タイトル: | 再公表特許(A1)_エポキシ樹脂硬化物多孔体 |
出願番号: | 2006073173 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C08J 9/26,B01J 20/26,B01J 20/281,G01N 30/88 |
辻岡 則夫 青木 聡 細矢 憲 JP WO2006073173 20060713 JP2006300069 20060106 エポキシ樹脂硬化物多孔体 旭化成株式会社 000000033 株式会社エマオス京都 505191803 鳴井 義夫 100108693 清水 猛 100068238 武井 英夫 100103436 松井 佳章 100151965 辻岡 則夫 青木 聡 細矢 憲 JP 2005002550 20050107 C08J 9/26 20060101AFI20080516BHJP B01J 20/26 20060101ALI20080516BHJP B01J 20/281 20060101ALI20080516BHJP G01N 30/88 20060101ALI20080516BHJP JPC08J9/26 102C08J9/26B01J20/26 HB01J20/26 GB01J20/26 LG01N30/88 201GG01N30/88 101PG01N30/88 201X AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20080612 2006550904 19 4F074 4G066 4F074AA64 4F074CB03 4F074CB16 4F074CB22 4F074CB28 4F074DA02 4F074DA03 4F074DA13 4F074DA53 4F074DA59 4G066AB13B 4G066AB13D 4G066AC22A 4G066AC22B 4G066BA02 4G066BA23 4G066BA25 4G066CA33 4G066CA54 4G066DA08 4G066DA11 4G066EA01 4G066FA07 4G066FA37 本発明は、エポキシ樹脂硬化物の三次元網目骨格を有する多孔体であって、該三次元網目構造が柱状のエポキシ樹脂硬化物の三次元分岐構造からなる非粒子凝集型の多孔体、及びその製造方法に関し、さらに詳しくは酵素担体、抗体の担体など、いわゆるアフィニティゲルの担体として、又は精製媒体、吸収吸着媒体、カラムクロマトグラフィーの充填剤等に使用できるエポキシ樹脂硬化物多孔体、及びその製造方法に関する。 従来から分離精製媒体やカラムクロマトグラフィーの充填剤に使用される多孔性架橋ポリマー樹脂は、懸濁重合、乳化重合、分散重合などの方法により、微小球ビーズとして製造され、使用されている。一方近年になり、ビーズ状分離媒体に比べてより大きな流路により低圧での送液が可能で、同時に細い骨格によりビーズと同等以上の分離性能を示す一体構造を有する分離媒体(モノリス型ポリマー分離媒体)が盛んに研究開発され、一部製品化されている。 モノリス型ポリマー分離媒体はまた、カラム筐体へのフィットが不要であり、均一溶液を出発原料として、分離精製用カラムから高性能キャピラリカラムまで、あらゆる態様のカラムの作成に容易に用いることができること、装置を低価格で作成できること、製品寿命が長いことなど、コスト・性能において有利である。 一方、モノリス型ポリマー分離媒体に特殊な分子認識性、特に平面構造を有する分子の認識性を発現させ、汚染物質等の分離回収などに使用したいとの要請がある。ところが、こうした用途に粒子媒体を分離媒体として使用しても、目詰まりが激しく、とても実用には供しない。つまり大型装置に適用可能な、分子認識性を有するモノリス型ポリマー分離媒体に対しては、環境対応からも強いニーズが存在する。 このようなニーズに対して、近年、非特許文献2に記載されるようなゾルゲル法を応用したモノリス型シリカカラムが開発され、高速液体クロマトグラフィー用カラムに広く利用されるようになってきた。このモノリス型シリカは、三次元網目構造の骨格を有し、且つ該網目が柱状の三次元分岐構造からなる非粒子凝集型多孔体であるため、高い空孔率にもかかわらず高強度で大きな比表面積を有し、分離媒体として極めて有用である。しかしながらシリカ製のカラムは極めて高価であること、耐アルカリ性が低いこと、脆くて耐衝撃性が低いこと、特別な表面処理を施さなければ平面構造分子に対して認識性を示さないこと、大型のモノリス分離媒体に用いるのが困難なことなどから、上述のニーズには対応できないのが現状である。 一方、ポリマーからなるモノリス型ポリマー分離媒体について、例えば特許文献1には、0.05〜0.5μmのサイズの架橋ポリマー微小球状体が相互に連結されて形成されるマクロ多孔性架橋ポリマーからなる膜及び製法が開示されている。 これらの膜はポリマーのマクロ細孔シートから打ち抜かれて使用され、巨大分子と低分子を分離するのに効果的に使用されると特許文献1には記載されているが、それらの膜はクロマトグラフィーとしての機能、すなわち分離された分子がその膜を通過するときに吸着−脱離を繰り返す機能は有さないため分子構造認識性がない。 