生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_クルクミン還元酵素
出願番号:2006150277
年次:2007
IPC分類:C12N 9/02


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稲福 盛雄 稲福 直 有銘 興博 藤野 哲也 大澤 俊彦 鳥居 恭好 JP 2007319030 公開特許公報(A) 20071213 2006150277 20060530 クルクミン還元酵素 大澤 俊彦 597136629 鳥居 恭好 504160851 株式会社琉球バイオリソース開発 397031784 廣田 雅紀 100107984 小澤 誠次 100102255 東海 裕作 100096482 大▲高▼ とし子 100123168 ▲高▼津 一也 100120086 堀内 真 100131093 稲福 盛雄 稲福 直 有銘 興博 藤野 哲也 大澤 俊彦 鳥居 恭好 C12N 9/02 20060101AFI20071116BHJP JPC12N9/02 1 OL 16 4B050 4B050CC01 4B050DD11 4B050FF04 4B050FF12 4B050FF13 4B050LL01 4B050LL02 4B050LL05 本発明は、クルクミンに作用してテトラヒドロクルクミンを生成するクルクミン還元酵素に関し、より詳しくは、該還元酵素が、ブタ小腸上皮から得られる特定の理化学的性質と部分アミノ酸配列を有するクルクミン還元酵素に関する。 香辛料、着色料として用いられるショウガ科クルクマ属の多年草のウコン根茎の乾燥粉末であるターメリックは、抗酸化作用、抗炎症作用、コレステロール低減作用、発癌抑制作用等の薬効を有することが明かにされたことから、ウコン、特にその根茎に多く含まれクルクミン類は、植物由来の安全な薬効成分として用いられている。このようなクルクミン類の還元体であるテトラヒドロクルクミン類は、クルクミン類より更に抗酸化作用が強く、抗白内障効果や大腸癌抑制効果がクルクミン類より高いことが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。 テトラヒドロクルクミン類の製造方法としては、金属触媒を用いたクルクミンの水素添加による製造法が知られているが、この方法により製造された合成テトラヒドロクルクミンを飲食品用途で使用することは食品衛生上問題がある。食用に利用可能なテトラヒドロクルクミン類を製造する方法として、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する微生物の菌体等をクルクミン類に作用させてテトラヒドロクルクミン類を生成させるテトラヒドロクルクミン類の製造方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。 しかしながら、クルクミンの水の溶解度は常温で0.1μg/ml以下と低く、菌等の微生物を使用する発酵処理を行なう場合、水に難溶性のクルクミン類はエタノール等クルクミン類を溶解する有機溶媒でまず溶解して用いているが、発酵処理物を摂取する関係上使用する有機溶媒の種類が制限され、使用量を増加すると菌等が不活性化してしまう等の不都合があった。有機溶媒を使用せずに水難溶性の化合物を水に分散させる技術としてエマルジョン化技術が知られているが、このエマルジョン化技術を利用したテトラヒドロクルクミン類を得る方法として、油脂成分と、乳化剤又は界面活性剤と、水性媒体とを混合、処理して得られるエマルジョンの存在下でクルクミン類に微生物を作用させ、テトラヒドロクルクミン類を含有する組成物を製造する方法(例えば、特許文献4参照)が報告されているが、テトラヒドロクルクミンへの変換率の更なる向上が望まれている。 またその他にも、クルクミン類にシクロデキストリンを添加して酵母等により発酵処理をすることにより、効率よくテトラヒドロクルクミン類を得る方法が知られており(例えば、特許文献5参照)、該方法によれば、金属触媒を用いて製造されたものとは異なり、微生物の発酵処理により得ることができるため、食品素材や食品として安全なテトラヒドロクルクミン類を得ることができる。 一方、クルクミンは、経口摂取の後に血中に移行するが、血中には主に四水素添加を受けた還元反応産物であるテトラヒドロクルクミン及びその抱合体である、グルクロン酸抱合体、硫酸抱合体、およびグルクロン酸と硫酸両者の抱合を同時に受けた抱合体として出現することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。クルクミン及びテトラヒドロクルクミンの抱合体形成には、小腸に存在するUDP依存性グルクロン酸転移酵素群(UDP−GTs)と硫酸転移酵素群(sulfotransferases)が関与しているものと考えられる。これらは食品成分や外来異物xenobioticsの抱合化を行う一般的酵素で、基質の水溶性を上昇させ、吸収・輸送・解毒・排出などを容易にするとされている。いずれの酵素も複数のアイソザイムが存在し基質特異性を有することが知られているが、英国University of LeicesterのIresonらは、ヒトの体内でクルクミンの硫酸抱合化を行う硫酸転移酵素のアイソザイムをSULT1A1、SULT1A3の2つであると報告している(例えば、非特許文献2参照)。さらに、Iresonらのグループはラット肝ホモゲネートとクルクミンの反応産物として、テトラヒドロクルクミンとクルクミンに水素6個が付加した形のヘキサヒドロクルクミンの存在を報告している(例えば、非特許文献2及び3参照)。彼等はこれらの報告の中で、詳細なデータは示していないものの、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)がクルクミン還元反応を触媒する可能性についてコメントしている。 さらに、ソウル国立大学薬学部のYoung-Joon Surh助教授らは、クルクミンの構造の類似したショウガ成分(ジンゲロール、ショウガオール等)の代謝に関して、ラット肝臓に存在する酵素がこれらの成分を還元し水素付加体を生成することを報告している(非特許文献4及び5参照)。Surhらはその後の結果から、この反応はNADPH要求性であることを示し、さらにこの酵素がステロイド代謝関連酵素である可能性を示唆している。 