タイトル: | 公開特許公報(A)_ヘキサアリールビイミダゾール化合物および該化合物を含む光重合性組成物 |
出願番号: | 2006162872 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07D 233/88,G03F 7/031,G02B 5/20 |
宮田 英雄 池田 晴彦 室伏 克己 JP 2007332045 公開特許公報(A) 20071227 2006162872 20060612 ヘキサアリールビイミダゾール化合物および該化合物を含む光重合性組成物 昭和電工株式会社 000002004 鈴木 俊一郎 100081994 牧村 浩次 100103218 高畑 ちより 100107043 鈴木 亨 100110917 宮田 英雄 池田 晴彦 室伏 克己 C07D 233/88 20060101AFI20071130BHJP G03F 7/031 20060101ALI20071130BHJP G02B 5/20 20060101ALI20071130BHJP JPC07D233/88G03F7/031G02B5/20 101 8 OL 24 2H025 2H048 2H025AA01 2H025AA02 2H025AA10 2H025AB13 2H025AB17 2H025AC01 2H025AD01 2H025BC13 2H025BC42 2H025CA03 2H025CA09 2H025CA28 2H025CA41 2H025CC20 2H048BA02 2H048BA45 2H048BA47 2H048BA48 2H048BB02 2H048BB42 本発明は、新規なヘキサアリールビイミダゾール化合物および該化合物を含む光重合性組成物に関する。より詳しくは、各種のレジストとして使用される光重合性組成物に含まれる光ラジカル重合開始剤として有用であり、感度と溶解性とに優れるヘキサアリールビイミダゾール化合物および該化合物を含む光重合性組成物に関する。 光重合性組成物(感光性組成物)は各種レジスト(フォトレジスト、ソルダレジスト、エッチングレジスト等)をはじめ、様々な分野で広く利用されている。特に近年、カラー液晶ディスプレイ、カラービデオカメラなどに使用されるカラーフィルタの製造には、高感度、経時安定性、高解像性、耐熱・耐光性などの高い諸性能を満たすカラーフィルタレジストとしての光重合性組成物が求められる。 カラーフィルタは、通常、ガラス等の透明な基板の表面に黒色のマトリックスを形成し、続いて、赤、緑、青等の3種以上の異なる色相のストライプ状またはモザイク状等のパターンを数ミクロンの精度で形成することにより製造される。 カラーフィルタの代表的な製造方法の一つに、感光性組成物中に顔料を分散した着色組成物を用いる顔料分散法がある。 この顔料分散法は、顔料を含む感光性組成物を基板上に塗布し、フォトリソグラフィーを利用して所定のパターン形状に各色の着色層を形成するものである。すなわち、一つのフィルタ色の感光性組成物をガラス等の透明基板上に塗布し、パターン露光を行い、未露光部分を溶剤またはアルカリ水溶液で現像除去して1色目のパターン形成を行う。次いで、同様の操作を全フィルタ色について順次繰り返すことにより、カラーフィルタを製造する。なお、上記感光性組成物は、カラーフィルタとしての物性および材料の豊富さから、ネガ型の組成物が主流である。また、現像については、環境問題から有機溶剤はほとんど用いられなくなり、アルカリ水溶液を用いたアルカリ現像が主流となっている。 この製造工程において用いられるカラーフィルタレジストなどの感光性組成物は、通常、顔料、バインダーポリマー、モノマー、添加剤、溶剤および光重合開始剤などで構成されている。ここで、上記光重合開始剤は、必要な感光性を発現できるためには、使用される溶剤に対して数%の溶解性をもつ必要がある。 しかしながら、従来からレジストに使用されているヘキサアリールビイミダゾール系の光重合開始剤は溶剤に対する溶解性が低く、レジストに対して添加量が限定されてしまう欠点があった。 特許文献1では、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物を感光性組成物の光重合開始剤組成物の成分として用いることが開示されている。また、特許文献2には、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(HABI)等を含有する光重合開始剤組成物を含むカラーフィルタ用感光性組成物が開示されている。また、光重合開始剤として、特許文献3には、2,2’−ビス(2−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−ビス(3,4,5-トリメトキシフェニル)−1,2’−ビイミダゾールが開示されており、特許文献4には、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−ビス(4-メチルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール(MHABI)が開示されている。特公昭45−37277号公報特開2000−249822号公報特公平6−51737号公報特開2004−137152号公報 しかしながら、上記文献に記載されたジイミダゾール化合物では、溶解性および光感度が両立できないという問題がある。したがって、光感度を落とすことなく、溶剤に対する溶解度が高い光重合開始剤の開発が求められる。 そこで、本発明の目的は、高い溶解性および高感度を有する光ラジカル重合開始剤、および該重合開始剤を含む光重合性組成物、特にカラーフィルタの製造に好適な光重合性組成物を提供することにある。 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、特定の構造を有する新規なヘキサアリールビイミダゾール化合物を見出し、該化合物を光ラジカル重合開始剤として含む光重合性組成物によって上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は、以下の[1]〜[8]に関する。 [1]下記一般式(1)で表されることを特徴とするヘキサアリールビイミダゾール化合物。(式(1)中、R1は、それぞれ独立に、2位または4位の炭素原子に結合しているシアノ基を表し、R2は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、または水素を表す。) [2]下記式(2)で表されることを特徴とするヘキサアリールビイミダゾール化合物。 [3]上記式(1)または(2)で表されるヘキサアリールビイミダゾール化合物からなることを特徴とする光ラジカル重合開始剤。 [4]上記式(1)または(2)で表されるヘキサアリールビイミダゾール化合物と、ラジカル重合性化合物とを含有することを特徴とする光重合性組成物。 [5]上記式(1)または(2)で表されるヘキサアリールビイミダゾール化合物と、エチレン性不飽和基を有する化合物とを含有することを特徴とする上記[4]に記載の光重合性組成物。 [6]ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物およびケトクマリン系化合物からなる群から選択される1種以上の化合物をさらに含有することを特徴とする上記[4]または[5]に記載の光重合性組成物。 [7]上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物の水素供与体として、チオール化合物をさらに含有することを特徴とする上記[4]〜[6]のいずれかに記載の光重合性組成物。 [8]上記式(1)または(2)で表されるヘキサアリールビイミダゾール化合物と、エチレン性不飽和基を有する化合物とを含有することを特徴とするカラーフィルタ用光重合性組成物。 本発明の新規ヘキサアリールビイミダゾール化合物は、高い溶解性と高感度とを有する。このため、カラーフィルタ等のレジスト製造工程において、この化合物を光重合性組成物中の光ラジカル重合開始剤として用いる際には、感光性組成物であるレジストに対して高い添加量で使用でき、高い感度を得ることができる。よって、従来の光重合開始剤を含む感光性組成物を用いた場合にしばしば起こるような、レジストの感度不足や塗布時の析出などのトラブルを防止することができる。 このようなヘキサアリールビイミダゾール化合物を含む本発明の光重合性組成物は、ソルダレジスト、エッチングレジスト、フォトレジスト等各種レジストとして好適に用いられる。中でも、カラー液晶表示素子、カメラ等に使用されるカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタレジストとして特に好適に用いられる。 以下、本発明について具体的に説明する。 1.ヘキサアリールビイミダゾール化合物 従来より、感光性組成物中の光ラジカル重合開始剤として、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物である2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−ビス(4-メチルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール(下記式(3)、以下MHABIともいう。)が用いられている。しかしながら、MHABIは、溶解性が低く、感光性組成物であるレジストに用いる場合、高い感度を得ることができない。 これに対し、ヘキサアリールビイミダゾール化合物(下記一般式(1))は、本発明においてはじめて見出された化合物である。この化合物は、MHABIとは異なり高い溶解性と高感度とを有する。このため、カラーフィルタ等のレジスト製造工程において、この化合物を感光性組成物中の光ラジカル重合開始剤として用いる際には、感光性組成物であるレジストに対して高い添加量で使用でき、高い感度を得ることができる。本発明では、新規な特定の構造を採用したため、高い溶解性および高感度がはじめて両立できた。 また、このようなヘキサアリールビイミダゾール化合物を含む光重合性組成物は、ソルダレジスト、エッチングレジスト、フォトレジスト等各種レジストとして好適に用いられる。中でも、カラー液晶表示素子、カメラ等に使用されるカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタレジストとして特に好適に用いられる。 本発明のヘキサアリールビイミダゾール化合物は、下記一般式(1)で表される。(式(1)中、R1は、それぞれ独立に、2位または4位の炭素原子に結合しているシアノ基を表し、R2は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、または水素を表す。) 上記式(1)中、R1は、イミダゾール環に結合するベンゼン環の炭素原子の位置を1位としたとき、それぞれ独立に、2位または4位の炭素原子に結合しており、シアノ基を表す。この中で、R1としては、4位の炭素原子に結合しているシアノ基が好ましい。 R2は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、または水素を表し、電子供与性の置換基によりビイミダゾール化合物が開裂しやすくなるため、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。上記炭素数1〜4のアルキル基が有してもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec―ブトキシ基、tert−ブトキシ基などが挙げられる。 上記式(1)で表されるヘキサアリールビイミダゾール化合物のうち、下記式(2)で表される2,2’−ビス(4−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メチルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール(本明細書においてCN2W2ともいう。)が好ましい。 本発明のヘキサアリールビイミダゾール化合物からなる光ラジカル重合開始剤は、高感度なカラーフィルタ用感光性組成物等の光ラジカル重合開始剤として特に好適に用いることができる。 2.光重合性組成物 2−1.光重合性組成物 本発明の光重合性組成物は、上記式(1)で表されるヘキサアリールビイミダゾール化合物と、ラジカル重合性化合物とを含有する。 このヘキサアリールビイミダゾール化合物については、上述したとおりである。上記化合物は単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。 本発明の光重合性組成物には、上述した特定のヘキサアリールビイミダゾール化合物が含まれていればよいが、光重合性組成物に通常用いられる他の成分(例えば水素供与体、増感剤、その他の光ラジカル重合開始剤などの光重合開始剤成分)も特に制限なく使用できる。上記光重合性組成物には、より速やかに光重合が開始できるために、増感剤として、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物およびケトクマリン系化合物からなる群から選択される1種以上の化合物が含まれていることが好ましく、また、上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物の水素供与体として、チオール化合物が含まれていることが好ましい。 [ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物およびケトクマリン系化合物からなる群から選択される1種以上の化合物] 本発明の光重合性組成物には、より感度を上げるために、増感剤として、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、およびケトクマリン系化合物からなる群から選択される1種以上の化合物が含まれていることが好ましい。 上記ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられる。 上記チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンが挙げられる。 上記ケトクマリン系化合物の例としては、3−アセチルクマリン、3−アセチル−7−ジエチルアミノクマリン、3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3,3’−カルボニルビスクマリン、3,3’−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリン)が挙げられる。 これらの化合物は単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。 光重合性組成物中の上記増感剤の配合量は特に限定されないが、上記増感剤を、ヘキサアリールビイミダゾール化合物100重量部に対して2〜50重量部含むことが好ましく、5〜25重量部含むことがより好ましい。上記配合量よりも少なすぎると感度が低下する場合があり、多すぎるとレジスト下層部まで十分に光が到達しなくなり、レジスト下層部の硬化が不十分になる場合がある。 [チオール化合物] 本発明の光重合性組成物には、上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物の水素供与体として、チオール化合物が含まれていることが好ましい。 本発明で用いられるチオール化合物としては、分子内にチオール基を有する化合物であれば特に限定されず、従来から光重合性組成物に用いられているチオール化合物の中から任意に選択して用いることができる。 上記チオール化合物としては、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、5−メチル−1、3、4−チアジアゾール−2−チオール、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、3−メルカプト−4−メチル−4H−1、2、4−トリアゾール、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、2−メルカプトチアゾリン、オクタンチオール、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1、4−ジメチルメルカプトベンゼン、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)などが挙げられる。 光重合性組成物の保存安定性の観点から、本発明のチオール化合物としては、チオール基のα位および/またはβ位の炭素で分岐した構造を有するチオール化合物、あるいはチオール基のα位および/またはβ位の炭素が水素以外の原子3つ以上と結合している、いわゆる枝分かれ構造を有するチオール化合物、例えばチオール基に対してα位および/またはβ位の主鎖以外の置換基の少なくとも一つがアルキル基であるチオール化合物が好ましい。ここで、主鎖とは、チオール基を含み、水素以外の原子で構成される最も長鎖の構造を表す。 その中で特に、チオール基含有構造部が下記一般式(4)で表されるチオール化合物が好ましい。 −(CH2)mC(R6)(R7)(CH2)nSH (4)(式(4)中、R6およびR7は、各々独立して水素原子またはアルキル基を表すが、R6およびR7が同時に水素原子になることはない。mは0〜2の整数、nは0または1の整数を表す。) ここで、上記アルキル基(式(4)においては、R6またはR7)は、炭素数1〜3の直鎖または分岐のアルキル基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基等が挙げられ、より好ましくはメチル基またはエチル基である。 本発明で用いられるチオール化合物としては、光感度を高める点で、メルカプト基を2個以上有している多官能チオール化合物がより好ましく、光感度と感光性組成物の保存安定性とを両立できる点で、上記式(4)の構造を有する多官能チオール化合物が特に好ましい。具体的には以下のような化合物が挙げられる。 ジチオールとしては、2、5−ヘキサンジチオール、2,9−デカンジチオール、1,4−ビス(1−メルカプトエチル)ベンゼン等の炭化水素系ポリオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン等の芳香族系ポリオールなどを例示することができる。 また、エステル結合構造を含む化合物として、フタル酸ビス(1−メルカプトエチルエステル)、フタル酸ビス(2−メルカプトプロピルエステル)、フタル酸ビス(3−メルカプトブチルエステル)、フタル酸ビス(3−メルカプトイソブチルエステル)、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、1,3−ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、1,2−ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、プロピレングリコールビス(2−メルカプトイソブチレート)、1,4−ブタンジオールビス(2−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトイソブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトイソブチレート)、2,2−ビス[4−(3−メルカプトブチロイロキシエトキシ)フェニル]プロパン(BAEMB)、9,9−ビス[4−(3−メルカプトブチロイロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどが好適に用いられる。 これらのチオール化合物は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。 光重合性組成物中の上記チオール化合物の配合量は特に限定されないが、上記チオール化合物を、ヘキサアリールビイミダゾール化合物100重量部に対して20〜500重量部含むことが好ましく、50〜300重量部含むことがより好ましい。上記配合量よりも少なすぎると、レジストの表面硬化性が低下する場合があり、多すぎるとメルカプト基の連鎖移動のため、硬化物の架橋度が逆に低下する場合がある。 [ラジカル重合性化合物] 本発明の光重合性組成物は、上述した光ラジカル重合開始剤に加え、ラジカル重合性化合物を含有する。 上記ラジカル重合性化合物としては、特に、エチレン性不飽和基を有する化合物を挙げることができる。本発明の光重合性組成物に含まれるエチレン性不飽和基を有する化合物は、光を照射した時に光ラジカル重合開始剤から発生したラジカルにより重合・架橋する化合物であり、モノマーとポリマーとに分けられる。 <モノマー> 上記モノマーとしては好ましくは(メタ)アクリル酸エステルが使用される。 具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート; シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート; ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート; 2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート; 2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレート; メタクリロキシエチルフォスフェート、ビス・メタクリロキシエチルフォスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシッドホスフェート(フェニールP)等のリン原子を有するメタクリレート; エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス・グリシジル(メタ)アクリレート等のジアクリレート; トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリアクリレート; ビスフェノールSのエチレンオキシド4モル付加ジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド4モル付加ジアクリレート、脂肪酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド3モル付加トリアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド6モル付加トリアクリレート等の変性ポリオールポリアクリレート; ビス(アクリロイルオキシエチル)モノヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン付加トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル酸骨格を有するポリアクリレート; α,ω−ジアクリロイル−(ビスエチレングリコール)−フタレート、α,ω−テトラアクリロイル−(ビストリメチロールプロパン)−テトラヒドロフタレート等のポリエステルアクリレート; グリシジル(メタ)アクリレート;アリル(メタ)アクリレート;ω−ヒドロキシヘキサノイルオキシエチル(メタ)アクリレート;ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート;(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート;フェノキシエチルアクリレート等が挙げられる。 