タイトル: | 特許公報(B2)_アセトアルデヒド代謝促進剤 |
出願番号: | 2006074997 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 31/01,A61P 39/02,A61P 43/00,A61P 3/00 |
林 宏紀 稲熊 隆博 JP 4974553 特許公報(B2) 20120420 2006074997 20060317 アセトアルデヒド代謝促進剤 カゴメ株式会社 000104113 川口 嘉之 100100549 松倉 秀実 100090516 遠山 勉 100089244 林 宏紀 稲熊 隆博 20120711 A61K 31/01 20060101AFI20120621BHJP A61P 39/02 20060101ALI20120621BHJP A61P 43/00 20060101ALI20120621BHJP A61P 3/00 20060101ALI20120621BHJP JPA61K31/01A61P39/02A61P43/00 111A61P3/00 A61K 31/00−33/44 A61K 36/00−36/9068 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) CA/REGISTRY(STN) 特開2004−161635(JP,A) 3 2007246478 20070927 9 20090218 福井 悟 本発明は、二日酔いなどを予防・改善するためのアセトアルデヒド代謝促進剤に関する。 アルコールを摂取すると、肝臓で酸化反応が起こり、酢酸にいたるまで代謝され、体外に排泄される。その経路はアルコール(エタノール)→アセトアルデヒド→酢酸の順であり、中間生成物のアセトアルデヒドは、高い反応性から頭痛、吐気等の二日酔い、皮膚紅潮や悪酔い症状の原因物質とされている。 アルコールからアセトアルデヒドへの代謝にはアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)が、アセトアルデヒドから酢酸への代謝には、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)が作用している。両段階には、他にもシトクロームP450やカタラーゼなどが反応に関与しているが、反応の大部分はアルコールデヒドロゲナーゼとアルデヒドデヒドロゲナーゼが担っている。 よって、飲酒による二日酔い・悪酔い症状の抑制には、体内でのアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を向上させ、これらの症状の原因物質であるアセトアルデヒドの代謝を促進し、血中アセトアルデヒド濃度を低下させることが最も効果的である。 このような中で、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を上昇させたり、血中アセトアルデヒド濃度を低下させたりする作用を有する物質が報告されている。例えば、プロアントシアニジン(特許文献1)、フィチン酸(塩)及びmyo−イノシトール(特許文献2)、エタノールアミン誘導体(塩)(特許文献3)、新規イソフラボノイド(特許文献4)、カフェイン(特許文献5)が報告されている。これらの成分には、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を上昇させる作用や血中アルコール濃度、血中アセトアルデヒド濃度を低下させる作用が一部認められるが、何れもその効果は高いとはいえない。さらに、プロアントシアニジンには、渋味があって摂取しにくいという欠点があり、有効量を経口投与するためには、医薬の剤形や食品組成物の種類が限定されてしまう。また、フィチン酸にはミネラル吸収阻害を生じる可能性がある。エタノールアミンは、目、皮膚に対し刺激性を有し、さらに粘膜の剥離など消化器への影響、萎縮など肝臓への影響も懸念されている。カフェインには震顫、不整脈、虚脱、めまい、不眠、不安、瞳孔散大などを生じる可能性があり、カフェイン摂取に対して敏感な体質の人も存在していることも知られている。さらに、イソフラボン類には内分泌かく乱作用があることが知られている。 そこで、さらに安全性が高い成分についても研究が行われている。例えば豚肉をプロテアーゼで処理して得られた豚肉加工品(特許文献6)やとうもろこしタンパク質を酵素で加水分解して得られた分子量200〜4,000のペプチド(特許文献7)が知られている。