タイトル: | 公開特許公報(A)_肝臓内糖新生抑制剤及びそれを含有する食品または食品配合剤 |
出願番号: | 2006049186 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 31/7048,A61P 43/00,A61P 3/10,A61P 1/16,A23L 1/30,A61K 36/00,A61K 36/18 |
和田 政裕 JP 2007204462 公開特許公報(A) 20070816 2006049186 20060131 肝臓内糖新生抑制剤及びそれを含有する食品または食品配合剤 株式会社スカイインターナショナル 501255491 櫻井 慶三 503352729 和田 政裕 A61K 31/7048 20060101AFI20070720BHJP A61P 43/00 20060101ALI20070720BHJP A61P 3/10 20060101ALI20070720BHJP A61P 1/16 20060101ALI20070720BHJP A23L 1/30 20060101ALI20070720BHJP A61K 36/00 20060101ALN20070720BHJP A61K 36/18 20060101ALN20070720BHJP JPA61K31/7048A61P43/00 111A61P3/10A61P1/16A23L1/30 ZA61K35/78 XA61K35/78 C 3 1 書面 10 特許法第30条第1項適用申請有り 2005年12月7日〜10日 第28回日本分子生物学会年会事務局主催の「第28回日本分子生物学会年会」において文書をもって発表 4B018 4C086 4C088 4B018MD07 4B018MD48 4B018ME03 4B018MF01 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA11 4C086GA17 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA52 4C086NA14 4C086ZA75 4C086ZC20 4C086ZC35 4C088AB12 4C088AC06 4C088BA07 4C088BA10 4C088BA13 4C088BA32 4C088MA52 4C088NA14 4C088ZA75 4C088ZC20 4C088ZC35 本発明は、肝臓内での過度の糖新生を抑制する肝臓内糖新生抑制剤及びそれを含有する食品又は食品配合剤に関するものである。 人間を含む哺乳類などの動物は、生命活動のエネルギー源として、植物から摂取される栄養分を起源とする血糖(血液中のグルコース)を使用している。 血液中のグルコースの代謝の経路は、主として以下のような3つの経路からなっている。 (1)血液から筋肉中に移行し、筋収縮運動のエネルギー源となり、あるいは筋肉中にグリコーゲンとして貯蔵される。 (2)血液から体脂肪組織中に移行し、脂肪に変換されて貯蔵され、あるいは逆経路として脂肪から脂肪酸とグリセリンに分解されてエネルギー源として利用される。 (3)肝臓中に移行してグリコーゲンに変換され、肝臓中に貯蔵され、あるいは逆経路としてグリコーゲンからグルコースに変換されて、血液中に移行する。さらに、グリコーゲン以外の他物質から糖新生が行われ、血液中に移行することも知られている。 このように、血糖は体脂肪組織や肝臓などでエネルギー源として備蓄され、必要に応じて順次、筋肉組織などに移行してその活動エネルギー源として消費されている。血液中のグルコース濃度(血糖値)は、ほぼ一定となるように調整されており、正常な日本人の場合には、100±20mg/100cm3に保持されている。しかし、人の血糖制御機能が何らかの原因によって阻害されて、血糖値が異常に増加すると、身体に様々な障害が現れるが、これが糖尿病であり、近年この症状に苦しむ人が著しく増加し、社会問題のひとつにさえなっている。 この症状に対処するには、基本的には栄養分の摂取量を相対的に制限するとともに、運動などによって血液中のグルコースの消費を促進することが必要であるが、それが十分に行えない場合には、血糖降下剤などの薬剤によって対処せざるを得ない。 