| タイトル: | 再公表特許(A1)_安定化フィブリンのプラスミン分解物の免疫学的分析方法 |
| 出願番号: | 2006118195 |
| 年次: | 2008 |
| IPC分類: | G01N 33/53,G01N 33/577,G01N 33/553,G01N 33/543,G01N 21/76 |
松屋 毅 JP WO2006118195 20061109 JP2006308840 20060427 安定化フィブリンのプラスミン分解物の免疫学的分析方法 株式会社三菱化学ヤトロン 000138277 森田 憲一 100090251 山口 健次郎 100139594 松屋 毅 JP 2005132444 20050428 G01N 33/53 20060101AFI20081121BHJP G01N 33/577 20060101ALI20081121BHJP G01N 33/553 20060101ALI20081121BHJP G01N 33/543 20060101ALI20081121BHJP G01N 21/76 20060101ALI20081121BHJP JPG01N33/53 LG01N33/577 BG01N33/553G01N33/543 545SG01N33/543 575G01N21/76 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20081218 2007514807 17 2G054 2G054AA07 2G054AB04 2G054CA21 2G054CA28 2G054CE02 2G054EA01 本発明は、安定化フィブリンのプラスミン分解物の免疫学的分析方法、より具体的には、ケミルミネッセンスによる安定化フィブリンのプラスミン分解物の高感度アッセイ法に関する。 本明細書における用語「分析」には、分析対象物質の存在の有無を判定する「検出」と、分析対象物質の量又は活性を定量的又は半定量的に決定する「測定」とが含まれる。 ヒト安定化フィブリンの各種プロテアーゼによる分解物は、臨床的診断法における診断マーカーとして有用である。例えば、ヒト安定化フィブリンのプラスミン分解物、すなわち、基本単位であるp−DD/E、並びにそのポリマー又はオリゴマー(別称として、例えば、「D−Dダイマー」又は「DD/E複合体」と称されることがある)は、汎発性血管内凝固症候群(DIC)の診断マーカーとして広汎に使用されている。生体試料中に含有される安定化フィブリンのプラスミン分解物の測定においては、安定化フィブリンのプラスミン分解物に特異的なモノクローナル抗体を用いた感作ラテックスによる凝集反応が一般的に使用されている。 一方、下肢深部静脈血栓症(DVT)が近年注目されている。国内ではあまり注目されてはいなかったが、生活様式の欧米化につれて増加してきた疾患である。血栓症の状態や血栓の有無を診断あるいは予測することは極めて難しいが、DVT診断に最も信頼がおける検査は、安定化フィブリンのプラスミン分解物である(非特許文献1及び2)。凝固過程によって架橋(crosslink)を受けた安定化フィブリンは、プラスミン分解を受けると、p−DD/Eを基本単位とするp−DD/Eのポリマー又はオリゴマー、更にはp−DD/Eとなるので、p−DD/E又はそのポリマー若しくはオリゴマーを検出することで、血栓形成と二次線溶の動態を知ることができる。そのため、安定化フィブリンのプラスミン分解物を測定することは、血栓の存在を確認する上で極めて有用である。 近年、エコノミークラス症候群として知られる肺血栓塞栓症(PE)がクローズアップされている。PEの多くは、深部静脈血栓(DVT)が下大静脈、心臓右心系を介して肺動脈に到達し、血流を途絶させることにより発症するとされている。安定化フィブリンのプラスミン分解物の測定は、DVTに加えてPEの患者を評価することにおいて有用であるとの報告がある(非特許文献3,4)。 安定化フィブリンのプラスミン分解物を特異的に検出することのできる公知のモノクローナル抗体として、モノクローナル抗体JIF−23が知られている(非特許文献5)。この抗体は、ヒト安定化フィブリンのプラスミン分解物のD1Aドメインにおけるγ鎖のN末端のアミノ酸配列63−85が遊離したときに露出されるD1ドメインのN末端の立体構造を認識することが知られている。このJIF−23抗体を使用して、生体試料中に存在する安定化フィブリンのプラスミン分解物を特異的に分析することのできる測定方法を用いることにより、血栓形成と二次線溶の動態を容易に知ることができる。そのような測定方法としては特に限定されないが、例えば、ラテックス凝集法やELISA法が挙げられる。 従来から臨床の現場で広く使用されているJIF−23抗体を用いた安定化フィブリンのプラスミン分解物測定法として、ラテックス凝集法が知られている。安定化フィブリンのプラスミン分解物の値は、非特許文献6によれば、健常者で0.4μg/mL FEUであり、非特許文献7によれば、DIC患者で15.2±18.5μg/mLである。従って、JIF−23抗体を用いたラテックス凝集反応(検出感度=約45ng/mL)でも充分検出することができるものであり、実際に臨床の現場で汎用されている。一方、DVTの場合の臨床カットオフ値は、非特許文献8によれば、0.5μg/mL FEUと報告されている。