また、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルミアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニル化合物等もモノマーとして好適に用いることができる。 これらのうちで、光感度が高くなることから、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリアクリレートがより好ましい。これらモノマーは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。 <ポリマー> 上記ポリマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エチレン性不飽和基を有するアクリル共重合体等が挙げられるが、レジストやカラーフィルタ用途に使われる場合、アルカリ水溶液で現像を行うため、該ポリマーはカルボキシル基を有することが好ましい。これらポリマーは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。なお、ここでいう「ポリマー」には分子量の小さいいわゆる「プレポリマー」および「オリゴマー」も含む。 <カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート(EA)> 本発明に用いられるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートが適している。 上記エポキシ化合物としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが挙げられる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。 上記不飽和基含有モノカルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等が挙げられる。また、水酸基含有アクリレートと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物、不飽和基含有モノグリシジルエーテルと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物も挙げられる。これら不飽和基含有モノカルボン酸は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。 上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の二塩基性酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、エンドビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。 このようにして得られるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の分子量は特に制限されないが、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量が好ましくは1000〜40000であり、より好ましくは2000〜5000である。 また、上記エポキシ(メタ)アクリレート化合物の酸価(本明細書において、酸価とは固形分酸価を意味し、JIS K0070 に従い測定した値をいう。)は10mgKOH/g以上であることが好ましく、45mgKOH/g〜160mgKOH/gの範囲にあることがより好ましく、アルカリ現像性(アルカリ溶解性)と硬化膜の耐アルカリ性とのバランスがよいため、50mgKOH/g〜140mgKOH/gの範囲にあることが特に好ましい。酸価が10mgKOH/gより小さすぎると、アルカリ溶解性が悪くなる場合がある。逆に大きすぎると、光重合性組成物の構成成分の組み合わせによっては硬化膜の耐アルカリ性等の特性を下げる要因となる場合がある。 <カルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレート(UA)> 本発明に用いられるカルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレートは、アクリル共重合体やエポキシ(メタ)アクリレートより柔軟なバインダー樹脂となるため、柔軟性、耐屈曲性が必要とされる場合に好適に用いられる。 カルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレートは、構成単位として、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート由来の単位と、ポリオール由来の単位と、ポリイソシアナート由来の単位とを含む。より詳しくは、この化合物は、両末端がヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート由来の単位からなり、該両末端の間はウレタン結合により連結されたポリオール由来の単位とポリイソシアナート由来の単位とからなる繰り返し単位により構成され、この繰り返し単位中にカルボキシル基が存在する構造を有する。 すなわち、上記カルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレートは、−(ORbO−OCNHRcNHCO)n-〔式中、ORbOはポリオールの脱水素残基、Rcはポリイソシアナートの脱イソシアナート残基を表す。〕で表される。 カルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレートは、少なくとも、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(a)と、ポリオール(b)と、ポリイソシアナート(c)とを反応させることにより製造できるが、ここで、ポリオールまたはポリイソシアナートの少なくともどちらか一方は、カルボキシル基を有する必要がある。好ましくは、カルボキシル基を有するポリオールを使用する。このようにポリオールおよび/またはポリイソシアナートとして、カルボキシル基を有する化合物を使用することにより、RbまたはRc中にカルボキシル基が存在するウレタン(メタ)アクリレートを製造することができる。なお、上記式中、nとしては1〜200程度が好ましく、2〜30がより好ましい。nがこのような範囲であると、硬化膜の可撓性がより優れる。 