タイトル: | 公開特許公報(A)_美容方法 |
出願番号: | 2006134179 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 8/97,A61H 23/06,A61K 8/73,A61K 8/44,A61Q 19/00 |
余湖 輝子 溝口 由美 椿原 有子 JP 2006348017 公開特許公報(A) 20061228 2006134179 20060512 美容方法 株式会社資生堂 000001959 伊東 忠彦 100070150 余湖 輝子 溝口 由美 椿原 有子 JP 2005144609 20050517 A61K 8/97 20060101AFI20061201BHJP A61H 23/06 20060101ALI20061201BHJP A61K 8/73 20060101ALI20061201BHJP A61K 8/44 20060101ALI20061201BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20061201BHJP JPA61K8/97A61H23/06A61K8/73A61K8/44A61Q19/00 7 1 OL 15 4C074 4C083 4C074AA05 4C074BB04 4C074CC13 4C074DD06 4C074RR01 4C083AA111 4C083AC621 4C083AD331 4C083CC03 4C083EE06 4C083EE11 本発明は美容方法に係り、特に顔に対してマッサージを行うことにより美容効果の向上を図る美容方法に関する。 従来から、マッサージを行うことにより美容効果を促進させる美容方法が種々提案されている。例えば、特許文献1に開示された美容方法では、血行を促進し皮膚にはりや艶をもたせる手段としてマッサージを利用している。この美容方法で実施されるマッサージは、血行の促進を目的としているため、先ず動脈の血行方向にマッサージを行い、次いで静脈の血行方向にマッサージを行うことを特徴としている。特開平10−113370号公報 上記したように、従来のマッサージを使用した美容方法では、現在生じている血行不良をマッサージにより改善することにより美容効果の向上を図るものであった。即ち、従来のマッサージを利用した美容方法は、肌にとって望ましくない被施術者(マッサージを受ける者)の現在の不良原因(血行不良)を除去することにより、美容効果の向上を図ろうとするものである。 しかしながら、このような美容方法では、肌の状態を肌不良が発生する前の状態に戻すことはできるが、それ以上に肌の改善を図ることができないという問題点があった。特に、肌は加齢やストレスにより、放置しておくと肌の状態は低下してしまう。従来の美容方法では、このように加齢等により低下する肌状態の改善に充分に対応することができないという問題点があった。 本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、肌を刺激することにより肌から脳への感触伝達の活性化を図ることにより肌に対する美容効果の向上を図る美容方法を提供することを目的とする。 上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。 請求項1記載の発明は、 顔を指で叩くタッピング処理を実施する工程と、 該タッピング処理を実施する工程の後に手のひらを用いて顔を包み込むラッピング処理を実施する工程と、 顔に化粧料を塗布する工程とを有することを特徴とするものである。 また、請求項2記載の発明は、 請求項1記載の美容方法において、 前記タッピング処理を実施する工程の前に、深呼吸を行うことを特徴とするものである。 また、請求項3記載の発明は、 請求項1記載の美容方法において、 前記タッピング処理を実施する工程において、頬、額、目の周り、鼻、口の周り、額の生え際から顎の各部分について5秒から30秒のタッピング処理を実施することを特徴とするものである。 