生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_誤嚥性肺炎予防剤
出願番号:2006219601
年次:2008
IPC分類:A61K 36/00,A61K 36/18,A61K 36/53,A61P 11/00,A61K 9/20,A61K 9/06,A61K 9/08,A61P 1/02,A61P 31/04,A61K 8/97,A61Q 11/00


特許情報キャッシュ

杉村 謙一郎 JP 2008044861 公開特許公報(A) 20080228 2006219601 20060811 誤嚥性肺炎予防剤 イーエヌ大塚製薬株式会社 502138359 村山 みどり 100098110 田中 清 100090583 杉村 謙一郎 A61K 36/00 20060101AFI20080201BHJP A61K 36/18 20060101ALI20080201BHJP A61K 36/53 20060101ALI20080201BHJP A61P 11/00 20060101ALI20080201BHJP A61K 9/20 20060101ALI20080201BHJP A61K 9/06 20060101ALI20080201BHJP A61K 9/08 20060101ALI20080201BHJP A61P 1/02 20060101ALI20080201BHJP A61P 31/04 20060101ALI20080201BHJP A61K 8/97 20060101ALN20080201BHJP A61Q 11/00 20060101ALN20080201BHJP JPA61K35/78 WA61K35/78 CA61K35/78 QA61P11/00A61K35/78 BA61K9/20A61K9/06A61K9/08A61P1/02A61P31/04A61K8/97A61Q11/00 3 OL 8 4C076 4C083 4C088 4C076AA09 4C076AA11 4C076AA36 4C076AA37 4C076AA49 4C076BB01 4C076BB02 4C076BB03 4C076CC15 4C076CC16 4C076CC31 4C076DD08F 4C076DD29A 4C076DD38 4C076DD38A 4C076DD38B 4C076DD41C 4C076DD43 4C076DD67A 4C076DD67B 4C076EE30A 4C076EE32A 4C076EE38A 4C076FF01 4C076FF11 4C083AA111 4C083AA112 4C083AA121 4C083AA122 4C083AC132 4C083AC302 4C083AD202 4C083AD212 4C083AD222 4C083AD282 4C083BB48 4C083BB55 4C083CC41 4C083DD15 4C083DD21 4C083DD23 4C083DD27 4C083FF06 4C088AB03 4C088AB36 4C088AB38 4C088AB45 4C088BA08 4C088CA03 4C088MA07 4C088MA16 4C088MA28 4C088MA35 4C088MA36 4C088MA52 4C088NA05 4C088NA14 4C088ZA59 4C088ZA67 4C088ZB35 4C088ZC52 本発明は、高齢者や要介護者が罹りやすい誤嚥性肺炎の予防剤に関する。具体的には、特定の植物抽出物または精油を有効成分として含有する誤嚥性肺炎予防剤に関する。 肺炎はわが国における死因別死亡率が第4位であり、その死亡の多くが高齢者である。また、高齢になるほどその死亡率も高くなる傾向にある。高齢者の肺炎の重症化や死亡の原因として、糖尿病や腎不全等の基礎疾患の存在、感染抵抗性や免疫能の低下、肺に存在する肺胞マクロファージの食菌作用の低下が挙げられる。しかし、一方で、誤嚥によって口腔内微生物が唾液とともに肺に進入し肺炎を引き起こす、いわゆる誤嚥性肺炎も、高齢者や要介護者における肺炎の重症化や死亡の重大な原因として挙げられる。 誤嚥性肺炎は、このような不顕性に口腔内常在細菌を誤嚥して生じる細菌性肺炎と、消化器症状などにより胃内容物である胃液や嘔吐物が肺に誤って嚥下されてしまうことで生じる化学的肺炎とに分けられる。肺炎を起こしやすい高齢者の70%は、前者の不顕性的な誤嚥で発症するとの報告もある(阿部他、歯界展望、95(3)、717、2000)。