タイトル: | 公開特許公報(A)_スタンプ培地及び細菌検査方法 |
出願番号: | 2006213816 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C12Q 1/04 |
下村 講一郎 大本 俊郎 小島 直人 JP 2007061090 公開特許公報(A) 20070315 2006213816 20060804 スタンプ培地及び細菌検査方法 学校法人 東洋大学 501061319 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 000175283 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 中野 睦子 100108084 下村 講一郎 大本 俊郎 小島 直人 JP 2005227238 20050804 C12Q 1/04 20060101AFI20070216BHJP JPC12Q1/04 7 OL 21 4B063 4B063QA01 4B063QQ05 4B063QR74 4B063QR84 4B063QX01 本発明は、細菌の検出試験に使用するスタンプ培地に関する。また、本発明はスタンプ法による細菌検査方法に関する。 従来、食中毒などの細菌感染を防止するために、食品製造における現場や容器などの表面に付着した細菌の検出に、培地を直接試験対象物に付着させて、試験対象物の表面に存在する細菌を検出するスタンプ法が汎用されている。 このスタンプ法には、細菌を採取した後そのまま培養できるように、細菌が増殖可能な栄養素を含む水溶液(液体培地)をスタンプ状に固形化したスタンプ培地が用いられている。かかるスタンプ培地には、従来より慣用的にゲル化剤として寒天が使用されている(特許文献1)。 しかし、ゲル化剤として寒天を用いた従来のスタンプ培地の場合、試験対象物の表面に接触または圧着(スタンピング)させても、菌の付着回収性(スタンプ採菌性)が悪かったり、また、反対に試験対象物の表面に培地が付着するなどの問題があった。また、寒天で形成したゲルは硬くて脆いため、湾曲部や凹凸部(例えば、蛇口等の湾曲部の多い箇所、手のひら、指の間、指紋の間など)に存在する細菌の採取が難しいという問題点があった。更には、調製した培地に離水が生じたり、また、培地が不透明で集落(コロニー)が観察しにくいという問題も指摘されていた。特開平6-189739号公報 本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたもので、スタンプ採菌時に培地の剥がれ落ち(試験対象物への付着残り)がなく、平面部、湾曲部および凹凸部の別に関わらず試験対象物の表面に存在する細菌を効率よく採取することのできるスタンプ培地を提供することを目的とする。また本発明は、離水がないかまたは離水の発生が少なく、しかも透明で、集落を良好に観察することのできるスタンプ培地を提供することを目的とする。 さらにはまた本発明は、上記スタンプ培地を用いた、スタンプ法による細菌検査方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねていたところ、スタンプ培地を調製するゲル化剤として、従来の寒天に代えてジェランガムを使用することにより、上記課題が解決できることを見出した。具体的には、スタンプ培地を調製するゲル化剤として、ジェランガム、特にネイティブ型ジェランガムを用いることによって、ソフトで粘弾性があり且つ付着力の強いスタンプ培地が調製でき、その結果、スタンプ採菌時に培地が試験対象物に付着して剥がれ落ちることなく、湾曲部や凹凸部からも容易に菌を付着採取することができることを見出した。さらに、当該スタンプ培地は、離水の発生が有意に抑制されており、また透明性に優れているため、形成されたコロニー(集落)を良好に観察することができることを見出した。また、ゲル化剤として、ネイティブ型ジェランガムと脱アシル型ジェランガムとを組みあわせて用いることにより、さらに培地の強度や粘弾性を上げることができ、その結果、付着による剥がれ落ちが抑制され、細菌採取性に優れた、スタンプ培地として一層優れた性質を有する培地が調製できることを見いだした。 本発明は、かかる知見にもとづいて完成したものであり、以下の態様を有する;項1.ゲル化剤としてジェランガムを用いて調製されてなるスタンプ培地。項2.ジェランガムを0.05〜5重量%の割合で含有する項1記載のスタンプ培地。なお、ジェランガムとしてネイティブ型ジェランガムを使用する場合は、スタンプ培地中に0.3〜5重量%となるような割合で用いることが好ましい。一方、ジェランガムとして脱アシル型ジェランガムを使用する場合は、スタンプ培地中に通常0.05〜1重量%となるような割合で用いられる。項3.上記ジェランガムとしてネイティブ型ジェランガムを用いる、項1又は2に記載のスタンプ培地。 項4.上記ジェランガムとして、脱アシル型ジェランガムとネイティブ型ジェランガムとの混合物を用いる、項1又は2に記載のスタンプ培地。項5.さらにアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含有する項4記載のスタンプ培地。