また、請求項4記載の発明は、 請求項1記載の美容方法において、 前記ラッピング処理を実施する工程において、頬、額、目の周り、鼻、口の周りの各部分について5秒から30秒のラッピング処理を実施することを特徴とするものである。 また、請求項5記載の発明は、 請求項1項に記載の美容方法において、 前記化粧料の塗布は、前記タッピング処理の実施後で、前記ラッピング処理を実施する前に実施することを特徴とするものである。 また、請求項6記載の発明は、 請求項1記載の美容方法において、 前記化粧料は、マンゴスチンエキス、アセチル化ヒアルロン酸及びその塩、トラネキサム酸及びその誘導体並びにその塩の群、から選ばれる一または二以上の物資を含有するスキンケア化粧品であることを特徴とするものである。 また、請求項7記載の発明は、 顔を指で叩くタッピング処理を実施する工程と、 該記タッピング処理を実施する工程の後に手のひら全体を用いて顔を包み込むラッピング処理を実施する工程と、 顔に化粧料を塗布する工程とを有し、 前記タッピング処理を実施する工程の前に深呼吸を行い、 前記タッピング処理を実施する工程において、頬、額、目の周り、鼻、口の周り、額の生え際から顎の各部分について5秒から30秒のタッピング処理を実施し、 前記ラッピング処理を実施する工程において、頬、額、目の周り、鼻、口の周りの各部分について5秒から30秒のラッピング処理を実施し、 かつ、前記化粧料の塗布は、前記タッピング処理の実施後で、前記ラッピング処理を実施する前に実施することを特徴とするものである。 本発明によれば、タッピング処理とラッピング処理をこの順で実施し肌に刺激を与えることにより肌の感覚低下を防止でき、よって肌から脳への感触伝達の活性化を図ることができる。 次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。 図1は、本発明の一実施例である美容方法の処理工程を示す図である。同図を用いて、先ず本発明の一実施例である美容方法の概略について説明する。本発明に係る美容方法は、基本的には被施術者(マッサージを受ける者)が自ら実施するものである。しかしながら、第三者である施術者が、被施術者に対して本美容方法を実施することも可能である。 本実施例に係る美容方法は、夜(就寝前)に実施する場合と、日中に実施する場合で若干処理が異なっている。しかしながら、夜と日中とで実施する処理の大部分は共通しているため、各処理を一括的に説明するものとし、夜と日中とで実施する処理を言い分ける必要がある場合には、夜(就寝前)に実施する処理を夜用美容処理といい、日中に実施する処理を日中用美容処理というものとする。 本実施例に係る美容方法では、夜用美容処理の場合には、先ずステップ1(図では、ステップをSと略称してる)として、メーク落としを行う。このメーク落としでは、メーク落とし剤を用いてメーキャップ料等を確実に落とす。この際、水またはぬるま湯を用いて充分に落とすことが望ましい。また、メーキャップ料等を落とす順番としては、頬、額、目の周り、鼻,口の周りの順で行うことが望ましい。 ステップ1のメーク落としが終了すると、続いてステップ2として洗顔処理を行う。この洗顔処理は、日中用美容処理及び夜用美容処理の双方で実施する処理である。洗顔処理では、先ず手を洗い、次いで顔を濡らす。その後に洗顔料を用いて円を描くように顔全体を洗顔する。洗顔が終了すると、タオル等で顔に付着している水気を取り去る。 洗顔処理(ステップ2)が終了すると、続いてステップ3として、深呼吸と手を温める処理とを行う。このステップ3の処理は、目をつぶりながら行う。目をつぶった後、深呼吸を数回(2〜5回)行う。その後、左右の手のひら同士を軽く握って手を温める。尚、先に左右の手のひら同士を軽く握って手を温め、その後に深呼吸を数回(2〜5回)行うこととしてもよい。 深呼吸及び手を温める処理(ステップ3)が終了すると、続いてステップ4としてタッピング処理を実施する。タッピングとは、額を含む顔の略全範囲を指で軽くトントンと叩く処理のことをいう。図2は、このタッピング処理の具体的な手順を示している。タッピング処理は、図2(A)に示すように、手を軽くまるめ、親指を除く4本の指の腹を用いて実施する。 