従って、DIC診断に比べて健常者の値とのわずかな変動をみる必要があり、正常値域の安定化フィブリンのプラスミン分解物を正確に定量することができる、より高感度な測定法の開発が望まれている。 安定化フィブリン分解物のDドメインのネオアンチゲンを認識する抗体を用いるELISA法として、例えば、ミニヴァイダス(ビメリュー社)が公知である(非特許文献8,11)。非特許文献9によれば、ラテックス凝集法に比べてELISAの方が感度が高いため、DVT診断に有用であると報告されており、安定化フィブリンのプラスミン分解物の測定法として、高感度測定が可能なELISA法が受け入れられつつある。例えば、前記ミニヴァイダスの検出感度は約45ng/mL FEUである。 なお、前記の各値及び単位は、各非特許文献の記載に基づくものであり、単位「μg/mL FEU」及び「μg/mL」は、下記換算式: 1μg/mL=2μg/mL FEUにより相互変換可能である(但し、前記数値「2」は概算値である)(非特許文献10)。「トロンボシス・アンド・ヘモスタシス(Thrombosis and Haemostasis)」,(ドイツ),1994年,71巻,p.1-6「クオリティ・ジャーナル・オブ・メディシン(Quality Journal of Medicine)」,(英国),1997年,90巻,p.437-442「トロンボシス・アンド・ヘモスタシス(Thrombosis and Haemostasis)」,(ドイツ),1999年,81巻,p.493-497「トロンボシス・アンド・ヘモスタシス(Thrombosis and Haemostasis)」,(ドイツ),2000年,83巻,191-198「エクセプタ・メディカ,アムステルダム(Excepta Medica, Amsterdam)」,(オランダ),1990年,p.43-48「ユー・ケー・ナショナル・イクスターナル・クオリティ・アセスメント・スキーム・フォー・ブラッド・コアグレーション,リポート・オン・サーベイ 142(U.K. National External Quality Assessment Scheme for BloodCoagulation, Report on Survey 142)」,(英国),2004年5月「アニュールス・デ・バイオロジー・クリニーク(ANNALES DE BIOLOGIE CLINIQUE)」,(フランス),1988年,46巻,p.730-733「ビオメリュー・バイダス・ディーダイマー・パッケージ・インサート(Biomerieux Vidas D-Dimer Package Insert)」,(米国),2003年9月,008120-4「アナルズ・オブ・インターナル・メディシン(Annals of Internal Medicine)」,(米国),2004年,p.589-602「ジャーナル・オブ・トロンボシス・アンド・ヘモスタシス(Journal of Thrombosis and Haemostasis)」,(英国),2005年,p.377-384「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ヘマトロジー(British Journal of Haematology)」,(英国),2004年,p.15-25 本発明の課題は、より高感度な、安定化フィブリンのプラスミン分解物の分析方法を提供することにある。従来の高感度分析法より更に高感度化を行うことにより、分析時間の短縮も可能となる。 前記課題は、本発明による、(a)安定化フィブリン、フィブリノーゲン、及びフィブリノーゲンのプラスミン分解物とは反応しないが、安定化フィブリンのプラスミン分解により出現するDドメインのネオアンチゲンと反応するモノクローナル抗体と、(b)前記モノクローナル抗体(a)とは異なる部位を認識することにより、安定化フィブリンのプラスミン分解物と特異的に反応するモノクローナル抗体との組合せを使用し、前記モノクローナル抗体(a)又は(b)の一方が磁性粒子に結合しており、もう一方のモノクローナル抗体が酵素標識されており、前記酵素の基質としてケミルミネッセンス基質を用いることを特徴とする、安定化フィブリンのプラスミン分解物を免疫学的に分析する方法により解決することができる。 本発明の免疫学的分析方法の好ましい態様によれば、前記モノクローナル抗体(b)が、安定化フィブリン、フィブリノーゲン、及びフィブリノーゲンのプラスミン分解物とは反応しないが、安定化フィブリンのプラスミン分解により出現するEドメインのネオアンチゲンと反応するモノクローナル抗体である。 本発明の免疫学的分析方法の別の好ましい態様によれば、(1)安定化フィブリンのプラスミン分解物を含有する可能性のある被検試料と、前記モノクローナル抗体(a)と、前記モノクローナル抗体(b)とを接触させる工程、(2)安定化フィブリンのプラスミン分解物を介して磁性粒子結合モノクローナル抗体と免疫複合体を形成した酵素標識モノクローナル抗体と、前記免疫複合体を形成しなかった酵素標識モノクローナル抗体とを分離する工程、(3)前記工程で分離した磁性粒子結合モノクローナル抗体−安定化フィブリンのプラスミン分解物−酵素標識モノクローナル抗体免疫複合体に、ケミルミネッセンス基質を添加して発光させる工程、並びに(4)得られた発光シグナルを分析する工程を含む。 