項6.上記混合物が、脱アシル型ジェランガム1重量部に対して、ネイティブ型ジェランガムを0.1〜20重量部の割合で含むものである、項4または5記載のスタンプ培地。項7.スタンプ培地として項1乃至6のいずれかに記載するスタンプ培地を用いることを特徴とする、スタンプ法による細菌検査方法。 本発明によれば、スタンプ培地のゲル化剤としてジェランガムを使用することにより、透明性に優れ、離水がないか若しくは離水の少ないスタンプ培地を提供することができる。さらに、本発明によれば、スタンプ採菌時に、試験対象物への培地の付着や剥がれ落ちがなく、良好に菌を付着し、しかも、まな板やクリーンベンチ等の実験台または手術台などの平坦部に限らず、手のひらや手指などの湾曲部や凹凸部における菌採取も容易にできる、スタンプ法に適したスタンプ培地を提供することができる。また、本発明のスタンプ培地を用いた細菌検査法によれば、スタンプ法による細菌の検出検査を簡単にまた効率よく実施することができる。 まな板や包丁などの器具や器材、クリーンベンチ等の実験台や手術台、または手指などといった各種試験対象物の表面に存在する生菌数検査には、従来よりスタンプ法と称される細菌検出検査法が汎用されている。かかるスタンプ法は、小型のシャーレなどに入れた固形培地面を、上記試験対象物の表面に接着または圧着(スタンピング)させて、当該対象物表面に存在する細菌を培地に移し取り、そのまま培養して、その生菌数を把握しようとする細菌検出検査法である。本発明が対象とするスタンプ培地は、こうしたスタンプ法による細菌検出検査に使用される培地である。 本発明のスタンプ培地は、ゲル化剤として、従来汎用の寒天に代えてジェランガムを用いることを特徴とする。 本発明ではジェランガムとして、ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガムのいずれも使用することができる。 ここで、ネイティブ型ジェランガムは、Sphingomonas elodeaが産出する発酵多糖類であり、1−3結合したグルコース、1−4結合したグルクロン酸、1−4結合したグルコース及び1−4結合したラムノースの4分子を構成単位とする直鎖状の高分子多糖類において、当該1−3結合したグルコースに1構成単位当たりグリセリル基1残基とアセチル基が平均1/2残基結合したものである。1構成単位当たりカルボキシル基1残基を有する。 ネイティブ型ジェランガムの商業的に入手可能な製品としては、ケルコゲル(商標:CPケルコ社)LT−100、ケルコゲル(商標:CPケルコ社)HM及びケルコゲル(商標:CPケルコ社)HT、ゲルアップ(商標:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)MOTなどを挙げることができる。これらはいずれも三栄源エフ・エフ・アイ株式会社から入手することができる。 脱アシル型ジェランガムも、ネイティブ型ジェランガムと同様に、Sphingomonas elodeaが産出する発酵多糖類である。脱アシル型ジェランガムは、1−3結合したグルコース、1−4結合したグルクロン酸、1−4結合したグルコース及び1−4結合したラムノースの4分子を構成単位とする直鎖状の高分子多糖類であり、1構成単位当たりカルボキシル基1残基を有するものである。脱アシル型ジェランガムの商業的に入手可能な製品として、ゲルアップ(商標:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)K−S、ケルコゲル(商標:CPケルコ社)などを挙げることができる。これらはいずれも三栄源エフ・エフ・アイ株式会社から入手することができる。 ジェランガムをゲル化剤として用いて調製したスタンプ培地は、従来の寒天培地に比較して離水が少なく、また透明性に優れている。さらに、試験対象物表面への付着性が良好であり(その結果、スタンプ採菌性が良好である)、その一方で、培地が試験対象物表面に残らず容易に剥がれやすく、また粘弾性があるために、手のひらや指間、指紋等の凹凸部、または湾曲している箇所に存在する細菌を良好に採取することができる。本発明では、スタンプ培地のゲル化剤として、ネイティブ型ジェランガム、またはネイティブ型ジェランガム及び脱アシル型ジェランガムを用いることが好ましい。 ジェランガムとしてネイティブ型ジェランガムを用いる場合、当該ネイティブ型ジェランガムのスタンプ培地への配合量としては、通常0.3〜5重量%、好ましくは0.5〜2重量%、より好ましくは0.5〜1.5重量%、更に好ましくは0.5〜1.2重量%を挙げることができる。 ジェランガムとして脱アシル型ジェランガムを用いる場合、当該脱アシル型ジェランガムのスタンプ培地への配合量としては、通常0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%、より好ましくは0.1〜0.3重量%、更に好ましくは0.15〜0.25重量%を挙げることができる。 