タイトル: | 公開特許公報(A)_臨床におけるCDK阻害剤の応答モニタリングのための生体マーカー |
出願番号: | 2006144924 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C12Q 1/02,A61K 31/506,A61P 35/00,A61P 43/00,C12Q 1/48,C12N 9/99 |
デピント ワンダ イブ イン シュエフォン JP 2006325593 公開特許公報(A) 20061207 2006144924 20060525 臨床におけるCDK阻害剤の応答モニタリングのための生体マーカー エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー 591003013 F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT 清水 初志 100102978 新見 浩一 100128048 デピント ワンダ イブ イン シュエフォン US 60/684,502 20050525 C12Q 1/02 20060101AFI20061110BHJP A61K 31/506 20060101ALN20061110BHJP A61P 35/00 20060101ALN20061110BHJP A61P 43/00 20060101ALN20061110BHJP C12Q 1/48 20060101ALN20061110BHJP C12N 9/99 20060101ALN20061110BHJP JPC12Q1/02A61K31/506A61P35/00A61P43/00 111C12Q1/48 ZC12N9/99 37 OL 22 4B063 4C086 4B063QA19 4B063QQ08 4B063QQ79 4B063QR07 4B063QR67 4B063QS16 4B063QS33 4B063QX02 4C086BC42 4C086MA52 4C086MA66 4C086NA20 4C086ZB26 4C086ZC20 4C086ZC78 本発明は一般には薬力学の分野に関連し、より具体的には、代用(surrogate)組織におけるその発現パターンが、一つまたは複数のcdk阻害剤による処置に対する細胞および腫瘍の応答と相関する薬力学的生体マーカー(Rbリン酸化の阻害)に関連する。 制御されない増殖はガン細胞の特徴である。この増殖は、細胞周期進行における様々な欠陥の蓄積から生じているようである。これらの欠陥は、細胞周期進行の駆動因子であるサイクリン依存性キナーゼ(これは本明細書では「cdk」または「CDK」として示される)のチェックポイント制御の喪失および/または不適切な活性化を生じさせ得る。cdk機能の誤った調節が、多数の充実性腫瘍タイプ(これらには、乳ガン、結腸ガン、卵巣ガン、前立腺ガンおよびNSCLガンが含まれる)において高頻度で生じている。従って、cdkおよび細胞周期進行の阻害剤は、広範囲にわたる治療的要求を満たす可能性を有している。 cdkは、細胞周期および細胞増殖を支える駆動力であるセリン/トレオニンタンパク質キナーゼである。cdkは、少なくとも触媒作用サブユニットおよび調節(サイクリン)サブユニットから構成される多サブユニット酵素である(非特許文献1)。今日までに、9個のcdk(cdk1〜cdk9)および11個のサイクリンサブユニットが同定されており、これらは、13を超える活性なキナーゼ複合体を形成することができる(非特許文献2)。正常な細胞では、これらの酵素の多くが、細胞周期進行において異なった役割を果たすG1期酵素、S期酵素またはG2/M期酵素として分類され得る(非特許文献3)。cdkは、腫瘍抑制因子(例えば、RB、p53)、転写因子(例えば、E2F-DP1、RNA pol II)、複製因子(例えば、DNA polα、複製タンパク質A)、ならびに、細胞構造およびクロマチン構造に影響を及ぼす組織因子(例えば、ヒストンHI、ラミンA、MPA4)を含む様々な細胞タンパク質をリン酸化し、その活性を調節する(非特許文献4、5、6および7)。 cdk活性は、細胞周期に依存した転写および翻訳、細胞周期に依存したタンパク質分解、細胞内局在化、翻訳後修飾、ならびにcdk阻害剤タンパク質(これは本明細書では「CDKi」として示される)との相互作用を含む様々な協調した機構によって調節されている(非特許文献8、9、10、11および12)。細胞周期チェックポイントが構築されるのはこれらの機構を介してである。チェックポイント制御がcdk機能の調節によって実行されるというこの認識により、cdkおよびその調節経路が、化学療法剤を開発するための標的となることは間違いない。 抗ガン剤の初期の臨床開発では、臨床試験は、典型的には、安全性、寛容性および薬物動態学を評価するために、そして同様に、さらなる臨床評価のための好適な用量およびスケジュールを特定するために設計される。最大耐性疾患への投薬が適切でないと考えられる場合には特に、新規な薬剤の薬理学的効果を初期の臨床試験において評価することもまた、ますます求められている。結果として、腫瘍標的の薬理学的調節と相関する薬力学的(PD)生体マーカーを同定することがかなり注目されている。これらのPD生体マーカーは腫瘍特異的であり得るが、理想的には、入手可能な代用組織(例えば、皮膚または末梢血細胞など、例えば、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)など)でもまた発現していなければならない。 Rbは、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)に対する生理学的に関連した基質である。Rb(網膜芽細胞腫タンパク質)は腫瘍抑制因子である。Rbの活性は、CDKによるセリン残基およびトレオニン残基のリン酸化によって調節される。当技術分野において公知のように、CDK阻害剤は、(例えば、CDKiにより処置された細胞株および腫瘍異種移植片などにおいて)Rb基質のリン酸化を阻害し、その結果、これにより、細胞周期および細胞成長の停止がもたらされる。細胞におけるRbリン酸化の阻害がCYC202(r-Roscovitine)、フラボピルドール(flavopirdol)、および、Bristol Myers Squibbから得られるCDK阻害剤のBMS-387032について報告されている(非特許文献13および14)。細胞および腫瘍異種移植片におけるRbリン酸化の阻害はまた、Pfizerから得られるCDK阻害剤のPD 0332991を用いて示されている(非特許文献15)。 しかしながら、腫瘍組織はサンプリングのために容易に入手することができず、このため、腫瘍組織の代わりとなる代用物または代替物として使用することができる代用組織の必要性が生じている。代用組織におけるRbリン酸化の阻害、具体的には、末梢血単核細胞(PBMC)におけるRbリン酸化の阻害は、現在開発中のCDK阻害剤のいずれに関しても、前臨床状況または臨床状況のいずれかにおいて当技術分野では明らかにされてない。転移性腫瘍の患者においてドセタキセルとの組合せで試験されたフラボピリドールの第I相治験では、10の対になった腫瘍生検物および口内粘膜生検物におけるリン酸化Rbが免疫組織化学によって調べられた(非特許文献16)。処置後の口内粘膜生検物ではpRbはいくらか減少したが、6つの対になった腫瘍(すなわち、生検物)ではpRbの著しい変化は検出されなかった。サンプルサイズが小さいこと、および、3名の部分的応答者からの腫瘍組織が得られないことから、確定的な結論を、フラボピリドールの抗腫瘍活性を予測するための代用物としての口内粘膜組織に関して下すことができなかった。 従って、その発現パターンが、代用組織において一つまたは複数のcdk調節剤による処置に対する細胞の応答と相関する生体マーカーを特定することが依然として必要である。Organ, D.O.,Nature 1995;374:131-134J Gould, K.L., (1994),Protein Kinases (Woodgett, J.R.ed),pp.149-1766,Oxford University Press,OxfordVan den Heuvel, S.およびHarlow, E.,Science 1993;262:2050-2054Nigg, E.A.,Trends in Cell Biology 1993;3:296-201Rickert, P., et al.,Oncogene 1996;12:2631-2640Dynlacht, B.D. et al.,Mol Cell Biol. 1997;17:3867-3875Ookata, K. et al.,Biochemistry 1997;36:15873-15883Pines, J.およびHunter, T., Cell 1989;58:833-846King, R.W. et al, Science 1996、274:1652-1659Li, J. et al.,Proc Natl Acad Sci USA 1997;94:502-507Fraetta, G.およびBeach, D.,Cell 1988;54:17-26Harper, J.W.,Cancer Surv 1997;29:91-107Whittaker, S.R. et al.,Cancer Research 2004;64:262-272Yue, E.W. et al.,Journal of Medicinal Chemistry 2002;45:5233-5248Fry, D.W. et al.,Molecular Cancer Therapeutics 2004:3:1427-1437Tan, A.R. et al.,Clinical Cancer Research 2004;10:5038-5047 本発明は、臨床におけるCDK阻害剤の応答モニタリングのための生体マーカーを提供することを課題とする。 