| タイトル: | 公開特許公報(A)_オオアザミ属植物から得られるインスリン抵抗性改善組成物 |
| 出願番号: | 2006191801 |
| 年次: | 2008 |
| IPC分類: | A61K 36/28,A61K 36/00,A61P 43/00,A61P 3/10,A61P 3/04,A23L 1/30,A23K 1/16 |
川中 聡 橋本 麻美子 木村 隆 JP 2008019198 公開特許公報(A) 20080131 2006191801 20060712 オオアザミ属植物から得られるインスリン抵抗性改善組成物 ユニチカ株式会社 000004503 川中 聡 橋本 麻美子 木村 隆 A61K 36/28 20060101AFI20080104BHJP A61K 36/00 20060101ALI20080104BHJP A61P 43/00 20060101ALI20080104BHJP A61P 3/10 20060101ALI20080104BHJP A61P 3/04 20060101ALI20080104BHJP A23L 1/30 20060101ALI20080104BHJP A23K 1/16 20060101ALI20080104BHJP JPA61K35/78 TA61K35/78 YA61P43/00 111A61P3/10A61P3/04A23L1/30 BA23K1/16 304C 7 OL 9 2B150 4B018 4C088 2B150AA01 2B150AA05 2B150AA06 2B150AB10 2B150BC06 2B150DD42 2B150DD57 4B018LB01 4B018LB02 4B018LB07 4B018LB08 4B018LB09 4B018LE01 4B018LE02 4B018LE03 4B018LE05 4B018MD48 4B018ME03 4B018MF01 4C088AB27 4C088AC04 4C088AC05 4C088BA08 4C088BA10 4C088CA03 4C088CA06 4C088CA09 4C088CA10 4C088NA14 4C088ZA70 4C088ZC19 4C088ZC35 本発明は、アディポネクチン産生促進活性を有する組成物及びその製造方法並びにインスリン抵抗性改善剤、インスリン抵抗性改善作用を有する飲食品並びに飼料に関するものであり、さらに詳しくは、インスリン抵抗性の改善等に有効な安全性の高い、アディポネクチン産生促進活性を有する組成物とそれを含有する薬剤、飲食品、飼料に関するものである。 飽食化や食生活様式の変化(高脂肪食)、社会生活の変化に伴う肉体労働の減少、運動習慣の減少、ストレスが原因で引き起こされる過食や暴飲暴食などにより、現代人は肥満になりやすく、結果として2型糖尿病やさらに深刻なメタボリックシンドーム(高脂血症、高血圧、動脈硬化性疾患、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、高LDL血症、耐糖能異常など)などを引き起こしやすくなっている。 脂肪細胞が種々の内分泌因子であるアディポサイトカイン(アディポネクチン、レプチン、PAI−1、TNF−α、アンジオテンシノーゲンなど)を産生・分泌し、糖や脂質の代謝、動脈壁の恒常性維持に重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。なかでもアディポネクチンはヒト脂肪細胞組織から同定された脂肪組織特異的に産生される“善玉アディポサイトカイン”であり、その血中濃度は脂肪細胞が前駆状態であれば高いが、肥満や2型糖尿病、虚血性疾患において脂肪細胞が分化して肥大化するとともに低下する。このとき、逆にインスリン抵抗性を惹起するような“悪玉アディポサイトカイン”濃度が高まり、インスリン抵抗性のリスクは高まる。ヒトや動物を用いた実験により、高カロリー摂取と脂肪蓄積により引き起こされる低アディポネクチン状態が、インスリン抵抗性を高め、動脈硬化を引き起こすことが確認されている。一方、アディポネクチンを注射で投与し、血中濃度を高めることにより、糖尿病モデルマウスの血糖値を低下させ、動脈硬化に繋がる血管病変の形成を抑制できることが実験で示されている。(非特許文献1〜3参照)。 アディポネクチンを直接的に投与する方法は有用であるが、体内におけるアディポネクチンの産生不良を改善したり、産生を促進させることは長期にわたる生活習慣病の予防と治療にとって非常に重要であると考えられる。cAMP分解酵素阻害剤であるイソブチルメチルキサンチン(非特許文献4)、2型糖尿病の治療薬であるチアゾリジン誘導体(特許文献1、非特許文献5参照)が糖尿病モデルマウスを用いた経口投与試験において、血中アディポネクチン濃度を高めることが確認されている。 