、亜鉛を高濃度に含有する酵母を得ることはできないという問題点がある。 そこで、酵母を培地で増殖させてから、亜鉛を添加した液体で酵母を非培養的に処理することにより、亜鉛を0.3〜0.6%含有する亜鉛酵母を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特開平8−332082号公報 しかしながら、亜鉛を添加した液体で酵母を処理して亜鉛含有量を高めただけでは、亜鉛酵母を摂取しても体内への吸収が著しく低いという問題点がある。また、亜鉛の含有量が0.3〜0.6%程度の亜鉛酵母では、サプリメントとして亜鉛を十分に摂取するには、低濃度すぎるという問題点がある。 以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、摂取したときに体内での亜鉛の吸収性に優れた亜鉛酵母およびその製造方法を提供することにある。 また、本発明の課題は、摂取したときに体内での吸収性に優れた亜鉛を多量に含有する亜鉛酵母およびその製造方法を提供することにある。 上記課題を解消するために、本発明に係る亜鉛酵母では、乾燥菌体が含有する亜鉛の全てがX線回折結果からみて非結晶の亜鉛であることを特徴とする。 本発明において、前記乾燥菌体全体に対する非結晶の亜鉛の含有量が5%以上であることが好ましい。 本発明に係る亜鉛酵母の製造方法では、水溶性亜鉛を添加した第1の液状物中で酵母を培養して増殖させる第1の工程と、前記酵母を前記第1の工程よりも高濃度の水溶性亜鉛を添加した第2の液状物中で処理する第2の工程とを有することを特徴とする。 本発明において、前記第2の工程では、前記酵母を培養して増殖させてもよく、また、前記酵母を非培養的に処理してもよい。 本発明では、第1の工程において、水溶性亜鉛を添加した第1の液状物中で酵母を培養して増殖させ、酵母に亜鉛耐性を付与した後、第2の工程で、第1の工程よりも高濃度の水溶性亜鉛を添加した第2の液状物中で酵母を処理する。このため、酵母には、液状物に添加した水溶性亜鉛がそのまま蓄積されることがなく、亜鉛は、たんぱく質やアミノ酸と結合して非結晶の亜鉛として高濃度、例えば、5%以上蓄積されることになる。それ故、本発明に係る亜鉛酵母は、含有する亜鉛の大部分あるいは全てが非結晶の亜鉛であり、かかる非結晶の亜鉛は、結晶性の亜鉛と比較して、摂取したときに体内に効率よく吸収される。 以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の形態で使用される酵母としては、Saccharomyces(サッカロミセス)属、Mycotorula(ミコトルラ)属、Torulopsis(トルロプシス)属など、パン酵母、ビール酵母、ぶどう酒酵母、清酒酵母、アルコール酵母、味噌醤油酵母などの食用酵母のほか、種々の種類を挙げることができる。[実施の形態1] 図1(a)、(b)は各々、本発明を適用した亜鉛酵母、および従来の亜鉛酵母のX線回折結果を示すチャート図である。 本形態では、亜鉛酵母を製造するにあたって、まず、第1の工程において、水溶性亜鉛を数ppm〜数百ppm添加した第1の液状物中で酵母を培養して増殖させる。本形態において、水溶性亜鉛としては硫酸亜鉛を用いることができる。また、水溶性亜鉛としては、硫酸亜鉛の他、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、酒石酸亜鉛、乳酸亜鉛などを用いてもよい。 次に、必要に応じて、酵母を遠心分離、濾過等によって集菌した後、洗浄、凍結乾燥させる。 次に、第2の工程において、第1の工程よりも高濃度、例えば1000ppm以上の水溶性亜鉛を添加した第2の液状物中で亜鉛を処理する。第2の工程では、第2の液状物として酵母に対する培地を用い、酵母を培養し、増殖させる。本形態では、第2の工程で用いる水溶性亜鉛についても硫酸亜鉛を用いることができる。また、水溶性亜鉛としては、硫酸亜鉛の他、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、酒石酸亜鉛、乳酸亜鉛などを用いてもよい。 