そのため、口腔内環境を清潔に維持することが、高齢者に非常に重要な課題となっている。 口腔内は細菌にとって生息に適した環境にあり、約400種類の細菌が存在すると考えられている。一般に、細菌は口腔内で特有の菌叢を形成しているが、年齢や健康状態、食事、口腔内清掃状態など様々な要因で構成細菌の種類や数が変化する。また、口腔は様々な微生物のリザーバーとして働いており、口腔内の様々な微生物が肺炎の起因菌として考えられている。表1に誤嚥によって肺炎を引き起こす細菌を示す(奥田他、呼吸器ケア、Vol.2,no.2,p.66(2004))。 このような状況から、口腔内の衛生状態の改善することにより肺炎が防げるのではないかとの認識が高まっている。例えば、2年間口腔ケアを実施することで、要介護者の発熱や肺炎の発症率が有意に低下することが示されており、口腔ケアによる口腔内微生物の低減が肺炎等の発症に関係していると推察されている(非特許文献1)。また、専門的な口腔ケアを実施することにより、インフルエンザウィルス感染等が低下することも知られている。 このように高齢者や要介護者において、特に誤嚥性肺炎は重大な問題として認識されており、専門的な口腔ケア、口腔清掃等による肺炎予防の取り組みがなされている。特に、要介護者において、検出頻度の高い連鎖球菌や黄色ブドウ球菌、緑膿菌、Candidaに対して優れた抗菌効果を示すような誤嚥性肺炎予防剤は、要介護者の発熱や肺炎発症の予防に寄与できることになり、患者のQOLの向上にも役立ち、しいては医療費の削減にも貢献できると考えられる。 しかしながら、現状、このような高齢者や要介護者に優れた誤嚥性肺炎予防剤は提供されておらず、手軽に、なおかつ有効な予防方法が望まれている。 なお、非特許文献2には、茶の成分が抗菌性を有すること、非特許文献3には、ヒノキチオールやハーブ精油等が抗菌性を有すること、非特許文献4には、ヒノキチオールが抗菌性を有することがそれぞれ記載されている。 しかしながら、これらの成分を誤嚥性肺炎予防剤として用いた例は全く知られていない。米山他、日歯医学会誌、20、58、2001茶の機能 生体機能の新たな可能性、村松他 編、p270、学会出版センターY Saeki et al:Bull. Tokyo Dent. Coll., Vol.30, No.3 p.129, 1989岡部他:食品と開発Vol22,No.9,p.28,1987 したがって、本発明は、肺炎リスクの高い高齢者や要介護者向けに、有効でしかも手軽な誤嚥性肺炎予防剤を提供することを課題とする。 本発明は、上述のような課題に鑑み、口腔感染から肺炎症、誤嚥性肺炎を引き起こすようなマウスモデルを利用して、口腔内の微生物、特に肺炎起因菌の除菌を有効に、しかも手軽に行える物質を鋭意探索した結果、茶抽出物、ヒバ抽出物、オレガノ抽出物、胡椒抽出物、ハーブ精油、ティーツリー油及びレモンセントティーツリー油からなる群から選ばれる一種以上を有効成分とすることにより、口腔内の微生物を原因とする誤嚥性肺炎を予防できることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は、茶抽出物、ヒバ抽出物、オレガノ抽出物、胡椒抽出物、ハーブ精油、ティーツリー油及びレモンセントティーツリー油からなる群から選ばれる一種以上を有効成分として含有する誤嚥性肺炎予防剤である。 本発明はまた、茶抽出物、ヒバ抽出物、オレガノ抽出物、胡椒抽出物、ハーブ精油、ティーツリー油及びレモンセントティーツリー油からなる群から選ばれる一種以上を0.0001〜0.1%含有することを特徴とする前記誤嚥性肺炎予防剤である。 本発明はまた、剤型が錠剤、トローチ剤、チュアブル剤、口腔内崩壊錠剤、ゼリー剤、ゲル剤または液剤であることを特徴とする前記誤嚥性肺炎予防剤である。 本発明の誤嚥性肺炎予防剤によれば、口腔内の微生物を原因とする誤嚥性肺炎を、有効にしかも手軽に予防することができる。 以下、本発明について詳しく説明する。 本発明の誤嚥性肺炎予防剤において有効成分として使用される茶抽出物は、特開昭59−219384号公報や特開昭60−13780号公報に記載の公知の技術によって得ることができる。また緑茶等から熱水により抽出して得られるものを用いることもできる。茶抽出物に含まれる主な成分は、エピガロカテキンガレート等のカテキン類である。また、抽出物を酢酸エチル等の有機溶剤で分画することも可能である。本発明においては、例えば、サンフェノン100S、サンフェノンBG(いずれも太陽化学株式会社製)やポリフェノン(三井農林株式会社)を用いることができる。 