| タイトル: | 公開特許公報(A)_テトラヒドロピランを溶媒とするアルコール化合物存在下での水素化ホウ素化合物の還元反応 |
| 出願番号: | 2006202934 |
| 年次: | 2008 |
| IPC分類: | C07C 29/147,C07C 33/20,C07C 33/22,C07C 33/12,C07C 31/125,C07C 29/132 |
安田 浩 折山 剛 JP 2008031047 公開特許公報(A) 20080214 2006202934 20060726 テトラヒドロピランを溶媒とするアルコール化合物存在下での水素化ホウ素化合物の還元反応 昭和電工株式会社 000002004 大家 邦久 100081086 林 篤史 100121050 安田 浩 折山 剛 C07C 29/147 20060101AFI20080118BHJP C07C 33/20 20060101ALI20080118BHJP C07C 33/22 20060101ALI20080118BHJP C07C 33/12 20060101ALI20080118BHJP C07C 31/125 20060101ALI20080118BHJP C07C 29/132 20060101ALI20080118BHJP JPC07C29/147C07C33/20C07C33/22C07C33/12C07C31/125C07C29/132 8 OL 9 4H006 4H006AA02 4H006AA03 4H006AB81 4H006BB25 4H006BE23 本発明はテトラヒドロピラン中に水素化ホウ素化合物とアルコール化合物を含む組成物、及び該組成物を用いたよるアルコール化合物の製造に関する。 従来、水素化ホウ素化合物によるエステル化合物およびエポキシド化合物の還元反応は非水溶媒で行われる方法が一般的である。 このような方法で用いられる水素化ホウ素化合物としては、水素化ホウ素リチウム(J. Am. Chem. Soc., 62 p3429 (1940):非特許文献1)、水素化ホウ素カルシウム(Collect. Czech. Chem. Comm. 37 p2962 (1972):非特許文献2)、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素スズなどが知られている。しかし、これらの化合物は湿気で容易に分解し、また、水とも激しく反応するなど取り扱いに難があった。 例えば、水素化ホウ素カルシウムはテトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)などの塩の溶解力が高い溶媒中においてエステル化合物およびエポキシド化合物(J. Am. Chem. Soc.,71 p3362 (1949):非特許文献3)を容易に還元することができるが、反応副生物として生成する無機ホウ素化合物を分離するために還元反応後に水を加える必要があり、このとき、水と混和するテトラヒドロフラン、ジグライムを溶媒に用いた場合は容易に分液することができず、生成したアルコール化合物の回収が困難であるという問題がある。 一方、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムは、湿気で容易に分解することがなく取り扱いも容易であるが、還元力が弱く、一般的にエステル化合物およびエポキシド化合物を還元することができない(Reduction in Organic Chemistry, Ellis Horwood Ltd., Chichester (1984):非特許文献4)。 また、エーテル系溶媒であるテトラヒドロフラン中にて、アルコール化合物と水素化ホウ素化合物からなる組成物によるエステル化合物およびエポキシド化合物の還元反応は公知である(有機合成化学,45 p1148 (1987):非特許文献5)。しかし、この方法においては、水と任意の比で混合するテトラヒドロフランと低級アルコールを用いるため、生成物の分離の際は、反応溶媒を留去後、更に酢酸エチルなどの抽出溶媒を加え抽出分離しなければならないという問題がある。