タイトル: | 公開特許公報(A)_ワニス含浸状態の判定方法 |
出願番号: | 2006085712 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | G01N 27/22,H02K 15/12 |
木村 英明 橋本 伸吾 JP 2007263596 公開特許公報(A) 20071011 2006085712 20060327 ワニス含浸状態の判定方法 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 000100768 高橋 祥泰 100079142 岩倉 民芳 100110700 高橋 祥起 100130155 木村 英明 橋本 伸吾 G01N 27/22 20060101AFI20070914BHJP H02K 15/12 20060101ALI20070914BHJP JPG01N27/22 CH02K15/12 D 3 2 OL 12 2G060 5H615 2G060AA09 2G060AA10 2G060AA20 2G060AE40 2G060AF11 2G060AF20 2G060EB07 2G060KA14 5H615AA05 5H615BB01 5H615BB05 5H615BB14 5H615PP01 5H615PP13 5H615RR04 5H615RR07 5H615SS42 5H615TT31 本発明は、ワニス含浸してなるコイル及びモータ用コアを備えたコア組付体のワニス含浸状態を判定する方法に関する。 モータを製造する工程においては、電磁鋼板を積層してなるモータ用コアのスロットに、絶縁紙を介してマグネットワイヤの巻線を行って形成したコイルを挿入配置している。次いで、ワニス含浸工程として、コイルの一部がモータ用コアの軸方向端面から突出してなるコイルエンド部に、液状の熱硬化性樹脂であるワニスを滴下し、このワニスの毛細管現象を利用して、モータ用コアのスロット内へワニスを充填させている。その後、コイル及びモータ用コアに加熱等を行ってワニスを硬化させ、コア組付体を製造している。 このように、ワニスの滴下含浸を行う方法としては、例えば、特許文献1に示すものがある。 上記スロット内へのワニスの充填を行うことにより、コイル同士の間、コイルと絶縁紙との間、及び絶縁紙とモータ用コアとの間をワニスによって固着させている。これにより、コイルに通電したときに生じる電磁振動等により、マグネットワイヤの絶縁被膜が破壊されないように保護し、また、モータ用コアにおける放熱性の向上や絶縁機能の補助等も行っている。 ところで、モータ用コアのスロットにおけるワニスの充填度合い(含浸率)を安定させるために、ワニスの滴下量等を管理しているものの、このワニスの滴下量を管理するだけでは、コイルからワニスがたれ落ちたり、モータ用コアの軸方向端面等にワニスが付着することがあるため、実際にスロット内に充填されたワニスの量(含浸率)を確認することはできない。 そのため、ワニスの含浸率を確認するために、抜き取り破壊検査を行っている。この抜き取り破壊検査においては、量産中のコア組付体のいずれかを抜き取り、このコア組付体をモータ用コアの軸方向に直交する方向に切断し、この切断面におけるスロット内の間隙面積を画像処理によって求め、ワニスの含浸率を求めている。 しかしながら、ワニスの含浸率を検査するために、上記抜き取り破壊検査を行うと、この検査を行ったコア組付体を廃棄することになってしまう。また、この検査においては、コア組付体の切断を行うため、検査に時間がかかってしまう。 さらに、コア組付体を量産する際に、抜き取り破壊検査によっては、コア組付体の全品検査を行うことができず、ワニスの含浸率の検査精度を向上させるためには十分ではない。特開2003−189523号公報 本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、ワニス含浸状態の非破壊検査を行うことができると共に、ワニス含浸状態の検査精度を向上させることができるワニス含浸状態の判定方法を提供しようとするものである。 本発明は、モータ用コアのスロット内にコイルを配置し、該コイル及び上記スロット内をワニス含浸してなるコア組付体のワニス含浸状態を判定する方法であって、 上記モータ用コアと上記コイルとの間に交流電圧を印加し、誘電正接であるtanδを求め、該tanδの値が、予め定めた良品基準値以下である場合には、当該コア組付体のワニス含浸状態が正常であることを判定することを特徴とするワニス含浸状態の判定方法にある(請求項1)。 