生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_流体制御部を有するマイクロチップ
出願番号:2006146283
年次:2007
IPC分類:G01N 35/08,C12M 1/00


特許情報キャッシュ

出嶋 真紀子 JP 2007315936 公開特許公報(A) 20071206 2006146283 20060526 流体制御部を有するマイクロチップ 凸版印刷株式会社 000003193 出嶋 真紀子 G01N 35/08 20060101AFI20071109BHJP C12M 1/00 20060101ALI20071109BHJP JPG01N35/08 AC12M1/00 A 8 1 OL 8 2G058 4B029 2G058DA07 2G058EA14 4B029AA23 4B029BB16 4B029CC01 4B029DA10 4B029DC07 本発明は、たとえばDNA(デオキシリボ核酸)などの生体関連物質の検出などに用いられるマイクロチップの微細流路内の構造に関するものである。 従来、ガラス等の基板表面にリソグラフィー等の微細加工技術によって、マイクロメートルオーダーの溝を形成して、この溝を液体や気体の微細流路とし、化学反応や生化学反応、溶媒抽出や気液分離、さらにはこれらに基づく微量成分の化学分析や非接触光学分析等を可能としたマイクロチップ技術が知られている。 このマイクロチップ技術においては、微小流路での流れを制御することが重要な課題の一つであって、これまでにも、微小流路内の固定した堰止め構造を設ける方法や(非特許文献1参照)、ダイヤフラムを気体や液体によって駆動するバルブ構造を用いる方法(非特許文献2)、表面修飾をした微小流路を用いる方法等によって流れを制御すること(非特許文献3)が提案されている。A.Russom et al.(2002)Proceedings of the microTAS 2002symposium,Nara,pp.218−220.K.Ikuta et al.(2002)ibid,pp.37−39.N.Y.Lee et al.(2002)ibid,pp.667−669. しかしながら、これら従来の方法では、その構造体の形成方法が煩雑であったり、堰止め力が弱く、逆流したり制御しきれないなどの問題点があった。 本発明では、上述のような従来技術の問題点を解消し、簡便に、流れを制御することを可能とする、新しい流体制御部を有するマイクロチップを提供することを目的としている。 請求項1に記載の発明は、一方の表面に所定の形状の微細流路が配設された長方形状の基板と、該微細流路を封止する対面基板とからなるマイクロチップにおいて、該微細流路に流体制御部を備えることを特徴とするマイクロチップである。 流体制御部を備えることにより、マイクロ流路内での流体制御が可能となり、マイクロチップ内で行う化学反応の進行を制御することが可能となる。 請求項2に記載の発明は、DNAを増幅させる増幅反応を行うPCR増幅反応槽と、この増幅反応に使用する試薬を収容するリザーバーとを有する長方形状の基板であって、その長手方向に沿って、順に、リザーバー、PCR増幅反応槽が微細流路を介して設けられている基板と、該リザーバー、該PCR増幅反応槽および該微細流路とを封止する対面基板とからなるマイクロチップにおいて、該微細流路に流体制御部を備えることを特徴とするマイクロチップである。 リザーバー、PCR増幅反応槽と、それらを結ぶように配設された微細流路とを封止する対面基板を有するマイクロチップであるため、PCR増幅反応に使用する微量試薬および反応生成物の蒸発や不純物の混入を防ぐことが可能となる。また、流体制御部を備えることにより、PCR増幅反応槽中に試薬等が流れ出すことなく、リザーバー中で増幅反応に使用する試薬を水または緩衝液で溶解・混合させることができ、より精度の高い反応とすることが可能となる。 請求項3に記載の発明は、前記流体制御部は、切り込みを有する壁構造部を前記微細流路を遮断するよう設置した構造であり、該切り込みは微細流路の深さ方向に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロチップである。 流体制御部は、微細流路中に微細流路を遮断するように設けた壁構造部に深さ方向に切り込みを入れるという、非常に簡単な構造であるため、作製も非常に簡単である。