J. Am. Chem. Soc., 62 p3429 (1940)Collect. Czech. Chem. Comm. 37 p2962 (1972)J. Am. Chem. Soc.,71 p3362 (1949)Reduction in Organic Chemistry, Ellis Horwood Ltd., Chichester (1984)有機合成化学,45 p1148 (1987) 本発明の課題は、エステル化合物およびエポキシド化合物を水素化ホウ素化合物により還元してアルコール化合物を製造する方法における上記のような問題、すなわち、生成したアルコールの抽出が困難である問題、および還元力の強い水素化ホウ素化合物は取扱性が悪く、還元力の弱い水素化ホウ素化合物は反応性に劣るという問題を解決することにある。 本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意努力した結果、エステル化合物およびエポキシド化合物の還元反応において、テトラヒドロピラン溶媒中で水素化ホウ素化合物とアルコール化合物を含む組成物を用いることにより、水素化ホウ素化合物の還元力を高め、還元力は弱いが取り扱いが容易な水素化ホウ素化合物を使用することができるようになること、また、反応溶媒と抽出溶媒を同一とすることができるため反応工程の簡素化、エネルギーコストの低減などが実現できるようになること、さらに溶媒として毒性の低いテトラヒドロピランを用いることにより、生体への安全性が高まることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は以下の組成物、及びアルコール化合物の製造方法に関するものである。[1]テトラヒドロピラン中に水素化ホウ素化合物とアルコール化合物を含むことを特徴とする組成物。[2]水素化ホウ素化合物が水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム及び水素化ホウ素アンモニウム塩からなる群から選択される一種以上である前記1に記載の組成物。[3]アルコール化合物が脂肪族1級アルコール化合物である前記1〜2に記載の組成物。[4]水素化ホウ素化合物とアルコール化合物のアルコール化合物性水酸基のモル比が1〜3である前記1〜3のいずれかに記載の組成物。[5]エステル化合物を前記1〜4のいずれかに記載の組成物で還元することを特徴とするアルコール化合物の製造方法。[6]エステル化合物の還元反応の後、水を加え、反応により生成したアルコール化合物をテトラヒドロピラン層へ抽出する前記1〜5のいずれかに記載のアルコール化合物の製造方法。[7]エポキシド化合物を前記1〜4のいずれかに記載の組成物で還元することを特徴とするアルコール化合物の製造方法。[8]エポキシド化合物の還元反応の後、水を加え、反応により生成したアルコール化合物をテトラヒドロピラン層へ抽出する前記5〜7のいずれかに記載のアルコール化合物の製造方法。 本発明の組成物を用いることにより、還元力は弱いが水と激しく反応することがなく、取り扱いが容易な水素化ホウ素化合物を使用することができるようになる。また、反応溶媒と抽出溶媒を同一とすることができるため反応工程の簡素化、エネルギーコストの低減などが実現できる。さらに、溶媒として毒性の低いテトラヒドロピランを用いることにより、生体への安全性が高まる。このため、エステル化合物及びエポキシド化合物の還元反応等をより効率的に行うことが出来る。 以下に、本発明の具体的内容について詳細に説明する。 本発明は、テトラヒドロピラン溶媒中で水素化ホウ素化合物とアルコール化合物からなる組成物を用いて、エステル化合物およびエポキシド化合物を還元することによるアルコール化合物の製造方法に関する。[水素化ホウ素化合物] 本発明で使用される水素化ホウ素化合物は、下記式(式中、Mは1価の陽イオンとなり得る金属または原子団を表す。)で表される化合物である。 ここで、Mが金属である水素化ホウ素化合物としては、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムなどが挙げられる。また、Mが1価の陽イオンとなり得る水素化ホウ素化合物としては、有機アンモニウムを有する水素化ホウ素化合物(本願において水素化ホウ素アンモニウム等と言う。)、例えば、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウム、水素化ホウ素テトラエチルアンモニウム、水素化ホウ素テトラブチルアンモニウム、水素化ホウ素トリメチルオクチルアンモニウム、水素化ホウ素トリメチルベンジルアンモニウムなどが挙げられる。[アルコール化合物] 本発明で使用されるアルコール化合物については特に制限はない。 