本発明の免疫学的分析方法の更に別の好ましい態様によれば、ケミルミネッセンス基質が1,2−ジオキセタンである。 本発明の免疫学的分析方法の更に別の好ましい態様によれば、標識酵素がアルカリホスファターゼである。 本発明は、(a)安定化フィブリン、フィブリノーゲン、及びフィブリノーゲンのプラスミン分解物とは反応しないが、安定化フィブリンのプラスミン分解により出現するDドメインのネオアンチゲンと反応するモノクローナル抗体、(b)前記モノクローナル抗体(a)とは異なる部位を認識することにより、安定化フィブリンのプラスミン分解物と特異的に反応するモノクローナル抗体、並びに(c)ケミルミネッセンス基質を含み、前記モノクローナル抗体(a)又は(b)の一方が磁性粒子に結合しており、もう一方のモノクローナル抗体が、前記ケミルミネッセンス基質を基質とする酵素で標識されていることを特徴とする、安定化フィブリンのプラスミン分解物の免疫学的分析用キットに関する。 本発明は、前記免疫学的分析方法、あるいは、前記免疫学的分析用キットにより、被検試料に含まれる、安定化フィブリンのプラスミン分解物を分析することを特徴とする、下肢深部静脈血栓症及び/又は肺塞栓症の検出方法(診断方法)に関する。 本発明の免疫学的分析方法によれば、安定化フィブリンのプラスミン分解物を高感度及び高特異的に分析することができ、従来のDICだけでなく、DVT及び/又は肺塞栓症の診断にも適用することができる。JIF−23抗体固定化磁性粒子とアルカリホスファターゼ標識No.36−1抗体との組合せによる本願発明の測定方法(黒丸)と、JIF−23抗体固定化磁性粒子とアルカリホスファターゼ標識JIF−23抗体との組合せによる比較用測定方法(白丸)の2種の測定系において、安定化フィブリンのプラスミン分解物の希釈列を測定した結果を示すグラフである。JIF−23抗体固定化磁性粒子とアルカリホスファターゼ標識No.36−1抗体との組合せによる本願発明の測定方法(黒丸)、JIF−23抗体固定化磁性粒子とアルカリホスファターゼ標識No.1−1抗体との組合せによる本願発明の測定方法(白四角)、及びJIF−23抗体固定化磁性粒子とアルカリホスファターゼ標識No.5−4抗体との組合せによる本願発明の測定方法(白三角)の3種の測定系において、安定化フィブリンのプラスミン分解物の希釈列を測定した結果を示すグラフである。 本明細書において、用語「安定化フィブリンのプラスミン分解物」とは、安定化フィブリンをプラスミンで消化することにより生成する分解物であって、1又は複数個の基本単位「p−DD/E」から実質的になる分解物を意味する。「安定化フィブリンのプラスミン分解物」には、例えば、前記基本単位1個からなるp−DD/E、あるいは、前記基本単位複数個からなるp−DD/Eのポリマー又はオリゴマーが含まれる。「安定化フィブリンのプラスミン分解物」の別称として、例えば、「D−Dダイマー」又は「DD/E複合体」が使用されることがある。 なお、本明細書において、プラスミンで消化されることにより生成する分解物を、その分解物の名称の前に「p−」を付与することによって表わすことがある。同様に、顆粒球エラスターゼで消化されることにより生成する分解物を、その分解物の名称の前に「e−」を付与することによって表わすことがある。 本発明(本発明の免疫学的分析方法及び本発明の免疫学的分析用キットを含む)では、モノクローナル抗体として、エピトープの異なる2種類のモノクローナル抗体を使用する。なお、本明細書における用語「抗体」には、抗体それ自体だけでなく、その抗体断片が含まれる。前記抗体断片としては、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、又はFvを用いることができる。サンドイッチイムノアッセイによりヒト安定化フィブリンのプラスミン分解物を特異的に検出するための抗体としては、安定化フィブリン、フィブリノーゲン、又はフィブリノーゲンのプラスミン分解産物とはサンドイッチ免疫複合体を形成しないが、安定化フィブリンがプラスミンによって消化されたフィブリン分解産物に出現する部位(すなわち、ネオアンチゲン)をエピトープとし、サンドイッチ免疫複合体を形成することのできる特徴を有することが必須条件である。 本発明では、一方のモノクローナル抗体として、安定化フィブリン、フィブリノーゲン、及びフィブリノーゲンのプラスミン分解物とは反応しないが、安定化フィブリンのプラスミン分解により出現するDドメインのネオアンチゲンと反応するモノクローナル抗体(以下、第1抗体又は抗Dドメインネオアンチゲン抗体と称する)を使用し、もう一方のモノクローナル抗体として、前記第1抗体とは異なる部位を認識することにより、安定化フィブリンのプラスミン分解物と特異的に反応するモノクローナル抗体(以下、第2抗体と称する)を使用する。 本発明で使用する第1抗体、すなわち、抗Dドメインネオアンチゲン抗体は、安定化フィブリンのプラスミン分解により出現するDドメインのネオアンチゲンを認識するモノクローナル抗体である限り、特に限定されるものではないが、例えば、安定化フィブリンのプラスミン分解により、γ鎖のN末端から第63番目〜第85番目のアミノ酸配列からなる断片が、γ鎖から遊離したときに出現するDドメインのネオアンチゲンを認識するモノクローナル抗体(例えば、モノクローナル抗体JIF−23)を用いることができる。 