後述するように、加圧により切り込みが開閉する弁体により微細流路内の流れを制御することができる。 請求項4に記載の発明は、前記切り込みの大きさが、微細流路の深さに対して30%以上100%以下であることを特徴とする請求項3に記載のマイクロチップである。 切り込みの大きさが、微細流路の深さに対して30%より小さいと流体による流体制御部への負荷が過大となり、流体制御部の損傷が生じる恐れがあるため、30%以上とすることが好ましい。 請求項5に記載の発明は、前記流体制御部の長手方向の長さが、500um以上1000um以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマイクロチップである。 流体制御部の長手方向の長さ、言い換えると、壁構造部の厚みが500umより小さいと微細流路中の流体を堰き止める力が弱く、また、1000umより大きいと流体を堰き止める力は強くなるが、切り込みが開閉しづらくなり弁体として機能しない恐れがある。 請求項6に記載の発明は、前記流体制御部はポリマーからなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のマイクロチップである。 流体制御部はポリマーからなることにより、弁体として必要な柔軟性を持つことができる。 請求項7に記載の発明は、前記ポリマーが、ポリジメチルシロキサンであることを特徴とする請求項6に記載のマイクロチップである。 ポリジメチルシロキサンは柔軟性に富むことはもちろん、自己吸着性があるので特殊な接合プロセスが不要であり、また耐熱性に優れるために多様な表面改質が可能であり、また優れた形状転写性を有し、さらには低価格で透明性に優れた材料であるため、流体制御部の構造、作製方法を低コストでより簡単にすることが可能である。 請求項8に記載の発明は、前記流体制御部に対して加圧手段を備えることを特徴とする請求項1から7に記載のマイクロチップである。 流体制御部は加圧手段を用いて圧力がかけられることにより開閉する、弁体構造となっているため、加圧により微細流路内の流体の流れを制御することが可能となる。 請求項1に係る発明においては、流体制御部を備えることにより、マイクロ流路内での流体制御が可能となり、マイクロチップ内で行う化学反応の進行を制御することが可能となる。 請求項2に係る発明においては、リザーバー、PCR増幅反応槽と、それらを結ぶように配設された微細流路とを封止する対面基板を有するマイクロチップであるため、PCR増幅反応に使用する微量試薬および反応生成物の蒸発や不純物の混入を防ぐことが可能となる。また、流体制御部を備えることにより、PCR増幅反応槽中に試薬等が流れ出すことなく、リザーバー中で増幅反応に使用する試薬を水または緩衝液で溶解・混合させることができ、より精度の高い反応とすることが可能となる。 請求項3に係る発明においては、流体制御部は、微細流路中に微細流路を遮断するように設けた壁構造部に深さ方向に切り込みを入れるという、非常に簡単な構造であるため、作製も非常に簡単である。後述するように、加圧により切り込みが開閉する弁体により微細流路内の流れを制御することができる。 請求項4に係る発明においては、切り込みの大きさが、微細流路の深さに対して30%より小さいと流体による流体制御部への負荷が過大となり、流体制御部の損傷が生じる恐れがあるため、30%以上とすることが好ましい。 請求項5に係る発明においては、流体制御部の長手方向の長さ、言い換えると、壁構造部の厚みが500umより小さいと微細流路中の流体を堰き止める力が弱く、また、1000umより大きいと流体を堰き止める力は強くなるが、切り込みが開閉しづらくなり弁体として機能しない恐れがある。 請求項6に係る発明においては、流体制御部はポリマーからなることにより、弁体としての柔軟性を持つことができる。 請求項7に係る発明においては、ポリジメチルシロキサンは柔軟性に富むことはもちろん、自己吸着性があるので特殊な接合プロセスが不要であり、また耐熱性に優れるために多様な表面改質が可能であり、また優れた形状転写性を有し、さらには低価格で透明性に優れた材料であるため、流体制御部の構造、作製方法を低コストでより簡単にすることが可能である。 請求項8に係る発明においては、流体制御部は加圧手段を用いて圧力がかけられることにより開閉する、弁体構造となっているため、加圧により微細流路内の流体の流れを制御することが可能となる。 