豚肉やとうもろこしの酵素処理物は、食品成分であるため安全性は高いと考えられるが、何れの成分についても、アルコール投与の直前ないしは同時に摂取した場合の効果しか見出されていない。さらに組成物の調製が煩雑であるという問題もある。すなわち、これらの成分も実用化という観点からは、種々の問題が存する。 このような技術背景において、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を上昇させ、血中アセトアルデヒド濃度を低下させる作用に優れ、かつ安全性が高く、調製が容易であるなど、実用化に堪えうる新たな成分が求められていた。 一方、リコピンは、急性毒性試験(Milani C., et al., Pharmacology, 4, 334-340 (1970))、亜急性及び慢性毒性試験(Zebinden G., et al., Z Lebensm Unters Forsch, 108, 113-134 (1958))において毒性が報告されておらず、さらには変異原性試験(Aizawa K., et al., Nippon Nogeikagaku Kaishi, 74, 679-681 (2000))においても変異原性が認められていないなど、安全性の高い成分である。 また、リコピンの抗酸化作用に基づく種々の疾病予防作用、特にがん予防作用について数多くの研究がなされ、その作用は一般的に知られている(例えば、非特許文献1)。また、細胞の活性抑制剤、高コレステロール血症治療剤、乳幼児栄養組成物、免疫賦活剤としての利用も示されているが(特許文献8など)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の上昇作用や血中アセトアルデヒドの低下作用は知られておらず、二日酔い・悪酔いなどの飲酒に伴う症状の予防・改善に用いることについても検討されていない。特開2005−35997号公報特開2004−210729号公報特開2002−104961号公報特開2000−7694号公報特開平8−169831号公報特開平11−276116号公報特開平7−285881号公報特開平6−227970号公報Stahl, W. & Sies, H. Arch. Biochem. Biophys. (1996), 336, 1-9 本発明は、アセトアルデヒド代謝を促進することにより、飲酒後、血中にアセトアルデヒドが蓄積することによる二日酔い・悪酔いの症状を予防・改善するためのアセトアルデヒド代謝促進剤並びにこれを含む医薬組成物や飲食品を提供することを課題とする。特に、安全性に優れ、かつ調製が容易なアセトアルデヒド代謝促進剤を提供することを課題とする。 本願明細書において、二日酔い・悪酔いの症状の予防・改善は、これらの症状を取り除くことのみならず、軽減することを含む概念である。 本発明者らは、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の上昇作用及び血中アセトアルデヒド濃度の低下作用を有し、かつ安全性が高く、調製が容易である成分を探し求め、その効果について研究を重ねた結果、リコピンにアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を上昇させ、血中アセトアルデヒド濃度を低下させる作用があることを知見し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、以下のとおりである。(1)リコピンを有効成分として含有するアセトアルデヒド代謝促進剤。(2)(1)に記載のアセトアルデヒド代謝促進剤を含有するアセトアルデヒド代謝促進用の医薬組成物。(3)リコピンが1日当たり10〜500mgの量で投与されることを特徴とする、(2)に記載の医薬組成物。(4)(1)に記載のアセトアルデヒド代謝促進剤を含有するアセトアルデヒド代謝促進効果を有する機能性食品。(5)リコピンを50〜200mg%の濃度で含むことを特徴とする、(4)に記載の機能性食品。 本発明のリコピンを有効成分として含有するアセトアルデヒド代謝促進剤を、一定期間服用することにより、飲酒後の血中アセトアルデヒド濃度を速やかに低下させることができ、二日酔い・悪酔いなどを予防・改善することができる。また、本発明のアセトアルデヒド代謝促進剤は、安全かつ簡便に使用することができ、医薬組成物、飲食品に用いることができる。 本発明のアセトアルデヒド代謝促進剤は、リコピンを有効成分として含有することを特徴とする。