また特許文献2には、ラジカル重合によって得られ、特定の小孔と大孔を有するモノリス型ポリマー分離媒体及びその製法が開示されている。この分離媒体を使用することにより、従来は不可能であった非常に大きな物、たとえば蛋白質凝集物、ミセル、核酸などを効率的に分離することが可能で、通常の粒子充填カラムでは不可能な一体型連続床を製造することができるとされている。また特許文献3には超臨界二酸化炭素中において架橋ポリマーからなるモノリス型ポリマー分離媒体を製造する方法が開示されている。 しかしながら特許文献2及び3のいずれに記載の方法によって製造されるモノリス型ポリマー分離媒体も粒子凝集型の多孔体構造であり、本発明の柱状物の三次元分岐構造による非粒子凝集型三次元網目構造多孔体は形成されていない。 粒子凝集体からなるモノリス型多孔体は、強度や剛性が低く且つ空孔率を高くして液体流路体積を大きくした場合の多孔体比表面積が小さくなることから、特に大型の分離媒体としては使用できない。またこれらはいずれもモノリス型ポリマー分離媒体として使用可能ではあるが、分子構造認識性は有さない。 なお本明細書で言う粒子凝集体からなるモノリス型多孔体とは、個々の微粒子が相互に連結して全体の構造が維持されている一体型の多孔体であり、電子顕微鏡等で微細構造を観察すれば、多孔体を構成する個々の微粒子が観察されるものを言う。 特許文献4には無溶剤型熱硬化性樹脂、それと相溶するポリアルキレンオキシド、ポリアルキレングリコール、又はそれらの誘導体の1種以上、及び該熱硬化性樹脂の硬化剤を特定の比率で混合し、硬化させて得られる連通多孔体の形成方法が開示されており、また特許文献5には、特許文献4に開示された連通多孔体の形成時に、さらに他の成分を加えてなる熱硬化性樹脂多孔体、及びその製法が開示されており、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂も記載されている。しかしながら、これらの特許文献のいずれも、粒子凝集体からなるモノリス型の多孔体及びその製法について開示されているだけであって、三次元網目構造からなるポリマー多孔体で、且つ該網目が柱状からなる非粒子凝集型の多孔体については開示されていない。 即ち、特許文献6及び7から得られる粒子凝集からなるモノリス型多孔体は、強度や剛性が低く且つ空孔率を高くして液体流路体積を大きくした場合の多孔体比表面積が小さくなることから、特に大型の分離媒体としては使用できない。 以上より、高強度かつ安価で、工業的量産が可能で、大量処理が可能で、かつ分子認識性を有するモノリス型分離媒体は、たとえば汚染物質回収等の用途への応用が期待されているが、いまだ提示されていないのが現状である。特開平2-1747号公報特許第3168006号公報特表2002-536478号公報特開2001-181436号公報特開2004-244607号公報S.Kunz-Douglass,P.Beaumont,M.F.Ashby,J.Mater.Sci., 15,1109(1980)K.Nakanishi: J.Porous Materials,4,67(1997) 本発明は上記の従来の課題を解決するためになされ、その目的とするところは、キャピラリーカラムから大型処理装置まで使用可能であり、且つ有害なダイオキシンやPCB(ポリ塩化ビフェニル)などの平面分子構造を有する物質を選択的に見分けることが可能で、背圧が低く、大量処理が可能な分離媒体であるエポキシ樹脂硬化物多孔体、及びその製法を提供することである。 本発明者等はこのような課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の分子構造を有するエポキシ樹脂及び硬化剤を特定の比率でポロゲンに溶解して均一混合溶液を作成し、その後、加熱反応させて重合し、重合物とポロゲンをスピノーダル分解させ、相分離の成長により共連続構造が不安定化し、粒子凝集構造に変遷する前に重合物を三次元架橋させることにより、重合物とポロゲンのスピノーダル分解に基づく共連続構造を凍結固定し、次いでポロゲンを除去することによって、三次元網目構造多孔体であって該網目が柱状のエポキシ樹脂硬化物の三次元分岐構造からなる非粒子凝集型の多孔体が得られることを見出した。また本発明者等は、得られたエポキシ樹脂硬化物多孔体が、平面構造を有する有機化合物に対し高い分子認識性を示す分離媒体であることを見出し、本発明を完成させるに至った。 すなわち本発明は、次に記載する通りの構成を有するエポキシ樹脂硬化物多孔体、該多孔体からなるモノリス型分離媒体、及びその製造方法である。具体的には、 (1) エポキシ樹脂硬化物の三次元網目状骨格と連通する空隙を有する多孔体であって、該三次元網目状骨格が柱状の三次元分岐構造からなる非粒子凝集型の多孔体を形成し、且つ該エポキシ樹脂硬化物を構成する炭素原子全体に占める芳香環由来の炭素原子の比率が0.10〜0.65であり、該多孔体の空孔率が20%〜80%、平均孔径が0.5μm〜50μmであることを特徴とする上記多孔体。 (2) 水銀圧入法で測定される微分細孔分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅が、0.7以下である上記(1)に記載の多孔体。 (3) トリフェニレンとo−ターフェニルの分配係数の比(k´T/k´Oで表される分離係数(αT/O)が2以上である、上記(1)又は(2)に記載の多孔体。 (4) 前記エポキシ樹脂硬化物多孔体が、シート状、棒状、又は筒状のいずれかである上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の多孔体。 (5) 上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の多孔体を有する分離媒体。 (6) 前記エポキシ樹脂硬化物を構成する炭素原子全体に占める芳香環由来の炭素原子の比率が0.10〜0.65になるように配合されたエポキシ樹脂と硬化剤を、ポロゲンに溶解し、加熱重合し、次いでポロゲンを除去することを含む上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の多孔体の製造方法。 (7) 前記エポキシ樹脂と前記硬化剤が、芳香族のエポキシ樹脂と非芳香族の硬化剤の組み合わせ、又は非芳香族のエポキシ樹脂と芳香族の硬化剤の組み合わせである、上記(6)に記載の製造方法。 (8) 前記硬化剤が芳香族のアミン又は非芳香族のアミンのいずれかである上記(7)に記載の製造方法。 (9) 前記エポキシ樹脂と前記硬化剤が、芳香族のエポキシ樹脂と脂環式のアミンの組み合わせ、又は脂環式のエポキシ樹脂と芳香族のアミンの組み合わせである、上記(6)に記載の製造方法。 本発明により得られるエポキシ樹脂硬化物多孔体は、平面構造を有する分子認識性に優れたポリマー製のモノリス型分離媒体として有用である。また本発明により得られるエポキシ樹脂硬化物多孔体は特に大きなスケールでの水処理に適しており、より低圧で大量処理が可能であり、更にはたとえば、汚泥処理などで生成する汚染物質を含む水から、平面分子構造を有するダイオキシンやPCBなどを選択的に除去することができる。また本発明により得られるエポキシ樹脂硬化物多孔体は、そのポリマー表面に種々の官能基を有し表面修飾等が容易に行えることから、特徴ある分離・精製媒体基材として有用であり、例えば蛋白や酵素の分離、医薬の精製などに利用できる。 柱状のエポキシ樹脂硬化物が三次元分岐構造を形成してなる本発明のエポキシ樹脂硬化物多孔体は、原料に用いるエポキシ樹脂と硬化剤の特定の組み合わせによって形成される。 具体的には、エポキシ樹脂と硬化剤の組み合わせが、芳香族エポキシ樹脂と非芳香族の硬化剤、特に脂環式アミンの硬化剤との組み合わせであること、又は非芳香族エポキシ樹脂と芳香族アミンの硬化剤との組み合わせ、特に脂環式エポキシ樹脂と芳香族アミンの硬化剤との組み合わせであることが好ましい。 これらの組み合わせの中でも、非芳香族エポキシ樹脂として脂環式エポキシ樹脂、非芳香族硬化剤として脂環式アミンが使用された場合は、脂肪族エポキシ樹脂や脂肪族アミンが使用された場合に比して硬化物の耐熱性が高く、分離媒体用途に好適である。 なお、エポキシ樹脂と硬化剤は、好ましくはそれぞれ1種類が使用されるが、それぞれ2種以上混在していてもよい。しかしエポキシ樹脂又は硬化剤のいずれか一方又は両方が、芳香族と非芳香族の混合からなる場合は、得られる多孔体は、非粒子凝集型網目構造と、粒子凝集体とが混在する多孔体になりやすく、好ましくない。 以下に、本発明で用いうるエポキシ樹脂、及び硬化剤について例示する。 本発明に使用されるエポキシ樹脂のうち、芳香環由来の炭素原子を含む芳香族エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンベースなどのポリフェニルベースエポキシ樹脂、フルオレン含有エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、トリアジン環含有エポキシ樹脂等、複素芳香環を含むエポキシ樹脂などが挙げられる。 好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、フルオレン含有エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートであり、特に好ましくは、エポキシ当量が500以下で、融点が100℃以下である、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、フルオレン含有エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートである。 また芳香環由来の炭素原子を含まない非芳香族エポキシ樹脂として、脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルエステル型エポキシ樹脂などが挙げられる。