また、ポリオールおよびポリイソシアナートの少なくとも一方が2種類以上用いられている場合には、繰り返し単位は複数の種類を表すが、その複数の単位の規則性は完全ランダム、ブロック、局在等、目的に応じて適宜選ぶことができる。 ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(a)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、上記各(メタ)アクリレートのカプロラクトンまたは酸化アルキレン付加物、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート−アクリル酸付加物、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−アルキレンオキサイド付加物−ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(a)は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。 また、これらのうちでは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを使用すると、カルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレート(UA)の合成がより容易である。 本発明に用いられるポリオール(b)としては、ポリマーポリオールおよび/またはジヒドロキシル化合物を使用することができる。 上記ポリマーポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル系ジオール;多価アルコールと多塩基酸のエステルから得られるポリエステル系ポリオール;ヘキサメチレンカーボネート、ペンタメチレンカーボネート等に由来の単位を構成単位として含むポリカーボネート系ジオール;ポリカプロラクトンジオール、ポリブチロラクトンジオール等のポリラクトン系ジオールが挙げられる。 また、カルボキシル基を有するポリマーポリオールを使用する場合は、例えば上記ポリマーポリオール合成時に(無水)トリメリット酸等の3価以上の多塩基酸を共存させ、カルボキシル基が残存するように合成した化合物などを使用することができる。 これらのポリマーポリオールは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。 また、上記ポリマーポリオールの数平均分子量が200〜2000であると、硬化膜の可撓性がより優れる。 上記ジヒドロキシル化合物としては、2つのアルコール性ヒドロキシル基を有する分岐または直鎖状の化合物を使用できるが、特にカルボキシル基を有するジヒドロキシ脂肪族カルボン酸を使用することが好ましい。このようなジヒドロキシル化合物としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が挙げられる。カルボキシル基を有するジヒドロキシ脂肪族カルボン酸を使用することによって、ウレタン(メタ)アクリレート中に容易にカルボキシル基を存在させることができる。 また、カルボキシル基を有するポリマーポリオールを併用する場合や、後述するポリイソシアナートとしてカルボキシル基を有するものを使用する場合には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのカルボキシル基を持たないジヒドロキシル化合物を使用してもよい。 これらのジヒドロキシル化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、ポリマーポリオールとともに使用してもよい。 本発明で用いられるポリイソシアナートとしては、具体的には、2,4−トルエンジイソシアナート、2,6−トルエンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ジフェニルメチレンジイソシアナート、(o,m,またはp)−キシレンジイソシアナート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、シクロヘキサン−1,3−ジメチレンジイソシアナート、シクロヘキサン−1,4−ジメチレレンジイソシアナートおよび1,5−ナフタレンジイソシアナート等のジイソシナートが挙げられる。これらのポリイソシアナートは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、カルボキシル基を有するポリイソシアナートを使用することもできる。 本発明に用いられるカルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレートの分子量は特に限定されないが、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量が好ましくは1000〜40000であり、より好ましくは8000〜30000である。カルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレート(UA)の重量平均分子量が1000未満では硬化膜の伸度および強度を損なうことがあり、40000を超えると硬くなり可撓性を低下させるおそれがある。 また、上記カルボキシル基を有するウレタン(メタ)アクリレート(UA)の酸価は、好ましくは5〜150mgKOH/gであり、より好ましくは30〜120mgKOH/gである。酸価が5mgKOH/g未満では光重合性組成物のアルカリ溶解性(現像性)が悪くなる場合があり、150mgKOH/gを超えると硬化膜の耐アルカリ性等を悪くする場合がある。 <カルボキシル基およびエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合体(AP−A)> カルボキシル基およびエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合体は、(c)カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体と、(d)上記(c)以外のエチレン性不飽和単量体とを共重合して、得られたアクリル共重合体(AP−B)の側鎖の一部のカルボキシル基に対し、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等の1分子中にエポキシ基およびエチレン性不飽和基を有する化合物のエポキシ基を反応させたり、あるいは、該アクリル共重合体の一部もしくは全部の水酸基に対し、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネートのような1分子中にイソシアネート基およびエチレン性不飽和基を有する化合物のイソシアネート基を反応させて得られる。このようにして、上記アクリル共重合体の側鎖にエチレン性不飽和基を付与することができる。 カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(c)は、アクリル共重合体にアルカリ現像性を付与する目的で使用される。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(c)の具体例としては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。 上記(c)以外のエチレン性不飽和単量体(d)は、皮膜(レジスト、カラーフィルタ)の強度、顔料分散性をコントロールする目的で使用される。