タイトル: | 公開特許公報(A)_グリセリンモノメタクリレートの製造方法 |
出願番号: | 2006267505 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07C 67/26,C07C 69/54,C07B 61/00 |
山本 浩史 JP 2008088067 公開特許公報(A) 20080417 2006267505 20060929 グリセリンモノメタクリレートの製造方法 株式会社日本触媒 000004628 安富 康男 100086586 玉井 敬憲 100112025 山本 浩史 C07C 67/26 20060101AFI20080324BHJP C07C 69/54 20060101ALI20080324BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080324BHJP JPC07C67/26C07C69/54 ZC07B61/00 300 3 OL 17 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC48 4H006BA51 4H006BA81 4H006BC10 4H006BC11 4H006BC31 4H006KC14 4H039CA66 4H039CF30本発明は、グリセリンモノメタクリレートの製造方法に関する。より詳しくは、繊維染色改質剤、樹脂防曇剤、保湿剤、UV/EB硬化剤等に好適に用いられるグリセリンモノメタクリレートの製造方法に関する。グリセリンモノメタクリレートは、繊維染色改質剤、樹脂防曇剤、保湿剤、UV/EB硬化剤、塗料、顔料分散剤、電子写真用バインダー、コンタクトレンズ、歯科材料等として有用であることが知られ、各種の製造方法が検討されている。従来のグリセリンモノメタクリレート(以下、「グリセリンモノ(メタ)アクリレート」ともいう。)の製造方法としては、(1)(メタ)アクリル酸とグリセリンとのエステル化、(2)(メタ)アクリル酸エステルとグリセリンとのエステル交換反応、(3)グリシジル(メタ)アクリレートの水和によるエポキシ開環反応、(4)(メタ)アクリル酸とグリシドールとの開環エステル化反応等が知られている。しかしながら、(1)及び(2)の製造方法によりモノ(メタ)アクリレートを製造すると、モノ−、ジ−、トリ(メタ)アクリレートの混合物が得られてしまう。また、(3)の製造方法により製造すると、特に安定性が悪い副生成物であるジ(メタ)アクリレートが多く生成し、モノ(メタ)アクリレートに混入する。混入したジ(メタ)アクリレートとモノ(メタ)アクリレートとの分離は困難である。更に、(4)による製造方法は、得られるモノ(メタ)アクリレートの着色を防止する点で改善の余地があった。(4)による製造方法としては、例えば、第4級アンモニウム塩触媒の存在下に、α,β−不飽和カルボン酸とグリシドールとを反応させることを特徴とするグリセロール−α,β−不飽和カルボン酸エステルの製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この製造方法によると、酸過剰では、酸が残留し、生成物であるグリセロール−α,β−不飽和カルボン酸エステルが着色し、グリシドール過剰では、付加体が多く副成し、目的物である生成物が着色してしまう。その上、均一系触媒を用いているため、生成物中の触媒を除去することが困難であった。このような背景から、純度が高く、着色がないグリセリンモノメタクリレートを経済的に製造する方法が求められていた。特開2001−294554号公報(第1−2頁)本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、純度が高く、着色がないグリセリンモノメタクリレートを経済的に製造する方法を提供することを目的とするものである。本発明者等は、グリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法について種々検討したところ、触媒の存在下、グリセリンジ(メタ)アクリレートが副生しない(メタ)アクリル酸とグリシドールとの開環エステル化反応を利用した製造方法が工業的に有用であることに着目し、この製造方法に最適な触媒をスクリーニングを行ったところ、固体触媒を用いると、生成物と触媒とを容易に分離することができ、純度が高く、触媒の混入を防止したグリセリンモノ(メタ)アクリレートを製造することができることを見いだした。中でも、環状4級アンモニウム塩構造を有する高分子架橋体を有する固体触媒を用いると、高温で反応させることができ、触媒の分離、回収が容易であり、繰り返し触媒として利用可能となるとともに、グリセリンモノ(メタ)アクリレートの着色を防止することができることを見出だし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。