生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_テトラヒドロピラン組成物
出願番号:2006151522
年次:2007
IPC分類:C07D 309/04,C09K 15/08,C09K 15/18,C09K 15/20


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安田 浩 JP 2007320890 公開特許公報(A) 20071213 2006151522 20060531 テトラヒドロピラン組成物 昭和電工株式会社 000002004 大家 邦久 100081086 林 篤史 100121050 安田 浩 C07D 309/04 20060101AFI20071116BHJP C09K 15/08 20060101ALI20071116BHJP C09K 15/18 20060101ALI20071116BHJP C09K 15/20 20060101ALI20071116BHJP JPC07D309/04C09K15/08C09K15/18C09K15/20 4 OL 5 4C062 4H025 4C062AA30 4H025AA15 4H025AA33 4H025AA35 4H025AC07 本発明は、過酸化物の生成及び蓄積を抑制したテトラヒドロピランとラジカル捕捉剤からなるテトラヒドロピラン組成物に関する。 一般的にエーテル化合物は過酸化物が生成、蓄積しやすいことが知られている。 このエーテル化合物の過酸化物は、エーテル酸素の隣の炭素上の水素が酸素により引き抜かれてラジカルが生成し、続いてヒドロペルオキシドになるために発生すると言われている。このヒドロペルオキシドは熱や酸などの触媒により分解し、ラクトン、アルデヒド、アルコールなどの含酸化合物を与えるが、過酸化化合物は不安定であるため、場合によっては急激に分解して爆発を起こすことがあり、極めて危険な物質である。 エーテルの中でも、環状エーテルは特に過酸化物が生成・蓄積しやすい(J. Chem. Soc., p2204 (1954):非特許文献1)。更にその中でも、5員環状エーテルであるテトラヒドロフランは特に過酸化物が生成・蓄積しやすく(Nature, vol.162 p153 (1948):非特許文献2)、これまでにもテトラヒドロフランの過酸化物に起因する爆発事故が度々発生している。同じ環状エーテルであるテトラヒドロピランについてもこのような過酸化物の蓄積の問題があるが、後述するようにテトラヒドロピランでは過酸化物の蓄積が緩やかであるため、その対策は取られておらず、課題ともなっていなかった。J. Chem. Soc., p2204 (1954)Nature, vol.162 p153 (1948) 本発明は、エーテル化合物の保存中などにおいて発生する過酸化物の蓄積の問題を解決することにある。特に、環状エーテル化合物のテトラヒドロピランの過酸化物の生成及び蓄積の課題を解決することにある。 本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意努力した結果、テトラヒドロピラン化合物と酸化防止剤からなるテトラヒドロピラン組成物を用いることにより、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は以下のテトラヒドロピラン組成物に関するものである。[1]テトラヒドロピランと酸化防止剤からなることを特徴とするテトラヒドロピラン組成物。[2]酸化防止剤がラジカル捕捉剤である前記1に記載の組成物。[3]ラジカル捕捉剤がフェノール性水酸基を有する化合物である前記1または2に記載の組成物。[4]ラジカル捕捉剤がアミン化合物である前記1または2に記載の組成物。 本発明によるテトラヒドロピランと酸化防止剤からなるテトラヒドロピラン組成物は、実質的にテトラヒドロピランの過酸化物の蓄積を抑制することができる。これにより安全にテトラヒドロピランを保存でき、有機化合物の合成工業などで有用な反応溶媒、溶剤などに使用することができるようになる。 以下に本発明の具体的内容について詳細に説明する。 本発明は、テトラヒドロピランと酸化防止剤からなるテトラヒドロピラン組成物であり、テトラヒドロピラン過酸化物の生成、蓄積を抑制することができる。 本発明で使用されるテトラヒドロピラン化合物については特に制限はなく、公知の方法を用いて合成することができる。また、本発明でいうテトラヒドロピランはペンタメチレンオキシド及びその誘導体を含む。誘導体の構造は環状エーテルとして過酸化物発生の恐れがあるものであれば特に限定されない。例としては、テトラヒドロピラン、2−メチルテトラヒドロピラン、3−メチルテトラヒドロピラン、4−メチルテトラヒドロピラン、2,5−ジメチルテトラヒドロピラン、2−メトキシ−テトラヒドロピラン、2−エトキシーテトラヒドロピラン、2−ブトキシ−テトラヒドロピラン、2−イソブトキシ−テトラヒドロピランなどが挙げられる。 