本発明は、推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化の阻害を検出することに主眼を置いて、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答するかどうか、ならびに、cdk活性を阻害する薬剤が哺乳動物において治療的応答をもたらすかどうかを調べ、また予測するためのインビボ方法およびエクスビボ方法に関連する。本発明の特定の態様において、本発明の方法は、cdk活性を阻害する薬剤を投与することを含み、ここで、この検査方法は、a)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の代用組織において測定する段階;b)哺乳動物の代用組織を、cdk活性を阻害する薬剤に暴露する段階;c)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の代用組織において測定する段階を含み、ここで、この方法では、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違い(減少)により、治療的応答が生じていること、および、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答し得ることが示される。 本発明はまた、cdk阻害剤の薬力学的薬物作用を哺乳動物の代用組織においてモニターするための方法も提供し、この方法は、cdk阻害剤を哺乳動物に投与する段階;cdk阻害剤を投与した後の一つまたは複数の指定された時間において哺乳動物から一つまたは複数の検査用生物学的サンプルを得る段階;哺乳動物から取り出された後の検査用生物学的サンプルに存在するRbリン酸化のレベルを検出するためにアッセイを行う段階;および、検査用生物学的サンプルにおけるRbリン酸化の量を、cdk阻害剤が投与されていない哺乳動物から得られた参照用生物学的サンプルにおけるRbリン酸化の量と比較する段階を含む。 本発明(1)は、cdk活性を阻害する薬剤が哺乳動物において治療的応答をもたらすかどうかを検査するための方法であって、a)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階;b)該哺乳動物を、cdk活性を阻害する該薬剤に暴露する段階;およびc)該推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物において測定する段階を含み、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの減少により、治療的応答が示される方法である。 本発明(2)は、cdk活性を阻害する薬剤がジアミノピリミジンである、本発明(1)の方法である。 本発明(3)は、cdk活性を阻害する薬剤が[4-アミノ-2-(1-メタンスルホニルピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-5-イル]-(2,3-ジフルオロ-6-メトキシフェニル)メタノンである、本発明(2)の方法である。 本発明(4)は、推定されるリン酸化部位が、セリン795、セリン780、セリン807/811およびトレオニン821からなる群より選択される、本発明(1)の方法である。 本発明(5)は、推定されるリン酸化部位がセリン807/811である、本発明(4)の方法である。 本発明(6)は、cdk活性を阻害する薬剤が哺乳動物において治療的応答をもたらすかどうかを評価するための方法であって、a)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階;b)該哺乳動物を、cdk活性を阻害する該薬剤に暴露する段階;およびc)該推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物において測定する段階を含み、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの減少により、cdk活性を阻害する該薬剤に対する該哺乳動物の暴露が治療的応答をもたらすことが示される方法である。 本発明(7)は、cdk活性を阻害する薬剤がジアミノピリミジンである、本発明(6)の方法である。 本発明(8)は、cdk活性を阻害する薬剤が[4-アミノ-2-(1-メタンスルホニルピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-5-イル]-(2,3-ジフルオロ-6-メトキシフェニル)メタノンである、本発明(7)の方法である。 本発明(9)は、推定されるリン酸化部位が、セリン795、セリン780、セリン807/811およびトレオニン821からなる群より選択される、本発明(6)の方法である。 本発明(10)は、推定されるリン酸化部位がセリン807/811である、本発明(9)の方法である。 本発明(11)は、cdk活性を阻害する薬剤を投与する段階を含む、推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化の阻害を哺乳動物において検出するための方法であって、a)網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階;b)該哺乳動物を、cdk活性を阻害する該薬剤に暴露する段階;およびc)網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物において測定する段階を含み、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化の阻害が生じていることが示される方法である。 本発明(12)は、cdk活性を阻害する薬剤がジアミノピリミジンである、本発明(11)の方法である。 本発明(13)は、cdk活性を阻害する薬剤が[4-アミノ-2-(1-メタンスルホニルピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-5-イル]-(2,3-ジフルオロ-6-メトキシフェニル)メタノンである、本発明(12)の方法である。 本発明(14)は、cdk活性を阻害する薬剤を投与する段階を含む、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答するかどうかを検査するためのエクスビボ方法であって、a)哺乳動物の第1の量の末梢血単核細胞を活性化する段階;b)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物の該第1の量の末梢血単核細胞において測定する段階;c)哺乳動物の第2の量の末梢血単核細胞を活性化し、同時に、該哺乳動物の該第2の量の末梢血単核細胞を、cdk活性を阻害する該薬剤に暴露する段階;およびd)該推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物の該第2の量の末梢血単核細胞において測定する段階を含み、段階b)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階d)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、該哺乳動物が該ガン処置法に対して治療的に応答することが示される方法である。 本発明(15)は、cdk活性を阻害する薬剤がジアミノピリミジンである、本発明(14)の方法である。 本発明(16)は、cdk活性を阻害する薬剤が[4-アミノ-2-(1-メタンスルホニルピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-5-イル]-(2,3-ジフルオロ-6-メトキシフェニル)メタノンである、本発明(15)の方法である。 本発明(17)は、推定されるリン酸化部位が、セリン795、セリン780、セリン807/811およびトレオニン821からなる群より選択される、本発明(14)の方法である。 本発明(18)は、推定されるリン酸化部位がセリン807/811である、本発明(17)の方法である。 本発明(19)は、cdk活性を阻害する薬剤を投与する段階を含む、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答するかどうかを予測するためのエクスビボ方法であって、a)哺乳動物の第1の量の末梢血単核細胞を活性化する段階;b)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物の該第1の量の末梢血単核細胞において測定する段階;c)哺乳動物の第2の量の末梢血単核細胞を活性化し、同時に、該哺乳動物の該第2の量の末梢血単核細胞を、cdk活性を阻害する該薬剤に暴露する段階;およびd)該推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物の該第2の量の末梢血単核細胞において測定する段階を含み、段階b)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階d)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、該哺乳動物が該ガン処置法に対して治療的に応答することが示される方法である。 本発明(20)は、cdk活性を阻害する薬剤がジアミノピリミジンである、本発明(19)の方法である。 