しかしながら、東北大学農学部の宮澤陽夫教授らはラットを用いた実験で、クルクミンは経口摂取後に血中にグルクロン酸及びグルクロン酸/硫酸抱合体クルクミンの形で出現するがテトラヒドロクルクミンは検出されず、クルクミンは還元反応を受けていないと報告している(例えば、非特許文献6参照)。さらに、日本大学の鳥居氏等は、生体内でのクルクミン還元の有無とその反応の局在を解明する目的で、ブタ小腸上皮からのクルクミン還元酵素の単離・同定を試みている(例えば、非特許文献7参照)。特開平2−49747号公報特開平2−51595号公報特開平11−235192号公報特開2003−33195号公報特開2005−304401号公報Drug Metabolism and Deposition 27, 486-494 (1999)Cancer Res. 61,1058-64 (2001)Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 11, 105-11 (2002)Res. Commun. Chem. Pathol. Pharmacol. 84, 53-61 (1994)Life Science 54, 321-6 (1994)Life Science67, 2785-2793 (2000)「食品酵素化学の最新技術と応用」、p201−207、2004年3月シーエムシー出版 本発明の課題は、ウコン等に含まれるクルクミンが示す薬効に比しより有効性が高いテトラヒドロクルクミンを得るために、クルクミンを還元作用してテトラヒドロクルクミンを生成することのできるクルクミン還元酵素及びその製造方法を提供することにある。 本発明者らは、長年、沖縄に自生するウコン等の薬草について、健康飲食品として或いは薬用として、体や病気に対して最適に作用・効果を奏し得る技術、さらに飲食や服用のし易すさ、長期保存等のための加工技術について研究してきたが、ウコンの薬効成分であるクルクミンに比して、その還元化合物であるテトラヒドロクルクミンの方が、薬効や物性においてより有効であることに注目し、金属原子などの触媒を用いる合成によらず、ある種の還元酵素を用いることにより安全なテトラヒドロクルクミンを生成し得るという予想のもとに、鋭意研究の結果、ブタ小腸上皮由来の酵素群の中から、食品に添加することができる安全な、クルクミンを還元する活性の高い特定の酵素を見い出し、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は、ブタ小腸上皮の遠心上清部を硫安分画し、酵素活性の高い1又は2以上の画分を分離し、分離された画分をゲルろ過に供して酵素活性の高い画分を分離し、分離された酵素活性の高い画分をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供して分子量と純度を確認後、二次電気泳動に供し、塩基性のタンパクであることを確認した後、酵素活性の高いゲルろ過画分をnative−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、酵素活性の高いバンドを切り出すことにより得られ、以下の理化学的性質(1)及び(2)、並びに部分アミノ酸配列(3)を有することを特徴とするクルクミン還元酵素(1)作用:クルクミンを還元してテトラヒドロクルクミンを生成する。(2)分子量:40kDa〜80kDa(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を示す。(3)少なくとも次の4箇所の部分アミノ酸配列を有する。 i)Val-His-Ser-Phe-Pro-Thr-Leu ii)Tyr-Leu-Ile-Pro-Asn-Ala iii)Val-Phe-Tyr-Leu-Lys vi)Arg-Ile-Ala-Tyr-Glu-Phe-Val-Glu-Metに関する。 本発明のクルクミン還元酵素は、クルクミンに作用してテトラヒドロクルクミンを生成することができ、該酵素の理化学的性質及びアミノ酸配列を特定することにより、健康上安全なテトラヒドロクルクミンを得ること、及び該化合物の定量的な製造方法を提供することができる。 本発明のクルクミン還元酵素としては、ブタ小腸上皮の遠心上清部を硫安分画し、酵素活性の高い1又は2以上の画分を分離し、分離された画分をゲルろ過に供して酵素活性の高い画分を分離し、分離された酵素活性の高い画分をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供して分子量と純度を確認後、二次電気泳動に供し、塩基性のタンパクであることを確認した後、酵素活性の高いゲルろ過画分をnative−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、酵素活性の高いバンドを切り出すことにより得られ、以下の理化学的性質(1)及び(2)、並びに部分アミノ酸配列(3)を有するものであれば特に制限されるものではなく、ブタ小腸上皮を採取するブタの成育段階はいずれでもよいが、成ブタを用いることが好ましい。(1)作用:クルクミンを還元してテトラヒドロクルクミンを生成する。(2)分子量:40kDa〜80kDa(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を示す。(3)少なくとも次の4個のアミノ酸配列を有する。 i)Val-His-Ser-Phe-Pro-Thr-Leu(配列番号1) ii)Tyr-Leu-Ile-Pro-Asn-Ala(配列番号2) iii)Val-Phe-Tyr-Leu-Lys(配列番号3) vi)Arg-Ile-Ala-Tyr-Glu-Phe-Val-Glu-Met(配列番号4) 本発明のクルクミン還元酵素は、具体的には以下のようにして得られる。ブタの小腸上皮を包丁等で剥離して、CMF−PBS等の緩衝液に懸濁し、その後ホモジナイズした後、得られた粗酵素液を遠心分離機を用いて遠心分離して上清部(可溶性画分)を採取する。次に、遠心上清部を硫安分画に供する。硫安の飽和度によって沈殿する蛋白質が異なることを利用して分画する手法であり、硫安分画における硫安の飽和度はいろいろ定義があるが、Methods in Enzymology,Vol 1,p76(1955)のGreen等の方法等を用いることができる。 酵素活性を有する硫安画分を、次にゲルろ過に供する。ゲルろ過は、蛋白質を分子量の大きさで分ける手法であり、分子量の大きい順番に出てくる。