また、食品として経口摂取可能な成分にも前駆脂肪細胞からのアディポネクチン産生促進作用があることが最近判明している。例えば、バラ科又はブドウ科植物果実抽出物(特許文献2)、柑橘類果実のフラバノン類(特許文献3)、大豆のイソフラボン類(非特許文献6)、米糠や羅漢果、シメジ、キク、ライ麦、シラカバ、月桃由来のステロール類(特許文献4)、ショウガ科ウコン属のクルクミン(特許文献5)、ショウガなどに含まれるジンゲロール(特許文献6)などが挙げられるが、アザミ属の植物にアディポネクチン産生促進活性やインスリン抵抗性改善作用があることは全く知られていなかった。下村伊一郎他、実験医学、Vol.20,No.12,1762−1767(2002)A.H.Berg et al., Nature Medicine,7,947−953(2001)Y.Okamoto,Circulation,106,2767−2770(2002)A.K.G.Loeffler,Horm.Metab.Res.,32,548−554(2000)N.Maeda et al.,Diabetes,50,2094−2099(2001)Nagasawa A, Fukui K et al.、Horm Metab Res.、34、635-9(2002)米国特許第6153432号特開2000−186043号公報特開平11−171766号公報特開2005−68132号公報特開2005−60308号公報特開2006−45210号公報 上記のように血中のアディポネクチン濃度を上昇させる医薬品がすでに知られているが、いずれも安全性や副作用の点で問題がある。すなわち、イソブチルメチルキサンチンは医薬品として認可されたものではないし、チアゾリジン誘導体は肝毒性が強いため、服用は医師の厳重なコントロール下にされねばならず、気軽に摂取できるものではない。 一方、前述したようにいくつかの食品又はその成分にアディポネクチン産生促進活性が知られているが、その作用は十分とは言えず、満足できるものではなかった。 このような状況下、豊富な食経験があり、アディポネクチン産生促進作用を有する植物由来の破砕物又は抽出物を摂取することにより、2型糖尿病や肥満またはインスリン抵抗性を防止又は改善することが期待されていた。 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、前駆脂肪細胞からのアディポネクチン産生を促進して脂肪細胞に分化させ、血中の糖を取り込ませることが可能になることにより血糖値の上昇を抑制し、さらにインスリン抵抗性糖尿病を改善し、さらには肥満及びインスリン抵抗性の発生を予防又は改善する効果に優れるアディポネクチン産生促進活性を有する組成物、及びその組成物を含有するインスリン抵抗性改善剤及び飲食品並びに飼料を提供することを目的としている。 本発明者らは、アディポネクチン産生促進作用を有する植物由来の組成物の検討を鋭意行い、オオアザミ属植物の抽出物にその活性が高いことを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明の第一は、オオアザミ属植物から得られることを特徴とするアディポネクチン産生促進活性を有する組成物を要旨とするものであり、好ましくは、オオアザミ属植物が、オオアザミであるものである。また本発明の第二は、オオアザミ属植物から溶媒を用いて抽出物を得ることを特徴とする前記したアディポネクチン産生促進活性を有する組成物の製造方法を要旨とするものであり、好ましくは、溶媒がメタノール、エタノール、ヘキサン及び二酸化炭素からなる群から選ばれる1種の溶媒又は2種以上を混合した溶媒であるものである。 本発明の第三は、前記したアディポネクチン産生促進活性を有する組成物を有効成分とすることを特徴とするインスリン抵抗性改善剤を要旨とするものである。 本発明の第四は、該組成物を含有するインスリン抵抗性改善作用を有する飲食品、また本発明の第五は、該組成物を含有する飼料を要旨とするものである。 本発明によれば、食経験豊かなオオアザミ属植物を薬学的組成物や食品組成物として利用することにより、糖尿病や関連疾患の進行防止、あるいはこれら疾患の改善が期待できる。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明におけるキク科オオアザミ(Silybum)属植物は、地中海からアフリカやアジアにかけて分布する2年草植物である。代表的なオオアザミ属植物としてはオオアザミ(Silybum marianum)があり、別名マリアアザミ、或いはミルクシスルとも呼ばれる。 ヨーロッパではサラダなどの料理に使われることもあり、ギリシャ本草書デイオスコリデスには、”シルボン”の名で登場し、若葉は油と塩で炒めて食用とすると記されている。