本発明(21)は、cdk活性を阻害する薬剤が[4-アミノ-2-(1-メタンスルホニルピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-5-イル]-(2,3-ジフルオロ-6-メトキシフェニル)メタノンである、本発明(20)の方法である。 本発明(22)は、推定されるリン酸化部位が、セリン795、セリン780、セリン807/811およびトレオニン821からなる群より選択される、本発明(19)の方法である。 本発明(23)は、推定されるリン酸化部位がセリン807/811である、本発明(22)の方法である。 本発明(24)は、哺乳動物がヒトである、本発明(23)の方法である。 本発明(25)は、cdk活性を阻害する薬剤を投与する段階を含む、推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物においてモニターする方法であって、a)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階;b)該哺乳動物を、cdk活性を阻害する該薬剤に暴露する段階;およびc)網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物において測定する段階を含み、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化の阻害が生じていることが示される方法である。 本発明(26)は、推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルをcdk阻害剤により処置された腫瘍においてモニターする方法であって、a)哺乳動物の第1の代用(surrogate)組織を活性化する段階;b)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の該第1の代用組織において測定する段階;c)該哺乳動物の第2の代用組織をcdk阻害剤に暴露する段階;d)該哺乳動物の該第2の代用組織をエクスビボで活性化剤により活性化する段階;およびe)網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物の該活性化された第2の代用組織において測定する段階を含み、段階b)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階e)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化の阻害が生じていることが示され、かつ、該第2の代用組織におけるリン酸化レベルの違いにより、cdk阻害剤により処置された該腫瘍におけるリン酸化レベルが示される方法である。 本発明(27)は、活性化剤がPMAである、本発明(26)の方法である。 本発明(28)は、代用組織が末梢血単核細胞である、本発明(26)の方法である。 本発明(29)は、cdk阻害剤がジアミノピリミジンである、本発明(26)の方法である。 本発明(30)は、推定されるリン酸化部位が、セリン795、セリン780、セリン807/811およびトレオニン821からなる群より選択される、本発明(26)の方法である。 本発明(31)は、推定されるリン酸化部位がセリン807/811である、本発明(30)の方法である。 本発明(32)は、哺乳動物がヒトである、本発明(30)の方法である。 本発明(33)は、cdk阻害剤の薬力学的薬物作用を哺乳動物においてモニターするための方法であって、下記の段階を含む方法:該cdk阻害剤を該哺乳動物に投与する段階;該cdk阻害剤の投与後の一つまたは複数の指定された時間において該哺乳動物から一つまたは複数の検査用生物学的サンプルを得る段階;該哺乳動物から取り出された後の該検査用生物学的サンプルに存在するRbリン酸化活性のアッセイを行う段階;および、該検査用生物学的サンプルにおけるRbリン酸化活性の量を、cdk阻害剤が投与されていない哺乳動物から得られた参照用生物学的サンプルにおけるRbリン酸化活性の量と比較する段階である。 本発明(34)は、生物学的サンプルが、細胞株サンプル、腫瘍組織サンプルおよび代用組織サンプルからなる群より選択される、本発明(33)の方法である。 本発明(35)は、生物学的サンプルが代用組織サンプルである、本発明(34)の方法である。 本発明(36)は、代用組織サンプルが末梢血単核細胞である、本発明(35)の方法である。 本発明(37)は、哺乳動物がヒトである、本発明(36)の方法である。 本発明により、cdk阻害剤による処置に対する細胞および腫瘍の応答と相関する薬力学的生体マーカーが提供された。 本発明では、別途示されない限り、当技術分野において含まれる、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技術が用いられる。 本明細書において使用される場合、いずれかの用語の単数形態は複数形態をも包含し、また、いずれかの用語の複数形態は単数形態をも包含する。 本明細書において引用される全ての刊行物および参考文献は、どのような目的のためであっても、その全体が参照として組み入れられる。 本発明の「治療的応答」は、推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質の本来のリン酸化レベルまたは処置前のリン酸化レベルと比較した、哺乳動物の組織、細胞、代用組織(例えば、末梢血単核細胞)に対する、cdk活性を阻害する薬剤(cdkiまたはcdk阻害剤)の処置、暴露または適用の後での、推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルにおける任意の減少であることが定義され、そのような減少により、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化の阻害が生じていることが示される。従って、本発明の組織および代用組織の治療的応答は、腫瘍標的の薬理学的調節との相関として使用してもよい。 cdk活性を阻害する薬剤に哺乳動物または哺乳動物の代用組織を「暴露する」は、本発明において使用される場合、当業者に公知の任意のプロセスによる、哺乳動物または哺乳動物の代用組織に対する、cdk活性を阻害する少なくとも1つの薬剤の任意の暴露、処置、投与または適用であることが定義される。 哺乳動物の非増殖性細胞(具体的には末梢血単核細胞)を「活性化する」は、本発明において使用される場合、哺乳動物または哺乳動物の代用組織の非増殖性(細胞周期非進行)細胞(具体的には末梢血単核細胞)に対する少なくとも1つの活性化剤の任意の暴露、処置または適用であり、その結果、前記細胞が活性化され、従って、細胞周期に入るために刺激されるようになることが定義される。「非増殖性細胞」は、本発明の範囲内では、細胞周期非進行性であり、従って、細胞周期に入るために活性化されなければならないそのような細胞として定義される。 cdk活性を阻害する薬剤(cdk阻害剤)が哺乳動物において治療的応答をもたらすかどうかを本発明に従って調べ、判定し、予測し、検出し、または評価するための「インビボ」方法は、当業者に公知のように、生きている哺乳動物(細胞、組織、身体または生物)の内部で行われるか、または実施される、本発明の任意の方法であることが定義される。 cdk活性を阻害する薬剤(cdk阻害剤)が、哺乳動物の代用組織において、具体的には、末梢血単核細胞および他の非増殖性細胞(細胞周期非進行)において治療的応答をもたらすかどうかを調べ、判定し、予測し、検出し、または評価するための「エクスビボ」方法は、当業者に公知のように、生きている哺乳動物(細胞、組織、身体または生物)の外部で行われるか、または実施される、本発明の任意の方法であることが定義される。 本発明は、cdk活性を阻害する薬剤が哺乳動物において治療的応答をもたらすかどうか検査するための方法を提供し、ここで、この方法は、a)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階;b)哺乳動物を、cdk活性を阻害する薬剤に暴露する段階;c)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階を含み、ここで、この方法では、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの減少により、治療的応答が示される。 本明細書において使用される用語「哺乳動物において測定する」は、哺乳動物に対する測定、または、哺乳動物から取り出された代用組織に対する測定のいずれかに関連する。 本発明は、cdk活性を阻害する薬剤を投与することを含む、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答するかどうかを検査するためのインビボ方法を提供し、ここで、この検査方法は、a)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物における代用組織において測定する段階;b)哺乳動物を、cdk活性を阻害する薬剤に暴露する段階;c)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階を含み、ここで、この方法では、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答することが示される。 本発明は、cdk活性を阻害する薬剤を投与することを含む、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答するかどうかを検査するためのインビボ方法を提供し、ここで、この検査方法は、a)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階;b)哺乳動物を、cdk活性を阻害する薬剤に暴露する段階;c)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階を含み、ここで、この方法では、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答することが示される。 