JIF−23抗体は、安定化フィブリンのプラスミン分解物を特異的に検出することのできるモノクローナル抗体として周知のモノクローナル抗体である(例えば、Matsuda, M., Terukina, S., Yamazumi, K., Maekawa, H., Soe, G., Amonoclonal antibody that recognizes the NH2-terminal conformation of fragmentD, Excerpta Medica, Amsterdam; 1990, 43-38)。また、JIF−23抗体は、安定化フィブリンのプラスミン分解物と反応するだけでなく、安定化フィブリンの顆粒球エラスターゼ分解物(すなわち、基本単位であるe−DD/E、並びにそのポリマー又はオリゴマー)とも反応する。安定化フィブリンのプラスミン分解物の基本単位であるp−DD/Eの分子内には、JIF−23抗体のエピトープが2箇所存在するため、JIF−23抗体を単独で用いて安定化フィブリンのプラスミン分解物を特異的に検出可能であり、JIF−23抗体を用いた安定化フィブリンのプラスミン分解物測定用ラテックス試薬は、臨床の現場で広く使用されている。 本発明では、第1抗体(例えば、JIF−23抗体)とは異なる部位を認識する第2抗体を、第1抗体と組み合わせて安定化フィブリンのプラスミン分解物の検出系を構築する。前記第2抗体としては、安定化フィブリンのプラスミン消化により新たに露出されたアミノ酸配列又はその立体構造を特異的に認識する抗体であれば特に限定されないが、例えば、Eドメインのネオアンチゲンを特異的に認識する抗体(例えば、モノクローナル抗体No.36−1、No.1−1、No.5−4)、モノクローナル抗体DD3B6/22(American Diagnostica;Thrombosis Research,1983年,31巻,p87-96又はDrugCoagulation & Fibrinolysis,1997年,8巻,p87-96)、モノクローナル抗体MA8D3(ILなど;Thrombosisand Haemostasis,1989年,58巻,p1024-1029)、モノクローナル抗体P10B5E12C9(Biomerieux;ClinicalChemistry,1996年,42巻,p410-415)、モノクローナル抗体P2C5A10(Biomerieux;Clinical Chemistry,1996年,42巻,p410-415)を用いることができる。 第2抗体として用いることができる、Eドメインのネオアンチゲンを特異的に認識する抗体(以下、抗Eドメインネオアンチゲン抗体と称する)は、安定化フィブリン、フィブリノーゲン、及びフィブリノーゲンのプラスミン分解物とは反応しないが、安定化フィブリンのプラスミン分解により出現するEドメインのネオアンチゲンと反応するモノクローナル抗体である限り、特に限定されるものではないが、例えば、参考実施例1の表1に記載の反応特異性を有する抗体(例えば、モノクローナル抗体No.36−1、No.1−1、No.5−4)を用いることができる。No.36−1抗体は、安定化フィブリンのプラスミン分解物と反応するが、安定化フィブリンの顆粒球エラスターゼ分解物とは反応しない。 本発明では、モノクローナル抗体の一方を磁性粒子に結合させた状態で使用し、もう一方のモノクローナル抗体を酵素標識した状態で使用する。本発明で用いる磁性粒子は、磁気を有し、免疫反応の固相担体として使用可能であるものであれば特に限定されないが、例えば、以下のものを用いることができる。粒子の組成としては、可磁化物質を含浸させたポリマーから構成することができる。粒子の表面構造についても、抗体を固定化させることのできるものであれば特に限定されないが、物理吸着により抗体を固定化させる場合は粒子表面の特性が疎水性であることが好ましく、化学結合により抗体を固定化させる場合は、粒子表面に官能基(例えば、カルボキシル基、サクシンイミド基、イソチオシアネート基、クロロスルホニル基、マレイミド基、ヒドラジド基、アミノ基、又はSH基など)を導入した構造が好ましい。磁性粒子の粒径は、例えば、0.1〜10μmのものを用いることができ、好ましくは1〜5μmである。 磁性粒子に抗体を結合する方法は、公知の技術を適用することができる。例えば、疎水性相互作用を利用した物理吸着法又は化学結合法により行われる。化学結合法により抗体を結合させる場合は、例えば、カルボキシル基、サクシンイミド基、イソチオシアネート基、クロロスルホニル基、マレイミド基、ヒドラジド基、又はアミノ基を利用することができる。前記のカルボキシル基の場合、カルボジイミドを用いてカルボキシル基を活性化させ、抗体のアミノ基と結合させることができる。前記のサクシンイミド基、イソチオシアネート基、又はクロロスルホニル基は、抗体のアミノ基と直接反応させることができる。前記のマレイミド基は、例えば、SH基と反応させることができ、抗体にSH基導入試薬を用いてSH基を導入するか、又は抗体を還元してそのヒンジ部位のSH基を利用して結合させることができる。前記のヒドラジド基は、抗体の糖鎖と反応させることができる。前記アミノ基は、グルタルアルデヒドを用いて粒子上のアミノ基をアルデヒド基に変換させ、抗体のアミノ基と反応させることができる。 