生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_スパーク放電発光分光分析方法及びその装置
出願番号:2006083425
年次:2007
IPC分類:G01N 21/67,G01N 1/10,G01N 33/20


特許情報キャッシュ

安原 久雄 松島 朋裕 JP 2007256187 公開特許公報(A) 20071004 2006083425 20060324 スパーク放電発光分光分析方法及びその装置 JFEスチール株式会社 000001258 小杉 佳男 100079175 山田 正紀 100094330 安原 久雄 松島 朋裕 G01N 21/67 20060101AFI20070907BHJP G01N 1/10 20060101ALI20070907BHJP G01N 33/20 20060101ALI20070907BHJP JPG01N21/67 AG01N1/10 SG01N33/20 KG01N33/20 M 5 1 OL 9 2G043 2G052 2G055 2G043AA01 2G043BA07 2G043CA05 2G043EA09 2G043GA07 2G043GB01 2G043GB21 2G043HA01 2G043JA04 2G043LA01 2G052AA12 2G052AB01 2G052AD06 2G052AD26 2G052AD52 2G052BA14 2G052CA03 2G052CA12 2G052EB05 2G052EB13 2G052GA11 2G055AA03 2G055BA01 2G055BA05 2G055DA05 2G055FA02 本発明は、本発明はスパーク放電発光分光分析方法及びその装置に係わり、特に、試料のある特定の金属組織部だけを放電対象とする測定技術に関する。 一般に、材料製造業においは、該材料の製造途上でその成分を管理することが、最終製品の品質を維持、向上させるために重要である。とりわけ、鉄鋼業においては、製鋼工程で精錬途上にある溶鋼の成分を知り、該工程にその情報をフィード・バックする必要があるため、溶鋼が含有する成分の分析には、迅速性が要求される。そのため、転炉、真空脱ガス装置あるいは取鍋に保持されている溶鋼より、その一部をボンブと称する内径30mm、高さ40〜60mm程度の筒状容器に汲み取るサンプリングが行われる。汲み取った溶鋼は、その後に冷却、固化し、中心軸に対し横(水平)方向に切断し、予め定めたサイズの分析用試料とされる。 かかる分析試料は、成分分析に迅速性が要求されることから、固体試料を迅速、且つ精度良く定量分析することができる発光分光分析方法に供されるが、特に、鉄鋼材料の場合には、スパーク放電を光源とする発光分光分析方法が利用されている。このスパーク放電式発光分光分析方法に利用する装置は、図5に示すように、分析試料1を載置、支持する試料保持部2と、前記分析試料1に対向する位置に設けられ、該分析試料1に放電する電極3と、分析試料1が放出されたプラズマからの光を集光する集光レンズ4と、その集光を分光する回折格子5と、分光に固有のスペクトルの強度を測定する光検出器6とで構成されている。なお、以前は、前記試料保持部の試料保持面は、回折格子(分光器)5の採光軸に対して12〜15°も傾けられていたが、スペクトル線のバックグランドを減少させて、分析精度の向上を図るため、最近では、ほぼ0°になっている(例えば、特許文献1参照)。 ところで、このスパーク放電発光分光分析方法は、分析試料1の金属組織が分析値の正確さや精度に影響することが知られている。特に、前記ボンブで汲み上げた分析試料1では、冷却状況によって複数の金属組織が混在する。測定対象面としては、ボンブで汲み上げた分析試料1の横断面を用いるが、金属組織の影響で、例えばステンレス鋼中のクロムのように、他の元素より相対的に、要求される分析精度が厳しい元素については、スパーク放電発光分光分析方法では、分析精度が不十分となる。 