好ましくは脂環族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルエステル型エポキシ樹脂であり、特に好ましくは、エポキシ当量が500以下で、融点が100℃以下の脂環族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルエステル型エポキシ樹脂である。 本発明に使用される硬化剤のうち、芳香環由来の炭素原子を含む芳香族硬化剤としては、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルベンゼン等の芳香族アミン、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの芳香族酸無水物、フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、トリアジン環などの複素芳香環を有するアミンなどが挙げられる。好ましくは分子内に一級アミンを2以上有する芳香族アミン化合物であり、特に好ましくは、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンである。 また芳香環由来の炭素原子を含まない非芳香族硬化剤としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン、ポリメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン等の脂肪族アミン類、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンやこれらの変性品等の脂環族ポリアミン類、その他ポリアミン類とダイマー酸からなる脂肪族ポリアミドアミン類などが挙げられる。好ましくは分子内に一級アミンを2以上有する脂環族アミン化合物であり、特に好ましくは、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)などが挙げられる。 本発明に用いられるポロゲンとは、エポキシ樹脂及び硬化剤を溶かすことができ、且つエポキシ樹脂と硬化剤が重合した後、反応誘起相分離を生ぜしめることが可能な溶剤をいい、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどエステル類、又はポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類などが挙げられる。中でも分子量600以下のポリエチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましく、特に分子量200以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。 また個々のエポキシ樹脂又は硬化剤と常温で不溶又は難溶であっても、エポキシ樹脂と硬化剤をアダクト化することにより可溶となるような溶剤もポロゲンとして使用可能である。このようなポロゲンとしては、たとえば臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「エピコート5058」)などが挙げられる。 本発明においては、エポキシ樹脂硬化物多孔体を構成する全炭素原子に占める芳香環由来の炭素原子比率が0.10〜0.65の範囲になるように、エポキシ樹脂及び硬化剤の種類と量を決定することが必要である。 芳香環由来の炭素原子比率が全炭素原子の0.10未満である場合は、該多孔体による分離媒体は平面分子構造認識性が低下する。また全炭素原子に占める芳香環由来の炭素原子比率が0.65を超すと、柱状のエポキシ樹脂硬化物の三次元分岐網目状骨格からなる、非粒子凝集型の硬化物多孔体を得ることが困難となる。 本発明において、エポキシ樹脂と硬化剤の添加割合は上記の全炭素原子に占める芳香環由来の炭素原子比率を満足する範囲のなかで、エポキシ基1当量に対して、硬化剤当量が0.6〜1.5の範囲になるように調整されるのが好ましい。硬化剤当量比が0.6より少ない場合は硬化物の架橋密度が低くなり、耐熱性、耐溶剤性などが低下する場合がある。また1.5より多くなると、未反応の官能基が多くなり、未反応のまま硬化物中に残留したり、あるいは架橋密度向上を阻害する要因となり好ましくない。 本発明のエポキシ樹脂硬化物多孔体は、エポキシ樹脂と硬化剤の混合物を、それらと非反応性であり、かつそれらを溶解可能なポロゲンに常温で又は加温して溶解し、加熱重合し、重合物とポロゲンがスピノーダル相分離後、相分離が進展して共連続構造が消滅する前に、架橋反応によって構造を凍結固定させ、次いでポロゲンを除去することによって製造される。 この場合、目的とする多孔構造が得られない場合は、硬化促進剤を添加することが効果的である場合もある。硬化促進剤としては、公知の物を使用することができる。例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の三級アミン、2−フェノール−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェノール−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。 