サイズ排除クロマトグラフィ(Size exclusion chromatography,SEC)、ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel permeation chromatography,GPC)ともよばれる。取得すべき酵素の分子量に応じて選択するが、例えばToyopearl HW-55s、Toyopearl HW-40F(東ソー株製)、Sephadex G-25、Sephadex G-100、Sephadex G-200(Pharmacia製)等を用いることができる。 また、硫安画分を、ゲルろ過で行う一方、陰イオン交換樹脂でも行うことで、より正確な酵素分離を確認することができる。本発明で用いる陰イオン交換樹脂は、弱イオン交換樹脂を用いることが好ましく、例えば、Diethylaminoethyl(DEAE)型等が挙げられることができる。 SDS−PAGE(ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動)は、Porzio&Pearsonの方法に従い、例えば、0.1%SDS−7.5%ゲルと0.1%SDS−150mM Tris-glycine緩衝液(pH8.6)を用いて行うことが挙げられる。SDS−PAGEに供するとSDSの影響により酵素活性がなくなる可能性があるため、酵素活性のある画分を得るには、SDSを添加しない、native−PAGEにサンプルを供するものである。native−PAGEに供すると、種々のバンドを呈するので、酵素活性を測定し、活性を有する画分と活性のない画分について2次元電気泳動(例えば、2次元目:5−20%グラジエントゲル)に供し、物性の確認を行う。前述のnative−PAGEによる結果から、活性の高いバンドの混合物を混合したものを切り出し、さらにnative−PAGEに供した。種々のバンド、例えば10個のバンドを呈する。これらのバンドをそれぞれ酵素を抽出してその酵素活性をHPLCを用いて、コントロールと共に測定する。コントロールと比較し、相違する点があるか否かで、測定したバンドの中で目的のバンドを探索する。 見い出された目的のバンドのサンプルをリジルエンドペプチダーゼにてゲル内消化(基本的には、Rosennfeldらの方法による)させた後、逆相HPLCに供して、断片ペプチドを分離・分取する。逆相HPLCについてのフラクションの選択は、分取した画分中にシングルピークとなっていること、ピークの形状が対称(複数混在していないような形状)であること、内部配列分析の基本である8−12残基程度のペプチドが溶出されそうな保持時間であること(短いペプチドは保持時間が早く、長いペプチドは保持時間が遅い傾向がある)を考慮して、行う。得られたフラクションをシークエンサーにて分析するが、シークエンサーとしては、例えば、Applied Biosystems (Foster City, CA)のProcise 494 cLC Protein Sequencing System等を挙げることができる。 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。 ブタの小腸上皮を包丁で剥離して、CMF−PBS緩衝液(リン酸2水素ナトリウム(ナカライテスク社製)28.53g、リン酸2水素ナトリウム2水和物(ナカライテスク社製)15.42g、塩化ナトリウム(ナカライテスク社製)262.8gを蒸留水3Lに溶解し×10PBS緩衝液を作成した。この×10PBS緩衝液100mLに500mM EDTA(株式会社同仁化学研究所製)1mLを加え蒸留水で1LにメスアップしCMF−PBS緩衝液とした。)に懸濁した。その後、ホモジナイズし、得られた粗酵素液を遠心分離機により遠心分離(10000rpm)し、遠心上清(可溶性画分)部を採取した。前記遠心上清部を硫安分画し、60%画分と65%画分に強い活性がみられたので、該60%画分と65%画分を等量ずつ混合したものをサンプルとして用いた。この混合物を、ゲルろ過に供した。該ゲルろ過は、カラムとしてTOYOPEARL HW-55Sを、サイズ2×88.5cmを、溶離剤としてPBS(pH7.0)を用い、流速1ml/min、1ml/tubeにて行った。この結果を図1に示す。図1の矢印の画分について酵素活性、即ち、クルクミンに該画分を作用させてテトラヒドロクルクミンの生成量の程度を測定した。このゲルろ過分離後の酵素活性測定の結果を図2に示す。図2より、111前後の画分にクルクミンを還元してTHU1を生成する酵素活性があることを確認した。 一方、前述の硫安画分を陰イオン交換樹脂に供した。カラムとしてDEAEー650Cスターターキット(5ml)を用い、溶離液として20mM Tris−HCl buffer(pH8.3)を、tubeとして5ml/tubeを使用した。分離結果を図3に示す。また、前述の陰イオン交換樹脂による硫安画分全てについて酵素活性の測定を行った。その結果を図4に示す。画分20以降は活性が見られなかったため画分19までを示した。図4から、画分4前後に酵素活性があることを確認した。なお、陰イオン交換樹脂による分離は、ゲルろ過による分離と比較すると各画分の酵素活性は低いことがわかった。 ゲルろ過画分とイオン交換法による活性画分についてポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)により分子量と純度を調べた。その結果を図5に示す。図5から、分子量は4万から8万であることがわかった。また、それぞれの画分には10種類弱の酵素が含まれていることがわかった。 次に、SDS−PAGEに供するSDSの影響により酵素活性がなくなる可能性があるため、SDSを添加しないnative−PAGEに同様にゲルろ過とイオン交換法により得られた各画分を供した。その結果を図6に示す。なお、図6における(1)〜(5)及びMixは、次のようにゲルろ過画分や混合物を表す。即ちゲルろ過画分(1):95−99、(2):104−108、(3):109−113、(4):114−118、(5):119−123、Mix:(1)〜(5)の混合物を表す。また、図6における4、11、19はイオン交換画分、110、115はゲルろ過画分を表す。図6より活性のないイオン交換画分11,19及び活性の弱いゲルろ過画分(1)、(5)並びに活性のある各画分を比較すると、丸で囲ったバンド、即ちゲルろ過画分(2)、(3)、(4)や、ゲルろ過画分110,115及び(1)〜(5)の混合物の丸で囲ったバンドが目的の酵素である可能性が高いことがわかった。 