この金属組織の影響を回避するには、熱履歴を標準化してほぼ同じような分析試料で測定することが考えられる。しかしながら、製造工程で発生する試料のすべての熱履歴を統一することは困難である。また、熱履歴や金属組織が予測できない試料に対しては有効な対策でない。そのため、金属組織の影響が懸念される元素の分析には、その影響を受け難い蛍光X線分析方法が用いられる。ところが、蛍光X線分析方法は、微量成分の定量が精度的に難しく、結果として、同一試料をスパーク放電発光分光分析方法と併せて分析することとなり、分析の迅速化を阻害するという問題があった。 また、スパーク放電発光分光分析方法には、発光強度の時間的な推移をモニターすることで金属組織の影響を回避する技術もある(特許文献2参照)。しかしながら、その技術では、影響を回避する補正に限界があり、根本的な問題解決には至らない。特開平8−50097号公報特開平7−260691号公報 本発明は、かかる事情を鑑み、簡単な工夫で、分析結果に対する金属組織の影響を回避し、分析精度を従来より向上可能なスパーク放電発光分光分析方法及びその装置を提供することを目的としている。 発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化した。 すなわち、その本発明は、分析試料を載置、固定し、該分析試料に対向する位置に設けた電極との間でスパーク放電して得られたスペクトル線に基づき、該分析試料が含有する元素を定量するスパーク放電発光分光分析方法において、前記分析試料を、溶融金属からサンプリングして冷却、凝固させたものにすると共に、前記分析試料の測定対象面が、該分析試料の金属組織のうちの柱状晶部となるように位置決めすることを特徴とするスパーク放電発光分光分析方法である。この場合、前記溶融金属からのサンプリングを、ボンブを用いての汲み上げで行ったり、あるいは前記溶融金属を溶銑又は溶鋼とするのが好ましい。 また、本発明は、分析試料の測定対象面を下向きにして開口を覆い、該分析試料を載置、固定する試料保持部と、該分析試料に対向する位置に設けられ、前記測定対象面にスパーク放電する電極と、その放電で該分析試料より放出された光を分光する分光器とを備えたスパーク放電発光分光分析装置において、前記分析試料の測定対象面が該分析試料の金属組織のうちの柱状晶部となるように位置決め、固定するストッパを、前記試料保持部の上面側で、且つ前記開口の周囲に配設したことを特徴とするスパーク放電発光分光分析装置でもある。この場合、前記ストッパを、下記(1)式を満足する位置に配設するのが良い。 (H+α)< X <(S−H−T) ・・(1) ここで、X:放電の中心位置と前記分析試料の外周端との距離(mm) S:試料半径(mm) T:等軸晶の半径(mm) H:放電痕の半径(mm) α:試料外周端の測定不能部であり、具体的には1〜2mm程度である。 本発明によれば、試料保持部に対する簡単な工夫で、分析結果に対する金属組織の影響が回避され、分析精度が従来より向上する。また、迅速を要する工程途上での材料の成分把握が可能になる。 以下、発明をなす経緯をまじえ、本発明の最良の実施形態を説明する。 まず、発明者は、製造工程の途中あるいは最後に、溶融金属からサンプリングした金属試料(以下、分析試料という)をスパーク放電発光分光分析する際に、その金属組織の影響を抑えて分析精度を高めようと考えた。そのため、精錬容器等に保持されている溶融金属より円筒状のボンブで汲み上げ、冷却、凝固した円柱状の分析試料を、中心軸に対して水平に切断し、測定対象面となる横断面のマクロな金属組織を詳細に観察した。 その結果、冷却、凝固は、該分析試料の外周より開始されるので、分析試料の金属組織は、外周寄りに柱状晶が、中心に等軸晶が発達した組織であることが確認できた。また、その柱状晶及び等軸晶が横断面を占める面積の比率は、試料の化学成分や冷却速度が変化したとしても圧倒的に柱状晶が大きく、ほぼ3:1であった。