次に、酵母を遠心分離、濾過等によって集菌した後、洗浄、凍結乾燥させ、亜鉛酵母を得る。 このように、本形態に係る亜鉛酵母の製造方法では、第1の工程において、水溶性亜鉛を添加した第1の液状物中で酵母を培養して増殖させ、酵母に亜鉛耐性を付与した後、第2の工程で、第1の工程よりも高濃度の水溶性亜鉛を添加した第2の液状物中で酵母を処理する。このため、第2の工程において、酵母は、亜鉛を非結晶の亜鉛として高濃度に蓄積する。 従って、本形態に係る方法で得た亜鉛酵母をX線回折により分析すると、図1(a)に示すように、非結晶性に由来するブロードなハローが2θ=19°付近で確認されるだけであり、結晶性のシャープなピークは検出されない。しかも、本発明に係る亜鉛酵母は、乾燥菌体全体に対する非結晶の亜鉛の含有量が5%以上であり、サプリメントなどに用いるのに適している。すなわち、本形態の亜鉛酵母では、液状物に添加した水溶性亜鉛がそのまま蓄積されることがなく、亜鉛は、たんぱくやアミノ酸と結合して非結晶の亜鉛として5%以上蓄積されることになる。 これに対して、従来から亜鉛酵母として市販されているものでは、亜鉛含有量が極めて低く、かつ、X線回折により分析すると、図1(b)に示すように、非結晶性に由来するブロードなハローが2θ=19°付近に出現するとともに、結晶性の酸化亜鉛に起因するシャープなピークが2θ=36.3°の位置に検出される。 また、例えば、酸化亜鉛など、水に対して不溶性の亜鉛化合物を液状物に添加して亜鉛酵母を製造した場合には、酵母内に亜鉛が結晶質として蓄積されるだけである。[実施の形態2] 本形態では、亜鉛酵母を製造するにあたって、まず、第1の工程において、水溶性亜鉛を数ppm〜数百ppm添加した第1の液状物中で酵母を培養して増殖させる。本形態において、水溶性亜鉛としては硫酸亜鉛を用いることができる。また、水溶性亜鉛としては、硫酸亜鉛の他、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、酒石酸亜鉛、乳酸亜鉛などを用いてもよい。 次に、必要に応じて、酵母を遠心分離、濾過等によって集菌した後、洗浄、凍結乾燥させる。 次に、第2の工程において、第1の工程よりも高濃度、例えば1000ppm以上の水溶性亜鉛を添加した第2の液状物中で亜鉛を処理する。第2の工程では、第2の液状物として培地以外の液状物、例えば、高濃度の水溶性亜鉛を添加した水溶液を用い、攪拌あるいは振とうしながら、酵母を非培養的に処理する。本形態では、第2の工程で用いる水溶性亜鉛についても硫酸亜鉛を用いることができる。また、水溶性亜鉛としては、硫酸亜鉛の他、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、酒石酸亜鉛、乳酸亜鉛などを用いてもよい。 次に、酵母を遠心分離、濾過等によって集菌した後、洗浄、凍結乾燥させ、亜鉛酵母を得る。 本形態に係る亜鉛酵母の製造方法では、第1の工程において、水溶性亜鉛を添加した第1の液状物中で酵母を培養して増殖させ、酵母に亜鉛耐性を付与した後、第2の工程で、第1の工程よりも高濃度の水溶性亜鉛を添加した第2の液状物中で酵母を非培養的に処理する。このため、第2の工程において、酵母は、亜鉛を非結晶の亜鉛として高濃度に蓄積する。従って、本形態に係る方法で得た亜鉛酵母をX線回折により分析すると、実施の形態1において、図1(a)を参照して説明した結果と同様、非結晶性に由来するブロードなハローが確認されるだけであり、結晶性のシャープなピークは検出されない。しかも、本発明に係る亜鉛酵母は、乾燥菌体全体に対する非結晶の亜鉛の含有量が5%以上であり、サプリメントなどに用いるのに適している。(a)、(b)は各々、本発明を適用した亜鉛酵母、および従来の亜鉛酵母のX線回折結果を示すチャート図である。 乾燥菌体が含有する亜鉛の全てがX線回折結果からみて非結晶の亜鉛であることを特徴とする亜鉛酵母。 