さらに、活性のある画分と活性のない画分について2次元電気泳動に供した。その結果を図7に示す。図7より、活性を有する画分は塩基性側、活性のない画分は酸性側にスポットが見られ、これらのスポットは重なり合わなかった。 次に酵素活性の高いゲルろ過画分106−123の混合物をnative−PAGEに供した。この結果を図8に示す。図8に示すように、10個のバンドが得られ、これらを切り出して酵素を抽出し、酵素活性測定を行った。 前述の回収したバンド9(サンプル名:RBR−9)とコントロールの酵素活性を測定し、その結果を図9に示す。図9より、蛋白量が少ないにもかかわらずバンド9にのみわずかに矢印で示す部分に酵素活性を有することが確認でき、バンド9が目的の酵素であることがわかった。(ゲル内消化) 切り出したバンド9をリジルエンドペプチダーゼ(WAKO社製)にてゲル内消化をRosenfeldらの方法にしたがって実施した。(逆相HPLCによる分離) 前記消化液を逆相HPLCに供して、断片ペプチドを分離・分取した。HPLCの分離条件は下記のとおりである。カラム : Symmetry C18 (1.0 × 150mm, 3.5 micrometer, Waters) 溶媒 A : 0.1% TFA in 2% acetonitrile 溶媒 B : 0.09% TFA in 90% acetonitrile 流速 : 50 microL/min 温度 : 室温 検出 : 210 nm, 280 nm グラジエント : 0(min) 0(%B) 6 0 11 10 86 50 91 100 96 100 101 0 分取 : 50 microL/Fraction以上の条件による逆相HPLCに供した結果を図10に、また、同一条件でゲルブランクを逆相HPLCに供した結果を図11に示す。(アミノ酸配列分析) 逆相HPLCについてのフラクションの選択は、分取した画分中にシングルピークとなっていること、ピークの形状が対称(複数混在していないような形状)であること、内部配列分析の基本である8−12残基程度のペプチドが溶出されそうな保持時間であること(短いペプチドは保持時間が早く、長いペプチドは保持時間が遅い傾向がある)を考慮した。その結果、フラクション番号31及び34を選んだ。これらのフラクションをシークエンサーにて分析した。シークエンサーとしては、Applied Biosystems (Foster City, CA)のProcise 494 cLC Protein Sequencing Systemを使用した。(同定結果) 上記シークエンサーによる分析の結果、フラクション番号31及び34には数種類の蛋白が混在している可能性があり、各フラクションについて、2種類ずつアミノ酸配列を、下記のとおり決定した。フラクション番号31 i)Val-His-Ser-Phe-Pro-Thr-Leu ii)Tyr-Leu-Ile-Pro-Asn-Alaフラクション番号34 iii)Val-Phe-Tyr-Leu-Lys vi)Arg-Ile-Ala-Tyr-Glu-Phe-Val-Glu-Met本発明のブタ小腸上皮酵素由来の酵素について硫安60%画分と65%画分を等量ずつ混合したサンプルをゲルろ過した結果を示す。本発明の、図1の矢印の画分についての酵素活性測定結果を示す。本発明のブタ小腸上皮酵素由来の酵素について硫安60%画分と65%画分を等量ずつ混合したサンプルを陰イオン交換樹脂により分離した結果を示す。陰イオン交換樹脂分離後の酵素活性測定結果を示す。ゲルろ過とイオン交換法により得られた各画分についてSDS-PAGEに供した結果を示す。ゲルろ過とイオン交換法により得られた各画分についてSDSを添加しないnative-PAGEに同様に供した結果を示す。図6における活性のあるものとないものの画分について2次元電気泳動に供した結果を示す。酵素活性の高いゲルろ過画分106−123の混合物をnative−PAGEに供した結果を示す。バンド9とコントロールの酵素活性を測定した結果を示す。バンド9について逆相HPLCに供した結果を示す。ゲル ブランクについて逆相HPLCに供した結果を示す。ブタ小腸上皮の遠心上清部を硫安分画し、酵素活性の高い1又は2以上の画分を分離し、分離された画分をゲルろ過に供して酵素活性の高い画分を分離し、分離された酵素活性の高い画分をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供して分子量と純度を確認後、二次電気泳動に供し、塩基性のタンパクであることを確認した後、酵素活性の高いゲルろ過画分をnative−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、酵素活性の高いバンドを切り出すことにより得られ、以下の理化学的性質(1)及び(2)、並びに部分アミノ酸配列(3)を有することを特徴とするクルクミン還元酵素。(1)作用:クルクミンを還元してテトラヒドロクルクミンを生成する。(2)分子量:40kDa〜80kDa(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を示す。(3)少なくとも次の4箇所の部分アミノ酸配列を有する。 i)Val-His-Ser-Phe-Pro-Thr-Leu ii)Tyr-Leu-Ile-Pro-Asn-Ala iii)Val-Phe-Tyr-Leu-Lys vi)Arg-Ile-Ala-Tyr-Glu-Phe-Val-Glu-Met 【課題】ブタ小腸上皮由来の特定のアミノ酸配列を有するクルクミン還元酵素を提供する。【解決手段】ブタ小腸上皮の遠心上清部を硫安分画し、酵素活性の高い1又は2以上の画分を分離し、分離された画分をゲルろ過に供して酵素活性の高い画分を分離し、分離された酵素活性の高い画分をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供して分子量と純度を確認後、二次電気泳動に供し、塩基性のタンパクであることを確認した後、酵素活性の高いゲルろ過画分をnative−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、酵素活性の高いバンドを切り出すことにより、クルクミン還元酵素を得る。【選択図】なし配列表