上記の血糖降下剤としては、α−グルコシダーゼ阻害剤、スルホニルウレア系薬剤、ビグアナイト系薬剤などが例示されるが、これらの既存の薬剤には、それぞれ服用に伴う副作用があることが知られている。例えば、血糖降下剤の服用量、服用時期を誤ると、血糖値が正常値以下に低下し、動悸、冷や汗、頭痛、悪心、昏睡、などの低血糖症状を起こす。このため、血糖降下剤などの服用には細心の注意が要求されるとともに、万一発生するかも知れない低血糖症に備えて、緊急服用のためのグルコースなどを準備しておかなければならない煩わしさを伴う。したがって、このような副作用を示さずに血糖値を低下させることができ、しかも、安心して服用できる有効な薬剤が望まれている。 一方、糖尿病は、世界中において普遍的な重大な病気であるので、これに対処するさまざまな療法、民間医療、食品などが知られている。 そのひとつとして、スリランカ民主社会主義共和国の特産のつる性植物サラシアレティキュラータ(学名:Salacia reticulate)の木部を粉砕した粉末やそれを煎じた抽出液が血糖降下に有効であることは現地では古くから知られていたが、その薬効、作用機序について詳細が不明であったため、その使用方法は不明確であった(非特許文献1参照)。 また、特許文献1においては、サラシアレティキュラータの糖尿病に対する効果が開示されているが、その薬効は腸管に存在する炭水化物消化酵素であるα−グルコシダ−ゼ阻害効果にあるとしている。 北村博一監修、サラシア研究所編著、「神秘のサラシアダイエット」、史輝出版、1999年 特開平9−301882号 これらの従来の糖尿病用医薬品、食品配合物などは、すべて血糖値の低下を目的とする点では一致しているが、血糖値低下の経路として、消化管内における糖質の消化吸収抑制、細胞内へのグルコースの取り込みの促進、解糖系の亢進を促す機能が主であり、服用に際してはこれに伴う副作用に細心の注意を払う必要があった。また、サラシアレティキュラータの糖尿病に対する薬効作用としては、含有される水溶性成分によるα−グルコシダ−ゼ阻害効果以外は、詳細に研究されているとは言えないのが現状である。 本発明者らは、マンジフェリンの血糖への作用を詳細に研究した結果、肝臓中では、血糖と肝臓中のグリコーゲンとの相互交換のほかに、グリコーゲン以外の他物質からの糖新生が大量に行われており、前記マンジフェリンがこの糖新生の抑制に有効であることを見出したのである。 本発明は、グリコーゲン以外の他物質からの糖新生を抑制する効果を有する肝臓内糖新生抑制剤およびそれを含有する食品または食品配合剤を提供することを目的とするものである。 本発明は、上記目的を達成するものであって、マンジフェリンを主成分として含有し、肝臓内での糖新生が行われる際の多数の段階の内の律速段階において機能する律速酵素の遺伝子発現を抑制することを特徴とする肝臓内糖新生抑制剤であり、前記律速酵素は、フルクトースー1,6ー二リン酸をフルクトースー6ーリン酸に代謝する反応を機能させるフルトースー1,6−ビスフォスファターゼであることが望ましい。 本発明に使用するマンジフェリンは、マンジフェリンを含有するものであれば、いかなるものであってもよいが、特にマンジフェリンを含有する植物に由来するものであることが望ましく、更に植物サラシアレティキュラータの木部や葉部に由来するものが特に望ましいが、これに限らず、マンゴその他の植物に由来するものであってもよい。本発明に使用するマンジフェリンは、マンジフェリンを含有する植物の木部や葉部を粉砕して得られる粉末であっても良く、マンジフェリンを含有する植物の木部や葉部から抽出処理によって得られるものであっても良く、あるいはマンジフェリンを含有する植物の木部や葉部を温度80℃以上の熱水やエタノール等の有機溶剤で抽出処理した後、濾過によって得られる溶液または懸濁液であっても良い。さらに、本発明に使用するマンジフェリンは、上記溶液または懸濁液から水分や有機溶剤を乾燥除去した後に残る固形分であっても良い。この場合には有機溶剤には酢酸エチル等の各種溶剤が使用できる。 さらに、本発明は、前記肝臓内糖新生抑制剤を含有する食品または食品配合剤であり、上記のマンジフェリンを含有することが望ましい。この構成によれば、マンジフェリンを食品または食品配合剤に添加することにより、食品から摂取することができるので、摂取が容易である。 