すなわち本発明は、α,β−不飽和カルボン酸と水酸基を含有するエポキシ系化合物とを反応させてグリセリンモノメタクリレートを製造する方法であって、上記製造方法は、高分子化合物を触媒として用いる工程を含むグリセリンモノメタクリレートの製造方法である。以下に本発明を詳述する。本発明のグリセリンモノメタクリレートの製造方法は、α,β−不飽和カルボン酸と水酸基を含有するエポキシ系化合物とを反応させてグリセリンモノメタクリレートを製造する方法である。上記α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノメチル、メサコン酸モノメチル、3−ヒドロキシ−2−メチレンプロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−メチレンブタン酸、3−アミノ−2−メチレンプロピオン酸等を挙げられる。上記α,β−不飽和カルボン酸は、1種又は2種以上を用いることができる。好ましくは、アクリル酸またはメタクリル酸である。上記水酸基を含有するエポキシ系化合物としては、下記一般式(2);(Rは、水素原子又はメチル基を表す。)表される化合物であることが好ましい。すなわち、Rが水素原子であるグリシドール及びRがメチル基であるメチルグリシドールであることが好ましい。上記触媒は、高分子化合物である。本発明における高分子化合物には、架橋体及び非架橋体、並びに、有機化合物及び無機化合物が含まれる。無機化合物としては、ハイドロタルサイト等の無機高分子化合物(アニオン交換体)が挙げられる。上記高分子化合物は、環状4級アンモニウム塩構造を有する高分子架橋体であることが好ましい。上記環状4級アンモニウム塩構造を有する高分子架橋体は、該環状構造に起因する特性を有し、本発明における反応において優れた触媒能を発揮することができる。上記高分子架橋体は、主鎖及び架橋構造を必須として構成されるものである。架橋構造を有することにより、高分子化合物の機械的強度が大きくなる。このような高分子架橋体は、高分子化合物の分子内及び/又は分子間で架橋構造が形成されたものである。架橋構造とは、主鎖どうしが結合している構造を意味し、該架橋構造は、主鎖を構成する一部と、それを結合している架橋部位とを合わせた構造により構成されることになる。上記高分子架橋体における架橋構造の形成形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、共有結合、クーロン力、水素結合、配位結合等、種々の形態が挙げられる。その中でも、好ましくは共有結合による架橋である。また、架橋構造が高分子架橋体の1分子内に2個以上存在する場合には、架橋構造の構造がすべて同一であってもよく、異なっていてもよい。このような架橋構造を有する高分子架橋体の構造は、通常、主鎖と架橋構造とから形成される網目構造となり、高分子架橋体の1分子が有する主鎖の平均数としては、2個以上であれば特に限定されるものではない。上記環状4級アンモニウム塩構造は、環状構造中に窒素原子が1個又は2個以上組み込まれた複素環を意味し、窒素原子を有する基が環状構造に結合していることを意味するものではない。高分子化合物がこのような環状構造を有することにより、脂肪族構造よりも酸化的分解を受けにくいため、高分子架橋体の耐熱分解性が向上し、化学的劣化が抑制されることとなる。なお、本明細書中、「高分子化合物」との用語は、重合体や分子量分布を有する化合物を総称する用語として用い、特定の分子量以上であることを意味するものではない。上記環状構造の環の形態としては、例えば、3員環、4員環、5員環、6員環等が挙げられ、これらの中でも耐熱分解性等を考慮すると、5員環又は6員環であることが好ましい。より好ましくは、5員環である。また、環状構造は、置換基を有していてもよく有していなくてもよい。上記高分子架橋体における架橋度は、10モル%未満であることが好ましい。10モル%以上であると、樹脂内部における物質内部への移動が充分でなくなるおそれがある。より好ましくは、1モル%以上、8モル%未満であり、更に好ましくは、2モル%以上、6モル%未満である。上記架橋度は、高分子架橋体における全ての架橋構造のモル%を意味するものである。上記架橋度の算出方法としては、高分子架橋体を構成する繰り返し単位の全モル数に対して、高分子架橋体における架橋構造を形成する繰り返し単位の割合(モル%)により求めることができる。例えば、架橋構造としての環状4級アンモニウム塩構造による架橋度を求める場合には、高分子架橋体を構成する繰り返し単位の全モル数に対して、後述する下記一般式(3)、一般式(4)で表される繰り返し単位の割合(モル%)により架橋度を算出することとなる。また高分子架橋体を形成する単量体の全モル数に対して、架橋構造を形成する単量体の割合(モル%)により求めることができる。なお、1つの架橋構造を形成する単量体が複数ある場合には、1つの架橋構造を形成する単量体の全てを1つの単量体として計算する。