生命科学関連特許情報

タイトル:再公表特許(A1)_ミミズ由来の成分を含むウイルス感染及び増殖阻害剤
出願番号:2006093164
年次:2008
IPC分類:A61K 35/56,A61P 31/12,A01N 63/00,A01P 1/00,A23L 1/30,A23K 1/16


特許情報キャッシュ

上田 光宏 大木 理 峯 圭司 JP WO2006093164 20060908 JP2006303786 20060228 ミミズ由来の成分を含むウイルス感染及び増殖阻害剤 大阪府 000205627 特許業務法人特許事務所サイクス 110000109 上田 光宏 大木 理 峯 圭司 JP 2005053241 20050228 A61K 35/56 20060101AFI20080711BHJP A61P 31/12 20060101ALI20080711BHJP A01N 63/00 20060101ALI20080711BHJP A01P 1/00 20060101ALI20080711BHJP A23L 1/30 20060101ALI20080711BHJP A23K 1/16 20060101ALI20080711BHJP JPA61K35/56A61P31/12A01N63/00 AA01P1/00A23L1/30 AA23K1/16 304A AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20080807 2007505968 16 2B150 4B018 4C087 4H011 2B150AA05 2B150AA06 2B150AA07 2B150AB10 2B150DD01 4B018MD69 4B018ME14 4C087AA01 4C087AA02 4C087BB11 4C087MA52 4C087NA14 4C087ZB33 4H011AA04 4H011BA01 4H011BB20 4H011BC03 4H011BC06 4H011DA15 4H011DC05 4H011DD03 本発明は、ミミズ由来の成分を有効成分として含み、ウイルス感染及びウイルス増殖阻害作用を有する医薬や農薬などに関する。 動物の細胞や体液は、構成成分として多くの高分子物質をふくみ、これら高分子物質の化学組成は、動物の種が違えば異なる。生体はそれぞれ化学的な独自性を持っている。生体には外部から異種の高分子がそのままの形で入ったり、異種の高分子物質を表面に備えたウイルスなどが侵入することもあり、さらに自己の異常な構成成分が現れることもある。このような外来性、内在性の異種高分子から生体を防衛するのが免疫系に課せられた役目である。免疫系を構成するのは、リンパ性器官、非リンパ性器官内に見られるリンパ性組織、血液やリンパにふくまれるリンパ球、全身の結合組織や上皮組織に散在するリンパ球や形質細胞である。リンパ球は、免疫系の各構成部位をたえず循環して、防衛力を発揮している。 高等生物は、先に述べた免疫系により、生体防衛を行っている。リンパを持たない下等生物は、それぞれ独自の自己防衛システムを保持していることが推測される。 我々は、下等生物に分類される生物の内で特にミミズに着目し、その自己防衛システムの解明を行ってきた。 抗菌性物質の1例として、昆虫の体液に由来する抗菌ペプチドが知られている(特許文献1)。 しかし、昆虫の体液に由来する抗菌ペプチドの抗菌スペクトラムは、黄色ブドウ球菌、MRSA、大腸菌、緑膿菌に限られ、ウイルスに対する抗菌性については述べられていない。 ヒトの細菌性疾患に比べて、ウイルス性疾患は現在の化学療法に対して比較的感受性が乏しい。しかし人類は自然のウイルス病に有効な免疫をワクチンで作り出すことができる。すべてのウイルスの被覆たんぱくは抗原となりうるもので、HIVなどを除いて、研究室で培養されるすべてのウイルスに対してワクチンを作ることが可能である。しかし多くのウイルス病にとって、このアプローチには限界がある。 普通感冒は上気道のウイルス感染によって起こる症候群であり、上気道感染症を引き起こすウイルスは、ミクソウイルス群に分類されるインフルエンザ、パラミクソウイルス群に分類されるパラインフルエンザ、コロナウイルス群、レオウイルス、アデノウイルス群、ピコルナウイルス群に分類されるコクサッキーウイルス、エコーウイルス、ライノウイルスがよく知られている。特にインフルエンザは、人類にとって脅威であり、近年は鳥インフルエンザの危険性が広く知られている。 