西暦1世紀にはローマの博物学者の大プリニウスが肝臓薬として勧めており、古くから肝臓の薬とされてきた。種の中にシリビン、シリジアニン、シリクリスチンなどのフラボノリグナンが含まれ、これらをシリマリンと総称している。シリマリンには肝臓のグルタチオン量を増加させて解毒機能を強化したり、肝細胞を保護する作用、肝細胞の再生を促進する作用、高い抗酸化活性とリポキシゲナーゼ阻害効果、表皮基底細胞を活性化とエラスチン産生促進などによる皮膚老化防止作用などが知られている。主に種子と葉が用いられ、ドイツでは種子抽出物を精製したものが抗肝毒性薬として1968年に承認され、その後、フランス、イタリア、中国、韓国などでも承認されている。 前述のように、オオアザミ属植物については肝機能改善効果や皮膚老化防止作用については知られていたが、アディポネクチン産生促進活性やインスリン抵抗性改善作用については全く知られていなかった。 本発明のアディポネクチン産生促進活性を有する組成物は、オオアザミ属植物から得られるものであって、具体的にはオオアザミ属植物の種子や葉、花、茎などを破砕した破砕物または乾燥破砕物や、オオアザミ属植物の種子や葉、花、茎などから各種溶媒を用いて抽出した抽出物や該抽出物を濃縮・乾燥したものなどからなるものであるが、オオアザミ属植物の種子からの溶媒抽出物又は該抽出物の濃縮・乾燥したものが好ましい。 オオアザミ属植物の種子や葉、花、茎などを破砕して破砕物を得るには、予めこれらを乾燥することが好ましい。乾燥条件は、特に限定されるものではなく、公知の方法が利用できる。例えば常温乾燥、加熱乾燥や凍結乾燥、減圧乾燥、真空乾燥などの方法が利用でき、好ましくは経済的な30〜100℃での加熱乾燥であり、50〜80℃での加熱乾燥がさらに好ましい。乾燥機は、例えばドラムドライヤーや流動層式乾燥機、棚式乾燥機、振動乾燥機、ロータリードライヤーなどの機械装置類が挙げられるが特に限定するものではない。 次いで、該乾燥物を破砕するが、公知の破砕方法が採用できる。破砕機としては、例えば、乾式石臼式破砕機、ローラーミル、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、ハンマーミルなどが挙げられるが特に限定するものではない。 以上のようにして得られたオオアザミ属植物の破砕物は、そのままで、あるいは必要に応じて他の成分を加えることで本発明のアディポネクチン産生促進活性を有する組成物となる。 また、オオアザミ属植物から抽出物を得る際に用いられる抽出溶媒としては、例えば水、二酸化炭素、低級1価アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、液状多価アルコール(グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、低級エステル(酢酸エチル等)、炭化水素(ベンゼン、ヘキサン、ペンタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル等)、アセトニトリル等が挙げられ、それらの1種の溶媒又は2種以上を混合した溶媒を用いることができる。好ましくはメタノール、エタノール、ヘキサン、二酸化炭素である。 抽出温度は、抽出溶媒が液体状態であり、抽出中にオオアザミ属植物が腐敗して変質しない条件であれば特に限定しないが、好ましくは40℃以下であり、さらに好ましくは10℃以下である。抽出温度は使用する溶媒の種類によって適宜選択すればよい。また抽出時間は5時間以上が好ましく、さらに好ましくは1週間以上であり、最も好ましくは20日以上である。 抽出後、破砕物と溶媒との混合物は公知の方法によって固液分離し、抽出液のみを回収すればよい。固液分離する方法としては遠心分離、フィルタープレス、吸引ろ過などが挙げられるが特に限定しない。さらに、必要に応じて抽出液を濃縮・乾燥することもできる。 以上のようにして得られたオオアザミ属植物の抽出物は、そのままで、あるいは必要に応じて他の成分を加えることで本発明のアディポネクチン産生促進活性を有する組成物となる。 本発明の組成物に含まれ得る他の成分としては、本発明におけるアディポネクチン産生促進活性を低下させないものであれば混合することが可能であり、例えば従来から用いられている薬学的に許容された界面活性剤、溶媒、増粘剤、安定剤、保存料、酸化防止剤、香味料等のような添加剤と混合されることが出来る。 組成物の形態としては、錠剤、液体、カプセル、軟カプセル、ペースト若しくはトローチ、ガム、又は飲用可能な溶液若しくは乳濁液、ドライ経口サプリメント、ウェット経口サプリメントなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、これらの形態は従来から知られている方法によって作製することができる。 