本発明のワニス含浸状態の判定方法は、コア組付体において、モータ用コアとコイルとの間に、コイル表面の絶縁被膜、ワニス、絶縁紙、空気等が存在することにより、モータ用コアとコイルとの間に交流電圧を印加した際に生じる誘電正接(誘電損失)を測定して、コア組付体のワニス含浸状態を判定するものである。 ところで、モータ用コアのスロット内におけるワニスの充填率(含浸率)が小さいときには、スロット内における間隙の割合(空気の割合)が増加し、一方、モータ用コアのスロット内におけるワニスの充填率が大きいときには、スロット内におけるワニスの割合が増加する。そして、上記誘電正接であるtanδの値は、モータ用コアのスロット内におけるワニスの占有率と空気の占有率との割合の影響を受けて変化する。 本発明においては、ワニスの滴下量を異ならせた複数のコア組付体に破壊検査等を予め行い、各コア組付体におけるワニス含浸状態を測定すると共に、各コア組付体に交流電圧を印加したときのtanδの値を求めておく。そして、ワニス含浸状態が正常であるときのtanδの値を良品基準値として予め規定しておく。 そして、コア組付体の製造を行い、実際にワニス含浸状態の良否判定を行なう際には、コア組付体に交流電圧を印加したときのtanδの値を測定することによって良否判定を行う。 すなわち、製造したコア組付体のtanδの値が、上記良品基準値以下である場合には、当該コア組付体のワニス含浸状態が正常であると判定し、上記良品基準値を超える場合には、当該コア組付体のワニス含浸状態が異常であると判定する。 これにより、本発明のワニス含浸状態の判定方法を用いれば、コア組付体のワニス含浸状態を検査するために、抜き取り破壊検査を行う必要がなく、非破壊検査を行うことができる。そのため、コア組付体を製造する過程において、コア組付体を破壊する必要がなく、ワニス含浸状態の検査に要する時間も短縮させることができる。 さらに、本発明によれば、非破壊検査によりワニス含浸状態を検査することができるため、コア組付体を量産するときには、コア組付体の全品について検査を行うことができる。 それ故、本発明のワニス含浸状態の判定方法によれば、ワニス含浸状態の非破壊検査を行うことができると共に、ワニス含浸状態の検査精度を向上させることができる。 上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。 本発明において、上記モータ用コアのスロット内におけるワニス含浸可能間隙に対するワニスの含浸量であるワニス含浸率と、上記tanδとの関係を求めておき、上記tanδの値が予め定めた良品基準値以下である場合は、上記ワニス含浸率が所定値以上であると判定することが好ましい(請求項2)。 この場合には、tanδの値が上記良品基準値以下であることにより、当該コア組付体のモータ用コアのスロットにおいて、ワニスの含浸が適切に行われていることを容易に確認することができる。また、上記コア組付体におけるtanδの値を求めることにより、当該コア組付体のモータ用コアのスロットにおけるワニス含浸率の値を認知することもできる。 なお、上記ワニス含浸可能間隙は、モータ用コアのスロット内に、絶縁被覆したコイル及び絶縁紙等の挿入部材を配置したときに、当該スロット内に生ずる間隙(空隙)とすることができる。そして、ワニス含浸率は、上記間隙の量に対して、ワニスが充填された量とすることができる。 また、上記ワニス含浸率の値は、上記モータ用コアの軸方向中心位置における上記ワニスの含浸量として求めることができる(請求項3)。 上記ワニスの滴下含浸においては、モータ用コアの軸方向両端面からそれぞれ突出したコイルエンド部にワニスの滴下を行い、ワニスの毛細管現象を利用して、モータ用コアのスロット内にワニスを充填する。そして、ワニス含浸率の値は、モータ用コアの軸方向中心位置における値が最も小さく(悪く)なると推定される。 そのため、上記ワニス含浸率と上記tanδとの関係において、ワニス含浸率の値を、モータ用コアの軸方向中心位置におけるワニスの含浸量(充填量)として求めておくことにより、製造したコア組付体のtanδの値が上記良品基準値以下であることにより、当該コア組付体においてワニス含浸が最も行われ難い位置のワニス含浸率が所定値以上であることを認知することができる。 以下に、本発明のワニス含浸状態の判定方法にかかる実施例につき、図面と共に説明する。 