具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノール、アリルアルコール化合物、ベンジルアルコール化合物などの1級アルコール化合物、イソプロパノール、sec−ブチルアルコール化合物、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メントールなどの2級アルコール化合物、t−ブチルアルコール化合物などの3級アルコール化合物、また、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどのテトラオール類などが挙げられる。 これらの中では、特に1級アルコール化合物、特に低級アルコールが有効であり、中でも特にメタノールが好適である。 これらのアルコール化合物は単独で用いても良いし、複数種用いてもよい。複数種用いる場合は1級アルコールと2,3級アルコールとを組み合わせることが好ましく、その場合も、1級アルコールとしてはメタノールを用いることが特に好ましい。[水素化ホウ素化合物とアルコール化合物] 次に、水素化ホウ素化合物とアルコール化合物の量比を説明する。 水素化ホウ素化合物とアルコール化合物は任意の量で混合し、組成物を形成してよい。 水素化ホウ素化合物として水素化ホウ素ナトリウム、アルコール化合物としてメタノールを用いる場合について詳しく説明する。 テトラヒドロピラン中に溶解または分散している水素化ホウ素ナトリウムにメタノールを一度に混合する場合は、水素化ホウ素ナトリウムに対してメタノールは1〜4モル当量用いることが望ましい。 テトラヒドロピラン中に溶解または分散している水素化ホウ素ナトリウムにメタノールを徐々に添加する場合は、水素化ホウ素ナトリウムに対してメタノールは1〜20モル当量用いることが望ましい。 テトラヒドロピラン中において、水素化ホウ素ナトリウムとメタノールがどのような構造の組成物を形成しているのかは明らかになっていないが、メタノールの活性水素と水素化ホウ素ナトリウムのヒドリドが反応して、水素が発生し、ホウ酸エステルが生成しているものと推定される。このため、水素化ホウ素ナトリウムに一度に大過剰のメタノールを加えると、水素発生を伴い著しく還元力が低下し、全く反応しない場合がある。 水素化ホウ素化合物は、ヒドリド換算でエステル化合物に対して少なくとも2mol当量使用される。すなわち、水素化ホウ素ナトリウム1モル当量にメタノールを2モル当量用いた場合には、水素化ホウ素ナトリウム上のヒドリドは2モル当量相当になるので、エステル化合物は1モル当量未満用いられる。また、水素化ホウ素ナトリウム1モル当量にメタノールを3モル当量用いた場合には、水素化ホウ素ナトリウム上のヒドリドは1モル当量相当になるので、エステル化合物は0.5モル当量未満用いられる。 水素化ホウ素化合物は、ヒドリド換算でエポキシド化合物に対して少なくとも1mol当量使用される。すなわち、水素化ホウ素ナトリウム1モル当量にメタノールを2モル当量用いた場合には、水素化ホウ素ナトリウム上のヒドリドは2モル当量相当になるので、エポキシド化合物は2モル当量未満用いられる。また、水素化ホウ素ナトリウム1モル当量にメタノールを3モル当量用いた場合には、水素化ホウ素ナトリウム上のヒドリドは1モル当量相当になるので、エステル化合物は1モル当量未満用いられる。 反応は通常、テトラヒドロピランに水素化ホウ素化合物を溶解または懸濁させ、エステル化合物またはエポキシド化合物を加えると同時または後に、アルコール化合物を加える。アルコール化合物は一度に加えても良いし、徐々に添加してもよい。 反応温度はテトラヒドロピランの融点(−45℃)から反応液の還流温度の間で行うことができ、好適には0℃〜反応液の還流温度の間である。 本発明では、エステル化合物またはエポキシド化合物の反応終了後に水を加えることにより、無機物を水層に、生成したアルコール化合物をテトラヒドロピラン層に抽出して分離することができる。すなわち、生成したアルコール化合物を含む反応溶媒を濃縮したり、別途抽出溶媒を加えることなしに直接抽出分離することができる。[エステル化合物] 本発明で使用されるエステル化合物については特に制限はない。 