次に、本発明のインスリン抵抗性改善剤は、上記した本発明のアディポネクチン産生促進活性を有する組成物を有効成分として含むものである。有効成分の含有量としては、摂取する対象者の年齢、体重などによって変わり得るが、成人1日あたり0.01〜100mg/kg服用できるように含有するのが好ましく、さらに0.1〜10mg/kgが好ましく、0.5〜5mg/kgが最も好ましい。 本発明のインスリン抵抗性改善剤に含まれる各種添加剤としては、界面活性剤、賦形剤、着色料、保存料、コーティング助剤ならびにこれらの組合せが挙げられる。これら添加剤は、通常の医薬品製造における添加剤であれば特に限定されず、より具体的な例としては、ラクトース、デキストリン、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ソルビトール、結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、デキストリン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、ステアリン酸及びその塩、タルクなどの添加剤であり、これらの組合せが挙げられる。さらに、香辛料、甘味料などを添加してもよい。またさらに、必要に応じて他の薬剤や食品粉砕物、食品抽出物を添加してもよい。 本発明のインスリン抵抗性改善剤の投与剤形も特に限定されず、日本薬局方に従って適切な剤形に製造される。具体的には、カプセル剤、錠剤、粉剤、除放剤などの剤形に製造される。 本発明のインスリン抵抗性改善作用を有する飲食品は、上記した本発明のアディポネクチン産生促進活性を有する組成物を含有するものである。有効成分の含有量は1日あたりの摂取量が0.01〜100mg/kgになるようそれぞれの飲食品の形態に合わせて設定すればよく、さらには0.1〜10mg/kgが好ましく、0.5〜5mg/kgが最も好ましい。 本発明のインスリン抵抗性改善作用を有する飲食品に混合され得る他の材料としては、一般に食品用材料として使用され得るものが挙げられる。例としては、米、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、昆布などから得られる多糖類、大豆や乳製品、動物原料などから得られるタンパク質、グルコース、ラクトース、フルクトース、スクロース、マンニトール、キシリトールや各種オリゴ糖などの糖類、ならびにこれらの組合せが挙げられる。さらに、香辛料、着色料、甘味料、酸味料、食用油、ビタミンや他の食品破砕物、食品抽出物などを添加してもよい。これら適切な材料および添加剤は単独または組合せて使用される。またさらに、必要に応じて水を添加して所望の形状に加工してもよい。 本発明の飲食品の具体例としては、菓子類(ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック菓子、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(味噌、醤油等)、スープ類、飲料(ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や健康食品(錠剤、カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、インスタント食品に本発明の抽出物を添加しても良い。例えば、抽出物を粉末セルロースとともにスプレードライまたは凍結乾燥したものを、粉末、顆粒、打錠または溶液にすることで容易に飲食品に含有させることができる。 本発明のインスリン抵抗性改善作用を有する飼料は、上記した本発明のアディポネクチン産生促進活性を有する組成物を含有するものであり、すべての家畜や家禽、愛玩動物に適用することが可能である。本発明の飼料を適用し得る家畜や家禽類としては、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ウサギ等の家畜、ニワトリ、七面鳥、カモ、ウズラ等の産業上飼育する動物のことである。また本発明を適用しうる愛玩動物とは犬、猫、ハムスターや小型の鳥類等の個人の趣味で飼育する動物や鳥類のことである。飼料組成物としてこれ単独で投与しても良く、さらには飼料に直接添加しても良く、この使用形態は特に限定されない。飼料に添加する場合、添加方法、添加時期等は特に限定されるものではない。 本発明の飼料に含まれる有効成分の含有量は、1日あたりの有効成分の給餌量として0.01〜100mg/kgになるようそれぞれの飼料の形態に合わせて設定すればよく、さらには0.1〜10mg/kgが好ましく、0.5〜5mg/kgが最も好ましい。 