特にジェランガムとして脱アシル型ジェランガムを単独で用いる場合は、カルシウム塩やマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、またはカリウム塩等のアルカリ金属塩などの塩類を併用することが望ましい。脱アシル型ジェランガムはこれら塩類と反応してゲルを形成することで、スタンプ培地を固化させることができる。 ここでカルシウム塩としては、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム等を;マグネシウム塩としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、リン酸マグネシウム等を;またカリウム塩としては、塩化カリウム等を挙げることができる。好ましくはカルシウム塩であり、特に好ましくは乳酸カルシウムである。塩類の配合割合としては、スタンプ培地に用いる脱アシル型ジェランガム100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは10〜80重量部、より好ましくは20〜60重量部を挙げることができる。 ジェランガムとしてネイティブ型ジェランガムと脱アシル型ジェランガムを併用する場合も、ネイティブ型ジェランガムおよび脱アシル型ジェランガムはスタンプ培地中に各々上記配合割合の範囲で配合することができる。 ネイティブ型ジェランガムと脱アシル型ジェランガムの配合比としては、制限はされないが、脱アシル型ジェランガム1重量部に対してネイティブ型ジェランガム0.1〜20重量部、好ましくは2〜16重量部、より好ましくは5〜10重量部を挙げることができる。 この場合、すなわちネイティブ型ジェランガムと脱アシル型ジェランガムを併用する場合は、前述する塩類は必ずしも必要としないが、塩類を配合することもできる。塩類を配合すると、脱アシル型ジェランガムは当該塩類と反応して、作成されるスタンプ培地のゲル強度や弾性を上げることができる。すなわち、ネイティブ型ジェランガムに、脱アシル型ジェランガム及び塩類を併用することによって、スタンプ培地の物性(ゲル強度、弾性)をコントロールすることが可能となる。なお、この場合に使用される塩類の種類ならびにスタンプ培地への塩類の配合割合も上記と同様である。 本発明のスタンプ培地は、慣用のスタンプ培地と同様に、培地表面に細菌を接触採取した後、そのまま培養することによって、細菌を増殖させコロニーを形成させて細菌が検出できるように構成されている。 このため、本発明のスタンプ培地は、上記ゲル化剤に加えて、対象とする細菌の種類に応じて細菌の生育及び増殖を可能とする栄養素、並びに水を含む。 栄養素としては、窒素源および炭素源に加えて、必要に応じて、例えば塩化ナトリウム、硫酸カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化リチウム、またはリン酸水素二カリウム等の無機塩;また鉄、銅、マンガン等の金属塩を挙げることができる。 ここで、窒素源としては、概ね細菌の培養に用いられる有機または無機の窒素源の全てが使用可能であり、例えば脱脂綿実粉(Pharmamedia)、コーンスティープリカー、酵母エキス、各種ペプトン、オートミール肉エキス、カゼイン加水分解物、アンモニア塩、硝酸塩などを挙げることができる。窒素源濃度も、通常細菌の培養に使用される範囲であれば特に制限されず、例えば0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.2〜3重量%の範囲を例示することができる。 炭素源としては、例えばブドウ糖、麦芽糖、澱粉、澱粉分解物、ショ糖、果糖、乳糖、糖蜜、メリビオース、ラフィノース、スタキオースまたはこれらの混合物を挙げることができる。炭素源濃度も、通常細菌の培養に使用される範囲であれば特に制限されず、例えば2〜20重量%、好ましくは2〜10重量%、より好ましくは2〜5重量%の範囲を例示することができる。 なお、スタンプ培地のpHも特に制限されない。検出する対象の細菌の種類に応じて通常pH3.5〜9、好ましくはpH5〜8の範囲に適宜設定調整することができる。 本発明が対象とするスタンプ培地としては、一般生菌を対象とするソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地(SCD培地);大腸菌を対象とするグルコース・ペクチン培地(GP培地)、マッコンキー培地、エオシンメチレンブルー培地(EMB培地)、デソキシコレート培地、EZ2C培地;真菌を対象とするサブロー・ブドウ糖培地、ポテトデキストロース培地;カビおよび酵母を対象とするCP加ポテトデキストロース培地;サルモネラを対象とするマデック培地、セレナイトシスチン培地、テトラチオシアネート培地、ラパポート培地、ブリリアントグリン培地、キシロース・リジン・デソキシコール(XLD培地)、亜硫酸ビスマス培地、トリプルシュガーアイアン培地(TSI培地);大腸菌とサルモネラを対象とする乳糖ブイヨン;腸炎ビブリオを対象とするTCBS培地;緑膿菌を対象とするセトリミド培地およびNAC培地;黄色ブドウ球菌を対象とする卵黄加マンニット食塩培地;セレウスを対象とする卵黄加NGKG培地;そのほか、フルオレセイン検出用シュードモナス培地、ピオシアニン検出用シュードモナス培地;フォーゲルジョンソン培地、ベアードパーカー培地などを挙げることができる。