また、本発明の誤嚥性肺炎予防剤において有効成分として使用されるヒバ抽出物は、天然のヒノキ油、ヒバ油等の精油や抽出物を原料に製造されるものである。一般的には、青森ヒバのおが屑を原料に水蒸気蒸留して得られたヒバ油からアルカリ抽出後に分画したり、ヒバ留出水から樹脂等を用いて分画して得ることができる(奈良県森技セ研報、N032,p21,2003)。また、本発明においては、ヒバ抽出物の合成品を使用してもよい。ヒバ抽出物に含まれる主な成分は、ヒノキチオールである。水溶性のものでも油溶性のものでも使用できるが、口腔内の環境を考慮した場合、水溶性に改良された原料のほうが使用しやすい。本発明においては、たとえば、天然ヒノキチオール(キセイテック社製)等を用いることができる。 また、本発明の誤嚥性肺炎予防剤において有効成分として使用されるオレガノ抽出物は、オレガノの葉からエタノールやヘキサン等の有機溶剤で抽出した抽出物が好ましく、カルバクロールやチモールなどのフェノール類が主な成分として含まれる。 同様に、本発明誤嚥性肺炎予防剤において有効成分として使用される胡椒抽出物やハーブ精油は、胡椒やハーブからエタノールやヘキサン等の有機溶剤による抽出やあるいは蒸留等により得ることができる。胡椒抽出物にはピペリンが主成分として含まれ、ハーブ精油としては、メントールが主成分として含まれるものが好適に使用される。 オレガノ抽出物、胡椒抽出物及びハーブ精油は、天然香辛料抽出物、一般的には香料原料として使用されているものを用いることができる。 本発明誤嚥性肺炎予防剤において有効成分として使用されるティーツリー油やレモンセントティーツリー油は、それぞれMelaleuca alternifolia、Leptospermum petersoniiの葉や枝から蒸気蒸留して得られた精油で、前者がテルピネン−4−オール、後者がシトラールやシトロネラールといったテルペン類が主成分として含まれる。 これらの抽出物や精油は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよく、いずれの場合においても、抗菌効果を発揮する。 これらの抽出物や精油は、口腔内感染に由来する肺炎症や誤嚥性肺炎を予防するためには、種類や摂取期間等によって異なるものの、製剤中0.0001〜0.1重量%含有されることが好ましい。 この量が、0.0001重量%より少ないと、各抽出物や精油の有効性が発現せず、0.1重量%を超えると、それ以上の有効性が発現せず、かえって効果が低減する場合もあり、また、風味等の問題が生じるため好ましくない。 本発明における誤嚥性肺炎予防剤は、医薬品や医薬部外品の有効成分として、あるいは食品中の成分として、利用することができる。 剤型は特に限定されないが、口腔内で感染を予防することが重要であるため、口腔内で有効性を発現し得る剤型が好ましい。口腔内で有効性が発現できないと、誤嚥性肺炎を予防することができないからである。したがって、本発明において利用できる剤型は、錠剤、トローチ剤、チュアブル剤、口腔内崩壊錠剤、ゼリー剤、ゲル剤、液剤といった経口剤が好ましい例として挙げられる。 それらの中でも、口腔内でその有効性を持続的に発現できるようなタブレット、口腔内崩壊錠やゼリー剤、ゲル剤が好適である。高齢者や要介護者は、摂食嚥下障害や、唾液分泌量が低下している等の生理的特徴を有している場合が多いからである。 なお、これらの製剤の製造方法は限定されず、それぞれの剤型に用いられる賦形剤や担体を用いて、慣用の製造方法を用いて製造することができる。 このような剤型の食品あるいは医薬品を摂取することにより、口腔内の連鎖球菌や黄色ブドウ球菌、緑膿菌、Candida等が有意に減少し、その結果、これらの微生物が肺に進入して発症する誤嚥性肺炎が予防できるようになる。さらには、表1に示す肺炎起因菌である肺炎球菌、肺炎桿菌、さらにはインフルエンザウィルス感染に対する感染に対しても有効な効果が期待できる。 なお、本発明の誤嚥性肺炎予防剤は、有効成分量として、投与対象の健康状態や年齢にもよるが、1日当たり約0.1〜100mgを投与することが好ましい。 以下、本発明を実施例及び試験例によりさらに詳しく説明する。(試験例1) 誤嚥性肺炎モデルマウスを用いたヒバ抽出物の有効性試験 白井らの誤嚥性肺炎モデル(第17回日本老年歯科医学会総会・学術大会抄録集p94、2006)を利用して、ヒバ抽出物(天然ヒバ抽出物:キセイテック社製)の有効性について検証した。