本発明はまた、cdk活性を阻害する薬剤が哺乳動物において治療的応答をもたらすかどうかを検査するためのインビボ方法を提供し、ここで、この検査方法は、a)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物における代用組織において測定する段階;b)哺乳動物の代用組織を、cdk活性を阻害する薬剤に暴露する段階;c)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階を含み、ここで、この方法では、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの減少により、治療的応答が生じていることが示される。 本発明はまた、cdk活性を阻害する薬剤が哺乳動物において治療的応答をもたらすかどうかを検査するためのインビボ方法を提供し、ここで、この検査方法は、a)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階;b)哺乳動物を、cdk活性を阻害する薬剤に暴露する段階;c)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階を含み、ここで、この方法では、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの減少により、治療的応答が生じていることが示される。 本発明の、cdk活性を阻害する薬剤(CDK阻害剤またはCDKを阻害する薬剤(CDKi))は、当業者に公知の任意のcdk阻害剤((例えば、米国特許出願第20040162303号(これは参照によりここに組み入れられる)を参照のこと)であり得るし、好ましくは、修飾されたジアミノピリミジン、ジアミノチアゾール、ジアミノトリアゾールおよびオキシインドールからなる群より選択される。1つの態様において、cdk活性を阻害する薬剤は、修飾されたジアミノピリミジンであり、より具体的には、4-アミノピリミジン-5-オン誘導体である。より好ましくは、cdk活性を阻害する薬剤は[4-アミノ-2-(1-メタンスルホニルピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-5-イル]-(2,3-ジフルオロ-6-メトキシフェニル)メタノンである。本発明の範囲に含まれるCDKiとして作用し得る他のcdk阻害剤には、プリン類似体(例えば、CYC-202など)および半合成アルカロイド(例えば、フラボピリドールなど)が含まれる。 本発明の推定されるリン酸化部位には、当業者に公知のリン酸化部位が含まれ、本発明の推定されるリン酸化部位は、好ましくは、セリン795、セリン780、セリン807/811およびトレオニン821からなる群より選択され、セリン807/811が好ましい。 本発明の哺乳動物は任意の哺乳動物であってよく、好ましくは、マウス、ラットまたはヒトからなる群より選択される。より好ましくは、身体から取り出された代用組織に対して行われる本明細書において記載されるエクスビボ方法については、哺乳動物はヒトである。 本発明はまた、cdk活性を阻害する薬剤を投与することを含む、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答するかどうかを予測するためのインビボ方法も提供し、ここで、この予測方法は、a)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の代用組織において測定する段階;b)哺乳動物の代用組織を、cdk活性を阻害する薬剤に暴露する段階;c)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の代用組織において測定する段階を含み、ここで、この方法では、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答することが示される。 本発明はまた、cdk活性を阻害する薬剤を投与することを含む、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答するかどうかを予測するためのインビボ方法を提供し、ここで、この予測方法は、a)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階;b)哺乳動物を、cdk活性を阻害する薬剤に暴露する段階;c)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階を含み、ここで、この方法では、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答することが示される。 本発明はまた、cdk活性を阻害する薬剤を投与することを含む、推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化の阻害を哺乳動物において検出するための方法を提供し、ここで、この方法は、a)網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の代用組織において測定する段階;b)哺乳動物の代用組織を、cdk活性を阻害する薬剤に暴露する段階;c)網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の代用組織において測定する段階を含み、ここで、この方法では、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化の阻害が生じていることが示される。 本発明の特定の態様はまた、cdk活性を阻害する薬剤を投与することを含む、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答するかどうかを検査するためのエクスビボ方法を提供し、ここで、この検査方法は、a)哺乳動物の第1の量の末梢血単核細胞を活性化する段階;b)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の第1の量の末梢血単核細胞において測定する段階;c)哺乳動物の第2の量の末梢血単核細胞を活性化し、同時に、哺乳動物の第2の量の末梢血単核細胞を、cdk活性を阻害する薬剤に暴露する段階;d)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の第2の量の末梢血単核細胞において測定する段階を含み、ここで、この方法では、段階b)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階d)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答し得ることが示される。 本発明はまた、cdk活性を阻害する薬剤を投与することを含む、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答するかどうかを予測するためのエクスビボ方法を提供し、ここで、この予測方法は、a)哺乳動物の第1の量の末梢血単核細胞を活性化する段階;b)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の第1の量の末梢血単核細胞において測定する段階;c)哺乳動物の第2の量の末梢血単核細胞を活性化し、同時に、哺乳動物の第2の量の末梢血単核細胞を、cdk活性を阻害する薬剤に暴露する段階;d)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の第2の量の末梢血単核細胞において測定する段階を含み、ここで、この方法では、段階b)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階d)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答し得ることが示される。 本発明によってまた、cdk活性を阻害する薬剤を投与することを含む、推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物においてモニターする方法が提供され、ここで、この方法は、a)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の代用組織において測定する段階;b)哺乳動物の代用組織を、cdk活性を阻害する薬剤に暴露する段階;c)網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の代用組織において測定する段階を含み、ここで、この方法では、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化の阻害が生じていることが示される。 