本例のワニス含浸状態の判定方法は、図1、図2に示すごとく、モータ用コア2のスロット21内に絶縁紙31及びコイル4を配置し、コイル4及びスロット21内をワニス含浸してなるコア組付体1のワニス含浸状態の良否判定を、非破壊検査により行うものである。 具体的には、本例の判定方法においては、図2に示すごとく、上記コア組付体1に対し、モータ用コア2とコイル4との間に交流電圧Eを印加して、当該コア組付体1の誘電正接であるtanδを求める。そして、図9に示すごとく、このtanδの値が、予め定めた良品基準値以下である場合には、当該コア組付体1のワニス含浸状態が正常であることを判定する。 以下に、本例のワニス含浸状態の判定方法につき、図1〜図10と共に詳説する。 本例のワニス含浸状態の判定方法は、図3、図5に示すごとく、コア組付体1において、モータ用コア2とコイル4との間に、コイル4を構成するマグネットワイヤ41の絶縁被膜411、ワニス5、絶縁紙31、空気50等が存在することにより、モータ用コア2とコイル4との間に交流電圧Eを印加した際に生じる誘電正接(誘電損失)を測定して、コア組付体1のワニス含浸状態を判定するものである。 本例において製造するモータ用コア2は、3相モータ用のステータコア2であり、このステータコア2に挿入配置するコイル4は、U相、V相、W相の3相のコイル4である。また、各コイル4は、絶縁被覆してなるマグネットワイヤ41を巻線してなる。 そして、コア組付体1を製造するに当たっては、まず、ステータコア2のスロット21内に絶縁紙31を配置し、次いで、この絶縁紙31の内側にコイル4を挿入配置し、次いで、スロット21の開口部に熱可塑性樹脂等からなるウェッジ32を挿入配置する。 次いで、図1に示すごとく、ステータコア2の軸方向両端面22から突出するコイルエンド部42に液状の熱硬化性樹脂であるワニス5の滴下を行い、ワニス5の毛細管現象を利用してコイル4及びスロット21内にワニス5の含浸を行う。その後、コイル4に通電を行い、コイル4及びステータコア2を加熱し、滴下したワニス5を硬化させて、コア組付体1を製造する。なお、ワニスは、熱硬化性樹脂を溶剤に溶かしたものであり、加熱したときには、溶剤が一部蒸発すると共にワニス中の触媒がラジカル反応を引き起こし、熱硬化性樹脂が硬化する。 また、このコイル4及びステータコア2の加熱を行ったときには、コア組付体1に含まれる水分を蒸発させることができる。 本例のワニス含浸状態の判定方法においては、コア組付体1を誘電体10と捉え、この誘電体10の誘電損失(誘電正接)としてのtanδを測定するtanδ試験機を用いる。 tanδは、図6に示すごとく、誘電体10に周波数fの交流電圧Eを印加したときに、図7に示すごとく、誘電体10に誘電損失がなければ、誘電体10に流れる電流Iの位相が誘電体10に生じる電圧に対して90°進むのに対し、誘電体10に誘電損失があることにより、誘電体10に流れる電流Iの位相にδ°の遅れが生じることを利用して算出される。 また、誘電体10は、図8に示すごとく、交流電圧Eの電圧源6に対し、抵抗値Rの抵抗と静電容量Cのコンデンサとを並列接続した等価回路によって表現することができ、抵抗に流れる電流をIr、コンデンサに流れる電流をIcとしたとき、tanδは、tanδ=Ir/Ic=1/(2πfCR)によって求めることができる。 本例においては、ワニス5の滴下量(付着量)を異ならせた複数のコア組付体1を製造し、各コア組付体1のステータコア2の軸方向中心位置23(図1参照)におけるワニス5の含浸量を、ワニス含浸率Xとして求める。このワニス含浸率Xは、ワニス含浸後のコア組付体1のステータコア2の軸方向中心位置23を切断し、この切断面において、ステータコア2のスロット21内におけるワニス含浸可能間隙K(図4参照)に対するワニス5の含浸量として求める。 なお、ステータコア2の軸方向中心位置23は、ステータコア2の軸方向端面22から突出する一対のコイルエンド部42から最も離れた位置にあり、ワニス含浸が最も行われ難い位置であると考える。そのため、ステータコア2の軸方向中心位置23におけるワニス含浸率Xを測定することにより、当該コア組付体1におけるワニス含浸率Xの最低値を測定することができると考える。 より具体的には、上記ワニス含浸可能間隙Kは、ワニス含浸前のコア組付体1のステータコア2における軸方向中心位置23の断面において、スロット21内に形成された間隙の面積として算出する。すなわち、図4に示すごとく、ワニス含浸可能間隙Kは、ワニス含浸前のコア組付体1のステータコア2における軸方向中心位置23の断面において、ステータコア2のスロット21内に、コイル4(絶縁被覆した複数本のマグネットワイヤ41)、絶縁紙31及びウェッジ32を配置したときに、絶縁紙31及びウェッジ32によって囲まれた空間面積Aから、コイル4が占有する面積Bを差し引いた面積K(K=A−B)として算出する。 