生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_増強成分入りアムホテリシンB含有抗真菌剤
出願番号:2006187189
年次:2007
IPC分類:A61K 36/18,A61K 31/7048,A61P 31/10,A61P 43/00


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堤 玲子 佐藤 成大 JP 2007332121 公開特許公報(A) 20071227 2006187189 20060612 増強成分入りアムホテリシンB含有抗真菌剤 株式会社プリヴファーマ 505380625 佐藤 成大 506233508 堤 玲子 佐藤 成大 A61K 36/18 20060101AFI20071130BHJP A61K 31/7048 20060101ALI20071130BHJP A61P 31/10 20060101ALI20071130BHJP A61P 43/00 20060101ALI20071130BHJP JPA61K35/78 CA61K31/7048A61P31/10A61P43/00 121 1 1 書面 6 4C086 4C088 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA15 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA13 4C086MA35 4C086MA37 4C086MA41 4C086MA52 4C086MA57 4C086MA59 4C086NA05 4C086NA06 4C086NA14 4C086ZB35 4C086ZC75 4C088AB67 4C088AC11 4C088BA07 4C088BA09 4C088CA01 4C088CA02 4C088CA11 4C088CA12 4C088CA17 4C088MA01 4C088MA02 4C088MA13 4C088MA35 4C088MA37 4C088MA41 4C088MA52 4C088MA57 4C088MA59 4C088NA05 4C088NA06 4C088NA14 4C088ZB35 4C088ZC75 本発明は、増強成分入りアムホテリシンB含有抗真菌剤に関し、更に詳しくは、アムホテリシンBの抗真菌作用を増強させる成分を加えることで、アムホテリシンBの投与量(絶対量)を減らし、その結果、アムホテリシンBの抗菌作用を維持したままその副作用は低減させた抗真菌剤に関するものである。 真菌による感染症は、表在性真菌症と深在性真菌症(内臓真菌症)とに大別される。 表在性真菌症とは、感染が皮膚の表層(表皮、特にその角層)、爪、毛髪又は皮膚に隣接する扁平上皮粘膜(口腔や膣)の表層にとどまり、皮下組織や粘膜に波及することのない真菌症をいう。 また、深在性真菌症とは、感染が皮下組織や粘膜、内臓に波及するもので、多くの場合、重篤で急速に悪化し予後不良となりやすい。癌化学療法、骨髄・臓器移植、高単位コルチコステロイド(corticosteroid)療法等を受けている患者、あるいはエイズ等によって免疫システムが疲弊した患者等で発祥リスクが高く、その頻度も年々増加している。 抗真菌剤の開発は古くから特に皮膚科領域に適用される表在性真菌症治療薬について活発に行われ、現在、20種類以上の多くの治療薬が製造・販売されている。 一方、深在性真菌症治療薬については、アムホテリシンB(amphotericin B)、フルシトシン(flucytosine)、ミコナゾール(miconazole)、フルコナゾール(fluconazole)、イトラコナゾール(itraconazole)、ミカファンギン(micafungin)等があり、最近ではヴィフェンドが上市されているが、表在性真菌症治療薬ほど種類は多くない。 上記治療薬のうち、アムホテリシンBは、酵母(カンジダ、クリプトコッカス、マラセチア)、糸状菌(アスペルギルス、ホルモデンドラム、ホルミシチウム)および二形成菌(ビアホーラ、ヒストプラズマ、ブラストマイセス、コクシジオイデス)による感染症の治療に有効とされ、外用、内服(消化管)及び点滴(静注、深在性感染)製剤が用いられている。 深在性真菌症に対しては、従来から、一般的には静注アムホテリシンBを用いた積極的な治療が必要と考えられ、アムホテリシンBの早めの高用量投与が行われてきた。しかし、そのようなアムホテリシンBの早めの高用量投与は、回復不能な腎障害や低カリウム血症等の強い副作用を引き起こしやすい。