すなわち、ICRマウス(日本クレア社製)にプレドニゾロン(和光純薬社製)を2mg/kgで2度皮下注射し、翌日、マウス舌上に綿棒でCandida albicansATCC90029を感染させた。 感染日から、1日2回、表2に示す濃度の被験物質を1ml強制投与した。感染後3日目に屠殺し、肺を摘出した後、10倍量の生理食塩水を加えて肺組織ホモジネートを調製した。ホモジネート中の菌数を培養法で、炎症性サイトカインTNF−α濃度をマウスTNF−αELISAキット(Biosource社製)を用いて分析した。各濃度ともマウスは4匹とし、平均値を表2に示した。 肺の菌数およびTNF−αは、被験物質中のヒバ抽出物の濃度が0.0001〜0.1%の範囲にでは濃度依存的に減少した。しかしながら、0.1%以上の高濃度ではかえって効果が低減した。(試験例2) 誤嚥性肺炎モデルマウスを用いた有効性試験 試験例1の方法に基づき、茶抽出物(サンフェノンBG:太陽化学株式会社社製)、ヒバ抽出物(天然ヒバ抽出物:キセイテック社製)、オレガノ抽出物(長谷川香料社製)、胡椒抽出物(長谷川香料社製)、ハーブ精油(高砂香料社製)、ティーツリー油(ティーツリー油:エアグリーン社製)、レモンセントティーツリー油(レモンセントティーツリー油:エアグリーン社製)の誤嚥性肺炎予防効果について検討した。結果を表3に示す。 表3に示される結果から明らかなように、2〜8の抽出物または精油を添加した場合は、無添加の場合と比べて、肺の菌数およびTNF−αが著しく減少した。(実施例1) 錠剤の製造 D−マンニトール(東和化成工業社製)734g、でんぷん(松谷化学社製)200g、及び寒天(伊那食品社製)50gを混合後造粒機に投入し、茶抽出物(サンフェノンBG:太陽化学社製)1.6gを溶解したイオン交換水500mlをスプレーしながら造粒した。得られた造粒物985gと、無水ケイ酸5gとステアリン酸マグネシウム0.5gを混合し、ロータリー打錠機で打錠することで直径9mm、重量250mgの錠剤1kgを得た。 茶抽出物中のカテキン含量は60%であり、錠剤あたり0.1%カテキンを含有していた。(実施例2) 口腔内崩壊錠の製造 実験例1で用いたヒバ抽出物(天然ヒバ抽出物:キセイテック社製)1g、乳糖(レプリノ社製)250g、D−マンニトール498g、カルメロース(五徳薬品工業社製)250g及びヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業社製)1gを混合し、湿式造粒を行った。得られた造粒物1kgを低圧打錠し、直径9mm、重量250mgの口腔内崩壊錠を得た。 得られた口腔内崩壊錠は、0.1重量%のヒバ抽出物を含有していた。(実施例3) 液剤の製造 ティーツリー油(ティーツリー油:エアグリーン社製)1g、ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製)2g、キシリトール(日研化学社製)2g、水995ml、香料、クエン酸5gを溶解混合し、均質後、UHT殺菌を行った。殺菌後、1本50mlのボトルに充填し、0.1重量%ティーツリー油を含有する液剤を製造した。 本発明の誤嚥性肺炎予防剤は、口腔内微生物が原因となるような高齢者や要介護者の誤嚥性肺炎の発症を予防することができ、患者のQOL向上に寄与できる。茶抽出物、ヒバ抽出物、オレガノ抽出物、胡椒抽出物、ハーブ精油、ティーツリー油及びレモンセントティーツリー油からなる群から選ばれる一種以上を有効成分として含有する誤嚥性肺炎予防剤。茶抽出物、ヒバ抽出物、オレガノ抽出物、胡椒抽出物、ハーブ精油、ティーツリー油及びレモンセントティーツリー油からなる群から選ばれる一種以上を0.0001〜0.1%含有することを特徴とする請求項1記載の誤嚥性肺炎予防剤。剤型が錠剤、トローチ剤、チュアブル剤、口腔内崩壊錠剤、ゼリー剤、ゲル剤または液剤であることを特徴とする請求項1または2記載の誤嚥性肺炎予防剤。 【課題】肺炎リスクの高い高齢者や要介護者用の、有効で手軽な誤嚥性肺炎予防剤を提供すること。【解決手段】誤嚥性肺炎予防剤において、茶抽出物、ヒバ抽出物、オレガノ抽出物、胡椒抽出物、ハーブ精油、ティーツリー油及びレモンセントティーツリー油からなる群から選ばれる一種以上を有効成分として含有する誤嚥性肺炎予防剤。剤型は、錠剤、トローチ剤、チュアブル剤、口腔内崩壊錠剤、ゼリー剤、ゲル剤または液剤である経口剤であることが好ましい。【選択図】なし


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