以下に本発明を詳細に説明する。 本発明における基板は、柔軟性や自己吸着性を有するポリマーにより形成される。例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)が挙げられる。本発明におけるマイクロチップの一実施例の平面図を図1に示す。長方形状の基板の一方の表面には、試薬などの注入口1やリザーバー2、反応槽5などが、マイクロチップの使用目的に合わせて所定の形状で所定の位置に適宜配設されており、また、これら注入口やリザーバー、反応槽を結ぶように、所定の形状を有する微細流路9が配設されている。 また、本発明におけるマイクロチップは、長方形状の基板の一方の表面にDNAを増幅させる増幅反応を行うPCR増幅反応槽と、この増幅反応に使用する試薬を収容するリザーバーとを設けることもできる。基板の長手方向に沿って、順に、リザーバー、PCR増幅反応槽が微細流路を介して設けられている。リザーバー中で増幅反応に使用する試薬を水または緩衝液で溶解・混合させた後、微細流路を通じてPCR増幅反応槽へ混合液を移動させ、増幅反応を行う。 前記微細流路9には、流体制御部3が設けられている。流体制御部は加圧により開閉する弁体構造になっている。流体制御部は、微細流路中の一部に微細流路を遮断するように壁構造部7を設け、該壁構造部に流体の通り道となる切り込み8を入れることにより形成される。マイクロチップの長手方向に対して垂直方向からみた流体制御部の一例を図2に示す。ここで、流体制御部の切り込み8は通常は密着しているため、切り込み部分の断面積はゼロである。切り込みの大きさdに関しては、微細流路の深さDに対して30%以上100%以下であることが好ましい。30%より小さいと流体による流体制御部への負荷が過大となり、流体制御部の損傷が生じることがある。壁構造部7の厚み、つまり流体制御部の長手方向の長さtは、500um以上1000um以下が望ましい。また、切り込み8を入れる位置は、流路の幅に対して、いずれの位置にあってもよい。 流体制御部は後述する加圧手段を用いて圧力がかけられることにより開閉する、弁体構造となっている。この弁体構造を有する流体制御部の開閉により、微細流路内の流体の流れを制御することが可能となる。 流体制御部を設ける位置は、マイクロチップの使用目的に合わせて微細流路中に適宜配置される。また、マイクロチップの使用目的に合わせて、一ヶ所、または複数ヶ所に設けることができる。 また、本発明におけるマイクロチップは、前記微細流路を封止するように対面基板を設ける。対面基板の材質は特に限定されないが、ポリジメチルシロキサンやアクリル系ポリマー、ガラスなど適宜選択することができる。対面基板を設ける場合には、微細流路を有する基板との接着性向上のために、基板の微細流路が形成されている面に表面処理を施すことが好ましい。例えば、コロナ放電処理などを行う。 上述した流体制御部を有する本発明におけるマイクロチップは、加圧手段を有している。または、別の加圧手段に接続させることもできる。加圧手段は流体制御部より上流の微細流路上に設ける必要がある。例えば、前記リザーバーを押し加圧することにより、流体制御部が切り込みのところから開き、同時にリザーバー内の試薬が流体制御部を通り微細流路内を移動することができる。リザーバーを押す手段としてはリニアアクチュエーターなどが挙げられる。また、別の例としては、前記注入口にシリンジポンプを接続させることもでき、流速を上げることにより加圧する。 以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。 流体制御部を有するマイクロチップは、フォトリソグラフィー技術を用いて作製した。はじめに、PDMSデバイスの鋳型の作製を行った。この鋳型は、エタノール洗浄した26mm×76mmのスライドガラス(松浪ガラス製)を基板として作製した。ネガ型フォトレジストであるSU−8 2100(化薬マイクロケム製)をガラス基板に2mL載せ、スピンコータにより1000rpmで30秒間コーティングした。その後、95℃で120分間プリベーキングして、フォトレジストから溶媒を除去した。チップ形成時に微細流路やリザーバー、反応槽などにしたい部分が白抜きになるように、また、流体制御部を構成する壁構造部は白抜きにならないようにPETフィルムに印刷したものをフォトマスクとして、フォトリソグラフィーを行った。