従来、ミミズは釣り餌として、さらには土壌改良用に、生ゴミ処理用に、その特性に応じいろいろな分野で利用されていたが、最近ではミミズ由来の生理活性タンパク質が単離され、その利用のために生理・生化学的研究が行われている。 表1にミミズ由来の生理活性タンパク質名、およびそれらの分子量、生理作用を示すように、これらのタンパク質は、多くの有用な生理作用を持っていることが証明されている。またミミズを原料とする健康補助食品の製法も提案されている(特許文献2)。 また、漢方薬では地竜として知られ、古くから飲用され、安全であることが知られており、ルンブロフェブリンという解熱作用を持つ物質が知られている。さらに、ルンブロキナーゼという血栓溶解作用をもつ物質が知られているが、抗ウイルス作用については全く知られていない。 一方、最近注目を浴びている植物ウイルスに関連しては、表2に示すごとく農薬は存在するもののこれらの農薬は特定の植物ウイルスにしか阻害作用を示さず、広い分野の植物に阻害作用をもたらす汎用的な物質(農薬)は存在していないのが現状である。特許第3273314号特開2003−259837号公報 本発明は、植物のほか、人畜や魚介類を含めた広い分野においてウイルスの感染及び増殖を阻害する作用を有する有用な物質を提供することを課題としている。 本発明者らは、リンパを持たない下等生物に分類される生物の内で特にミミズに着目し、その自己防衛システムの解明を行ってきた。その結果、ミミズ由来の成分が植物ウイルスに対する感染及びウイルスの増殖を阻害する作用を有することを見出した。 さらに、このミミズ由来の成分が、植物に感染するウイルスのみならず、インフルエンザウイルスをはじめとする動物に感染するウイルスに対しても細胞に対するウイルス感染を予防し、さらにウイルスの増殖を阻害することを見出した。 本発明により、ウイルスの感染及び増殖を阻害する作用を有する医薬であって、ミミズ由来の有効成分を含む医薬が提供される。好ましい態様によれば、ヒトを含む哺乳類動物、魚介類または鳥類に対して用いる上記の医薬が提供される。 また、植物に感染するウイルスの感染及び増殖を阻害する作用を有する農薬であって、ミミズ由来の有効成分を含む農薬、ウイルスの感染及び増殖を阻害する作用を有する飲食品であって、ミミズ由来の有効成分を含む飲食品、及びウイルスの感染及び増殖を阻害する作用を有する飼料であって、ミミズ由来の有効成分を含む飼料が本発明により提供される。 好ましい態様では、ミミズ由来の有効成分が、分子量1万以上であるが提供される。ミミズ由来の有効成分が、波長280nmに吸収特性を持つ成分である上記の医薬、農薬、飲食品、及び飼料;ミミズ由来の有効成分がウイルスの被覆たんぱくを分解する成分である上記の医薬、農薬、飲食品、及び飼料が提供される。さらに、ミミズ由来の成分を含有し、ウイルスの感染及び増殖を予防するために用いられるものである旨の表示を付した飲食品、及びミミズ由来の成分を含有し、ウイルスの感染及び増殖を予防するために用いられるものである旨の表示を付した飼料も本発明により提供される。本発明のミミズ由来のウイルス感染増殖阻害物質のゲルろ過クロマトグラフィー(セファクリルS-200)によるたんぱく質の濃度および感染増殖阻害率と各フラクションとの関係を示すグラフである。本発明のミミズ由来のウイルス感染増殖阻害物質による感染阻害率とフラクションIおよびIIとの関係を示すグラフである。 以下にサンプルミミズ由来の成分(サンプル液)の調整方法(破砕法)を説明する。1.シマミミズ、50gを凍結乾燥し、細かく破砕する(凍結乾燥する前は、ミミズは1日絶食)。2.破砕物に50mMトリス塩酸(Tris-HCl)pH7.0の緩衝液を加え、十分に懸濁させる。なお、水、水を含む溶媒または溶媒でも良いが酸性条件下、好ましくはpH6以下が望ましい。3.次いで遠心分離(分離条件;回転数・10,000rpm、時間・20min、温度・4℃)を行い、上清を回収する。4.この上清(サンプル液)をウイルス感染増殖阻害実験に用いた。 さらに以下に電気ショック法によるミミズからのサンプル液の調整法を簡単に説明する。1.生きたシマミミズ10〜20匹を約20mlの生理食塩水(0.8重量%)に投入。2.6ボルトの電圧を10秒程度かける。水、水を含む溶媒または溶媒でも良いが、電圧を印加するため、酸性条件下、好ましくはpH6以下が望ましい。3.の結果、黄色を呈したミミズの液体(体腔液)が得られた。4.