生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_環状化合物の製造法
出願番号:2006246938
年次:2012
IPC分類:C07D 493/04


特許情報キャッシュ

高橋 敦也 西川 通則 JP 4998686 特許公報(B2) 20120525 2006246938 20060912 環状化合物の製造法 JSR株式会社 000004178 大島 正孝 100080609 高橋 敦也 西川 通則 20120815 C07D 493/04 20060101AFI20120726BHJP JPC07D493/04 101A C07D493/00−497/22 CAplus/REGISTRY(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開2003−192685(JP,A) 松下慶寿,GSCシンポジウム2005 マイクロリアクターを用いた光反応システムの構築,月刊ファインケミカル,日本,2005年12月15日,Vol.35, No.1,Page.56-64 3 2008069081 20080327 6 20090122 三上 晶子 本発明は環状化合物の製造法に関する。 従来、二重結合をもつ不飽和化合物同士が光によって環化付加反応をすることは有機化学の分野において一般的によく知られている。このことは非特許文献1に記載されている。しかしこの光によって生成する環状化合物の収率は概ね低いものであった。 具体的に例えば無水マレイン酸を原料とする光二量化反応について、特許文献1によると、光波長が300nm〜600nmとし、反応温度を−10℃〜50℃で行うことにより高い光効率にて二量化体を得ることが出来るとされている。 本反応においては通常高圧水銀灯がよく用いられている。しかし高圧水銀灯は200nm〜600nmまでの広範囲にわたる波長を有しており、そのうち300nm未満および500nmを超える波長は本反応に関与していないか、ポリマー生成や原料の不飽和化合物への逆反応に関与しており、光源の発する光が有効に目的の反応のエネルギーとして利用されていなかった。また反応に関与しない余分な波長は熱線となって多くの熱を発生してしまうため、実際の反応においては光源及び反応液を大掛かりな装置を用いて冷却させる必要があり、生産コストに大きな影響を与えていた。特開2003−192685号公報Huisgen,Intersci.Pub.1964 本発明の目的は、炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する不飽和化合物から、光環化付加反応により目的とする環状化合物を高い光利用効率で得ることのできる製造法を提供することにある。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。 本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する不飽和化合物を、発光ダイオードを光源として用いて光環化付加反応せしめることを特徴とする環状化合物の製造法により達成される。 本発明の製造方法によれば、炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する不飽和化合物の光環化付加反応において、目的とする環状化合物を高い光利用効率で得ることができる。 以下、本発明について詳細に説明する。 本発明の光環化付加反応とは有機化学で一般的に知られているような、炭素−炭素不飽和結合を一つもしくはそれ以上(共役した)もつ二つの不飽和分子の光によるカップリング反応を示す。例えば、1,2−環化付加反応、1,3−環化付加反応、1,4−環化付加反応等が挙げられ、具体的には[2+2]、[4+2]、[4+4]等の環化付加反応やエン反応、1,3−双極子環化付加反応などが挙げられる。本発明においては不飽和結合を一つもつ不飽和化合物同士によって反応する[2+2]環化付加反応において用いるのが好ましく、更に無水マレイン酸化合物同士によって反応する[2+2]環化付加反応において用いるのがより好ましい。 [不飽和化合物] 不飽和化合物として、好ましい例として式(1)(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基及びハロゲン基を表し、または、R1とR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって炭素数4〜10のシクロアルケン環を表す)で表される無水マレイン酸化合物が挙げられる。無水マレイン酸化合物の一例としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、2,3−ジメチル無水マレイン酸、2−エチル無水マレイン酸、2,3−ジエチル無水マレイン酸、2−イソプロピル無水マレイン酸、2,3−ジイソプロピル無水マレイン酸、2−n−ブチル無水マレイン酸、2,3−ジ(n−ブチル)無水マレイン酸、2−t−ブチル無水マレイン酸、2,3−ジ(t−ブチル)無水マレイン酸、2−フェニル無水マレイン酸、2,3−ジフェニル無水マレイン酸、2−フルオロ無水マレイン酸、2,3−ジフルオロ無水マレイン酸、2−クロロ無水マレイン酸、2,3−ジクロロ無水マレイン酸、2−ブロモ無水マレイン酸、2,3−ジブロモ無水マレイン酸、2−ヨード無水マレイン酸、2,3−ジヨード無水マレイン酸、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。<光源> 本発明における発光ダイオード(LED)光源としては近紫外光を発するものが好ましく用いられる。好ましいLED光源の波長としては300〜500nmの波長を挙げることができる。本発明におけるLED光源を用いることで、反応に有効な波長以外の波長は使用しなくてもよくなる。