本発明は同様に、推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルをcdk阻害剤により処置された腫瘍においてモニターする方法を提供し、ここで、この方法はさらに、a)哺乳動物の第1の代用組織(例えば、末梢血単核細胞など)を活性化する段階;b)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の第1の代用組織において測定する段階;c)哺乳動物の第2の代用組織を、cdk阻害剤に暴露する段階;d)哺乳動物の第2の代用組織(例えば、末梢血単核細胞など)をエクスビボで活性化剤により活性化する段階;e)網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の活性化された第2の代用組織において測定する段階を含み、ここで、この方法では、段階b)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階e)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化の阻害が生じていることが示され、かつ、第2の代用組織におけるリン酸化レベルの違いにより、cdk阻害剤により処置された腫瘍におけるリン酸化レベルが示される。 活性化剤は、非増殖性細胞(具体的には末梢血単核細胞)を活性化することができる、当業者に公知の任意の分裂促進因子または活性化剤より選択することができる。活性化剤は、好ましくは、PMA(フォルボール12-ミリスタート13-アセタート)、PHA(インゲンマメ(Phaseolus vulgaris))およびCon A(コンカナバリンA)からなる群より選択される。より好ましくは、活性化剤はPMAである。 本発明の代用組織(代用組織サンプル)は、生物学的応答をモニターするために腫瘍組織の代わりになる代用物または代替物として使用することができる任意の組織であり、当業者に公知の任意の代用組織より選択することができる。好ましくは、代用組織は、皮膚、口内粘膜、全血、単離された末梢血単核細胞、骨髄生検物などからなる群より選択される。選択された代用組織(細胞)は非増殖性細胞(例えば、末梢血単核細胞など)または増殖性細胞(例えば、口内粘膜組織細胞など)であり得る。より好ましくは、代用組織は末梢血単核細胞である。 本発明はまた、cdk阻害剤の薬力学的薬物作用を哺乳動物においてモニターするための方法を提供し、ここで、この方法は、cdk阻害剤を哺乳動物に投与する段階;cdk阻害剤を投与した後の一つまたは複数の指定された時間において哺乳動物から一つまたは複数の検査用生物学的サンプルを得る段階;哺乳動物から取り出された後の検査用生物学的サンプルに存在するRbリン酸化活性の評価する段階;および、検査用生物学的サンプルにおけるRbリン酸化活性の量を、cdk阻害剤が投与されていない哺乳動物から得られた参照用生物学的サンプルにおけるRbリン酸化活性の量と比較する段階を含む。 上記方法の生物学的サンプルは、任意の哺乳動物から、好ましくは、ラット、マウスまたはヒトから選択することができ、ここで、生物学的サンプルは、細胞株サンプル、腫瘍組織サンプルおよび代用組織サンプルからなる群より選択される(代用組織サンプルは上記のように定義される)。より好ましくは、生物学的サンプルは、細胞株サンプル、腫瘍組織サンプルおよび代用組織サンプルからなる群より選択され、代用組織サンプルが好ましく、前記代用組織サンプルの末梢血単核細胞がより好ましい。細胞株サンプル、腫瘍組織サンプルおよび代用組織サンプルは哺乳動物起源であり、より好ましくは、ラット、マウスおよびヒト(ホモ・サピエンス)からなる群より選択され、ヒトの生物学的サンプルが最も好ましい。 網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルを測定することは、当業者に公知の標準的なリン酸化アッセイのいずれかによって達成することができ、これらには、ウエスタンブロット、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、IHC(免疫組織化学法)およびFACS(蛍光活性化細胞分取法)が含まれるが、これらに限定されない。リン酸化アッセイの選択は、利用される組織サンプル、細胞株サンプルまたは代用組織サンプルに依存する。例えば、ウエスタンブロットおよびELISAを、任意のタイプまたは全てのタイプの組織、細胞株または代用組織を用いて使用することができ、これに対して、IHC法は、本発明の方法において利用される組織が腫瘍生検物または口内粘膜生検物である場合にはより適切であり、これに対して、FACS分析は、単一細胞懸濁物(例えば、細胞株および単離された末梢血単核細胞など)であるサンプルに対して最も適用可能である。 下記の実施例は例示目的のためだけに提供され、本発明の範囲および/または外延を制限することは意図されない。実施例1材料および方法1.1 細胞株および培養 下記の細胞株(表1の第2欄)を、10%の熱不活化ウシ胎児血清(HI-FBS;GIBCO/BRL、Gaithersburg、MD)および2mMのL-グルタミン(GIBCO/BRL)が補充された指定培地(表1)で維持した。 (表1) Rbのウエスタンブロット分析で使用された細胞株:組織起源および生育培地 HCT116細胞株をAmerican Tissue Culture Collection(ATCC)(Manassas,VA)から得た。MTLn3細胞をHoffmann-La Roche Inc.(Nutley,NJ)から得た。1.2 試験品 試験化合物の化合物A([4-アミノ-2-(1-メタンスルホニルピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-5-イル]-(2,3-ジフルオロ-6-メトキシフェニル)メタノン)はHoffmann-La Roche Inc.によって合成された。ストック溶液を調製するために、化合物を100%ジメチルスルホキシド(DMSO)(Sigma)において10mMまたは30mMで溶解し、褐色ガラスバイアルにおいて-20℃で保存した。1.3 ウエスタンブロット分析およびELISA 細胞を氷上で冷PBSにより3回洗浄し、フラスコから掻き取った。全ての細胞を15mlのチューブに集めた。細胞を遠心分離によってペレット化し、溶解緩衝液を加えた(1:1のPBS:5%の2-βメルカプトエタノールを含有する2X Tris-グリシンSDSサンプル緩衝液(Invitrogen、Carlsbad、CA))。使用した溶解緩衝液の体積は1×106個の細胞あたり5ulであった。サンプルを、30秒間、氷上で超音波処理した。超音波処理後、サンプルを、16,000×gでの4℃における10分間の遠心分離によって清澄化し、タンパク質濃度を、Non-Interfering Protein Assayキット(Geno Technology Incorporated,Maplewood,MO)を使用して測定した。タンパク質を5分間の煮沸によって変性させ、上記のように遠心分離した。タンパク質を、4-12%Tris-グリシンゲル(Invitrogen)を使用するSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し(レーンあたり20ug〜40ugの細胞溶解物)、0.2μmのPVDFメンブラン(Invitrogen)に電気ブロットした。メンブランをブロッキング緩衝液(5%ミルクを含むPBS/0.1%Tween 20)において室温で約1時間ブロッキング処理し、その後、一次抗体と4℃で一晩インキュベーションした。メンブランを洗浄し、二次抗体と室温で30分間インキュベーションした。免疫検出を、増強化学発光(ECL Plus,Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)を使用して行った。ウエスタンブロッティングについては、総Rbを、Pharmingen(BD Bioscience,San Diego,CA)から得られる抗体を1:2000の希釈度で使用して検出した。セリン780、セリン795およびセリン807/811におけるRbのリン酸化状態を、リン特異的抗体(Cell Signaling Technology,Beverly,MA)を1:1000の希釈度で用いて検出した。 トレオニン821におけるRbリン酸化および総Rbを検出するために、ELISAキット(Biosource International,Camarillo,CA)を製造者のプロトコルに従って使用した。1.4 ヒト腫瘍細胞株におけるRbリン酸化の分析 HCT116細胞を、5日間の増殖アッセイで明らかにされるような細胞成長阻害について、IC50(0.1μM)、IC90(0.2μM)および3XIC90(0.6μM)の濃度で20時間処理した。溶解物をセリン795およびセリン780におけるRbリン酸化についてウエスタンブロッティングによって分析した(図1)。同じ溶解物を、トレオニン821におけるリン酸化を測定するヒトRb ELISAキットを使用して調べた(図2)。化合物Aによる処置は3つ全てのCDKリン酸化部位におけるリン酸化の阻害を濃度依存的な様式でもたらした。1.5 ラット腫瘍細胞株におけるRbリン酸化の分析 化合物Aがまた、非ヒト供給物に由来するRbのリン酸化状態に影響を与え得るかどうかを明らかにするために、MTLn3ラット腫瘍細胞を、細胞成長阻害のために、IC50(0.17μM)、IC90(0.24μM)および3XIC90(0.72μM)の濃度で20時間処理した。溶解物を、ヒトRbにおけるリン酸化されたセリン807/811を囲む配列に対応するペプチドに対して調製されたポリクローナル抗体を使用して、Rbリン酸化についてウエスタンブロッティングによって分析した(図3)。化合物Aによる処置は、抗ホスホセリン807/811抗体によって認識されるラットRbにおける交差反応するエピトープにおけるリン酸化の阻害をもたらした。実施例2材料および方法2.1 動物 Charles River Laboratoriesから得たメスのFischerラットを、約13週齢〜15週齢になり、体重が約150グラムになったときに使用した。動物が健康であり、かつ、実験室環境に順応していることを確実にするために全ての動物を研究の開始に先立って調べた。