この上清(サンプル液)をウイルス感染増殖阻害実験に用いた。 以下に上記で得られたサンプル液を、例えば植物ウイルス感染阻害物質のスクリーニング方法として用いた実験例を説明する。1.育成したマメ科の植物ササゲ(Vigna unguiculata L.)の2枚の初生葉の1枚の葉(コントロール葉)に、緩衝液のみを綿棒を用いて広げて塗りつける。この葉(もう1枚の初生葉、サンプル処理葉)にサンプル液(上記破砕法で得た上清)を綿棒を用いて広げて塗りつける。なお、ササゲの葉がサンプル液をはじいてしまう場合は、0.1%のトリトン(TritonX)を混合する。2.ついでこのササゲの初生葉を5から30分間乾燥させる。3.次にキュウリモザイクウイルス液(CMV、pepo系統、濃度10μg/ml〜20μg/ml、0.1Mりん酸バッファー)と、3%になるようにカーボランダム600(子葉表面に傷をつけるための)を混合した試験液を準備する。4.二本の綿棒をこの試験液(ウイルス液)に浸漬させ、同時に取り出し、一方の綿棒でサンプル処理葉に、他方の綿棒でコントロール葉に、接触させ、それぞれの葉にウイルスを接種する。5.2〜3日後、ウイルスの局部病斑数を数え、感染阻害率を調べた。 上記のスクリーニング結果にもとづく、ミミズによる植物ウイルス(キュウリモザイクウイルス)感染阻害作用の結果は、下表のごとくになった。サンプルの分子量分画は、限外ろ過モジュール(旭化成工業株式会社)を用いて行った。 この表において、感染阻害%は以下の式で算出した。感染阻害率(%)=(1-処理区病班数/対照区病班数)×100すなわち、表中の1のサンプルでは、サンプル処理葉上のミミズのサンプル液とキュウリモザイクウイルス液との混合液から生ずるウイルス病班数と、単にバッファー液のみのコントロール葉上の病班数との比、つまり感染阻害率は78.9%であった。また分子量分画した結果、分子量1万以上の場合の感染阻害率は79.7%であり、分子量1万以下では感染阻害率は明確に判定できなかった。 またこの結果は、電気ショック法で得た上清でもほぼ同じ結果であった。 次にミミズからのこのウイルス感染増殖阻害物質のゲルろ過による粗精製を試みた1.シマミミズ、50gを凍結乾燥し、細かく破砕する(ミミズは凍結乾燥前は1日絶食)。2.この破砕物に50mMトリス塩酸(Tris-HCl)pH7.0の緩衝液を加えよく懸濁させる。3.次いで遠心分離(分離条件;回転数・10,000rpm、時間・20min、温度・4℃)を行い、上清を回収。4.この上清に80%飽和になるように硫酸アンモニウムを加え、塩析させるため一夜、低温室に放置。5.さらに遠心分離(分離条件;10,000rpm、20min、4℃)を行い、沈殿物を回収し、20mMトリス塩酸(Tris-HCl)pH7.0の緩衝液に溶解。6.セファクリル(Sephacryl)S-200によるゲルろ過クロマトグラフィーを行い、活性画分を回収する。 以上の結果、図1のように、縦軸にタンパク濃度(A280・280nmでの吸収特性)、および感染阻害率(Inhibitory ratio)%をとり、横軸にフラクションNoを目盛って測定したところ、フラクションNo.54〜58(フラクションIと言う)と、フラクションNo.59〜64(フラクションIIと言う)とにピークが出現し、それぞれのタンパク量を求めたところ、188μg/ml、と224μg/mlであった。 特に阻害活性を示す2つのピークにおいて、フラクションNo.56が80.2%、フラクションNo.60が84.8%の感染阻害率を示した。 なお、分子量はゲルろ過の結果からそれぞれフラクションNo.56が40,000、フラクションNo.60が20,000と推測した。 次いで、上記で分画されたフラクションIのうちのNo.56、IIのうちのNo.60(以下それぞれを検体液と言う)とウイルスとを混合して、検定植物に接種する方法で感染阻害実験を試みた。(材料)ウイルス;トマトモザイクウイルス(ToMV)、昔はタバコモザイクウイルス(TMV)のトマト系統と呼ばれていたウイルスで、TMVとほぼ同じ性質を持つ検定植物;タバコ葉(Nicotiana tabacumu cv. Xanthi nc)、N遺伝子を導入したタバコでTMV(ToMVを含む)の感染に対して過敏感反応を示し、感染部位に局部病斑(壊死斑)を示す。検定植物は反復数を10とするため10固体用意した。(実験方法)1.2つの検体液(No.56、No.60)のそれぞれとToMV液をそれぞれ1:1に等量混合し、最終濃度を各検体液は2倍希釈、ToMV液を50μg/mlとする。 