なお、テトラヒドロピラン過酸化物の構造も特に限定されないが、一般的には−O−O−結合を有するもの、あるいはその前駆体等である。 本発明では、危険な過酸化化合物の生成及び蓄積を抑制するために、酸化防止剤を用いる。 本発明中で酸化防止剤とは、エーテルの自動酸化の防止に用いられる化合物のことを指し、次に示すような作用機序により分類される。(1)自動酸化により生成した連鎖担体ラジカルを捕捉する目的の酸化防止剤 このような作用を有する酸化防止剤としてはラジカル捕捉剤が用いられ、例としてはフェノール化合物やアミン化合物などが挙げられる(化学工業 1985年4月号 p71)。(2)自動酸化の開始を抑える目的で用いられる酸化防止剤 このような作用を有する酸化防止剤としては過酸化物分解剤、光安定剤、金属イオン捕捉剤などが用いられる。 過酸化物分解剤は生成したヒドロペルオキシド化合物を分解するものであり、イオウ化合物、リン化合物などが用いられる。 光安定剤は、光により生成したパーオキサイドの励起または励起分解を抑制するものであり、ベンゾフェノン、サリチル酸フェニル、ベンゾトリアゾールのような紫外線吸収剤やヒンダードアミン化合物が用いられる。 金属イオン捕捉剤は、金属の触媒作用により過酸化物が増幅することを抑制するものであり、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、アミノ酸、ジチオリン酸などヘテロ原子を有するキレート形成能のある化合物が用いられる。 本発明では、上記のいずれの酸化防止剤も用い得るが、中でもラジカル捕捉剤を用いることが好ましい。 ラジカル捕捉剤としては、アスコルビン酸またはその誘導体、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリ−β−(3,5−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール化合物、2,2‘−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2‘−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4‘−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール化合物等のフェノール性水酸基を有する化合物、アニリン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、ヒドロキシルアミンなどのアミン化合物を用いることができる。 ラジカル捕捉剤の添加量は、テトラヒドロピランの量に対して任意の量を用いることができるが、密閉した条件であるならば、10〜1000ppm、好ましくは40〜300ppmをテトラヒドロピランに添加すればよい。用いる量が多いと不純物としての悪影響が懸念され、少なすぎた場合は酸化防止の効果がない。 なお、必要に応じて他の酸化防止剤を併用してもよい。例えば、光安定剤、金属イオン捕捉剤などが挙げられる。 以下、本発明について代表的な例を示し具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。過酸化物の定量方法: 本実施例において、過酸化物の定量は以下の方法で行った。 サンプル5gを秤量し、水100mlで希釈した。この溶液にヨウ化カリウム1gを加え溶解させた。次いで1M硫酸5mlを加え、更にデンプン溶液1mlを加えた。この溶液を0.01mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した。 過酸化物はH2O2に換算し、これをPO値とした。計算式は以下の通りである。実施例1: テトラヒドロピラン(THP)に酸化防止剤として、フェノール系の酸化防止剤であるジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を添加無し、50ppm添加、100ppm添加、200ppm添加、250ppm添加の各条件でサンプルを調整し、空気存在下、遮光して室温にて保管した。所定の日数経過後、前記した方法で過酸化物を定量した。結果を表1に示す。 テトラヒドロピランと酸化防止剤からなることを特徴とするテトラヒドロピラン組成物。 酸化防止剤がラジカル捕捉剤である請求項1に記載の組成物。 ラジカル捕捉剤がフェノール性水酸基を有する化合物である請求項1または2に記載の組成物。 ラジカル捕捉剤がアミン化合物である請求項1または2に記載の組成物。 【課題】エーテル化合物の保存において発生する過酸化物の蓄積の問題を解決する。特に、環状エーテル化合物のテトラヒドロピランの過酸化物の生成及び蓄積の課題を解決する。【解決手段】テトラヒドロピラン化合物と酸化防止剤からなるテトラヒドロピラン組成物を提供する。【選択図】なし


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