このワニス含浸前における面積Kは、スロット21の面積、マグネットワイヤ41の外径及び本数、絶縁紙31の厚み、ウェッジ32の位置等の設計上の値から算出することができる。 また、コア組付体1にワニス5の含浸を行った後には、ステータコア2のスロット21内に完全にワニス5が充填されない限り、このスロット21内にはワニス5が未充填の空隙50が形成される。 図5に示すごとく、上記ワニス含浸率Xを求めるに当たっては、ワニス含浸後のコア組付体1のステータコア2の軸方向中心位置23を切断し、この切断面において、画像処理を行い、上記未充填の空隙50の面積Lを算出する。そして、ワニス含浸率Xは、ワニス含浸可能間隙Kに対するワニス5の占有面積K−Lとして、X=(K−L)/K×100%から求める。 また、上記ワニス5の滴下量を異ならせた各コア組付体1を切断する前には、各コア組付体1のtanδを測定する。このtanδは、図2に示すごとく、コア組付体1におけるステータコア2とコイル4(巻線の端部であるリード端子部)との間に、周波数fの交流電圧Eを印加し、コア組付体1における静電容量Cと、コア組付体1における抵抗値Rとを測定して、tanδ=1/(2πfCR)×100%から求める。 図3は、ステータコア2とコイル4(マグネットワイヤ41)との間に、交流電圧Eを印加する状態を模式化して示す図である。同図に示すごとく、ステータコア2とコイル4との間には、マグネットワイヤ41における絶縁被膜411、ワニス5、絶縁紙31及び空隙50が存在する。そのため、ステータコア2とコイル4との間にコロナ放電を生じる交流電圧Eを印加することにより、tanδを測定することができる。 図5に示すごとく、コア組付体1において、ステータコア2とコイル4との間は、コイル4を構成するマグネットワイヤ41の絶縁被膜411、ワニス5、絶縁紙31等によって絶縁されている。そのため、上記交流電圧Eの電圧値は、コア組付体1においてコロナ放電が生じる際の電圧値以上とする。本例においては、コア組付体1に、1.1〜1.4kV以上の交流電圧Eを印加したときにコロナ放電が生じた。そのため、余裕を見て、コア組付体1には、1.6kVの交流電圧Eを印加した。また、交流電圧Eの周波数fは、60Hzとした。 なお、本例のコア組付体1は、3相モータ用のステータコア2であり、3相のコイル4のリード端子部とステータコア2との間に交流電圧Eを印加した。 図9には、上記ワニス5の滴下量を異ならせた各コア組付体1のtanδを測定した結果を示す。そして、同図に示すごとく、ワニス含浸率X(%)の値とtanδ(%)の値とをグラフにプロットし、回帰分析を行って、ワニス含浸率Xとtanδとの関係ラインSを得た。この関係ラインSにおいては、コア組付体1におけるワニス含浸率Xが大きくなるに従って、tanδの値が小さくなることがわかった。 また、本例においては、上記関係ラインSを、ワニス含浸率Xとtanδとの関係マップとして用い、ワニス含浸後のコア組付体1のtanδを測定することにより、コア組付体1におけるワニス含浸率Xを推定して、当該コア組付体1のワニス含浸状態の良否判定を行う。 なお、ワニス5の占有率が大きくなると、ワニス5の誘電率は空気50の誘電率に比べて大きいため(空気50の誘電率を1とすると、ワニス5の誘電率は3〜4程度である。)、空気50に比べてワニス5の方が電流を通過させ易く、ワニス5の占有率が大きいほど、tanδの値が大きくなるとも考えられる。しかし、実際には、ワニス5の占有率が大きいほど、tanδの値が小さくなった。この理由は、ワニス5の占有率が大きくなると、コイル4に通電を行ったときにこのコイル4から生じる漏れ電流が減少することにより、コア組付体1における絶縁耐圧が増加するためであると考えられる。 また、参考までに、図10には、ワニス含浸率X(%)と、コア組付体1の等価回路におけるコンデンサに流れる電流Ic(mA)、及びコア組付体1の等価回路における抵抗に流れる電流Ir(mA)との関係を求めた結果を示す。 同図に示すごとく、コア組付体1における電流Icの値は、ワニス含浸率Xが変化してもほとんど変化しない一方、コア組付体1における電流Irの値は、ワニス含浸率Xが大きくなるに従って、小さくなることがわかった。これにより、tanδは、コア組付体1における電流Irの変化に大きく影響されて変化していることがわかった。 