タッピングの手順としては、先ず頬に対して行い、次いで額、目の周り、鼻、口の周り、額の生え際からフェースライン、顎の先までの順で行う。また、頬や額などの広い部分は、上から下、下から上に手を動かしながら隅々までタッピングを実施する。更に、目の周り、口の周りなどは、力を抜いて行う。また、タッピング(叩く)強さは、被施術者が心地よいと感じる強さと速さ(テンポやリズム等)でよい。上記したタッピング処理は、頬、額、目の周り、鼻、口の周り、額の生え際から顎の各部分について5秒から30秒程度実施することが有効である。 ここで、再び図1に戻り、本実施例に係る美容方法の説明を続ける。上記したタッピング処理(ステップ4)が終了すると、続いて被施術者の顔に化粧液を塗布する(ステップ5)。ここで用いる化粧液としては、マンゴスチンエキスを含有した化粧液が望ましい。マンゴスチンエキスは、しわの原因となる酵素ゼラチナーゼの活性を抑制することのより、しわの発生を防ぎ、肌のはり・弾力を保つ機能を奏する。 また、マンゴスチンエキスに加え、ワイルドタイムエキスやトレハロースを含有する化粧液を用いても良い。ワイルドタイムエキスは、肌にはりを与える機能を有している。また、トレハロースは保水効果を有しており、肌にうるおいを与える効果がある。 また、マンゴスチンエキス、ワイルドタイムエキス、及びトレハロースの他にも、アセチル化ヒアルロン酸及びその塩、トラネキサム酸及びその誘導体並びにその塩、過酸化水素処理酵母加水分解物(例えば、バイオダインEMPP(商品名))を用いることも可能である。この場合、本美容方法で使用する化粧液は、上記の各物質の内一つのみを含む化粧液でもよく、または複数の物質を混合した化粧液としてもよい。これらの物質を混在させた場合には、加齢に伴うしわ、たるみの予防及び改善を図ることができる。 化粧液の塗布(ステップ5)が終了すると、夜用美容処理ではステップ6Aとして肌に対して夜用乳液・クリームの塗布を行い、日中用美容処理ではステップ6Bとして肌に対して日中用乳液・クリームの塗布を行う。 夜用乳液・クリームとしては、前記した化粧液と同様にマンゴスチンエキス,ワイルドタイムエキス,トレハロース等を含有するものが望ましく、また夜用乳液・クリームにおいては肌の弾力を増す成分を含有させたり、また日中用乳液・クリームにおいては紫外線等から肌を守る成分等を含有させたりすることが考えられる。また、上記したアセチル化ヒアルロン酸及びその塩、トラネキサム酸及びその誘導体並びにその塩、過酸化水素処理酵母加水分解物のいずれか一つ、或いはこれらを複数含有させたものとしてもよい。 ところで、上記した実施例では、ステップ5で使用する化粧液、ステップ6Aで使用する夜用乳液・クリーム、ステップ6Bで使用する日中用乳液・クリームを選定するのに、化粧液、乳液、及びクリームに含有される成分に注目して選定する例を示した。 しかしながら、ステップ5,6A,6Bで使用する各種化粧品の選定方法として、カウンセリングにより選定しても、また使用感触に基づき被施術者が選定してもよい。具体的には、ステップ5で使用する化粧料、ステップ6Aで使用する夜用乳液・クリーム、及びステップ6Bで使用する日中用乳液・クリームを、使用感の相違に基づき、例えば図5に示すタイプIからタイプIIIに示すものに分類して用意しておく(尚、以下の説明において、ステップ5,6A,6Bで使用する化粧料、夜用乳液・クリーム、及び日中用乳液・クリームを総称する場合には、化粧料等というものとする)。 次に、この分類された各タイプの化粧料を被施術者に実際に使用してもらい、自分に最も適した使用感であると感じる化粧料等を被施術者に選定してもらう。そして、このようにして選定してもらった化粧料等を、当該被施術者に対して図1に示す美容方法を実施する場合、ステップ5,6A,6Bで使用する。 乳液・クリームの塗布処理(ステップ6A,6B)が終了すると、続いてステップ7としてラッピング処理を実施する。このラッピング処理は、本実施例に係る美容方法の最後において実施する。 ラッピングとは、手のひら全体を用いて顔を包み込む処理のことをいう。図3は、このラッピング処理の具体的な手順を示している。ラッピング処理では、図3(A)に示すように、頬や額などの広い部分から初め、手のひら全体で、顔の隅々までていねいに包み込む。 