請求項1において、 前記乾燥菌体全体に対する非結晶の亜鉛の含有量が5%以上であることを特徴とする亜鉛酵母。 水溶性亜鉛を添加した第1の液状物中で酵母を培養して増殖させる第1の工程と、 前記酵母を前記第1の工程よりも高濃度の水溶性亜鉛を添加した第2の液状物中で処理する第2の工程とを有することを特徴とする亜鉛酵母の製造方法。 請求項3において、 前記第2の工程では、前記酵母を培養することを特徴とする亜鉛酵母の製造方法。 請求項3において、 前記第2の工程では、前記酵母を非培養的に処理することを特徴とする亜鉛酵母の製造方法。 【課題】摂取したときに体内での亜鉛の吸収性に優れ、かつ、体内での吸収性に優れた亜鉛を多量に含有する亜鉛酵母およびその製造方法を提供すること。【解決手段】第1の工程において、水溶性亜鉛を添加した第1の液状物中で酵母を培養して増殖させ、酵母の亜鉛耐性を付与した後、第2の工程で、第1の工程よりも高濃度の水溶性亜鉛を添加した第2の液状物中で酵母を処理する。このため、第2の工程において、酵母は、亜鉛を非結晶の亜鉛として高濃度に蓄積する。【選択図】 図1


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特許公報(B2)_亜鉛酵母の製造方法

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タイトル:特許公報(B2)_亜鉛酵母の製造方法
出願番号:2006283316
年次:2011
IPC分類:C12N 1/16


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染谷 秀男 栗山 雄司 JP 4829745 特許公報(B2) 20110922 2006283316 20061018 亜鉛酵母の製造方法 メディエンス株式会社 305020240 染谷 秀男 501459402 横沢 志郎 100090170 染谷 秀男 栗山 雄司 20111207 C12N 1/16 20060101AFI20111117BHJP JPC12N1/16 BC12N1/16 J C12N 1/16−1/19 CA/BIOSIS/MEDLINE(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) CiNii 特開平08−332082(JP,A) 特開2007−176879(JP,A) 特開平02−295480(JP,A) 特開2000−279164(JP,A) 独立行政法人 放射線医学総合研究所 プレス発表,2006年 3月24日,URL,http://www.nirs.go.jp/information/press/2005/03_24.shtml VOLESKY,B. et al.,Biosorption of heavy metals by Saccharomyces cerevisiae.,Appl. Microbiol. Biotechnol.,1995年 1月,Vol.42, No.5,pp.797-806 MOWLL,J.L. AND GADD,G.M.,Zinc Uptake and Toxicity in the Yeasts Sporobolomyces roseus and Saccharomyces cerevisiae.,J. Gen. Microbiol.,1983年,Vol.129,pp.3421-5 3 2008099578 20080501 5 20081031 幸田 俊希 本発明は、亜鉛を高濃度に含有する亜鉛酵母の製造方法に関するものである。 亜鉛は、味覚障害の改善や生殖機能の向上などに寄与するが、現在、十分な量を摂取しているとはいえない状況にある。従って、亜鉛を高濃度に含有するサプリメントが求められており、かかるサプリメントの原料などとして、亜鉛酵母が注目されている。しかしながら、亜鉛を添加した培地で酵母を増殖させようとすると、酵母の増殖阻害が起こり、亜鉛を高濃度に含有する酵母を得ることはできないという問題点がある。 