フォトリソグラフィーは、超高圧水銀ランプ(ウシオ電機製)を用いて、約380mJ/cm2、500秒間紫外線を照射し、その後、SU−8現像液(化薬マイクロケム製)を用いて未重合のフォトレジストを除き、SU−8の鋳型とした。次に、PDMAのモノマーおよびその架橋剤(東レダウコーニング製)を体積比10:1で十分に混合し、かつ真空下で、混合中に発生した気泡を除去した。周囲に粘着テープで囲いを付けたSU−8鋳型に、得られた混合物を注入し、65℃で90分間硬化させた。硬化したPDMSを、SU−8鋳型から剥がし、微細流路を遮断する壁構造部を有する基板が得られた。顕微鏡下で微細流路を遮断している壁構造部の中央付近に、メスで切り込みを入れることにより流体制御部とした。また、注入口および排出口をハトメ抜き状のもので形成した。得られたPDMSの微細流路が形成されている面をコロナ放電処理した後、微細流路の底部となる対面基板として、エタノール洗浄済みのスライドガラス基板を接着し、流れを制御する流体制御部を有するマイクロチップ(図1)を得た。第一注入口1より注入された試薬Aは、微細流路を通りリザーバー2に溜められる。第二注入口4にはシリンジポンプを連結し、試薬Bを送液しておく。第一注入口1を粘着テープで封止し、適宜リザーバー2を押すことで、リザーバー2内の試薬Aを流体制御部3を通じて微細流路内に移動させた。リザーバーの押し込みをやめても、微細流路内の試薬がリザーバー2側に逆流することはなかった。本発明の流体制御部を有するマイクロチップの一実施例を示す平面図である。本発明の流体制御部の一実施例を示す断面図である。符号の説明 1 第一注入口 2 リザーバー兼加圧部 3 流体制御部 4 第二注入口 5 反応槽 6 反応液回収口 7 壁構造部 8 切り込み 9 微細流路 D 微細流路の深さ d 切り込みの深さ t 流体制御部の長手方向の長さ 一方の表面に所定の形状の微細流路が配設された長方形状の基板と、該微細流路を封止する対面基板とからなるマイクロチップにおいて、該微細流路に流体制御部を備えることを特徴とするマイクロチップ。 DNAを増幅させる増幅反応を行うPCR増幅反応槽と、この増幅反応に使用する試薬を収容するリザーバーとを有する長方形状の基板であって、その長手方向に沿って、順に、リザーバー、PCR増幅反応槽が微細流路を介して設けられている基板と、該リザーバー、該PCR増幅反応槽および該微細流路とを封止する対面基板とからなるマイクロチップにおいて、該微細流路に流体制御部を備えることを特徴とするマイクロチップ。 前記流体制御部は、切り込みを有する壁構造部を前記微細流路を遮断するよう設置した構造であり、該切り込みは微細流路の深さ方向に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロチップ。 前記切り込みの大きさが、微細流路の深さに対して30%以上100%以下であることを特徴とする請求項3に記載のマイクロチップ。 前記流体制御部の長手方向の長さが、500um以上1000um以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマイクロチップ。 前記流体制御部はポリマーからなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のマイクロチップ。 前記ポリマーが、ポリジメチルシロキサンであることを特徴とする請求項6に記載のマイクロチップ。 前記流体制御部に対して加圧手段を備えることを特徴とする請求項1から7に記載のマイクロチップ。 【課題】簡便に、流れを制御することを可能とする、新しい流体制御部を有するマイクロチップを提供する。【解決手段】一方の表面に所定の形状の微細流路が配設された長方形状の基板と、該微細流路を封止する対面基板とからなるマイクロチップにおいて、該微細流路に流体制御部を備えることを特徴とするマイクロチップである。前記流体制御部は、切り込みを有する壁構造部を前記微細流路を遮断するよう設置した構造であり、該切り込みは微細流路の深さ方向に設けられていることを特徴とする。また、前記流体制御部に対して加圧手段を備えることを特徴とする。流体制御部を備えることにより、マイクロ流路内での流体制御が可能となり、マイクロチップ内で行う化学反応の進行を制御することが可能となる。【選択図】図1


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