その具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、(o,m,p−)ヒドロキシスチレン、酢酸ビニル等のビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等のアミド基を有する化合物が挙げられる。 (c)と(d)との共重合比率は、質量比で好ましくは5:95〜40:60、より好ましくは10:90〜35:65である。(c)の共重合比率が5未満になるとアルカリ現像性が低下し、パターンを形成することが困難となる場合がある。また、(c)の共重合比率が40を越えると光硬化部のアルカリ現像も進みやすくなり、線幅を一定に保つのが難しくなる場合がある。 カルボキシル基およびエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量で、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは3,000〜200,000である。1,000未満では皮膜強度が著しく低下する場合がある。一方、500,000を越えるとアルカリ溶解性(現像性)が著しく低下する場合がある。 光重合性組成物は、上記ラジカル重合性化合物を、ヘキサアリールビイミダゾール化合物100重量部に対して1000〜5500重量部含むことが好ましく、1300〜4800重量部含むことがより好ましく、1500〜2500重量部含むことが最も好ましい。ラジカル重合性化合物の割合が上記の範囲を外れると、相対的にラジカル発生量が少なくなるため、光感度が悪くなったり、光重合性組成物の硬化が不十分になる場合がある。また、上記モノマーおよび上記ポリマーを併用してもよい。この場合は、用いる上記モノマーと上記ポリマーとの量は、質量比で好ましくは10:90〜30:70、より好ましくは15:85〜25:75である。 [バインダー樹脂] 本発明の光重合性組成物には、エチレン性不飽和基を有しないバインダー樹脂を配合することができる。上記バインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらのうちで、レジスト用途に用いる場合には、カルボキシル基を有するアクリル共重合体がより好ましい。上記アクリル共重合体としては、上述したカルボキシル基を有するアクリル共重合体(AP−B)が挙げられる。すなわち、カルボキシル基およびエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合体(AP−A)を製造する工程において、側鎖にエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させる前の共重合体(AP−B)が好適に用いられる。 これらのバインダー樹脂は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。 光重合性組成物は、バインダー樹脂を、ヘキサアリールビイミダゾール化合物100重量部に対して500〜5000重量部含むことが好ましく、1000〜4000重量部含むことがより好ましい。 [着色顔料] 本発明の光重合性組成物は、カラーフィルタ用途で使用される場合、着色顔料を含む。カラーフィルタの色相としては、加色混合系のレッド、グリーン、ブルー、減色混合系のシアン、マゼンダ、イエロー、およびブラックマトリックス部に用いるブラックが主に用いられている。色剤としては染料および顔料があるが、耐熱性、耐光性等の面から、顔料が好適に用いられる。また、適性なスペルトルを得るために2種以上の顔料を組み合わせて用いることが行われており、例えばブルーはシアン顔料とバイオレット顔料とを、グリーンはグリーン顔料とイエロー顔料とを、レッドはレッド顔料とイエローまたはオレンジ顔料とを、それぞれ組み合わせて適正なスペクトルが得られる。 本発明に用いられる着色顔料としては、下記のものが挙げられる(いずれもカラーインデックスナンバーにて示す。)。C.I.Pigment Yellow12、13、14、17、20、24、55、83、86、93、109、110、117、125、137、139、147、148、153、154、166、168、C.I.Pigment Orange36、43、51、55、59、61、C.I.Pigment Red9、97、122、123、149、168、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、C.I.Pigment Violet19、23、29、30、37、40、50、C.I.Pigment Blue15、15:1、15:4、15:6、22、60、64、C.I.Pigment Green7、36、C.I.Pigment Brown23、25、26等が例示できる。 また、黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック等が挙げられ、カーボンブラックの具体例としては、デグサ社製 Special Black 4、Special Black 100、Special Black 250、Special Black 350、Special Black 550;コロンビヤンカーボン社製 Raven 1040、Raven 1060、Raven 1080、Raven 1255;三菱化学社製 MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、MA230等が挙げられる。 光重合性組成物は、上記着色顔料を、ヘキサアリールビイミダゾール化合物100重量部に対して800〜5000重量部含むことが好ましく、1500〜4000重量部含むことがより好ましい。 [その他の成分] 本発明の光重合性組成物は、塗布適性を付与するために、溶剤を用いて粘度を調製することが好ましい。上記溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、トルエン、シクロヘキサン、イソホロン、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルベンゼン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテルアセテート、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。 光重合性組成物は、上記溶剤を、ヘキサアリールビイミダゾール化合物100重量部に対して7000〜30000重量部含むことが好ましく、8000〜28000重量部含むことがより好ましく、9000〜18000重量部含むことが最も好ましい。従来のヘキサアリールビイミダゾール化合物の場合は、上記の溶剤の量では溶解しないか、あるいは析出する場合があり、目的の高感度が得られない傾向にある。一方、本発明のヘキサアリールビイミダゾール化合物では、溶解性が高いため、上述のような問題は起こらない。 また、上記光重合性組成物には、重合禁止剤、分散助剤などを添加してもよい。光重合性組成物は、上記重合禁止剤を、ヘキサアリールビイミダゾール化合物100重量部に対して2〜50重量部含むことが好ましく、5〜30重量部含むことがより好ましい。また、光重合性組成物は、上記分散助剤を、ヘキサアリールビイミダゾール化合物100重量部に対して80〜500重量部含むことが好ましく、150〜400重量部含むことがより好ましい。 2−2.光重合性組成物の調製方法 本発明の光重合性組成物は、顔料を含む場合は、3本ロールミル、2本ロールミル、サンドミル、アトライター、ボールミル、ニーダー、ペイントシェーカー等の各種分散手段を用いて上記各成分を配合して製造される。