生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アミン含有組成物およびその使用
出願番号:2006048872
年次:2006
IPC分類:A61K 8/41,A61K 8/97,A61K 8/67,A61Q 19/06,A61Q 19/08


特許情報キャッシュ

マイケル・ディー・サウスオール キャサリン・マーティン エルビン・アール・ルーケンバック バイノイ・ケイ・ボルドロイ メナス・キゾウリス アポストロス・パッパス キャサリン・スタブラー・サレルノ エドアルド・ルボロ フィリス・ミッチェル ニーナ・ティアニー ディアナ・エル・キング コニー・バオゼン・リン リチャード・チャールズ・スカルパ JP 2006232838 公開特許公報(A) 20060907 2006048872 20060224 アミン含有組成物およびその使用 ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・カンパニーズ・インコーポレイテッド 502112382 JOHNSON & JOHNSON,CONSUMER,COMPANIES,INC. 田澤 博昭 100066474 加藤 公延 100088605 田澤 英昭 100123434 濱田 初音 100101133 マイケル・ディー・サウスオール キャサリン・マーティン エルビン・アール・ルーケンバック バイノイ・ケイ・ボルドロイ メナス・キゾウリス アポストロス・パッパス キャサリン・スタブラー・サレルノ エドアルド・ルボロ フィリス・ミッチェル ニーナ・ティアニー ディアナ・エル・キング コニー・バオゼン・リン リチャード・チャールズ・スカルパ US 11/066,362 20050225 US 11/223,032 20050909 US 11/312,984 20051220 US 11/351,865 20060210 A61K 8/41 20060101AFI20060811BHJP A61K 8/97 20060101ALI20060811BHJP A61K 8/67 20060101ALI20060811BHJP A61Q 19/06 20060101ALI20060811BHJP A61Q 19/08 20060101ALI20060811BHJP JPA61K8/41A61K8/97A61K8/67A61Q19/06A61Q19/08 7 OL 39 4C083 4C083AA111 4C083AA112 4C083AB032 4C083AB432 4C083AC012 4C083AC072 4C083AC122 4C083AC152 4C083AC172 4C083AC232 4C083AC352 4C083AC422 4C083AC442 4C083AC482 4C083AC521 4C083AC522 4C083AC532 4C083AC692 4C083AD072 4C083AD152 4C083AD162 4C083AD282 4C083AD621 4C083AD622 4C083CC05 4C083EE12 4C083EE13開示の内容〔発明の背景〕 N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンが、触媒としての使用について開示されている。例えば、PCT特許出願番号WO/0170132は、N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの使用を、皮膚への注射に先行して微小球を重合させる触媒として記述している。微小球の皮膚への注射は、しわなどの皮膚の輪郭の欠陥を補強する作用を果たす。サリチル酸の減少を防止するキレート化剤としてのN,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンなどの三級アミンの使用は、米国特許第4,822,604号に記述されている。 化粧品中のN,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの応用は、欧州特許第0023978に記述されており、それによれば、N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンを使って、酸性配合物を中和することによってトリエタノールアミンを含有する化粧品およびトイレタリー用品中の発がん性ニトロサミンの発生が回避される。米国特許第4,749,507号は、毛髪および皮膚からのヘアダイ除去へのN,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの使用を記述しており、また、米国特許第3,916,008号は、エチレンジアミンエステルの使用が、動物およびヒトにおいて、血中コレステロール低下剤として有用である、と述べている。Bhide MV et al., Immunopharmacol. 1985; 7(3): 303-312は、N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンで培養物中マクロファージを処理すると、炎症誘発応答であるマクロファージの活性化を高める、と報告した。 本発明は、N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンなどの特定のアミン化合物が、老化の徴候の治療、目の周りの変色および/または腫れ、皮膚の炎症、にきび、皮膚の脂分または毛穴の目立ちの軽減、および/または皮膚の褐色化に局所的に有効であるという予想外の発見に関する。さらに、予想外にも、当該アミン化合物が、他の美容活性物質の活性増強能を有することも発見された。〔発明の概要〕 ある態様では、本発明は、(i) 皮膚の老化の少なくとも1種類の徴候の治療で、当該皮膚の弾力性を高める、当該皮膚の引き締まりを強める、皮膚のしわやセルライトの目立ちを軽減することから成る群から選択される治療、(ii)にきび以外の皮膚の炎症などの炎症の治療、(iii)目の周りの変色や腫れの目立ちの軽減、(iv)にきびの治療、(v)皮膚の脂分または毛穴の目立ちの軽減および/または(vi)皮膚の褐色化の方法であって、前記治療を必要とする皮膚に、下記の式Iまたは式IIの少なくとも1種類の化合物を含む組成物を投与することによる方法を特徴とする。 別の態様では、本発明は、(a)下記の式Iまたは式IIの少なくとも1種類の化合物を含む組成物および(b)当該組成物のユーザーの皮膚への塗布の仕方を指示する説明書を含有する製品であって、(i)皮膚の弾力性を高め、皮膚の引き締まりを強化し、皮膚のしわの目立ちを軽減することから成る群から選択される方法で皮膚の老化の少なくとも1種類の徴候を治療し、(ii)にきび以外の皮膚の炎症などの炎症を治療し、(iii)目の周りの変色や腫れの目立ちを軽減し、(iv)にきびを治療し、(v)皮膚の脂分または毛穴の目立ちを軽減する、および/または、(vi)皮膚を褐色化することを目的とする製品を特徴とする。 別の態様では、本発明は、下記の式Iまたは式IIの少なくとも1種類の化合物を含む組成物を促進する方法であって、当該方法が、(i)当該皮膚の弾力性を高め、当該皮膚の引き締まりを強化し、皮膚のしわの目立ちを軽減することから成る群から選択される皮膚の老化の少なくとも1種類の徴候を治療し、(ii)にきび以外の皮膚の炎症などの炎症を治療し、(iii)目の周りの変色や腫れの目立ちを軽減し、(iv)にきびを治療し、(v)皮膚の脂分または毛穴の目立ちを軽減し、および/または、(vi)皮膚を褐色化することを目的に、当該方法は、当該組成物の皮膚への塗布法をユーザーに指示することを含む方法も特徴とする。 ある実施態様では、本発明は美容活性剤の活性を増強する方法であって、当該活性剤による治療を必要とする皮膚に、下記の式Iまたは式IIの少なくとも1種類の化合物と当該活性剤を含む組成物を投与することによる方法を特徴とする。 ある実施態様では、本発明は、組成物であって、(a)下記の式Iまたは式IIの少なくとも1種類の化合物と、(b)ナツシロギク抽出物、大豆抽出物、抗炎症剤、レチノール、トコフェロール、サンスクリーン、真菌抽出物、またはプロテアーゼなどの酵素から成る群から選択される少なくとも1種類の物質を含む組成物を特徴とする。本発明の他の特徴および長所は、発明の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになる。〔発明の詳細な説明〕 当業者は、本明細書の記述に基づいて、最大限に本発明を活用できる、と考えられる。以下の具体的な実施態様は、単なる例示であって、本開示の残り部分を、なんであれ、制約するものではないと見なすべきである。 他に規定されない限り、本明細書で使用される全技術および科学用語は、本発明が属する技術の普通の熟練者によって一般に理解されている意味と同一の意味を有する。また、本明細書で言及される全出版物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照することによって組み入れられている。他に指定されない限り、パーセンテージは、重量%(即ち、W/W%)を指す。定義 「皮膚の老化の徴候を治療するまたは治療すること」は、皮膚のしわの目立ちを軽減し、および/または皮膚の引き締まりまたは弾力性を強化することで、たるんだ、緩んだ、および弛緩した皮膚を治療すること、または、皮膚を引き締めることを含むが、それらに制約されない。 「美容活性剤の活性を増強すること」の意味するものは、抗炎症活性剤、または、レチノールおよびレチノイン酸などのレチノイドなど、他の美容活性剤の活性を促進、強化または持続することである。 「にきびを治療すること」が意味するものは、にきびまたは酒さを軽減または防止することである。ある実施態様では、にきびの治療に使用される組成物は、レチノイン酸、ベニバナ油(リノール酸を含有するベニバナ油など)、またはリノール酸を含有しない。 「皮膚の炎症を治療すること」が意味するものは、皮膚の発赤または炎症を軽減または防止することである。「皮膚のにきび以外の炎症を治療すること」は、にきびを原因としない皮膚の発赤または炎症を軽減または防止することである。ある実施態様では、炎症の治療に使用される組成物は、レチノイン酸、ベニバナ油、またはリノール酸を含有しない。 「トコフェロール」が意味するものは、α-トコフェロールまたはその異性体(β-トコフェロール、δ-トコフェロールまたはγ-トコフェロールなど)、もしくはその塩またはエステル(酢酸α-トコフェロール、コハク酸塩またはパルミチン酸塩など)である。 「サンスクリーン」が意味するものは、290〜400 nmの波長のUV放射線を吸収、反射、散乱させる活性成分である。米国食品医薬品局によって承認されているサンスクリーンの例は、アボベンゾン、シノキセート(Cinoxate)、ジオキシベンゾン、エンスリゾール(Ensulizole)、ホモサレート、メンチルアントラニレート(Menthyl anthranilate)、オクトクリレン、オクチルジメチルPABA、メトキシ桂皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、スリソベンゾン(Sulisobenzone)、二酸化チタン、サリチル酸トロラミンおよび酸化亜鉛を含む。EUで承認されている別のサンスクリーンの例は、3-ベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファースルホン酸、ビシミダジレート(Bisymidazylate)、カンファーベンザルコニウムメトサルフェート、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ジエチテキシルブタミドトリアゾン(Diethythexyl butamido triazone)、マロン酸ジメチコジエチルベンザル(Dimethicodiethylbenzal malonate)、ドロメトリゾールトリシロキサン(Drometrizole trisiloxane)、エカンスル(Ecamsule)、エンスリゾール(Ensulizole)、p-メトキシ桂皮酸イソアミル、4-メチルベンジリデンカンファー、PEG-25 PABA、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、チノソルブ-M(Tinosorb-M)、およびチノソルブ-S(Tinosorb-S)を含む。 