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特許公報(B2)_クルクミン還元酵素

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タイトル:特許公報(B2)_クルクミン還元酵素
出願番号:2006150277
年次:2012
IPC分類:C12N 9/02


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稲福 盛雄 稲福 直 有銘 興博 藤野 哲也 大澤 俊彦 鳥居 恭好 JP 4921042 特許公報(B2) 20120210 2006150277 20060530 クルクミン還元酵素 大澤 俊彦 597136629 鳥居 恭好 504160851 株式会社琉球バイオリソース開発 397031784 廣田 雅紀 100107984 小澤 誠次 100102255 東海 裕作 100096482 大▲高▼ とし子 100123168 ▲高▼津 一也 100120086 堀内 真 100131093 稲福 盛雄 稲福 直 有銘 興博 藤野 哲也 大澤 俊彦 鳥居 恭好 20120418 C12N 9/02 20060101AFI20120329BHJP JPC12N9/02 C12N 15/00−15/90 CAPLUS/BIOSIS/MEDLINE/REGISTRY/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PubMed Science Direct 食品酵素化学の最新技術と応用,2004年,p.201-207 日本農芸化学学会2004年度(平成16年度)大会講演要旨集,2004年,p.211, 3A18p02 日本食品科学工学創立50周年記念第50回大会講演集,2003年,p.45, 3Aa12 1 2007319030 20071213 16 20090529 吉森 晃 本発明は、クルクミンに作用してテトラヒドロクルクミンを生成するクルクミン還元酵素に関し、より詳しくは、該還元酵素が、ブタ小腸上皮から得られる特定の理化学的性質と部分アミノ酸配列を有するクルクミン還元酵素に関する。 香辛料、着色料として用いられるショウガ科クルクマ属の多年草のウコン根茎の乾燥粉末であるターメリックは、抗酸化作用、抗炎症作用、コレステロール低減作用、発癌抑制作用等の薬効を有することが明かにされたことから、ウコン、特にその根茎に多く含まれクルクミン類は、植物由来の安全な薬効成分として用いられている。このようなクルクミン類の還元体であるテトラヒドロクルクミン類は、クルクミン類より更に抗酸化作用が強く、抗白内障効果や大腸癌抑制効果がクルクミン類より高いことが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。 テトラヒドロクルクミン類の製造方法としては、金属触媒を用いたクルクミンの水素添加による製造法が知られているが、この方法により製造された合成テトラヒドロクルクミンを飲食品用途で使用することは食品衛生上問題がある。食用に利用可能なテトラヒドロクルクミン類を製造する方法として、クルクミン類をテトラヒドロクルクミン類に変換する活性を有する微生物の菌体等をクルクミン類に作用させてテトラヒドロクルクミン類を生成させるテトラヒドロクルクミン類の製造方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。 しかしながら、クルクミンの水の溶解度は常温で0.1μg/ml以下と低く、菌等の微生物を使用する発酵処理を行なう場合、水に難溶性のクルクミン類はエタノール等クルクミン類を溶解する有機溶媒でまず溶解して用いているが、発酵処理物を摂取する関係上使用する有機溶媒の種類が制限され、使用量を増加すると菌等が不活性化してしまう等の不都合があった。有機溶媒を使用せずに水難溶性の化合物を水に分散させる技術としてエマルジョン化技術が知られているが、このエマルジョン化技術を利用したテトラヒドロクルクミン類を得る方法として、油脂成分と、乳化剤又は界面活性剤と、水性媒体とを混合、処理して得られるエマルジョンの存在下でクルクミン類に微生物を作用させ、テトラヒドロクルクミン類を含有する組成物を製造する方法(例えば、特許文献4参照)が報告されているが、テトラヒドロクルクミンへの変換率の更なる向上が望まれている。 またその他にも、クルクミン類にシクロデキストリンを添加して酵母等により発酵処理をすることにより、効率よくテトラヒドロクルクミン類を得る方法が知られており(例えば、特許文献5参照)、該方法によれば、金属触媒を用いて製造されたものとは異なり、微生物の発酵処理により得ることができるため、食品素材や食品として安全なテトラヒドロクルクミン類を得ることができる。 一方、クルクミンは、経口摂取の後に血中に移行するが、血中には主に四水素添加を受けた還元反応産物であるテトラヒドロクルクミン及びその抱合体である、グルクロン酸抱合体、硫酸抱合体、およびグルクロン酸と硫酸両者の抱合を同時に受けた抱合体として出現することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。クルクミン及びテトラヒドロクルクミンの抱合体形成には、小腸に存在するUDP依存性グルクロン酸転移酵素群(UDP−GTs)と硫酸転移酵素群(sulfotransferases)が関与しているものと考えられる。これらは食品成分や外来異物xenobioticsの抱合化を行う一般的酵素で、基質の水溶性を上昇させ、吸収・輸送・解毒・排出などを容易にするとされている。いずれの酵素も複数のアイソザイムが存在し基質特異性を有することが知られているが、英国University of LeicesterのIresonらは、ヒトの体内でクルクミンの硫酸抱合化を行う硫酸転移酵素のアイソザイムをSULT1A1、SULT1A3の2つであると報告している(例えば、非特許文献2参照)。さらに、Iresonらのグループはラット肝ホモゲネートとクルクミンの反応産物として、テトラヒドロクルクミンとクルクミンに水素6個が付加した形のヘキサヒドロクルクミンの存在を報告している(例えば、非特許文献2及び3参照)。彼等はこれらの報告の中で、詳細なデータは示していないものの、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)がクルクミン還元反応を触媒する可能性についてコメントしている。 