上記高分子架橋体は、下記一般式(3);(式中、R1及びR2は、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基又は水酸基を表す。R3、R4、R5及びR6は、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はエチル基を表す。X1−及びX2−は、同一若しくは異なって、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、有機酸のアニオン又は無機酸のアニオンを表す。aは、0〜10の整数を表す。)で表される架橋構造を必須として有するものであることが好ましい。本発明は、このような高分子架橋体を触媒として用いる工程を含むグリセリンモノメタクリレートの製造方法であり、これにより、純度が高く、着色のないグリセリンモノメタクリレートを製造することができる。本明細書中、−(CR1R2)−等の化学構造で表される繰り返し単位は、同一又は異なってもよく、このような繰り返し単位中のRl及びR2等で表される置換基は、各繰り返し単位内及び各繰り返し単位毎に、同一又は異なって構成されていてもよい。繰り返し単位は、ブロック又はランダムに結合されていてもよい。また、ハロゲン原子としては特に限定されず、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、炭素数1〜10のアルキル基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。更に、有機酸のアニオン又は無機酸のアニオンとは、有機酸又は無機酸より水素イオンが少なくとも1つ脱離したものを意味し、例えば、無機酸のアニオンとしては、硫酸イオン、ホスホン酸イオン(亜リン酸イオン)、ホウ酸イオン、シアン化物イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、チオシアン酸イオン、チオ硫酸イオン、亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオン、硝酸イオン、シアン酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、メタレートイオン(例えば、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、メタバナジン酸イオン、ピロバナジン酸イオン、水素ピロバナジン酸イオン、ニオブ酸イオン、タンタル酸イオン、過レニウム酸イオン等)、テトラフルオロアルミン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラクロロアルミン酸イオン、Al2Cl7−等が挙げられ、有機酸のアニオンとしては、スルホン酸イオン、ギ酸イオン、シュウ酸イオン、酢酸イオン、(メタ)アクリル酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)アミドイオン、(CF3SO2)3C−等が挙げられる。上記高分子架橋体は、下記一般式(4);(式中、R7、R8、R9及びR10は、同一若しくは異なって、上記R1及びR2と同じである。R11及びR12は、同一若しくは異なって、炭素数1〜10のアルキル基を表す。R13、R14、R15及びR16は、同一若しくは異なって、上記R3、R4、R5及びR6と同じである。X3−及びX4−は、同一若しくは異なって、上記X1−及びX2−と同じである。b及びcは、同一若しくは異なって、上記aと同じである。pは、0又は1を表す。ただし、b+c+p≧1を満たす。Zは、−NH−基、一N(CH3)−基、−NH−(CH2)3−NH−基、−NH−(CH2)4−NH−基、−O−基、−CH(OH)−基、−O−CH2−C(CH3)2−CH2−O−基、−O−(CH2)2−(O−CH2−CH2)n−O−基、1,4−ピペラジニレン基、3−メチル−2,6−ピリジル基、4−メチル−2,6−ピリジル基、2,6−ピリジル基又は2,5−ピリジル基を表す。nは、0以上の整数を表す。)で表される構造であることが好ましい。上記高分子架橋体は、より好ましくは、一般式(3)で表される化合物である。なお、本明細書中、例えば、一般式(4)において、「R7、R8、R9及びR10は、同一若しくは異なって、上記R1及びR2と同じである。」とは、一般式(4)中のR7、R8、R9及びR10における基が、一般式(3)中のR1及びR2における基と同じように表されることを意味し、高分子架橋体が一般式(3)で表される架橋構造と一般式(4)で表される架橋構造とを有する場合に、必ずしも一般式(3)における基と一般式(4)における基とが同じになるということを意味するものではない。上記一般式(3)で表される架橋構造を有する高分子架橋体の中でも、一般式(3)において、Rl、R2、R3、R4、R5及びR6で表される置換基が水素原子であり、aが3であるものが好ましく、更に、X1−及びX2−で表されるアニオンが塩化物イオンであるものが特に好ましい。