分散時に重合反応等によりゲル化が起こるのを防ぐ目的で、重合禁止剤を添加してもよい。また、上記モノマー、光ラジカル重合開始剤、増感剤、水素供与体は、顔料分散後に配合してもよい。また、顔料の分散を良好にするために適宜分散助剤を添加できる。分散助剤は顔料の分散を助け、かつ分散後の再凝集を防止する効果がある。 [実施例] 以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 1.ビイミダゾール化合物およびエチレン性不飽和基を有する化合物の合成 [実施例1−1]2,2’−ビス(4−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メチルフェニル)−1,2’−ビイミダゾールの合成 4,4’−ジメチルベンジル(東京化成(株))7.15g(30mmol)、p−シアノベンズアルデヒド(昭和電工(株))3.93g(30mmol)、酢酸アンモニウム(純正化学(株))18.0g(233mmol)、および酢酸(純正化学(株))150gを500mL容の4つ口フラスコに入れ、撹拌しながら117℃で6時間反応させた。上記反応液を放冷すると、4−シアノフェニル−4,5−ビス(4−メチルフェニル)イミダゾールの白色結晶が析出した。この結晶を濾過し、水洗した。その後、得られた4−シアノフェニル−4,5−ビス(4−メチルフェニル)イミダゾールをトルエン(純正化学(株))300gに溶解し、これを1L容の4つ口フラスコに仕込み、5〜10℃になるよう冷却した。これにフェリシアン化カリウム(純正化学(株))21.7g(66mmol)、水酸化ナトリウム(純正化学(株))10.0g、および脱イオン水300gの混合液を2時間かけて撹拌しながら加え、さらに室温下で24時間反応を行った。上記反応液のトルエン層を分液し、脱イオン水で3回洗浄した後、トルエンを減圧下で留去して、CN2W2の粗結晶を得た。更に、この粗結晶にメタノール(純正化学(株))150gを加え溶解し均一溶液とした後、メタノールを留去し、濾過、乾燥して、CN2W2の淡黄色結晶6.35g(収率61.1%、HPLC純度97.3%(分析条件:カラム;Shodex 5C8-4E、溶離液;アセトニトリル/脱イオン水=2/1(V/V)・テトラブチルアンモニウム過塩素酸塩3mmol)を得た。 <1H−NMR> CN2W2の1H−NMRのチャートを図1に示した。1H−NMR測定は、日本電子(株)製JNM−AL400を使用し、重クロロホルム中にて行った。 2.244〜2.427ppm :24、24’、25、25’のメチル基の水素原子 6.950〜7.621ppm :6〜23、6’〜23のフェニル基の水素原子 [合成例1]カルボキシル基およびエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合体の合成 <AP−1:カルボキシル基を有するアクリル共重合体の25質量%溶液(溶媒:プロピレングリコールメチルエーテル(以下PGMEともいう。ダイセル化学(株)製))の調製> 滴下漏斗、温度計、冷却管、撹拌機および窒素導入管を装着した4つ口フラスコに、メタクリル酸(三菱レーヨン(株)製)29.73質量部、p−メチルスチレン(Deltech Corp製)34.77質量部、メルカプトエタノール(和光純薬(株)製)0.20質量部、およびPGME 94.45質量部を仕込み、90℃で0.5時間、該フラスコ内を窒素置換した。上記反応液に、PGME 94.45質量部、および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBNともいう。和光純薬(株)製)1.26質量部の混合液を1時間かけて滴下し、90℃で3時間加熱攪拌した。次いで、シクロヘキサノン(和光純薬(株)製)10.50質量部、およびAIBN 0.41質量部の混合液をさらに滴下した後、90℃で1.5時間加熱攪拌し、次いで、100℃で1.0時間加熱攪拌することにより、カルボキシル基を有するアクリル共重合体の溶液を得た。このアクリル共重合体の重量平均分子量(GPCにより測定、ポリスチレン換算)は14,000であった。 得られたアクリル共重合体の溶液にPGMEを加えて、カルボキシル基を有するアクリル共重合体の25質量%溶液(AP−1)を調製した。 <AP−2:カルボキシル基およびエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合体の35質量%溶液(溶媒:PGME)の調製> 温度計、冷却管、撹拌機および空気導入管を装着した4つ口フラスコに、カルボキシル基を有するアクリル共重合体の25質量%溶液(AP−1)66質量部(固形分16.5質量部)を仕込み、トリフェニルホスフィン(東京化成(株)製)2.30質量部、ハイドロキノン(東京化成(株)製)0.16質量部、グリシジルメタクリレート(三菱レーヨン(株)製)21.82質量部、および4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(日本化成(株)製)16.45質量部を添加した。上記フラスコ内を空気置換した後、100℃で12時間加熱攪拌し、放冷して、カルボキシル基およびエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合体の溶液を得た。このアクリル共重合体の重量平均分子量(GPCにより測定、ポリスチレン換算)は23,000であった。 得られたアクリル共重合体の溶液にPGMEを加えて、カルボキシル基およびエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合体の25質量%溶液(AP−2)を調製した。 [合成例2]カルボキシル基を有するエポキシアクリレートの合成(EA) <EA−1:カルボキシル基を有するエポキシアクリレートの60質量%溶液(溶媒:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下DGEAともいう。ダイセル化学(株)製))の調製> エピコート1004(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製、エポキシ当量925)185質量部、アクリル酸14.4質量部、ヒドロキノン0.20質量部、およびDGEA 197質量部を容器に仕込み、95℃に加熱し、上記混合物が均一に溶解したことを確認後、トリフェニルホスフィン2.0質量部をさらに仕込み、100℃に加熱し、約30時間反応させて、酸価0.5mgKOH/gの反応物を得た。これに、テトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製)96.0質量部を仕込み、90℃に加熱し、約6時間反応させ、IRにて酸無水物の吸収の消失を確認して、固形酸価119mgKOH/gのエポキシアクリレートの溶液を得た。 得られたエポキシアクリレートの溶液にDGEAを加えて、カルボキシル基を有するエポキシアクリレートの60質量%溶液(EA−1)を調製した。 2.