一方、対照区では、溶媒(20mM Tris-HCl、0.2M NaCl)とToMV液を1:1に等量混合して塗布する(ウイルス濃度は同一)。2.次いでボルテックスをかけて混合する。3.4℃で30分間静置(ウイルスが安定して存在できる温度、氷上又は冷蔵庫内で良い)。4.5〜6葉期に成長したタバコ葉の最大展開葉にカーボンランダムをふりかける。5.最大展開葉の半葉を処理区、他方を対照区としてそれぞれに検体液とToMVの混合液、溶媒とToMVの混合液をそれぞれ接種する。6.2〜3日後に形成された局部病斑(壊死斑)を計数し感染阻害率を以下の式で算出した。感染阻害率(%)=(1-処理区病斑数/対照区病斑数)×100 図2から明らかなようにフラクションI(No.56)の検体液では感染阻害率が約58%、フラクションII(No.60)の検体液では約85%であった。 以上の結果からミミズ由来の有効成分は抗ウイルス特性、すなわちウイルスの感染阻害、増殖阻害特性を持っていることは明らかとなった。 次にミミズからのウイルス感染増殖阻害物質(フラクションII)についてCMV阻害機構の解析を行った。 フラクションII処理葉内でのCMV感染サイトの分布を調査するため、フラクションII400μg/mlをタバコ葉に塗布処理し、完全乾燥30分後にCMVを接種した。CMV接種2、4日後に接種葉をサンプリングし、Tissue blot法でCMV感染サイトを検出した。 その結果、CMV接種2、4日後ともに、フラクションII処理葉のCMV感染サイト数は対照区よりも少なかった。しかし、フラクションIIの感染サイト面積と対照区の感染サイト面積には差がなかった。 フラクションIIが処理葉に浸透し、処理葉内でのCMVを阻害している可能性を調査するため、フラクションII 400μg/mlをタバコ葉に裏面塗布処理し、完全乾燥30分後にCMVをタバコ葉表面に接種した。接種4日後に接種葉をサンプリングし、Tissue blot法でCMV感染サイトを検出した。 その結果、フラクションIIと対照区でCMV感染サイト数に差は認められなかった。 CMV被覆たんぱく(CMV CP)とフラクションIIを混合し、30℃、1時間培養後、SDS-PAGEを行った。電気泳動後、ゲルを回収し、CBB染色を行った。 その結果、CMV CPが分解されていることが判明した。 以上の結果より、フラクションIIはCMV CP分解能を示し、CMVと直接接触することによって、植物体への侵入を阻害できることが明らかとなった。 ミミズ由来の植物ウイルス感染抑制物質(フラクションII)を用いてN-末端アミノ酸配列を調べたところSVGGSNAXPX−であった。 ミミズ破砕抽出物、フラクションIおよびフラクションIIについて、ヒトインフルエンザA型ウイルス感染阻害作用について調べた。 試料とヒトインフルエンザA型ウイルス懸濁液を低温で1時間反応させた後、MDCK細胞に加え1時間感染させた。この反応液を除去し、細胞培養液を加え、一晩培養した。この細胞を固定し、抗ウイルスモノクローナル抗体を用いた免疫染色法により感染細胞数を測定し、感染阻害率を算出した結果、全ての検討試料に陽性コントロールに用いたFetuinよりも強いウイルス感染阻害活性が認められた。特に、ミミズ破砕抽出物およびフラクションIIは非常に強いウイルス感染阻害活性が認められた。 ミミズ破砕抽出物について、赤血球の凝集反応を阻害する作用を、Fetuinを対照として測定した結果、同程度の阻害活性が認められたことから、ウイルスの感染の初期過程でミミズ成分が阻害活性を有することが明らかとなった。 また以上の説明では、シマミミズを一例として述べたが、ツリミミズ科、フトミミズ科等、同様の機能を持つ有効成分を産するミミズであれば利用でき、限定されるものではない。 また分子量が1万以上であり280nmで吸収特性を持つ物質にウイルスの感染及び増殖を阻害する作用が顕著に現れることが判明した。 従って、本発明のミミズ由来の新規なウイルスの感染及び増殖を阻害する作用を有する有効成分は、植物のほか、人畜や魚介類を含めた広い生物種においてウイルスの感染及び増殖を阻害する作用を有する物質であり、SARS、コイヘルペスなどに対しても十分にウイルスの感染及び増殖を阻害する作用を有する物質である。 リンパを持たない生物には、共通した自己防衛システムが存在することが推測され、本発明がミミズに特定されるものではなく、リンパを持たない生物を広く包含されるものであることは明らかである。 