「抗炎症剤」が意味するものは、下記の実施例6に述べるアッセイにおいて、インターロイキン-2、インターロイキン-γ、組織壊死因子-α、および/または、顆粒球マクロファージ刺激因子に対して100μg/mL未満の、もしくは、100μg/mLに等しいIC50を有する薬剤である。抗炎症剤の例は、非ステロイド抗炎症剤(例、イブプロフェン、アスピリン、ナプロキセンおよびアセトアミノフェン)、麻酔薬(例、ベンゾカイン、リドカインおよび塩酸プラモキシン)、コルチコステロイド(例、二プロピオン酸ベータメサゾン(betamethasone dipropionate)、バレリアン酸ベータメサゾン(betamethasone valerate)、プロピオン酸クロベタゾール、二酢酸ジフロラゾン(diflorasone diacetate)、プロピオン酸ハロベタゾル(halobetasol propionate)、アムシノニド、デソキシメタゾン(desoximetasone)、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ハルシノニド、酢酸トリアムシノロン、ハイドロコーチゾン、バレリアン酸ハイドロコーチゾン、酪酸ハイドロコーチゾン、二プロピオン酸アクロメタゾン(aclometasone dipropionte)、フルランドレノリド(flurandrenolide)、フロン酸モメタゾン(mometasone furoate)、酢酸メチルプレドニゾロン)、ビタミンD化合物(例、カルシポトリエン(calcipotriene))、および各種植物抽出物(例、ナツシロギクおよび大豆抽出物)を含むが、それらに制約されない。 「製品」が意味するものは、最終包装形態の製品である。ある実施態様では、パッケージは、本組成物を含有するプラスチック、金属またはガラスチューブまたはジャーなどの容器である。当該製品は、さらに、当該容器を貯蔵するためのプラスチックまたはダンボール箱などのさらなるパッケージングを含有できる。ある実施態様では、当該製品は、(i)当該皮膚の弾力性を高め、当該皮膚の引き締まりを強化し、皮膚のしわの目立ちを軽減することから成る群から選択される皮膚の老化の少なくとも1種類の徴候を治療し、(ii)にきび以外の皮膚の炎症などの炎症を治療し、および/または(iii)目の周りの変色や腫れを治療する本組成物の投与法をユーザーに指示する説明書を含む。当該説明書は、容器上に印刷すること、能書であること、あるいは、いずれかの別のパッケージング上に印刷することができる。 「皮膚細胞を収縮させる」が意味するものは、皮膚細胞の少なくとも1つの寸法の長さを縮小させることである。皮膚細胞の例は、ケラチノサイトを含むが、それに制約されない。 「促進すること」が意味するものは、促進、宣伝、または販売である。促進の例は、製品自体または販売店、雑誌、新聞、ラジオ、テレビ、インターネットなどで行う書面による、視覚による、口頭によるメッセージを含むが、それらに制約されない。 皮膚細胞の収縮を宣伝する場合、前記メッセージの例は、「皮膚細胞を収縮させる」、「ケラチノサイトを収縮させる」、「皮膚細胞を縮める」および「ケラチノサイトを縮める」を含むが、それらに制約されない。前記の視覚によるメッセージは、収縮した細胞を表す皮膚細胞および/または細胞の収縮を示す(皮膚細胞の少なくとも1つの寸法の長さの縮小を示す)デジタル画像、写真、絵、または映画を含む。ある実施態様では、皮膚細胞は、表皮上部の細胞である。 老化の徴候の治療を宣伝する場合、前記メッセージの例は、「皮膚の弾力性を高める」「皮膚の状態の、目でみた感じ、および触った感じが改善される」、「皮膚の弾力性または引き締まりを増加させる」、「皮膚の弾力性を回復する」、「たるんだ、または、緩んだ皮膚を治療する」、「セルライトの目立ちを減少させる」、「皮膚を引き上げる」および「顔を引き上げる」、「皮膚を引き締める」、「顔を引き締める」、「皮膚の若返り」、「若々しい引き締まりを回復する」、「顔の輪郭を改善する」および「皮膚をより若く見せる」を含むが、それらに制約されない。 炎症の治療を宣伝する場合、前記メッセージの例は、「炎症を軽減する」、「発赤を軽減する」、「炎症の目立ちを軽減する」を含むが、それらに制約されない。 目の周りの変色または腫れの目立ちの軽減を宣伝する場合、前記メッセージの例は、「目の周りの腫れを軽減する」、「目の下のたるみの目立ちを軽減する」、「目の下のくまの目立ちを軽減する」および「目の下のくまを治療する」であるが、それらに制約されない。 にきびの治療を宣伝する場合、前記のメッセージの例は、「にきびを治療する」、「にきびを防ぐ」、「にきび病巣、コメドまたは吹き出物を軽減する」、「にきび病巣、コメドまたは吹き出物の目立ちを軽減する」、「にきび発疹および染みの目立ちを軽減する」、「にきび発疹および染みの目立ちを防止、抑制または調節する」および「発疹および染みを軽減する」を含むが、それらに制約されない。 皮膚上の脂分の目立ちの軽減を宣伝する場合、前記のメッセージの例は、「皮脂の目立ちを軽減する」、「皮脂の産生を防止、抑制または調節する」、「皮脂を軽減する」、「脂性の/てかりのある皮膚の目立ちを軽減する」、「脂ぎった皮膚の目立ちを軽減する」および「皮膚のてかりを軽減する」を含むが、それらに制約されない。ある実施態様では、にきびの治療を必要としない皮膚(即ち、にきびを生じていない皮膚)に本組成物を塗布する。 皮膚の毛穴の目立ちの軽減を宣伝する場合、前記のメッセージの例は、「毛穴の大きさを縮小する」、「毛穴の目立ちを最小限に抑える」、「毛穴の目立ちを整える」、「目に見える毛穴を軽減する」、および「開いた毛穴を閉じる」を含むが、それらに制約されない。ある実施態様では、にきびの治療を必要としない皮膚(即ち、にきびを生じていない皮膚)に前記組成物を塗布する。 皮膚の褐色化を宣伝する場合、前記のメッセージの例は、「肌を焼く」、「肌の色調を褐色にする」および「皮膚の白い部分の目立ちを軽減する」、「肌の明るさを増強または促進する」、「肌の輝きを強めるまたは促進する」、「肌をブロンズ色にする」および「肌の陰の部分を褐色にする」を含むが、それらに制約されない。ある実施態様では、皮膚の褐色化に使用する組成物は、ジヒドロキシアセトンを含有しない。 本明細書で使用する場合、用語「しわ」は、微細な線、細かいしわ、太いしわ、セルライト、瘢痕および妊娠線を含む。しわの例は、目の周りの微細な線(例、からすの足跡)、額および頬のしわ、眉間の縦じわ、口の周りの笑いじわを含むが、それらに制約されない。 本明細書で使用する場合、「前記の治療を必要とする皮膚に投与すること」は、前記治療を必要とする皮膚領域、または、前記治療を必要とする皮膚領域に隣接した領域に (例えば、手、または、アプリケーター(拭き取りシート、チューブ、ローラー、スプレーまたはパッチなどであるが、それらに制約されない)を使用して) 接触することを意味する(例、治療を必要とする領域に隣接する領域に接触し、それによって、前記治療を必要とする皮膚領域を引き締める)。 本明細書で使用する場合、「組成物」は、皮膚への投与に適した組成物を意味する。 本明細書で使用する場合、「化粧品として受容可能な」は、当該用語が表す成分が、皮膚との接触による使用に適し、過度の毒性、配合禁忌、不安定性、刺激、アレルギー応答などを伴わないことを意味する。 本明細書で使用する場合、「安全で、有効な量」は、組織の弾力性の強化を誘発するのに十分であるが、重篤な副作用を回避できるだけの少ない化合物、キャリアまたは組成物の量を意味する。当該化合物または組成物の安全で有効な量は、治療対象領域、末端ユーザーの年齢、健康および皮膚のタイプ、当該治療の持続期間および性質、用いられる特定の化合物または組成物、利用される特定の化粧品として受容可能なキャリア、および同様の要因によって異なることになる。 化合物 本発明の組成物は、少なくとも1種類の式Iまたは式IIの化合物を含有し、式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、独立して、水素、C1〜C6アルキル、およびC1〜C6ヒドロキシアルキル、または化粧品として受容可能なその塩から成る群から選択される。 ある実施態様では、本発明の組成物は、少なくとも1種類の式Iの化合物を含有し、R1、R2、R3およびR4は、C1〜C3アルキルおよびC1〜C3アルカノールから成る群から選択される。さらなる実施態様では、式IのR1、R2、R3およびR4の少なくとも1個は、少なくとも1個のヒドロキシル基を保持するC2〜C3アルカノール基である。 式Iの化合物の例は、N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン (THPED)、N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレン ジアミン(THEED)、N,N,N',N'-テトラメチルエチレン ジアミン(TEMED)(この構造を以下に示す)、それらのエナンチオマー、またはそれらのジアステレオ異性体、またはそれらの化粧品として受容可能な塩を含むが、それらに制約されない。 エチレンジアミンのプロピレンオキサイドとの反応から得られるN,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの合成は、米国特許第2,697,118号に記述されている。 本発明の化合物は、化粧品として受容可能な塩の形でも存在できる。医薬品に使用する場合、本発明の化合物の塩は、無毒の「化粧品として受容可能な塩」、化粧品として受容可能な酸性/陰イオンまたは塩基性/陽イオン塩を指す。化粧品として受容可能な酸性/陰イオン塩は、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重酒石酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カムシル酸塩(camsylate)、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシレート(edisylate)、エストレート(estolate)、エシレート、フマール酸塩、グリセプテート(glyceptate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシン酸塩(hexylresorcinate)、ヒドラバミン(hydrabamine)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩(hydroxynaphthoate)、ヨウ化物、イセチオン酸塩(isethionate)、乳酸塩、ラクトビオン酸塩(lactobionate)、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩(mandelate)、メシル酸塩(mesylate)、メチルブロマイド(methylbromide)、メチル硝酸塩(methylnitrate)、メチル硫酸塩(methylsulfate)、ムケート(mucate)、ナプシル酸塩(napsylate)、硝酸塩、パモ酸塩(pamoate)、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクトウロン酸塩(polygalacturonate)、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、スバセテート(subacetate)、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩(teoclate)、トシル酸塩(tosylate)およびトリエチオダイド(triethiodide)を含むが、それらに制約されない。