リコピンを得る方法は特に制限されない。ここで、リコピンは例えばトマト100g中に3〜10mg(3mg%〜10mg%)程度含まれている。トマトからリコピンを分離精製する技術はすでに確立されているので、その方法を基にリコピンを得ることができる。また、リコピンの構造式は判っているので、化学合成により得たものを用いてもよい。 リコピンを抽出する方法を以下に例示する。但し、本発明はこの例に限定されるものではない。 まず、トマトを凍結乾燥し、この乾燥粉末に蒸留水を加え、上清を取り除き残渣を得る。この残渣に有機溶媒(好ましくはヘキサン、アセトン、エタノール及びトルエン(体積比10:7:6:7)からなる混合液)を加え、残渣を取り除いた上清を抽出液として得る。この抽出液を濃縮乾固させることにより抽出物を得る。 更にこの抽出物を有機溶媒(好ましくはヘキサン、アセトン、エタノール及びトルエン(体積比10:7:6:7)からなる混合液)に溶解した後、吸着クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィーを使用して、クロマトグラフ分画することによりさらに分離・精製を行い、リコピンの分画物を得る。 リコピンを得るための上記クロマトグラフ分画の例を以下に例示する。 抽出物に対して、ヘキサン、アセトン、エタノール、トルエンの混合溶媒(体積比10:7:6:7)を加えて溶解させる。次に40%水酸化カリウム/メタノール溶液を加えてけん化を行う。次に蒸留水を加えて分配後、上層の有機溶媒層を分取する。有機溶媒層を減圧濃縮し、ヘキサン、アセトン、エタノール、トルエンの混合溶媒(体積比10:7:6:7)を加えて溶解させる。HPLCで、C30カラム((株)ワイエムシィ製、YMCカロテノイドカラムS−5)を用い、移動相として、A液:メタノール、t−メチルブチルエーテル、水の混合溶媒(体積比75:15:10)、B液:メタノール、t−メチルブチルエーテル、水の混合溶媒(体積比8:90:2)を表1の条件で混合し、流速1ml/分で分取する。リコピンのリテンションタイムは、およそ30分である。分取後、有機溶媒を減圧濃縮し、リコピンを得る。 他の方法としては、トマトを搾汁し、それを遠心分離して液状部を取り出し、その液状部を高圧下にホモジナイズ処理してこれに含まれるリコピンを凝集させてから遠心分離処理してリコピン分画物を得る方法が挙げられる。 このようにして得たリコピンは、そのままでアセトアルデヒド代謝促進剤とすることができるし、さらに他の任意成分を配合してアセトアルデヒド代謝促進剤としてもよい。このような任意成分は、アルデヒド代謝を促進する作用が期待され、かつ安全性が確認されているものであれば特に制限なく用いることができ、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、保存剤、矯味矯臭剤、希釈剤等を用いてもよい。 本発明のアセトアルデヒド代謝促進剤に任意成分を配合する場合のリコピンと任意成分の割合は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を上昇させ、血中アセトアルデヒド濃度を低下させるのに有効な量のリコピンが含まれる限り特に制限されず、剤形、使用形態、使用対象、使用方法などにより適宜調節することができる。通常は、成人1人、1日当たり、リコピン10〜500mg、好ましくは50〜200mgを摂取するのに適した含有量とするのがよい。 本発明のアセトアルデヒド代謝促進剤は、そのままで、又は通常医薬組成物に用いられる成分と組み合わせて製剤化することにより、二日酔い・悪酔いを予防・改善するための医薬組成物とすることができる。 本発明の医薬組成物に用いることができる任意成分は、安全性が確認されているものである限り特に制限されない。 本発明の医薬組成物の剤形は、特に制限されないが、一般に製剤上許容される1または2種類以上の担体、賦形剤、統合剤、防腐剤、安定剤、香味剤等と共に混合して、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、水薬、ドリンク剤等の内服剤形とすることが好ましい。このような製剤化は、医薬の製造に用いられる常法に従って行うことができる。 また、本発明の医薬組成物におけるアセトアルデヒド代謝促進剤の含有量は、有効量のリコピンを継続的に投与するのに好適な範囲であれば特に制限されない。