例えば375nmのLED光源は350nm〜400nmの領域しか発光しない。よって300nm未満で引き起こされるような副反応がほとんど起こらず、反応の選択性を大いに向上させることができる。また反応に関与しない熱線となる波長が存在しないために反応にあたって生成する熱量を小さくすることができる。即ち反応時の発熱が小さくなるため、反応温度のコントロールが容易となり、光源や反応液を冷却するための冷却装置も小さくすることができるため、生産コストを下げることができる。 さらに高圧水銀灯をはじめ、本反応に使用する光源は光が全方向に発する。これらの光を有効に活用するために、本反応では主に反応液の内部に光源をもついわゆる内部照射型光源が利用されてきた。 本発明によれば、LED光源の特徴として光に指向性があり、一方向にのみ光を発することができる。そのためその光の方向にのみ反応液があればよいため、内部に光源を置くことなく反応が可能であり、かつ光を有効に活用でき、反応液の液量を少なくすることができる。また反応液量を小さくできることで前述した冷却設備もさらに小さくすることができる。<反応温度> 反応温度は、高温になると重合物が副生し、又低温になると原料の溶解性が低下し生産効率が減少するところから、−20℃〜80℃で行うことが好ましい。更に好ましくは−10℃〜50℃であり、特に好ましくは0℃〜20℃である。この温度範囲内で反応をコントロールすることによって副生物の生成が大幅に抑えられ、高い選択率及び収率でシクロブタン環を有する誘導体の如き環状化合物を与える。<反応溶媒> 反応溶媒としては光増感効果が期待できるカルボニル化合物であることと、原料の溶解性、光反応に対する安定性などの要求を満たすものでなければならず、その要求を満たすものとして炭素数2〜10の脂肪族エステル類が好ましい。その具体例としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸n−プロピル、ギ酸i−プロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−プロピル、プロピオン酸i−プロピル、エチレングリコールジホルメート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジプロピオネート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、アセト酪酸メチルなどを挙げることができる。 これらの中でより好ましい溶媒は、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸i−プロピル、酢酸ブチル、エチレングリコールジホルメート、エチレングリコールジアセテート、アセト酪酸メチル等である。 上記溶媒は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。 溶媒の使用量は、原料化合物に対し、好ましくは3〜50質量倍、より好ましくは5〜20質量倍である。<反応時間> 反応時間は、原料の不飽和化合物が消滅するまで延長することができる。 以下、実施例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、ここで用いる、光利用効率とは、照射した光が目的物の生成に関与する割合を示すもので、単位(照射光出力×照射時間)あたりの二量化体重量(g)で表される。 実施例1 無水マレイン酸1.2gと酢酸エチル10.8gを内容積20mlのガラス製反応器に仕込んで溶解し、5℃で、反応器内部から紫外線LED(ナイトライドセミコンダクター社製、365nm、出力10mW)で紫外線を照射した。630時間後、結晶を濾過し、酢酸エチルで洗浄、乾燥して、1.0gの1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸−1,2:3,4−二無水物を得た。また、ろ液をHPLCで分析した結果、0.1gの同化合物を含有していた。このときの光利用効率は、170g/(kW・h)であった。この白色結晶の構造は、DSC、1H−NMR、IRで同定した。 DSC:406℃(昇華) 1H−NMR(DMSO−d6):3.9(s、4H) IR(KBr):1850、1790、1400、1270、900cm−1 比較例1 無水マレイン酸100gと酢酸エチル900gを内容積1Lのパイレックス(登録商標)ガラス製光反応器に仕込んで溶解し、5℃で反応器の内部から100W高圧水銀ランプ(SEN特殊光源製、光出力15W)で紫外線を照射した。48時間後、結晶を濾過し、酢酸エチルで洗浄、乾燥して、38.4gの1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸−1,2:3,4−二無水物を得た。また、ろ液をHPLCで分析した結果、1.2gの同化合物を含有していた。このときの光利用効率は、55g/(kW・h)であった。炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する不飽和化合物を、発光ダイオードを光源として用いて光環化付加反応せしめることを特徴とする環状化合物の製造法。上記不飽和化合物が不飽和結合を1つ有する化合物である請求項1記載の環状化合物の製造法。上記不飽和化合物が下記式(1)で表される無水マレイン酸化合物である請求項2に記載の環状化合物の製造法。(式中、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基及びハロゲン原子を表し、またはR1とR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって炭素数4〜10のシクロアルケン環を表す。)


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