上記一般式(4)で表される架橋構造を有する高分子架橋体の中でも、一般式(4)において、R7、R8、R9、R10、R13、R14、R15及びR16で表される置換基が水素原子であり、b、c及びpが1であり、Zで表される置換基が−CH(OH)−であるものが好ましく、更に、X3−、X4−で表されるアニオンが塩化物イオンであるものが特に好ましい。上記一般式(3)又は一般式(4)で表される架橋構造は、両基点(端部)に位置する3分岐構造を有する部位(架橋部位)において、飽和5員環である複素環基を構成する窒素原子に、置換基を構成する4つの原子が直接結合されてなる環状4級アンモニウム塩構造を有することになる。上記一般式(3)で表される架橋構造を有する高分子架橋体の中でも、一般式(3)において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6で表される置換基が水素原子であり、aが3であるものが好ましい。また、本発明における高分子架橋体が有する環状アンモニウム塩構造としては、下記一般式(5);(式中、R25及びR26は、同一若しくは異なって、上記R11及びR12と同じである。R27及びR28は、同一若しくは異なって、上記R3、R4、R5及びR6と同じである。X5−は、上記X1−及びX2−と同じである。)で表される構造単位が挙げられる。上記一般式(5)で表される環状アンモニウム塩構造において、R25及びR26で表される置換基がメチル基、R27及びR28で表される置換基が水素原子、X5−で示されるアニオンが塩化物イオンであるものが好ましい。上記一般式(3)〜(5)において、炭素数1〜10のアルキル基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては特に限定されず、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。ハロゲン化物イオンとしては特に限定されず、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。更に、有機酸のアニオン又は無機酸のアニオンとは、有機酸又は無機酸より水素イオンが少なくとも1つ脱離したものを意味し、例えば、無機酸のアニオンとしては、硫酸イオン、ホスホン酸イオン(亜リン酸イオン)、ホウ酸イオン、シアン化物イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、チオシアン酸イオン、チオ硫酸イオン、亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオン、硝酸イオン、シアン酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、メタレートイオン(例えば、ケイ酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、メタバナジン酸イオン、ピロバナジン酸イオン、水素ピロバナジン酸イオン、ニオブ酸イオン、タンタル酸イオン、過レニウム酸イオン等)、テトラフルオロアルミン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラクロロアルミン酸イオン、Al2Cl7−等が挙げられるが、有機酸のアニオンとしては、スルホン酸イオン、ギ酸イオン、シュウ酸イオン、酢酸イオン、(メタ)アクリル酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)アミドイオン、(CF3SO2)3C−等が挙げられる。なお、本明細書中、1,4−ピペラジニレン基、3−メチル−2,6−ピリジル基、4−メチル−2,6−ピリジル基、2,6−ピリジル基又は2,5−ピリジル基は、それぞれ下記化学式(6)〜(10)で表される。上記高分子架橋体の製造方法としては、例えば、主鎖と架橋構造の形成を段階的に行っても同時的に行ってもよく、特に限定されず、例えば、主鎖を形成する単量体と架橋構造を形成する単量体とを含む単量体成分を重合することにより行うことができるが、フェノール樹脂の製造のような重縮合による方法や、ジアリルアミノ基を含む線状ポリマーをジハロゲン等の反応性基を有する化合物を架橋剤として架橋する方法等のような線状ポリマー中の活性部位を架橋剤で架橋する方法等でも行うことができる。このような製造方法における重合条件や重縮合条件、架橋条件等としては特に限定されるものではない。上記高分子架橋体の製造方法について説明する。上記一般式(3)で表される高分子架橋体は、下記一般式(11);で表される架橋体と、下記一般式(12);で表される単量体成分を懸濁重合する工程(以下、懸濁工程ともいう)を含む高分子架橋体の製造方法により製造することができる。