ラッピングの手順としては、先ず図3(B)に示すように頬に対してラッピング行い、次いで図3(C)に示すように額に対してラッピングを行い、その後に順次目の周り(図3(D)に示す)、鼻,口の周り(図3(E)に示す)、額の生え際からフェースライン、顎の先まで(図3(F)に示す)の順で行う。尚、図3(F)には、上記した手順を1〜4の数字で図示している。この際、頬、額、目の周り、鼻、口の周りの各部分について5秒から30秒のラッピング処理を実施することが有効である。 上記のラッピングの際、頬は広いので、内側から外側に向かって数回に分けてラッピングを行う。また、頬や額は、丸みに沿うようにラッピングを行う。目元は、力を抜いて指全体を使用してラッピングを行う。更に、鼻と口元は、眉頭の下のくぼみ部分に人差し指が当たるように置きながらラッピングを行う。 上記のようにして全ての処理ステップ1〜7が終了したら、最後に鏡で仕上がりの肌を確認し、本実施例に係る美容方法を終了する。この本実施例に係る美容方法によれば、タッピング処理とラッピング処理をこの順で実施し肌に刺激を与えることにより肌の感覚低下を防止でき、よって肌から脳への感触伝達の活性化を図ることができる。以下、これについて説明する。 肌と脳は密接に繋がっており、皮膚(肌)には皮膚感覚を脳に伝える感覚神経が縦横無尽に張り巡られている。即ち、肌は、脳に皮膚感覚を伝える感覚需要器官の役割を果たす。この感覚需要器官である肌に受けた刺激は、信号となって脳に送られ、これに基づき脳は心地よさや不快感を判断する。そして脳は、この判断結果に基づき、身体の種々の器官に対して指令を出す。 このように、肌は受ける感覚を脳に伝える大切な器官であるが、この肌の感度は加齢やストレス等により低下してしまうことが判った。このように、肌の感覚神経の機能が低下すると、肌と脳との繋がりが希薄となり、内面からの肌の美しさが損なわれる原因となってしまう。 しかしながら、本実施例に係る美容方法では、タッピングを行うことにより肌に刺激を与えて肌の感覚神経を目覚めさせ、その後にラッピングを行うことにより目覚めた肌の感覚神経を活性化する。これにより、加齢やストレス等によっても、肌の感覚神経に劣化が発生することを抑制することができる。従って、肌と脳との繋がりを強く維持することができ、肌は内面から美しく維持される。 更に、本実施例に係る美容方法では、タッピングにより肌に刺激を与えて肌の感覚神経を目覚めさせた後に実施する化粧料等の塗布処理において、塗布する化粧料等として被施術者に実際に使用してもらい、自分に最も適した使用感であると被施術者に選定してもらった化粧料等を使用している。この化粧料等の使用感触も脳に対して刺激を与える一要因となり、被施術者にとって使用感が良好である化粧料等を使用することにより、脳の活性化を図ることができ、よってこれによっても肌を内面から美しくすることができる。 図4は、本発明の一実施例である美容方法で実施した際のモニター効果テストの結果を示している。このモニター効果テストは主観評価に関するものであり、二十代から四十代の女性14名に対して実施した。具体的な、テストの方法は、上記した本実施例に係る美容方法を一週間にわたり自宅で実施してもらい、その後にアンケート(5段階評価:1感じる、2やや感じる、3どちらともいえない、4あまり感じない、5感じない)に回答してもらう形で実施した。 図4(A)に示すように、本実施例に係る美容方法に対する心地よさは、「心地よいと感じる」と「心地よいとやや感じる」を含めると、全体の92.9パーセントの人が心地よいと感じた。また、肌に対する効果感については、「効果感を感じる」と「効果感をやや感じる」を含めると、全体の64.3パーセントの人が効果感を感じた。更に、肌に変化を感じたかとの問いに対しては、「肌の変化を感じる」と「肌の変化をやや感じる」を含めると、全体の57.1パーセントの人が肌に変化が生じたことを感じた。よって、この実験結果より、本実施例に係る美容方法が有効であることが実証された。 また、図6〜図12に示す実験結果は、本実施例に係る美容方法を実施した人と、実施しなかった人でどのような変化が生じるかを検証したものである。