本発明でモノクローナル抗体を標識するのに使用する酵素は、ケミルミネッセンスを適用可能な酵素である限り、特に限定されるものではなく、高感度の分析が可能である。例えば、基質がルミノールである場合、標識酵素としてペルオキシダーゼを用いることができ、基質がルミゲンPPDである場合、標識酵素としてアルカリホスファターゼを用いることができる。特に酵素としてアルカリホスファターゼを用いて、基質として1,2−ジオキセタン[より具体的には、CDP−Star(トロピックス社)]を用いることがS/N比の面からも有用で好ましい。CDP−Starは、AMPPDやCSPDと同様にアルカリホスファターゼにより加水分解され、中間体を経て発光するが、その発光強度はAMPPDやCSPDに比べて非常に強いことが報告されている[Bronstein, I., Edwards, B., Voyta, J.C., 1,2-Dioxetanes: NovelChemiluminescent Enzyme Substrates. Application to Immunoassays, Journal ofBioluminescence and Chemiluminescence; 4, 99-111 (1989);Beck, S.,Koster, H., Applications of Dioxetane Chemiluminescent Probes to MolecularBiology, Analytical Chemistry; 62, 2258-2270 (1990);Tizard, R., Cate,R.L., Ramachandran, K.L., Wysk, M., Voyta, J.C., Murphy, O.J., Bronstein, I.,Imaging of DNA Sequences with Chemiluminescence, Proc. Natl. Acad. Sci. USA.; 87,4514-4518 (1990);又はBronstein, I., Voyta, J.C., Lazzari, K.G., Murphy, O.,Edwards, B., Kricka, L.J., Rapid and Sensitive Detection of DNA in SouthernBlots with Chemiluminescence, BioTechniques; 8, 310-314 (1990)]。また、CDP−Starによる化学発光の立ち上がりは、AMPPDやCSPDに比べて早く、その発光は24時間以上持続するため、アルカリホスファターゼを用いた高感度分析法の基質として優れている。 抗体への酵素標識は、公知方法を用いることができる。例えば、酵素のアミノ基と抗体のアミノ基をグルタルアルデヒドを用いて架橋する方法、アミノ基と結合可能な官能基(例えば、サクシンイミド基、イソチオシアネート基など)を酵素のアミノ基を介して導入し、抗体のアミノ基と結合させる方法、酵素のアミノ基を介してマレイミド基を導入し、抗体のヒンジ部位のSH基などを利用して結合させる方法、酵素が西洋わさびペルオキシダーゼなどの糖タンパク質である場合、過ヨウ素酸により糖鎖をアルデヒド基に変換し、抗体のアミノ基と結合させる方法などが挙げられる。 本発明の免疫学的分析方法は、特定のモノクローナル抗体の組合せを使用すること以外は、従来公知の免疫学的分析方法と同様に、例えば、マニュアル(手動)又は、自動化システムを用いて、実施することができる。例えば、被検試料又は標準試料と、磁性粒子に結合したモノクローナル抗体と、酵素標識したモノクローナル抗体とを反応チューブ内で接触させ、次いで、所定温度(例えば、30〜40℃)でインキュベートする。前記反応チューブの外壁に磁石を接触させることにより、抗体結合磁性粒子を反応チューブ内壁に捕獲した状態で、反応チューブ内の任意の洗浄を行い、次いで、反応チューブ内にケミルミネッセンス基質を添加し発光させる。得られたシグナルを検出し、被検試料又は標準試料中に存在する安定化フィブリンのプラスミン分解物の量を分析する。磁性粒子を用いることで、インキュベーション後の試料液との分離、洗浄液との分離を磁石を用いて正確に行えるため、ブランクの低減等の面でも有利である。本発明により分析することのできる被検試料としては、安定化フィブリンのプラスミン分解物を含む可能性のある生体試料、例えば、血液、血漿、血清、又は尿などを挙げることができる。 本発明者は、第1抗体としてJIF−23抗体を、第2抗体としてNo.36−1抗体(プラスミン消化により露出されるEドメインの構造を認識する抗体)をそれぞれ使用し、従来のラテックス試薬との相関性をヒト血漿中の安定化フィブリンのプラスミン分解物の測定により評価した。(1)「JIF−23抗体単独で構築されたラテックス凝集法」と「JIF−23抗体単独で構築された抗体固定化磁性粒子とアルカリホスファターゼ標識抗体を用いた測定系」、及び(2)「JIF−23抗体単独で構築されたラテックス凝集法」と「JIF−23抗体固定化磁性粒子とプラスミン消化後のEドメインを認識するモノクローナル抗体のアルカリホスファターゼ標識物を用いた測定系」では、安定化フィブリンのプラスミン分解物を含むヒト血漿(50検体)を検体群として用いた相関試験における回帰直線の傾き、切片、及び相関係数に優位な差は認められないことから、JIF−23抗体単独で構築された測定系に対して、プラスミン消化により露出されるEドメインの構造を認識する抗体をJIF−23抗体と組み合わせて構築された測定系の特異性は、血漿中の安定化フィブリンのプラスミン分解物を測定する上では差は無いものと考えられる。 