本発明が対象とするスタンプ培地として好ましくは、ブドウ球菌などのように運動性を有しない細菌やサルモネラ菌の培養に適した培地である。 なお、上記のスタンプ培地はいずれも従来よりゲル化剤として寒天を用いて調製されているものであるが、寒天に代えて上記ジェランガムを用いることにより、本発明のスタンプ培地が調製される。 本発明のスタンプ培地は、各種の栄養素を含む水溶液(液体培地)を上記ゲル化剤(ジェランガム)を用いてスタンプ状に固化成形してなるものであり、無菌状態に調製される。その調製方法としては、制限はされないが、例えば、各種の栄養素を含む水溶液(液体培地)にジェランガム(好ましくは、ネイティブ型ジェランガム、またはネイティブ型ジェランガムと脱アシル型ジェランガム)を加えて加熱溶解し、これをオートクレーブ(例えば、121℃、15分間)で滅菌したのち、スタンプ用シャーレなどの容器(滅菌容器)に無菌条件下で充填し、放冷固化して調製する方法を挙げることができる。 本発明のスタンプ培地のゲル強度は、ブルーム(Bloom)法と呼ばれる国際的に統一された測定方法に従って評価することができる。本発明のスタンプ培地の好ましいゲル強度は、ブルーム値として20〜400g、更に好ましくは30〜100gを挙げることができる。 スタンプ培地は、細菌を被検査部位に採取(スタンプ採菌)した後そのまま培養できるように、通常、一対の受皿部と蓋部からなるスタンプ用シャーレ(滅菌)の受皿部に無菌状態で充填されてスタンプ状に固化して調製される。本発明のスタンプ培地もまた、上記のように培地が充填固化してなる該受皿部に、内部が無菌状態に保たれるように、蓋部が取り外し可能に被された状態で調製され、このまま保存され、また流通させることができる。 本発明のスタンプ培地は、常法のスタンプ法に従って細菌検出検査に使用することができる。当該細菌検出検査は、具体的には、上記シャーレの蓋部を取り外して、シャーレ受皿部に形成された培地の表面(被検部位)を、試験対象物表面に接触または圧着(スタンピング)し、細菌を採取(採菌)した後、再び蓋部を被せ、次いで検出する対象の細菌(被検細菌)の種類に応じて所定の温度および時間培養することによって実施することができる。培養によってスタンプ培地の被検部位に形成されたコロニーの有無やその数から、試験対象物の細菌汚染を評価することができる。また、コロニーの特徴(形状、色等)から、細菌の種類を判定することもできる。 培養温度および培養時間は、細菌の種類に応じて定法に従うことができる。例えば、一般生菌の場合は、通常30〜35℃で12〜120時間:大腸菌の場合は、通常30〜35℃で12〜120時間:真菌(かび、酵母)の場合は、通常20〜25℃で24〜144時間;サルモネラの場合は、通常30〜35℃で12〜72時間:腸炎ビブリオの場合は、通常30〜35℃で12〜72時間:黄色ブドウ球菌の場合は、通常30〜35℃で18〜72時間:セレウスの場合は、通常30〜35℃で12〜72時間などを挙げることができる。 以下、実験例および実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、これらの実験例などに限定されるものではない。なお、文中、特に言及しない限り、「%」は「重量%」を意味する。 実験例1(1)スタンプ培地の調製 下記表1に掲げる処方に従って、各種のスタンプ培地(比較例1、実施例1〜6)を作成した。 具体的には、下記の方法で殺菌調製した各水溶液を85℃の温浴で十分に加温し、これをクリーンベンチ内で滅菌した容器に、表1に記載する処方に従って配合し、容器を振盪して十分に混合した。混合後、再度85℃の温浴で十分に加温してから無菌のスタンプ培地用シャーレ(内径55mm)に12〜15gずつ加えた。次いで、クリーンベンチ内で放冷固化させて、スタンプ培地を調製した。 (a)ネイティブ型ジェランガム2.4%水溶液 90℃のイオン交換水を攪拌しながら、この中にネイティブ型ジェランガム(商品名ケルコゲルHT:CPケルコ社製)を少量づつ添加し、90℃にて10分間攪拌して溶解させた。イオン交換水で2.4%水溶液になるように全量補正後、耐熱性容器に充填して、121℃で15分間高圧蒸気滅菌した。 (b)脱アシル型ジェランガム1.2%水溶液 90℃のイオン交換水を攪拌しながら、この中に脱アシル型ジェランガム(商品名ケルコゲル:CPケルコ社製)を少量づつ添加し、90℃にて10分間攪拌して溶解させた。イオン交換水で1.2%水溶液になるように全量補正後、耐熱性容器に充填して、121℃で15分間高圧蒸気滅菌した。 (c)乳酸カルシウム5%水溶液 乳酸カルシウム(太平化学製)にイオン交換水に溶解し5%水溶液を調製し、これを耐熱性容器に充填して、121℃で15分間高圧蒸気滅菌した。 (d)寒天3%水溶液 90℃のイオン交換水を攪拌しながら、この中に寒天(細菌培養用粉末寒天:和光純薬製)を少量づつ添加し、90℃にて10分間攪拌して溶解させた。イオン交換水で3%水溶液になるように全量補正後、耐熱性容器に充填して、121℃で15分間、高圧蒸気滅菌した。 (e)一般生菌増殖用培地(SCD培地)6%水溶液 表2に記載する組成からなるSCD培地(粉末)(日本製薬(株)製)をイオン交換水に溶解して6%水溶液を調製し、これを耐熱性容器に充填して、121℃で15分間高圧蒸気滅菌した。 (2)スタンプ培地の物性評価、およびコロニー形成性(集落形成性) 上記で調製したスタンプ培地(実施例1〜6、比較例1)について、下記の方法に従って、ブルーム値、付着力および離水性を測定した。 (a)ブルーム値 ブルーム値の測定には、下記条件のテクスチャーアナライザー(Texture Analyzer TA-XT2i;英弘精機社製)を使用した。<測定条件>Probe :1/2" RADIUS DELRIN BS757 FOR GELATINEContact Area :126.68mm2Pre Test Speed:1.0mm/secTest Speed :1.0mm/secPost Speed :10mm/secDistance :4mm。 具体的には、直径1/2インチのProbe(円柱状プランジャー)を用いて、ゲル表面から4mm圧縮した時の応力をブルーム値として測定した。なおブルーム値は、培地の固さを反映するものである。 (b)付着力 付着力の測定には、下記条件のテクスチャーアナライザー(Texture Analyzer TA-XT2i;英弘精機社製)を使用した。<測定条件>Test Mode :Measure Distance in CompressionProbe :20mm DIA CYLINDER ALUMINUMContact Area :314.16mm2Pre Test Speed:1.0mm/secTest Speed :1.0mm/secPost Speed :1.0mm/secForce :100g。 具体的には、Probe(円柱状プランジャー)を培地表面に4mm押し込んだ後、円柱状プランジャーを引き上げ、培地がプランジャーにくっついて持ち上がる際に生じる負の応力を付着力として測定した。なお付着力は、上記計測器で得られたピークの面積にて評価した。 (c)離水性 上記で調製したスタンプ培地を5℃で24時間保存した後、培地に人差し指を押しつけた際の指の濡れ度合いで、下記の基準に従って評価した。<基準>−−:離水全くなし(指が濡れない)− :離水ほとんどなし(指がほとんど濡れない)+ :離水がややある(指が若干濡れる程度)++:離水が明確に認められる(指が明らかに濡れる程度)。 (d)コロニー形成性(集落形成性) 上記で調製した各スタンプ培地に人差し指を押しつけて菌を採取後、35℃のインキュベーターで48時間培養し、コロニーの数を調べてコロニー形成性を評価した。コロニー形成性の評価結果として、表3にコロニー数を、図1に手指の菌採取後、培養した後のシャーレを写した写真の画像(参考として被験者Cの人差し指の菌検出状況。35℃で48時間培養後)を示す。 (3)結果 上記各スタンプ培地の物性(ブレーム値、付着力、および離水)ならびにコロニー形成性(集落形成性、コロニー数)を評価した結果を表3に示す。また、培地の透明度を目視によって判断した結果を合わせて表3に示す。○は透明、×は不透明を意味する。 表3に示すように、ジェランガムを使用して調製した本発明のスタンプ培地は透明で離水もなかった。また、寒天を用いて調製したスタンプ培地は、上記ブルーム値から判るように脆かったが、ジェランガムを使用して調製した本発明のスタンプ培地は、柔らかくて弾力があり、付着性についても寒天と同等または寒天より良好であった。このため、本発明のスタンプ培地によれば、手指を培地中に押し込むことが可能で、手指などの湾曲部や手指の指紋の隙間に存在する細菌も採取することが可能であった。なお、採取した菌の培養結果から、本発明のスタンプ培地は、細菌の生育やコロニー形成に支障がないことも確認された。 また、ジェランガムとしてネイティブ型ジェランガムと脱アシル型ジェランガムとを併用した場合は(実施例3−6)、ゲル化剤としてネイティブ型ジェランガム単品を用いた場合よりもブルーム値を上昇させることができ、ハリのあるしっかりとした粘弾性のある培地が調製できた。そのため、培地が壊れにくくなり、衝撃に強く、また、試験対象物が非常に湾曲した検体であっても培地に強く押さえつける事が可能となり、さらには付着後に剥がす際に求められる培地の壊れにくさを向上させることができた。 更に、乳酸カルシウムを添加することによって、更にブルーム値が高くなり、より、ハリのあるしっかりとした培地となった。 実験例2:スタンプ培地(1)スタンプ培地の調製 下記表4に掲げる処方に従って、各種のスタンプ培地(比較例1、実施例7〜15)を作成した。 具体的には下記の方法で殺菌調製した各水溶液を85℃の温浴で十分に加温し、これをクリーンベンチ内で滅菌した容器に、表4に記載する処方に従って配合し、容器を振盪して十分に混合した。混合後、再度85℃の温浴で十分に加温してから無菌のスタンプ培地用シャーレ(内径55mm)に12〜15gずつ加えた。次いで、クリーンベンチ内で放冷して固化させて、スタンプ培地を調製した。 (a)ネイティブ型ジェランガム2.4%水溶液 90℃のイオン交換水を攪拌しながら、この中にネイティブ型ジェランガム(商品名ケルコゲルHT:CPケルコ社製)を少量づつ添加し、90℃にて10分間攪拌して溶解させた。イオン交換水で2.4%水溶液になるように全量補正後、耐熱性容器に充填して、121℃で15分間高圧蒸気滅菌した。 (b)脱アシル型ジェランガム1.2%水溶液 90℃のイオン交換水を攪拌しながら、この中に脱アシル型ジェランガム(商品名ケルコゲル:CPケルコ社製)を少量づつ添加し、90℃にて10分間攪拌して溶解させた。イオン交換水で1.2%水溶液になるように全量補正後、耐熱性容器に充填して、121℃で15分間高圧蒸気滅菌した。 (c)乳酸カルシウム5%水溶液 乳酸カルシウム(太平化学製)にイオン交換水に溶解し5%水溶液を調製し、これを耐熱性容器に充填して、121℃で15分間高圧蒸気滅菌した。 (d)寒天3%水溶液 90℃のイオン交換水を攪拌しながら、この中に寒天(細菌培養用粉末寒天:和光純薬製)を少量づつ添加し、90℃にて10分間攪拌して溶解させた。イオン交換水で3%水溶液になるように全量補正後、耐熱性容器に充填して、121℃で15分間、高圧蒸気滅菌した。 (e)一般生菌増殖用培地(SCD培地)6%水溶液 SCD培地(日本製薬(株)製)(実験例1に記載の組成と同じ)をイオン交換水に溶解して6%水溶液を調製し、これを耐熱性容器に充填して、121℃で15分間高圧蒸気滅菌した。 (2)スタンプ培地の物性評価 上記で調製したスタンプ培地(比較例1、実施例7〜15)について、下記の方法に従ってブルーム値と離水性を測定した。 (a)ブルーム値 調製した各スタンプ培地について、テクスチャーアナライザー(Texture Analyzer TA-XT2i:英弘精機製)を使用し、各々下記の条件で、ブルーム値を測定した。<ブルーム値の測定条件>Probe :1/2" RADIUS DELRIN BS757 FOR GELATINEContact Area :126.68mm2Pre Test Speed:1.0mm/secTest Speed :1.0mm/secPost Speed :10mm/secDistance :4mm。 具体的には、直径1/2インチのProbe(円柱状プランジャー)を用いて、ゲル表面から4mm圧縮した時の応力をブルーム値として測定した。なおブルーム値は、培地の固さを反映するものである。 (b)離水性 上記で調製した各スタンプ培地を5℃で24時間保存した後、培地に人差し指を押しつけた際の指の濡れ度合いで、下記の基準に従って評価した。<基準> −−:離水全くなし(指が濡れない)− :離水ほとんどなし(指がほとんど濡れない)+ :離水がややある(指が若干濡れる程度)++:離水が明確に認められる(指が明らかに濡れる程度)。 (3)結果 結果を表5に示す。なお、結果は3回測定した平均値で示した。 上記の結果から、ネイティブ型ジェランガムの添加量を多くするにつれて、ブルーム値(培地の固さ)が上がり、また離水も少なくなる傾向があることがわかる。また、ネイティブ型ジェランガムに併用する脱アシル型ジェランガムの割合を多くするにつれて、一層ブルーム値(培地の固さ)が上がり、また離水も少なくなる傾向があることがわかる。 実験例3(カビ、酵母用培地) カビまたは酵母用培地として、表6に記載する組成からなる抗生物質添加ポテト・デキストロース培地を作成した。 まず、表6に記載する各原料を各々イオン交換水に溶解して、これを耐熱性容器に充填して、121℃で15分間高圧蒸気滅菌して水溶液として調製した。なお、脱アシル型ジェランガムおよびネイティブ型ジェランガムについては、実験例1に記載する方法に従って各々脱アシル型ジェランガム1.2%水溶液、ネイティブ型ジェランガム2.4%水溶液及び寒天3%水溶液として調製した。斯くして調製した各水溶液を、85℃の温浴で十分に加温し、これをクリーンベンチ内で滅菌した容器に、表6に記載する処方に従って配合し、容器を振盪して十分に混合した。混合後、再度85℃の温浴で十分に加温してから無菌のスタンプ培地用シャーレ(内径55mm)に12〜15gずつ加えた。次いで、クリーンベンチ内で放冷固化させて、スタンプ培地を調製した。 得られたスタンプ培地について、実験例1と同様の方法で、スタンプ培地の物性評価(透明性、ブルーム値、離水)を行い、またカビ(Aspergillus niger)及び酵母(Candida albicans)を25℃72時間の条件で培養して、スタンプ培地中のコロニー形成性を評価した。結果を表7および図2に示す。 ブルーム値が低い値になるほど、柔らかいゲルとなり、例えば凹凸面などの菌の採取も可能となり、スタンプ培地として良好な物性を示す。本発明のスタンプ培地(実施例16)は、ゲル化剤として寒天を用いて調製したスタンプ培地(比較例2)に比して、ブルーム値が低く粘弾性のある柔らかいゲルであり、スタンプ培地として適していた。また、培地の透明度も高かった。 さらにカビ及び酵母のコロニー形成性については、図2に示すように、カビは、本発明のスタンプ培地(実施例16)と比較例2のスタンプ培地も同等であったが、酵母のコロニー形成性は、比較例2のスタンプ培地より本発明のスタンプ培地(実施例16)の方がより大きなコロニーを形成した。