具体的には、二十代から四十代の女性30名に参加してもらい、類似した肌を有する2人をペアとし、一方の人に対しては本実施例に係る美容方法を実施してもらい(以下、この人の群をD群という)、もう片方の人に対しては本実施例に係る美容方法を実施しないこととしてもらい(以下、この人の群をN群という)、このD群の15人と、N群の15人に対してそれぞれ以下説明する実験を実施した。 図6に示す実験結果は、主観評価に関する実験結果である。具体的には、D群の人には本発明の一実施例である美容方法を一ヶ月連続して実施してもらい、一方N群の人には本実施例に係る美容方法と異なる美容法を実施してもらい、一ヶ月前と比較して肌への効果が感じられたかどうかをアンケート調査した。 ここで、D群の人が実施した本実施例に係る美容方法と異なる美容方法とは、基本的には通常各自で実施している美容方法であるが、本実施例に係る美容方法との比較を明確化するため、美容方法の施術時間,使用する化粧液の使用量,及び施術の順番(具体的には、洗顔→化粧液塗布→クリーム塗布の順)については、本実施例に係る美容方法と同じとなるようにしてもらった。即ち、D群の人には、図1に示す本実施例に係る美容方法において、ステップ3の深呼吸(手を温める)処理、ステップ4のタッピング、及びステップ7のラッピングを除いた美容方法を実施してもらった。 アンケート項目は同図の左端に示した項目であり、また回答形式は「全く感じられない」、「やや感じられる」、「感じられる」、「非常に感じられる」の4段階評価とした。同図において、白抜きの棒グラフで示されるのがD群の人の回答結果を纏めたものであり、梨地の棒グラフで示されるのがN群の人の回答結果を纏めたものである。 同図より、全てのアンケート項目において、本実施例に係る美容方法を実施してもらったD群の人の方が、肌に対する改善実感を得ていることが分かる。よって、本実施例に係る美容方法は、主観面からは高い効果を実現していることが実証された。 また、図7に示す実験結果は、肌の角質水分量を測定した結果を示している。D群の人は一ヶ月の経過後(連用後)で角質水分量が増加しているのに対し、N群の人はD群の人ほどに角質水分の増加は見られなかった。図6に示すアンケート項目の内、「肌がみずみずしくなり、うるおった」、「肌にはりが出た」等の項目において良好な評価が得られたのは、この肌の角質水分量の増加も要因の一つとなっているものと思われる。 また、図8は感覚感度検査の結果を示している。この感覚感度検査とは、精神物理測定法の手続に沿って、4本の感触の異なる筆を被験者に接触させ、その感触の弁別結果に基づき感触の感覚を得点化したものである。この感覚感度得点は、0〜100点で示し、100点が満点で最も感覚が良好となる。図8(B)は感覚感度得点の年齢に伴う散布状態を示す図である。同図に示されるように、感覚感度得点は加齢と共に減少する傾向がある。従って、本実施例に係る美容方法の実施前と実施後における感覚感度得点の変化を見ることにより、いわゆる若返り年数を概略的に知ることができる。 そこで上記の趣旨の下、D郡の人には本実施例に係る美容方法を一ヶ月実施してもらい、その実施前に測定した感覚感度得点の平均値(15人の平均値)と実施後に測定した感覚感度得点の平均値を求め、その差を算出した。また比較例として、N郡の人には各自任意の美容方法(本実施例と異なる美容方法)を一ヶ月実施してもらい、その実施前に測定した感覚感度得点の平均値(15人の平均値)と実施後に測定した感覚感度得点の平均値を求め、その差を算出した。図8(A)は、その結果を示している。 D郡の人は、連用前と連用後で感覚感度得点が1.98ポイント上昇した。これに対してN郡の人は、連用前と連用後で感覚感度得点が0.55ポイント減少した。よって、本実施例に係る美容方法を実施することにより、感覚感度が上昇していることが判る。また、図(B)に示すN,D両群の全データから回帰式を求めると、“Y(感覚感度)=0.3×(年齢)+80”となる。また、前記のようにD群の感覚感度得点の平均値は一ヶ月で0.98ポイント上昇したため1.98÷0.3=6.6となり、よって若返り年数は6.6歳相当となる。 