化粧品として受容可能な塩基性/陽イオン塩は、アルミニウム、ベンザチン(benzathine)、カルシウム、クロロプロカイン(chloroprocaine)、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、リチウム、マグネシウム、メグルミン、カリウム、プロカイン、ナトリウムおよび亜鉛を含むが、それらに制約されない。しかし、本発明に従った化合物またはそれらの化粧品として受容可能な塩の調製に、他の塩が有用であることができる。有機または無機酸は、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硫酸、リン酸、プロピオン酸、グリコール酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸(hydroxyethanesulfonic acid)、シュウ酸、2-ナフタレンスルホン酸(2-naphthalenesulfonic acid)、p-トルエンスルホン酸(ptoluenesulfonic acid)、シクロヘキサンスルファミン酸(cyclohexanesulfamic acid)、糖酸(saccharinic acid)またはトリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid)も含むが、それらに制約されない。 ある実施態様では、本発明の組成物は、約0. 1重量%〜約5重量%の前記化合物、約0. 5重量%〜約3重量%の前記化合物など、約0.0 1重量%〜約10重量%の前記化合物を含有する。ある実施態様では、本組成物は、少なくとも2重量%の前記化合物など、少なくとも1重量%の前記化合物を含有する。組成物 本発明において有用な組成物は、ヒトの皮膚などの哺乳類の皮膚といった標的組織への投与に適した配合物を含む。ある実施態様では、本組成物は、安全で有効な量の(i)本発明の組成物および(ii)化粧品として受容可能なキャリアを含有する。ある実施態様では、化粧品として受容可能なキャリアは、本組成物の約50重量%〜約99.99重量%である(例、本組成物の約80重量%〜約99重量%)。 前記組成物は、多様な製品タイプに調製でき、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、スティック、スプレー、軟膏、クレンジング液および固形バー、シャンプーおよびヘアコンディショナー、ペースト、フォーム、粉末、ムース、シェービングクリーム、拭き取りシート、パッチ、マニキュア、創傷ドレッシングおよび絆創膏、ヒドロゲル、フィルム成形品、フェーシャルおよびスキンマスク、また、ファンデーションやマスカラ、アイライン、アイシャドーおよび口紅などのメーキャップ用品を含むが、それらに制約されない。これらの製品タイプは、数タイプの化粧品として受容可能なキャリアを含有でき、溶液、懸濁液、エマルジョン(ミクロエマルジョンやナノエマルジョンなど)、ゲル、固体およびリポソームを含むが、それらに制約されない。以下は、当該キャリアの無制約の例である。他のキャリアは、当該分野の普通の技術で配合できる。 本発明において有用な組成物は、溶液として配合することができる。溶液は、典型的には、水性または有機性溶媒を含む(例、約50%〜約99.99%または約90%〜約99%の化粧品として受容可能な水性または有機溶媒)。適切な有機溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(200〜600)、ポリプロピレングリコール(425〜2025)、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール(1,2,4-butanetriol)、ソルビトールエステル、1,2,6-ヘキサントリオール(1,2,6-hexanetriol)、エタノール、およびそれらの混合物を含む。 前記溶液から、ローションを調製できる。ローションは、典型的には、約1%〜約20%(例、約5%〜約10%)の皮膚柔軟剤、および、約50%〜約90%(約60%〜約80%)の水を含有する。本明細書で使用する場合、「皮膚柔軟剤」は、乾燥の防止または緩和、並びに、皮膚または毛髪の保護に使用される材料を指す。皮膚柔軟剤の例は、国際化粧品原料辞書およびハンドブック、Wenninger and McEwen編pp.1656-61、1626、および1654-55(The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Assoc., Washington, D.C., 7th Edition,1997) (以後、「ICIハンドブック」とする)に記述されているものを含むが、それらに制約されない。 溶液から配合できる別のタイプの製品は、クリームである。クリームは、典型的には、約5%〜約50%(例、約10%〜約20%)の皮膚柔軟剤と約45%〜約85%(例、約50%〜約75%)の水を含有する。 溶液から配合できるなおも別のタイプの製品は、軟膏である。軟膏は、動物、植物または合成油の単一基剤、または半固形炭化水素を含有できる。軟膏は、約2%〜約10%の皮膚柔軟剤+約0.1%〜約2%の増粘剤を含有できる。増粘剤の例は、ICIハンドブックpp.1693-1697に記述されているものを含むが、それらに制約されない。 本発明において有用な組成物は、エマルジョンとしても配合することができる。キャリアがエマルジョンである場合、当該キャリアの約1%〜約10%(例、約2%〜約5%)は乳化剤を含有する。乳化剤は、非イオン型、陰イオン型または陽イオン型であることができる。乳化剤の例は、ICIハンドブックpp.1673-1686に記述されているものを含むが、それらに制約されない。 ローションおよびクリームは、エマルジョンとして配合できる。典型的には、当該ローションは、約0.5%〜約5%の乳化剤を含有するが、当該クリームは、典型的には、約1%〜約20%(例、約5%〜約10%)の皮膚柔軟剤、約20%〜約80%(例、約30%〜約70%)の水、および約1%〜約10%(例、約2%〜約5%)の乳化剤を含有すると思われる。 水中油型および油中水型の、ローションおよびクリームなどの単一エマルジョンスキンケア製剤は、技術上周知であり、本発明において有用である。水中油中水型または油中水中油型などの多相エマルジョン組成物も、本発明において有用である。一般に、当該単一または多相エマルジョンは、必須成分として水、皮膚柔軟剤および乳化剤を含有する。 本発明の組成物は、ゲル(例、適切なゲル化剤を使った水性、アルコール、アルコール/水性、または油性ゲル)としても配合できる。水性および/またはアルコール性ゲルに適したゲル化剤は、天然ゴム、アクリル酸およびアクリレートポリマーおよびコポリマー、およびセルロース誘導体(例、ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース)を含むが、それらに制約されない。オイル(鉱物油など)に適したゲル化剤は、水添ブチレン/エチレン/スチレンコポリマーおよび水添エチレン/プロピレン/スチレンコポリマーを含むが、それらに制約されない。当該ゲルは、典型的には、約0.1重量%〜約5重量%の当該ゲル化剤を含有する。 本発明の組成物は、固形配合物にも配合できる(例、ワックス系スティック、固形石鹸組成物、粉末および粉末含有拭き取りシート)。 本発明において有用な組成物は、前述の成分の他に、確立された技術水準で皮膚使用組成物に普通に使用される多様な追加油溶性材料および/または水溶性材料を含有することができる。追加美容活性剤 ある実施態様では、当該組成物は、さらに、上記化合物の他に、別の美容活性剤を含有する。「美容活性剤」が意味するものは、組織への美容または治療効果を有する化合物(例、合成化合物または天然資源からの単離化合物または混合化合物を含む天然抽出物)であり、美白剤、褐色化剤(例えばセルフタニング剤)、にきび抑制剤、光沢コントロール剤、抗菌剤(抗酵母剤、抗真菌剤、抗細菌剤)、抗炎症剤、抗寄生虫剤、外用鎮痛剤、サンスクリーン、フォトプロテクター(photoprotectors)、酸化防止剤、角質溶解剤、洗浄剤/界面活性剤、保湿剤、栄養素、ビタミン、エネルギー増強剤、制汗剤、収斂剤、体臭防止剤、脱毛剤、育毛剤、発毛遅延剤、安定化剤、抗胼胝剤、スキンコンディショナー、抗セルライト剤、フッ化物、防臭剤(匂いマスキング)またはpH調整剤などを含むが、それらに制約されない。 ある実施態様では、美容活性剤は、ヒドロキシ酸、過酸化ベンゾイル、D-パンテノール、メトキシ桂皮酸オクチル、二酸化チタン、サリチル酸オクチル、ホモサレート、アボベンゾン、カロテノイド、フリーラジカルスカベンジャー、スピントラップ、レチノイドおよびレチノイド前駆物質(レチノール、パルミチン酸レチニルなど)、セラミド、ポリ不飽和脂肪酸、必須脂肪酸、酵素、酵素阻害剤、ミネラル、ホルモン(エストロジェンなど)、ステロイド(ハイドロコーチゾンなど)、2-ジメチルアミノエタノール、銅塩(塩化銅など)、銅含有ペプチド(Cu:Gly-His-Lysなど)、コエンザイムQ10、アミノ酸(プロリンなど)、ビタミン、ラクトビオン酸、アセチル-コエンザイムA、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、リボース、電子輸送体(NADHおよびFADH2など)、および他の植物抽出物(アロエ、ナツシロギクおよび大豆など)、およびそれらの誘導体および混合物をから成る群から選択されるが、それらに制約されない。当該美容活性剤は、典型的には、本発明の組成物中に当該組成物の約0.001重量%〜約20重量%、例えば、約0.01重量%〜約5重量%などの約0.005重量%〜約10重量%、の量で存在することになる。 ビタミンの例は、ビタミンA、ビタミンB群(ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB12など)、ビタミンC、ビタミンK、ビタミンE(α、γまたはδ-トコフェロールなど)、およびそれらの誘導体(塩およびエステルなど)および混合物を含むが、それらに制約されない。 ヒドロキシ酸の例は、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、および酒石酸を含むがそれらに制約されない。 酸化防止剤の例は、水溶性酸化防止剤を含み、スルフヒドリル化合物およびそれらの誘導体(例、メタ重亜硫酸ナトリウムおよびN-アセチル-システイン)、リポ酸およびジヒドロリポ酸、レスベラトロール、ラクトフェリン、およびアスコルビン酸およびアスコルビン酸誘導体(例、パルミチン酸アスコルビルおよびアスコルビルポリペプチド)があるが、それらに制約されない。本発明の組成物での使用に適した油溶性酸化防止剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド(例、レチノールおよびパルミチン酸レチニル)、各種トコフェロール(α、γまたはδ-トコフェロールおよびそれらの、アセテートなどのエステル)およびそれらの混合物、トコトリエノール、およびユビキノンを含むがそれらに制約されない。本発明の組成物での使用に適した酸化防止剤含有天然抽出物は、フラボノイド、イソフラボノイド(isoflavonoids)およびゲニステインおよびジアドゼイン(diadzein)などのそれらの誘導体を含有する抽出物(例、大豆およびクローバー抽出物、レスベラトロール含有抽出物など)を含むが、それらに制約されない。当該天然抽出物の例は、ブドウの種、緑茶、松の樹皮、およびプロポリスを含む。 酵素の例は、真菌プロテアーゼ、細菌プロテアーゼまたは哺乳類プロテアーゼなどのプロテアーゼを含むがそれらに制約されない。当該プロテアーゼの例は、ペプシン、カテプシン、ヒト尿酸プロテアーゼ、また、Neurospora oryzae(ニューロスポラオリゼー)、Mucor pusillus(ムコールプシルス)、Mucor miehei(ムコールミーヘイ)、Rhizopus chinensis(リゾープスチネンシス)、またはEndothia parasitica(エンドシアパラサイティカ)、および細菌プロテアーゼリゾプスペプシン(bacterial proteases rhizopuspepsin)、ペニシロペプシン(penicillopepsin)、およびエンドシアペプシン(endothiapepsin)を含むが、それらに制約されない。