このように、本発明のスタンプ培地によれば、培地の透明度が高く、また酵母についてはより良好なコロニー形成性を有することから、菌(カビ、酵母)の存在の確認が容易であった。 実験例4(大腸菌用培地) 大腸菌用培地として、表8に記載する組成からなるマッコンキー培地を作成した。まず、表8に記載する各原料を各々イオン交換水に溶解して、これを耐熱性容器に充填して、121℃で15分間高圧蒸気滅菌して水溶液として調製した。なお、脱アシル型ジェランガムおよびネイティブ型ジェランガムについては、実験例1に記載する方法に従って各々脱アシル型ジェランガム1.2%水溶液、ネイティブ型ジェランガム2.4%水溶液及び寒天3%水溶液として調製した。斯くして調製した各水溶液を、85℃の温浴で十分に加温し、これをクリーンベンチ内で滅菌した容器に、表8に記載する処方に従って配合し、容器を振盪して十分に混合した。混合後、再度85℃の温浴で十分に加温してから無菌のスタンプ培地用シャーレ(内径55mm)に12〜15gずつ加えた。次いで、クリーンベンチ内で放冷固化させて、スタンプ培地を調製した。 得られたスタンプ培地について、実験例1と同様の方法で、スタンプ培地の物性評価(透明性、ブルーム値、離水)を行い、また大腸菌(Eschenichia coli)を35℃24時間の条件で培養して、スタンプ培地中のコロニー形成性を評価した。結果を表9に示す。 本発明のスタンプ培地(実施例17)は、ゲル化剤として寒天を用いて調製したスタンプ培地(比較例3)に比して、ブルーム値が低く粘弾性のある柔らかいゲルであり、スタンプ培地として適していた。また、本発明のスタンプ培地(実施例17)は透明度が高く、比較例の培地を使用した場合よりも、より大きなコロニーが形成された。すなわち、本発明のスタンプ培地によれば、培地の透明度が高く、また良好なコロニー形成性を有することから、容易に菌(大腸菌)の存在を確認することができる。 実験例4(サルモネラ菌用培地) サルモネラ菌用培地として、表10に記載する組成からなるブリリアントグリン培地を作成した。まず、表10に記載する各原料を各々イオン交換水に溶解して、これを耐熱性容器に充填して、121℃で15分間高圧蒸気滅菌して水溶液として調製した。なお、脱アシル型ジェランガムおよびネイティブ型ジェランガムについては、実験例1に記載する方法に従って各々脱アシル型ジェランガム1.2%水溶液、ネイティブ型ジェランガム2.4%水溶液及び寒天3%水溶液として調製した。斯くして調製した各水溶液を、85℃の温浴で十分に加温し、これをクリーンベンチ内で滅菌した容器に、表10に記載する処方に従って配合し、容器を振盪して十分に混合した。混合後、再度85℃の温浴で十分に加温してから無菌のスタンプ培地用シャーレ(内径55mm)に12〜15gずつ加えた。次いで、クリーンベンチ内で放冷固化させて、スタンプ培地を調製した。 得られたスタンプ培地について、実験例1と同様の方法で、スタンプ培地の物性評価(透明性、ブルーム値、離水)を行い、またサルモネラ菌(Salmonella abony)を35℃16時間及び35℃24時間の各条件で培養して、スタンプ培地中のコロニー形成性を評価した。結果を表11および図3に示す。 本発明のスタンプ培地(実施例18)は、ゲル化剤として寒天を用いて調製したスタンプ培地(比較例4)に比して、ブルーム値が低く粘弾性のある柔らかいゲルであり、スタンプ培地として適していた。また、図3からわかるように、本発明のスタンプ培地(実施例18)は透明度が高く、比較例の培地を使用した場合よりも、コロニーの発育が良好でより大きなコロニーが形成された。すなわち、本発明のスタンプ培地によれば、培地の透明度が高く、また良好なコロニー形成性を有することから、容易に菌(サルモネラ菌)の存在を確認することができる。 実験例5(緑膿菌用培地) 緑膿菌用培地として、表12に記載する組成からなるフルオレセイン検出用シュードモナス培地を作成した。まず、表12に記載する各原料を各々イオン交換水に溶解して、これを耐熱性容器に充填して、121℃で15分間高圧蒸気滅菌して水溶液として調製した。なお、脱アシル型ジェランガムおよびネイティブ型ジェランガムについては、実験例1に記載する方法に従って各々脱アシル型ジェランガム1.2%水溶液、ネイティブ型ジェランガム2.4%水溶液及び寒天3%水溶液として調製した。斯くして調製した各水溶液を、85℃の温浴で十分に加温し、これをクリーンベンチ内で滅菌した容器に、表12に記載する処方に従って配合し、容器を振盪して十分に混合した。混合後、再度85℃の温浴で十分に加温してから無菌のスタンプ培地用シャーレ(内径55mm)に12〜15gずつ加えた。次いで、クリーンベンチ内で放冷固化させて、スタンプ培地を調製した。 得られたスタンプ培地について、実験例1と同様の方法で、スタンプ培地の物性(透明性、ブルーム値、離水)を評価し、また緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)を35℃24時間の条件で培養して、スタンプ培地中のコロニー形成性を評価した。