この場合、上記一般式(3)の高分子架橋体が有する4級アンモニウム塩構造をなす窒素原子に直接結合する4つの原子は、それぞれ、高分子架橋体を構成する高分子化合物の一部であってもよく、上記一般式(11)で表される架橋剤(含窒素架橋剤)に由来するものであってもよい。上記一般式(12)で表される単量体すなわちジアリルジアルキルアンモニウム塩は、上記一般式(3)の高分子架橋体における上記4級アンモニウム塩構造を構成することになるが、一般式(12)において、R23、R24で表される置換基がメチル基であり、X7−で示されるアニオンが塩化物イオンであるもの、すなわちジアリルジメチルアンモニウムクロライドが特に好ましい。上記一般式(11)で表される構造を有する架橋剤は、本発明の高分子架橋体における上記一般式(3)で表される架橋構造を構成することになるが、一般式(11)において、R17、R18、R19、R20、R21及びR22で表される置換基が水素原子であり、dが3であるものが好ましく、更に、X5−、X6−で表されるアニオンが塩化物イオンであるもの、すなわちN,N,N′,N′−テトラアリルジピペリジルプロパニウムジクロリドが特に好ましい。上記一般式(12)で表される単量体と上記一般式(11)で表される架橋剤との使用割合は、所望されるイオン交換能や触媒能、耐熱分解性等に応じて適宜設定すればよく、好適には、本発明1の高分子架橋体において、上述した4級アンモニウム塩構造と上記一般式(3)又は一般式(4)で表される架橋構造(構造単位)とのモル比の範囲内となるように設定することが好ましい。すなわち上記一般式(12)で表される単量体と上記一般式(11)で表される架橋剤とのモル比〔上記一般式(13)で表される単量体:上記一般式(11)で表される架橋剤〕が、0.5:0.5〜0.99:0.01の範囲内となるようにすることが好ましく、0.80:0.20〜0.95:0.05の範囲内となるようにすることがより好ましい。上記一般式(3)の高分子架橋体を製造する際、単量体の濃度は特に限定されないが、好ましくは30〜80重量%であり、より好ましくは50〜60重量%である。これにより、単量体を重合して得られる高分子架橋体の見かけ比重を充分に高めることができ、強度が大きく、イオン交換能や触媒能に優れた高分子架橋体を得ることができる。30重量%以下であると、見かけ比重を充分に高くすることができないため、イオン交換能や触媒能、強度が小さくなる。80重量%を超えると、単量体溶液の濃度の調整が困難であったり、単量体を懸濁重合にて粒子化する際に単量体の液滴を安定して懸濁させることが困難であったりする等、高分子架橋体が造粒しにくくなる。上記単量体成分は、必要に応じて、上記一般式(12)で表される単量体や上記一般式(11)で表される架橋剤と共重合可能な単量体(以下、共重合性単量体という)を、得られる高分子架橋体の性能を阻害しない範囲内で含んでいてもよい。このような共重合性単量体としては、例えば、二重結合を有する化合物では、アクリルアミド、アクリル酸、マレイン酸、スチレン、エチレン、ビニルエーテル類を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、単量体成分に占める上記共重合性単量体の割合は、特に限定されるものではなく、最終的に製造される高分子架橋体に所望される触媒能、耐熱分解性等に応じて適宜定めることができる。上記懸濁工程において、反応条件等は特に限定されるものではないが、例えば、上記単量体成分を懸濁重合させる際に用いられる分散媒としては、例えば、ペンタン、(n−)ヘキサン、ヘプタン等の飽和鎖式炭化水素;リグロイン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;等が挙げられる。これらの中では、工業的汎用性からトルエンが好ましい。なお、上記分散媒の使用量は特に限定されるものではない。また、懸濁重合を行う際の懸濁剤としては、例えば、脂肪酸グリセリドに代表されるカルボン酸グリセリド、ソルビタンエステル類等が挙げられるが、その種類及び使用量は特に限定されるものではない。更に、上記単量体成分の懸濁状態を安定に保つために、ゼラチン、デキストリン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース等から選択される沈澱防止剤を用いることもできる。上記懸濁工程では、重合開始剤を用いることができる。上記重合開始剤としては、具体的には、例えば、過酸化水素、ペンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤;2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩のアゾ化合物(アゾ系開始剤);過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩(過硫酸系開始剤)等のラジカル重合開始剤等が挙げられるが、反応によっては触媒毒として作用するおそれのある硫黄の残存がないことから、過硫酸系開始剤よりも、アゾ系開始剤を用いて重合反応を行うことが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、上記重合開始剤を用いる代わりに、放射線や電子線、紫外線等を照射してもよく、また、重合開始剤とこれら放射線や電子線、紫外線等の照射とを併用してもよい。