具体的には、蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクチル酸メチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル、フェニル酢酸ブチル、アセト酢酸エチルなどの脂肪族エステル化合物、シュウ酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、グルタル酸ジエチルなどの多価脂肪族エステル化合物、安息香酸エチル、アニス酸メチル、2−ナフタレンカルボン酸メチルなどの芳香属エステル化合物、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、トリメリット酸トリメチル、ピロメリット酸テトラメチルなどの多価芳香族エステル化合物、2−ピリジンカルボン酸エチル、5−カルボキシエチルインドールなどの複素環式エステル化合物などを用いることができる。[末端エポキシド化合物] 本発明で使用される末端エポキシド化合物については特に制限はない。 具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシドール、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、イソブチレンオキシド、ペンタメチレンオキシド、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシヘキサン、2,3−ジメチル−2,3−エポキシブタン、シクロヘキセンオキシド、1,4−エポキシシクロヘキサン、1−ジエチルアミノ−2,3−エポキシプロパン、1,2−ジメチルー1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシオクタン、スチレンオキシド、3−フェニル−2,3−エポキシ−1−プロパノール、1,2−エポキシ−3−フェニルプロパンなどを用いることができる。 以下に本発明について代表的な例を示し具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。 なお、実施例における各成分の分析はガスクロマトグラフィー装置(アジレント(株)製,6890N)を用い、分析カラムとしてJ&W製DB−1カラム(長さ30m,直径0.32mm,膜厚1μm)を用いた。[実施例1] 容量30mlのナスフラスコに氷冷下、撹拌子、テトラヒドロピラン5ml、3−フェニルプロピオン酸エチル0.89g(5mmol)、水素化ホウ素ナトリウム0.38g(10mmol)を加えた後、テトラヒドロピラン5mlとメタノール0.64g(20mmol)との混合液を加え、激しく撹拌した。室温へ10分かけて昇温し、室温で8時間反応させた。反応後、水で反応を停止させ、テトラヒドロピラン層と水層との分液操作を行い、テトラヒドロピラン層に抽出された3−フェニルプロパノール(アルコール化合物)をGCで定量した。収率92%であった。[実施例2] 容量30mlのナスフラスコに氷冷下、撹拌子、テトラヒドロピラン5ml、安息香酸メチル0.68g(5mmol)、水素化ホウ素ナトリウム0.38g(10mmol)を加えた後、テトラヒドロピラン5mlとメタノール0.64g(20mmol)との混合液を加え、激しく撹拌した。室温へ10分かけて昇温し、室温で8時間反応させた。反応後、水で反応を停止させ、テトラヒドロピラン層と水層との分液操作を行い、テトラヒドロピラン層に抽出されたベンジルアルコール(アルコール化合物)をGCで定量した。収率78%であった。[実施例3] 実施例1において、メタノールの代わりにエタノール0.92g(20mmol)を加え、同一の操作をおこなった。3−フェニルプロパノールの収率は25%であった。[実施例4] 実施例2において、メタノールの代わりにエタノール0.92g(20mmol)を加え、同一の操作をおこなった。ベンジルアルコールの収率は11%であった。[実施例5] 容量30mlのナスフラスコに氷冷下、撹拌子、テトラヒドロピラン5ml、3−フェニルプロピオン酸エチル0.89g(5mmol)、水素化ホウ素ナトリウム0.38g(10mmol)を加えた後、テトラヒドロピラン5mlとメタノール0.64g(20mmol)、エタノール0.92g(20mmol)との混合液を加え、激しく撹拌した。室温へ10分かけて昇温し、室温で8時間反応させた。反応後、水で反応を停止させ、テトラヒドロピラン層と水層との分液操作を行い、テトラヒドロピラン層に抽出された3−フェニルプロパノール(アルコール化合物)をGCで定量した。収率97%であった。[実施例6] 実施例5において、エタノールの代わりにイソプロパノール1.20g(20mmol)を加え、同一の操作をおこなった。3−フェニルプロパノールの収率は68%であった。[実施例7] 実施例5において、エタノールの代わりにt−ブタノール1.48g(20mmol)を加え、同一の操作をおこなった。