上記のようなミミズを水、水を含む溶媒または溶媒から抽出して得られる抽出液、抽出物またはその精製液あるいは精製物は、飲食品または健康食品に利用することができる。健康食品とは、通常の食品よりも積極的な意味で、保健、健康維持・増進等の目的とした食品を意味する。例えば、形態としては、液体または半固形、固形の製品、具体的には、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤または液体等のほか、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト、まんじゅう等の菓子類、清涼飲料、お茶類、栄養飲料、スープ等が挙げられる。 これらの食品の製造工程において、あるいは最終製品に、上記のミミズ由来の有効成分を混合または塗布あるいは噴霧などにより添加して、飲食品とすることができる。 飲食品としての使用時には、飲食品の味や外観に悪影響を及ぼさない量で用いることが適当である。例えば、上記のゲルろ過クロマトグラフィー後に得られたウイルスの感染及び増殖を阻害する作用を有するたんぱく質を100〜300μg/mlで含有する溶液を、対象とする食品の0.01〜2重量%の量で加えることができる。 また、上記のミミズを水、水を含む溶媒または溶媒から抽出して得られる抽出液、抽出物またはその精製液あるいは精製物は、哺乳類動物、魚介類または鳥類などに与える飼料またはペットフードに配合することにより、動物に対するウイルスの感染を予防することもできる。飼料またはペットフードとしての使用時のミミズを水、水を含む溶媒または溶媒から抽出して得られる抽出液、抽出物またはその精製液あるいは精製物の添加量は、上記の飲食品としての使用時と同様である。 上記のミミズを水、水を含む溶媒または溶媒から抽出して得られる抽出液、抽出物またはその精製液あるいは精製物は、適当な賦形剤と混合するか又はせずに、水性または油性の懸濁液、溶液又はエマルジョンの形態で、農薬として用いることができる。用い得る賦形剤としては、溶剤(例えばオリーブ油、大豆油のような油性溶剤、水、アルコール、プロピレングリコールのような親水性溶剤など)、乳化剤(例えば界面活性剤など)、懸濁化剤(例えばポリビニル系化合物、セルロース類のような親水性高分子、界面活性剤など)、増量剤(例えばタルク、クレーなど)、保存剤(例えばパラベン、ソルビン酸など)、着色剤などを挙げることができる。 上記の農薬は、使用前に水または他の適切な溶解液で再生する乾燥製品として提供してもよい。 上記の農薬は、植物に塗布または噴霧することにより適用することができる。 例えば、上記の農薬は、上記のゲルろ過クロマトグラフィー後に得られたウイルスの感染及び増殖を阻害する作用を有するたんぱく質を0.01〜100μg/mlで含有することができる。 本発明により、ウイルスの感染及び増殖を阻害する作用を有する医薬、飲食品、飼料または農薬が提供される。ウイルスの感染及び増殖を阻害する作用を有する医薬であって、ミミズ由来の有効成分を含む医薬。ヒトを含む哺乳類動物、魚介類、又は鳥類に対して用いる請求項1に記載の医薬。植物に感染するウイルスの感染及び増殖を阻害する作用を有する農薬であって、ミミズ由来の有効成分を含む農薬。ウイルスの感染及び増殖を阻害する作用を有する飲食品であって、ミミズ由来の有効成分を含む飲食品。ウイルスの感染及び増殖を阻害する作用を有する飼料であって、ミミズ由来の有効成分を含む飼料。ミミズ由来の有効成分が分子量1万以上及び/又は波長280nmに吸収特性を持つ成分である請求項1又は2に記載の医薬、請求項3に記載の農薬、請求項4に記載の飲食品、又は請求項5に記載の飼料。ミミズ由来の有効成分がウイルスの被覆たんぱくを分解する成分である請求項1又は2に記載の医薬、請求項3に記載の農薬、請求項4に記載の飲食品、又は請求項5に記載の飼料。ミミズ由来の成分を含有し、ウイルスの感染及び増殖を予防するために用いられるものである旨の表示を付した飲食品。ミミズ由来の成分を含有し、ウイルスの感染及び増殖を予防するために用いられるものである旨の表示を付した飼料。 ウイルスの感染と増殖を阻害する作用を有し、例えば分子量1万以上及び/又は波長280nmに吸収特性を持つミミズ由来の有効成分を含む医薬、農薬、飼料などが提供される。


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