Francisらの報告によると、イン・ビボ(in vivo)では、血流及びα2プラスミンインヒビターの作用により、安定化フィブリンのプラスミンによる分解は、フェーズ−4[基本単位DD/E、又はフラグメントD二量体(DD)及びフラグメントEまで分解が進んだ状態]まで進まず、フェーズ−3(基本単位DD/Eのポリマー又はオリゴマー)で止まっていることを推測し、徐らはそれを裏付けるデータを報告している[Francis,C.W., Marder, V.J., Barlow, G.H., Plasmic degradation of crosslinked fibrin,Journal of Clinical investigation; 66, 1033-1043, 1980;徐 吉夫、河野 功、桜井錠治、松田道生, フラグメントDのアミノ末端の構造を認識するモノクローナル抗体(JIF−23)を用いたフィブリンのプラスミン分解産物の解析,血栓止血学会誌, 5, 105-113, 1994]。これらの報告は、前記相関試験(1)及び(2)の相関性に差がないという結果を強く示唆している。 以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。《実施例1:自動化システムによる安定化フィブリンのプラスミン分解物のアッセイ》(1)抗Dドメインネオアンチゲンモノクローナル抗体JIF−23固定化磁性粒子の作製 JIF−23抗体のペプシン消化によるF(ab’)2画分の作製は、松屋らの報告(Matsuya, T., Tashiro, S., Hoshino, N., Shibata, N., Nagasaki, Y.,Kataoka, K., A core-shell-type fluorescent nanosphere possessing reactive PEGtethered chains on the surface for zeptomole detection of protein intime-resolved fluorometric immunoassay; Anal. Chem., 75, 6124-6132, 2003)に準じて行った。 JSR社製カルボキシル基導入磁性粒子(粒径2.5μm)の50mmol/L−MES緩衝液(pH6.5)の1%懸濁液(10mL)へ、100mg/mLカルボジイミド水溶液(1mL)を添加し、室温で1時間転倒混和した。14000rpmで15分間遠心分離を行って磁性粒子を回収し、50mmol/L−MES緩衝液(pH6.5)で2回洗浄した。50mmol/L−MES緩衝液(pH6.5)で調製したJIF−23抗体F(ab’)2溶液(200μg/10mL)と、前記磁性粒子とを混合し、室温で1時間転倒混和した。その後、14000rpmで15分間遠心分離を行って未反応の抗体溶液を除去し、0.1mol/L−Tris−HCl(pH8.0)を用いて調製した0.3%ウシ血清アルブミン溶液(10mL)を加え、室温で30分間転倒混和した。14000rpmで15分間遠心分離を行ってウシ血清アルブミン溶液を除去し、0.01%ツィーン(Tween)−20を含む10mmol/L−Tris−HCl(pH8.0)緩衝液で抗体固定化磁性粒子を洗浄した後、以後の実験に供した。(2)抗Eドメインネオアンチゲンモノクローナル抗体No.36−1、No.1−1、又はNo.5−4のアルカリホスファターゼ標識物の作製 プラスミン消化後のEドメインを認識するNo.36−1抗体、No.1−1抗体、又はNo.5−4抗体のFab’画分の作製は、松屋らの報告(Matsuya, T., Tashiro, S., Hoshino, N., Shibata, N., Nagasaki, Y.,Kataoka, K., A core-shell-type fluorescent nanosphere possessing reactive PEGtethered chains on the surface for zeptomole detection of protein intime-resolved fluorometric immunoassay; Anal. Chem., 75, 6124-6132, 2003)に準じて行った。モノクローナル抗体No.36−1、No.1−1、No.5−4の反応性は、後述の参考実施例1に示すとおりである。 得られたモノクローナル抗体No.36−1、No.1−1、又はNo.5−4のFab’画分へのアルカリホスファターゼの標識は、石川らの報告[Ishikawa, E., Imagawa, M., Hashida, S., Yoshitake, S., Hamaguchi,Y., & Ueno, T., Enzyme-labeling of antibodies and their fragments forenzyme immunoassay and immunohistochemical staining; J. Immunoassay, 4,209-327, 1983及びIshikawa, E., Hashida, S., Kohno, T. & Tanaka, K., Methodsfor enzyme-labeling of antigens, antibodies and their fragments; In:Nonisotopic Immunoassay, T.T. Ngo (ed.), p27-55, Plenum Publishing Corporation,New York, 1988]に準じて実施した。 