更に、上記重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではない。上記重合反応を行う際の反応温度は、単量体成分や分散媒の種類等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。また、反応時間は、上記重合反応が完結するように、反応温度、単量体成分、重合開始剤、及び分散媒等の種類や組み合わせ、使用量等に応じて適宜設定すればよい。更に、反応圧力も特に限定されるものではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧の何れであってもよい。本発明の上記一般式(3)で表される高分子架橋体は、所望の粒径を有する球状(パール状)を有し、耐熱性に優れ、イオン交換樹脂等のイオン交換体として、また、活性水素化合物中の活性水素の活性化用触媒等として高い処理能力を発揮することになる。また、本発明1の高分子架橋体を上記イオン交換体又は活性化用触媒として用いる場合、溶媒に不溶で分離操作が可能であること、カラム充填時の通液性があること等が望ましく、上記方法により得られる球状の架橋体は、本発明のより望ましい形態である。上記高分子架橋体において、少なくとも上記一般式(4)で表されることになる高分子架橋体の製造方法は、4級アンモニウム塩構造を有する高分子架橋体を4級化する工程(以下、4級化工程ともいう)を含む製造方法により製造することができる。上記高分子架橋体において、上記一般式(4)で表される架橋構造を少なくとも1つ有する高分子架橋体を4級化するとは、上記一般式(4)で表される架橋構造において、3分岐構造を形成する架橋部位における下記一般式(13);(式中、R31及びR32は、各繰り返し単位内及び各繰り返し単位毎に、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は水酸基を表す。R35及びR36は、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はエチル基を表す。eは、0〜10の整数を表す。)、下記一般式(14);(式中、R33及びR34は、各繰り返し単位内及び各繰り返し単位毎に、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基又は水酸基を表す。R37及びR38は、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はエチル基を表す。fは、0〜10の整数を表す。)で表される3級アミン構造から、それぞれ、下記一般式(15);、一般式(16);で表される4級アンモニウム塩構造を得る反応を行うことを意味する。上記4級化工程において、上記一般式(4)で表される架橋構造を少なくとも1つ有する高分子架橋体を4級化する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の方法を採用することができる。例えば、4級化剤として有機ハロゲン化物を用いて、反応溶媒の存存下、該4級化剤と上記一般式(4)で表される架橋構造を少なくとも1つ有する高分子架橋体とを反応させることにより容易に4級化することができる。上記4級化剤として用いられる有機ハロゲン化物としては、特に限定されるものではないが、アルキルハライドが好ましく、ヨウ化メチル、ヨウ化エチルが特に好ましい。また、上記反応溶媒としては、例えば、アルコール等の極性溶媒が用いられ、その中でも、メタノール、エタノールが好適に用いられる。なお、上記4級化反応における4級化剤や反応溶媒等の使用量や、反応温度、反応圧力、反応時間等の反応条件は、特に限定されるものではなく、上記反応が完結するように適宜設定すればよいが、反応温度については4級化反応に用いられる有機ハロゲン化物並びに反応溶媒の沸点以下が好ましい。上記一般式(4)で表される架橋構造を少なくとも一つ有する高分子架橋体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、架橋構造が形成されるべき高分子化合物を不活性有機溶媒中に懸濁させる工程と、該高分子化合物を架橋剤により架橋させる工程とを含む製造方法により好適に製造することができる。上記一般式(4)で表される架橋構造を少なくとも一つ有する高分子架橋体としては、例えば、下記一般式(17);(式中、R27及びR28は、同一若しくは異なって、炭素数1〜10のアルキル基を表す。R29及びR30は、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はエチル基を表す。