本発明の多孔体を得るには、重合開始から構造凍結まで、遅くとも120分で終了することが好ましい。また相分離による曇点発生から三次元架橋による構造の凍結まで、30分以内であることが好ましく、こうした条件を目安に重合温度が設定される。 例えば、上記のごとく、全炭素原子に占める芳香環由来の炭素原子比率を満足する範囲の中で、エポキシ基1当量に対して、硬化剤当量が0.6〜1.5の範囲になるようにエポキシ樹脂と硬化剤を選択した後、それぞれの原材料を反応容器に投入し、ポロゲンを添加する。添加されたポロゲンとエポキシ樹脂を溶解し、次いで硬化剤を添加して溶解する。この時、エポキシ樹脂が常温で固形の場合、粉砕した樹脂を100℃以下に加熱したポロゲンに投入して溶解した後、硬化剤を添加溶解し、直ちに所定の重合温度に加熱し重合を行う。加熱重合後、重合が進行し、ポリマー成分が増大すると、スピノーダル相分離が起こり、共連続構造が発現するが、相分離が更に進行し、共連続構造が消滅する前にエポキシ樹脂の架橋反応を進行させることにより構造が凍結固定されて、所望の三次元網目構造が得られる。しかし、この現象を目視で確認することは不可能であるため、あらかじめ試験的に硬化剤(必要に応じて硬化促進剤も含む)の種類と量、ポロゲンの量を変化させながら電子顕微鏡等で構造確認をしながら最適温度プロファイルを決定して制御を行う。具体的な条件は、後述の実施例中に記載される。 本発明では硬化物の架橋を十分に行うために構造凍結後、更にアフターキュアーを実施することが好ましい。ポロゲンを除去した後にアフターキュアーを実施すると、収縮が発生して多孔構造に変化を生じることがあるので、ポロゲンを除去せずに行う方が良い。使用したポロゲンが低沸点溶剤の場合は、高沸点溶剤に置換した後アフターキュアーを行うなどの方法が採られる。架橋が不十分な多孔体を液体クロマト分離媒体として使用すると理論段数が低下するため、十分な架橋反応を行う必要がある。 本発明になるエポキシ樹脂硬化物多孔体において、空孔率は20%〜80%が必要である。20%未満では該硬化物を分離媒体として使用した場合、空孔率が低すぎて透過率が上がらず実用的でない。また80%を超すと、多孔体の強度が低下する。 また本発明のエポキシ樹脂硬化物多孔体は、平均孔径は0.5μm以上50μm以下である。0.5μm未満では送液時の圧が高くなり、また50μmを超すと、多孔体の強度が低下する。微量の平面分子構造化合物とともに、スラッジ等不溶物を含んでいる汚染水等を被分離溶液に使用する場合は、目詰まりを防止するため、平均孔径が5μm以上の多孔体を使用するのが好ましい。 また本発明のエポキシ樹脂硬化物多孔体は、水銀圧入法で測定される微分細孔分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅が0.7以下であることが好ましい。微分細孔分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅とは、細孔分布の広がりを示す一つの指標であり、細孔分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布の幅を対数にて表示したものである。最大値の1/4の高さにおける対数分布幅が、0.7を超えると分離媒体としての理論段数が低下する傾向がある。 多孔体の空孔率、孔径、孔径分布などは、使用されるエポキシ樹脂、エポキシ硬化剤、ポロゲンなど原料の種類や比率、又は温度、攪拌、圧力などの反応条件により変化するため、目的とする多孔体としての空孔率、孔径、及び孔径を得るためには、系の相図を作成し最適な条件を選択することが好ましい。相分離は経時的に変化するが、樹脂とポロゲンの共連続構造を特定の状態で固定し安定した多孔構造を形成させるには、相分離時におけるエポキシ樹脂重合物の分子量、分子量分布、系の粘度、架橋反応速度などが厳密にコントロールすることが一般的に行われる。 本発明のエポキシ樹脂硬化物多孔体は、シート状、棒状、筒状など任意の形状を採ることができるため、その用途に応じて使い分けることが可能である。また液体クロマトグラフィー用のカラム用充填媒体として、大きな径のカラムからキャピラリーカラムまで使用できる。 液体クロマトグラフィカラムにおける平面分子構造認識性については、文献「Kazuhiro Kimata, et. al, Chromatographic Characterization of Silica C18Packing Materials. Correlation between a Preparation Method and Retention Behavier of Stationary Phase, Journal of Chromatographic Science,Vol. 27,December 1989, 721-728」中 に記載されているトリフェニレンとo−ターフェニルの分配係数の比(k´triphenylene/k´orthoterphenyl、以下本願ではk´T/k´Oとも称する)で表される分離係数αT/Oを指標として利用できる。