さらに、当該プロテアーゼは、遺伝子工学プロセスおよび技術を含むプロセスから誘導できる。 真菌抽出物の例は、Neurospora oryzae(ニューロスポラオリゼー)、Mucor pusillus(ムコールプシルス)、Mucor miehei(ムコールミーヘイ)、Rhizopus chinensis(リゾープスチネンシス)、またはEndothia parasitica(エンドシアパラサイティカ)からの抽出物を含むが、それらに制約されない。当該プロテアーゼおよび真菌抽出物を含有する組成物の例は、米国特許第5,976,556号に開示されている。 式IおよびIIの化合物の刺激緩和効果は、特定の刺激性の美容活性剤の皮膚刺激作用の緩和に役立てることができる。当該皮膚刺激性美容活性剤の例は、レチノイドおよびその誘導体、過酸化ベンゾイル、レチノイド類、およびα-ヒドロキシ酸を含むがそれらに制約されない。レチノイドの例は、レチノール、レチノイン酸、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、レチナール、およびプロピオン酸レチニルを含むが、それらに制約されない。α-ヒドロキシ酸の例は、乳酸およびグリコール酸を含むが、それらに制約されない。 ある実施態様では、本組成物は、さらに、カフェイン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC、およびそれらの塩およびエステルから成る群から選択される化合物、あるいは、緑茶抽出物、ホースチェストナッツ抽出物、生存酵母細胞抽出物、およびキュウリ抽出物から成る群から選択される抽出物を含有する。 ある実施態様では、本組成物は、さらに、ジヒドロキシアセトンなどのセルフタニング剤、フォースコリン、エルスロース(erthulose)、皮膚褐色化ペプチド(LIGR、SLIGRLなど)、および、米国特許出願第2002/0197219号、第2002/0197281号、第2003/0138388号、および第2003/0232743号に開示されているその他の化合物、メラニンおよびメラニン誘導体(例、メラニンポリマーおよび低分子量水溶性メラニン誘導体)、およびヘディキウム属、ルバーブ(ダイオウ)(Rhubarb)、コケモモ(Bearberry)、並びに、ハリモクシュク(Onosis spinosa)根抽出物などのオノニス(Onosis)を含有する。合成メラニン誘導体の例は、米国特許第5,618,519号、5,384,116号および5,227,459号、および米国特許出願第2005/0129633号に記述されている。可溶性メラニン誘導体の例は、米国特許第5,744,125号、第5,225,435号、第5,218,079号および第5,216,116号に開示されている。市販の可溶性メラニン誘導体の例は、San-mar Laboratories, Inc.(Elmsford, N.Y.)のMelasyn-100(登録商標)および、Zylepsis (Ashford, Kent, 英国)のMelanze(登録商標)を含む。 ある実施態様では、本組成物は、さらに、レチノイド、およびα-ヒドロキシ酸、大豆抽出物、フィトエストロジェン(phytoestrogen)、エストロゲン、マンサクなどの収斂剤、トリクロサン、セルレニン、α-メチレン-γ-ブチララクトン(alpha-methylene-gamma-butyralactone)、カプリロイルグリシン(capryloylglycine)およびメチルグリシンなどのグリシン誘導体、サリチル酸、または過酸化ベンゾイルを含有する。植物抽出物 ある実施態様では、本発明の組成物は、さらに、植物抽出物を含有する。「植物抽出物」が意味するものは、植物から単離された化合物ブレンド品である。当該化合物は、植物の一部分以上(例、植物全体、植物の花、種、根、地下茎、茎、果実および/または葉)から、当該植物の一部を、例えば当該植物の花を挽くなど、物理的に取り出すことによって単離できる。当該化合物は、技術上周知の抽出手順を使って(例、C1〜C8低級アルコール、C1〜C8アルキルポリオール、C1〜C8アルキルケトン、C1〜C8アルキルエーテル、酢酸C1〜C8アルキルエステル、およびクロロホルムなどの有機溶媒、および/または、水などの無機溶媒、塩化水素酸などの無機酸、および水酸化ナトリウムなどの無機塩基の使用)、植物から単離することもできる。 ある実施態様では、前記植物抽出物(例、ナツシロギク抽出物または大豆抽出物)は、本組成物中に、本組成物の約0.001重量%〜約20重量%の量、特に約0.1重量%〜約10重量%の量で存在する。他に記述されない限り、当該抽出物の重量は、当該抽出物の乾燥重量を指す。ナツシロギク抽出物 ある実施態様では、本発明の組成物は、さらに、ナツシロギク抽出物を含有する。「ナツシロギク抽出物」が意味するものは、ナツシロギク植物から単離される化合物ブレンド品である。当該化合物の例は、アピゲニン-7-グリコシド、アピゲニン-7-グルクロニド、1-β-ヒドロキシアルブスカリン(1-β- hydroxyarbusculin)、6-ヒドロキシカンプフェロール-3,7-4'-トリメチルエーテル(タネチン)(6-hydroxykaempferol-3,7-4'- trimethylether (Tanetin))、6-ヒドロキシカンプフェロール-3,7-ジメチルエーテル(6- hydroxykaempferol-3,7-dimethyl ether)、8-β-レイノシン(8-β reynosin)、10-エピカニン(10-epicanin)、アスコルビン酸、β-カロテン、カルシウム、クロム、クリサンセモライド(chrysanthemolide)、クリサンセモミン(chrysanthemomin)、クリサルテン-A(chrysarten-A)、クリサルテン-C(chrsyarten-c)、クリソエリオール-7-グルクロニド(chrysoeriol-7-glucuronide)、コバルト、コスモシン(cosmosiin)、エポキシアーテモリン(epoxyartemorin)、ルテオリン-7-グルコシド、ルテオリン-7-グルクロニド、マングノリオリド(mangnoliolide)、パーセノリド(parthenolide)、クエルセタゲンチン-3,7,3'-トリメチルエーテル(quercetagentin-3,7,3'- trimethylether)、クエルセタゲチン-3',7-ジメチルエーテル(quercetagetin-3'7-dimethylether)、レイノシン(reynosin)、タナパルシン(tanaparthin)、タナパルシン-1α,4α-エポキシド、タナパルシン-1β,4β-エポキシド、β-コスツノリド(β-costunolide)、3-β-ヒドロキシ-パルテノリド(3-β-hydroxy-parthenolide)、および3,7,3'-トリメトキシクエルセタゲチン(3,7,3'- trimethoxyquercetagetin)を含むが、それらに制約されない。パルテノリドなどのナツシロギク植物中に存在するα-不飽和γ-ラクトンは、アレルギー反応を引き起こすことが周知である。そのため、ある実施態様では、ナツシロギク抽出物は、アレルギーを引き起こすα-不飽和γ-ラクトンを実質的に含有しない。パルテノリドを実質的に含有しないナツシロギク抽出物の調製は、米国特許出願第20040105905号の実施例1に開示されている。大豆抽出物 ある実施態様では、本発明の組成物は、さらに、大豆抽出物を含有する。「大豆抽出物」が意味するものは、大豆から単離される化合物ブレンド品である。当該大豆抽出物は、大豆の一部分のみ(例、脂質低減大豆粉末または濾過豆乳など)を含有でき、あるいは、大豆全体(大豆の粉砕粉末)を含有できる。当該大豆抽出物は、液状(例、豆乳)または固体(例、大豆粉末または豆乳粉末)であることができる。 当該大豆抽出物は、大豆粉末であることができる。大豆粉末は、乾燥大豆を挽くことによって調製できる。当該大豆粉末は、凍結乾燥できる。豆乳および豆乳粉末も、有用な大豆抽出物である。豆乳は、大豆から誘導される固体と水の配合物であり、その混合物は、濾去される不溶成分の一部または全部を有する。豆乳粉末は、濃縮豆乳であり、ある実施態様では、それは、凍結乾燥または噴霧乾燥状態である。豆乳製造手順は、以下の3通りの手順を含むが、それらに制約されない。即ち、第一の手順では、大豆を水に入れ、水を吸収させることによって、豆乳を調製できる。次に、膨潤した大豆を挽いた後、さらに水を追加する。その後、当該混合物を濾過し、不溶残渣を除去する。第二の手順では、大豆粉末からも豆乳を調製できる。大豆粉末を水と十分に混合し(例、少なくとも1時間)、次に、これを濾過プロセスに供し、不溶残渣を除去する。第三の手順では、豆乳粉末から、水を添加して豆乳を還元することもできる。当該豆乳は、大豆からの固体の約1重量%〜約50重量%(例、約5重量%〜約20重量%)を含むことができる。 周知の大豆活性成分は、イソフラボン、フィトエストロジェン、ゲニステイン、ダイドゼイン(daidzein)、グリシテイン(glycitein)、サポニン、およびフィトステロールを含むが、それらに制約されない。本発明で有用な大豆抽出物は、栽培地域、日照量、収穫時期などにかかわらず、全大豆種から生成できる。しかし、特定の系統、栽培地域または生育条件が好ましいと思われる。例えば、大豆トリプシン阻害剤(STI)含量またはイソフラボン含量に特に富んだ大豆株、または大豆中のSTIまたはイソフラボンを強化する生育条件が好ましいと思われるが、それらに制約されない。 ある実施態様では、大豆抽出物は、非変性大豆抽出物である。「変性」は、Bantam Medical Dictionary(1990編)に「熱、X線または化学物質によって引き起こされる蛋白の物理的および生理的性状の変化」と定義されている。これらの変化は、活性の損失(酵素の場合)および抗原性の損失(または変化)(抗原の場合)を含む。「非変性植物抽出物」が意味するものは、植物から抽出または誘導される生成物であって、当該植物抽出物の誘導のための加工(例、温度、抽出溶媒)によって、そのプロテアーゼ阻害活性が除去されない生成物である。ある当該プロテアーゼは、トリプシンである。ある実施態様では、本発明の大豆抽出物の非変性状態は、無傷大豆トリプシン阻害剤(STI)蛋白の存在によって、あるいは、そのトリプシン阻害活性によって測定される。 本発明の組成物に有用な大豆抽出物が独特の臭いを発する可能性のある点に、注意する必要がある。必要ならば、リポキシゲナーゼ-2-欠乏大豆(lipoxygenase-2- deficient beans)および変性糖プロファイルを有する大豆を含めて、しかし、それらに制約されずに、臭いを軽減することが周知の特定大豆株から誘導される大豆製品を使って、当該抽出物の臭いを軽減することができる。配合物中の酸素レベルの低減プロセスも、臭いを軽減することができる。臭いをマスクするために、各種マスキング剤または香料も使用できる。ある豆乳調製法は、大豆を脱イオン水または精製水に数時間浸漬し、十分に水和させた後に、少量の水を添加してそれらを粉砕する方法である。粉砕プロセスによって、豆乳の抽出が可能になる。収集後、豆乳を濾過し、豆殻の残留部分を除去できる。 下記の配合物に使用される豆乳は、上記のように、生の豆乳であるか、大豆粉末と水から調製することができる。大豆を粉砕し、大豆粉末とするが、当該粉末を凍結乾燥、噴霧乾燥、フリーズドライすることもでき、また、得られた豆乳を濾過することも、あるいは濾過しないこともできる。そのように調製された豆乳は、約1重量%〜約90重量%の乾燥大豆粉末を有することができる。別の例は、凍結乾燥、噴霧乾燥またはフリーズドライの豆乳から生成される豆乳粉末の使用であり、水を添加し、濾過または均質化を行って、あるいは、行わずに仕上げる。他の大豆抽出法を使って、下記の配合物中の活性成分を得ることも可能であると思われる。