さらに、ソウル国立大学薬学部のYoung-Joon Surh助教授らは、クルクミンの構造の類似したショウガ成分(ジンゲロール、ショウガオール等)の代謝に関して、ラット肝臓に存在する酵素がこれらの成分を還元し水素付加体を生成することを報告している(非特許文献4及び5参照)。Surhらはその後の結果から、この反応はNADPH要求性であることを示し、さらにこの酵素がステロイド代謝関連酵素である可能性を示唆している。 しかしながら、東北大学農学部の宮澤陽夫教授らはラットを用いた実験で、クルクミンは経口摂取後に血中にグルクロン酸及びグルクロン酸/硫酸抱合体クルクミンの形で出現するがテトラヒドロクルクミンは検出されず、クルクミンは還元反応を受けていないと報告している(例えば、非特許文献6参照)。さらに、日本大学の鳥居氏等は、生体内でのクルクミン還元の有無とその反応の局在を解明する目的で、ブタ小腸上皮からのクルクミン還元酵素の単離・同定を試みている(例えば、非特許文献7参照)。特開平2−49747号公報特開平2−51595号公報特開平11−235192号公報特開2003−33195号公報特開2005−304401号公報Drug Metabolism and Deposition 27, 486-494 (1999)Cancer Res. 61,1058-64 (2001)Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 11, 105-11 (2002)Res. Commun. Chem. Pathol. Pharmacol. 84, 53-61 (1994)Life Science 54, 321-6 (1994)Life Science67, 2785-2793 (2000)「食品酵素化学の最新技術と応用」、p201−207、2004年3月シーエムシー出版 本発明の課題は、ウコン等に含まれるクルクミンが示す薬効に比しより有効性が高いテトラヒドロクルクミンを得るために、クルクミンを還元作用してテトラヒドロクルクミンを生成することのできるクルクミン還元酵素及びその製造方法を提供することにある。 本発明者らは、長年、沖縄に自生するウコン等の薬草について、健康飲食品として或いは薬用として、体や病気に対して最適に作用・効果を奏し得る技術、さらに飲食や服用のし易すさ、長期保存等のための加工技術について研究してきたが、ウコンの薬効成分であるクルクミンに比して、その還元化合物であるテトラヒドロクルクミンの方が、薬効や物性においてより有効であることに注目し、金属原子などの触媒を用いる合成によらず、ある種の還元酵素を用いることにより安全なテトラヒドロクルクミンを生成し得るという予想のもとに、鋭意研究の結果、ブタ小腸上皮由来の酵素群の中から、食品に添加することができる安全な、クルクミンを還元する活性の高い特定の酵素を見い出し、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は、ブタ小腸上皮の可溶化画分を遠心分離し、得られた遠心上清部を硫安分画し、酵素活性の高い1又は2以上の画分を分離し、分離された画分をゲルろ過に供して酵素活性の高い画分を分離し、分離された酵素活性の高い画分をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供して分子量と純度を確認後、二次電気泳動に供し、塩基性のタンパクであることを確認した後、酵素活性の高いゲルろ過画分をnative−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、酵素活性の高いバンドを切り出すことにより得られた、クルクミンを還元してテトラヒドロクルクミンを生成する活性を有するブタ小腸上皮由来の画分であって、以下の(1)及び(2)の特徴を有する画分に関する。(1)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った場合に示される分子量が40kDa〜80kDaであること;(2)リジルエンドペプチダーゼを用いて消化した場合に、少なくとも次の4つのアミノ酸配列からなるペプチド断片を生じること;i)Val-His-Ser-Phe-Pro-Thr-Leuii)Tyr-Leu-Ile-Pro-Asn-Alaiii)Val-Phe-Tyr-Leu-Lysvi)Arg-Ile-Ala-Tyr-Glu-Phe-Val-Glu-Met 本発明のクルクミン還元酵素は、クルクミンに作用してテトラヒドロクルクミンを生成することができ、該酵素の理化学的性質及びアミノ酸配列を特定することにより、健康上安全なテトラヒドロクルクミンを得ること、及び該化合物の定量的な製造方法を提供することができる。 本発明のクルクミン還元酵素としては、ブタ小腸上皮の遠心上清部を硫安分画し、酵素活性の高い1又は2以上の画分を分離し、分離された画分をゲルろ過に供して酵素活性の高い画分を分離し、分離された酵素活性の高い画分をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供して分子量と純度を確認後、二次電気泳動に供し、塩基性のタンパクであることを確認した後、酵素活性の高いゲルろ過画分をnative−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、酵素活性の高いバンドを切り出すことにより得られ、以下の理化学的性質(1)及び(2)、並びに部分アミノ酸配列(3)を有するものであれば特に制限されるものではなく、ブタ小腸上皮を採取するブタの成育段階はいずれでもよいが、成ブタを用いることが好ましい。(1)作用:クルクミンを還元してテトラヒドロクルクミンを生成する。(2)分子量:40kDa〜80kDa(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を示す。(3)少なくとも次の4個のアミノ酸配列を有する。 i)Val-His-Ser-Phe-Pro-Thr-Leu(配列番号1) ii)Tyr-Leu-Ile-Pro-Asn-Ala(配列番号2) iii)Val-Phe-Tyr-Leu-Lys(配列番号3) vi)Arg-Ile-Ala-Tyr-Glu-Phe-Val-Glu-Met(配列番号4) 本発明のクルクミン還元酵素は、具体的には以下のようにして得られる。