本発明のマンジフェリンを含有する食品または食品配合剤により、肝臓中でのグリコーゲン以外の他物質からの糖新生を抑制するのに有効であり、糖新生の律速酵素であるフルトース−1、6−ビスフォスファターゼの機能を抑制してフルクトースー1,6ー二リン酸をフルクトースー6ーリン酸に代謝する反応を抑制することが可能であり、これによって血液中のヘモグロビンHbA1cの過剰増加を回避することができる。 以下、図面に基づいて本発明の実施態様を詳細に説明する。 本発明の肝臓内糖新生抑制剤は、ポリフェノール類の一種であるマンジフェリンを含有するものであって、特にスリランカ民主社会主義共和国原産の植物サラシアレティキュラータの木部や葉部を粉砕して得られる粉末やその木部や葉部から抽出処理によって得られるマンジフェリンを主成分とするものが望ましい。 上記マンジフェリンは、マンジフェリンを含有する植物、例えばサラシアレティキュラータやマンゴなどの木部や葉部を温度80℃以上の熱水やエタノール、酢酸エチル等の有機溶剤で抽出、濾過、分画処理等によって得られる溶液や懸濁液などが望ましい。特に、マンジフェリンは、サラシアレティキュラータの幹部の樹皮と根皮に多く含まれ、そのエタノール抽出物がマンジフェリンの含有量が多い。なお、懸濁液とは、濾過により大きなゴミなどを除去した後の微小の固形物が分散された状態の溶液である。さらに、上記組成物は、上記の溶液や懸濁液などの濃縮液やその水分や有機溶剤を乾燥除去した後に残る粉末等の固形分であってもよい。 また、本発明の肝臓内糖新生抑制剤を含有する食品または食品配合剤は、マンジフェリンを含有するものであって、特にマンジフェリンを含有する植物の木部や葉部を粉砕して得られる木質粉末や上記の各種の抽出処理方法によって得られる各種の組成物を含有しているものである。この組成物の食品または食品配合剤への含有率は、例えば食味を損なわない程度とすれば、食品から摂取することができるので、摂取が容易である。 図1は、本発明の肝臓内糖新生抑制剤の作用機序を説明する模式図である。図1において、本発明の肝臓内糖新生抑制剤1の主成分が、肝臓2と筋肉3とにおける糖新生に対する遺伝子調節に及ぼす影響を示している。糖新生に関係する律速酵素は、図示するように、肝臓型フルクトースー1,6ービスフォスファターゼ酵素4(以下、FBP1という。)と、筋肉型フルクトースー1,6ービスフォスファターゼ酵素5(以下、FBP2という。)などである。本発明の肝臓内糖新生抑制剤1の主成分は、FBP1の遺伝子発現を抑制することにより、肝臓でのグルコース生成を抑制し、ヘモグロビンA1c値を低下させる(図中の白抜き⊥印参照)。なお、本発明の肝臓内糖新生抑制剤1の主成分は、FBP2の遺伝子発現を抑制しない。 次に、本発明の肝臓内糖新生抑制剤1の作用機序をさらに詳しく説明する。 通常、栄養分の摂取により血中のグルコース濃度が上昇すると、膵臓から分泌されるインシュリンの働きにより肝臓、筋肉、脂肪組織などのへのグルコースの取り込みが促進される。また、筋肉などでの消費により、血中のグルコース濃度が低下すると、膵臓からのアルカゴンの働きにより、肝臓は主として糖新生を行い、グルコースを血液中に放出する。 図2は、肝臓の糖代謝を説明する模式図である。図2に示すように、グルコースは、グリコーゲンからグルコースー1ーリン酸、グルコースー6ーリン酸を経て生成される一方、グルコースー6ーリン酸、フルクトースー6ーリン酸、フルクトースー1,6ー二リン酸、ホスホエノールピルビン酸、ピルビン酸、アセチルCoA(アセチルコエンチーム)を経て、TCA(トリカルボン酸)サイクルの化合物に変換される。 糖尿病時には、グルコースからグルコースー6ーリン酸、グルコースー1ーリン酸を経るグリコーゲンの合成と、グルコースからグルコースー6ーリン酸、フルクトースー6ーリン酸、フルクトースー1,6ー二リン酸、ホスホエノールピルビン酸、ピルビン酸、アセチルCoA(アセチルコエンチーム)を経て、TCA(トリカルボン酸)サイクルの化合物に至るグルコースの代謝などが抑制される一方、逆にグリコーゲンからグルコースー1ーリン酸、グルコースー6ーリン酸を経るグリコーゲンの分解と、糖新生などが促進されることにより、血中へのグルコースの放出が増加する。ここで、糖新生とは、一旦、代謝で得られたピルビン酸がオキサロ酢酸(TCAサイクル内)を経て、ホスホエノールピルビン酸、フルクトースー1,6ーニリン酸、フルクトースー6ーリン酸、グルコースー6ーリン酸を経てグルコースを生成することであって、空腹時においてはグリコーゲンが少ないため、グリコーゲンの分解に比して大量に進行する。 