ここで、ヒトのアルデヒドデヒドロゲナーゼの産生能は、遺伝的な要因や飲酒習慣により異なるため、投与する対象に応じて適当な投与量を選択し、医薬組成物を製造することができる。通常は、成人1人、1日当たり、リコピンを10〜500mg、好ましくは50〜200mg継続的に投与するのに適した範囲となるように、本発明のアセトアルデヒド代謝促進剤の含有量を調節するのがよい。 また、本発明の医薬組成物は、内服することにより投与することが好ましい。投与量は有効量のリコピンを投与できればよく、上記と同様に投与する対象に応じて適宜調節することができる。通常は、成人1人、1日当たり、リコピンを10〜500mg、好ましくは50〜200mg投与することが好ましい。また、投与方法は特に制限されるものではないが、飲酒前に継続して投与することが好ましく、例えば、飲酒前30日以内に、14日間程度継続して投与することが挙げられる。 本発明のアセトアルデヒド代謝促進剤は、そのままで、又は飲食品に用いられる成分と組み合わせたり、飲食品に配合することにより、二日酔い・悪酔いを予防・改善するための機能性食品とすることができる。例えば、二日酔い・悪酔いの予防・改善に効果があるとされる天然成分などを適宜配合し、ドリンク剤や粉末、錠剤、カプセルなどのサプリメントに加工することができる。加工方法についても特に制限されず、サプリメントの製造などに用いられる常法に従って行うことができる。 また、本発明のアセトアルデヒド代謝促進剤を配合する飲食品も、安全性が確認されているものであれば、特に制限されない。例えば、トマトを主成分とするトマトジュース、トマト搾汁液を濃縮した濃縮トマトを利用したトマトピューレ、トマトペースト、トマトソース、トマトケチャップ、又はトマトスープなどが挙げられる。また、トマト搾汁液を乾燥し、粉末状や固形状にしたものや、濃縮トマトを乾燥し、粉末状や固形状にした乾燥トマトなども上げられる。また、このようなトマトを主成分とする飲食品を製造する場合には、必ずしもトマトを搾汁する工程を経る必要はなく、トマトに充てん液を加え又は加えないで加熱殺菌した固形トマトを利用してもよい。 また、トマトを主成分する飲食品以外にも、飲料類(例えば、ジュース、茶等)、菓子類(例えば、ゼリー、ウエハース、クッキー、キャンディー、タブレット、スナック菓子等)、調味液類(ケチャップ、ドレッシング、ソース等)等に本発明のアセトアルデヒド代謝促進剤を配合して、本発明の機能性食品としてもよい。 本発明の機能性食品としては、特にドリンク剤や粉末、錠剤、カプセルなどのサプリメントやジュースなどの飲料類の形態が好ましい。 本発明の機能性食品におけるアセトアルデヒド代謝促進剤の含有量も、有効量を安全かつ継続的に摂取するのに好適な範囲であり、飲食品の風味や味を損なわない範囲であれば特に制限されない。本発明の機能性食品に用いることができる他の成分は、安全性が確認されている成分であれば特に制限されず、上述したように摂取する対象の遺伝的性質、飲酒習慣に応じて適宜調節することができる。通常は、成人1人、1日当たり、リコピンを10〜500mg、好ましくは50〜200mg摂取するのに適した範囲の含有量とするのがよい。例えば、サプリメントやジュースの形態とする場合には、アセトアルデヒド代謝促進効果を有するのに有効な量のリコピンを、1日当たり1回〜数回で摂取できるように、濃度を調節することが好ましい。このような濃度として、例えば、飲食品100g当たり50〜200mg(50〜200mg%)のリコピンを含有させることが好ましく挙げられる。なお、トマトを主成分とした飲食品にアセトアルデヒド代謝促進剤を配合する場合には、トマト中のリコピン含有量と合わせて上記リコピン濃度となるように、アセトアルデヒド代謝促進剤の含有量を調節することができる。 また、アセトアルデヒド代謝促進剤を飲食品に配合する方法も特に制限されず、常法に従って行うことができる。 また、本発明のアセトアルデヒド代謝促進剤を含有する機能性食品は、当該飲食品の包装部分や説明書等の添付文書等に二日酔い・悪酔いを予防・改善する効果がある旨を表示して提供することができる。<試験I>長期リコピン摂取が肝ALDH活性に及ぼす影響(1)試験方法 動物は、SDラット(6週齢、オス、日本チャールズリバーから入手)を用い、2週間の予備飼育後、8週間の本飼育を行った。SDラットは4群(n=8)に分け、コントロール群は予備飼育、本飼育中を通してAIN−93M組成飼料(オリエンタル酵母工業(株)製)を摂取させた。