ブタの小腸上皮を包丁等で剥離して、CMF−PBS等の緩衝液に懸濁し、その後ホモジナイズした後、得られた粗酵素液を遠心分離機を用いて遠心分離して上清部(可溶性画分)を採取する。次に、遠心上清部を硫安分画に供する。硫安の飽和度によって沈殿する蛋白質が異なることを利用して分画する手法であり、硫安分画における硫安の飽和度はいろいろ定義があるが、Methods in Enzymology,Vol 1,p76(1955)のGreen等の方法等を用いることができる。 酵素活性を有する硫安画分を、次にゲルろ過に供する。ゲルろ過は、蛋白質を分子量の大きさで分ける手法であり、分子量の大きい順番に出てくる。サイズ排除クロマトグラフィ(Size exclusion chromatography,SEC)、ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel permeation chromatography,GPC)ともよばれる。取得すべき酵素の分子量に応じて選択するが、例えばToyopearl HW-55s、Toyopearl HW-40F(東ソー株製)、Sephadex G-25、Sephadex G-100、Sephadex G-200(Pharmacia製)等を用いることができる。 また、硫安画分を、ゲルろ過で行う一方、陰イオン交換樹脂でも行うことで、より正確な酵素分離を確認することができる。本発明で用いる陰イオン交換樹脂は、弱イオン交換樹脂を用いることが好ましく、例えば、Diethylaminoethyl(DEAE)型等が挙げられることができる。 SDS−PAGE(ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動)は、Porzio&Pearsonの方法に従い、例えば、0.1%SDS−7.5%ゲルと0.1%SDS−150mM Tris-glycine緩衝液(pH8.6)を用いて行うことが挙げられる。SDS−PAGEに供するとSDSの影響により酵素活性がなくなる可能性があるため、酵素活性のある画分を得るには、SDSを添加しない、native−PAGEにサンプルを供するものである。native−PAGEに供すると、種々のバンドを呈するので、酵素活性を測定し、活性を有する画分と活性のない画分について2次元電気泳動(例えば、2次元目:5−20%グラジエントゲル)に供し、物性の確認を行う。前述のnative−PAGEによる結果から、活性の高いバンドの混合物を混合したものを切り出し、さらにnative−PAGEに供した。種々のバンド、例えば10個のバンドを呈する。これらのバンドをそれぞれ酵素を抽出してその酵素活性をHPLCを用いて、コントロールと共に測定する。コントロールと比較し、相違する点があるか否かで、測定したバンドの中で目的のバンドを探索する。 見い出された目的のバンドのサンプルをリジルエンドペプチダーゼにてゲル内消化(基本的には、Rosennfeldらの方法による)させた後、逆相HPLCに供して、断片ペプチドを分離・分取する。逆相HPLCについてのフラクションの選択は、分取した画分中にシングルピークとなっていること、ピークの形状が対称(複数混在していないような形状)であること、内部配列分析の基本である8−12残基程度のペプチドが溶出されそうな保持時間であること(短いペプチドは保持時間が早く、長いペプチドは保持時間が遅い傾向がある)を考慮して、行う。得られたフラクションをシークエンサーにて分析するが、シークエンサーとしては、例えば、Applied Biosystems (Foster City, CA)のProcise 494 cLC Protein Sequencing System等を挙げることができる。 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。 ブタの小腸上皮を包丁で剥離して、CMF−PBS緩衝液(リン酸2水素ナトリウム(ナカライテスク社製)28.53g、リン酸2水素ナトリウム2水和物(ナカライテスク社製)15.42g、塩化ナトリウム(ナカライテスク社製)262.8gを蒸留水3Lに溶解し×10PBS緩衝液を作成した。この×10PBS緩衝液100mLに500mM EDTA(株式会社同仁化学研究所製)1mLを加え蒸留水で1LにメスアップしCMF−PBS緩衝液とした。)に懸濁した。その後、ホモジナイズし、得られた粗酵素液を遠心分離機により遠心分離(10000rpm)し、遠心上清(可溶性画分)部を採取した。前記遠心上清部を硫安分画し、60%画分と65%画分に強い活性がみられたので、該60%画分と65%画分を等量ずつ混合したものをサンプルとして用いた。この混合物を、ゲルろ過に供した。該ゲルろ過は、カラムとしてTOYOPEARL HW-55Sを、サイズ2×88.5cmを、溶離剤としてPBS(pH7.0)を用い、流速1ml/min、1ml/tubeにて行った。この結果を図1に示す。図1の矢印の画分について酵素活性、即ち、クルクミンに該画分を作用させてテトラヒドロクルクミンの生成量の程度を測定した。このゲルろ過分離後の酵素活性測定の結果を図2に示す。図2より、111前後の画分にクルクミンを還元してTHU1を生成する酵素活性があることを確認した。 一方、前述の硫安画分を陰イオン交換樹脂に供した。カラムとしてDEAEー650Cスターターキット(5ml)を用い、溶離液として20mM Tris−HCl buffer(pH8.3)を、tubeとして5ml/tubeを使用した。分離結果を図3に示す。また、前述の陰イオン交換樹脂による硫安画分全てについて酵素活性の測定を行った。その結果を図4に示す。画分20以降は活性が見られなかったため画分19までを示した。図4から、画分4前後に酵素活性があることを確認した。なお、陰イオン交換樹脂による分離は、ゲルろ過による分離と比較すると各画分の酵素活性は低いことがわかった。 ゲルろ過画分とイオン交換法による活性画分についてポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)により分子量と純度を調べた。その結果を図5に示す。図5から、分子量は4万から8万であることがわかった。また、それぞれの画分には10種類弱の酵素が含まれていることがわかった。 次に、SDS−PAGEに供するSDSの影響により酵素活性がなくなる可能性があるため、SDSを添加しないnative−PAGEに同様にゲルろ過とイオン交換法により得られた各画分を供した。