続いて、本実施例に係る美容方法と生理的変化及び本実施例に係る美容方法と心拍変動との関係を調べた実験結果について説明する。 本実験では、脳の活性化指標として、脳波α波の速い周波数成分α2(10〜13Hz)とα1(8〜10Hz)に着目し、本実施例に係る化粧方法を実施した後のこの脳波α1,α1の変動を測定した。また、他の整理変化として、心拍数及び心拍ゆらぎについても測定した。尚、以下説明する本発明者が実施した実験では、特に生理的変化及び心拍変動に影響が大きいと考えられる深呼吸とタッピングを中心に実施した。 先ず、本発明者が実施した実験方法について説明する。本実験では、20才〜25才の健常肌の女性12名に参加してもった。そして、この各人に対して本実施例に係る美容方法の説明ビデオを視聴してもらい、その後に一連の動作についてビデオを見ながら練習してもらった。 その後、洗顔してもらい、先ず練習課題として、1分間の閉眼安静後、タッピングを1回1分間行ってもらった。その後に肌休めとし10分間休憩してもらい、その間は音楽を流しながら雑誌読みを行ってもらった。 次に、本テストとして二条件を行った。一つ目は“深呼吸とタッピング条件”で、閉眼安静と深呼吸、手の温め(20秒)、タッピングを各1分間、2回繰返し行ってもらった(この実験結果を各図(A)に示す)。また、再び休憩10分間後、二つ目は“繰返しタッピング条件”で、閉眼安静とタッピングの各1分を繰返し2回行ってもらった(この実験結果を各図(B)に示す)。 両条件とも、質問紙により施術前後で感情や皮膚感受性の質問を行った。また、脳波Cz(頭頂部)、C3(頭頂部から左)、C4(頭頂部から右)の導出と、心拍数(右鎖骨下と左脇下)、呼吸(胸部)の同時計測を行った。また、二つの件の順序はカウンターバランスを取った。尚、実験中における被験者への教示は全てパソコンからの音声呈示とした。 先ず、生理的変化に関する実験結果について説明する。 図9は、本実施例に係る美容方法を実施することによる脳波α2(α波の速い周波数成分:10Hz以上13Hz未満)の変化を調べた結果を示している。 脳波α2の変化は、各条件時(前安静、深呼吸、タッピング、安静、後安静)における各被験者の脳波に含まれる脳波α2の含有率の平均値の変化を求めたものである。この脳波α2は脳の活性化の指標となるものであり、その値が大きいほど脳が活性化しているといえる。 図9(A)に示すように、深呼吸とタッピングを行った場合には、タッピング終了後の後安静時において脳波α2が上昇していることが判る。即ち、前安静、深呼吸、及びタッピングの各実施直後では脳波α2は略同じ値となるが、タッピング後の後安静時において脳が活性化されていることが判る。これに対し、図9(B)に示す深呼吸を実施しない繰返しタッピングでは、二度目のタッピングにおいて脳波α2の上昇が見られるが、その後の後安静時には脳波α2は減少してしまう。 従って、上記の図9に示される実験結果より、本美容方法の施術の一つであるタッピングの実施は脳波α2の上昇(即ち、活性化)を促すものであり、特に深呼吸と合わせてタッピングを実施することにより、美容方法実施後における脳波α2の上昇(即ち、活性化)を実現できる。 図10は、本実施例に係る美容方法を実施することによる脳波α1(α波の速い周波数成分:8Hz以上10Hz未満)の変化を調べた結果を示している。 脳波α1の変化は上記の各条件時における各被験者の脳波に含まれる脳波α1の含有率の平均値の変化を求めたものである。この脳波α1は脳の眠気のリラクセイション指標となるものであり、その値が大きいほど脳がリラックスしており、小さいほど活性化しているといえる。 脳波α1において各条件時を要因とした1要因(4水準)分散分析を行ったところ、図10(A)に示す深呼吸とタッピングとを合わせて行う方法では頭頂部左においては、条件の主効果が見られた(F(3,33)=2.99、p<.05)。多重比較(LSD、α=.05)の結果、後安静では前安静とタッピングよりも低下した。また、繰返しタッピング条件では頭頂部右で、条件の主効果の傾向が見られ(F(3,33)=2.44,p<.1)、多重比較(LSD、α=.05)より、前安静よりもタッピングやタッピング後の安静で低下する傾向が示唆された。 