そこで、酵母を培地で増殖させてから、亜鉛を添加した液体で酵母を非培養的に処理することにより、亜鉛を0.3〜0.6%含有する亜鉛酵母を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特開平8−332082号公報 しかしながら、亜鉛を添加した液体で酵母を処理して亜鉛含有量を高めただけでは、亜鉛酵母を摂取しても体内への吸収が著しく低いという問題点がある。また、亜鉛の含有量が0.3〜0.6%程度の亜鉛酵母では、サプリメントとして亜鉛を十分に摂取するには、低濃度すぎるという問題点がある。 以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、摂取したときに体内での吸収性に優れた亜鉛を多量に含有する亜鉛酵母の製造方法を提供することにある。 上記課題を解消するために、本発明に係る亜鉛酵母の製造方法では、水溶性亜鉛を添加した第1の液状物中で酵母を培養して増殖させる第1の工程と、前記酵母を前記第1の工程よりも高濃度の水溶性亜鉛を添加した第2の液状物中で処理する第2の工程とを有することを特徴とする。 本発明において、前記第2の工程では、前記酵母を培養して増殖させてもよく、また、前記酵母を非培養的に処理してもよい。 本発明では、第1の工程において、水溶性亜鉛を添加した第1の液状物中で酵母を培養して増殖させ、酵母に亜鉛耐性を付与した後、第2の工程で、第1の工程よりも高濃度の水溶性亜鉛を添加した第2の液状物中で酵母を処理する。このため、酵母には、液状物に添加した水溶性亜鉛がそのまま蓄積されることがなく、亜鉛は、たんぱく質やアミノ酸と結合して非結晶の亜鉛として高濃度、例えば、5%以上蓄積されることになる。それ故、本発明に係る亜鉛酵母は、含有する亜鉛の大部分あるいは全てが非結晶の亜鉛であり、かかる非結晶の亜鉛は、結晶性の亜鉛と比較して、摂取したときに体内に効率よく吸収される。 以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の形態で使用される酵母としては、Saccharomyces(サッカロミセス)属、Mycotorula(ミコトルラ)属、Torulopsis(トルロプシス)属など、パン酵母、ビール酵母、ぶどう酒酵母、清酒酵母、アルコール酵母、味噌醤油酵母などの食用酵母のほか、種々の種類を挙げることができる。[実施の形態1] 図1(a)、(b)は各々、本発明を適用した亜鉛酵母、および従来の亜鉛酵母のX線回折結果を示すチャート図である。 本形態では、亜鉛酵母を製造するにあたって、まず、第1の工程において、水溶性亜鉛を数ppm〜数百ppm添加した第1の液状物中で酵母を培養して増殖させる。本形態において、水溶性亜鉛としては硫酸亜鉛を用いることができる。また、水溶性亜鉛としては、硫酸亜鉛の他、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、酒石酸亜鉛、乳酸亜鉛などを用いてもよい。 次に、必要に応じて、酵母を遠心分離、濾過等によって集菌した後、洗浄、凍結乾燥させる。 次に、第2の工程において、第1の工程よりも高濃度、例えば1000ppm以上の水溶性亜鉛を添加した第2の液状物中で亜鉛を処理する。第2の工程では、第2の液状物として酵母に対する培地を用い、酵母を培養し、増殖させる。本形態では、第2の工程で用いる水溶性亜鉛についても硫酸亜鉛を用いることができる。また、水溶性亜鉛としては、硫酸亜鉛の他、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、酒石酸亜鉛、乳酸亜鉛などを用いてもよい。 次に、酵母を遠心分離、濾過等によって集菌した後、洗浄、凍結乾燥させ、亜鉛酵母を得る。 このように、本形態に係る亜鉛酵母の製造方法では、第1の工程において、水溶性亜鉛を添加した第1の液状物中で酵母を培養して増殖させ、酵母に亜鉛耐性を付与した後、第2の工程で、第1の工程よりも高濃度の水溶性亜鉛を添加した第2の液状物中で酵母を処理する。