具体的には、半径(記号:S)が15mmの分析試料で、中心部を締める等軸晶部分の半径(記号:T)は7mm程度と小さい。なお、該等軸晶の半径は冷却速度によって変化するが、常に同一の冷却条件で溶鋼からサンプリングをしていれば、ほぼ一定値と見做すことができる。 この等軸晶の部分は、凝固の後半で形成されるので、柱状晶の部分に比べ、溶融金属が含有する不純成分が濃縮し、分析試料の成分偏析が大きくなっている。そこで、発明者は、この等軸晶の出現した部分を測定の対象から除外できれば、分析の精度が従来より高まると考えた。そして、このことを要件に本発明を完成した。 具体的には、前記分析試料を、溶融金属からサンプリングして冷却、凝固させたものにすると共に、試料保持部の開口において、該分析試料の測定対象面が、該分析試料の金属組織のうちの柱状晶部だけとなるように位置決めしてから、分析するようにしたのである。 なお、本発明では、前記溶融金属からのサンプリング方法を特定するものではない。溶融金属を吸引する等、種々の方法が考えられるからである。ただし、操作の簡便さや経済性を配慮すると、ボンブと称する円筒状容器を用いての汲み上げが適切である。また、本発明では、分析試料を形成する溶融金属の種類も特に限定しない。スパーク放電発光分光分析方法を適用できる金属であれば、いかなる金属を対象としても良いからである。ただし、分析経験に富む溶銑又は溶鋼とするのが好ましい。データやノウハウの蓄積が多いので、技術的な問題の解消や、使用装置の改良が容易に行えるからである。 次に、上記した本発明に係るスパーク放電発光分光分析方法を実施する装置について説明する。その装置は、上記方法発明の内容に立脚して、従来の試料保持部の構造に簡単な改良を加えたものである。つまり、試料保持部2の構造を、図1(a)及び(b)より明らかなように、試料保持部2の開口8において分析試料1の測定対象面が該分析試料1の金属組織のうちの柱状晶部となるように位置決め、固定するストッパ7を、該試料保持部2の上面側で、且つその開口8の周囲に配設した。そして、この試料保持部2を、電極3からの放電及び分析試料1が発したプラズマからの光9を回折格子(分光器)5に導く放電室10の上に設け、新規なスパーク放電発光分光分析装置としたのである。 かかるストッパの配設位置を定める方法としては種々考えられるが、本発明では、以下の方法を奨励する。放電の中心と分析試料の外周端との距離をX、分析試料の半径をS、等軸晶の半径をT、放電痕の半径をHとすると、等軸晶の周囲に急冷で形成される組織、つまり柱状晶をスパーク放電痕(放電が行われた領域)が完全に覆うには、図2に示す分析試料1の横断面の模式図を幾何学的に考察すれば明らかになるように、 X+H+T<S が条件となる。また、試料外周端から該放電痕がはみだすことを避けるには、 X>H+α 程度の余裕が必要である。ここで、αは試料外周端の測定不能部であり、実際には、1〜2mm程度である。 従って、本発明のスパーク放電発光分光分析装置では、放電中心と分析試料の外周端との距離X(ストッパが外周端と接触する位置)を、 H+1< X <S−H−Tとなるように定めるのが好ましい。 なお、前記放電痕Hは、放電条件によって種々変化するが、放電条件を一定にすれば、一定値とすることができる。 ステンレス鋼を溶製時の途上で、精錬容器である転炉からボンブにより汲み出し、空冷して分析試料とした。そして、この分析試料の横断面を研磨して測定面としたスパーク放電発光分光分析を行った。なお、この試料の半径Sは15mmであり、測定面の金属組織としては、図3から明らかなように、外周部分に比較的早い冷却速度で生じた柱状晶が、また中心部分は冷却速度が周辺部に比べて遅いことにより、半径5mmで等軸晶が形成されていた。 放電半径を3mmとし、放電中心と試料外周端との距離(ストッパの位置)Xを種々変更してCrを分析した結果を、分析精度を評価する変動係数CV(標準偏差/分析平均値)で表し、図4に示す。 