結果を表13および図4に示す。 本発明のスタンプ培地(実施例19)は、ゲル化剤として寒天を用いて調製したスタンプ培地(比較例5)に比して、ブルーム値が低く粘弾性のある柔らかいゲルであり、スタンプ培地として適していた。また、図4からわかるように、本発明のスタンプ培地(実施例19)は透明度が高く、比較例5の培地を使用した場合よりも、コロニーの発育が良好でより大きなコロニーが形成された。すなわち、本発明のスタンプ培地によれば、培地の透明度が高く、また良好なコロニー形成性を有することから、容易に菌(緑膿菌)の存在を確認することができる。 実験例6(黄色ブドウ球菌用培地) 黄色ブドウ球菌用培地として、表14に記載する組成からなるマンニット・食塩培地を作成した。まず、表14に記載する各原料を各々イオン交換水に溶解して、これを耐熱性容器に充填して、121℃で15分間高圧蒸気滅菌して水溶液として調製した。なお、脱アシル型ジェランガムおよびネイティブ型ジェランガムについては、実験例1に記載する方法に従って各々脱アシル型ジェランガム1.2%水溶液、ネイティブ型ジェランガム2.4%水溶液及び寒天3%水溶液として調製した。斯くして調製した各水溶液を、85℃の温浴で十分に加温し、これをクリーンベンチ内で滅菌した容器に、表14に記載する処方に従って配合し、容器を振盪して十分に混合した。混合後、再度85℃の温浴で十分に加温してから無菌のスタンプ培地用シャーレ(内径55mm)に12〜15gずつ加えた。次いで、クリーンベンチ内で放冷固化させて、スタンプ培地を調製した。 得られたスタンプ培地について、実験例1と同様の方法で、スタンプ培地の物性評価(透明性、ブルーム値、離水)を行い、また黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を35℃24時間及び35℃48時間の各条件で培養して、スタンプ培地中のコロニー形成性を評価した。結果を表15および図5に示す。 本発明のスタンプ培地(実施例20)は、ゲル化剤として寒天を用いて調製したスタンプ培地(比較例6)に比して、ブルーム値が低く粘弾性のある柔らかいゲルであり、スタンプ培地として適していた。また、図5からわかるように、本発明のスタンプ培地(実施例20)は透明度が高く、比較例6の培地を使用した場合よりも、コロニーの発育が良好でより大きなコロニーが形成された。すなわち、本発明のスタンプ培地によれば、培地の透明度が高く、また良好なコロニー形成性を有することから、容易に菌(緑膿菌)の存在を確認することができる。 本発明により、培地に菌を採取しやすく、更には、離水が生じず、透明で菌の発育の良いスタンプ培地を提供できる実験例1で評価して、スタンプ培地(比較例1,実施例1〜6)のコロニー形成性を示すデータとして、手指の菌採取後培養した後のシャーレ写真の画像を示す(参考として被験者Cの人差し指の菌検出状況。35℃で48時間培養後)。実験例2にて、カビおよび酵母のそれぞれについて、各スタンプ培地(実施例16,比較例2)によるコロニー形成性を示すシャーレ写真の画像を示す(25℃で72時間培養後)。実験例4にて、サルモネラ菌について各スタンプ培地(実施例18,比較例4)によるコロニー形成性を示すシャーレ写真の画像を示す(35℃で16時間、35℃で24時間培養後)。実験例5にて、緑膿菌について各スタンプ培地(実施例19,比較例5)によるコロニー形成性を示すシャーレ写真の画像を示す(35℃24時間培養後)。実験例6にて、黄色ブドウ球菌について各スタンプ培地(実施例20,比較例6)によるコロニー形成性を示すシャーレ写真の画像を示す(35℃で24時間、35℃で48時間培養後)。 ゲル化剤としてジェランガムを用いて調製されてなるスタンプ培地。 ジェランガムを0.05〜5重量%の割合で含有する請求項1記載のスタンプ培地。 上記ジェランガムとしてネイティブ型ジェランガムを用いる、請求項1又は2に記載のスタンプ培地。 上記ジェランガムとして脱アシル型ジェランガムとネイティブ型ジェランガムとの混合物を用いる、請求項1又は2に記載のスタンプ培地。 さらにアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含有する請求項4記載のスタンプ培地。 上記混合物が、脱アシル型ジェランガム1重量部に対して、ネイティブ型ジェランガムを0.1〜20重量部の割合で含むものである、請求項4または5記載のスタンプ培地。 スタンプ培地として請求項1乃至6のいずれかに記載するスタンプ培地を用いることを特徴とする、スタンプ法による細菌検査方法。 【課題】スタンプ法による細菌検出検査に適したスタンプ培地を提供する。より詳細には、湾曲部や凹凸部に拘わらず、培地に菌を採取しやすく、更に離水の発生が少なく、透明で菌の発育の良いスタンプ培地を提供する。【解決手段】培地のゲル化剤としてジェランガムを使用する。スタンプ培地として、シャーレの受皿部にジェランガムで固形化した培地が満たされ、該受皿部に蓋部が取り外し可能に被せられて、かつ前記培地及び蓋部で被った内部が無菌状態にあり、被検査部位にスタンプ採菌するためのスタンプ培地を提供する。【選択図】なし