また、比較用のアルカリホスファターゼ標識抗体として、JIF−23抗体を用いること以外は、前記操作を繰り返すことにより、モノクローナル抗体JIF−23のFab’画分のアルカリホスファターゼ標識物を調製した。(3)安定化フィブリンのプラスミン分解物の調製 安定化フィブリンのプラスミン分解物の調製は、Olexaらの報告[Olexa, S.A., Budzynski, A.Z., Primary soluble plasmic degradationproduct of human cross-linked fibrin. Isolation and stoichiometry of the (DD)Ecomplex; Biochemistry, 18, 991-995, 1979]に従って調製した。また、安定化フィブリンのプラスミン分解物が更に分解して生じるフラグメントD及びフラグメントEは、Masciらの報告[Masci,P.P., Whitaker, A.N., Winzor, D.J., A simple chromatographic procedure for thepurification of the D dimmer fragment from crosslinked fibrin; AnalyticalBiochemistry, 147, 128-135, 1985]に従って調製した。(4)抗体固定化磁性粒子及びアルカリホスファターゼ標識抗体を用いた安定化フィブリンのプラスミン分解物の測定 3%ウシ血清アルブミンを含む20mmol/L−Tris−HCl(pH7.0)緩衝液を用いて調製された安定化フィブリンのプラスミン分解物の希釈列を試料として用いた。まず、試料(50μL)と、No.36−1抗体、No.1−1抗体、又はNo.5−4抗体Fab’画分のアルカリホスファターゼ標識物(50μL)と、JIF−23抗体F(ab’)2画分固定化磁性粒子(1%磁性粒子、50μL)とを混合し、37℃で5分間反応させた。次に、トリトン(Triton)X−100を主成分とする洗浄液を用いて、免疫反応に寄与しなかった試料成分や、余剰の標識抗体を除去した後、免疫複合体が結合した磁性粒子をケミルミネッセンス基質であるCDP−Star(トロピックス社)(100μL)と混合し、1分後の発光をフォトマルチプライヤーにて計測した。 また、比較例として、No.36−抗体Fab’画分のアルカリホスファターゼ標識物の代わりに、JIF−23抗体Fab’画分のアルカリホスファターゼ標識物を用いること以外は、前記操作を繰り返した。(5)安定化フィブリンのプラスミン分解物の測定結果 図1に、JIF−23抗体固定化磁性粒子とアルカリホスファターゼ標識No.36−1抗体との組合せによる本願発明の測定方法(図1における黒丸)と、JIF−23抗体固定化磁性粒子とアルカリホスファターゼ標識JIF−23抗体との組合せによる比較用測定方法(図1における白丸)の2種の測定系において、安定化フィブリンのプラスミン分解物の希釈列を測定した結果を示す。 認識するエピトープの異なる2種類のモノクローナル抗体(JIF−23抗体及びNo.36−1抗体)を用いることにより、JIF−23抗体単独で構築した測定系に比べて、安定化フィブリンのプラスミン分解物に対する反応性がおよそ6倍向上した。その検出感度はおよそ17分の分析時間で0.005μg/mL FEUであり、安定化フィブリン分解物のDドメインのネオアンチゲンを認識する抗体を用いた従来のELISA法(ビメリュー社ミニヴァイダス:およそ35分の分析時間)(非特許文献8,11)の検出感度45ng/mLFEUに対しておよそ9倍向上しており、高感度化により分析時間の短縮にも繋がっている。 図2に、本願発明の3種類の測定方法、すなわち、JIF−23抗体固定化磁性粒子とアルカリホスファターゼ標識No.36−1抗体との組合せによる本願発明の測定方法(図2における黒丸)、JIF−23抗体固定化磁性粒子とアルカリホスファターゼ標識No.1−1抗体との組合せによる本願発明の測定方法(図2における白四角)、及びJIF−23抗体固定化磁性粒子とアルカリホスファターゼ標識No.5−4抗体との組合せによる本願発明の測定方法(図2における白三角)において、安定化フィブリンのプラスミン分解物の希釈列を測定した結果を示す。 何れの抗体の組合わせにおいても、アルカリホスファターゼ標識抗体に安定化フィブリンのEドメインのネオアンチゲンを認識する抗体を用いることにより、No.36−1と同程度の反応性を得ることができ、アルカリホスファターゼ標識抗体に用いる安定化フィブリン分解物のEドメインのネオアンチゲンを認識する抗体の使用において、普遍性が高いことを示している。《参考実施例1:モノクローナル抗体No.36−1、No.1−1、及びNo.5−4の認識部位の確認》 モノクローナル抗体No.36−1、No.1−1、及びNo.5−4の反応特異性は、特公平5−48119号公報の実施例5に記載の方法により確認した。