図2において、グルコースー6ーフォスファターゼ、フルクトースー1,6ービスフォスファターゼ、フォスフォエノールピルビン酸カルボキシナーゼ、ピルビン酸カルボキシラーゼは、糖新生の律速酵素(Key Enzyme)である。第1のグルコースー6ーフォスファターゼは、グルコースー6ーリン酸からグルコースを生成する機能を有するものであり、第2のフルクトースー1,6ービスフォスファターゼは、フルクトースー1,6ー二リン酸からフルクトースー6ーリン酸を生成する機能を有するものであり、第3のフォスフォエノールピルビン酸カルボキシキナーゼは、オキサロ酢酸からホスホエノールピルビン酸を生成する機能を有するものであり、第4のピルビン酸カルボキシラーゼは、ピルビン酸からオキサロ酢酸を生成する機能を有するものである。従って、これらの律速酵素のいずれかの機能を抑制することにより、糖新生を抑制することができる。 本発明の肝臓内糖新生抑制剤1は、解糖系に関与する酵素の遺伝子の発現量に変化を与えないで、糖新生の律速酵素であるFBP1の遺伝子発現を抑制するものである。図2に示すように、本発明の肝臓内糖新生抑制剤1は、FBP1の遺伝子発現を抑制することにより、フルクトースー1,6ー二リン酸をフルクトースー6ーリン酸に変換する反応10を抑制する。グリコーゲンの分解は糖新生の量に比して遥かに少量であるので、特に考慮する必要はない。このように、糖新生の律速段階を抑制することによって、糖尿病時における糖新生亢進を抑制し、結果的に肝臓内での代謝や他の物質への変換を促進させることで、血糖値を低下させる。なお、本発明の肝臓内糖新生抑制剤1は、筋肉型の律速酵素であるFBP2には作用しない。肝臓内糖新生抑制剤1は、肝臓において、糖新生の律速酵素ひとつであるFBP1のメッセンジャーRNA(以下、mRNAと呼ぶ)の発現量を減少させ、肝臓の糖新生を抑制する。 先ず、本発明の肝臓内糖新生抑制剤1を含有する組成物の抽出について説明する。 植物サラシアレティキュラータの木部粉末1kgをエタノール500cm3に浸漬し、得られた抽出液を分液漏斗でアセト酢酸エステル可溶部と水可溶部とに分画し、アセト酢酸エステル可溶部をシリカゲルカラムで分画し、アセト酢酸エステルを分離してマンジフェリン(UVスペクトル吸収、λma:nm z241、258、319、363)を主成分とする粉末を得た。また、熱水抽出、分画によっても同様にマンジフェリン粉末を得た。 実験動物としてKKーAyマウス(オス5週齢)を使用し、3週間にわたる高脂肪食を摂取させた後に、実施例のマウスと比較例のマウスのグループに分け、実施例のマウス(以下、KT群という)には、上記マンジフェリンの水溶液と実験動物用固形飼料(オリエンタル酵母株式会社製、商品名MF)とを一週間にわたって摂取させた。比較例のマウス(以下、C群という)には、上記マンジフェリン水溶液に代えて純水を与えた以外は実施例のマウスと同じ飼料を一週間にわたって摂取させた。次に、両グループのマウスに一週間にわたって普通食を摂取させた。ヘモグロビンHbA1c値を測定すると、マンジフェリンを摂取させたグループのマウスのヘモグロビンHbA1cは顕著に改善された。次に両グループのマウスを1週間飼育した後、屠殺し、肝臓および筋肉を摘出した。 図3は、遺伝子特定解析ツール(spot fire)を用いて遺伝子発現強度を視覚的に表したものであり、図4は上から糖質代謝、脂質代謝、薬物代謝、がん遺伝子の各カテゴリーにおいて変動した遺伝子の数を示しており、今回検出された遺伝子数は、10938であり、比較例のC群に比べて、マンジフェリン水溶液を摂取させた実施例のKT群では、遺伝子発現強度が2倍以上の遺伝子が105個、遺伝子発現強度が2分の1以下の遺伝子が132個であった。図4において、糖代謝ではNCが23個、発現強度の強かった遺伝子が2個、発現強度の弱かった遺伝子が1個だった。この糖質代謝についてさらに検討した。 図5は、肝臓における糖質代謝を示すものであって、DNAマイクロアクロレイ解析の結果、比較例のC群に比べて、マンジフェリン水溶液を摂取させた実施例のKT群では、遺伝子発現強度が強かった遺伝子は、解糖系のピルベートキナーゼ(pyruvate kinase)とグリコーゲン合成系のUDP−グルコース デヒドロゲナーゼ(UDP−glucose dehydrogenase)であった。