例えば、大豆のセリンプロテアーゼ阻害活性を保持するような方法で、また、好ましくは、蛋白STIがそのまま残る方法で、粉砕した大豆からエタノール/水混合物を使って活性成分を抽出し、当該抽出物からエタノールを除去することができる。ある実施態様では、本発明に用いられる大豆抽出物は、大豆抽出物1g当たり約1,000 cfu未満(1g当たり約100 cfu未満など)の微生物数を有する。 大豆抽出物は、γ線に曝露することができる。当該大豆抽出物は、約5〜約10 kGyのγ線など、約2〜約30 kGyのγ線に曝露することができる。当該処理法は、大豆抽出物の生物学的活性(例、セリンプロテアーゼ阻害活性)を維持しながら、当該大豆抽出物の微生物数を低減する。γ線による大豆抽出物の処理は、天然の色を維持し、強い悪臭を誘発しないなど、本組成物の化粧品としての気品を維持する。 単独またはγ線照射との併用で実施可能な大豆抽出物のプロテアーゼ阻害活性をも維持する他の抗菌プロセスは、X線、高エネルギー電子またはプロトンビーム、紫外線照射、静水圧への曝露、および、抗菌活性を有する化学物質の添加、および、それらの組み合わせを含むが、それらに制約されない。他の材料 本発明に有用な組成物中に、様々な他の材料も存在できる。これらは、湿潤剤、蛋白およびポリペプチド、防腐剤およびアルカリ剤を含む。当該各物質の例は、ICI Handbook, pp.1650-1667に公表されている。本発明の組成物は、キレート化剤(例、EDTA)および防腐剤(例、パラベン)も含有できる。適切な防腐剤およびキレート化剤の例は、ICI Handbook, pp.1626および1654-55に挙げられている。さらに、本発明で有用な組成物は、着色剤、染料、色素、乳白剤(例、二酸化チタン)および香料などの普通の化粧品用アジュバントを含有できる。ミネラルウォーター 本発明の組成物は、ミネラルウォーター、例えば、Evian(登録商標) Mineral Water (Evian, France)などの自然界で鉱化されたミネラルウォーター、を使って調製できる。ある実施態様では、ミネラルウォーターは、少なくとも約200 mg/L(例、約300 mg/L〜約1000 mg/L)の鉱化度を有する。ある実施態様では、当該ミネラルウォーターは、少なくとも約10 mg/Lのカルシウムおよび/または少なくとも約5mg/Lのマグネシウムを含有する。用途 本発明に従った組成物を使って、老化の徴候、目の周りの変色および腫れ、にきび、皮膚の白い部分、皮膚の目に見える毛穴および脂、乾燥肌、外的および遺伝的条件によって起こるようなにきび以外の炎症疾患など、多様な皮膚の状態を治療することができる。本発明の組成物の局所使用によって治療できる炎症疾患の例は、関節炎、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、脂漏性皮膚炎、湿疹、アレルギー性皮膚炎、多形性光線性発疹、炎症性皮膚病、毛嚢炎、脱毛、毒ヅタ、虫刺され、外在要因(化学物質、外傷、汚染物質(シガレット煙など)、日光や風への曝露を含むが、それらに制約されない)によって誘発される刺激、および、炎症から起こる二次的病態(乾皮症、角化症、掻痒症、炎症後色素増加症、瘢痕化などを含むが、それらに制約されない)を含むが、それらに制約されない。前記の目の周りの変色および腫れの例は、目の下のくまおよびたるみを含むが、それらに制約されない。ある実施態様では、治療対象の目の下のくまは、目の下の皮膚の血液濃度の増加が原因である。 本発明の組成物を含有する組成物および配合物は、普通の技術の熟練者に周知の方法を使って調製できる。〔実施例1〕電気細胞-基質間インピーダンス(Electric cell-substrate impedance)検出 細胞層の存在に起因する電気的変化を使用して、当該細胞層のバリア機能(細胞の腹側と基層の間の間隙形成)および細胞膜キャパシタンス(電気容量)を含む細胞の形態学的パラメーターを算出することができる(Giaever and Keese, Proceedings of National Academy of Sciences 88, 7896, 1991)。 細胞の形態学的パラメーターの変化を検出するには、電解質として普通の培養培地を使用することによって細胞または細胞培養物を付着できる参照電極と大き目の対向電極の間を流れる電流を利用することができる。電極上に細胞が存在しない場合、電流は、両電極表面から無制限に流れる。電極上に細胞を付着させ、塗布した場合、細胞膜が絶縁体として働くので、電流は、細胞下および細胞間の間隙中を流れる。 生存する、生育細胞の電気的変化は、長期間に亘って、リアルタイムで迅速にサンプリングすることができ、測定法は、非侵襲的である。この技術の例は、Applied Biophysics(Troy, NY)から入手できる電気細胞-基質インピーダンス検出システム (Electric Cell-substrate Impedance Sensing System(ECIS))である。ケラチノサイトの形態学的パラメーターの電気的変化を使って、抗老化効果のある新規化合物を特定することができる。 5%CO2/95%空気の加湿大気中、37℃で、ヒトケラチノサイトおよびEpilife培養培地(Cascade Biologics, Portland, OR)を培養した。電気細胞-基質インピーダンス検出システム (ECIS)の電極アレー(Applied Biophysics, Troy, NY)を、滅菌リン酸緩衝化食塩水(Gibco Life Sciences, San Diego, CA)中Laminin V(Sigma Aldrich, St Louis, MO)0.01 mg/mLでコーティングした。ヒトケラチノサイトは、Epilife培養培地中、細胞0.125 x 106個/mLの密度で調製した。ヒトケラチノサイトを、細胞5.0 x 104個/電極穴として流し込み、5%CO2/95%酸素の加湿大気中、37℃で24〜48時間培養した。ケラチノサイトのキャパシタンス変化(ナノファラド、nF)を、Electric Cell-substrate Impedance Sensing System(ECIS)1600R型(Applied Biophysics, Troy, NY)を使用し、40,000 Hzの周波数で、Wegenerらの方法(Wegener J, Keese CR, Giaever I, Exp Cell Res. 259:158-166, 2000)の方法に従って測定した。キャパシタンス読取値は、ECIS電極アレー上の細胞の接触面積に反比例し、当該電極に接触する面積が多いほど、キャパシタンス値が減少する(Wegener J, Keese CR, Giaever I, Exp Cell Res. 259:158-166, 2000)。逆に、細胞が収縮または縮小するにつれ、ECIS電極アレー上の細胞の接触面積は減少し、キャパシタンス値の増加をきたす。各処理群のキャパシタンス読取値の変化を、5時間に亘ってケラチノサイト細胞約1000個からの曲線下面積(AUC)計算値の関数として積分した。これらの計算法は、台形の定理に基づくものである。培地曲線のAUCを、化合物処理群から差し引いた。正のAUC差は、ケラチノサイト収縮を表し、AUC差が大きいほど、ケラチノサイト収縮量が多い。本実施例では、以下の化合物を使用した:N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(THPED、「Quadrol」または「Neutrol」の販売名でBASFより入手)および2-(ジメチルアミノ)エタノール(「DMAE」の販売名でBASFより入手)。DMAEは、周知の肌引き締め剤である。当該化合物をHank緩衝食塩水(HBSS;Gibco Life Sciences, SanDiego, CA)で希釈し、当該溶液のpHをpH7.2〜7.3に調整した。化合物無添加のHBSS(媒地単独)のpHも、pH7.2〜7.3に調整した。 この実施例によって、表Iの結果から、DMAEおよびTHPEDは、ケラチノサイトキャパシタンスで測定すると、培地処理単独に比較して、用量依存性のケラチノサイト細胞面積の収縮または縮小を誘発することが分かる。〔実施例2〕リアルタイム視覚顕微鏡検査を使ったTHPEDによるヒトケラチノサイトの収縮 ヒトケラチノサイトおよびEpilife培養培地(Cascade Biologics, Portland, OR)を、5%CO2/95%空気の加湿大気中、37℃で培養した。ガラスカバースライド(Applied Biophysics, Troy, NY)を滅菌リン酸緩衝食塩水(Gibco Life Sciences, San Diego, CA)中Laminin V(Sigma Aldrich, St Louis, MO)0.01 mg/mLでコーティングした。ヒトケラチノサイトを、Epilife培養培地中細胞0.125 x 106個/mLの密度で調製した。ヒトケラチノサイトを、Laminin被覆カバースリップを含有する6穴プレートに細胞3.75 x 104個/穴として流し込み、5%CO2/95%酸素の加湿大気中、37℃で48時間培養した。個々のカバースリップを、CCDカメラ接続Leica倒立顕微鏡(Leitz DM1L)に搭載されたオープンバス画像描出チャンバー(Warner Instruments, Hamden, CT)に移した。ぺリスタルティックポンプ(Cole Parmer, Vernon Hills, IL)により、Hank緩衝食塩水(HBSS;Gibco Life Sciences, SanDiego, CA)で、流速1 ml/分によって細胞を潅流させた。DMAEまたはTHPEDをHank緩衝食塩水で希釈し、当該溶液のpHをpH7.2〜7.3に調整した。DMAEまたはTHPED無添加のHBSS(培地単独)のpHも、pH7.2〜7.3に調整した。ヒトケラチノサイトを緩衝液単独で10分間潅流させ、基礎状態を確立し、その時間中、各種濃度のDMAEまたはTHPEDを含有する緩衝液をケラチノサイト上へ潅流させた。ImageProソフトウェアを使って、0、10および20分間の処理時に細胞10〜20個を含有する視野のケラチノサイトの画像を収集した。Scion Imageソフトウェア(4.0.2バージョン)を使って、細胞面積を測定し、処理後細胞面積対処理前細胞面積比として細胞面積の減少を報告した。 この実施例から、ケラチノサイト表面積で測定すると、DMAEおよびTHPEDは、ケラチノサイト細胞面積の用量依存性収縮または縮小を誘発することが、(表IIに示すように)判明した。 この実施例から、DMAEおよびTHPEDは、ケラチノサイト細胞面積の急速な収縮または縮小を有意に誘発することが分かる。〔実施例3〕上腕内側のReviscometer(登録商標)RVM 600読み取り Reviscometer(登録商標)RVM 600(Courage and Khazaka, Cologne,ドイツ)は、粘弾材料における弾性剪断パルスの伝播時間を測定する。コラーゲン線維の好ましい性質は、皮膚の割線(Lange線)に対応するので、皮膚の弾性の乱れの伝播速度は、その配向に著しく左右される。皮膚が最も緩んでいる身体の皮膚部位は、例えば、上腕内側、首、太ももおよび腹部に対して、コラーゲン線維の配向に基づく最も強い配向作用を示す。 この試験では、我々は、皮膚表面に沿った指向性張力の測定を可能にする装置を選択する。音速は、音が伝わっている材料の密度および張力に依存する。例えば、音は、空気中よりも水中で速く移動し、また、固体でもより速く移動する。機械的振動は、張力が強いほど、より速く伝わる。ギターの弦の張りが強いほど、爪弾いた後の振動数が高いのと同様である。問題の装置の皮膚と接触するプローブは、1.5〜2 mm離れて配置された、2つの独立した支持体上に据えられた2つの変換器から成る。次に、一方の変換器は、振幅の小さい(<1 mm)動きを発生し、他方の変換器は、第1の変換器が発生させた乱れが、その場所に到達する時間を決定する。この時間から、伝播速度および、それによって、皮膚に沿った張力を算出できる。変換器の動きが100ミクロン未満となる限度で、当該装置は、表皮の張力を探ることができ、動きが大きくなるにつれ、動きは表在真皮を含む。この試験で使用される装置は、表皮および表在真皮を探査する動きを発生する。