本発明の飼料に混合され得る他の材料としては、例えばトウモロコシ、マイロ、大豆、大豆粕、小麦、大麦、米、燕麦、魚粉、脱脂粉乳、ビートパルプペレット、ふすまペレット、グレインスクリーニングペレット、アルファルファペレット、タピオカペレット、コーンコブミール、コットンハルペレット、甘藷チップ、ホミニフィード、ビール粕、ヘイキューブ、ミニキューブ、アルファルファ ベールドヘイ、スーダングラス、稲わら、ライグラスストロー、フェスキューストロー、バミューダストロー、チモシーヘイ、オーツヘイ、糖蜜、ルーピン、カノーラ、菜種粕、綿実、コーングルテンミール、コーングルテンフィード、ソイハルペレット、ホエイパウダー、ビール酵母、コレステロールなどのほか、薬学的に許容され得るビタミン類やミネラル類、飼料添加物、動物医薬品などが挙げられ、特に限定されるものではない。 以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。 なお、アディポネクチン産生促進活性の測定は以下のようにして行った。すなわち、24ウェルのタイタープレートの各ウェルに10%FBS入りDMEM培地(GIBCO社製、グルコース4.5mg/mL含有)0.5mLと前駆脂肪細胞株3T3−L1細胞(ヒューマンサイエンス振興財団)を2.5×104個加え、コンフルエントになるまで培養する。底部に細胞が付着した各ウェルに10%FBS入りDMEM培地(グルコース 4.5mg/mL含有)と検体(各組成物の終固形分濃度が50μg/mLとなるように)を添加して6日間培養した。陽性対照としてはインシュリン溶液(終濃度3.3μg/mL)、デキサメタゾン溶液(終濃度0.33μM)及びイソブチルメチルキサンチン溶液(終濃度0.167mM)の混合液を用いた。陰性対照としては検体の各溶媒を用いた。 6日間培養を行い、各ウェルの上清を回収し、上清中のアディポネクチン量をELISA法により定量した。ELISA測定には、Quantikine Mouse Adiponectin/Acrp30 Immunoassay(R&D Systems社)を使用し、添付の説明書に従い操作した。 実施例1〔オオアザミ抽出物の調製〕オオアザミの種子又は葉を80℃で熱風乾燥し、回転刃付ブレンダーで破砕処理を行い粉末を得た。この破砕物12gに対してエタノール120mlを添加し、4℃にて12時間攪拌して抽出処理を行った。また、エタノールに代えて水、メタノール、ヘキサンそれぞれ単独の溶媒を用いて同様の抽出処理を行った。これらの各抽出物を遠心分離(3000rpm、10分間)して上清を回収し、上清を減圧下で濃縮し、本発明のアディポネクチン産生促進活性を有する組成物を得た。 結果を表1に示した。表1の結果から、オオアザミ属植物の種子又は葉のアルコール類及びヘキサン抽出物には強いアディポネクチン産生促進活性があることが分かる。 実施例2上記実施例1で得たオオアザミ種子のエタノール抽出濃縮物を終固形分濃度が12.5、25、50、100μg/mLとなるように加える以外は同様にして、3T3−L1細胞を用いてアディポネクチンを培地中に産生させ、アディポネクチン量を測定した。結果を表2に示した。表2の結果から、オオアザミ種子のエタノール抽出画分は濃度依存的にアディポネクチン産生促進活性が高くなることが明らかとなった。また破砕前の細胞を顕微鏡下で観察すると、細胞内に油滴を蓄積している状況が確認され、分化誘導されていることが確認された。キク科オオアザミ属植物から得られることを特徴とするアディポネクチン産生促進活性を有する組成物。オオアザミ属植物が、オオアザミである請求項1記載のアディポネクチン産生促進活性を有する組成物。キク科オオアザミ属植物から溶媒を用いて抽出物を得ることを特徴とする請求項1又は2記載のアディポネクチン産生促進活性を有する組成物の製造方法。溶媒が、メタノール、エタノール、ヘキサン及び二酸化炭素からなる群から選ばれる1種の溶媒又は2種以上を混合した溶媒である請求項3記載のアディポネクチン産生促進活性を有する組成物の製造方法。請求項1又は2記載の組成物を含有することを特徴とするインスリン抵抗性改善剤。請求項1又は2記載の組成物を含有することを特徴とするインスリン抵抗性改善作用を有する飲食品。請求項1又は2記載の組成物を含有することを特徴とするインスリン抵抗性改善作用を有する飼料。 【課題】 豊富な食経験があり、アディポネクチン産生促進作用を有する植物由来の破砕物又は抽出物を摂取することにより、2型糖尿病や肥満またはインスリン抵抗性を防止又は改善する組成物を提供する。【解決手段】オオアザミ属植物、好ましくはオオアザミの種子や葉、花、茎などの粉砕物又は抽出物、またはこれらから溶媒を用いて得られる抽出物からなるアディポネクチン産生促進活性を有する組成物、その組成物を含有するインスリン抵抗性改善剤、インスリン抵抗性改善作用を有する飲食品並びに飼料。【選択図】 なし