よって、図10に示す実験結果より、タッピング後の後安静時において脳の活性化が見られ、かつ深呼吸とタッピングを合わせて実施した方が、タッピングのみの場合に比べて脳の活性化を漸次(急な変動なく)上昇させることができる。 以上説明した図9及び図10に示す実験結果より、本実施例に係る美容方法における深呼吸とタッピングの実施は、脳波に影響を与えることが実証された。また、タッピングのみを行う方法に比べ、深呼吸とタッピングを組み合わせて実施する方が、脳の活性化が有効に、かつ急な変動を伴うことなく図れることが実証された。 次に、心拍変動に関する実験結果について説明する。 心拍変動として、心拍数の変化と心拍のゆらぎの変化を測定する実験を行った。心拍数の変化は、各条件時(前安静、深呼吸、タッピング、安静、後安静)における各被験者の1分間における心拍数の平均値の変化を求めたものである。また、心拍のゆるぎとは心拍の間隔時間の変動係数(CVR―R)であり、その変化とは各条件時における各被験者の変動係数(CVR―R)の平均値の変化を求めたものである。 図11は、心拍数の変化を求めた実験結果を示している。同図に示す心拍数の変化を求める実験においては、各条件時を要因とした1要因(4水準)分散分析を行った。図11(A)に示す深呼吸とタッピング条件では、心拍数において条件の主効果が見られた(F(3,27)=6.75、p<.01)。多重比較(LSD、α=.05)の結果、深呼吸やタッピングで前安静よりも心拍数が増加し、また後安静では深呼吸やタッピングよりも低下した。尚、本実験において、2名をタッピング時のノイズ混入のため分析から除外した。 また、図11(B)に示す繰返しタッピング条件でも、心拍数において条件の主効果が見られ(F(3,24)=33.75、p<.01)、安静時よりもタッピング時で上昇した。尚、本実験においては、3名をタッピング時のノイズ混入のため分析から除外した。 図11に示す実験結果より、深呼吸とタッピングを合わせて実施することにより、繰返しタッピングに比べて心拍数を漸次上昇させることができることが判る。また、タッピング終了後の後安静時においては、深呼吸とタッピングを合わせて実施した方が繰返しタッピングに比べて心拍数が低下しており、深呼吸とタッピングを合わせて実施した方が施術後のリラクセイション効果が高いことが判る。 図12は、心拍のゆらぎの変化を求めた実験結果を示している。前記したように、心拍のゆらぎは心拍の間隔時間の変動係数(CVR―R)で表され、数値が高いとゆらぎが大きく、自律神経系のリラクセイション、数値が低いとゆらぎが小さく、自律神経系のストレス状態といわれている。本実験では、心拍のゆらぎにおいて、各条件時を要因とした1要因(4水準)分散分析を行った。 図12(A)に示す深呼吸とタッピングを合わせて実施した場合では、心拍ゆらぎの条件の主効果が見られ(F(3,27)=3.50、p<.05)、多重比較(LSD、α=.05)の結果、深呼吸では前安静よりも高まり、タッピング後には後安静で低くなった。これに対して繰返しタッピングの場合では、図12(B)に示すように心拍のゆらぎに条件の主効果は見られなかった。 また、図11(A)と図12(A)を比較すると、図11(A)に示す実験結果によれば深呼吸とタッピングを行うことにより心拍数は漸次増大し、心拍数の変化からは活性化が向上する傾向が見える。これに対して心拍のゆらぎは、深呼吸をすることにより最大値となり、その後にタッピング,後安静と変動係数が低下する。即ち、心拍のゆらぎからは、深呼吸時が最もリラックスし、その後のタッピング,後安静により漸次リラックス度が低下することが判る。よって、図11(A)と図12(A)の実験結果より、本実施例に係る美容方法における深呼吸とタッピングを実施することにより、活性化を図りつつリラクセイション効果を得られることが判る。 従って図11及び図12の実験結果より、本実施例の美容方法は心拍数の変化及び心拍のゆらぎの変化に影響を及ぼすことが実証された。更に、心拍数の変化から活性が見られながら、かつ、心拍のゆらぎからはリラクセイション効果が見られるという、特有の現象が得られることが判った。