X8−は、同一若しくは異なって、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、有機酸のアニオン又は無機酸のアニオンを表す。)で表される構造単位と、下記一般式(18);(式中、R41及びR42は、同一若しくは異なって、炭素数1〜10のアルキル基を表す。)で表される構造単位との双方を繰り返し単位として有する高分子化合物を挙げることができる。上記高分子化合物中における上記一般式(17)で表される構造単位と一般式(18)で表される構造単位とのモル比は特に限定されるものではないが、上記高分子化合物が上記2種類の構造単位のみを含んで構成される場合には、上記一般式(17)で表される構造単位と一般式(18)で表される構造単位とのモル比は、0.50:0.50〜0.99:0.01の範囲内であることが好ましく、0.70:0.30〜0.90:0.10の範囲内であることがより好ましい。上記高分子架橋体の調製方法としては、高分子架橋体を製造した後、必要により洗浄、乾燥等の操作を施してもよく、その他の成分を含有させた組成物としてもよく、重合体が固形状である場合には粉砕等の加工を行ってもよい。また、上記高分子架橋体の形態としては特に限定されず、例えば、反応溶液からの分離が容易となることから、粉末状、固形状であることが好ましい。本発明における製造方法は、環状4級アンモニウム塩構造を有する高分子架橋体を触媒として用いる工程を含むものである。上記工程は、α,β−不飽和カルボン酸と水酸基を含有するエポキシ系化合物との反応に環状4級アンモニウム塩構造を有する高分子架橋体を触媒として用いるものである。上記工程におけるα,β−不飽和カルボン酸と水酸基を含有するエポキシ系化合物の仕込み量のモル比は、1.2〜1.0:0.8〜1.0であることが好ましい。より好ましくは、1.1〜1.0:0.9〜1.0である。上記工程における高分子架橋体の使用量としては、α,β−不飽和カルボン酸に対して0〜100質量%であることが好ましい。高分子架橋体を懸濁させて使用する場合は、5〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。50質量%を超えた場合、攪拌が困難となるために好ましくなく、5質量%未満あると充分に反応が進行しないおそれがある。一方、高分子架橋体を固定床式として使用した場合、使用量は実質100質量%となる。上記工程におけるα,β−不飽和カルボン酸は、メトキシ等の重合禁止剤をを加えたものを反応に用いることが好ましい。これにより、原料及び目的生成物の安定性を向上させることができる。重合禁止剤は、メキシノンに限定されないが、10〜10000ppmの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは、100〜1000ppmである。上記工程において、α,β−不飽和カルボン酸と水酸基を含有するエポキシ系化合物と触媒である環状4級アンモニウム塩構造を有する高分子架橋体を投入した後、窒素で気相部を置換した後、密閉することが好ましい。酸素の割合は、0〜20質量%である。酸素が少ないと重合が起こりやすく、酸素が多すぎると酸化反応が進行し着色の原因となりうる。上記工程における反応温度は、40〜100℃であることが好ましく、より好ましくは60〜80℃である。反応時間や圧力は特に限定されないが、経済的な視点から反応時間は、24時間以内であることが好ましく、反応圧力は、10気圧以下であることが好ましい。これにより、充分に反応を進行させることができる。本発明のグリセリンモノメタクリレートの製造方法は、上述の構成よりなり、純度が高く、着色がないグリセリンモノメタクリレートを経済的に製造することができる。以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。触媒の製造例いかり型撹拌翼、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管及び滴下ロートを備えた1Lのセパラブルフラスコに、トルエン350mlと流動パラフィン(和光純薬工業社製;特級)50ml(媒体中12.5vol%)とを仕込み、分散安定剤としてソルビタントモノパルミテート0.204g及びエチルセルロース0.204gを添加し、溶解させた。このとき、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した。一方、65%ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)水溶液45.68gと含窒素架橋剤としてのN,N,N’,N’−テトラアリルジピペリジルプロパニウムジクロライド(TADPPC)4.31g及び水15.26gを混合し、更に重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬工業株式会社製;商品名「V−50」)0.306gと水2.86gとを混合した溶液を添加した(単量体濃度50.19%、DADMAC/TADPPC=95/5mol%)。