音響パルスがトランスミッターからレシーバーに伝わるのにかかる時間が、Resonance Running Time共鳴伝達時間(RRT)と呼ばれる測定パラメーターである。当該RRTは、コラーゲン線維束の方向配向に左右される。読み取りは、異なる角度、即ち、0°、45°、90°および135°、で実施しなければならない。この試験では、3°増加させながら、100°の範囲の角度領域までの角度の関数としての読み取り値を入手した。測定パラメーターの異方性(A)、RRTmax/RRTmin、および、測定角度の関数としてRRTのGaussian fitから得られる半値全幅(FWHM)が、年令と共に変化する2つの新しい機械的パラメーターである。その比A/FWHMは、我々が、被験者の年令の予測に使用できる新しい機械的パラメーターである。理由は、年令の関数としてのこの比に対して、<0.001のp値が得られたからである。この試験では、肌の引き締まりを製品塗布前後の異方性の比として表すことにする。 Reviscometer(登録商標)(RVM 600型、Courage and Khazaka, Cologne,ドイツ)によって、方向の関数として、皮膚の粘弾性測定を実施した。前記プローブを、両面粘着テープで皮膚表面に接着させた中空円筒ホルダーによって、皮膚表面に垂直に固定した(先端に配置)。当該ホルダーは、角度45°毎に、外周に添って、マークを有する。我々の装置では、プローブに、また、別に、ホルダー上にmm目盛りの定規を配置して、プローブ-ホルダー装置を修正した。次に、定規のmmの目盛りが互いに整列するように、ホルダー内でプローブを回転させて測定を実施した。これは、3°毎、合計100°の間隔での測定実施に相当する。 被験者30名の上腕内側について、皮膚の粘弾性測定値を得た。両腕それぞれについて、2つの部位を選択し、製品塗布前と塗布後45分目に、上記の通りに読み取り値を得た。当該2部位の一方にプラセボー配合物(THPEDなし)を塗布し、他方の部位に2.5%THPED(実施例4の記述の通り)を含有する配合物を塗布した。Gaussian fitを適用した後、製品塗布前後の異方性比を算出した。 皮膚異方性比は、プラセボー配合物で1.5分の1に減少させたのに比較して、THPEDでは1/3に減少した。THPED配合物をプラセボーと比較する統計分析にMinitab(登録商標)ソフトウェアを使って、p<0.001が得られた。これは、THPED処理部位が張りのある、引き締まった皮膚になることができ、この効果が統計的に有意であることを示す。 DMAE含有組成物も、上記と同じ方法で検討した。被験者の上腕内側を0%DMAE(プラセボー)、0.5%DMAE、1%DMAE、2%DMAEもしくは3%DMAEを含有する製品で処理した。製品塗布前、塗布後35分目に異方性を測定した。異方性比は、DMAEに対する用量応答を示し、これは、共焦点顕微鏡検査実施例(実施例3)で分かるように、ケラチノサイトの収縮が、皮膚を引き締め、張りを与え、同時に、皮膚に抗老化効果を送達できることを指摘している。表Vは、DMAE濃度の関数(%)としての引き締め効果(異方性比)を示す。〔実施例4〕局所用組成物 以下は、THPED含有局所用ローション組成物の製造の記述である。一次ガラスビーカーに、脱イオン水545.60gを計り込み、78〜80℃まで加熱した。中程度のスピードで混合しながら、International Specialty Products(Wayne, New Jersey)から入手した販売名「Stabileze QM」のPVM/MAデカジエンクロスポリマー (PVM/MA Decadiene Crosspolymer )15.0gを添加し、均質になるまで78〜80℃で混合した。当該ビーカーを熱源から外し、Dow Chemical (Midland, Michigan)から入手した販売名「Versene NA」のEDTA二ナトリウム1.0g、Croda(Edison, New Jersey)から入手した販売名「Crodesta SL-40」のヤシ脂肪酸スクロース7.5g、Crodaから入手した販売名「Glycerox 767」のPEG-6カプリン酸/カプリル酸グリセリド7.5g、およびPfaltz & Bauer Chemicals(Waterbury, CT)から入手した販売名「Hexylene Glycol」のヘキシレングリコール10.0gを添加し、均一になるまで混合した。 二次ビーカーとして、脱イオン水305.0gをガラスビーカーに計り込んだ。BASFから入手した販売名「Quadrol」または「Neutrol」のN,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン25.0gを添加し、均一になるまで混合した。一次ビーカーの温度を40℃以下まで冷却した際、二次ビーカーの内容物を当該一次ビーカーに添加し、均一になるまで混合した。 緩衝液は、最初に脱イオン水12.4gをガラスビーカーに計り込んで、三次ビーカー中で調製した。次に、無水クエン酸「クエン酸」8.0g、および、Dupont Chemicalから入手した販売名「Glypure」のグリコール酸(70%)23.0gを添加し、均一になるまで混合した。一次ビーカー中の混合物のpHは、三次ビーカーから添加したグリコール酸/クエン酸/水混合物によって7.0〜7.5に調製された。 その後、Luzenac(Denver, Colorado)から入手した販売名「Windsor Talc 66」のタルク5.0gを一次ビーカーに添加し、均一になるまで攪拌した。Kobo Products, Inc.(South Plainfield, New Jersey)から入手した販売名「SP-10」の10.0 gのナイロン12を一次ビーカーに添加し、均一になるまで混合した。Biosil Technologies, Inc. (Paterson, New Jersey)から入手した販売名「Biosil Basics SPQ」の10.0gのシリコーンクウォータニウム-13を一次ビーカーに添加し、均一になるまで混合した。Nipa Laboratories, Inc.(Wilmington, Delaware)から入手した販売名「Phenonip」のパラベン10.0gを一次ビーカーに添加し、均一になるまで混合した。最後に、当該混合物を5分間均質化し、25℃まで冷却した。〔実施例5〕局所用組成物 表VIの局所用配合物を以下のとおりに製造した。一次ガラスビーカーに脱イオン水、グリセリン、ヒドロキシセルロースおよびパラベンを添加した。次に、N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(販売名「Quadrol」または「Neutrol」でBASFから市販)を当該一次ガラスビーカーに添加し、均一になるまで混合した後、当該混合物のpHをグリコール酸で7.0〜7.5に調整した。pH調整後、Chrysantemum partheniumナツシロギク抽出物(Feverfewナツシロギク粉末抽出物)を添加し、均一になるまで混合した。 二次ガラスビーカーに、ワセリン、塩化ジステアリルジモニウム(Distearyldimonium Chloride)、セテアリールアルコール、パルミチン酸イソプロピルおよびジメチコンを添加した。当該二次ガラスビーカー中の混合物を80℃まで加熱し、均一になるまで混合した。当該二次ビーカーの温度を40℃以下まで冷却した際に、当該二次ビーカーの内容物を、ベンジルアルコールと共に、一次ビーカーに添加し、均一になるまで混合した。最後に、当該混合物を5分間均質化し、25℃まで冷却した。〔実施例6〕PHAの刺激によるヒト末梢血リンパ球のサイトカイン放出の免疫調節 各種アミンの炎症応答への作用能を、以下のアッセイにおいて、T-細胞レセプター(TCR)活性化剤フィトヘムアグルチニン(PHA)の刺激によるヒトリンパ球のサイトカイン産生に対する低減能によって説明した。 ヒト白血球を白血球分離法によって健康な成人男性から採取し、無血清リンパ球増殖培地(ExVivo-15, Biowhittaker, Walkersville, MD)中、細胞1 x 106個/mLの密度に調整した。公表されている方法(Hamamoto Y., et al. Exp Dermatol 2: 231-235, 1993)に従って、被験サンプルの存在下または不在下で、PBLを10μg/mL PHAで刺激した。以下の化合物を評価した。即ち、N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(THPED、販売名「Quadrol」または「Neutrol」でBASFから入手)、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED、Pfaltz & Bauer Chemicals(Waterbury, CT)から入手)、およびジエチレントリアミン(Sigma-Aldrichから入手)であった。5%CO2下、37℃での48時間培養後、上清を除去し、市販の多重サイトカイン検出キットを使ってサイトカイン含量について評価した。結果を表VIIに示す。 上記により、被験化合物は、T-細胞刺激によって誘発されるリンパ球活性化を調節できたことが分かる。 〔実施例7〕再構成表皮上のUV-誘発炎症誘発メディエーターの放出に対する抗炎症活性 ジアミンの効果を、ヒト表皮等価物に対する局所抗炎症活性について評価した。表皮等価物(EPI 200 HCF)は、正常なヒト表皮ケラチノサイトから成る多層分化表皮であり、MatTek(Ashland, MA)から購入した。受領時、表皮等価物を、ハイドロコーチゾンを無添加維持培地中、37℃で24時間培養した。等価物は、太陽紫外光 (1-mm Schott WG 320フィルター装備1000W-Oriel ソーラーシミュレーター;適用UV線量:360 nmで測定した場合、70 kJ/m2) に曝露する2時間前に指示濃度の、70%エタノール/30%プロピレングリコールビヒクル中化合物で局所的に処理した(2 mg/cm2)。等価物を、37℃下、維持培地で24時間培養した後、市販キット(Upstate Biotechnology, Charlottesville, VA)を使って、IL-1Aサイトカイン放出について上清を分析した。結果を表VIIIに示す。よって、THPEDは、ナツシロギクの抗炎症活性を有意に増強することが判明した。〔実施例8〕ニコチン酸メチル誘発による皮膚紅斑の軽減 ニコチン酸メチル(3-ピリジンカルボン酸メチル)は、皮膚に塗布すると、皮膚の血流増加を引き起こす既知の血管拡張剤である。Guy R.H., Arch. Dermatol. Res (1982) 273: 91-95を参照されたい。この実験では、ボランティア7名の前腕掌側に、閉鎖状態(2.5 cmディスク、Hill Top Research Inc, Cincinnati, Ohio)で、ニコチン酸メチル1〜5 mM溶液(Aldrich Chemical, St. Louis, Mo.)を30秒間局所塗した。ニコチン酸メチル塗布の30分前に、プラセボー配合物またはナツシロギク単独含有配合物またはナツシロギク抽出物+THPED含有配合物を局所塗布した。拡散反射分光分析法によって発赤を評価した。Kollias N, et al., Photochem Photobiol. (1992) (56): 223-227を参照されたい。USBポートからHPラップトップコンピューターに連結したOcean Optics. (Dunedin, Fla)製ダイオードアレー分光光度計を使って、実験を制御し、スペクトルデータを収集、分析した。ランプから皮膚までの光の伝導に光ファイバー束を使用し、皮膚から当該分光光度計に反射測定値を伝達させた。結果を表IXに示す。 これらの結果は、ニコチン酸メチル誘発によるヒト発赤モデルにおいて、THPEDがナツシロギクの発赤軽減活性を増強することを示している。〔実施例9〕目の周りの変色およびしわの目立ちの軽減に関する臨床試験 2.5%THPED含有組成物を対応するプラセボー組成物と、目の周りの変色およびしわの目立ちの軽減について比較した。