一方、リコピン摂取群(3群)は予備飼育中においてはAIN−93Mを摂取させ、本飼育中はリコピン(和光純薬社製)を2mg%、4mg%、6mg%含むAIN−93Mをそれぞれ各群に摂取させた。飼料の摂取は全て自由摂取とした。飲料は水を与えた。 本飼育後、ラットから肝臓を摘出し、PBS(pH7.4)を用いて10倍希釈の肝臓ホモジネートを作製し、肝ALDH活性を測定した。 肝ALDH活性はFrancesc Vidalらの方法により行った。すなわち、1.6mlの100mMPBS(pH9.5)に100μlの3.6mM NAD+、100μlの10mMピラゾール、100μlの肝臓ホモジネートを加え、5分間30℃の予備保温を行う。100μlの0.18μMアセトアルデヒドをこのサンプルに添加し、反応をスタートさせる。反応が起こってから10分間のNADH生成を、340nmにおける吸光度を測定し、分子吸光係数から物質量を算定することにより調べ、1分当たりのNADH生成量を求めた。 また、肝臓からヘキサン、ジクロロメタンを用いてリコピンを抽出し、HPLCにて定量分析を行った。(2)試験結果 各群の肝臓中のリコピン濃度を図1に示す。リコピン摂取群の肝臓にはリコピンが蓄積しており、リコピン(2mg%)摂取群の肝臓中のリコピン濃度は、4.53μg/g、リコピン(6mg%)摂取群の肝臓中のリコピン濃度は、4.97μg/gであった。コントロール群の肝臓中では検出限界未満であった。 各群の肝臓ホモジネートを含む反応物の反応後10分間について1分当たりのNADH生成量を図2に示す。1分当たりのNADH生成量は、コントロール群に比べ、リコピン(4mg%)摂取群、リコピン(6mg%)摂取群は有意に高い値を示した。これより、リコピンの8週間の摂取により、肝ALDH活性が上昇したことが示唆された。<試験II>リコピンの長期摂取が血中アセトアルデヒド濃度に与える影響(1)試験方法 動物種、飼育法、飼育期間については、試験Iに順ずる。 本飼育後、一晩絶食し、20%エタノールで強制胃内投与(10μl/g体重)を行う。エタノールの投与から0時間、1時間、3時間後に頸部静脈より採血を行い、血中アセトアルデヒド濃度をF−Kit(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を用いて測定した。エタノール投与から0時間後の値を0とし、1時間、3時間後の血中アセトアルデヒド濃度の変化量を算定した。 また、血清中リコピンをヘキサン、ジクロロメタンを用いて抽出し、HPLCにて定量分析を行った。(2)試験結果 各群の血清中のリコピン濃度を図3に示す。リコピン摂取群の血清中にはリコピンが検出され、リコピン(2mg%)摂取群の血清中のリコピン濃度は、0.025μg/ml、リコピン(6mg%)摂取群の血清中のリコピン濃度は、0.029μg/mlであった。コントロール群の血清中では検出限界未満であった。 エタノール投与後の各群の血中アセトアルデヒド濃度は1時間後には上昇し、3時間後には下降した。リコピン摂取群においては、1時間後の血中アセトアルデヒド濃度が、コントロール群と比較して有意に低かった。これより、エタノール投与後、アセトアルデヒド代謝が促進され、血中アセトアルデヒド濃度が低下したものと考えられる。 本試験により得られた結果及びStahlら(Arch. Biochem. Biophys., 294, 1730177 (1992))に記載されているヒトの肝臓中のリコピン濃度が血清中の濃度の4.4倍であるとの報告を参照することにより、ヒト血清中のリコピン濃度が1.0μg/mlであると、本発明のアセトアルデヒド代謝促進剤による二日酔い・悪酔いの防止・改善効果が期待できると考えられる。成人において血清中のリコピン濃度を1.0μg/mlにするためには、1日のリコピンの摂取量が好ましくは10〜500mg、さらに好ましくは50〜200mgであるとよい。試験Iで測定された肝臓中リコピン濃度を示す図である(なお、図は平均値±標準偏差で示す)。試験Iで測定されたNADH生成量を示す図である(なお、図は平均値±標準偏差で示す)。試験IIで測定された血清中リコピン濃度を示す図である(なお、図は平均値±標準偏差で示す)。試験IIで測定された血中アセトアルデヒド濃度の時間に対する変化を示す図である。 リコピンを有効成分として含有するアセトアルデヒド代謝促進剤。 請求項1に記載のアセトアルデヒド代謝促進剤を含有するアセトアルデヒド代謝促進用の医薬組成物。 リコピンが1日当たり10〜500mgの量で投与されることを特徴とする、請求項2に記載の医薬組成物。