この混合溶液を220rpmで撹拌しながら30℃で反応溶液中に30分かけて滴下し、滴下終了後、55℃で4時間、75℃で3時間反応させた。途中、2時間経過した時点で撹拌速度を220rpmから250rpmに上昇させ、流動パラフィン50ml(媒体中22.2vol%)を滴下した。また、55℃から75℃への昇温時にトルエン50mlを追加した。(媒体中の流動パラフィン濃度20.0vol%)。所定反応時間終了後、冷却し、生成した粒子を濾過により分離した。濾別した粒子をトルエン600ml、メタノール800mlで3回洗浄し、60℃で一晩減圧乾燥させ、乾燥粒子21.08gを得た。上記のようにして得られたものを触媒(高分子架橋体)として用いた。分析に用いたガスクロマトグラフィー(GC)の評価方法を示す。<ガスクロマトグラフィーによる純度測定条件>機器:島津製作所(株)社製 ガスクロマトグラフ GC−17A、島津製作所(株)社製 クロマトパック C−R5A、島津製作所(株)社製 オートインジェクター AOC−20、カラム:J&W scientific製 DB−1701、Length 15m、ID 0.53mm、MEGABORE、FILM 1micron、流速:0.5mL/min、インジェクション温度:160℃、検出器温度:250℃、カラム温度:初期温度80℃で4分間保持、200℃まで10℃/minで昇温、200℃で5分間保持、サンプル濃度:10mg/mL(メタノール溶液)、注入量:0.5mL、検出:FIDである。実施例1耐熱性ガラス容器に、合成した触媒(高分子架橋体)1.00gとメタクリル酸10.20g及びグリシドール8.01g(メタクリル酸が過剰)を投入し、窒素で気相部を置換した後、ふたを閉めて70℃のオイルバス中で4時間反応させた。なお、メタクリル酸にはあらかじめメトキノンを加えたものを使用した(メトキノン0.015g/メタクリル酸1g)。得られた反応液は、無色透明であり、高粘度であった。これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的とする化合物のGC純度は60%であった。実施例2耐熱性ガラス容器に、触媒の製造例で合成した耐熱性アニオン交換樹脂1.01gとメタクリル酸10.18g及びグリシドール8.00g(メタクリル酸とグリシドールが等量)を投入し、窒素で気相部を置換した後、ふたを閉めて70℃のオイルバス中で4時間反応させた。なお、メタクリル酸にはあらかじめメトキノンを加えたものを使用した(メトキノン0.015g/メタクリル酸1g)。得られた反応液の色は、無色透明であり、これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的とする化合物のGC純度は52%であった。比較例1触媒を酢酸クロム0.0663gとした以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた反応液は高粘度であり、分析は困難であった。また、反応液は深緑色であった。α,β−不飽和カルボン酸と水酸基を含有するエポキシ系化合物とを反応させてグリセリンモノメタクリレートを製造する方法であって、該製造方法は、高分子化合物を触媒として用いる工程を含むことを特徴とするグリセリンモノメタクリレートの製造方法。前記高分子化合物は、環状4級アンモニウム塩構造を有する高分子架橋体であることを特徴とする請求項1記載のグリセリンモノメタクリレートの製造方法。前記高分子架橋体は、下記一般式(3);(式中、R1及びR2は、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基又は水酸基を表す。R3、R4、R5及びR6は、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はエチル基を表す。X1−及びX2−は、同一若しくは異なって、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、有機酸のアニオン又は無機酸のアニオンを表す。aは、0〜10の整数を表す。)で表される架橋構造を必須として有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載のグリセリンモノメタクリレートの製造方法。 【課題】本発明は、純度が高く、着色がないグリセリンモノメタクリレートを経済的に製造する方法を提供することを目的とするものである。【解決手段】α,β−不飽和カルボン酸と水酸基を含有するエポキシ系化合物とを反応させてグリセリンモノメタクリレートを製造する方法であって、上記製造方法は、高分子化合物を触媒として用いる工程を含むグリセリンモノメタクリレートの製造方法である。【選択図】なし