本試験には、25名の被験者が参加し、全員がプロトコルを完了した。表Xは、2つの組成物の配合を示す。 各組成物約0.47〜0.52gを、各被験者の片方の目の下に塗布し、乾燥させた。各組成物は、この試験期間の間、当該領域に1回だけ塗布した。ベースライン時、並びに、組成物塗布後30分目に、訓練を受けた採点担当者が、10点採点法で被験領域を評価し、この方法において、0=非常に不良、極端に目立つ、または、重症10=優れている、まったく目立たない、または、なしである。表XIは、組成物毎の生の採点から決定された応答者の総合改善度を示す。表中、等分散を前提にした2-標本t-検定を使って、以下の有意水準を算出した:プラセボーに対してp<0.05. 表XIの結果は、THPED含有組成物が、目の周りのくまおよびしわの目立ちの軽減に迅速で、統計的に有意な効果を有したことを指摘している。〔実施例10〕試験管内色素沈着誘発 メラニン細胞、DOPA染色およびコンピューター画像分析を使って、色素沈着に対する効果についてTHPEDを検討した。THPEDは、BASF(Florham Park, NJ)から入手した。THPEDを培養培地に溶解し、pHを調整し、中性とした(pH 7.2)。THPEDは、0.05〜0.01%の範囲の濃度でアッセイした。 B16細胞(マウス黒色腫細胞系)をAmerican Type Culture Collection(Manassas, VA)から入手した。当該細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)、4.5 mg/mLグルコース、2 mM L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウムを含有するDulbecco修飾Eagle培地(DMEM)中で、フェノールレッド(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いずに培養した。B16細胞を、上記培養培地中細胞40,000個/穴として、12穴組織培養平板(Corning Costar, San Diego, CA)に流し込んだ。当該細胞を一晩増殖させた後、pH7.2で、各種濃度のTHPEDで、合計48時間処理した。当該実験処理用物質を含有する新鮮培地を1日1回交換した。 処理終了時、当該細胞を、リン酸緩衝液(PBS、Life Technologies, Gaithersburg, MD)で2回、5分間洗浄し、その後、10%緩衝化フォルマリン(Sigma St. Louis, MO)で、手早く10分間固定し、PBSで3回洗浄し、37℃下、PBS中0.1%L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA, Sigma, St. Louis, MO)で2〜3時間染色した後、PBSで3回洗浄した。DOPAは、チロシナーゼの基質である。そのため、染色増加は、チロシナーゼ活性および色素産生の増加を表す。DOPA-染色細胞の画像を、Leica DMIL顕微鏡(Bannockburn, IL)およびOPTRONICS DEI-750デジタルカメラ(Goleta, California)を使って撮影した。全画像を入手し、Image Pro Plus 4.0ソフトウェア(Media Cybernetics, Silver Spring, MD)で分析した。表XIIに規定する評価尺度を使って色素変化を評価した。 表XIIIは、B16細胞をTHPED(0.05%および0.025%および0.01%(w/v))または、既知色素沈着インデューサーであるフォースコリン(10μg/mL、Sigma、St. Louis, MO)に曝露した場合に、上記のとおりのDOPA染色によって評価した色素沈着変化の総合点数を示す。この表は、THPED処理が、予想外にも、フォースコリンによって生じるレベルと同様またはそれ以上のチロシナーゼ活性の増加をきたしたことを証明している。〔実施例11〕THPEDは、試験管内でチロシナーゼ活性を誘発する THPEDを、最終産物メラニンの分光光度測定によって、B16細胞中のチロシナーゼ活性誘発能についても検討した。B16細胞を、pH7.2下、各種濃度のTHPEDで48時間処理した後、当該細胞を1%Triton X-100(Sigma, St. Louis, MO)含有PBS 250μL中に溶解した。溶解物を収集し、4℃、14,000 rpmで5分間遠心分離し、不溶物質をペレット化した。当該溶解物(100μL)を96穴アッセイ平板(Corning Costar, San Diego, CA)に移し、PBS中0.1%(w/v)DOPA 100μLと混合した。次に、VersaMax平板分光光度計 (Molecular Devices, Sunnyvale, CA)およびSoftMax Pro 分析ソフトウェア(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を使って、490 nmの吸光度を0〜12時間モニターした。当該チロシナーゼ活性は、BioRad Dc Protein Assay(Bio Rad, Hercules, CA)を使って、総蛋白に対して正規化した。 表XIVは、比較対照(未処理B16細胞、100%に正規化)に対して正規化された3時間目のチロシナーゼ活性の結果を示しており、THPED処理が、予想外にも、チロシナーゼ活性を増強したことを実証している。この表は、色素沈着誘発における本発明の組成物の特異性を実証している(例、チロシナーゼ活性を、陽性対照フォースコリンと同等の、201.90%まで増加させた)。〔実施例12〕THPEDは、試験管内でチロシナーゼ蛋白レベルを増加させる THPEDを、B16細胞中チロシナーゼ蛋白レベル誘発能力についても検討した。B16細胞を、pH7.2下、各種濃度のTHPEDで48時間処理した後、当該細胞を1%Triton X-100(Sigma, St. Louis, MO)含有PBS 250μL中で溶解させた。蛋白(チロシナーゼ蛋白分析用)3.7μgおよび蛋白(β-アクチン蛋白分析用)1.2μgを含有するB16細胞溶解物を、4〜20%Tris-Glycine SDS PAGEミニゲル(Invitrogen, Carlsbad, CA)上で電気泳動に供し、PVDF膜(Bio Rad, Hercules, CA)上に移し、チロシナーゼ (PBS+0.2% Tween 20+5%BSA中1:200、Santa Cruz Biotechnology, Inc., Santa Cruz, CAから入手)およびβ-アクチン(PBS+0.2% Tween 20+5%BSA中1:2000、Sigma, St. Louis, MOから入手)に対する抗体で探査した。Amersham (Piscataway, NJ)から入手したECL試薬およびHyperfilm ECLを使って、チロシナーゼおよびβ-アクチンの蛋白発現を分析した。フィルムは、Konica SRX-101Aプロセッサー(East Orange, NJ)で現像した。 表XVは、各種処理後に対照のβ-アクチンに対して正規化されたチロシナーゼ蛋白レベルを示す。未処理B16細胞中のチロシナーゼ蛋白レベルは、1に正規化された。表XVは、THPED処理がチロシナーゼ蛋白レベルを増加させたことを実証している。この表は、色素沈着の誘発における本発明の組成物の特異性を実証している(例、PBS処理細胞に比較して、36倍までのチロシナーゼ蛋白レベルの増加。これは、フォースコリン(34倍、陽性対照、と同等)。〔実施例13〕にきび疾患の治療 にきび疾患は、多くの場合、非炎症型または炎症型として分類される。非炎症性にきびは、閉鎖コメド(白にきび)および開放コメド(黒にきび)を特徴とし、稠密なケラチン塊、皮脂、および、毛包管を拡張する細菌から成る。毛包脂腺が閉塞された場合、および/または、皮脂腺による皮脂産生が増加した場合に、コメドが生じる。コメドの形成後、細菌の増殖および/.または皮脂の過剰産生から炎症が起こる可能性がある。典型的には、当該細菌は、プロピオニバクテリア(P. acnes)などの嫌気性菌である。炎症性にきびは、丘疹(吹き出物)、膿疱および結節嚢胞性病巣を特徴とし、瘢痕化のおそれがある。にきびの病原には、皮脂産生、ホルモンの刺激、毛穴の詰まり、皮膚病原体を含めて、数種類の要因が重要な役割を果たすと考えられる。にきびを有する被験者では、皮脂レベルが、対照被験者の皮脂レベルに比較して約70%増加している。 ヒトの皮脂は、他の哺乳類とは組成が異なる。ヒトの皮脂の主な脂質は、トリグリセリド、ワックスエステルおよびスクワレンである(Greene et al.,JID 54, 240-247, 1970)。例えば、スクワレンは、多くの哺乳類には認められない。ヒトの皮脂の主成分であるトリグリセリドは、他種では、それほど認められず、多くの場合(例、チンパンジー)、完全に欠乏しているようだ(Thody, A.J., Shuster, S., Physiolog. Rev. 69, 383-415, 1989)。スクワレンは、さらに酸化され、紫外線過酸化の初期生成物であるスクワレンモノヒドロパーオキサイド(Sq-OOH)となる。これが、コメド形成を招き、炎症応答、細胞傷害性、コメド発生を開始する可能性がある(Chiba et al J Biochem Mol Toxicol. 2001; 15(3): 150-158)。そのため、皮脂中のスクワレン形成の低下が、コメド形成の低下、および、丘疹(吹き出物)、膿疱および瘢痕化を含めたにきびの発現を低下させると思われる。しかし、ヒトの皮脂の主要脂質は、皮膚の皮脂含量と水分の相関によって明らかなように、皮膚の水和の維持にも機能することができる(Aisen E et al., Acta Derm Venereol. (1997) 77: 142-143)。皮脂産生の軽減に、様々な手法が試みられている。例えば、局所用レチノイドは、ヒトの皮脂中の主要脂質の合成を低減することが立証されている(Stewart ME et al., J Invest Dermatol. (1984) 82: 74-78)。しかし、皮脂の非選択的抑制は、乾燥肌を招く可能性がある(Shalita AR, et al., Clin Ther. (2004) 26: 1865-1873)。 ヒトの皮脂中の他の皮脂成分に作用することなく、スクワレン含量に選択的に作用するTHPEDの能力を、以下のアッセイを使って、ヒト皮膚中に存在するスクワレン含量の選択的低減能よって説明した。 使用した方法は、Pappas et al. (J Invest Dermatol. 2002 Jan; 118(1): 164-171)によって先に記述されている。要約すると、顔面の皮膚(他で廃棄対象となったもの)サンプルは、45〜65才の女性患者から入手した。被験者は、健康な女性で、レチノイドまたはレーザー治療もしくは化学療法を受けたことのない健康な女性であった。顔面リフト手術から、術後5時間以内に、検体を入手した。2mmのねじきり生検検体(生検パンチ)を皮脂腺に富む組織から採取し、無血清培地中で培養した。当該培地は、L-グルタミン、ペニシリン-ストレプトマイシン、ピルビン酸ナトリウム、セレン-インスリン-トランスフェリン混合物、および微量元素(Gibco San Diego, CA)および3,3,5-トリヨード-L-チロニン(3,3,5-triiodo-L-thyronine)(Sigma, St Louis, MO)を含有する、既述(Guy and Kealy, Dermatology. 1998; 196 (1): 16-20)のとおりのDMEMおよびF12(3:1)( Gibco San Diego, CA)から成った。最後に、生検検体の培養前に、THPEDの濃度を25μMに調整し、C14-標識酢酸塩を添加した(2μCi/mL)。 各実験時点で、5例の生検パンチを2mlのCHCl2:MeOH(2:1)中で、乳白色の均質物が得られ、目視で残渣の存在が認められなくなるまで、均質化した。当該均質物を1 mLの0.88%塩化カリウムを含有するガラス管に移した。次に、ホモジェナイザーを抽出溶媒2 mLで2回ゆすぎ、これらの洗浄液を、合わせた抽出物に添加した。