図1は、本発明の一実施例である美容方法で実施する美容処理の工程を示す図である。図2は、本発明の一実施例である美容方法で実施するタッピング処理の具体的方法を説明するための図である。図3は、本発明の一実施例である美容方法で実施するラッピング処理の具体的方法を説明するための図である。図4は、本発明の一実施例である美容方法で実施した際のモニター効果テストの主観評価の結果を示す図である(その1)。図5は、タイプ別の化粧液・乳液・クリームを示す図である。図6は、本発明の一実施例である美容方法で実施した際のモニター効果テストの主観評価の結果を示す図である(その2)。図7は、本発明の一実施例である美容方法で実施前と実施後の角質水分量の変化を示す図である。図8(A)は本発明の一実施例である美容方法で実施前と実施後の感覚感度検査の平均値を示す図であり、図8(B)は年齢と感覚感度得点との相関関係を示す図である。図9(A)は深呼吸−タッピングを行った場合の脳波α2の変化を示す図であり、図9(B)は繰返しタッピングを行った場合の脳波α2の変化を示す図である。図10(A)は深呼吸−タッピングを行った場合の脳波α1の変化を示す図であり、図10(B)は繰返しタッピングを行った場合の脳波α1の変化を示す図である。図11(A)は深呼吸−タッピングを行った場合の心拍数の変化を示す図であり、図11(B)は繰返しタッピングを行った場合の心拍数の変化を示す図である。図12(A)は深呼吸−タッピングを行った場合の心拍ゆらぎの変化を示す図であり、図12(B)は繰返しタッピングを行った場合の心拍ゆらぎの変化を示す図である。 顔を指で叩くタッピング処理を実施する工程と、 該タッピング処理を実施する工程の後に手のひらを用いて顔を包み込むラッピング処理を実施する工程と、 顔に化粧料を塗布する工程とを有することを特徴とする美容方法。 請求項1記載の美容方法において、 前記タッピング処理を実施する工程の前に、深呼吸を行うことを特徴とする美容方法。 請求項1記載の美容方法において、 前記タッピング処理を実施する工程において、頬、額、目の周り、鼻、口の周り、額の生え際から顎の各部分について5秒から30秒のタッピング処理を実施することを特徴とする美容方法。 請求項1記載の美容方法において、 前記ラッピング処理を実施する工程において、頬、額、目の周り、鼻、口の周りの各部分について5秒から30秒のラッピング処理を実施することを特徴とする美容方法。 請求項1項に記載の美容方法において、 前記化粧料の塗布は、前記タッピング処理の実施後で、前記ラッピング処理を実施する前に実施することを特徴とする美容方法。 請求項1記載の美容方法において、 前記化粧料は、マンゴスチンエキス、アセチル化ヒアルロン酸及びその塩、トラネキサム酸及びその誘導体並びにその塩の群、から選ばれる一または二以上の物質を含有するスキンケア化粧品であることを特徴とする美容方法。 顔を指で叩くタッピング処理を実施する工程と、 該記タッピング処理を実施する工程の後に手のひら全体を用いて顔を包み込むラッピング処理を実施する工程と、 顔に化粧料を塗布する工程とを有し、 前記タッピング処理を実施する工程の前に深呼吸を行い、 前記タッピング処理を実施する工程において、頬、額、目の周り、鼻、口の周り、額の生え際から顎の各部分について5秒から30秒のタッピング処理を実施し、 前記ラッピング処理を実施する工程において、頬、額、目の周り、鼻、口の周りの各部分について5秒から30秒のラッピング処理を実施し、 かつ、前記化粧料の塗布は、前記タッピング処理の実施後で、前記ラッピング処理を実施する前に実施することを特徴とする美容方法。 【課題】本発明は顔に対してマッサージを行うことにより美容効果の向上を図る美容方法に関し、肌を刺激することにより肌から脳への感触伝達の活性化を図ることにより肌に対する美容効果の向上を図ることを課題とする。【解決手段】美容方法において、顔を指で叩くタッピング処理を実施する工程と、このタッピング処理を実施する工程の後に手のひら全体を用いて顔を包み込むラッピング処理を実施する工程と、顔に化粧料を塗布する工程とを有する。【選択図】図1