オートクレーブ処理された水および放射線照射された食物を自由に摂取させ、動物を12時間の明暗周期で飼育した。2.2 腫瘍 MTLn3細胞を、10%の熱不活化ウシ胎児血清(HI-FBS;GIBCO/Invitrogen,Carlsbad,CA)および2mMのL-グルタミン(GIBCO/Invitrogen)が補充されたRPMI1640において生育させ、37℃において5%CO2で維持した。MTLn3細胞をHoffmann-La Roche Inc.(Nutley,NJ)から得た。フェノールレッドを含まず、Ca2+およびMg2+を含まないPBS(リン酸塩緩衝化生理的食塩水)における約1×106細胞/0.2ml/ラットを右乳房脂肪体に皮下移植した。2.3 試験品 試験化合物の化合物A([4-アミノ-2-(1-メタンスルホニルピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-5-イル]-(2,3-ジフルオロ-6-メトキシフェニル)メタノン)はDiscovery Chemistry, Hoffmann-La Roche Inc.によって合成された。化合物Aを、経口注入のために、0.1%のTween80を含む1%Klucel LF中に懸濁物として配合した。化合物は4℃で保存され、投与直前にボルテックス撹拌された。2.4 実験設計 選択された用量は80mg/kgであり、これは、この動物モデルにおける有効用量であることが明らかにされていた。1週間に1回の80mg/kgでの経口投薬の2週間後〜3週間後でのMTLn3異種移植片モデルにおける腫瘍成長阻害は平均して90%であり、10匹中2匹が完全な退行を有していた。化合物Aを細胞移植後の10日目に与えた(そのとき、腫瘍のサイズは100mm3〜200mm3であった)。この薬物動態学的/薬力学的実験では、血漿および腫瘍を、化合物Aの単回経口用量の投薬の後、1時間、2時間、6時間、24時間および72時間で集めた。腫瘍を取り出し、直ちに液体窒素でスナップ凍結し、薬物濃度分析まで-80℃で保存した。非処置コントロール群およびビヒクル処置コントロール群を分析に含めた。血漿および腫瘍における化合物Aの濃度を各時点について同じ3匹の動物において測定した。全血もまた、Rbリン酸化の分析のために集められた。末梢血単核細胞(PBMC)を、下記に記載されるように単離し、分裂促進因子によりエクスビボで刺激し、ウエスタンブロットによって分析した。 別の薬力学的研究では、化合物Aの血漿中濃度を、上記に記載されるのと同じように分析し、また、化合物Aの単回経口用量により処置されたPBMCおよび腫瘍異種移植片の両方におけるRbリン酸化を調べた。2.5 エクスビボ刺激されたラットPBMCにおけるRbリン酸化の分析 PBMCは、細胞周期が繰り返されている細胞ではなく、細胞周期に入るには、分裂促進因子のPMAによる刺激が必要である。300ng/mlの濃度での24時間にわたるPMAによるこれらの細胞の処置は、ウエスタンブロット分析によるラットPBMCにおけるリン酸化Rbの検出には十分であった(図4)。2.6 PBMCの単離および刺激 指定された時間における3匹のラットからの血液を貯蔵し(合計で約10ml)、PBMCを、ICN Biomedicals Inc.(Costa Mesa,CA)によって供給されるリンパ球分離培地(LSM)およびプロトコルを使用して分離した。簡単に記載すると、全血を冷HBSS(ハンクス平衡塩溶液)により1:1で希釈し、LSMに重層し、遠心分離した。LSMの上に存在する単核細胞の層を集め、新しいチューブに移し、冷HBSSにより1回洗浄した。細胞を、RPMI1640、10%のHI-FBS、2mMのL-グルタミンおよび0.01mg/mlのゲンタマイシン試薬溶液(GIBCO/Invitrogen)に再懸濁した。細胞を20mlの培地においてT-75cm2フラスコに≦1×107個の細胞で接種し、300ng/mlのフォルボール12-ミリスタート13-アセタート(PMA)で24時間刺激した。24時間後、細胞を氷上で集め、洗浄し、1mlの冷PBSに再懸濁し、ウエスタンブロット分析について下記に記載されるように処理した。2.7 ウエスタンブロット分析 PBMCを、細胞(付着細胞および浮遊細胞を含む)を50mlのチューブに移すことによって集めた。フラスコを氷上に置き、付着細胞をフラスコから掻き取り、浮遊細胞と一緒にした。細胞ペレットを冷PBSにより2回洗浄した。溶解緩衝液を細胞ペレットに加えた(1:1のPBS:5%の2-βメルカプトエタノールを含有する2X Tris-グリシンSDSサンプル緩衝液(Invitrogen,Carlsbad、CA))。使用した溶解緩衝液の体積は1×106細胞あたり5ulであった。サンプルを、30秒間、氷上で超音波処理し、16,000×gでの4℃における10分間の遠心分離によって清澄化し、タンパク質濃度を、Non-Interfering Protein Assayキット(Geno Technology Incorporated,Maplewood,MO)を使用して測定した。腫瘍溶解物を、凍結腫瘍全体を溶解緩衝液中でホモジェネートし、遠心分離による清澄化によって調製した。タンパク質を5分間の煮沸によって変性させ、上記のように遠心分離し、4-12%Tris-グリシンゲル(Invitrogen)を使用するSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し(レーンあたり20ug〜40ugの細胞溶解物)、0.2μmのPVDFメンブラン(Invitrogen)に電気ブロットした。メンブランをブロッキング緩衝液(5%ミルクを含むPBS/0.1%Tween 20)において室温で約1時間ブロッキング処理し、その後、一次抗体と4℃で一晩インキュベーションした。メンブランを洗浄し、二次抗体と室温で30分間インキュベーションした。免疫検出を、増強化学発光(ECL Plus,Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)を使用して行った。ウエスタンブロッティングについては、総Rbを、Pharmingen(BD Bioscience,San Diego,CA)から得られる抗体を1:2000の希釈度で使用して検出した。PBMC溶解物を、ヒトRbにおけるリン酸化されたセリン795を囲む配列に対応するペプチドに対して調製されたポリクローナル抗体を使用してRbリン酸化についてウエスタンブロッティングによって分析し(図5)、腫瘍溶解物を、ヒトRbにおけリン酸化されたセリン807/811を囲む配列に対応するペプチドに対して調製されたポリクローナル抗体を使用して同様に分析した(図6)。両抗体はラットRbと交差反応する。リン特異的抗体を1:1000の希釈度で使用した(Cell Signaling Technology,Beverly,MA).2.8 化合物Aの経口投薬後の血漿暴露および腫瘍暴露 80mg/kgの単回経口投薬の後、血漿および腫瘍組織は化合物Aの類似する濃度時間プロフィルを示す。血漿および腫瘍組織の両方における最大濃度が投薬後1時間で観測された。同じ動物から採取された腫瘍サンプルにおける濃度は血漿中濃度の約50%であり、24時間では、腫瘍の薬物レベル(164±28ng/g)は24時間での血漿暴露(250±74ng/ml)に近かった(図7)。血漿および腫瘍組織における薬物レベルは、PD664では全ての動物において投薬後24時間まで測定可能であった(各時点について3匹のラット)。3匹中1匹の動物が投薬後72時間で測定可能な血漿中濃度(≧12.5ng/ml)を有していた。全体として、特に腫瘍サンプルからの薬物の抽出は完全ではあり得ないので、血漿のデータでの腫瘍濃度予測は適切であった。薬物はビヒクル群では検出できなかった。 PD675の場合と同様に、化合物Aの単回での80mg/kgの経口投薬の後、薬物は、6時間まで全ての動物で測定可能であり(339±88ng/ml)、投薬後24時間および48時間では3匹中2匹の動物で測定可能であった。平均血漿中濃度は1時間から24時間まで一定であった。薬物はビヒクル群では検出できなかった。2.9 ラットPBMCにおけるRbリン酸化の分析 80mg/kgの化合物Aの単回経口投薬によるメスFischerラットの処置は、化合物Aによる処置後の2時間および6時間において、また、両方のPD研究での処置後の24時間まで、エクスビボ刺激されたPBMCにおけるRbリン酸化の減少をもたらした(図5)。総Rbレベルは処置により低下しないようであった。2.10 ラットMTLn3異種移植片におけるRbリン酸化の分析 腫瘍移植片では、化合物Aはまた、PBMCにおいて見られた減少と同様な経時変化でのRbのリン酸化の減少を示す(図6)。レーンのそれぞれは、1匹の動物から単離された腫瘍を表しており、それぞれの時点について、3つの異なる腫瘍を分析し、リン酸化Rbの類似する低下が観測された。セリン807/811抗体は、PBMC溶解物で使用されたセリン795抗体よりも強いシグナルを腫瘍組織において与えることから、セリン807/811抗体を使用した。実施例33.1 試験品 試験化合物の化合物A([4-アミノ-2-(1-メタンスルホニルピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-5-イル]-(2,3-ジフルオロ-6-メトキシフェニル)メタノン)はDiscovery Chemistry, Hoffmann-La Roche Inc.によって合成された。ストック溶液を調製するために、化合物を100%ジメチルスルホキシド(DMSO)(Sigma)において10mMまたは30mMで溶解し、褐色ガラスバイアルにおいて-20℃で保存した。3.2 ヒトPBMCの単離および処置 約10mlの血液をEmployee Health Servicesによってヘパリンナトリウム処理のVacutainer血液採取チューブに5名の健康なボランティアから集めた。