本例のワニス含浸状態の判定方法においては、図9に示すごとく、上記のようにして求めたワニス含浸率X(%)とtanδ(%)との関係マップを用い、ワニス含浸率Xが80%以上である場合を良品(ワニス含浸が正常に行われたこと)として判定した。また、上記関係マップにおいて、ワニス含浸率Xが80%であるときのtanδの値(約1.3%)を良品基準値とした。 なお、良品基準値は、関係マップから読み取れるtanδの値に若干の余裕を見て規定することができる。 そして、ワニス含浸後のコア組付体1のtanδを測定することにより、このコア組付体1のワニス含浸率Xを推定し、tanδの値が良品基準値以下である場合には、ワニス含浸率Xが所定値以上であり、当該コア組付体1において正常にワニス含浸が行われたことを認定した。 このように、本例のワニス含浸状態の判定方法を用いれば、コア組付体1のワニス含浸状態を検査するために、抜き取り破壊検査を行う必要がなく、非破壊検査を行うことができる。そのため、コア組付体1を製造する過程において、コア組付体1を破壊する必要がなく、ワニス含浸状態の検査に要する時間も短縮させることができる。 さらに、本例によれば、非破壊検査によりワニス含浸状態を検査することができるため、コア組付体1を量産するときには、コア組付体1の全品について検査を行うことができる。 それ故、本例のワニス含浸状態の判定方法によれば、非破壊検査を行うことができると共に、ワニス含浸状態の検査精度を向上させることができる。実施例における、ワニス含浸を行っている状態のコア組付体を軸方向に直交する方向から見た状態で示す断面説明図。実施例における、交流電圧を印加している状態のコア組付体を軸方向から見た状態で示す断面説明図。実施例における、交流電圧を印加している状態のコア組付体を模式化して示す説明図。実施例における、ワニス含浸前のコア組付体におけるワニス含浸可能間隙を説明するために用いる断面説明図。実施例における、ワニス含浸後のコア組付体におけるワニス含浸率を説明するために用いる断面説明図。実施例における、誘電体に交流電圧を印加する状態を模式的に示す説明図。実施例における、誘電体に生じる誘電損失を説明するために用いる説明図。実施例における、誘電体の等価回路を示す説明図。実施例における、横軸にワニス含浸率をとり、縦軸にtanδをとって、両者の関係を示すグラフ。実施例における、横軸にワニス含浸率をとり、縦軸に電流値をとって、コンデンサに流れる電流と、抵抗に流れる電流とを示すグラフ。符号の説明 1 コア組付体 2 モータ用コア(ステータコア) 21 スロット 23 軸方向中心位置 31 絶縁紙 32 ウェッジ 4 コイル 41 マグネットワイヤ 411 絶縁被膜 5 ワニス 50 空気(空隙) E 交流電圧 K ワニス含浸可能間隙 X ワニス含浸率 モータ用コアのスロット内にコイルを配置し、該コイル及び上記スロット内をワニス含浸してなるコア組付体のワニス含浸状態を判定する方法であって、 上記モータ用コアと上記コイルとの間に交流電圧を印加し、誘電正接であるtanδを求め、該tanδの値が、予め定めた良品基準値以下である場合には、当該コア組付体のワニス含浸状態が正常であることを判定することを特徴とするワニス含浸状態の判定方法。 請求項1において、上記モータ用コアのスロット内におけるワニス含浸可能間隙に対するワニスの含浸量であるワニス含浸率と、上記tanδとの関係を求めておき、上記tanδの値が予め定めた良品基準値以下である場合は、上記ワニス含浸率が所定値以上であると判定することを特徴とするワニス含浸状態の判定方法。 請求項1又は2において、上記ワニス含浸率の値は、上記モータ用コアの軸方向中心位置における上記ワニスの含浸量として求めることを特徴とするワニス含浸状態の判定方法。 【課題】ワニス含浸状態の非破壊検査を行うことができると共に、ワニス含浸状態の検査精度を向上させることができるワニス含浸状態の判定方法を提供すること。【解決手段】ワニス含浸状態の判定方法は、モータ用コア2のスロット21内に絶縁紙31及びコイル4を配置し、コイル4及びスロット21内をワニス5によって含浸してなるコア組付体1のワニス含浸状態の良否判定を、非破壊検査により行うものである。この判定方法においては、コア組付体1に対し、モータ用コア2とコイル4との間に交流電圧Eを印加して、当該コア組付体1の誘電正接であるtanδを求める。このtanδの値が、予め定めた良品基準値以下である場合には、当該コア組付体1のワニス含浸状態が正常であることを判定する。【選択図】図2