その結果を図6に示す。なお、図6における(1)〜(5)及びMixは、次のようにゲルろ過画分や混合物を表す。即ちゲルろ過画分(1):95−99、(2):104−108、(3):109−113、(4):114−118、(5):119−123、Mix:(1)〜(5)の混合物を表す。また、図6における4、11、19はイオン交換画分、110、115はゲルろ過画分を表す。図6より活性のないイオン交換画分11,19及び活性の弱いゲルろ過画分(1)、(5)並びに活性のある各画分を比較すると、丸で囲ったバンド、即ちゲルろ過画分(2)、(3)、(4)や、ゲルろ過画分110,115及び(1)〜(5)の混合物の丸で囲ったバンドが目的の酵素である可能性が高いことがわかった。 さらに、活性のある画分と活性のない画分について2次元電気泳動に供した。その結果を図7に示す。図7より、活性を有する画分は塩基性側、活性のない画分は酸性側にスポットが見られ、これらのスポットは重なり合わなかった。 次に酵素活性の高いゲルろ過画分106−123の混合物をnative−PAGEに供した。この結果を図8に示す。図8に示すように、10個のバンドが得られ、これらを切り出して酵素を抽出し、酵素活性測定を行った。 前述の回収したバンド9(サンプル名:RBR−9)とコントロールの酵素活性を測定し、その結果を図9に示す。図9より、蛋白量が少ないにもかかわらずバンド9にのみわずかに矢印で示す部分に酵素活性を有することが確認でき、バンド9が目的の酵素であることがわかった。(ゲル内消化) 切り出したバンド9をリジルエンドペプチダーゼ(WAKO社製)にてゲル内消化をRosenfeldらの方法にしたがって実施した。(逆相HPLCによる分離) 前記消化液を逆相HPLCに供して、断片ペプチドを分離・分取した。HPLCの分離条件は下記のとおりである。カラム : Symmetry C18 (1.0 × 150mm, 3.5 micrometer, Waters) 溶媒 A : 0.1% TFA in 2% acetonitrile 溶媒 B : 0.09% TFA in 90% acetonitrile 流速 : 50 microL/min 温度 : 室温 検出 : 210 nm, 280 nm グラジエント : 0(min) 0(%B) 6 0 11 10 86 50 91 100 96 100 101 0 分取 : 50 microL/Fraction以上の条件による逆相HPLCに供した結果を図10に、また、同一条件でゲルブランクを逆相HPLCに供した結果を図11に示す。(アミノ酸配列分析) 逆相HPLCについてのフラクションの選択は、分取した画分中にシングルピークとなっていること、ピークの形状が対称(複数混在していないような形状)であること、内部配列分析の基本である8−12残基程度のペプチドが溶出されそうな保持時間であること(短いペプチドは保持時間が早く、長いペプチドは保持時間が遅い傾向がある)を考慮した。その結果、フラクション番号31及び34を選んだ。これらのフラクションをシークエンサーにて分析した。シークエンサーとしては、Applied Biosystems (Foster City, CA)のProcise 494 cLC Protein Sequencing Systemを使用した。(同定結果) 上記シークエンサーによる分析の結果、フラクション番号31及び34には数種類の蛋白が混在している可能性があり、各フラクションについて、2種類ずつアミノ酸配列を、下記のとおり決定した。フラクション番号31 i)Val-His-Ser-Phe-Pro-Thr-Leu ii)Tyr-Leu-Ile-Pro-Asn-Alaフラクション番号34 iii)Val-Phe-Tyr-Leu-Lys vi)Arg-Ile-Ala-Tyr-Glu-Phe-Val-Glu-Met本発明のブタ小腸上皮酵素由来の酵素について硫安60%画分と65%画分を等量ずつ混合したサンプルをゲルろ過した結果を示す。本発明の、図1の矢印の画分についての酵素活性測定結果を示す。本発明のブタ小腸上皮酵素由来の酵素について硫安60%画分と65%画分を等量ずつ混合したサンプルを陰イオン交換樹脂により分離した結果を示す。陰イオン交換樹脂分離後の酵素活性測定結果を示す。ゲルろ過とイオン交換法により得られた各画分についてSDS-PAGEに供した結果を示す。ゲルろ過とイオン交換法により得られた各画分についてSDSを添加しないnative-PAGEに同様に供した結果を示す。図6における活性のあるものとないものの画分について2次元電気泳動に供した結果を示す。酵素活性の高いゲルろ過画分106−123の混合物をnative−PAGEに供した結果を示す。バンド9とコントロールの酵素活性を測定した結果を示す。バンド9について逆相HPLCに供した結果を示す。ゲル ブランクについて逆相HPLCに供した結果を示す。ブタ小腸上皮の可溶化画分を遠心分離し、得られた遠心上清部を硫安分画し、酵素活性の高い1又は2以上の画分を分離し、分離された画分をゲルろ過に供して酵素活性の高い画分を分離し、分離された酵素活性の高い画分をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供して分子量と純度を確認後、二次電気泳動に供し、塩基性のタンパクであることを確認した後、酵素活性の高いゲルろ過画分をnative−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、酵素活性の高いバンドを切り出すことにより得られた、クルクミンを還元してテトラヒドロクルクミンを生成する活性を有するブタ小腸上皮由来の画分であって、以下の(1)及び(2)の特徴を有する画分。(1)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った場合に示される分子量が40kDa〜80kDaであること;(2)リジルエンドペプチダーゼを用いて消化した場合に、少なくとも次の4つのアミノ酸配列からなるペプチド断片を生じること;i)Val-His-Ser-Phe-Pro-Thr-Leuii)Tyr-Leu-Ile-Pro-Asn-Alaiii)Val-Phe-Tyr-Leu-Lysvi)Arg-Ile-Ala-Tyr-Glu-Phe-Val-Glu-Met配列表


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