一方、ミコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール等のアゾール系抗真菌剤は抗真菌作用が十分でないと言われており、また、イトラコナゾールについては場合によっては重篤な肝不全や心不全が起こることも報告されている。最近上市されたヴィフェンドについてはまだ使用例が少なく、その効果、副作用等についてはよく知られていない。 アムホテリシンBの抗真菌性活性を増強する天然抽出物や精製物は、文献上ではいくつか知られている。例えば、植物由来の天然物については、ニンニクの抽出物(非特許文献1参照)、緑茶カテキン(非特許文献2参照)、姫ウイキョウの抽出物(特許文献1)等である。これら抽出物や精製物には、カンジダ、アスペルギルス又はクリプトコッカス等の真菌に対するアムホテリシンBの抗菌活性を相乗的に増強するものがある。しかしながら、これら植物由来の抽出物又はその精製物をアムホテリシンBと共存させた増強強成分入りアムホテリシンB含有抗真菌製剤は未だ上市されていない。 Planta Med.,62(5),415−419(1996) J.Antimicrobe Chemother.,53(2),225−229(2004) WO2004/067018 本発明は、「増強成分入りアムホテリシンB含有抗真菌剤」を提供するものであり、その目的とするところは、アムホテリシンBの抗菌作用は維持したままその副作用を低減させるアムホテリシンB含有抗真菌剤を提供することである。 〔発明の要旨〕 上記課題を達成するため、本発明者らは種々検討していたところ、アムホテリシンBの抗真菌作用が、リンドウ属(Gentiana spp)植物からの抽出物の共存(同時投与)によって、著しく(約2〜5倍)増強されること、あるいは、通常では抗真菌作用が見られない低濃度のアムホテリシンBであっても上記抽出物の共存によってアムホテリシンBの効果が発揮されることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、(通常使用されるよりも少量の)アムホテリシンBと、(前記アムホテリシンBの抗真菌作用を増強する成分としての)リンドウ属(Gentiana spp)植物からの抽出物とを含有する抗真菌剤に関するものである。 本発明の増強成分入りアムホテリシンB含有抗真菌剤を用いれば、アムホテリシンBの投与量を減らすことができ、その結果、従来よりも低用量のアムホテリシンBで真菌(表在性及び深在性真菌)感染症の治療が可能となる。そのため、従来問題となっていたアムホテリシンB高用量投与における副作用を低減もしくは解消する治療が可能となる。 更に詳しい発明の説明 本発明の抗真菌剤は、前述した通り、アムホテリシンBと、リンドウ属(Gentiana spp)植物からの抽出物とを含有する抗真菌剤である。 ここで、アムホテリシンBは、Streptomyces nodosusにより生産されるポリエン系抗生物質(分子式:C47H73NO17)であり、水に難溶の黄色のプリズム又は針状晶を示す物質である。「ファンギゾン」(商品名)として販売されている製剤の主薬である。 また、本発明で用いるリンドウ属(Gentiana spp)植物としてはエゾリンドウ(Gentiana triflora)が好ましく用いられる。 また、リンドウ属(Gentiana spp)植物の部位としては、根、茎、葉いずれも用いられる。 また、リンドウ属(Gentiana spp)植物からの抽出に用いる媒体は水を主とする水性媒体が好ましく、水に加えてアルコール等の水に可溶な有機溶媒との混合液であってもよい。上記抽出物(粗抽出液)に代えて、これから、液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、分子篩、溶媒沈殿等の公知の分離精製手段を種々組み合わせ、更に精製したもの(精製品)を用いてもよい。 本発明における、アムホテリシンB及びリンドウ属植物抽出物を含有する抗真菌剤の製剤の形態(又は投与ルート)としては、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の内服剤(経口剤)、エアゾール剤・吸入剤、外用剤、注射剤等とすることができる。また、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、エアゾール剤・吸入剤等の調製は、例えば、第14日本薬局方の製剤総則に準じて次のように行なうことができる。<錠剤> 主薬(アムホテリシンB及びリンドウ植物からの抽出物)を秤り取り、一定の形状に圧縮して製する。