このため、第2の工程において、酵母は、亜鉛を非結晶の亜鉛として高濃度に蓄積する。 従って、本形態に係る方法で得た亜鉛酵母をX線回折により分析すると、図1(a)に示すように、非結晶性に由来するブロードなハローが2θ=19°付近で確認されるだけであり、結晶性のシャープなピークは検出されない。しかも、本発明に係る亜鉛酵母は、乾燥菌体全体に対する非結晶の亜鉛の含有量が5%以上であり、サプリメントなどに用いるのに適している。すなわち、本形態の亜鉛酵母では、液状物に添加した水溶性亜鉛がそのまま蓄積されることがなく、亜鉛は、たんぱくやアミノ酸と結合して非結晶の亜鉛として5%以上蓄積されることになる。 これに対して、従来から亜鉛酵母として市販されているものでは、亜鉛含有量が極めて低く、かつ、X線回折により分析すると、図1(b)に示すように、非結晶性に由来するブロードなハローが2θ=19°付近に出現するとともに、結晶性の酸化亜鉛に起因するシャープなピークが2θ=36.3°の位置に検出される。 また、例えば、酸化亜鉛など、水に対して不溶性の亜鉛化合物を液状物に添加して亜鉛酵母を製造した場合には、酵母内に亜鉛が結晶質として蓄積されるだけである。[実施の形態2] 本形態では、亜鉛酵母を製造するにあたって、まず、第1の工程において、水溶性亜鉛を数ppm〜数百ppm添加した第1の液状物中で酵母を培養して増殖させる。本形態において、水溶性亜鉛としては硫酸亜鉛を用いることができる。また、水溶性亜鉛としては、硫酸亜鉛の他、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、酒石酸亜鉛、乳酸亜鉛などを用いてもよい。 次に、必要に応じて、酵母を遠心分離、濾過等によって集菌した後、洗浄、凍結乾燥させる。 次に、第2の工程において、第1の工程よりも高濃度、例えば1000ppm以上の水溶性亜鉛を添加した第2の液状物中で亜鉛を処理する。第2の工程では、第2の液状物として培地以外の液状物、例えば、高濃度の水溶性亜鉛を添加した水溶液を用い、攪拌あるいは振とうしながら、酵母を非培養的に処理する。本形態では、第2の工程で用いる水溶性亜鉛についても硫酸亜鉛を用いることができる。また、水溶性亜鉛としては、硫酸亜鉛の他、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、酒石酸亜鉛、乳酸亜鉛などを用いてもよい。 次に、酵母を遠心分離、濾過等によって集菌した後、洗浄、凍結乾燥させ、亜鉛酵母を得る。 本形態に係る亜鉛酵母の製造方法では、第1の工程において、水溶性亜鉛を添加した第1の液状物中で酵母を培養して増殖させ、酵母に亜鉛耐性を付与した後、第2の工程で、第1の工程よりも高濃度の水溶性亜鉛を添加した第2の液状物中で酵母を非培養的に処理する。このため、第2の工程において、酵母は、亜鉛を非結晶の亜鉛として高濃度に蓄積する。従って、本形態に係る方法で得た亜鉛酵母をX線回折により分析すると、実施の形態1において、図1(a)を参照して説明した結果と同様、非結晶性に由来するブロードなハローが確認されるだけであり、結晶性のシャープなピークは検出されない。しかも、本発明に係る亜鉛酵母は、乾燥菌体全体に対する非結晶の亜鉛の含有量が5%以上であり、サプリメントなどに用いるのに適している。(a)、(b)は各々、本発明を適用した亜鉛酵母、および従来の亜鉛酵母のX線回折結果を示すチャート図である。 水溶性亜鉛を添加した第1の液状物中で酵母を培養して増殖させる第1の工程と、 前記酵母を前記第1の工程よりも高濃度の水溶性亜鉛を添加した第2の液状物中で処理する第2の工程とを有することを特徴とする亜鉛酵母の製造方法。 請求項1において、 前記第2の工程では、前記酵母を培養することを特徴とする亜鉛酵母の製造方法。 請求項1において、 前記第2の工程では、前記酵母を非培養的に処理することを特徴とする亜鉛酵母の製造方法。


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