本発明で奨励したXが8mm以下では、変動係数CVが0.3と小さい値で一定となっている。つまり、非常に良い分析精度を示した。これに対して、8mm以上では分析精度が悪化している。これは、本発明の奨励するXの範囲を逸脱した結果であり、従来と同様に測定対象面に等軸晶が出現していたためである。 図4は、ステンレス溶鋼中のCrの分析結果であるが、本発明により、要求される分析精度が厳しい他の元素(例えば,ニッケル等)についても同様の測定を行ったところ、同様の結果を得ることができた。また、ステンレス溶鋼の他、普通炭素溶鋼や他の非鉄金属の精錬時に得た分析試料にも本発明を適用したが、同様に良好な結果を得た。さらに、上記の分析試料は空冷したものであったが、水冷等の急冷を施したものにも本発明は十分に適用できる。急冷試料では、柱状晶の形成部分が空冷したものより広くなる(等軸晶部が縮小する)ので、分析精度が一層良好になるからである。本発明によるスパーク放電発光分光装置の試料保持部の概要を示す図であり、(a)は平面視を、(b)は側面視をしたものである。分析試料の横断面をについて説明する模式図である。分析試料の横断面の実際の金属組織を示す図である。本発明の効果を、フェライト系ステンレス溶鋼中のクロムの分析精度で比較した図である。一般的なスパーク放電発光分光分析装置を説明する模式図である。符号の説明 1 分析試料 2 試料保持部 3 電極 4 集光レンズ 5 回折格子 6 光検出器 7 ストッパ 8 開口 9 光 10 放電室 分析試料を載置、固定し、該分析試料に対向する位置に設けた電極との間でスパーク放電して得られたスペクトル線に基づき、該分析試料が含有する元素を定量するスパーク放電発光分光分析方法において、 前記分析試料を、溶融金属からサンプリングして冷却、凝固させたものにすると共に、前記分析試料の測定対象面が、該分析試料の金属組織のうちの柱状晶部となるように位置決めすることを特徴とするスパーク放電発光分光分析方法。 前記溶融金属からのサンプリングを、ボンブを用いての汲み上げで行うことを特徴とする請求項1記載のスパーク放電発光分光分析方法。 前記溶融金属を溶銑又は溶鋼とすることを特徴とする請求項1又は2記載のスパーク放電発光分光分析方法。 分析試料の測定対象面を下向きにして開口を覆い、該分析試料を載置、固定する試料保持部と、該分析試料に対向する位置に設けられ、前記測定対象面にスパーク放電する電極と、その放電で該分析試料より放出された光を分光する分光器とを備えたスパーク放電発光分光分析装置において、 前記分析試料の測定対象面が該分析試料の金属組織のうちの柱状晶部となるように位置決め、固定するストッパを、前記試料保持部の上面側で、且つ前記開口の周囲に配設したことを特徴とするスパーク放電発光分光分析装置。 前記ストッパを、下記(1)式を満足する位置に配設したことを特徴とする請求項4記載のスパーク放電発光分光分析装置。 (H+α)< X <(S−H−T) ・・(1) ここで、X:放電の中心位置と前記分析試料の外周端との距離(mm) S:試料半径(mm) T:等軸晶の半径(mm) H:放電痕の半径(mm) α:試料外周端の測定不能部であり、具体的には1〜2mm程度である。 【課題】 本発明は、簡単な工夫で、分析結果に対する金属組織の影響を回避し、分析精度を従来より向上可能なスパーク放電発光分光分析方法及びその装置を提供することを目的としている。【解決手段】分析試料を載置、固定し、該分析試料に対向する位置に設けた電極との間でスパーク放電して得られたスペクトル線に基づき、該分析試料が含有する元素を定量するスパーク放電発光分光分析方法を改良した。具体的には、前記分析試料を、溶融金属からサンプリングして冷却、凝固させたものにすると共に、前記分析試料の測定対象面が、該分析試料の金属組織のうちの柱状晶部となるように位置決めする。【選択図】 図1


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