本発明に係る分離媒体は、平面構造を有する有機化合物に対して特異的な平面認識性を有し、該カラムのαT/Oは特定の表面修飾をしなくても2以上を示すことが見出された。 もちろん該多孔体は、エポキシ樹脂硬化物であることから、表面に官能基を有しており、グラフト反応等で目的に応じた表面修飾を行うことが可能である。 本発明になる多孔性エポキシ樹脂硬化物は三次元架橋されており、耐薬品性、耐熱性に優れていることから、過酷な環境下でも使用可能である。 以下、本発明の実施例及び比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、分離媒体の評価は以下の方法による。(走査型電子顕微鏡写真による多孔体構造観察) 走査型電子顕微鏡により、多孔体断面写真を撮影し、多孔構造を観察した。(NMRによる芳香環由来の炭素原子含有率測定) 全炭素原子中の芳香環由来の炭素原子含有率は、固体13C-NMRにより求めた。エポキシ樹脂硬化物を粉砕、MASプローブに入れ、DSX400装置(Bruker社製)を用いてDD/MAS法(双極子デッカプリング&マジックアングルスピニング)、パルス幅5.0μsec(1H90°パルス)で測定した。例えば実施例1の場合、全炭素原子中の芳香環由来の炭素原子含有率は、芳香環由来のケミカルシフト90〜210ppmのピーク積分値Aと飽和炭素由来のケミカルシフト10〜90ppmのピーク積分値Bとから次の式によって求められる。 (全炭素原子中の芳香環由来の炭素原子含有率) = A/(A+B)(空孔率の測定) 多孔体の空孔率は、次の式によって算出される。 気孔率(%)=(1−W/ρV)×100ここで、 W:多孔体の乾燥重量(g) V:多孔体の見掛けの体積(cm3) ρ:樹脂の真密度(g/cm3)である。なお、ここで樹脂の真密度は、多孔体をエタノールに入れ脱泡後、JIS−K7112(B法I)に従い測定した値である。(平均孔径の測定、及び微分細孔分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅の測定) 多孔体の孔径分布及び平均孔径は、水銀圧入法により、(株)島津製作所製オートポア9220形装置で測定した。測定された細孔径に対する細孔量の積算曲線を一次微分して得られる微分細孔分布の最大値の1/4の高さを与える細孔径2つの常用対数の差をとり、微分細孔分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅とした。また平均孔径は、初期圧20kPaの条件のメディアン径を用いた。(分離係数の測定) 作成したエポキシ樹脂硬化物多孔体により、サイズ11.8mm(内径)×12.4mm(外径)のHPLCカラムを作成し、移動相にアセトニトリル/水混合溶媒を使用し、流量1ml/分、温度40℃で、トリフェニレンとo−ターフェニルのHPLC測定を行い、それぞれの分配係数(k´T、k´O)を求め、次いでその比であらわされる分離係数αT/Oを求めた。(実施例1) ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「エピコート828」)22gをメトキシモノプロピレングリコールアセテート(ダイセル化学工業(株)製)36gに溶解し、エポキシ樹脂/ポロゲン溶液とした。次にビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(新日本理化(株)製、商品名「ワンダミンHM」)6gをメトキシモノプロピレングリコールアセテート36gに溶解し、硬化剤/ポロゲン溶液とした。 エポキシ樹脂/ポロゲン溶液と硬化剤/ポロゲン溶液を60℃に加温、真空脱泡後にミキサーで混合し、120℃に加温した直径20mmの金型に注入し、そのまま10hr保持した。冷却後に硬化物を取り出し、60℃のエタノール中に20hr浸漬してポロゲンを除去し、160℃で5hr、後キュアした。得られたエポキシ樹脂硬化物多孔体の芳香族由来の炭素原子含有比率、空孔率、平均孔径、及び水銀圧入法で測定される微分細孔分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅を表1に示す。この多孔体を直径12mm厚さ2mmの円筒状に切断し、分配係数の測定カラムとした。o−ターフェニルとトリフェニレンの分配係数の測定結果を表1に示す。またこの多孔体の走査型電子顕微鏡写真を図1に示す。写真から、この多孔体は、エポキシ樹脂硬化物を骨格としてなる三次元網目構造多孔体であって、該三次元網目構造多孔体が、柱状のエポキシ樹脂硬化物の三次元分岐構造からなる非粒子凝集型の多孔体であった。(実施例2) 水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「エピクロン7015」)22gをメトキシモノプロピレングリコールアセテート(ダイセル化学工業(株)製)36gに溶解し、エポキシ樹脂/ポロゲン溶液とした。次に4,4’−ジアミノジフェニルメタン(東京化成工業(株)製)6gをメトキシモノプロピレングリコールアセテート36gに溶解し、硬化剤/ポロゲン溶液とした。