すなわち、バイオラッド社のZeta-Probe Blotting Mewbraues Instruction Manualに従って、ウェスタンブロッティングにより確認した。 その概略は、フィブリノーゲンをCa2+又はEGTAの存在下でプラスミン処理を行い、30分、60分、及び24時間反応後のフィブリノーゲン分解物を、ジチオスレイトール(DTT)存在又は非存在下でSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、No.36−1抗体を用いるウェスタンブロッティングを実施した。また、前記フィブリノーゲン分解物に代えて、安定化フィブリンのプラスミン分解物、フラグメントD及びフラグメントEについても、前記操作を繰り返した。 結果を表1に示す。表1において、記号「(−)」は結合反応性がないことを意味し、記号「(+)」は結合反応性が有ることを意味する。表1の結果より、No.36−1抗体、No.1−1抗体、及びNo.5−4抗体が、安定化フィブリンのプラスミン分解により出現するEドメインのネオアンチゲンと反応することが判明した。 本発明の免疫学的分析方法は、各種診断、例えば、DIC、DVT、肺塞栓症の診断の用途に適用することができる。 以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。(a)安定化フィブリン、フィブリノーゲン、及びフィブリノーゲンのプラスミン分解物とは反応しないが、安定化フィブリンのプラスミン分解により出現するDドメインのネオアンチゲンと反応するモノクローナル抗体と、(b)前記モノクローナル抗体(a)とは異なる部位を認識することにより、安定化フィブリンのプラスミン分解物と特異的に反応するモノクローナル抗体との組合せを使用し、前記モノクローナル抗体(a)又は(b)の一方が磁性粒子に結合しており、もう一方のモノクローナル抗体が酵素標識されており、前記酵素の基質としてケミルミネッセンス基質を用いることを特徴とする、安定化フィブリンのプラスミン分解物を免疫学的に分析する方法。 前記モノクローナル抗体(b)が、安定化フィブリン、フィブリノーゲン、及びフィブリノーゲンのプラスミン分解物とは反応しないが、安定化フィブリンのプラスミン分解により出現するEドメインのネオアンチゲンと反応するモノクローナル抗体である、請求項1に記載の免疫学的分析方法。(1)安定化フィブリンのプラスミン分解物を含有する可能性のある被検試料と、前記モノクローナル抗体(a)と、前記モノクローナル抗体(b)とを接触させる工程、(2)安定化フィブリンのプラスミン分解物を介して磁性粒子結合モノクローナル抗体と免疫複合体を形成した酵素標識モノクローナル抗体と、前記免疫複合体を形成しなかった酵素標識モノクローナル抗体とを分離する工程、(3)前記工程で分離した磁性粒子結合モノクローナル抗体−安定化フィブリンのプラスミン分解物−酵素標識モノクローナル抗体免疫複合体に、ケミルミネッセンス基質を添加して発光させる工程、並びに(4)得られた発光シグナルを分析する工程を含む、請求項1又は2に記載の免疫学的分析方法。 ケミルミネッセンス基質が1,2−ジオキセタンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の免疫学的分析方法。 標識酵素がアルカリホスファターゼである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の免疫学的分析方法。(a)安定化フィブリン、フィブリノーゲン、及びフィブリノーゲンのプラスミン分解物とは反応しないが、安定化フィブリンのプラスミン分解により出現するDドメインのネオアンチゲンと反応するモノクローナル抗体、(b)前記モノクローナル抗体(a)とは異なる部位を認識することにより、安定化フィブリンのプラスミン分解物と特異的に反応するモノクローナル抗体、並びに(c)ケミルミネッセンス基質を含み、前記モノクローナル抗体(a)又は(b)の一方が磁性粒子に結合しており、もう一方のモノクローナル抗体が、前記ケミルミネッセンス基質を基質とする酵素で標識されていることを特徴とする、安定化フィブリンのプラスミン分解物の免疫学的分析用キット。 請求項1〜5のいずれか一項に記載の免疫学的分析方法、あるいは、請求項6に記載の免疫学的分析用キットにより、被検試料に含まれる、安定化フィブリンのプラスミン分解物を分析することを特徴とする、下肢深部静脈血栓症及び/又は肺塞栓症の検出方法。 (a)安定化フィブリン、フィブリノーゲン、及びフィブリノーゲンのプラスミン分解物とは反応しないが、安定化フィブリンのプラスミン分解により出現するDドメインのネオアンチゲンと反応するモノクローナル抗体と、(b)前記モノクローナル抗体(a)とは異なる部位を認識することにより、安定化フィブリンのプラスミン分解物と特異的に反応するモノクローナル抗体との組合せを使用し、前記モノクローナル抗体(a)又は(b)の一方が磁性粒子に結合しており、もう一方のモノクローナル抗体が酵素標識されており、前記酵素の基質としてケミルミネッセンス基質を用いることを特徴とする、安定化フィブリンのプラスミン分解物の免疫学的分析方法を開示する。