光重合性組成物の調製および評価 [試薬類] <エチレン性不飽和基を有する化合物(モノマー)> ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート DPHA:ダイセルUCB社製 EO変性ビスフェノールAジアクリレート BP4EA:共栄社化学(株)製 <光重合開始剤> 1)4,4‘−ビス(N,N−ジエチルアミノ)ベンゾフェノン EMK:保土谷化学(株)製 2)2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−ビス(4-メチルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール MHABI:昭和電工(株)製 3)2,2−ビス[4−(3−メルカプトブチロイロキシエトキシ)フェニル]プロパン BAEMB:昭和電工(株)製 <着色顔料> 1)カーボンブラック Special Black 350:デグサ社製 2)チタンブラック 13MC:三菱マテリアル(株)製 <その他の成分> 1)プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート PMA:東京化成(株)製 2)シクロヘキサノン:和光純薬(株)製 3)アジスパーPB822(分散剤):味の素ファインテクノ(株)製 [実施例2−1] 表1に示す溶媒10質量部を用いて、20℃で攪拌させながらCN2W2の過飽和溶解液を調製した。その上澄み液の濃度を高速液体クロマトグラフィーにて測定した。その結果を表1に示す。 [実施例2−2] PMA 212質量部に、分散剤アジスパーPB822 4.44質量部を溶解した後、EA−1 9.5質量部(固形分5.7質量部)を混合した。これに、さらに黒色顔料として、カーボンブラック Special Black350 22.0質量部、およびチタンブラック 13MC 22.0質量部を混合した後、ペイントコンディショナー(浅田鉄工(株)製)を用いて3時間分散を行った。 この分散液に、エチレン性不飽和基を有する化合物である、カルボキシル基およびエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合体(AP−2)93.5質量部(固形分32.7質量部)、DPHA 4.43質量部、BP4EA 4.43質量部、およびPMA 103質量部を混合し、更に、光重合開始剤として、EMK 0.25質量部、CN2W2 2.5質量部、およびBAEMB 1.0質量部を混合し、溶解した。 次いで、この組成物を孔径0.8μmのフィルター(桐山濾紙・GFP用)で濾過することにより、本発明の光重合性組成物2−2を得た。 得られた光重合性組成物2−2について、以下に示す方法で感度を評価した。その結果を表2に示す。 [実施例2−3〜2−6] 実施例2−3〜2−6において、配合量を表2に示すように変更した以外は実施例2−2と同様にして、光重合性組成物2−3〜2−6を調製した。得られた光重合性組成物2−3〜2−6について、実施例2−2と同様に感度を評価した。その結果を表2に示す。 [比較例2−1] CN2W2をMHABIに変更した以外は実施例2−1と同様にして、溶解度を測定した。その結果を表1に示す。 [比較例2−2〜2−3] 比較例2−2〜2−3において、配合量を表2に示すように変更した以外は実施例2−2と同様にして、光重合性組成物2−2’〜2−3’を調製した。得られた光重合性組成物2−2’〜2−3’について、実施例2−2と同様に感度を評価した。その結果を表2に示す。 [感度の評価方法] ガラス基板(大きさ100×100mm)上に、得られた光重合性組成物を乾燥膜厚が約1.5μmになるようにスピンコートし、室温で2分間、90℃で3分間乾燥した。乾燥後の皮膜の膜厚を膜厚計(株式会社東京精密製、SURFCOM130A)で正確に測定した後、超高圧水銀ランプを組み込んだ露光装置(ウシオ電機株式会社製、商品名「マルチライト ML−251A/B」)を用い、石英製フォトマスクを介して露光量を変えて光重合性組成物の皮膜に光を照射して光硬化した。露光量は紫外線積算光量計(ウシオ電機(株)製、商品名「UIT−150」、受光部「UVD−S365」)を用いて測定した。また、用いた石英製フォトマスクにはライン/スペ−スが5、10、30、50、70、100μmのパターンが形成されていた。フォトマスクおよび皮膜間のギャップは100μmに設定した。 露光された皮膜は0.1%炭酸ナトリウム水溶液(25℃)で、所定の時間アルカリ現像した。現像時間は、露光前の皮膜が、アルカリ現像により完全に溶解する時間(tD)の1.5倍に設定した。なお、アルカリ現像時間を変化させて皮膜の溶解の程度を観察する実験を繰り返し行い、皮膜が完全に溶解するまでの時間tDを決定した。 アルカリ現像後、水洗し、エアスプレーによりガラス基板を乾燥した。残った皮膜(レジスト膜)の膜厚を測定し、残膜率を以下の式より算出した。 残膜率(%)=100×(アルカリ現像後膜厚)/(アルカリ現像前膜厚) 露光量を変えて、上述した光硬化操作を実施し、露光量と残膜率との関係をプロットしたグラフを作成し、残膜率が飽和に達する露光量(mJ/cm2)を求め、これを感度とした。この値が小さいほど感度が高いことを示す。 表1の実施例2−1と比較例2−1の結果から、CN2W2のように、特定の位置にシアノ基およびメチル基を有する化合物では、溶剤に対する溶解性が向上することが示された。また、表2の実施例2−2〜2−6と比較例2−2〜2−3の結果から、感度に関しても、CN2W2のように、特定の位置にシアノ基およびメチル基を有する化合物では、感度が向上することが示された。図1は、CN2W2の1H−NMRスペクトルを示す。 下記一般式(1)で表されることを特徴とするヘキサアリールビイミダゾール化合物。(式(1)中、R1は、それぞれ独立に、2位または4位の炭素原子に結合しているシアノ基を表し、R2は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、または水素を表す。) 下記式(2)で表されることを特徴とするヘキサアリールビイミダゾール化合物。 前記式(1)または(2)で表されるヘキサアリールビイミダゾール化合物からなることを特徴とする光ラジカル重合開始剤。 前記式(1)または(2)で表されるヘキサアリールビイミダゾール化合物と、ラジカル重合性化合物とを含有することを特徴とする光重合性組成物。 前記式(1)または(2)で表されるヘキサアリールビイミダゾール化合物と、エチレン性不飽和基を有する化合物とを含有することを特徴とする請求項4に記載の光重合性組成物。 ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物およびケトクマリン系化合物からなる群から選択される1種以上の化合物をさらに含有することを特徴とする請求項4または5に記載の光重合性組成物。 前記ヘキサアリールビイミダゾール化合物の水素供与体として、チオール化合物をさらに含有することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の光重合性組成物。 前記式(1)または(2)で表されるヘキサアリールビイミダゾール化合物と、エチレン性不飽和基を有する化合物とを含有することを特徴とするカラーフィルタ用光重合性組成物。 【課題】高い溶解性および高感度を有する光ラジカル重合開始剤、および該重合開始剤を含む光重合性組成物、特にカラーフィルタの製造に好適な光重合性組成物を提供すること。【解決手段】光ラジカル重合開始剤として用いられる本発明のヘキサアリールビイミダゾール化合物は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。本発明の光重合性組成物は、上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物と、ラジカル重合性化合物とを含有することを特徴とする。(式(1)中、R1は、それぞれ独立に、2位または4位の炭素原子に結合しているシアノ基を表し、R2は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、または水素を表す。)【選択図】なし