3−フェニルプロパノールの収率は91%であった。[実施例8] 容量30mlのナスフラスコに氷冷下、撹拌子、テトラヒドロピラン5ml、安息香酸メチル0.68g(5mmol)、水素化ホウ素ナトリウム0.38g(10mmol)を加えた後、テトラヒドロピラン5mlとメタノール0.64g(20mmol)、エタノール0.92g(20mmol)との混合液を加え、激しく撹拌した。室温へ10分かけて昇温し、室温で8時間反応させた。反応後、水で反応を停止させ、テトラヒドロピラン層と水層との分液操作を行い、テトラヒドロピラン層に抽出されたベンジルアルコール(アルコール化合物)をGCで定量した。収率54%であった。[実施例9] 実施例8において、エタノールの代わりにイソプロパノール1.20g(20mmol)を加え、同一の操作をおこなった。ベンジルアルコールの収率は39%であった。[実施例10] 実施例8において、エタノールの代わりにt−ブタノール1.48g(20mmol)を加え、同一の操作をおこなった。ベンジルアルコールの収率は45%であった。[実施例11] 容量30mlのナスフラスコに氷冷下、撹拌子、テトラヒドロピラン5ml、スチレンオキシド1.20g(10mmol)、水素化ホウ素ナトリウム0.38g(10mmol)を加えた後、テトラヒドロピラン5mlとメタノール0.64g(20mmol)との混合液を加え、激しく撹拌した。室温へ10分かけて昇温し、還流下で5時間反応させた。反応後、水で反応を停止させ、テトラヒドロピラン層と水層との分液操作を行い、テトラヒドロピラン層に抽出された1−フェニルエタノール(アルコール化合物)をGCで定量した。収率96%であった。[実施例12] 実施例11において、スチレンオキシドの代わりにイソブチレンオキシド0.72g(10mmol)を加え、同一の操作をおこなった。t−ブタノールの収率は58%であった。[実施例13] 実施例11において、スチレンオキシドの代わりに1,2−エポキシヘキサン1.00g(10mmol)を加え、同一の操作をおこなった。2−ヘキサノールの収率は67%であった。[実施例14] 実施例11において、スチレンオキシドの代わりにシクロヘキセンオキシド0.98g(10mmol)を加え、同一の操作をおこなった。シクロヘキシルアルコールの収率は28%であった。 テトラヒドロピラン中に水素化ホウ素化合物とアルコール化合物を含むことを特徴とする組成物。 水素化ホウ素化合物が水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム及び水素化ホウ素アンモニウム塩からなる群から選択される一種以上である請求項1に記載の組成物。 アルコール化合物が脂肪族1級アルコール化合物である請求項1〜2に記載の組成物。 水素化ホウ素化合物とアルコール化合物のアルコール化合物性水酸基のモル比が1〜3である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。 エステル化合物を請求項1〜4のいずれかに記載の組成物で還元することを特徴とするアルコール化合物の製造方法。エステル化合物の還元反応の後、水を加え、反応により生成したアルコール化合物をテトラヒドロピラン層へ抽出する請求項1〜5のいずれかに記載のアルコール化合物の製造方法。 エポキシド化合物を請求項1〜4のいずれかに記載の組成物で還元することを特徴とするアルコール化合物の製造方法。 エポキシド化合物の還元反応の後、水を加え、反応により生成したアルコール化合物をテトラヒドロピラン層へ抽出する請求項5〜7のいずれかに記載のアルコール化合物の製造方法。 【課題】エステル化合物およびエポキシド化合物を水素化ホウ素化合物により還元してアルコール化合物を製造する方法において問題となっている、生成したアルコールの抽出が困難である問題、および還元力の強い水素化ホウ素化合物は取扱性が悪く、還元力の弱い水素化ホウ素化合物は反応性に劣るという問題を解決する。【解決手段】エステル化合物およびエポキシド化合物の還元反応において、テトラヒドロピラン溶媒中で水素化ホウ素化合物とアルコール化合物を含む組成物を用いることにより、水素化ホウ素化合物の還元力を高め、還元力は弱いが取り扱いが容易な水素化ホウ素化合物を使用することができるようになり、また、反応溶媒と抽出溶媒を同一とすることができるため反応工程の簡素化、エネルギーコストの低減などが実現できるようになり、さらに溶媒として毒性の低いテトラヒドロピランを用いることにより、生体への安全性が高まる。【選択図】なし