1錠(例えば、100mg)当たり、アムホテリシンB10mg(力価)、同量のリンドウ属植物抽出物又はその精製物、そのほかに、添加剤としての乳糖、トウモロコシデンプン、エチルセルロース、タルク、ステアリン酸マグネシウム等を含有させることができる。 <顆粒剤> 主薬に矯味剤を加える粒状に製する。<カプセル剤> 主薬を液状、懸濁状、のり状、粉末状または顆粒状等の形でカプセルに充填(硬カプセル剤)するか、または、カプセル基剤で被包成形(軟カプセル剤)して製する。<エアゾール剤・吸入剤> エアゾール剤は、医薬品の溶液、懸濁液などを、同一容器又は別の容器に充填した液化ガス又は圧縮ガスの圧力により、用時噴出して用いるように製したものである。 本剤は、外用塗布、空間噴霧、吸入、内服などの目的に用いられ、噴出形態にはこれらの目的に応じて霧状、粉末状、泡沫状、ペースト状、主薬をドライパウダー状にし、ロタディスクを用い吸入する方法などがある。本剤に用いる容器は密封容器とする。 以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。 実施例1(1)カンジダアルビカンス(Candida albicans,ATCC10231)の培養方法 96穴プレートに重曹およびL−グルタミンを添加した完全合成培地PRMI1640(日水製薬)100μl入れ、これに同培地に懸濁したカンジダアルビカンスを菌体数1000個/mlの濃度となるように加え、全容量を200μlとした。プレートを炭酸ガスインキュベータ(5%炭酸ガス)に入れ、35℃で菌を増殖させた。 (2)リンドウ属植物からの抽出物の調製 リンドウ属植物からの抽出物(リンドウエキス)は次のように調製した。エゾリンドウ(Gentiana triflora var.japonica:品種名「安代の秋」)の乾燥根を細かく砕き、根の重量の10倍容の滅菌水(根1gあたり10ml)を加え、30分間煮沸して抽出液を得た。抽出液を遠心して残査を除き、凍結乾燥した。乾燥物を秤量し、25mg/mlとなるように滅菌水に溶解させ、これをフィルター滅菌(孔径0.2μm)して実験に用いた。 (3)リンドウエキスによるアムホテリシンB抗菌活性の増強 上記と同じ菌体数を入れた96穴プレートに終濃度0.04μg/mlのアムホテリシンBおよびRPMI1640で段階希釈したリンドウエキスを加え(終濃度0〜1mg/ml)、全容量200μlRPMI1640培地とした。これを上記同様炭酸ガスインキュベーターで培養した。アムホテリシンBは、ブリストルマイヤー社製注射薬(商品名ファンギゾン、50mg/バイアル)を添付の使用指示書通りに蒸留水に溶解して用いた。 カンジダアルビカンスのアムホテリシンBに対する感受性(抗菌効果)はミトコンドリアの呼吸活性を指標とし、酸化還元指示薬Alamar Blue(Trek Diagnostic System社、米国オハイオ州)を用いて次のように行った。35℃で16時間培養したカンジダアルビカンスの培養液に10μlのAlamar Blueを加え、4時間反応させた。反応後、指示薬Alamar Blueの蛍光強度変化を波長590nmで測定した。 図1に示したように、0.04μg/mlのアムホテリシンBはカンジダアルビカンスの呼吸活性にほとんど影響を与えず、抗菌効果を示さない。また、培地にリンドウエキスを0.125mg/ml〜1.0mg/mlの濃度で加えて培養してもカンジダアルビカンスの呼吸活性は影響されず、むしろやや増強される。ところが、0.04μg/mlのアムホテリシンBを加えた培地にリンドウエキスを同時に加えると、カンジダアルビカンスの呼吸活性が強く阻害された。0.04μg/mlのアムホテリシンBを含む培地に0.125mg/mlのリンドウエキスを加えると、カンジダアルビカンスの呼吸活性は0.04μg/mlアムホテリシンBのみの培地に比べ約30%に低下した。リンドウエキスの濃度を0.25mg/mlに高めると約6%に低下した。これらの結果は、リンドウエキスがアムホテリシンBのカンジダアルビカンスに対する抗菌効果を大きく増強させる活性を持つことを示す。 リンドウエキスによるアムホテリシンBの抗菌効果の増強を示すグラフ。リンドウエキスによるカンジダアルビカンスの増殖形態の変化を示す写真。 アムホテリシンBと、リンドウ属(Gentiana spp)植物からの抽出物とを含有する、抗真菌剤。 【課題】アムホテリシンBの抗菌作用は維持したままその副作用を低減させるアムホテリシンB含有抗真菌剤を提供する。【解決手段】通常使用されるよりも少量のアムホテリシンBと、前記アムホテリシンBの抗真菌作用を増強する成分としてのリンドウエキスとを含有させ、抗真菌剤とする。【選択図】図1


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