PBMCを、ICN Biomedicals Inc.(Costa Mesa,CA)によって供給されるリンパ球分離培地(LSM)およびプロトコルを使用して分離した。簡単に記載すると、全血を冷HBSS(ハンクス平衡塩溶液)により1:1で希釈し、LSMに重層し、遠心分離した。LSMの上に存在する単核細胞の層を集め、新しいチューブに移し、冷HBSSにより1回洗浄した。細胞を、RPMI1640、10%のHI-FBS、2mMのL-グルタミンおよび0.01mg/mlのゲンタマイシン試薬溶液(GIBCO/Invitrogen)に再懸濁した。細胞を20mlの培地においてT-75cm2フラスコに≦1×107個の細胞で接種し、300ng/mlのフォルボール12-ミリスタート13-アセタート(PMA)により24時間〜72時間刺激した。PMA刺激の後、細胞を氷上で集め、洗浄し、1mlの冷PBSに再懸濁し、ウエスタンブロット分析について下記に記載されるように処理した。3.3 ウエスタンブロット分析 PBMCを、細胞(付着細胞および浮遊細胞を含む)を50mlのチューブに移すことによって集めた。フラスコを氷上に置き、付着細胞をフラスコから掻き取り、浮遊細胞と一緒にした。細胞ペレットを冷PBSにより2回洗浄した。溶解緩衝液を細胞ペレットに加えた(1:1のPBS:5%の2-βメルカプトエタノールを含有する2X Tris-グリシンSDSサンプル緩衝液(Invitrogen,Carlsbad,CA))。使用した溶解緩衝液の体積は1×106細胞あたり5ulであった。サンプルを、30秒間、氷上で超音波処理し、16,000×gでの4℃における10分間の遠心分離によって清澄化し、タンパク質濃度を、Non-Interfering Protein Assayキット(Geno Technology Incorporated,Maplewood,MO)を使用して測定した。タンパク質を5分間の煮沸によって変性させ、上記のように遠心分離し、4-12%Tris-グリシンゲル(Invitrogen)を使用するSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し(レーンあたり20ug〜40ugの細胞溶解物)、0.2μmのPVDFメンブラン(Invitrogen)に電気ブロットした。メンブランをブロッキング緩衝液(5%ミルクを含むPBS/0.1%Tween 20)において室温で約1時間ブロッキング処理し、その後、一次抗体と4℃で一晩インキュベーションした。メンブランを洗浄し、二次抗体と室温で30分間インキュベーションした。免疫検出を、増強化学発光(ECL Plus、Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)を使用して行った。ウエスタンブロッティングについては、総Rbを、Pharmingen(BD Bioscience,San Diego,CA)から得られる抗体を1:2000の希釈度で使用して検出した。溶解物を、ヒトRbにおけるリン酸化されたセリン795、セリン780、トレオニン821およびセリン807/811に対するポリクローナル抗体を使用してRbリン酸化についてウエスタンブロッティングによって分析した(図8)。リン特異的抗体を1:1000の希釈度で使用した(Cell Signaling Technology,Beverly,MA)。3.4 エクスビボ刺激されたヒトPBMCにおける網膜芽細胞腫リン酸化の分析 PBMCは、細胞周期が繰り返されている細胞ではなく、従って、細胞周期に入るには刺激を与える必要がある。300ng/mlの濃度での24時間のPMAが、ウエスタンブロット分析によるラットPBMCにおけるリン酸化Rbの検出には十分である。ヒトPBMCを単離し、300ng/mlのPMAによりエクスビボで刺激し、Rb上のトレオニン821、セリン780、セリン795およびセリン807/811のリン酸化部位を、刺激後、24時間、48時間および72時間でウエスタンブロッティングによって評価した。セリン807/811およびトレオニン821における著しいリン酸化が、5名全てのヒトドナーに由来するヒトPBMCにおいて、分裂促進因子添加後24時間で検出された(図8)。セリン795におけるリン酸化(図8)およびセリン780におけるリン酸化(データは示さず)もまた検出されたが、それらはPMA刺激後の48時間〜72時間までは顕著ではなかった。総Rbおよびアクチンをタンパク質ロードの標準化のために流した。3.5 化合物Aによりエクスビボ処置されたヒトPBMCにおける網膜芽細胞腫リン酸化の分析 2名の健康なボランティアに由来するPBMCを、上記のように単離し、PMAによりエクスビボで刺激し、5日間の増殖アッセイで明らかにされるような腫瘍細胞成長阻害のために、0.2μM〜2.0μM(IC90から10X IC90までの濃度を表す濃度)で化合物Aと同時にインキュベーションした。溶解物をRb上のセリン807/811部位およびトレオニン821部位におけるウエスタンブロッティングによって分析した(図9)。化合物Aによる処置は、全ての濃度で両ドナーにおいてセリン807/811部位におけるリン酸化の完全な阻害をもたらした。トレオニン821部位におけるリン酸化は、化合物Aとの24時間のインキュベーションの後では、どの濃度でも阻害されなかった。 前記の記載により、本開示の方法が例示および記載される。加えて、本開示は、本発明の方法の特定の態様のみを示し、また記載するだけである。しかし、上記で述べられたように、本開示の教示は様々な他の組合せ、改変および環境での使用を可能にし、また、上記の教示、および/または関連技術分野の技術もしくは知識と同等な、本明細書において表されるような発明の概念の範囲に含まれる様々な変化または改変が可能であることを理解しなければならない。本明細書中上記で記載された態様はさらに、本発明を実施することの公知の最良の様式を説明するために意図され、また、当業者が、そのような態様または他の態様で本発明を利用すること、および、本発明の特定の適用または使用によって要求される様々な改変とともに本発明を利用することを可能にするために意図される。従って、本記載では、本発明を本明細書において開示される形態(一つまたは複数)に限定することは意図されない。ウエスタンブロット分析によって明らかにされる、化合物Aによる処置後20時間でのHCT116細胞におけるリン酸化Rbの濃度依存的減少を示す。ELISAよって明らかにされる、化合物Aによる処置後20時間でのHCT116細胞におけるRbの濃度依存的減少を示す。ウエスタンブロット分析によって明らかにされる、化合物Aによる処置後20時間でのMTLn3細胞におけるリン酸化Rbの濃度依存的減少を示す。エクスビボでのPMA活性化の後でのラット末梢血単核細胞におけるRbリン酸化についての経時変化を示す。化合物Aの単回経口投薬の後でのラットPBMCにおけるRbリン酸化の阻害を示す。化合物Aの単回経口投薬の後でのMTLn3におけるRbリン酸化の阻害を示す。単回経口投薬後の化合物Aの血漿中濃度および腫瘍中濃度を示す。PMAによりエクスビボで刺激されたヒトPBMCにおける網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化を示す。化合物Aによりエクスビボで処置されたヒトPBMCにおける網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化の阻害を示す。 cdk活性を阻害する薬剤が哺乳動物において治療的応答をもたらすかどうかを検査するための方法であって、a)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階;b)該哺乳動物を、cdk活性を阻害する該薬剤に暴露する段階;およびc)該推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物において測定する段階を含み、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの減少により、治療的応答が示される、方法。 cdk活性を阻害する薬剤がジアミノピリミジンである、請求項1記載の方法。 cdk活性を阻害する薬剤が[4-アミノ-2-(1-メタンスルホニルピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-5-イル]-(2,3-ジフルオロ-6-メトキシフェニル)メタノンである、請求項2記載の方法。 推定されるリン酸化部位が、セリン795、セリン780、セリン807/811およびトレオニン821からなる群より選択される、請求項1記載の方法。 推定されるリン酸化部位がセリン807/811である、請求項4記載の方法。 cdk活性を阻害する薬剤が哺乳動物において治療的応答をもたらすかどうかを評価するための方法であって、a)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階;b)該哺乳動物を、cdk活性を阻害する該薬剤に暴露する段階;およびc)該推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物において測定する段階を含み、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの減少により、cdk活性を阻害する該薬剤に対する該哺乳動物の暴露が治療的応答をもたらすことが示される、方法。 cdk活性を阻害する薬剤がジアミノピリミジンである、請求項6記載の方法。 