以下、実施例1と同様にエポキシ樹脂硬化物多孔体を作成し、芳香族由来の炭素原子含有比率、空孔率、平均孔径、水銀圧入法で測定される微分細孔分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅、及び分配係数の測定結果を表1に示す。(実施例3) ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「エピコート828」)11gと水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「エピクロン7015」)11gをメトキシモノプロピレングリコールアセテート(ダイセル化学工業(株)製)36gに溶解し、エポキシ樹脂/ポロゲン溶液とした。次にビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(新日本理化(株)製、商品名「ワンダミンHM」)3gと4,4’−ジアミノジフェニルメタン(東京化成工業(株)製)3gをメトキシモノプロピレングリコールアセテート36gに溶解し、硬化剤/ポロゲン溶液とした。以下、実施例1と同様にエポキシ樹脂硬化物多孔体を作成し、芳香族由来の炭素原子含有比率、空孔率、平均孔径、水銀圧入法で測定される微分細孔分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅、及び分配係数の測定結果を表1に示す。(実施例4) ビスフェノキシエタノールフルオレングリシジルエーテル(大阪ガスケミカル(株)製、商品名「BPEF―G」)24gをポリエチレングリコール#200(ナカライテスク(株)製)35gに溶解し、エポキシ樹脂/ポロゲン溶液とした。次にビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(新日本理化(株)製、商品名「ワンダミンHM」)6gをポリエチレングリコール#200の35gに溶解し、硬化剤/ポロゲン溶液とした。以下、実施例1と同様にエポキシ樹脂硬化物多孔体を作成し、芳香族由来の炭素原子含有比率、空孔率、平均孔径、水銀圧入法で測定される微分細孔分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅、及び分配係数の測定結果を表1に示す。(実施例5) ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「エピコート828」)26gをトリエチレングリコール(ナカライテスク(株)製)34gに溶解し、エポキシ樹脂/ポロゲン溶液とした。次にビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(新日本理化(株)製、商品名「ワンダミンHM」)6gをトリエチレングリコール34gに溶解し、硬化剤/ポロゲン溶液とした。 エポキシ樹脂/ポロゲン溶液と硬化剤/ポロゲン溶液を60℃に加温、真空脱泡後にミキサーで混合し、160℃に加温した直径20mmの金型に注入し、そのまま10hr保持した。冷却後に硬化物を取り出し、60℃のエタノール中に20hr浸漬してポロゲンを除去し、160℃で5hr、後キュアした。得られたエポキシ樹脂硬化物多孔体の芳香族由来の炭素原子含有比率、空孔率、平均孔径、水銀圧入法で測定される微分細孔分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅、及び分配係数の測定結果を表1に示す。またこの多孔体の走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。この多孔体も、実施例1と同じエポキシ樹脂硬化物を骨格としてなる三次元網目構造多孔体であって、該三次元網目構造多孔体が、柱状のエポキシ樹脂硬化物の三次元分岐構造からなる非粒子凝集型の多孔体であった。(比較例1) ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「エピコート828」)24gをメトキシモノプロピレングリコールアセテート(ダイセル化学工業(株)製)35gに溶解し、エポキシ樹脂/ポロゲン溶液とした。次に4,4’−ジアミノジフェニルメタン(東京化成工業(株)製)6gをメトキシモノプロピレングリコールアセテート35gに溶解し、硬化剤/ポロゲン溶液とした。以下、実施例1と同様にエポキシ樹脂硬化物多孔体を作成し、芳香族由来の炭素原子含有比率及び空孔率の測定結果を表1に示すが、得られた成形物は透明であり、平均孔径、水銀圧入法で測定される微分細孔分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅、及び分配係数については、明確な測定結果を得ることができなかった。(比較例2) 水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「エピクロン7015」)24gをメトキシモノプロピレングリコールアセテート(ダイセル化学工業(株)製)35gに溶解し、エポキシ樹脂/ポロゲン溶液とした。次にビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(新日本理化(株)製、商品名「ワンダミンHM」)6gをメトキシモノプロピレングリコールアセテート35gに溶解し、硬化剤/ポロゲン溶液とした。以下、実施例1と同様にエポキシ樹脂硬化物多孔体を作成し、芳香族由来の炭素原子含有比率、空孔率、平均孔径、及び水銀圧入法で測定される微分細孔分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅の測定結果を表1に示すが、得られた生成物は粉体状であり、分配係数についてはカラムを作成できなかった。(比較例3) ビスフェノールA型エポキシ樹脂12gと水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂をメトキシモノプロピレングリコールアセテート(ダイセル化学工業(株)製)35gに溶解し、エポキシ樹脂/ポロゲン溶液とした。次に4,4’−ジアミノジフェニルメタン6gとビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン6gをメトキシモノプロピレングリコールアセテート35gに溶解し、硬化剤/ポロゲン溶液とした。以下、実施例1と同様にエポキシ樹脂硬化物多孔体を作成した。この多孔体の走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。写真から、得られた多孔体は粒子凝集型の多孔体であった。 本発明により得られるエポキシ樹脂硬化物多孔体は、平面構造を有する分子認識性に優れたポリマー製のモノリス型分離媒体として有用である。また本発明により得られるエポキシ樹脂硬化物多孔体は特に大きなスケールでの水処理に適しており、より低圧で大量処理が可能であり、更にはたとえば、汚泥処理などで生成する汚染物質を含む水から、平面分子構造を有するダイオキシンやPCBなどを選択的に除去することができる。また本発明により得られるエポキシ樹脂硬化物多孔体は、そのポリマー表面に種々の官能基を有し表面修飾等が容易に行えることから、特徴ある分離・精製媒体基材として有用であり、例えば蛋白や酵素の分離、医薬の精製などに利用できる。実施例1で得られたエポキシ樹脂硬化物多孔体断面の走査型電子顕微鏡による倍率5000倍の写真。実施例5で得られたエポキシ樹脂硬化物多孔体断面の走査型電子顕微鏡による倍率500倍の写真。比較例3で得られたエポキシ樹脂硬化物多孔体断面の走査型電子顕微鏡による倍率1000の写真。 エポキシ樹脂硬化物の三次元網目状骨格と連通する空隙を有する多孔体であって、該三次元網目状骨格が柱状の三次元分岐構造からなる非粒子凝集型の多孔体を形成し、且つ該エポキシ樹脂硬化物を構成する炭素原子全体に占める芳香環由来の炭素原子の比率が0.10〜0.65であり、該多孔体の空孔率が20%〜80%、平均孔径が0.5μm〜50μmであることを特徴とする上記多孔体。 水銀圧入法で測定される微分細孔分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅が、0.7以下である請求項1に記載の多孔体。 トリフェニレンとo−ターフェニルの分配係数の比(k´T/k´Oで表される分離係数(αT/O)が2以上である、請求項1又は2に記載の多孔体。 前記エポキシ樹脂硬化物多孔体が、シート状、棒状、又は筒状のいずれかである請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔体。 請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔体を有する分離媒体。 前記エポキシ樹脂硬化物を構成する炭素原子全体に占める芳香環由来の炭素原子の比率が0.10〜0.65になるように配合されたエポキシ樹脂と硬化剤を、ポロゲンに溶解し、加熱重合し、次いでポロゲンを除去することを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔体の製造方法。 前記エポキシ樹脂と前記硬化剤が、芳香族のエポキシ樹脂と非芳香族の硬化剤の組み合わせ、又は非芳香族のエポキシ樹脂と芳香族の硬化剤の組み合わせである、請求項6に記載の製造方法。 前記硬化剤が芳香族のアミン又は非芳香族のアミンのいずれかである請求項7に記載の製造方法。 前記エポキシ樹脂と前記硬化剤が、芳香族のエポキシ樹脂と脂環式のアミンの組み合わせ、又は脂環式のエポキシ樹脂と芳香族のアミンの組み合わせである、請求項6に記載のの製造方法。 エポキシ樹脂硬化物の三次元網目状骨格と連通する空隙を有する多孔体であって、該三次元網目状骨格が柱状の三次元分岐構造からなる非粒子凝集型の多孔体を形成し、且つ該エポキシ樹脂硬化物を構成する炭素原子全体に占める芳香環由来の炭素原子の比率が0.10〜0.65であり、該多孔体の空孔率が20%〜80%、平均孔径が0.5μm〜50μmであることを特徴とする上記多孔体。