そこで、糖新生系の律速酵素に着目した。4つの律速酵素が存在するが、特に前述のFBP1の遺伝子発現強度がC群に比してKT群では弱くなっていた。 図6は、RT−PCR解析に関するものであって、これによってもFBP1のmRNAの遺伝子発現量の減少を確認した。RT−PCR解析によれば、比較例のC群のmRNAの量を1として、マンジフェリン水溶液を摂取させた実施例のKT群のmRNAの量を算出した結果、このmRNAの量は比較例のC群のmRNAの量に比べて約3分の1に減少していた。 次に、マウス培養肝細胞(IMH2)にマンジフェリン水溶液を添加し、37℃で4時間インキュベートした後、total RNAを抽出し、RT−PCR法でFBP1のmRNA量を測定した。図7に示すように、マンジフェリン水溶液を摂取させた実施例のKT群のmRNAの量は比較例のC群のmRNAの量に比べて約3分の1に減少していた。 図8、図9は、マンジフェリン水溶液KTおよびこれに加えてactinomycin D(Act D)またはcycloheximide(CHX)をマウス培養肝細胞(IMH2)に作用させ、FBP1のmRNA量を測定したものである。マンジフェリン水溶液KTにより、FBP1のmRNA量が減少し、さらにAct Dの添加により、FBP1のmRNA量が減少した。次に、CHXの添加によりスーパーインダクションが誘導され、FBP1のmRNA量が増加した。このことにより、マンジフェリン水溶液は、FBP1のmRNA量の不安定化に関与している可能性がある。 図10は、マンジフェリン水溶液をマウス培養肝細胞(IMH2)に添加し、37℃でインキュベートした後、RT−PCR法でFBP1のmRNA量を測定した。マンジフェリン水溶液により、FBP1のmRNA量が約3分の1以下に減少した。なお、マンジフェリンの濃度は1×10−9,1×10−10Mの濃度を使用した。 以上の実施例と比較例から分かるように、マンジフェリンを摂取させた実施例では、糖新生の律速酵素であるFBP1の遺伝子発現量が減少し、本発明の組成物は糖新生を抑制することが明らかである。 本発明の肝臓内糖新生抑制剤の作用を説明する模式図である。 本発明の肝臓内糖新生抑制剤を摂取したときの肝臓の糖代謝を説明する模式図である。 遺伝子発現強度を視覚的に表した写真である。 各カテゴリーにおいて変動した遺伝子の数を示す表である。 肝臓における糖質代謝を示す表である。 RT−PCR解析についての実施例を示すグラフである。 IMH2にマンジフェリン水溶液を添加した実施例を示す図である。 IMH2にマンジフェリン水容液等を添加した実施例を示す図である。 IMH2にマンジフェリン水溶液を添加した実施例の結果を示す図である。 IMH2にマンジフェリン水溶液等を添加した実施例の結果を示す図である。 符号の説明 1 肝臓内糖新生抑制剤 2 肝臓 3 筋肉 4 肝臓型フルクトースー1,6ービスフォスファターゼ酵素(FBP1) 5 筋肉型フルクトースー1,6ービスフォスファターゼ酵素(FBP2) 10 フルクトースー1,6ー二リン酸をフルクトースー6ーリン酸に代謝する反応 マンジフェリンを主成分として含有し、肝臓内での糖新生が行われる際の多数の段階内の律速段階において機能する律速酵素の遺伝子発現を抑制することを特徴とする肝臓内糖新生抑制剤。 前記律速酵素は、フルクトースー1,6ー二リン酸をフルクトースー6ーリン酸に代謝する反応を機能させるフルトース−1,6−ビスフォスフアターゼであることを特徴とする請求項1記載の肝臓内糖新生抑制剤。 請求項1または請求項2に記載の肝臓内糖新生抑制剤を食品または食品配合剤に含有させたことを特徴とする肝臓内糖新生抑制剤を含有する食品または食品配合剤。 【課題】グリコーゲン以外の他物質からの糖新生を抑制する効果を有する肝臓内糖新生抑制剤およびそれを含有する食品または食品配合剤の提供。【解決手段】キサントン骨格を有する配糖体であるマンジフェリンを主成分として含有し、肝臓2内での糖新生が行われる際の多数の段階内の律速段階において機能する律速酵素(特に、フルクトース−1,6−ビスフォスファターゼ4)の遺伝子発現を抑制する肝臓内糖新生抑制剤1。食品または食品配合剤に利用することができる。【選択図】図1