cdk活性を阻害する薬剤が[4-アミノ-2-(1-メタンスルホニルピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-5-イル]-(2,3-ジフルオロ-6-メトキシフェニル)メタノンである、請求項7記載の方法。 推定されるリン酸化部位が、セリン795、セリン780、セリン807/811およびトレオニン821からなる群より選択される、請求項6記載の方法。 推定されるリン酸化部位がセリン807/811である、請求項9記載の方法。 cdk活性を阻害する薬剤を投与する段階を含む、推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化の阻害を哺乳動物において検出するための方法であって、a)網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階;b)該哺乳動物を、cdk活性を阻害する該薬剤に暴露する段階;およびc)網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物において測定する段階を含み、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化の阻害が生じていることが示される、方法。 cdk活性を阻害する薬剤がジアミノピリミジンである、請求項11記載の方法。 cdk活性を阻害する薬剤が[4-アミノ-2-(1-メタンスルホニルピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-5-イル]-(2,3-ジフルオロ-6-メトキシフェニル)メタノンである、請求項12記載の方法。 cdk活性を阻害する薬剤を投与する段階を含む、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答するかどうかを検査するためのエクスビボ方法であって、a)哺乳動物の第1の量の末梢血単核細胞を活性化する段階;b)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物の該第1の量の末梢血単核細胞において測定する段階;c)哺乳動物の第2の量の末梢血単核細胞を活性化し、同時に、該哺乳動物の該第2の量の末梢血単核細胞を、cdk活性を阻害する該薬剤に暴露する段階;およびd)該推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物の該第2の量の末梢血単核細胞において測定する段階を含み、段階b)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階d)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、該哺乳動物が該ガン処置法に対して治療的に応答することが示される、方法。 cdk活性を阻害する薬剤がジアミノピリミジンである、請求項14記載の方法。 cdk活性を阻害する薬剤が[4-アミノ-2-(1-メタンスルホニルピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-5-イル]-(2,3-ジフルオロ-6-メトキシフェニル)メタノンである、請求項15記載の方法。 推定されるリン酸化部位が、セリン795、セリン780、セリン807/811およびトレオニン821からなる群より選択される、請求項14記載の方法。 推定されるリン酸化部位がセリン807/811である、請求項17記載の方法。 cdk活性を阻害する薬剤を投与する段階を含む、哺乳動物がガン処置法に対して治療的に応答するかどうかを予測するためのエクスビボ方法であって、a)哺乳動物の第1の量の末梢血単核細胞を活性化する段階;b)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物の該第1の量の末梢血単核細胞において測定する段階;c)哺乳動物の第2の量の末梢血単核細胞を活性化し、同時に、該哺乳動物の該第2の量の末梢血単核細胞を、cdk活性を阻害する該薬剤に暴露する段階;およびd)該推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物の該第2の量の末梢血単核細胞において測定する段階を含み、段階b)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階d)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、該哺乳動物が該ガン処置法に対して治療的に応答することが示される、方法。 cdk活性を阻害する薬剤がジアミノピリミジンである、請求項19記載の方法。 cdk活性を阻害する薬剤が[4-アミノ-2-(1-メタンスルホニルピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-5-イル]-(2,3-ジフルオロ-6-メトキシフェニル)メタノンである、請求項20記載の方法。 推定されるリン酸化部位が、セリン795、セリン780、セリン807/811およびトレオニン821からなる群より選択される、請求項19記載の方法。 推定されるリン酸化部位がセリン807/811である、請求項22記載の方法。 哺乳動物がヒトである、請求項23記載の方法。 cdk活性を阻害する薬剤を投与する段階を含む、推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物においてモニターする方法であって、a)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物において測定する段階;b)該哺乳動物を、cdk活性を阻害する該薬剤に暴露する段階;およびc)網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物において測定する段階を含み、段階a)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階c)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化の阻害が生じていることが示される、方法。 推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルをcdk阻害剤により処置された腫瘍においてモニターする方法であって、a)哺乳動物の第1の代用(surrogate)組織を活性化する段階;b)推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを哺乳動物の該第1の代用組織において測定する段階;c)該哺乳動物の第2の代用組織をcdk阻害剤に暴露する段階;d)該哺乳動物の該第2の代用組織をエクスビボで活性化剤により活性化する段階;およびe)網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化レベルを該哺乳動物の該活性化された第2の代用組織において測定する段階を含み、段階b)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルと比較した、段階e)で測定された網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化レベルの違いにより、網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化の阻害が生じていることが示され、かつ、該第2の代用組織におけるリン酸化レベルの違いにより、cdk阻害剤により処置された該腫瘍におけるリン酸化レベルが示される、方法。 活性化剤がPMAである、請求項26記載の方法。 代用組織が末梢血単核細胞である、請求項26記載の方法。 cdk阻害剤がジアミノピリミジンである、請求項26記載の方法。 推定されるリン酸化部位が、セリン795、セリン780、セリン807/811およびトレオニン821からなる群より選択される、請求項26記載の方法。 推定されるリン酸化部位がセリン807/811である、請求項30記載の方法。 哺乳動物がヒトである、請求項30記載の方法。 cdk阻害剤の薬力学的薬物作用を哺乳動物においてモニターするための方法であって、下記の段階を含む方法:該cdk阻害剤を該哺乳動物に投与する段階;該cdk阻害剤の投与後の一つまたは複数の指定された時間において該哺乳動物から一つまたは複数の検査用生物学的サンプルを得る段階;該哺乳動物から取り出された後の該検査用生物学的サンプルに存在するRbリン酸化活性のアッセイを行う段階;および、該検査用生物学的サンプルにおけるRbリン酸化活性の量を、cdk阻害剤が投与されていない哺乳動物から得られた参照用生物学的サンプルにおけるRbリン酸化活性の量と比較する段階。 生物学的サンプルが、細胞株サンプル、腫瘍組織サンプルおよび代用組織サンプルからなる群より選択される、請求項33記載の方法。 生物学的サンプルが代用組織サンプルである、請求項34記載の方法。 代用組織サンプルが末梢血単核細胞である、請求項35記載の方法。 哺乳動物がヒトである、請求項36記載の方法。 【課題】本発明は、臨床におけるCDK阻害剤の応答モニタリングのための生体マーカーを提供することを課題とする。【解決手段】推定されるリン酸化部位における網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化の阻害を検出することに主眼を置いて、cdk活性を阻害する薬剤が哺乳動物において治療的応答をもたらすかどうかを調べ、また評価するための方法が開示される。哺乳動物(好ましくは、ラット、マウスまたはヒト)の代用(surrogate)組織におけるcdk阻害剤の薬力学的薬物作用をモニターするための方法もまた開示される。【選択図】なし