相分離後、水相を除去し、廃棄し、その間、残った全有機抽出物を、アルゴン緩流下で蒸発させ、その後HPTLC分析に供した。 外植された腺から抽出された脂質成分を、10 x 20cm Whatman HPTLC シリカG平板上でのクロマトグラフィー分離によって分析した。当該平板は、予めクロロホルムを浸し、真空オーブン中、105℃で30分間加熱し、デシケーター中で室温まで冷却したものである。CHCl3:MeOH(2:1)溶解脂質をスポットした後、当該平板を、先の報告(3)のように、以下のとおりに3回展開した。即ち、1)ヘキサンで先端まで、2)トルエンで先端まで、3)ヘキサン/エーテル/酢酸(70:30:1)で、先端から10cm下まで。各移動相展開の間に、標準ドラフト内、室温で15分間乾燥し、確実に溶媒を完全蒸発させた。1回目と2回目の展開中に、スクワレン、ワックスおよびステロールエステルが分離され、一方、各種極性脂質は、3回目の展開中に分割された。 THPEDの存在下、ヒトの顔面の皮膚からの生検パンチは、トリグリセリドなどの他の皮脂成分に実質的に作用することなく、スクワレンの蓄積を減少させることを実証した。異なるドナー2例からの2件の異なる実験からの結果を、以下の表XVIに要約する。 ヒトの皮脂中の主要脂質(トリグリセリド、ワックスエステルおよびスクワレン)の合成を妨害することによって皮脂産生を減少または抑制する化合物と異なり、THPEDは、スクワレン形成の選択的低減に有効で、他の皮脂成分に作用しないことが認められた。ヒトの皮脂の主要脂質は、皮膚の脂質バリアを維持し、皮膚の水分を調節し、よって、皮膚を乾燥やひび割れから保護する機能を発揮する。THPEDによるスクワレンの減少は、コメド形成、丘疹(吹き出物)、膿疱および瘢痕化を含むにきびの目立ちを減少させることができる。〔実施例14〕皮膚の毛穴サイズ縮小に関する臨床試験評価 2.5%THPEDを含有する組成物を、顔面の皮膚の毛穴サイズの縮小について、対応するプラセボー組成物と比較した。31名の被験者がこの試験に参加し、被験者全員がプロトコルを完了した。表XVIIは、2つの組成物の配合を示す。各組成物約0.45〜0.52gを、各被験者の顔の片側に塗布し、乾燥させた。各組成物は、この試験期間の間、当該領域に1回だけ塗布した。ベースライン時、並びに、組成物塗布後45分目に、顔全体の並列偏光デジタル画像(parallel-polarized digital images)を顔全体について撮影し、毛穴サイズに認められた変化を実証した。顔の並列偏光画像のコンピューター分析を使って、毛穴サイズの縮小を評価した。 並列偏光画像のコンピューター分析は、THPED投与を受けた被験者の74.2%が毛穴サイズの縮小を達成することを実証した。THPED投与は、プラセボー単独よりも19.4%高い毛穴縮小応答を生じた。 表VIIIは、プラセボーを上回るTHPED投与への対象応答者のへの総毛穴縮小%を示す 表XIXは、測定可能な毛穴サイズ縮小を示した被験者%を示す。よって、THPEDは、被験者の74.2%において、毛穴の目立ちを抑制または縮小することが判明した。〔実施の態様〕 (1) 皮膚の老化の少なくとも1種類の徴候を治療する方法において、 前記皮膚の老化の少なくとも1種類の徴候は、当該皮膚の弾力性を高めること、当該皮膚の引き締めを強めること、皮膚のしわやセルライトの目立ちを軽減することから成る群から選択され、 当該方法は、 前記治療を必要とする皮膚への、下記の式Iまたは式IIの少なくとも1種類の化合物を含む組成物の投与を含む、治療方法。 ただし、 R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ、水素、C1〜C6アルキル、およびC1〜C6ヒドロキシアルキル、または化粧品として受容可能なその塩から成る群から選択される。 (2) 実施態様1に記載の方法において、 前記方法が前記皮膚の弾力性を高めることを含む、方法。 (3) 実施態様1に記載の方法において、 前記方法が前記皮膚の引き締めを強化することを含む、方法。 (4) 実施態様1に記載の方法において、 前記方法が前記皮膚のしわの目立ちを軽減することを含む、方法。 (5) 皮膚の炎症を治療する方法において、 前記方法が、前記治療を必要とする皮膚への、下記の式Iおよび式IIの化合物の少なくとも1種類の化合物を含む組成物の投与を含み、(I)(II) ただし、 R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ、水素、C1〜C6アルキル、およびC1〜C6ヒドロキシアルキル、または化粧品として受容可能なその塩から成る群から選択され、 前記方法がにきびを原因とする炎症の治療を目的とする場合、前記組成物がレチノイン酸またはリノール酸を含むベニバナ油を含有しない、方法。 (6) 実施態様5に記載の方法において、 前記方法がにきび以外の炎症の治療を目的とする、方法。 (7) 実施態様5〜6に記載の方法において、 前記組成物が、ナツシロギク抽出物、大豆抽出物、または抗炎症剤から成る群から選択される少なくとも1種類の物質をさらに含む、方法。 (8) 目の周りの変色または腫れの目立ちを軽減する方法において、 前記方法が、式Iおよび式IIの化合物の少なくとも1種類の物質を含む組成物を、前記治療を必要とする皮膚に投与することを含む、方法。(I)(II) ただし、 R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ、水素、C1〜C6アルキル、およびC1〜C6ヒドロキシアルキル、または化粧品として受容可能なその塩から成る群から選択される。 (9) 実施態様8に記載の方法において、 前記方法が目の周りの変色の目立ちを軽減することを含む、方法。 (10) 実施態様8に記載の方法において、 前記方法が目の周りの腫れの目立ちを軽減することを含む、方法。 (11) 実施態様8〜10に記載の方法において、 前記組成物が、カフェイン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC、およびそれらの塩およびエステルから成る群から選択される化合物、あるいは、緑茶抽出物、ホースチェストナッツ(horsechestnut)抽出物、生存酵母細胞抽出物、およびキュウリ抽出物から成る群から選択される抽出物をさらに含む、方法。 (12) 皮膚を褐色化する方法において、 前記方法が、式Iまたは式IIの化合物の少なくとも1種類の物質を含む組成物を、前記治療を必要とする皮膚に投与することを含み、前記組成物はジヒドロキシアセトン(dihydroxy acetone)を含まない、方法。(I)(II) ただし、 R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ、水素、C1〜C6アルキル、およびC1〜C6ヒドロキシアルキル、または化粧品として受容可能なその塩から成る群から選択される。 (13) にきびを治療する、または皮膚の脂分または毛穴の目立ちを軽減する方法において、 前記方法が、式Iまたは式IIの化合物の少なくとも1種類の物質を含む組成物を、前記治療を必要とする皮膚に投与することを含み、前記皮膚が、にきび治療を必要とする場合、前記組成物がレチノイン酸またはリノール酸を含むベニバナ油を含有しない、方法。(I)(II) ただし、 R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ、水素、C1〜C6アルキル、およびC1〜C6ヒドロキシアルキル、または化粧品として受容可能なその塩から成る群から選択される。 (14) 実施態様13に記載の方法において、 前記方法がにきびの治療を含む、方法。 (15) 実施態様13に記載の方法において、 前記方法が、にきびの治療を必要としない皮膚の脂分または毛穴の目立ちを軽減することを含む、方法。 (16) 実施態様1〜15に記載の方法において、 R1、R2、R3、およびR4が、独立して、C1〜C3アルキルおよびC1〜C3アルカノールから成る群から選択される、方法。 (17) 実施態様1〜16に記載の方法において、 前記化合物が式Iの化合物である、方法。 (18) 実施態様1〜15に記載の方法において、 前記組成物が、次式の化合物またはその化粧品として受容可能な塩を含む、方法。 (19) 組成物において、 (a) 式Iまたは式IIの少なくとも1種類の化合物と、(I)(II) ただし、 R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ、水素、C1〜C6アルキル、およびC1〜C6ヒドロキシアルキル、または化粧品として受容可能なその塩から成る群から選択される、 (b) レチノール、ナツシロギク抽出物、大豆抽出物、または抗炎症剤から成る群から選択される少なくとも1種類の物質と、 を含む、組成物。 (20) 実施態様19に記載の組成物において、 前記組成物が、ナツシロギク抽出物および大豆抽出物から成る群から選択される少なくとも1種類の物質を含む、組成物。 (21) 実施態様19に記載の組成物において、 前記組成物がレチノールを含む、組成物。 (22) 実施態様19〜21に記載の組成物において、 R1、R2、R3、およびR4が、独立して、C1〜C3アルキルおよびC1〜C3アルカノールから成る群から選択される、組成物。 (23) 実施態様19〜22に記載の組成物において、 前記化合物が式Iの化合物である、組成物。 (24) 実施態様19〜21に記載の組成物において、 前記組成物が、次式の化合物または化粧品として受容可能なその塩を含む、組成物。 組成物において、 (a) 式Iまたは式IIの少なくとも1種類の化合物と、(I)(II) ただし、 R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ、水素、C1〜C6アルキル、およびC1〜C6ヒドロキシアルキル、または化粧品として受容可能なその塩から成る群から選択される、 (b) レチノール、ナツシロギク抽出物、大豆抽出物、または抗炎症剤から成る群から選択される少なくとも1種類の物質と、 を含む、組成物。 請求項1に記載の組成物において、 前記組成物が、ナツシロギク抽出物および大豆抽出物から成る群から選択される少なくとも1種類の物質を含む、組成物。 請求項1に記載の組成物において、 前記組成物がレチノールを含む、組成物。 請求項1〜3に記載の組成物において、 R1、R2、R3、およびR4が、独立して、C1〜C3アルキルおよびC1〜C3アルカノールから成る群から選択される、組成物。 請求項1〜4に記載の組成物において、 前記化合物が式Iの化合物である、組成物。 請求項1〜3に記載の組成物において、 前記組成物が、次式の化合物または化粧品として受容可能なその塩を含む、組成物。 皮膚の老化の少なくとも1種類の徴候を治療する方法において、 前記皮膚の老化の少なくとも1種類の徴候は、当該皮膚の弾力性を高めること、当該皮膚の引き締めを強めること、皮膚のしわやセルライトの目立ちを軽減することから成る群から選択され、 当該方法は、 前記治療を必要とする皮膚への、下記の式Iまたは式IIの少なくとも1種類の化合物を含む組成物の投与を含む、治療方法。 ただし、 R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ、水素、C1〜C6アルキル、およびC1〜C6ヒドロキシアルキル、または化粧品として受容可能なその塩から成る群から選択される。 【課題】特定のアミン化合物は、すでに、しわなどの皮膚の輪郭の欠陥を補強する作用を果たすなど、その効果は開示されている。これを独自に化粧品に応用する。【解決手段】少なくとも1種類の式Iまたは式IIの化合物を含有する組成物およびその使用。ただし、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ、水素、C1〜C6アルキル、およびC1〜C6ヒドロキシアルキル、または化粧品として受容可能なその塩から成る群から選択される。【選択図】なし


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